特許第6486877号(P6486877)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6486877排水処理装置及び当該排水処理装置を用いた排水処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6486877
(24)【登録日】2019年3月1日
(45)【発行日】2019年3月20日
(54)【発明の名称】排水処理装置及び当該排水処理装置を用いた排水処理方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/62 20060101AFI20190311BHJP
   B01D 21/01 20060101ALI20190311BHJP
   C02F 1/52 20060101ALI20190311BHJP
   B01D 61/18 20060101ALI20190311BHJP
   B01D 61/08 20060101ALI20190311BHJP
   C02F 1/44 20060101ALI20190311BHJP
   C02F 1/56 20060101ALI20190311BHJP
   C02F 1/28 20060101ALI20190311BHJP
   B01D 24/02 20060101ALI20190311BHJP
   B01D 36/02 20060101ALI20190311BHJP
   B01D 36/04 20060101ALI20190311BHJP
   C02F 9/02 20060101ALI20190311BHJP
   C02F 9/04 20060101ALI20190311BHJP
【FI】
   C02F1/62 Z
   B01D21/01 105
   B01D21/01 101Z
   C02F1/52 K
   B01D61/18
   B01D61/08
   C02F1/44 E
   B01D21/01 102
   B01D21/01 104
   C02F1/56 K
   C02F1/28 D
   C02F1/28 B
   B01D23/16
   B01D23/14
   B01D36/02
   B01D36/04
   C02F9/02
   C02F9/04
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-183856(P2016-183856)
(22)【出願日】2016年9月21日
(65)【公開番号】特開2018-47417(P2018-47417A)
(43)【公開日】2018年3月29日
【審査請求日】2017年10月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】596040024
【氏名又は名称】株式会社ダイワエクセル
(73)【特許権者】
【識別番号】516284367
【氏名又は名称】株式会社smart
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 智弘
(74)【代理人】
【識別番号】100185579
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 秀和
(72)【発明者】
【氏名】内田 千尋
(72)【発明者】
【氏名】湯田 恵美
【審査官】 富永 正史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−140795(JP,A)
【文献】 特開2002−045871(JP,A)
【文献】 特開2011−194384(JP,A)
【文献】 特開2003−340450(JP,A)
【文献】 特開2013−034987(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/00− 1/78
C02F 9/00− 9/14
B01D 61/00−71/82
B01D 21/01
B01D 24/02
B01D 36/02
B01D 36/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
亜鉛を含有する排水を処理するための排水処理装置であって、
排水にアルカリ剤を添加し、排水を攪拌してpH11以上に調整する第一攪拌槽と、
前記第一攪拌槽から送水される排水に共沈剤及び凝集剤を添加し、排水を攪拌してpH10以上pH12以下に調整する第二攪拌槽と、
前記第二攪拌槽から送水される排水に酸化剤を添加し、排水を攪拌してpH9以上pH11以下に調整する第三攪拌槽と、
前記第三攪拌槽から送水される排水を静置する沈殿槽と、
前記沈殿槽から送水されるうわ水に前記酸化剤を添加し、うわ水を攪拌してpH9以上pH10以下に調整する中和槽と、
前記中和槽から送水されるうわ水をろ別するろ過装置と、を備え、
