【実施例】
【0092】
全般的な考察
空気及び水分の影響を受けやすい全ての操作は、標準的なシュレンク技術を用いて、又は精製窒素雰囲気を含んでいるMBraun社の不活性雰囲気ドライボックスを用いて行った。空気及び水分の影響を受けやすい操作のための溶媒は、溶媒用のシステムカラムを通過させることによって乾燥及び脱酸素し、ドライボックス中に4Åのモレキュラーシーブと共に格納した。ベンゼン-d
6はCambridge IsotopeLaboratoriesから購入し、ナトリウムで乾燥し、ドライボックス中に4Åのモレキュラーシーブと共に格納した。錯体(
MesPDI)CoMe及び(
CyAPDI)CoMeは、Humphries, M. J.;Tellmann, K. P.;Gibson, V. C.;White, A. J. P.;Williams, D. J. Organometallics2005, 24, 2039-2050に記載の手順に従って調製した。Py
2Co(CH
2TMS)
2は、Zhu, D.;Janssen, F. F. B.J.;Budzelaar,P. H. M. Organometallics 2010, 29, 1897に記載の手順に従って調製した。
【0093】
基質はLiAlH
4又はCaH
2で乾燥し、使用前に高真空で脱ガスした。NMRスペクトルは、Varian社製INOVA-500又はBruker社製-500MHz分光計を用いて取得した。
1H NMRスペクトルの化学シフト(δ)は1000000分の1(ppm)単位で与えられ、ベンゼン-d
6の残留溶媒(7.16ppm)を参照とした。
【0094】
GC分析は、Shimadzu AOC-20sオートサンプラーとShimadzu SHRXI-5MSキャピラリーカラム(15m×250μm)を備えた、島津製作所製のShimadzuGC-2010ガスクロマトグラフを用いて行った。この装置は、注入量を1μL、注入口スプリット比を20:1、並びに注入口及び検出器温度をそれぞれ250℃及び275℃に設定した。UHPグレードのヘリウムをキャリアガスとして、1.82mL/分の流量で用いた。全ての分析について用いた温度プログラムは次の通りである:60℃、1分;15℃/分で250℃へ、2分。
【0095】
以下の文における触媒充填量は、コバルト錯体のモル%(mol
Co錯体/mol
オレフィン×100)で報告されている。
【0096】
実施例1:アロキシジフェニルシランの合成
【化26】
アロキシジフェニルシランの合成は、Bergens, S. H.;Noheda, P.;Whelan, J.;Bosnich, B. J. Am. Chem. Soc. 1992, 114, 2121-2128記載の修正された文献手順に従い、空気中で行った。Et
2O(250mL)中のアリルアルコール(2.9g, 50mmol)とトリエチルアミン(5.1g, 50mmol)の溶液をアイスバスで冷却した。迅速に撹拌しながら、この溶液にクロロジフェニルシラン(11g, 50mmol)を滴下して処理した。大量のふわふわした白色の沈殿物(Et
3NHCl)が直ちに観察された。この混合物を室温まで加温し、1時間にわたって撹拌した。得られた溶液をCelite(セライト)で濾過し、Et
2Oで洗浄した。濾液を濃縮すると無色の油が生じ、これを蒸留すると(84-85℃, 65mmTorr)所望の生成物が無色の油として、80%の収率で得られた。
1H NMR(400MHz, ベンゼン-d
6)δ 7.74-7.62(m, 4H), 7.27-7.06(m, 6H), 5.81(ddt, J=17.1, 10.6, 4.6Hz,1H), 5.69(s, 1H), 5.31(dq, J=17.1, 1.8Hz, 1H), 5.00(dq, J=10.6, 1.8Hz, 1H),4.16(dt, J=4.6, 1.8Hz, 2H)。
13C NMR(126MHz, C
