特許第6486947号(P6486947)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6486947
(24)【登録日】2019年3月1日
(45)【発行日】2019年3月20日
(54)【発明の名称】膝手術で使用するためのシステム
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/38 20060101AFI20190311BHJP
【FI】
   A61F2/38
【請求項の数】22
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2016-545335(P2016-545335)
(86)(22)【出願日】2015年1月8日
(65)【公表番号】特表2017-501837(P2017-501837A)
(43)【公表日】2017年1月19日
(86)【国際出願番号】US2015010573
(87)【国際公開番号】WO2015105941
(87)【国際公開日】20150716
【審査請求日】2018年1月4日
(31)【優先権主張番号】1400287.7
(32)【優先日】2014年1月8日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】516312682
【氏名又は名称】デピュイ・アイルランド・アンリミテッド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】DEPUY IRELAND UNLIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ウルフソン・デビッド
(72)【発明者】
【氏名】ロック・マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ライト・アブラハム
(72)【発明者】
【氏名】ランプル・ダニー
【審査官】 安田 昌司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−075888(JP,A)
【文献】 特表2012−504470(JP,A)
【文献】 特開2004−166802(JP,A)
【文献】 特開2013−013728(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0233266(US,A1)
【文献】 特表2013−537453(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/38
A61B 17/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の膝に対する外科手技において使用するためのシステムであって、
a.脛骨支持表面と関節をなすための支持表面と、反対側の骨対向表面とを有する人工膝関節の大腿骨コンポーネントであって、前記骨対向表面は、
i.前記大腿骨とその前方側で係合するための前方部分と、
ii.前記大腿骨とその後方側で係合するための後方部分と、
iii.前記大腿骨の遠位端面と係合するための遠位部分と、
iv.前記前方部分及び前記遠位部分の各々に対して傾斜する、前記前方部分と前記遠位部分との間に位置する前方面取り部分と、
v.前記後方部分及び前記遠位部分の各々に対して傾斜する、前記後方部分と前記遠位部分との間に位置する後方面取り部分とを有し、
前記骨対向表面の前記遠位部分、前方部分、及び後方部分の各々は、その縁部のいずれにもレールを有さず、したがって、各々は平面的であり、また平面的である隣接する骨表面と緊密な表面間接触を形成し得ることを特徴とする、大腿骨コンポーネントと、
.前方面取り切断及び後方面取り切断が実施され得る平面の、遠位切除切断の平面に対する位置を画定するように、前記遠位切除切断がなされている患者の大腿骨の遠位面に締結され得る、平面的な遠位表面を有するガイドブロックであって、
(a)前記前方面取り切断の前記平面に対して平行に延び、前記遠位表面の前記平面と前記前方面取り切断の前記平面との交線と、前記遠位表面の前記平面と前記後方面取り切断の前記平面との交線との間の中間の点で、前記遠位表面の前記平面と交差する前方基準線と、(b)前記前方面取り切断の前記平面との間の距離はGAntであり、
(a)前記後方面取り切断の前記平面に対して平行に延び、前記遠位表面の前記平面と前記前方面取り切断の前記平面との交線と、前記遠位表面の前記平面と前記後方面取り切断の前記平面との交線との間の中間の点で、前記遠位表面の前記平面と交差する後方基準線と、(b)前記後方面取り切断の前記平面との間の距離はGPostである、ガイドブロックと、を備え、
(A)前記大腿骨コンポーネントの前記骨対向表面の前記前方面取り部分は、少なくとも1つの陥凹を間に有する、離間した内側レール及び外側レールを含むレールを有し、
(a)前記骨対向表面の前記前方面取り部分に対して平行に延び、前記遠位部分と前記前方面取り部分との交点と、前記遠位部分と前記後方面取り部分との交点との間の中間の点で、前記遠位部分と交差する前方植え込み基準線と、(b)前記レールの先端縁部との間の距離はIAntRailであり、
(a)前記前方植え込み基準線と(b)前記レール間の前記陥凹の底部との間の距離はIAntRecessであり、(IAntRecess−GAnt)の値は少なくとも約0.5mmであり、したがって、前記大腿骨コンポーネントが患者の大腿骨上に配置されるとき、前記内側レール及び外側レールの前記先端縁部が前記患者の大腿骨の前方面取り表面と接触する状態でかつ前記患者の大腿骨の前記前方面取り表面と前記陥凹の前記底部との間のクリアランスを伴って、前記大腿骨コンポーネントの前記骨対向表面の前記前方部分、遠位部分、後方部分、前方面取り部分、及び後方面取り部分と、前記大腿骨の対応する表面との接触が存在し、
かつ/又は、
(B)前記大腿骨コンポーネントの前記骨対向表面の前記後方面取り部分は、少なくとも1つの陥凹を間に有する、離間した内側レール及び外側レールを含むレールを有し、
(a)前記骨対向表面の前記後方面取り部分に対して平行に延び、前記遠位部分と前記前方面取り部分との交点と、前記遠位部分と前記後方面取り部分との交点との間の中間の点で、前記遠位部分と交差する後方植え込み基準線と、(b)前記レールの前記先端縁部との間の距離はIPostRailであり、
(a)前記後方植え込み基準線と(b)前記レール間の前記陥凹の前記底部との間の距離はIPostRecessであり、(IPostRecess−GPost)の値は少なくとも約0.5mmであり、したがって、前記大腿骨コンポーネントが患者の大腿骨上に配置されるとき、前記内側レール及び外側レールの前記先端縁部が前記患者の大腿骨の後方面取り表面と接触する状態でかつ前記患者の大腿骨の前記後方面取り表面と前記陥凹の前記底部との間のクリアランスを伴って、前記大腿骨コンポーネントの前記骨対向表面の前記前方部分、遠位部分、後方部分、前方面取り部分、及び後方面取り部分と、前記大腿骨の対応する表面との接触が存在する、システム。
【請求項2】
前記レールが、前記骨対向表面の前記前方面取り部分上に設けられ、(GAnt−IAntRail)の値は少なくとも約0.05mmである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記レールが、前記骨対向表面の前記後方面取り部分上に設けられ、(GPost−IPostRail)の値は少なくとも約0.05mmである、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記内側レールは前記大腿骨コンポーネントの内側縁部に位置し、前記外側レールは前記大腿骨コンポーネントの外側縁部に位置する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記内側レール及び外側レールが前記骨対向表面の前記前方面取り部分上に設けられるとき、それらは前記遠位部分から前記前方部分へと延びる、請求項1〜4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記内側レール及び外側レールが前記骨対向表面の前記後方面取り部分上に設けられるとき、それらは前記遠位部分から前記後方部分へと延びる、請求項1〜5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記内側レール及び外側レールの各々は、その露出した骨対向縁部に向かって内向きに先細にされている、請求項1〜6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記内側レールと外側レールとの間に位置する少なくとも1つの付加的なレールを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記付加的なレールは前記内側レール及び外側レールと整合される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記付加的なレールは前記内側レールと外側レールとの間で、前記内側レール及び外側レールに対し概ね横向きに延びる、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記骨対向表面の前記前方部分、遠位部分、及び後方部分の各々が平面的であり、したがって縁部のいずれにもレールを有さない、請求項1〜10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記骨対向表面の前記前方部分、遠位部分、及び後方部分の各々が、骨セメントを使用せずに骨への固定を促進するように適合されている、請求項1〜11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