前記アルカリ剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、又は炭酸ナトリウムであり、
前記共沈剤は、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、ポリ硫酸第二鉄、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、又は硫酸であり、
前記凝集剤は、少なくとも、ゼオライト及びパーライトを含有する中性の凝集剤であり、
前記酸化剤は、硫酸であり、
前記ろ過装置は、砂ろ過器、活性炭ろ過器、精密ろ過装置及び逆浸透膜ろ過装置であること、
を特徴とする排水処理装置。
【請求項2】
前記アルカリ剤が水酸化ナトリウムであり、
前記共沈剤が硫酸第一鉄であり、
前記第三攪拌槽に、高分子凝集剤を添加し、
前記逆浸透膜ろ過装置を2つ以上設けること、
を特徴とする、請求項1に記載の排水処理装置。
【請求項3】
亜鉛を含有する排水を処理するための排水処理方法であって、
第一攪拌槽において、排水にアルカリ剤を添加し、排水を攪拌してpH11以上に調整する第一工程と、
第二攪拌槽において、前記第一攪拌槽から送水される排水に共沈剤及び凝集剤を添加し、排水を攪拌してpH10以上pH12以下に調整する第二工程と、
第三攪拌槽において、前記第二攪拌槽から送水される排水に酸化剤を添加し、排水を攪拌してpH9以上pH11以下に調整する第三工程と、
沈殿槽において、前記第三攪拌槽から送水される排水を静置する第四工程と、
中和槽において、前記沈殿槽から送水されるうわ水に前記酸化剤を添加し、うわ水を攪拌してpH9以上pH10以下に調整する第五工程と、
ろ過装置において、前記中和槽から送水されるうわ水をろ別する第六工程と、
を備え、
前記アルカリ剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、又は炭酸ナトリウムであり、
前記共沈剤は、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、ポリ硫酸第二鉄、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、又は硫酸であり、
前記凝集剤は、少なくとも、ゼオライト及びパーライトを含有する中性の凝集剤であり、
前記酸化剤は、硫酸であり、
前記ろ過装置は、砂ろ過器、活性炭ろ過器、精密ろ過装置及び逆浸透膜ろ過装置であること、
を特徴とする排水処理方法。
【請求項4】
前記アルカリ剤が水酸化ナトリウムであり、
前記共沈剤が硫酸第一鉄であり、
前記第三工程には、前記第三攪拌槽に、高分子凝集剤を添加する工程を有し、
前記第六工程には、前記逆浸透膜ろ過装置を2つ以上設けてろ別する工程を有すること、
を特徴とする、請求項3に記載の排水処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、亜鉛を含有する排水を処理する排水処理装置、及び当該排水処理装置を用いた排水処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
メッキ工場の排水は、被メッキ物である鉄等の金属や、メッキ用金属である亜鉛・ニッケル・クロム等の金属を含有する。そのため、排水中の毒物や重金属類の除去や、排水の酸性・塩基性の中和が要求されている。
【0003】
排水処理の方法は、排水に水酸化ナトリウム等のアルカリ剤を添加して重金属イオンを水酸化物にして析出・沈殿させて、うわ水のpHを調整するアルカリ沈殿法が知られている。
【0004】
しかし、メッキ工場、電子部品・機械部品製造工場、自動車工場の排水は、シアン化物・酸性薬品・アルカリ性薬品等の溶剤及び洗浄剤等に由来する窒素等の無機物や、油脂抽出物やCOD・BODに関連する有機物も含有する。更に、これらの工場の排水は、クエン酸・グルコン酸等の有機酸、EDTA、シアン、アミン、アンモニア及びポリリン酸等の錯生成能力を有する化合物も含有する。そのため、重金属が排水中で錯体として安定的に存在すると、アルカリ沈殿法では排水中の重金属を処理できない場合がある。
【0005】
ここで、重金属錯体を含有する排水に無害な対イオンを添加し、重金属と置換させることで、重金属を水酸化物として分離する置換法が採用される場合がある。置換法に使用する薬剤は、カルシウム・マグネシウム等のアルカリ土類金属であり、更に、共沈作用を得るために鉄塩を併用する場合もある(特許文献1及び2参照)。
【0006】
自動車工場における塗装排水につき、各種沈殿法によって処理した場合の比較例を表1に示す。
【0007】
【表1】
【0008】
また、クエン酸1000mg/Lと各種重金属をそれぞれ20mg/L含有する合成排水を、消石灰のみを添加して置換法による処理をし、合成排水をpH11に調整した場合と、消石灰に加え、鉄塩(塩化第三鉄(III))1000mg/Lを添加して置換法による処理をし、合成排水をpH11に調整をした場合の比較を表2に示す。