6D6)δ 136.73, 135.11, 134.31, 130.66, 128.39, 128.25, 128.06, 127.87,114.77, 65.60。
【0097】
実施例2:アロキシジメチルシランの合成
【化27】
アロキシジメチルシラン、アロキシジフェニルシランと同様の方法で合成した。Et
2O(250mL)中のアリルアルコール(2.9g, 50mmol)とトリエチルアミン(5.1g, 50mmol)の溶液をアイスバスで冷却した。迅速に撹拌しながら、この溶液にクロロジメチルシランを(4.7g, 50mmol)を滴下添加した。大量のふわふわした白色の沈殿物(Et
3NHCl)が直ちに観察された。この混合物を室温まで加温し、1時間にわたって撹拌した。得られた溶液をCelite(セライト)で濾過し、Et
2Oで洗浄した。濾液を濃縮すると無色の油が生じ、これを分別蒸留すると(79-83℃)生成物が無色の油として、50%の収率で得られた。
1H NMR(400MHz, クロロホルム-d)δ 5.93(ddt, J=17.2, 10.1, 5.0Hz, 1H),5.26(dq, J=17.2, 1.8Hz, 1H), 5.12(dq, J=10.4, 1.6Hz, 1H), 4.68-4.55(m, 1H),4.18(dt, J=5.0, 1.7Hz, 2H), 0.23(s, 3H), 0.23(s, 3H)。
【0098】
実施例3:(MesPDI)Co(Ph2SiOC3H5)の合成
【化28】
グローブボックス中で、1mLのEt
2O中の(
MesPDI)CoMeの紫色の溶液(47mg, 0.1mmol)と、アロキシジフェニルシラン(24mg, 0.1mmol)のEt
2O(1mL)溶液を混合し、0.5時間撹拌した。栗色の溶液が観察された。この溶液を(セライト)で濾過し、真空下に濃縮した。得られた溶液をペンタンと積層して−35℃で2日間貯蔵し、栗色の結晶を生成した。
1H NMR(400MHz, ベンゼン-d
6)δ 7.77(d, J=7.6Hz, 1H), 7.70(d, J=7.6, 1H), 7.31(t, J=7.6Hz, 1H),7.10-6.94(m, 8H), 6.88-6.82(m, 2H), 6.73-6.64(m, 2H), 6.62(s, 1H), 6.57(s, 1H),5.24(dd, J=9.9, 5.4Hz, 1H), 4.78(br, 1H), 3.49(t, J=10.4Hz, 1H), 3.16(d,J=8.7Hz, 1H), 2.72(d, J=12.5Hz, 1H), 2.05(s, 3H), 2.01(s, 3H), 1.87(s, 3H),1.76(s, 3H), 1.65(s, 3H), 1.44(s, 3H), 1.42(s, 3H), 1.02(s, 3H)。
13C NMR(126MHz, ベンゼン-d
6)δ 154.33, 150.22, 149.42, 148.74, 147.28,146.88, 144.56, 140.38, 137.90, 134.80, 134.69, 134.49, 133.16, 133.01, 132.25,129.94, 129.87, 129.54, 129.33, 129.12, 129.07, 128.84, 128.57, 127.63, 127.58,127.50, 126.34, 125.70, 122.72, 121.14, 115.77, 75.83, 71.26, 61.22, 20.81,20.76, 20.55, 18.69, 18.04, 17.12, 15.60, 15.26。
【0099】
実施例4:(MeAPDI)Co(Ph2SiOC3H5)の合成
【化29】
グローブボックス中で、トルエン中の(
MeAPDI)Co(CH
2TMS)
2(42mg, 0.1mmol)の茶色の溶液に、アロキシジフェニルシラン(24mg, 0.1mmol)を添加した。この反応混合物を8時間撹拌し、紫色の溶液が観察された。この溶液をCelite(セライト)で濾過し、真空下に濃縮した。得られた溶液をペンタンと積層して−35℃で2日間貯蔵し、所望の生成物が紫色の結晶として得られた。