患者の膝に対する外科手技において使用するためのシステムであって、
a.脛骨支持表面と関節をなすための支持表面と、反対側の骨対向表面とを有する人工膝関節の大腿骨コンポーネントであって、前記骨対向表面は、
i.前記大腿骨とその前方側で係合するための前方部分と、
ii.前記大腿骨とその後方側で係合するための後方部分と、
iii.前記大腿骨の遠位端面と係合するための遠位部分と、
iv.前記前方部分及び前記遠位部分の各々に対して傾斜する、前記前方部分と前記遠位部分との間に位置する前方面取り部分と、
v.前記後方部分及び前記遠位部分の各々に対して傾斜する、前記後方部分と前記遠位部分との間に位置する後方面取り部分とを有し、
前記骨対向表面の前記前方部分、前方面取り部分、後方面取り部分、及び後方部分の各々は、その縁部のいずれにもレールを有さず、したがって各々は平面的であり、また平面的である隣接する骨表面と緊密な表面間接触を形成し得、前記骨対向表面の前記遠位部分は、少なくとも1つの陥凹を間に有する、離間した内側レール及び外側レールを含むレールを有することを特徴とする、大腿骨コンポーネントと、
.前方面取り切断及び後方面取り切断が実施され得る平面の、遠位切除切断の平面に対する位置を画定するように、前記遠位切除切断がなされている患者の大腿骨の遠位面に締結され得る、平面的な遠位表面を有するガイドブロックであって、前方切断の平面と後方切断の平面との交線にガイドブロック基準線を画定し、したがって、前記基準線と前記平面的な遠位表面との間の距離がGDistとなる、ガイドブロックと、を備え
a)前記骨対向表面の前記前方面取り部分の平面と後方面取り部分の平面との交線にある植え込み基準線と、(b)前記レールの先端縁部との間の距離はIDistRailであり、
(a)前記植え込み基準線と(b)前記レール間の前記陥凹の底部との間の距離はIDistRecessであり、(GDist−IDistRecess)の値は少なくとも約0.5mmであり、したがって、前記大腿骨コンポーネントが患者の大腿骨上に配置されるとき、前記内側レール及び外側レールの前記先端縁部が前記患者の大腿骨の遠位表面と接触する状態でかつ前記患者の大腿骨の前記遠位表面と前記陥凹の前記底部との間のクリアランスを伴って、前記大腿骨コンポーネントの前記骨対向表面の前記前方部分、遠位部分、後方部分、前方面取り部分、及び後方面取り部分と、前記大腿骨の対応する表面との接触が存在する、システム。
【請求項14】
(IDistRail−GDist)の値は少なくとも約0.05mmである、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記内側レールは前記大腿骨コンポーネントの内側縁部に位置し、前記外側レールは前記大腿骨コンポーネントの外側縁部に位置する、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記内側レール及び外側レールは、前記骨対向表面の前記遠位部分上でその前記前方面取り部分から前記後方面取り部分へと延びる、請求項13〜15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記内側レール及び外側レールの各々は、その露出した骨対向縁部に向かって内向きに先細にされている、請求項13〜16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
前記内側レールと外側レールとの間に位置する少なくとも1つの付加的なレールを含む、請求項13〜17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記付加的なレールは前記内側レール及び外側レールと概ね整合される、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記付加的なレールは前記内側レールと外側レールとの間で、前記内側レール及び外側レールに対し概ね横向きに延びる、請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
前記骨対向表面の前記前方部分、前方面取り部分、後方面取り部分、及び後方部分の各々が平面的であり、したがって縁部のいずれにもレールを有さない、請求項13〜20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
前記骨対向表面の前記前方部分、前方面取り部分、後方面取り部分、及び後方部分の各々が、骨セメントを使用せずに骨への固定を促進するように適合されている、請求項13〜21のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の膝に対する外科手技で使用するためのシステムに関し、このシステムは、人工膝関節の大腿骨コンポーネントと、前方面取り切断及び後方面取り切断が遠位切除切断の平面に対して実施され得る平面の位置を画定するためのガイドブロックとを含む。
【背景技術】
【0002】
人工膝関節置換術は、疾病が原因で関節が損傷しているときに適切となり得る。また、外傷の結果として関節が損傷しているときにも適切となり得る。人工膝関節全置換術は、関節全体の置換を伴うものである。人工膝関節部分(又は単顆若しくは片側)置換術は、関節の一方の側(内側又は外側)の置換を伴うものである。膝の両方の顆を別々に置換することは、人工膝関節両顆置換と呼ばれることもある。
【0003】
人工膝関節の大腿骨コンポーネントは、大腿骨の端部が適切に付形されて大腿骨コンポーネントと適合するように一連の切断を実施した後に、大腿骨に装着される。例えば、それらの切断は、大腿骨の前方面、遠位面、及び後方面上の切断を含み、前方面と遠位面との間に前方面取り切断、後方面と遠位面との間に後方面取り切断を有し得る。
【0004】
人工関節コンポーネントは、骨セメントを使用して定位置に固定され得る。欧州公開特許第2574312号には、骨セメントを使用して定位置に固定されるように意図された人工膝関節の大腿骨コンポーネントが開示されている。
【0005】
セメントを使用せずに人工関節コンポーネントを定位置に固定することは、好ましいこととなり得る。これは、骨の内部成長を増進するようにコンポーネントの表面を適切に適合させることによって達成され得る。コンポーネント表面は、内部成長を促進するために多孔質であり得る。これは、ビーズを焼結して、例えばDePuy Orthopaedics,IncからPOROCOATの商標で販売されているコンポーネントにあるような、多孔質の表面構造を形成することによって達成され得る。このコンポーネント表面は、骨組織とコーティングされた表面との間の界面で骨が生成されるときに、骨組織との強固な物理的連結の形成を増進する材料でコーティングされ得る。そのような材料の一例が、セラミックヒドロキシアパタイト(Ca10(PO(OH))である。フランス国公開特許第2625096号には、骨対向表面が金属メッシュによって設けられる人工膝関節の大腿骨コンポーネントが開示されている。
【0006】
人工関節コンポーネントの骨対向表面のうちの、内部成長する骨組織との相互作用が生じて固定を達成する部分の領域全体にわたって表面同士の接触を達成するように構成された骨表面を形成するために、セメントを用いずに人工関節コンポーネントの固定を達成することが重要となり得る。これらの部分は多くの場合、本質的に平面的である。このことが、骨上の同様に構成された表面の形成を促進し得る。
【0007】
国際公開特許第2013/067859号には、大腿骨コンポーネントが変形を防止するために骨対向表面上に補強リブを有する人工膝関節が開示されている。リブ同士の間の空間は、移植骨材料を受容し得る。
【0008】