【0009】
【表2】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2014−104456号公報
【特許文献2】特許第5489982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、メッキ工場においては、亜鉛メッキの場合に塩化アンモニウムを使用することが多く、亜鉛メッキ排水はアンモニア等の無機態窒素も多量に含有する。そして、酸性の亜鉛メッキ排水において、アンモニアは数1に示す態様で存在する。
【0012】
【数1】
【0013】
アンモニアを除去する方法として、アンモニアストリッピング法や、不連続点塩素処理法や、生物処理法を挙げることができるが、アンモニアストリッピング法は水温が低下すると除去率が低下し、不連続点塩素処理法はトリハロメタンを生成し、生物処理法は大規模で高度な汚泥管理が要求されるという問題を有する。
【0014】
ただし、アルカリ沈殿法によると、排水中におけるアンモニアが過剰量であるため、数1に示すように、排水中のアンモニアは、NH4+からNHとなり、亜鉛と金属錯体([Zn(NH)]2+)を形成する。これにより、水酸化物として亜鉛を析出するpH範囲が極端に縮小し、微細な懸濁物質(SS)を生じるため、排水中から亜鉛を析出・凝集することが困難となる。
【0015】
そこで、本発明の目的は、亜鉛を含有する排水のpH調整を容易にし、アルカリ剤及び酸化剤の使用量を節減し、亜鉛濃度が極めて低い逆浸透膜処理水を得ることができる排水処理装置及び排水処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の発明者は、上記課題に鑑み、鋭意研究を行った。その結果、排水から亜鉛を含む汚染物質を除去するための排水処理装置に、アルカリ剤を添加して排水をpH11以上に調整する第一攪拌槽と、共沈剤と食品添加物を含有する中性の凝集剤を添加して排水をpH10以上pH12以下に調整する第二攪拌槽と、酸化剤を添加して排水をpH9以上pH11以下に調整する第三攪拌槽と、排水中の凝集物を沈殿させる沈殿槽と、うわ水をpH9以上pH10以下に調整する中和槽と、逆浸透膜ろ過装置を有するろ過装置とを配置することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0017】
本発明の第1の態様は、亜鉛を含有する排水を処理するための排水処理装置であって、
排水にアルカリ剤を添加し、排水を攪拌してpH11以上に調整する第一攪拌槽と、
前記第一攪拌槽から送水される排水に共沈剤及び凝集剤を添加し、排水を攪拌してpH10以上pH12以下に調整する第二攪拌槽と、
前記第二攪拌槽から送水される排水に酸化剤を添加し、排水を攪拌してpH9以上pH11以下に調整する第三攪拌槽と、
前記第三攪拌槽から送水される排水を静置する沈殿槽と、
前記沈殿槽から送水されるうわ水に前記酸化剤を添加し、うわ水を攪拌してpH9以上pH10以下に調整する中和槽と、
前記中和槽から送水されるうわ水をろ別するろ過装置と、を備え、
前記アルカリ剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、又は炭酸ナトリウムであり、
前記共沈剤は、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、ポリ硫酸第二鉄、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、又は硫酸であり、
前記凝集剤は、少なくとも、ゼオライト及びパーライトを含有する中性の凝集剤であり、
前記酸化剤は、硫酸であり、
前記ろ過装置は、砂ろ過器、活性炭ろ過器、精密ろ過装置及び逆浸透膜ろ装置であること、
を特徴とする排水処理装置。
【0018】
(2) 本発明の第2の態様は、(1)に記載の排水処理装置であって、前記アルカリ剤が水酸化ナトリウムであり、前記共沈剤が硫酸第一鉄であり、前記第三攪拌槽に、高分子凝集剤を添加し、前記逆浸透膜ろ過装置を2つ以上設けることを特徴とする。
【0019】
本発明の第3の態様は、亜鉛を含有する排水を処理するための排水処理方法であって、
第一攪拌槽において、排水にアルカリ剤を添加し、排水を攪拌してpH11以上に調整する第一工程と、
第二攪拌槽において、前記第一攪拌槽から送水される排水に共沈剤及び凝集剤を添加し、排水を攪拌してpH10以上pH12以下に調整する第二工程と、
第三攪拌槽において、前記第二攪拌槽から送水される排水に酸化剤を添加し、排水を攪拌してpH9以上pH11以下に調整する第三工程と、
沈殿槽において、前記第三攪拌槽から送水される排水を静置する第四工程と、
中和槽において、前記沈殿槽から送水されるうわ水に前記酸化剤を添加し、うわ水を攪拌してpH9以上pH10以下に調整する第五工程と、
ろ過装置において、前記中和槽から送水されるうわ水をろ別する第六工程と、
を備え、