1H NMR(500MHz, ベンゼン-d
6)δ 7.58(d, J=7.6Hz, 1H), 7.49(dd, J=7.6Hz, 1H), 7.19-6.94(m, 7H),6.87(t, J=7.6Hz, 2H), 6.56-6.50(m, 2H), 5.43-5.36(m, 1H), 4.32-4.22(m, 2H),3.35-3.29(m, 1H), 2.89−2.91(m, 1H), 2.39(s, 3H), 1.83(s, 3H), 1.62(s, 3H), 1.40(s, 3H)。
13C NMR(126MHz, C
6D
6)δ 152.63,149.63, 145.92, 145.80, 144.01, 138.30, 132.15, 131.93, 128.35, 128.15, 127.97,127.37, 127.23, 127.21, 126.83, 121.17, 119.50, 114.13, 70.81, 69.00, 47.09,39.65, 35.26, 22.76, 14.56, 13.42。
【0100】
実施例5:(MesPDI)Co(Me2SiOC3H5)の合成
【化30】
グローブボックス中で、トルエン(1mL)中の(
MesPDI)CoMe(47mg, 0.1mmol)の紫色の溶液にアロキシジメチルシラン(16mg, 0.12mmol)を添加し、2時間撹拌して赤色の溶液を得た。この溶液をCelite(セライト)で濾過し、真空下に濃縮した。得られた溶液をペンタンと積層して−35℃で1日間貯蔵し、所望の生成物が赤色の結晶として得られた。
1H NMR(300MHz, ベンゼン-d
6)δ 7.71(dd, J=7.6, 1.1Hz, 1H), 7.65(dd, J=7.7, 1.1Hz, 1H), 7.06(t, J=7.7Hz,1H), 6.76(s, 1H), 6.70−6.65(m, 3H), 5.05(dd, J=9.8, 5.6Hz, 1H), 4.90−4.75(m, 1H),3.30(t, J=10.4Hz, 1H), 3.15(d, J=8.6Hz, 1H), 2.65(d, J=12.3Hz, 1H), 2.14(s,3H), 2.07(s, 6H), 2.05(s, 3H), 1.91(s, 6H), 1.68(s, 3H), 1.46(s, 3H), 1.28(s,3H), -0.18(s, 3H), -0.45(s, 3H)。
13C NMR(126MHz, ベンゼン-d
6)δ 152.01, 147.97, 147.69, 147.49, 144.98, 144.56, 134.64, 134.53,133.64, 132.68, 129.71, 129.62, 129.60, 129.45, 129.41, 129.01, 128.66, 128.35,128.16, 127.97, 121.19, 120.85, 114.52, 76.52, 71.16, 59.70, 20.83, 20.81,20.38, 19.91, 19.12, 18.31, 15.45, 15.44, 3.41, 1.93。
【0101】
実施例6:(MeAPDI)Co(Me2SiOC3H5)の合成
【化31】
この化合物は、(
MesPDI)Co(Me
2SiOC
3H
5)(実施例5)に類似の方法で調製された。グローブボックス中で、ペンタン(1mL)中の(
MeAPDI)Co(CH
2TMS)
2(42mg, 0.1mmol)の茶色の溶液及びEt
2O(5滴)に対し、アロキシジメチルシラン(16mg, 0.12mmol)を添加し、6時間撹拌した。紫色の溶液と固形物の沈殿が観察された。固形物は濾過によって分離し、トルエン中に溶解しCelite(セライト)を通過させることによって精製した。得られた溶液をペンタンと積層して−35℃で1日間貯蔵し、所望の生成物が紫色の結晶として得られた。