人工膝関節の大腿骨コンポーネントが、内部成長する骨組織との相互作用を通じて定位置に固定されるとき、その固定が、コンポーネントの骨対向表面の前方、遠位、及び後方の骨対向部分上で生じることが好ましくなると判明している。コンポーネントの骨対向表面がまた前方面取り部分及び後方面取り部分を含む場合、コンポーネントが植え込み後に荷重下に置かれるとき、荷重が主にコンポーネントの骨対向表面の遠位側の骨対向部分にかかるように、大腿骨を付形することが望ましくなり得る。これは、大腿骨コンポーネントが大腿骨へとスライドされるとき、大腿骨の遠位面とコンポーネントの骨対向表面の遠位部分との間の接触が、大腿骨と面取り部分との間のそのような接触の前に確立されるように、大腿骨を付形することによって達成され得る。大腿骨の遠位面とコンポーネントの骨対向表面の遠位部分との接触は、大腿骨の端部への大腿骨コンポーネントの移動を効果的に制限する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、1つ又は2つ以上の陥凹を間に画定するレールが骨対向表面の1つ又は2つ以上の部分に設けられる大腿骨コンポーネントを提供する。例えば、レール及び陥凹機構が、骨対向表面の前方面取り部分及び後方面取り部分上に設けられ得る。大腿骨は次いで、コンポーネントの骨対向表面の遠位部分が大腿骨の遠位面と接触するとき、コンポーネントの陥凹の底部と大腿骨の対向表面との間に空間が存在するよう大腿骨コンポーネントを受容するように調製され得る。別の構成において、レール及び陥凹機構は、骨対向表面の遠位部分上に設けられ得る。大腿骨は次いで、コンポーネントの骨対向表面の前方面取り部分及び後方面取り部分が大腿骨のそれぞれの面取り面と接触するとき、コンポーネントの骨対向表面の遠位部分上の陥凹の底部と大腿骨の対向表面との間に空間が存在するよう大腿骨コンポーネントを受容するように調製され得る。
【0010】
したがって、本発明は、脛骨支持表面と関節をなすための対向支持表面と、その反対側の骨対向表面とを有する人工膝関節の大腿骨コンポーネントを提供するものであり、その骨対向表面は、
a.大腿骨とその前方側で係合するための前方部分と、
b.大腿骨とその後方側で係合するための後方部分と、
c.大腿骨の遠位端面と係合するための遠位部分と、
d.前方部分及び遠位部分の各々に対して傾斜する、前方部分と遠位部分との間に位置する前方面取り部分と、
e.後方部分及び遠位部分の各々に対して傾斜する、後方部分と遠位部分との間に位置する後方面取り部分とを有し、
骨対向表面の前方面取り部分及び後方面取り部分のうちの少なくとも一方は、少なくとも1つの陥凹を間に有する、離間した内側レール及び外側レールを有する。
【0011】
本発明はまた、患者の膝に対する外科手技において使用するためのシステムを提供し、そのシステムは、
a.脛骨支持表面と関節をなすための支持表面と、反対側の骨対向表面とを有する人工膝関節の大腿骨コンポーネントであって、その骨対向表面は、
i.大腿骨とその前方側で係合するための前方部分と、
ii.大腿骨とその後方側で係合するための後方部分と、
iii.大腿骨の遠位端面と係合するための遠位部分と、
iv.前方部分及び遠位部分の各々に対して傾斜する、前方部分と遠位部分との間に位置する前方面取り部分と、
v.後方部分及び遠位部分の各々に対して傾斜する、後方部分と遠位部分との間に位置する後方面取り部分とを有し、
骨対向表面の遠位部分、前方部分、及び後方部分の各々は、その領域の少なくとも一部にわたって平面的である大腿骨コンポーネントと、
b.前方面取り切断及び後方面取り切断が実施され得る平面の、遠位切除切断の平面に対する位置を画定するように、遠位切除切断がなされている患者の大腿骨の遠位面に締結され得る、平面的な遠位表面を有するガイドブロックであって、(a)前方面取り切断の平面に対して平行に延び、遠位表面の平面と前方面取り切断の平面との交線と、遠位表面の平面と後方面取り切断の平面との交線との間の中間の点で、遠位表面の平面と交差する前方基準線と、(b)前方面取り切断の平面との間の距離はGAntであり、(a)後方面取り切断の平面に対して平行に延び、遠位表面の平面と前方面取り切断の平面との交線と、遠位表面の平面と後方面取り切断の平面との交線との間の中間の点で、遠位表面の平面と交差する後方基準線と、(b)後方面取り切断の平面との間の距離はGPostである、ガイドブロックと、を備え、
(A)大腿骨コンポーネントの骨対向表面の前方面取り部分は、少なくとも1つの陥凹を間に有する、離間した内側レール及び外側レールを有し、(a)骨対向表面の前方面取り部分に対して平行に延び、遠位部分と前方面取り部分との交点と、遠位部分と後方面取り部分との交点との間の中間の点で、前記表面の遠位部分と交差する前方植え込み基準線と、(b)レールの先端縁部との間の距離はIAntRailであり、(a)前方植え込み基準線と(b)レール間の陥凹の底部との間の距離はIAntRecessであり、(IAntRecess−GAnt)の値は少なくとも約0.5mmであり、
かつ/又は
(B)大腿骨コンポーネントの骨対向表面の後方面取り部分は、少なくとも1つの陥凹を間に有する、離間した内側レール及び外側レールを有し、(a)骨対向表面の後方面取り部分に対して平行に延び、遠位部分と前方面取り部分との交点と、遠位部分と後方面取り部分との交点との間の中間の点で、前記表面の遠位部分と交差する後方植え込み基準線と、(b)レールの先端縁部との間の距離はIPostRailであり、(a)後方植え込み基準線と(b)レール間の陥凹の底部との間の距離はIPostRecessであり、(IPostRecess−GPost)の値は少なくとも約0.5mmである。
【0012】
ガイドブロック上の基準線は、ガイドブロックの遠位表面の平面に対して、また面取り切断の平面に対して垂直である平面内で延びる。大腿骨コンポーネント上の基準線は、大腿骨コンポーネントの骨対向表面の遠位部分及び面取り部分に対して垂直である平面内で延びる。
【0013】
骨対向表面の遠位部分、前方部分、及び後方部分の各々は通常、その領域の少なくとも70%、例えばその領域の少なくとも約85%、又はその領域の少なくとも約95%のうちの大部分にわたって平面的である。
【0014】
本発明の大腿骨コンポーネントの植え込みは、大腿骨コンポーネントを滑り嵌めで受容するように遠位大腿骨が調製される手技において実施され得る。大腿骨は、骨対向表面の前方部分、遠位部分、及び後方部分上において大腿骨と大腿骨コンポーネントとの対面接触が存在するように調製される。大腿骨は、骨対向表面の面取り部分のうちの1つ又は2つ以上において大腿骨と陥凹の底部との間にクリアランスが存在するように調製される。面取り部分における大腿骨と各陥凹の底部との間のクリアランスは好ましくは、骨対向表面の前方部分、遠位部分、及び後方部分上において大腿骨と大腿骨コンポーネントとの間に対面接触が存在するとき、各陥凹の縁部に沿って設けられたレールが大腿骨と接触するようなものであるべきである。
【0015】
大腿骨コンポーネントの骨対向表面の前方面取り部分及び後方面取り部分のうちの少なくとも1つの上に陥凹を設けることは、植え込み後にコンポーネントが荷重下に置かれるとき、コンポーネントの骨対向表面の遠位骨対向部分上に荷重がかけられ、1つ又は2つ以上の陥凹が設けられている骨対向表面の各面取り部分上に、より低い負荷がかかるようにするのに役立ち得る。
【0016】
内側レール及び外側レールは、大腿骨コンポーネントの骨対向表面の前方面取り部分及び後方面取り部分の各々の上に設けられることが好まれ得る。このことは、植え込み後にコンポーネントが荷重下に置かれるとき、コンポーネントの骨対向表面の遠位骨対向部分上に荷重がかけられ、1つ又は2つ以上の陥凹が設けられている骨対向表面の各面取り部分上には、より低い負荷がかかるようにするのに役立ち得る。
【0017】
本発明はまた、患者の膝に対する外科手技において使用するためのシステムを提供し、そのシステムは、
a.脛骨支持表面と関節をなすための支持表面と、反対側の骨対向表面とを有する人工膝関節の大腿骨コンポーネントであって、その骨対向表面は、
i.大腿骨とその前方側で係合するための前方部分と、
ii.大腿骨とその後方側で係合するための後方部分と、
iii.大腿骨の遠位端面と係合するための遠位部分と、
iv.前方部分及び遠位部分の各々に対して傾斜する、前方部分と遠位部分との間に位置する前方面取り部分と、
v.後方部分及び遠位部分の各々に対して傾斜する、後方部分と遠位部分との間に位置する後方面取り部分とを有し、
骨対向表面の前方部分、前方面取り部分、後方面取り部分、及び後方部分の各々は、その領域の少なくとも一部にわたって平面的であり、骨対向表面の遠位部分は、少なくとも1つの陥凹を間に有する、離間した内側レール及び外側レールを有する、大腿骨コンポーネントと、
b.前方面取り切断及び後方面取り切断が実施され得る平面の、遠位切除切断の平面に対する位置を画定するように、遠位切除切断がなされている患者の大腿骨の遠位面に締結され得る、平面的な遠位表面を有するガイドブロックであって、前方切断の平面と後方切断の平面との交線にガイドブロック基準線を画定し、したがって、基準線と平面的な遠位表面との間の距離がGDistとなる、ガイドブロックと、を備え、
大腿骨コンポーネントの骨対向表面の遠位部分は、少なくとも1つの陥凹を間に有する、離間した内側レール及び外側レールを有し、(a)骨対向表面の前方面取り部分の平面と後方面取り部分の平面との交線にある植え込み基準線と、(b)レールの先端縁部との間の距離はIDistRailであり、(a)植え込み基準線と(b)レール間の陥凹の底部との間の距離はIDistRecessであり、(GDist−IDistRecess)の値は少なくとも約0.5mmである。
【0018】
ガイドブロック上の基準線は、ガイドブロックの遠位表面の平面に対して、また面取り切断の平面に対して垂直である平面内で延びる。大腿骨コンポーネント上にある基準線は、2つの平面の交線によって画定される。