前記アルカリ剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、又は炭酸ナトリウムであり
前記共沈剤は、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、ポリ硫酸第二鉄、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、又は硫酸であり、
前記凝集剤は、少なくとも、ゼオライト及びパーライトを含有する中性の凝集剤であり、
前記酸化剤は、硫酸であり、
前記ろ過装置は、砂ろ過器、活性炭ろ過器、精密ろ過装置及び逆浸透膜ろ過装置であること、
を特徴とする排水処理方法。
【0020】
(4) 本発明の第4の態様は、(3)に記載の排水処理方法であって、前記アルカリ剤が水酸化ナトリウムであり、前記共沈剤が硫酸第一鉄であり、前記第三工程には、前記第三攪拌槽に、高分子凝集剤を添加する工程を有し、前記第六工程には、前記逆浸透膜ろ過装置を2つ以上設けてろ別する工程を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明においては、第一攪拌槽においてアルカリ剤を添加して排水をpH11以上に調整し、第二攪拌槽において共沈剤と中性の凝集剤を添加して排水をpH10pH以上12以下に調整し、第三攪拌槽において酸化剤を添加して排水をpH9以上pH11以下に調整する。これにより、アルカリ剤と、酸性又は塩基性である共沈剤と、酸化剤とを別々の槽に添加し、かつ食品添加物を含有する中性の凝集剤を用いることになる。そのため、各槽において容易に排水のpHを調整でき、アルカリ剤・共沈剤・酸化剤の使用量を減らすことができる。さらに、沈殿槽において排水を静置し、中和槽においてうわ水をpH9以上pH10以下に調整した後、逆浸透膜ろ過装置を有するろ過装置にて排水を処理する。そのため、メッキ工場の排水を、亜鉛濃度が極めて低く、飲料水の原水に使用できる逆浸透膜処理水に処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の排水処理装置における排水処理工程の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態に係る排水処理装置及び排水処理方法について説明する。
【0024】
[排水処理装置]
図1は、本発明の排水処理装置における排水処理工程の概略図である。排水処理装置1は、メッキ工場等の排水が送水される原水槽10と、原水槽10の排水が送水される第一攪拌槽11と、第一攪拌槽11の排水が送水される第二攪拌槽12と、第二攪拌槽12の排水が送水される第三攪拌槽13と、第三攪拌槽13の排水が送水される沈殿槽14と、沈殿槽14のうわ水が送水される中和槽15と、中和槽15から送水されるうわ水をろ別するろ過装置30とを備える。ろ過装置30は、砂ろ過器31、活性炭ろ過器32、精密ろ過装置33及び逆浸透膜ろ過装置34である。また、逆浸透膜ろ過装置34によってろ別された濃縮水を貯水する濃縮水貯水槽41と、逆浸透膜ろ過装置34によって処理された逆浸透膜処理水のpHを最終調整する最終pH調整槽42と、最終pH調整槽42の逆浸透膜ろ過水を放流する放流槽43とを備える。
【0025】
<原水槽>
原水槽10において、メッキ工場等から送水される排水にアルカリ剤を添加し、排水を攪拌してpH6以上pH8以下に調整し、好ましくは、排水をpH6.5以上pH7.5以下に調整する。メッキ工場における亜鉛メッキ排水はpH3以上pH4以下であることが多く、pH調整されていない排水を、ポンプを使用して原水槽10から第一攪拌槽11に送水すると、ポンプが腐食しやすくなる。そのため、原水槽10において、排水にアルカリ剤を添加し、排水を攪拌してpH6以上pH8以下に調整することで、ポンプを保護することができる。
【0026】
(アルカリ剤槽)
アルカリ剤槽21はアルカリ剤を備える。アルカリ剤は、原水槽10、第一攪拌槽11、及び最終pH調整槽42へ適宜ポンプによって添加される。
【0027】
アルカリ剤としては、強塩基のアルカリ剤であり、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムが好ましく、水酸化ナトリウムであることがより好ましい。
【0028】
<第一攪拌槽>
第一攪拌槽11において、原水槽10から送水される排水にアルカリ剤を添加し、排水を攪拌してpH11以上に調整し、好ましくは、排水をpH11以上12以下に調整する。排水がpH7以下の場合、排水中に含有される亜鉛は、亜鉛イオンの態様となっていて排水中に溶解しており、亜鉛を排水中から除去できないが、排水がpH8以上の場合、亜鉛イオンが水酸化物として析出するため、析出物を分離することで亜鉛を排水中から除去できる。そして、排水がpH11以上の場合、第二攪拌槽12において添加される共沈剤は酸性であることが多いため、酸性の共沈剤を添加することで、共沈作用と排水をpH8以上に調整する効果を同時に得ることができる。