1H NMR(500MHz, ベンゼン-d
6)
1H NMR(300MHz, ベンゼン-d
6)δ 7.63(dd, J=7.6, 1.1Hz, 1H), 7.51(dd, J=7.7,1.2Hz, 1H), 6.99(t, J=7.6Hz, 1H), 5.17(dd, J=10.0, 6.4Hz, 1H), 4.40-4.12(m,1H), 4.04(t, J=10.2Hz, 1H), 3.43(dd, J=9.3, 1.3Hz, 1H), 2.99(dd, J=12.3, 1.3Hz,1H), 2.60(s, 3H), 2.24(s, 3H), 2.05(s, 3H), 1.87(s, 3H), -0.01(s, 3H), -0.93(s,3H)。
13C NMR(126MHz, ベンゼン-d
6)δ 151.02, 148.49, 145.32, 142.84, 120.04, 119.50, 113.29, 70.99,68.12, 48.17, 40.03, 35.68, 14.30, 14.20, 3.80, -1.94。
【0102】
実施例7:(MeAPDI)CoCH---2TMSの合成
【化32】
(
MeAPDI)Co(CH
2TMS)
2(50mg, 0.12mmol)の茶色の固体をTHF(5mL)に溶解した。この溶液を窒素雰囲気下に24時間、室温で放置した。(
MeAPDI)Co(CH
2TMS)が形成されると、溶液の色は紫色に変化した。THF溶媒を0.5mLまで減らし、1mLのペンタンと積層した。この溶液を−35℃で結晶化させると、紫色の固形分が80%の収率で得られた。
1H NMR(300MHz, ベンゼン-d
6)δ 9.85(t, J=7.7Hz, 1H), 7.24(d, J=7.7Hz, 2H), 4.00(s, 6H), 1.23(s, 2H),-0.10(s, 9H), -0.55(s, 6H)。
【0103】
実施例8:(MeAPDI)Co(Me2SiOC3H5)の合成
【化33】
グローブボックス中で、ペンタン(2mL)中の(
MeAPDI)Co(CH
2TMS)(200mg, 0.60mmol)の紫色の溶液にアロキシジメチルシラン(76mg, 0.66mmol, 1.1当量)を添加し、2時間撹拌した。固形分の沈殿が観察された。この固形分を濾過して、92%の収率で分離した。
1H NMR分光法によればこの固形分はクリーンであり、触媒作用に適している。不純物が観察された場合は、この固形分をトルエン及びペンタン中で−35℃において再結晶化することによって精製可能である。
1H NMR(500MHz, ベンゼン-d
6)
1H NMR(300MHz, ベンゼン-d
6)δ 7.63(dd, J=7.6, 1.1Hz, 1H), 7.51(dd, J=7.7,1.2Hz, 1H), 6.99(t, J=7.6Hz, 1H), 5.17(dd, J=10.0, 6.4Hz, 1H), 4.40-4.12(m,1H), 4.04(t, J=10.2Hz, 1H), 3.43(dd, J=9.3, 1.3Hz, 1H), 2.99(dd, J=12.3, 1.3Hz,1H), 2.60(s, 3H), 2.24(s, 3H), 2.05(s, 3H), 1.87(s, 3H), -0.01(s, 3H), -0.93(s,3H)。
13C NMR(126MHz, ベンゼン-d
6)δ 151.02, 148.49, 145.32, 142.84, 120.04, 119.50, 113.29, 70.99,68.12, 48.17, 40.03, 35.68, 14.30, 14.20, 3.80, -1.94。
【0104】
実施例9:HSi(OEt)3での1−オクテンのヒドロシリル化のための触媒の選別