【0019】
骨対向表面の前方部分、前方面取り部分、後方面取り部分、及び後方部分の各々は通常、その領域の少なくとも70%、例えばその領域の少なくとも約85%、又はその領域の少なくとも約95%のうちの大部分にわたって平面的である。
【0020】
本発明の大腿骨コンポーネントの植え込みは、大腿骨コンポーネントを滑り嵌めで受容するように遠位大腿骨が調製される手技において実施され得る。大腿骨は、骨対向表面の前方部分、前方面取り部分、後方面取り部分、及び後方部分上において大腿骨と大腿骨コンポーネントとの対面接触が存在するように調製される。大腿骨は、骨対向表面の遠位部分において、大腿骨と陥凹又は各陥凹の底部との間にクリアランスが存在するように調製される。大腿骨と陥凹又は各陥凹の底部との間のクリアランスは好ましくは、骨対向表面の前方部分、前方面取り部分、後方面取り部分、及び後方部分上において大腿骨と大腿骨コンポーネントとの間に対面接触が存在するとき、各陥凹の縁部に沿って設けられたレールが大腿骨と接触するようなものであるべきである。
【0021】
大腿骨コンポーネントの骨対向表面の遠位部分の少なくとも1つの上に陥凹を設けることは、植え込み後にコンポーネントが荷重下に置かれるとき、コンポーネントの骨対向表面の前方面取り骨対向部分及び後方面取り骨対向部分上に荷重がかけられ、1つ又は2つ以上の陥凹が設けられている骨対向表面の遠位部分上には、より低い負荷がかかるようにするのに役立ち得る。
【0022】
本発明のいくつかの特徴は、陥凹及びレール機構が大腿骨コンポーネントの骨対向表面の遠位部分上に設けられるか、又は面取り部分のうちの一方若しくは両方に設けられるかにかかわらず、応用可能である。
【0023】
内側レールは大腿骨コンポーネントの内側縁部に位置し、外側レールは大腿骨コンポーネントの外側縁部に位置することが、多くの場合に好まれることになる。レールは次いで、大腿骨コンポーネントの内側壁及び外側壁の延長となる。
【0024】
レールと調製された大腿骨の対向表面部分とが接触することは、大腿骨と大腿骨コンポーネントとの間の適合を観察するとき、大腿骨コンポーネントのうちの陥凹及びレールを有する部分(面取り部分又は遠位部分のいずれか一方又は両方)によって支持される荷重が小さいか又はゼロである(それぞれ遠位部分か又は面取り部分のうちの一方若しくは両方によって支持される荷重よりも低い)場合でも、外科医にとって視認可能となる間隙が、大腿骨と大腿骨コンポーネントの骨対向表面の対応部分の1つ又は各々との間にないことを意味する。この特徴によって、本発明が重要な利点をもたらすことが可能となり得る。例えば、大腿骨と大腿骨コンポーネントの骨対向表面のすべてとの間に間隙が存在しないことは、大腿骨と大腿骨コンポーネントとの間の空間に材料が入る可能性を低減するのに役立ち得る。また、大腿骨が大腿骨コンポーネントと適切に適合するように付形されているという、より大きな確信を外科医にもたらし得る。レールと大腿骨との間の接触はまた、骨組織の内部成長を増進し得、この内部成長は、その骨組織がコンポーネントと骨との間隙に広がる必要なく、レール上で大腿骨コンポーネントと相互作用してコンポーネントを定位置に固定するのに寄与する。
【0025】
大腿骨コンポーネントの面取り部分のうちの一方若しくは両方の上の又は遠位部分の上のレールが、調製された大腿骨に貫入する能力は、レールの幅、レールの形状、レールの長さ、レールの本数などの要素に依存する。骨対向縁部における各レールの幅は、約4mm以下、より好ましくは約3mm以下、例えば約2mm以下であることが好まれ得る。各レールは骨対向縁部に向かって内向きに先細にされることが好まれ得る。例えば、骨対向縁部における幅が約1.5mm以下又は約1mm以下となるように、内向きに先細にされ得る。レールが骨対向縁部に向かって内向きに先細にされているとき、底部におけるレールの幅は、少なくとも約2mm、例えば少なくとも約3mm、又は少なくとも約4mmとなり得る。
【0026】
内側レールと外側レールとの間に設けられる陥凹の深さは、少なくとも約0.5mm、所望により少なくとも1.0mm、又は少なくとも約1.5mmとなり得る。陥凹の深さは、多くの場合は約3.5mm以下、任意選択により約2.5mm以下となる。陥凹の深さは、骨対向表面の前方面取り部分上に陥凹がある場合には(IAntRecess−IAntRail)、後方面取り部分上に陥凹がある場合には(IPostRecess−IPostRail)、遠位部分上に陥凹がある場合には(IDistRail−IDistRecess)の値に等しい。
【0027】
内側レール及び外側レールが骨対向表面の前方面取り部分上に設けられているとき、それらは遠位部分から前方部分へと延びることが好まれ得る。内側レール及び外側レールが骨対向表面の後方面取り部分上に設けられているとき、それらは遠位部分から後方部分へと延びることが好まれ得る。遠位部分から前方又は後方部分(場合に応じて)へと連続的に延びるレールは、大腿骨コンポーネントの内側縁部及び外側縁部の全長に沿って大腿骨コンポーネントと大腿骨との連続的な接触をもたらし得る。このことは、コンポーネントと大腿骨との間の空間に物質が侵入するのを防止するのに役立ち得る。
【0028】
内側レール及び外側レールが骨対向表面の遠位部分上に設けられているとき、それらは前方面取り部分から後方面取り部分へと延びることが好まれ得る。前方面取り部分から後方面取り部分へと連続的に延びるレールは、大腿骨コンポーネントの内側縁部及び外側縁部の全長に沿って大腿骨コンポーネントと大腿骨との連続的な接触をもたらし得る。このことは、コンポーネントと大腿骨との間の空間に物質が侵入するのを防止するのに役立ち得る。
【0029】
大腿骨コンポーネントは、内側レールと外側レールとの間に位置する少なくとも1つの付加的なレールを含み得る。大腿骨コンポーネントの内側縁部及び外側縁部に設けられる内側レール及び外側レールは、大腿骨コンポーネントの縁部に沿って延び得、大腿骨コンポーネントの前方端部と大腿骨コンポーネントの後方端部との間に延びるそれらの縁部と整合され得る。そのようなレールが、調製された大腿骨の表面に貫入するとき、それらのレールは、特に内側−外側の軸線と整合する方向に、大腿骨に対する移動に関してコンポーネントを大腿骨上で位置決めするのに役立ち得る。
【0030】
内側レール及び外側レール、並びに1つ又は2つ以上の任意の付加的なレールを設けることはまた、特に植え込まれたときに面取り領域において大腿骨コンポーネントと大腿骨との間の接触がほとんど又は全くないように設計された大腿骨コンポーネントと比較すると、大腿骨コンポーネントと大腿骨の調製された表面との間の接触面積を増加させることによって、大腿骨への大腿骨コンポーネントの固定に寄与し得る。増加した接触面積は、骨の内部成長を通じた固定の向上をもたらす。
【0031】
大腿骨コンポーネントの内側縁部及び外側縁部に設けられる内側レール及び外側レールは、大腿骨コンポーネントの縁部に沿って延び、したがって、概ね大腿骨コンポーネントの前方端部と大腿骨コンポーネントの後方端部との間に延びる間、それらの縁部に追従するように湾曲される。
【0032】
内側レール及び外側レールと概ね整合され、1つ又は2つ以上の陥凹の前方縁部と後方縁部との間の距離の少なくとも一部を延長する少なくとも1つの付加的なレールが含められ得る。内側レール及び外側レールと概ね整合されるレールは、それらのレールのいずれとも厳密に整合される必要はないが、概ね前方−後方の方向に沿って延びることになる。大腿骨コンポーネントの内側縁部及び外側縁部から離間されるレールは、直線的でありかつ概ね前方−後方の方向に延びるように構成され得る。
【0033】
人工全膝関節の大腿骨コンポーネントの場合、骨対向表面の後方面取り部分は一般に、大腿骨コンポーネントの分離した内側顆状リム及び外側顆状リム上に設けられ、それらの内側顆状リム及び外側顆状リムは、天然の膝の顆間窩に対応する間隙をおいて分離されている。顆状リムの各々上の後方面取り部分は、少なくとも1つの陥凹を間に有する、分離した内側レール及び外側レールを有することが好まれ得る。
【0034】
コンポーネントの後方部分及び後方面取り部分における、分離した内側顆状リムと外側顆状リムとの間の間隙は、少なくとも部分的にコンポーネントの遠位部分を横断して前方面取り部分に向かって延び得る。したがって、人工全膝関節の各顆は一般に、少なくとも骨対向表面の後方部分、後方面取り部分及び遠位部分を有することになる。
【0035】
単顆人工膝関節の大腿骨コンポーネントは、コンポーネントの骨対向表面の後方面取り部分を備える1つの顆状リムのみを有する。骨対向表面の後方面取り部分は、少なくとも1つの陥凹を間に有する、分離した内側レール及び外側レールを有し得る。
【0036】