【0029】
<第二攪拌槽>
第二攪拌槽12において、第一攪拌槽11から送水される排水に、共沈剤と凝集剤を添加し、排水を攪拌してpH10以上pH12以下に調整し、好ましくは排水をpH10以上pH11.5以下に調整する。排水がpH12を超えると、排水中の亜鉛はテトラヒドロキソ亜鉛酸イオンの態様となって排水中に溶解する。そのため、酸性の共沈剤を用いて排水をpH12以下に調整することで、排水中の亜鉛を水酸化物として析出させることができる。
【0030】
(共沈剤槽)
共沈剤槽22は共沈剤を備える。共沈剤は、第二攪拌槽12へ適宜ポンプによって添加される。
【0031】
共沈剤としては、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、ポリ硫酸第二鉄、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸等の酸性の共沈剤が好ましく、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、ポリ硫酸第二鉄、又は硫酸アルミニウムがより好ましく、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、ポリ硫酸第二鉄がさらに好ましい。金属系の酸性の共沈剤は、共沈作用によって、排水中の重金属類を水酸化物として析出させやすくする。更に、鉄系の酸性の共沈剤であると、pH4以上pH11以下の広範囲の排水に使用でき、また、質量がアルミニウムに比べて比較的重いために、共沈作用によって析出する水酸化物を沈殿させやすくすることができる。
【0032】
(凝集剤)
凝集剤は、食品添加物を含有する中性の凝集剤であり、好ましくは、ゼオライト、パーライト、及びその他の食品添加物を含有する凝集剤であり、より好ましくは、ゼオライト、パーライト、水酸化カルシウム、アルギン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、二酸化ケイ素、及びその他の食品添加物からなる凝集剤であり、特殊凝集剤(SFP)である「スーパーフロックレーションパウダー」(商品名、内田水処理研究所製)を用いることが特に好ましい。これにより、排水のpHを、共沈剤と酸化剤の酸性度のみで調整でき、凝集剤を人体にも安全なものとすることができる。また、凝集剤を分子量が大きい食品添加物とすることで、より多くの析出物を凝集し嵩高く沈降性に優れる凝集物を生成することができる。
【0033】
<第三攪拌槽>
第三攪拌槽13において、第二攪拌槽12から送水される排水に、酸化剤を添加し、排水を攪拌してpH9以上pH11以下に調整し、好ましくは排水をpH9以上pH10以下に調整する。
(酸化剤槽)
酸化剤槽23は酸化剤を備える。酸化剤は、第三攪拌槽13へ適宜ポンプによって添加される。
【0034】
酸化剤としては、硫酸等の強酸の酸化剤であり、硫酸が好ましい。
【0035】
(高分子凝集剤)
第三攪拌槽13には、高分子凝集剤を添加してもよく、高分子凝集剤は、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸エステル、ポリメタアクリル酸エステル、キトサン、又はカルボキシメチルセルロースを含有することが好ましい。排水中に析出した亜鉛の水酸化物は、食品添加物を含有する中性の凝集剤によって嵩高く凝集し、沈殿しやすくなっているが、高分子凝集剤を添加することで、凝集物の体積をさらに増加させ、凝集物をより沈殿しやすくすることができる。
【0036】
ここで、近年の環境問題に対する意識の高まりから、公共下水道に排出される排水中の亜鉛については、水質汚濁防止法において、平成18年12月11日より、排水基準が5mg/Lから2mg/Lと厳しくなり、自治体によっては、1mg/Lとなっている。
【0037】
ただし、無機顔料製造業や金属鉱業や電気メッキ業の工場の排水は、亜鉛を高濃度で含有するため、一般的な排水基準である2mg/L以下に処理することが困難である。そのため、特定業種の工場から排水される亜鉛の排水基準は、暫定措置として、平成23年12月10日まで、5mg/Lとされていた。
【0038】
ところが、金属鉱業、電気メッキ業等の工場の排水については、排水が亜鉛を特に高濃度で含有するため排水中から亜鉛を排水基準以下に除去することが特に困難である。また、排水が亜鉛に加えアンモニアを高濃度で含有する場合には、数1に示すように、亜鉛を水酸化物として析出させるpH範囲が極端に縮小する。そのため、一般的な凝集法では、亜鉛とアンモニアが金属錯体([Zn(NH)]2+)を形成し、微細なSSを形成しやすく、排水中の亜鉛を排水基準以下に除去することが困難である。そのため、更なる暫定措置として、平成28年12月10日まで、亜鉛の排水基準は、なおも5mg/Lとされている。
【0039】