グローブボックス中で、1−オクテン(112mg,1mmol)とトリエトキシシラン(164mg,1mmol)を、撹拌棒を備えたバイアル中に秤量した。固形のCo触媒(2−3mg, 0.5mol%)を別のバイアル中に秤量し、次いで基質中に添加した。バイアルをキャップでシールし、撹拌した。1時間後、空気に曝露することによって反応を急冷した。生成混合物をシリカゲルを介して濾過し、ヘキサンで溶出させた。この生成混合物は、シリカゲルのプラグ(Fluka(登録商標)高純度グレード、孔径60、粒径230−400メッシュ、粒径40−63μm、フラッシュクロマトグラフィー用)を通して濾過し、ヘキサンで溶出させた。粗反応混合物はGCによって分析した。次いで粗反応混合物から揮発性物質を除去し、得られた混合物を
1H及び
13C NMR分光法によって分析した。
【化34】
【0105】
実施例10:(MesPDI)Co(Ph2SiOC3H5)を用いたグローブボックス中でのHSi(OEt)3による1−オクテンの脱水素シリル化
【化35】
グローブボックス中で、1−オクテン(112mg,1mmol)とトリエトキシシラン(82mg, 0.5mmol)を、撹拌棒を備えたバイアル中に秤量した。(
MesPDI)Co(Ph
2SiOC
3H
5)(2mg, 0.5mol%)の紫色の固体を別のバイアル中に秤量し、次いで基質と合わせた。バイアルをキャップ及び絶縁テープでシールし、ボックスから取り出し、オイルバス中50℃で撹拌した。12時間後、空気に曝露することによって反応を急冷した。反応混合物は直接GCに注入した。基質は定量的にアリルシラン及びオクタンへと変換されていた(転化率>98%出発オレフィン)。残存物はシリカゲルを通して濾過し、ヘキサンで溶出させた。得られた溶液は真空下に乾燥し、
1H及び
13C NMR分光法によって分析してGCの結果を確認した。
【0106】
実施例11:(MesPDI)Co(Me2SiOC3H5)を用いたグローブボックス中でのHSi(OEt)3による1−オクテンの脱水素シリル化
【化36】
グローブボックス中で、1−オクテン(112mg,1mmol)とトリエトキシシラン(82mg, 0.5mmol)を、撹拌棒を備えたバイアル中に秤量した。紫色の(
MesPDI)Co(Me
2SiOC
3H
5)(2mg, 0.5mol%)を別のバイアル中に秤量し、次いで基質と合わせた。バイアルをキャップ及び絶縁テープでシールし、ボックスから取り出し、オイルバス中50℃で撹拌した。2時間後、空気に曝露することによって反応を急冷した。反応混合物は直接GCに注入した。基質は完全にアリルシラン及びオクタンへと変換されていた(転化率>98%出発オレフィン)。残存物はシリカゲルを通して濾過し、ヘキサンで溶出させた。得られた溶液は真空下に乾燥し、
1H及び
13C NMR分光法によって分析してGCの結果を確認した。
【0107】
実施例12:(MeAPDI)Co(Ph2SiOC3H5)を用いたグローブボックス中でのHSi(OEt)3による1−オクテンのヒドロシリル化
【化37】
グローブボックス中で、1−オクテン(112mg,1mmol)とトリエトキシシラン(164mg,1mmol)を、撹拌棒を備えたバイアル中に秤量した。紫色の(
MeAPDI)Co(Ph
2SiOC
3H
5)(2mg, 0.5mol%)を別のバイアル中に秤量し、次いで基質と合わせた。この混合物を室温で1時間にわたって撹拌した。反応は空気に曝露することによって急冷した。反応混合物は直接GCに注入した。残存物はシリカゲルを通して濾過し、ヘキサンで溶出させた。得られた溶液は真空下に乾燥し、
1H及び
13C NMR分光法によって分析してGCの結果を確認した。
【0108】
実施例13:(MeAPDI)Co(Me2SiOC3H5)を用いたグローブボックス中でのHSi(OEt)3による1−オクテンのヒドロシリル化
【化38】
グローブボックス中で、1−オクテン(112mg,1mmol)とトリエトキシシラン(164mg,1mmol)を、撹拌棒を備えたバイアル中に秤量した。紫色の(
MeAPDI)Co(Me
2SiOC