いくつかの状況において、大腿骨コンポーネントの骨対向表面の前方面取り部分が、コンポーネントの溝領域に位する中央リブを有することが適切となり得る。このことは、大腿骨コンポーネントが全人工膝関節のものであるときに適切となり得る。リブは、レールの形態として見られ得る。リブは、前方面取り部分の内側縁部及び外側縁部に設けられたレールよりも幅広となり得る。中央リブは、使用時にコンポーネントにかかる力に対してコンポーネントを補強し、特に溝領域においてコンポーネントを補強し得る。大腿骨コンポーネントの骨対向表面の前方面取り部分上の中央リブに対処するために、大腿骨の前方面取り領域において骨組織を除去することが必要となり得る。また、骨対向表面の前方面取り部分が、中央リブなしに、またいかなる付加的なレールもなしに、内側縁部及び外側縁部において又はそれに近接して、リブ間の面取り部分の幅全体にわたって連続的に延びる陥凹を有することも構想される。
【0037】
内側レール及び外側レールに対し概ね横向きに、内側レールと外側レールとの間の陥凹を横切って延び、例えば、内側レールと外側レールとの間の距離の一部又は全部にわたって延びる、少なくとも1つの付加的なレールが含められ得る。
【0038】
コンポーネントの骨対向表面の後方面取り部分が、少なくとも1つの陥凹を間に有する、離間した内側レール及び外側レールを有しているとき、骨対向表面の後方面取り部分のうちの、陥凹によってもたらされる面積の比率は、少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも約60%、特に少なくとも約65%、例えば少なくとも約75%である。
【0039】
コンポーネントの骨対向表面の前方面取り部分が、少なくとも1つの陥凹を間に有する、離間した内側レール及び外側レールを有しているとき、骨対向表面の前方面取り部分のうちの、陥凹によってもたらされる面積の比率(コンポーネントの溝領域に存在する場合は中央リブの面積を無視する)は、少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも約60%、特に少なくとも約65%、例えば少なくとも約75%である。
【0040】
コンポーネントの骨対向表面の遠位部分が、少なくとも1つの陥凹を間に有する、離間した内側レール及び外側レールを有しているとき、骨対向表面の遠位部分のうちの、陥凹によってもたらされる面積の比率(大腿顆の中へと延びるペグなどの他の機構を無視する)は、少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも約60%、特に少なくとも約65%、例えば少なくとも約75%である。
【0041】
いくつかの大腿骨コンポーネントにおいて、前方−後方の軸線に対して平行に測定した、大腿骨コンポーネントの骨対向表面の前方部分と後方部分との間の距離は、少なくとも、後顆の近位端部において、後顆の遠位端部における長さと同等の長さをなす。このようにして、骨対向表面の前方部分及び後方部分は、それらが互いに対して平行となるように、又はそれらが骨対向表面の遠位部分から離れる方向に発散するように構成され得る。骨対向表面の前方部分と後方部分との間の角度は、しばしば、約5°以下となる場合。このことは、調製された大腿骨上への大腿骨コンポーネントの取付けを容易にし得る。
【0042】
骨対向表面の遠位部分は、調製された大腿骨に大腿骨コンポーネントが取り付けられるときに大腿骨コンポーネントが大腿骨に対して移動される方向に対して、およそ垂直となるように構成され得る。コンポーネントの骨対向表面の前方部分及び後方部分が平面的であり、かつ互いに対して平行であるとき、骨対向表面の遠位部分が、前方部分及び後方部分の各々の平面に対して垂直となることが適切となり得る。コンポーネントの骨対向表面の前方部分及び後方部分が発散しているとき、遠位部分と前方部分との間の角度が、遠位部分と後方部分との間の角度と等しくなることが適切となり得る。
【0043】
骨対向表面の遠位部分は、少なくとも1つのペグ、例えば2つのペグを設けられ得、それらのペグは、大腿骨の遠位面の対応するドリル穴内に受容されるように、骨対向表面からそれに対して垂直に延びる。ペグは、その自由端部に向かって内向きに先細にされ得る。
【0044】
本発明の大腿骨コンポーネントは、骨セメントを使用することなく、患者の大腿骨に対して定位置に固定されるように意図されたものであり、したがって、コンポーネントの骨対向表面と、大腿骨コンポーネントが定位置にあるときにその表面が接触する骨の表面との間の相互作用によって固定される。したがって、陥凹及びレール機構が骨対向表面の面取り部分のうちの一方又は両方に設けられるとき、骨対向表面の他の部分(前方部分、遠位部分、及び後方部分、また時には面取り部分のうちの1つ)が(骨の表面に設けられた適切な穴又は他の空洞内に受容されるように意図され得る表面上の任意の突起を無視して)縁部から縁部にわたって平面的であることが好まれ得る。例えば、骨対向表面の平面的な部分の各々は、コンポーネントの骨対向表面とそれに隣接する骨表面との間における緊密な表面間接触の形成を抑止し得るレールをいずれの縁部にも有していないことを特徴とし得る。大腿骨は、そのようなコンポーネントを対応する平面的な表面と接触させるように調製され得る。平面的な表面は、平面的でない表面と比べて、外科医が手術の間に正確に形成することがより容易となり得る。
【0045】
陥凹及びレール機構が骨対向表面の面取り部分のうちの一方又は両方に設けられるとき、骨対向表面の前方部分、遠位部分、及び後方部分の各々が骨セメントを使用することなく骨への固定を促進するように適合されることが好まれ得る。陥凹及びレール機構が骨対向表面の遠位部分上に設けられるとき、骨対向表面の前方部分、前方面取り部分、後方面取り部分、及び後方部分の各々が骨セメントを使用することなく骨への固定を促進するように適合されることが好まれ得る。骨対向表面は、骨組織が中へと成長し得る多孔質構造を設けることによって、そのように適合され得る。骨対向表面は、骨組織との相互作用を促進する材料のコーティング、例えばヒドロキシアパタイト材料のコーティングを設けることによって、そのように適合され得る。
【0046】
大腿骨コンポーネントは、人工膝関節コンポーネントの製造において一般的に使用されている金属材料から作製され得る。例として、コバルトクロムベース合金(コバルト、クロム、及びモリブデンの合金を含む)、チタン及びチタンベース合金、並びに特定のステンレス鋼が挙げられる。
【0047】
大腿骨コンポーネントは、一定範囲の大きさで作製され得、したがって、患者の大腿骨の大きさを考慮して適当である適切なコンポーネントが外科医によって選択され得る。
【0048】
大腿骨コンポーネントは、人工膝関節の他のコンポーネントと共に提供され得る。例えば、脛骨コンポーネントと共に提供され得る。脛骨コンポーネントは支持コンポーネントと共に提供され得る。支持コンポーネントが提供されるとき、その支持コンポーネントは、高分子材料(特に超高分子量ポリエチレン)又はセラミック材料など、大腿骨及び脛骨コンポーネントの材料とは異なる材料から作製され得る。コンポーネントのそのような組み合わせは公知である。
【0049】
患者の大腿骨が本発明の大腿骨コンポーネントを受容するように、特に前方表面、遠位表面、後方表面、前方面取り表面、及び後方面取り表面(多くの場合、平面的な表面となる)の位置に関して、正確に調製されることが重要である。患者の骨の手術前画像をしばしば参照して解剖学的特徴に関して表面の位置を特定するために使用され得る器具は周知であり、本発明の大腿骨コンポーネントを受容するように調製されることになる大腿骨上の表面を特定するために使用され得る。骨切断の各々の他の骨切断に対する正確な位置、及び各切断同士の角度関係が、選択された大腿骨コンポーネントに適切となるべきであることを理解されたい。これらの関係は、適切な切断ブロックを使用して決定され得るが、その切断ブロックは、調製された大腿骨の遠位面が形成されるように遠位切断が行われた後に、大腿骨の遠位面上に配置されるものである。適した切断ブロックの例が、前方切断、後方切断、前方面取り切断、及び後方面取り切断の各々の平面を特定するために使用され得る4−in−1型切断ブロックである。切断ブロックは、それらの切断工程の間に鋸刃を案内するために使用され得る表面を含んでいる。4−in−1型切断ブロックの一例が、欧州公開特許第2774554号に開示されている。
【0050】
前方切断、後方切断、前方面取り切断、及び後方面取り切断の各々の平面を特定するために、1つ又は2つ以上の切断ブロックが使用されてもよい。例えば、第1の切断ブロックが前後の切断を案内するために使用されてもよく、また第2の切断ブロックが面取り切断を案内するために使用されてもよい。面取り切断を案内するために使用され得る切断ブロックの一例が、欧州公開特許第2671523号に開示されている。
【0051】
本発明によって定められているように、2つの部分(遠位部分又は前方面取り部分及び後方面取り部分のうちの一方若しくは両方)の間の界面の1つ又は2つ以上の部分において、骨と大腿骨コンポーネントとの間にクリアランスを持たせて大腿骨コンポーネントを受容するように、大腿骨を調製するために、骨切断を実施するときに刃を案内するために使用される切断ブロックは、切断された骨によって画定される切除平面と、コンポーネントの骨対向表面の遠位部分又は面取り部分のうちの一方若しくは両方にある陥凹の底部との間にクリアランスを設けるように、刃を配置することになる。好ましくは、このクリアランスは、陥凹又は各陥凹を画定するレールが、骨の面取り表面又は各面取り表面上の切断された骨と接触するようなものであるべきである。