本発明の排水処理装置1では、第一攪拌槽11にアルカリ剤を添加し、第二攪拌槽12に共沈剤と食品添加物を含有する中性の凝集剤を添加し、第三攪拌槽13に酸化剤を添加する。そして、第一攪拌槽11において排水をpH11以上に調整し、第二攪拌槽12において排水をpH10以上pH12以下に調整し、第三攪拌槽13において排水をpH9以上pH11以下に調整する。これにより、アルカリ剤、共沈剤及び凝集剤のpHによって、各槽においてpHを調整することになる。そのため、金属鉱業や電気メッキ工業等の工場の排水が亜鉛やアンモニアを高濃度に含有していても、排水のpHを容易に調整ができ、アルカリ剤と酸化剤の使用量を低減させることができ、亜鉛を水酸化物として析出させて凝集剤によって沈降性の良い凝集物を得ることができ、排水中から亜鉛を効果的に除去することができる。
【0040】
<送水管>
排水処理装置1は、第一攪拌槽11から第二攪拌槽12へ、及び第二攪拌槽12から第三攪拌槽13へ排水を送水する送水管16を備える。排水の送水を、ポンプによらずに行うことで、より安価な排水処理装置1を提供することができる。また、送水管16によって、排水を断続的に、第一攪拌槽11から第二攪拌槽12へ送水し、そして、第二攪拌槽12から第三攪拌槽13へと送水するため、第二攪拌槽12又は第三攪拌槽13において排水のpHが急激に変化し、水酸化物の亜鉛が排水中に再溶解することを防ぐことができる。
【0041】
送水管16は、第三攪拌槽13から沈殿槽14へ、及び沈殿槽14から中和槽15へと設置することもでき、最終pH調整槽42から放流槽43へと設置することもできる。
【0042】
送水管16の送水口を、接続する槽同士において同一の高さに設置することができる。また、第一攪拌槽11に接続される送水口の高さを第二攪拌槽12に接続される送水口の高さより高くし、第二攪拌槽12に接続される送水口の高さを第三攪拌槽13に接続される送水口の高さより高くしてもよい。その場合、第二攪拌槽12から第一攪拌槽11への排水の逆流、第三攪拌槽13から第二攪拌槽12への排水の逆流を防止することができ、ポンプによらずに、排水のpHを各槽ごとにより容易に調整することができる。また、第一攪拌槽11の上部から第二攪拌槽12の中部へ送水管16の送水口を斜めに接続し、第二攪拌槽12の上部から第三攪拌槽13の中部へ送水管16の送水口を斜めに接続してもよい。その場合、各槽の中部へ排水が送水されるため、攪拌機17によって排水をより攪拌し、排水のpHを均一にすることができる。
【0043】
<攪拌機>
排水処理装置1は、第一攪拌槽11、第二攪拌槽12、及び第三攪拌槽13の各槽内の排水を攪拌する攪拌機17を備える。これにより、第一攪拌槽11、第二攪拌槽12、及び第三攪拌槽13の各槽内の排水のpHを均一に調整することができる。
【0044】
攪拌機17は、中和槽15、最終pH調整槽42の各槽に設けてもよい。
【0045】
<沈殿槽>
沈殿槽14において、第三攪拌槽13から送水される排水を静置する。排水中の凝集物を沈殿させ、亜鉛等の重金属類の水酸化物が除去されたうわ水を得ることができる。うわ水におけるSSは、5mg/L以下であることが好ましい。
【0046】
<中和槽>
中和槽15において、沈殿槽14から送水されるうわ水に、酸化剤を添加し、うわ水を攪拌して、うわ水をpH9以上10以下に調整する。これにより、ろ過装置30、特に精密ろ過装置33及び逆浸透膜ろ過装置34の腐食を抑止することができる。
【0047】
沈殿槽14から中和槽15への送水は、送水管16によって送水されてもよく、また、ポンプによって送水されてもよい。
【0048】
<ろ過装置>
ろ過装置30は、砂ろ過器31、活性炭ろ過器32、精密ろ過装置33及び逆浸透膜ろ過装置34を備える。
【0049】
(砂ろ過器)
砂ろ過器31は、62.5μm以上2mm以下の粒子の砂を用いる。砂ろ過器31を設けることによって、凝集過程において除去されなかった微細なSSを除去することができる。また、逆浸透膜ろ過装置34の前に砂ろ過器31を設置することで、膜孔径が小さく濾材が目詰まりしやすい逆浸透膜を保護することができる。
【0050】
(活性炭ろ過器)
活性炭ろ過器32は、表面に細孔を有する多孔質体である活性炭を用いる。活性炭ろ過器32を設けることで、うわ水に含有される油分や、凝集過程において除去されなかった重金属を除去することができる。また、逆浸透膜ろ過装置34の前に活性炭ろ過器32を設置することで、膜孔径が小さく濾材が目詰まりしやすい逆浸透膜を保護することができる。
【0051】
(精密ろ過装置)
精密ろ過装置33は、0.1μm以上10μm以下、好ましくは5μmの孔を有する膜を用いる。逆浸透膜ろ過装置34の前に設置することで、膜孔径が小さく濾材が目詰まりしやすい逆浸透膜を保護することができる。精密ろ過装置33は2つ以上設けてもよく、その場合、より逆浸透膜ろ過装置34にかかる負担を少なくすることができる。
【0052】
(逆浸透膜ろ過装置)
逆浸透膜ろ過装置34は、膜孔径が1nm以上2nm以下の細孔を有する膜を用いる。微細なウイルスも除去することができるため、飲料水の原水としても安全な逆浸透膜処理水をえることができる。