3H
5)(2mg, 0.5mol%)を別のバイアル中に秤量し、次いで基質と合わせた。この混合物を室温で1時間にわたって撹拌した。反応は空気に曝露することによって急冷した。反応混合物は直接GCに注入した。残存物はシリカゲルを通して濾過し、ヘキサンで溶出させた。得られた溶液は真空下に乾燥し、
1H及び
13C NMR分光法によって分析してGCの結果を確認した。
【0109】
実施例14:(MesPDI)Co(Ph2SiOC3H5)をアルゴン下で用いたHSi(OEt)3での1−オクテンのベンチトップ脱水素シリル化
【化39】
撹拌棒を備えた50mLのシュレンクフラスコに、1−オクテン(224mg,2mmol)とトリエトキシシラン(164mg,1mmol)をグローブボックス中で入れた。このフラスコをガラスストッパーで封し、ボックスから取り出した。紫色の(
MesPDI)Co(Ph
2SiOC
3H
5)(2mg, 0.5mol%)をバイアル中に秤量し、ボックスから取り出して10分間空気に曝露した。アルゴン流下に、この固体触媒をシュレンクフラスコに添加した。フラスコをガラスストッパーで封し、オイルバス中50℃で加熱した。12時間後、反応は空気に曝露することによって急冷した。反応混合物はGCによって分析し、完全な変換と>95%のアリルシランが示された。残存物はシリカゲルを通して濾過し、ヘキサンで溶出させた。得られた溶液は真空下に乾燥し、
1H及び
13C NMR分光法によって分析した。
【0110】
実施例15:(MeAPDI)Co(Ph2SiOC3H5)をアルゴン下で用いたHSi(OEt)3での1−オクテンのベンチトップヒドロシリル化
【化40】
撹拌棒を備えた50mLのシュレンクフラスコに、1−オクテン(112mg,1mmol)とトリエトキシシラン(164mg,1mmol)をグローブボックス中で入れた。このフラスコをガラスストッパーで封し、ボックスから取り出した。紫色の(
MeAPDI)Co(Ph
2SiOC
3H
5)(2mg, 0.5mol%)をバイアル中に秤量し、ボックスから取り出して10分間空気に曝露した。アルゴン流下に、この固体触媒をシュレンクフラスコに添加した。フラスコをガラスストッパーで封し、1時間撹拌した。反応は空気に曝露することによって急冷した。反応混合物はGC及び
1H NMR分光法によって分析し、逆マルコフニコフヒドロシリル化生成物の収率が>98%であることが示された。
【0111】
実施例16:(MeAPDI)Co(Me2SiOC3H5)をアルゴン下で用いたHSi(OEt)3での1−オクテンのベンチトップヒドロシリル化
【化41】
撹拌棒を備えた50mLのシュレンクフラスコに、1−オクテン(112mg,1mmol)とトリエトキシシラン(164mg,1mmol)をグローブボックス中で入れた。このフラスコをガラスストッパーで封し、ボックスから取り出した。紫色の(
MeAPDI)Co(Me
2SiOC
3H
5)(2mg, 0.5mol%)をバイアル中に秤量し、ボックスから取り出して10分間空気に曝露した。アルゴン流下に、この固体触媒をシュレンクフラスコに添加した。フラスコをガラスストッパーで封し、1時間撹拌した。反応は空気に曝露することによって急冷した。反応混合物はGC及び
1H NMR分光法によって分析し、収率が>98%の逆マルコフニコフヒドロシリル化生成物と痕跡量の脱水素シリル化生成物が示された。
【0112】
実施例17:(MeAPDI)Co(Ph2SiOC3H5)をアルゴン下で用いたベンチトップでのシロキサン架橋
【化42】
SL6100及びSL6020を空気中で保存し、さらに精製することなしに使用した。撹拌棒を備えた50mLのシュレンクフラスコに、SL6100(1g)及びSL6020 D1(44mg)を空気中で入れた。この混合物に、トルエンを1滴添加した。フラスコをアルゴンで1分間パージした。(
MeAPDI)Co(Ph
2SiOC
3H