【0052】
所望により、レールが骨対向表面の前方面取り部分上に設けられるとき、(GAnt−IAntRail)の値は、少なくとも約0.05mm、又は少なくとも約0.2mm、又は少なくとも約0.5mm、又は少なくとも約1mm、又は少なくとも約1.5mm、又は少なくとも約2mm、そして場合によっては3mm以上となり得る。これは、大腿骨コンポーネントの骨対向表面の遠位部分が調製された大腿骨の遠位表面にしっかりと係合する状態で、コンポーネントが大腿骨上に着座されるとき、調製された大腿骨の前方面取り表面にレールが埋め込まれる深さの尺度となる。
【0053】
所望により、レールが骨対向表面の後方面取り部分上に設けられるとき、(GPost−IPostRail)の値は、少なくとも約0.05mm、又は少なくとも約0.2mm、又は少なくとも約0.5mm、又は少なくとも約1mm、又は少なくとも約1.5mm、又は少なくとも約2mm、そして場合によっては3mm以上となり得る。これは、大腿骨コンポーネントの骨対向表面の遠位部分が調製された大腿骨の遠位表面にしっかりと係合する状態で、コンポーネントが大腿骨上に着座されるとき、調製された大腿骨の後方面取り表面にレールが埋め込まれる深さの尺度となる。
【0054】
所望により、レールが骨対向表面の遠位部分上に設けられるとき、(IDistRail−GDist)の値は、少なくとも約0.05mm、又は少なくとも約0.2mm、又は少なくとも約0.5mm、又は少なくとも約1mm、又は少なくとも約1.5mm、又は少なくとも約2mm、そして場合によっては3mm以上となり得る。これは、大腿骨コンポーネントの骨対向表面の前方面取り部分及び後方面取り部分が調製された大腿骨の前方面取り表面及び後方面取り表面にしっかりと係合する状態で、コンポーネントが大腿骨上に着座されるとき、調製された大腿骨の遠位表面にレールが埋め込まれる深さの尺度となる。
【0055】
所望により、レールが骨対向表面の前方面取り部分上に設けられるとき、(IAntRecess−GAnt)の値は、少なくとも約1mm、又は少なくとも約1.5mm、又は少なくとも約2.0mm、又は少なくとも2.5mm以上となり得る。これは、大腿骨コンポーネントの骨対向表面の遠位部分が調製された大腿骨の遠位表面にしっかりと係合する状態で(多くの場合、前方面取り部分上のレールが骨の前方面取り表面内に埋め込まれた状態で)、コンポーネントが大腿骨上に着座されるとき、調製された大腿骨の前方面取り表面と大腿骨コンポーネントの骨対向表面の前方面取り部分との間の空間の深さの尺度となる。
【0056】
所望により、レールが骨対向表面の後方面取り部分上に設けられるとき、(IPostRecess−GPost)の値は、少なくとも約1mm、又は少なくとも約1.5mm、又は少なくとも約2.0mm、又は少なくとも2.5mm以上となり得る。これは、大腿骨コンポーネントの骨対向表面の遠位部分が調製された大腿骨の遠位表面にしっかりと係合する状態で(多くの場合、後方面取り部分上のレールが骨の後方面取り表面内に埋め込まれた状態で)、コンポーネントが大腿骨上に着座されるとき、調製された大腿骨の後方面取り表面と大腿骨コンポーネントの骨対向表面の後方面取り部分との間の空間の深さの尺度となる。
【0057】
所望により、レールが骨対向表面の遠位部分上に設けられるとき、(GDist−IDistRecess)の値は、少なくとも約1.0mm、又は少なくとも約1.5mm、又は少なくとも約2.0mm、又は少なくとも2.5mm以上となり得る。これは、大腿骨コンポーネントの骨対向表面の前方面取り部分及び後方面取り部分が調製された大腿骨の前方表面及び後方表面にしっかりと係合する状態で(多くの場合、遠位部分上のレールが骨の遠位表面内に埋め込まれた状態で)、コンポーネントが大腿骨上に着座されるとき、調製された大腿骨の遠位表面と大腿骨コンポーネントの骨対向表面の遠位部分との間の空間の深さの尺度となる。
【0058】
大腿骨コンポーネントは多くの場合、分離した内側顆及び外側顆を有することになり、その内側顆及び外側顆は、天然の膝の顆間窩に対応する。各顆は、少なくとも骨対向表面の後方部分、後方面取り部分及び遠位部分を有することになる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1】大腿骨コンポーネントの骨対向表面のそれぞれ前方部分及び前方面取り部分、並びに後方部分及び後方面取り部分を示す大腿骨コンポーネントの等角図である。
図2】大腿骨コンポーネントの骨対向表面のそれぞれ前方部分及び前方面取り部分、並びに後方部分及び後方面取り部分を示す大腿骨コンポーネントの等角図である。
図3】大腿骨コンポーネントの骨対向表面のそれぞれ前方部分及び前方面取り部分、並びに後方部分及び後方面取り部分を示す別の大腿骨コンポーネントの等角図である。
図4】大腿骨コンポーネントの骨対向表面のそれぞれ前方部分及び前方面取り部分、並びに後方部分及び後方面取り部分を示す別の大腿骨コンポーネントの等角図である。
図5】大腿骨コンポーネントの骨対向表面のそれぞれ前方部分及び前方面取り部分、並びに後方部分及び後方面取り部分を示す更なる大腿骨コンポーネントの等角図である。
図6】大腿骨コンポーネントの骨対向表面のそれぞれ前方部分及び前方面取り部分、並びに後方部分及び後方面取り部分を示す更なる大腿骨コンポーネントの等角図である。
図7】大腿骨コンポーネントの骨対向表面のそれぞれ前方部分及び前方面取り部分、並びに後方部分及び後方面取り部分を示す更に別の大腿骨コンポーネントの等角図である。
図8】大腿骨コンポーネントの骨対向表面のそれぞれ前方部分及び前方面取り部分、並びに後方部分及び後方面取り部分を示す更に別の大腿骨コンポーネントの等角図である。
図9図5及び6に示す大腿骨コンポーネントの、図5の線S−S上における横断面図である。
図10】大腿骨コンポーネントの骨対向表面のそれぞれ前方部分、前方面取り部分、及び遠位部分、並びに後方部分、後方面取り部分、及び遠位部分を示す大腿骨コンポーネントの等角図である。
図11】大腿骨コンポーネントの骨対向表面のそれぞれ前方部分、前方面取り部分、及び遠位部分、並びに後方部分、後方面取り部分、及び遠位部分を示す大腿骨コンポーネントの等角図である。
図12】切断ブロックの等角図である。
図13図12の切断ブロックの外表面を示す立面図である。
図14図12の切断ブロックの骨係合表面を示す正面図である。
図15】矢印の方向で見た場合の、図13の線4−4に沿った切断ブロックの断面立面図である。
図16】1対の固定ピンが取り付けられた、患者の大腿骨の遠位端部の等角図である。
図17図16に類似した図であるが、患者の大腿骨の遠位端部上で前方切断及び後方切断を実施するために使用されている、図12の切断ブロックを示している。
図18図17に類似した図であるが、患者の大腿骨の遠位端部上で面取り切断を実施するために使用されている、図12の切断ブロックを示している。
図19】患者の大腿骨と人工膝関節の大腿骨コンポーネントとの間の界面の前方面取り部分、遠位部分、及び後方面取り部分の概略図であり、この図において、陥凹及びレール機構が、界面の前方面取り部分及び後方面取り部分に設けられている。
図20】患者の大腿骨と人工膝関節の大腿骨コンポーネントとの間の界面の前方面取り部分、遠位部分、及び後方面取り部分の概略図であり、この図において、陥凹及びレール機構が、界面の遠位部分に設けられている。
【発明を実施するための形態】
【0060】
図面を参照すると、図1及び2は、患者の左膝内の植え込みに適した人工膝関節の大腿骨コンポーネント2を示している。このコンポーネントは、脛骨支持表面と関節をなすための支持表面4と、その反対の骨対向表面6とを有している。支持表面は、低摩擦性の関節をなすように、高度に研磨されている。高度に研磨された支持表面を整形外科用の人工関節コンポーネント上に設けることは周知である。いくつかの用途に対しては、骨対向表面にヒドロキシアパタイト材料のコーティングが設けられることが適切となり得る。骨セメントの使用を伴わない植え込みを目的とした植え込みコンポーネントの骨対向表面上に、そのようなコーティングを設けることは周知である。
【0061】
大腿骨コンポーネントは、後方に外側顆状リム及び内側顆状リム8、10を有し、これらは、天然の膝内の顆間窩に対応する間隙12だけ分離している。この間隙は十字靱帯を収容し得る。
【0062】
骨対向表面6は、大腿骨とその前方側で係合するための前方部分18と、大腿骨とその後方側で係合するための後方部分20と、大腿骨の遠位端面と係合するための遠位部分22とを有する。
【0063】
骨対向表面6は、前方部分及び遠位部分の各々に対して傾斜する、前方部分8と遠位部分22との間に位置する前方面取り部分24を有する。骨対向表面6はまた、後方部分及び遠位部分の各々に対して傾斜する、後方部分20と遠位部分22との間に位置する後方面取り部分26を有する。
【0064】
外側顆状リム8と内側顆状リム10との間隙12は、前方面取り部分に向かってコンポーネントの遠位部分にわたって延びる。
【0065】