【0053】
また、逆浸透膜ろ過装置34は2つ以上設けてもよい。逆浸透膜ろ過装置34を1つのみで長時間運転すると、逆浸透膜への負担が大きくなり目詰まりしやすくなってしまうことから、例えば、2つの逆浸透膜ろ過装置34を交互に稼働させる等によって、逆浸透膜への負担を少なくすることができる。
【0054】
また、ろ別された濃縮水は、例えば、第一攪拌槽11に送水して再利用することができる。仮に、亜鉛濃度が70mg/Lである排水を、一日当たり100m処理する場合、排水中の亜鉛は、100m×0.07kg/m=7kgである。本発明の排水処理装置1によって、凝集反応後の中和槽15のうわ水において、亜鉛を80%除去したとすると、うわ水中の亜鉛は、1.4kgである。本発明の排水処理装置1によって、逆浸透膜ろ過装置34による処理後、逆浸透膜処理水を70%(最高で80%))得るとすると、濃縮水は30mであり、亜鉛を1.4kg含有していることになる。この濃縮水を翌日の100mの排水(亜鉛含有量7kg)に混合すると、130m(亜鉛含有量8.4kg)の排水中の亜鉛濃度は、8.4kg÷130m=0.0645kg/m=64.5mg/Lである。そのため、逆浸透膜ろ過装置34による処理後の濃縮水を第一攪拌槽11に送水することで、排水中の亜鉛濃度を低減させて排水処理を行うことができる。なお、亜鉛以外の金属やBOD・CODについても同様に各濃度を低減させて排水処理を行うことができる。また、逆浸透膜ろ過装置34を2つ以上設けた場合、亜鉛等の金属やBOD・CODの濃度がより低減された濃縮水を得ることができ、排水中の各物質等の濃度をより低減させて排水処理を行うことができ、放流水量も減量することができる。
【0055】
<濃縮水貯水槽>
濃縮水貯水槽41において、逆浸透膜ろ過装置34によってろ別された濃縮水を貯水する。貯水された濃縮水は、例えば第一攪拌槽11に送水する。これにより、第一攪拌槽11内の排水中の水の割合を増加させることで、排水のpHを中性にしやすくし、アルカリ剤の使用を低減させることができる。
【0056】
<最終pH調整槽>
最終pH調整槽42において、逆浸透膜ろ過装置34によって処理された逆浸透膜処理水を放流する前に、逆浸透膜処理水をpH7以上pH8以下に調整する。これによって、放流前にろ過水の最終のpHを調整することができる。pHの調整には、アルカリ剤又は酸化剤を用いることができる。
【0057】
<放流槽>
放流槽43において、最終pH調整槽42によってpH調整された逆浸透膜処理水を貯水する。
【0058】
[排水処理方法]
本発明の排水処理装置1によれば、以下の各工程によって、逆浸透膜処理水を得ることができる。
【0059】
<原水処理工程>
原水処理工程では、原水槽10において、排水にアルカリ剤を添加し、排水を攪拌してpH6以上pH8以下に調整する。
【0060】
アルカリ剤としては、強塩基のアルカリ剤であればよく、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム等の強塩基が好ましく、水酸化ナトリウムであることがより好ましい。
【0061】
<第一工程>
第一工程では、第一攪拌槽11において、原水槽10から送水される排水にアルカリ剤を添加し、排水を攪拌してpH11以上に調整し、好ましくは、排水をpH11以上pH12以下に調整する。
【0062】
(第二工程)
第二工程では、第二攪拌槽12において、第一攪拌槽11から送水される排水に共沈剤と食品添加物を含有する中性の凝集剤を添加し、排水を攪拌してpH10以上pH12以下に調整し、好ましくは排水をpH10以上pH11.5以下に調整する。
【0063】
共沈剤としては、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、ポリ硫酸第二鉄、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸、又はその他の酸性の酸化剤でよく、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、ポリ硫酸第二鉄、又は硫酸アルミニウムが好ましく、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、ポリ硫酸第二鉄がより好ましい。
【0064】
凝集剤は、食品添加物を含有する中性の凝集剤であり、好ましくは、ゼオライト、パーライト、及びその他の食品添加物を含有する凝集剤であり、より好ましくは、ゼオライト、パーライト、水酸化カルシウム、アルギン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、二酸化ケイ素、及びその他の食品添加物からなる凝集剤である。
【0065】
(第三工程)
第三工程では、第三攪拌槽13において、第二攪拌槽12から送水される排水に、酸化剤を添加し、排水を攪拌してpH9以上pH11以下に調整し、好ましくは排水をpH9以上pH10以下に調整する。