5)(2mg, 0.5mol%)をバイアル中に秤量し、ボックスから取り出し、5分間空気に曝露した。空気曝露した固体触媒は、アルゴン流下にシュレンクフラスコに添加した。このフラスコをガラスストッパーで封した。1時間にわたって、ゲルの生成が観察された。
【0113】
実施例18:MeAPDICo(Me2SiOアリル)を用いたMDHMでのMViMViのシリル化
窒素を充填したドライボックス中で、シンチレーションバイアルに0.090g(0.483mmol)のM
ViM
Viと約0.002g(0.005mmol)の
MeAPDICo(Me
2SiOアリル)(1mol%)を入れた。この混合物中に次いでMD
HM(0.215g, 0.966mmol)を添加し、室温で1時間撹拌して反応を行った。その後、混合物を空気に曝露することによって急冷した。生成混合物はシリカゲルを通じて濾過し、ヘキサンで溶出させた。粗生成混合物はGCによって分析した。次いで粗混合生成物から揮発性物質を除去し、得られた混合物を
1H及び
13C NMR分光法によって分析した。
1H NMRスペクトルの〜0.5ppm領域における多重項(逆マルコフニコフ生成物を示す)及び〜1.0ppm領域における2重項(マルコフニコフ生成物)は、生成物の比を判定するための診断用信号である。
【化43】
【0114】
実施例19:MeAPDICo(Me2SiOアリル)を用いたMDHMでのビニルトリメチルシランのシリル化
窒素を充填したドライボックス中で、シンチレーションバイアルに0.090g(0.898mmol)のビニルトリメチルシランと約0.002g(0.005mmol)の
MeAPDICo(Me
2SiOアリル)(1mol%)を入れた。この混合物中に次いでMD
HM(0.200g, 0.898mmol)を添加し、室温で1時間撹拌して反応を行い、その後、混合物を空気に曝露することによって急冷した。生成混合物はシリカゲルを通じて濾過し、ヘキサンで溶出させた。粗生成混合物はGCによって分析した。次いで粗混合生成物から揮発性物質を除去し、得られた混合物を
1H及び
13C NMR分光法によって分析した。
1H NMRスペクトルの〜0.5ppm領域における多重項(逆マルコフニコフ生成物を示す)及び〜1.0ppm領域における2重項(マルコフニコフ生成物)は、生成物の比を判定するための診断用信号である。
【化44】
【0115】
実施例20:MeAPDICo(Me2SiOアリル)を用いたペンタメチルジシロキサンでの1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-ビニルトリシロキサンのシリル化
窒素を充填したドライボックス中で、シンチレーションバイアルに0.221g(0.891mmol)の1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-ビニルトリシロキサンと約0.003g(0.009mmol)の
MeAPDICo(Me
2SiOアリル)(1mol%)を入れた。この混合物中に次いでペンタメチルジシロキサン(0.132g, 0.891mmol)を添加し、室温で1時間撹拌して反応を行い、その後、混合物を空気に曝露することによって急冷した。生成混合物はシリカゲルを通じて濾過し、ヘキサンで溶出させた。粗生成混合物はGCによって分析した。次いで粗混合生成物から揮発性物質を除去し、得られた混合物を
1H及び
13C NMR分光法によって分析した。
1H NMRスペクトルの〜0.5ppm領域における多重項(逆マルコフニコフ生成物を示す)及び〜1.0ppm領域における2重項(マルコフニコフ生成物)は、生成物の比を判定するための診断用信号である。
【化45】
【0116】
以上の記述には多くの具体例を含んでいるが、それらの具体例は本発明の範囲に対する限定としてではなく、単に本発明の好ましい実施形態の例証として解釈されるべきである。当業者は、ここに付属の請求の範囲に定義された発明の思想及び範囲内に含まれる、他の多くの可能な変形を想起するであろう。