前方部分8、後方部分20、遠位部分22、前方面取り部分24、及び後方面取り部分26の各々は平面的である。前方部分の平面と後方部分の平面が互いから発散することがしばしば好ましくなる。例えば、前方部分の平面と、遠位部分に対して平行な平面との間の角度は約5°である。例えば、後方部分の平面と、遠位部分に対して平行な平面との間の角度は約1°である。前方面取り部分と遠位部分との間の角度は約48°である。後方面取り部分と遠位部分との間の角度は約44.5°である。
【0066】
骨対向表面6の遠位部分22は、遠位部分22から垂直に延びる外側ペグ及び内側ペグ30、32を有する。これらのペグは、丸み付きの自由端部に向かって、内向きに先細にされている。
【0067】
図1で分かるように、コンポーネントの骨対向表面6の前方面取り部分24は、外側縁部にある外側レール40と、内側縁部にある内側レール42とを有する。前方面取り部分24は、溝領域の中に中央リブ44を有し、この中央リブ44の幅は、外側顆状リム8と内側顆状リム10との間隙12の幅よりもわずかに広い。陥凹46が、外側レール40と内側レール42との間に位置している。短い中央リブ44が、外側顆と内側顆との間隙12の前方端部に設けられている。このリブは、コンポーネントの骨対向表面の遠位部分と前方面取り部分24とを架橋している。
【0068】
図2で分かるように、コンポーネントの骨対向表面6は、外側顆状リム8及び内側顆状リム10の各々の上にある後方面取り部分26A、26Bを含んでいる。外側顆状リム8上の後方面取り部分26Aは、外側縁部にある外側レール50と、その反対側のレール52とを有している。外側陥凹54が、外側レール50と内側レール52との間に位置している。内側顆状リム10上の後方面取り部分26Bは、内側縁部にある内側レール56と、その反対側のレール58とを有している。内側陥凹60が、内側レール56と反対側のレール58との間に位置している。
【0069】
上述したレールの各々は2mmの幅を有している。陥凹の深さは0.5mmである。
【0070】
陥凹54、60によってもたらされる、骨対向表面6の後方面取り部分26の面積の比率は、少なくとも約60%、例えば、ある実施形態においては約64%、又は別の実施形態においては約84%である。
【0071】
陥凹46によってもたらされる、骨対向表面6の前方面取り部分24の面積の比率は、少なくとも約90%である。
【0072】
大腿骨コンポーネントは、骨対向表面6の遠位部分22上にノッチ62を有し、このノッチ62は、コンポーネントが患者の大腿骨上に植え込むために操作され得るように、コンポーネントを把持するために使用され得る器具の先端を受容し得る。このようにして使用され得る大腿骨コンポーネントの植え込み器具の一例が、国際公開特許第2012/001385号に開示されている。
【0073】
図3及び4は、図1及び2に示すコンポーネントと共通する特徴を有する大腿骨コンポーネント102を示している。それらの特徴を示すために、同じ参照符号が図3及び4で使用されている。
【0074】
図3及び4に示す大腿骨コンポーネント102は、患者の後十字靱帯が犠牲にされている状況における植え込みのために構成されている。膝関節は、大腿骨コンポーネント上のカムによって係合される、脛骨上の支柱(一般に脛骨(図示せず)上の支持コンポーネント上に設けられる)によって膝が伸展されるとき、脛骨に対して大腿骨が後方に並進することに対して安定化される。したがって、図3及び4に示す大腿骨コンポーネント102は、外側顆8と内側顆10との間の空間に、つまり顆間の間隙に設けられた箱形構造を有している。カム106が箱形構造の後方縁部に設けられており、このカム106は、膝が伸展されるときに、脛骨コンポーネント上の支柱と係合する。
【0075】
図3及び4に示す大腿骨コンポーネント102において、箱形構造104は、外側縁部と内側縁部との間の中央領域において、顆間の間隙12の後方端部から、コンポーネントの骨対向表面6の後方部分20、後方面取り部分26、及び遠位部分22を通じて、前方面取り部分24へと延びていることが分かる。
【0076】
箱形構造104はまた、外側顆状リム8上における後方面取り部分26Aの内側への延びを画定し、後方面取り部分26Aはしたがって、外側レール50及び箱形構造を延ばしている。箱形構造104はまた、内側顆状リム10上における後方面取り部分26Aの外側への延びを画定し、後方面取り部分26Bはしたがって、内側レール56と箱形構造との間に延びている。
【0077】
図5及び6は、図1及び2に示すコンポーネントと共通する特徴を有する大腿骨コンポーネント152を示している。それらの特徴を示すために、同じ参照符号が図5及び6で使用されている。
【0078】
図5及び6に示す大腿骨コンポーネントは、骨対向表面6の前方面取り部分24を横断して前後方向に延びる中央リブ154を有するという点で、図1及び2に示す大腿骨コンポーネントとは異なっている。このリブは、溝領域の中に位置し、外側顆状リム8と内側顆状リム10との間隙12の幅よりもわずかに広い幅を有する。外側陥凹156が、外側レール40と中央リブ154との間に位置している。内側陥凹158が、内側レール42と中央リブ154との間に位置している。中央リブ154は、溝領域において大腿骨コンポーネントの前方面取り部分を補強するのに役立ち得る。
【0079】
付加的な2本のレール160が、骨対向表面6の前方面取り部分24において外側陥凹156を横断して延びている。更なる付加的なレール162が、外側陥凹158を横断して延びている。これらの付加的なレールは直線状である。それらは、大腿骨コンポーネントの内側縁部及び外側縁部と概ね整合しており、概ね前後方向に延びるように内側縁部及び外側縁部から離間している。付加的なレールの各々は、各々が位置している陥凹の底部から離れる方向に、レールの上縁部に向かって、内向きに先細となっており、そのため、レールは底部よりも上縁部においてより狭小となっている。このことは、調整された大腿骨の表面に付加的なレールによって貫入することを増進し得る。
【0080】
図5及び6に示す大腿骨コンポーネント160は、骨対向表面6の外側後方面取り部分及び内側後方面取り部分26A、26Bにおいて、陥凹54、60の各々を横断して延びる3本の付加的なレール164を有している。これらの付加的なレールは直線状である。それらは、大腿骨コンポーネントの内側縁部及び外側縁部と概ね整合しており、概ね前後方向に延びるように内側縁部及び外側縁部から離間している。前方面取り部分と同様に、後方面取り部分において陥凹54、60を横断して延びる付加的なレールは、それらの頂縁部に向かって内向きに先細にされている。
【0081】
陥凹156、158によってもたらされる、骨対向表面6の前方面取り部分24の面積の比率は、少なくとも約60%、例えば約63%である。
【0082】
図7及び8は、図1及び2に示すコンポーネントと共通する特徴を有する大腿骨コンポーネント202を示している。それらの特徴を示すために、同じ参照符号が図7及び8で使用されている。
【0083】
したがって、図7及び8に示す大腿骨コンポーネントは、外側顆8と内側顆10との間の空間に、つまり顆間の間隙に設けられた箱形構造204を有する後方安定型(PS)大腿骨コンポーネント202である。カム206が箱形構造の後方縁部に設けられており、このカム206は、膝が伸展されるときに、適切な脛骨コンポーネント上の支柱と係合する。これらの特徴は、図3及び4を参照して上記で説明した大腿骨コンポーネント102に存在する。
【0084】
図7及び8に示す大腿骨コンポーネントはまた、中央リブ208と、骨対向表面6の前方面取り部分24において外側陥凹及び内側陥凹156、158を横断して延びる付加的なレール210と、骨対向表面6の外側後方面取り部分2及び内側後方面取り部分26A、26Bにおいて陥凹54、60の各々を横断して延びる付加的なレール212とを有している。中央リブ及び付加的なレールは、図5及び6に示す大腿骨コンポーネントに関連して上で考察した特徴を有している。
【0085】
図9は、図5及び6に示す大腿骨コンポーネントの、図5の線S−S上におけるコンポーネントの前方面取り部分を通じた横断面図である。面取り部分に設けられた陥凹は、横断面図で確認可能である。コンポーネントの前方部分、遠位部分、及び後方部分上の骨接触表面が大腿骨の対応する表面と係合するとき、レール40、42及び付加的なリブ160、162の上縁部が面取り表面と接触する状態で、陥凹の底部が大腿骨の面取り表面から離間するよう、大腿骨の前方面取り表面及び後方面取り表面が配置されるように、大腿骨が調製されるべきであると意図されている。
【0086】
切断ブロックが、前方、後方、及び前後の面取り切断を実施するために、大腿骨の遠位面に当接して配置され得る。切断ブロックは、それらの切断工程の間に鋸刃を案内するために使用され得る表面を含んでいる。しかしながら、複数の切断ブロックがこれらの切断を実施するために使用され得ることが認識される。例えば、第1の切断ブロックが前後の切断を案内するために使用されてもよく、また第2の切断ブロックが面取り切断を案内するために使用されてもよい。
【0087】