【0066】
酸化剤としては、硫酸、その他の強酸性の酸化剤でよく、硫酸が好ましい。
【0067】
第三攪拌槽13に、高分子凝集剤を添加する工程があってもよく、高分子凝集剤は、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸エステル、ポリメタアクリル酸エステル、キトサン、及びカルボキシメチルセルロースが好ましい。
【0068】
(第四工程)
第四工程では、沈殿槽14において、第三攪拌槽13から送水される排水を静置する。
【0069】
(第五工程)
第五工程では、中和槽15において、沈殿槽14から送水されるうわ水に、酸化剤を添加し、うわ水をpH9以上pH10以下に調整する。
【0070】
(第六工程)
第六工程では、ろ過装置30において、中和槽15から送水されるうわ水をろ別する。ろ過装置30は、砂ろ過器31、活性炭ろ過器32、精密ろ過装置33、及び逆浸透膜ろ過装置34である。逆浸透膜ろ過装置34を2つ以上設けてもよい。
【実施例】
【0071】
以下の実施例により本発明を更に具体的に説明する。なお、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
【0072】
<実施例1>
本発明の排水処理装置を用いて、以下のように排水処理を行った。
[A1]12mの原水槽に、メッキ工場の亜鉛メッキ排水を断続的に送水した。排水に水酸化ナトリウムを添加して、排水を攪拌してpH6以上pH8以下に調整した。
[A2]原水槽の排水を、ポンプによって、1mの第一攪拌槽に送水し、水酸化ナトリウムを添加し、排水を攪拌機で攪拌してpH11以上12以下に調整した。
[A3]第一攪拌槽の排水を、送水管を経由して、1mの第二攪拌槽に断続的に送水し、第一硫酸鉄と、特殊凝集剤(SFP)として、「スーパーフロックレーションパウダー」(商品名、内田水処理研究所製)を添加し、排水を攪拌機で攪拌してpH10以上pH11.5以下に調整した。
[A4]第二攪拌槽の排水を、送水管を経由して、1mの第三攪拌槽に断続的に送水し、硫酸を添加し、排水を攪拌機で攪拌してpH9以上9.5以下に調整した。また、第三攪拌槽には、高分子凝集剤(商品名:SR−EZ1,株式会社スイレイ製)を用いた。
[A5]第三攪拌槽の排水を、ポンプによって、5mの沈殿槽に送水し、排水を静置して排水中の凝集物を沈降させた。
[A6]沈殿槽のうわ水を、送水管を経由して、1mの中和槽に断続的に送水し、硫酸を添加して、うわ水をpH9以上pH10以下に調整した。
[B1]中和槽のうわ水を、砂ろ過器、活性炭ろ過器、5μmの精密ろ過装置、1台目の8インチの逆浸透膜ろ過装置(商品名:EPA2−MAX,日東電工株式会社)、及び2台目の4インチの逆浸透膜ろ過装置(商品名:EPPA2−4040,日東電工株式会社)に順次送水し、ろ過した。
[B2]1台目と2台目の逆浸透膜ろ過装置によってろ別された濃縮水は、第一攪拌槽に送水した。
[C1]2台目の逆浸透膜ろ過装置によって処理された逆浸透膜処理水を、1mの最終pH調整槽に送水し、水酸化ナトリウム又は硫酸を添加して、逆浸透膜処理水をpH7以上pH8以下に調整した。
[C2]最終pH調整槽の逆浸透膜処理水を、送水管を経由して、放流槽に送水し、貯水後、放流した。
【0073】
表3は、本発明の排水処理装置による処理前の排水と処理後の放流槽における処理水についての分析結果(計量証明事業愛知県事業登録を受けた株式会社愛研による分析結果)である。
【0074】
【表3】
【0075】
本発明の排水処理装置及び当該排水処理装置を用いた排水処理方法による処理前においては、排水は亜鉛濃度が8.6mg/Lであり、高濃度の亜鉛を含有していたが、処理後においては、処理水は亜鉛濃度が0.02mg/Lという極めて低濃度の亜鉛を含有するにとどまった。水質汚濁防止法では、暫定措置によって、電気メッキ業等の工場における排水中の亜鉛濃度につき、排水基準を依然として5mg/Lとしているところ、本発明の排水処理装置及び当該排水処理装置を用いた排水処理方法によれば、亜鉛を高濃度で含有する排水を、亜鉛が極めて低濃度な水に処理することができる。
【0076】
また、処理前においては、排水はBODが83mg/Lであり、COD(Mn)が150mg/Lであったが、処理後においては、処理水はBODが1.9mg/Lであり、COD(Mn)が2.4mg/Lであった。逆浸透膜ろ過装置を含むろ過装置によって排水がろ過されることにより、飲料水の原水として優れた水に処理することができた。
【符号の説明】
【0077】
1 排水処理装置
10 原水槽
11 第一攪拌槽
12 第二攪拌槽
13 第三攪拌槽
14 沈殿槽
15 中和槽
16 送水管
17 攪拌機
21 アルカリ剤槽
22 共沈剤槽
23 酸化剤槽
30 ろ過装置
31 砂ろ過器
32 活性炭ろ過器
33 精密ろ過装置
34 逆浸透膜ろ過装置
41 濃縮水貯水槽
42 最終pH調整槽
43 放流槽
図1