本発明によって提供される大腿骨コンポーネントを受容するように大腿骨を調製するために、前方面取り切断及び後方面取り切断のうちの一方又は各々を実施するときに刃を案内するために使用される切断ブロックは、骨の面取り表面上の切断された骨によって画定される切除平面と、コンポーネントの骨対向表面の面取り部分のうちの一方又は各々にある陥凹の底部との間に、クリアランスを設けるように刃を配置する。好ましくは、このクリアランスは、陥凹又は各陥凹を画定するレールが、骨の面取り表面又は各面取り表面上の切断された骨と接触するようなものであるべきである。
【0088】
図10及び11は、患者の左膝内の植え込みに適した人工膝関節の大腿骨コンポーネント302を示している。このコンポーネントは、脛骨支持表面と関節をなすための支持表面304と、その反対の骨対向表面306とを有している。支持表面は、低摩擦性の関節をなすように、高度に研磨されている。高度に研磨された支持表面を整形外科用の人工関節コンポーネント上に設けることは周知である。いくつかの用途に対しては、骨対向表面にヒドロキシアパタイト材料のコーティングが設けられることが適切となり得る。骨セメントの使用を伴わない植え込みを目的とした植え込みコンポーネントの骨対向表面上に、そのようなコーティングを設けることは周知である。
【0089】
大腿骨コンポーネントは、後方に外側顆状リム及び内側顆状リム308、310を有し、これらは、天然の膝内の顆間窩に対応する間隙312だけ分離している。この間隙は十字靱帯を収容し得る。
【0090】
骨対向表面306は、大腿骨とその前方側で係合するための前方部分318と、大腿骨とその後方側で係合するための後方部分320と、大腿骨の遠位端面と係合するための遠位部分322とを有する。
【0091】
骨対向表面306は、前方部分及び遠位部分の各々に対して傾斜する、前方部分318と遠位部分322との間に位置する前方面取り部分324を有する。骨対向表面306はまた、後方部分及び遠位部分の各々に対して傾斜する、後方部分320と遠位部分322との間に位置する後方面取り部分326を有する。
【0092】
外側顆状リム308と内側顆状リム310との間隙312は、前方面取り部分に向かってコンポーネントの遠位部分にわたって部分的に延びる。
【0093】
前方部分318、後方部分320、遠位部分322、前方面取り部分324、及び後方面取り部分326の各々は平面的である。前方部分の平面と後方部分の平面が互いから発散することがしばしば好ましくなる。例えば、前方部分の平面と、遠位部分に対して平行な平面との間の角度は約5°である。例えば、後方部分の平面と、遠位部分に対して平行な平面との間の角度は約1°である。前方面取り部分と遠位部分との間の角度は約48°である。後方面取り部分と遠位部分との間の角度は約44.5°である。
【0094】
コンポーネントの骨対向表面306は、外側顆状リム及び内側顆状リム308、310の各々上の遠位部分322A、322Bと、後方面取り部分326A、326bと、後方部分320A、320Bとを含んでいる。
【0095】
骨対向表面306の遠位部分322は、遠位部分322から垂直に延びる外側ペグ及び内側ペグ330、332を有している。これらのペグは、丸み付きの自由端部に向かって、内向きに先細となっている。
【0096】
図10及び11で分かるように、外側顆状リム308上の遠位部分322Aは、外側縁部にある外側レール350と、その反対側のレール352とを有している。外側陥凹354が、外側レール350と内側レール352との間に位置している。内側顆状リム310上の遠位部分322Bは、内側縁部にある内側レール356と、その反対側のレール358とを有している。内側陥凹360が、内側レール356と反対側のレール358との間に位置している。
【0097】
上述したレールの各々は2mmの幅を有している。陥凹の深さは0.5mmである。
【0098】
陥凹354、360によってもたらされる、骨対向表面306の遠位部分322A、322Bの面積の比率は、少なくとも約90%である。
【0099】
大腿骨コンポーネントは、骨対向表面306の遠位部分322上にノッチ362を有し、このノッチ362は、コンポーネントが患者の大腿骨上に植え込むために操作され得るように、コンポーネントを把持するために使用され得る器具の先端を受容し得る。
【0100】
図12〜15は、人工膝関節置換手技の間に患者の遠位大腿骨の外科的調製に使用するための4−in−1型切断ブロック512を示している。人工膝関節置換手技の間に患者の大腿骨の外科的調製に使用するための、このガイドブロック及び他のガイドブロックが、欧州公開特許第2774554号に開示されており、本発明のシステムにおいて使用され得るガイドブロックの例となっている。以下で考察するように、4−in−1型切断ブロック512は、患者の遠位大腿骨上において4種類の切断を同じブロックで実施するために使用される。これらの切断は、前方切断、後方切断、及び2つの面取り切断である。
【0101】
4−in−1型切断ブロック512は、例えば、ポリアミド、ポリ(フェニルスルホン)、又はポリケトンなどの高分子材料から形成され得る。骨鋸を案内するための切断ガイド面、並びにドリル及び外科用ピンを案内するためのブッシングなどの外科器具を案内するために使用される表面は、例えば、鋼、チタン合金、又はコバルトクロム合金などの金属材料から形成される。そのように金属製コンポーネント又は「インサート」を使用することによって、外科器具がブロック本体の高分子材料と接触することが防止される。
【0102】
本願に記載されている金属製コンポーネントは、多種多様な方式でポリマー製の4−in−1型切断ブロックに固定され得る。例えば、金属製コンポーネントは、ポリマー製切断ブロックにオーバーモールドされるか、ないしは別の方法で、ブロックの成形プロセスの一部としてそれに取り付けられ得る。また、金属製コンポーネントは、切断ブロックに溶接されるか、又は接着剤で切断ブロックに取り付けられてもよい。金属製コンポーネントを取り付ける他の方法もまた使用され得る。
【0103】
4−in−1型切断ブロック512は、外表面520と、外表面520の反対側に位置する骨係合表面522とを含んでいる。4−in−1型切断ブロック512は、その前方端部526の付近に形成された前方切断スロット524を有している。前方切断スロット524は、内側/外側方向に延びる細長いスロットである。前方切断スロット524は、4−in−1型切断ブロック512の全厚を通じて延びている。前方切断スロット524はしたがって、切断ブロックの外表面520から骨係合表面522へと延びており、そのため両表面に対して開放している。金属製の前方切断ガイド528は、ポリマー製の4−in−1型切断ブロック512の前方切断スロット524内に固定される。前方切断ガイド528は、前方切断スロット524の内側に並んで配置され、捕捉型の切断ガイドとして具体化されている(すなわち、鋸刃を中に捕捉するように全ての側で閉鎖されている)が、別の方法としては、切断ブロック512及び切断ガイド528は非捕捉型の切断ガイドとして実現され得る。前方切断ガイド528は、外科用鋸刃(図15を参照)又はその他の切断器具を受容し、整形外科手技中に患者の大腿骨の前方表面を切除するよう鋸刃を配向するように、大きさ及び形状を定められている。
【0104】
4−in−1型切断ブロック512は、その後方端部532付近に形成された後方切断表面530を有している。後方切断表面530は、内側/外側方向に延びる細長い表面である。後方切断表面530は、4−in−1型切断ブロック512の全厚を通じて延びている。後方切断スロットしたがって、切断ブロックの外表面520から骨係合表面522へと延びている。金属製の後方切断ガイド534は、ポリマー製の4−in−1型切断ブロック512の後方切断表面530に固定される。後方切断ガイド534は、外科用鋸の刃(図15を参照)又はその他の切断器具を支持及び案内し、整形外科手技中に患者の大腿骨の後方表面を切除するよう刃を配向するように、大きさ及び形状を定められている。図面に示す後方切断ガイド534は、非捕捉型の切断ガイドである。この切断ガイドの特徴は、捕捉型の切断ガイドに組み込まれ得る。
【0105】
4−in−1型切断ブロック512は、その中央付近に形成された面取り切断スロット536を有する。具体的に言えば、面取り切断スロット536は、前方切断スロット524の後方にかつ後方切断表面530の前方に位置する。面取り切断スロット536は、内側/外側方向に延びる細長いスロットである。面取り切断スロット536は、4−in−1型切断ブロック512の全厚を通じて延びている。このスロットはしたがって、切断ブロックの外表面520から骨係合表面522へと延びており、その結果として、両表面に対して開放している。面取り切断スロット536は、内側/外側方向に延びる前方縁部540、及び前方縁部540から離間し、同様に内側/外側方向に延びる後方縁部542を含む、4−in−1型切断ブロックの側壁538によって画定されている。面取り切断スロット536は、拡大された丸み付き内側端部及び外側端部を有する。具体的に言えば、面取り切断スロット536を画定する側壁538の内側縁部544は、形状において円筒状(すなわち、図13の正面図で見ると円形)であり、スロット536のA/P幅(すなわち、側壁538の前方縁部540と後方縁部542との間の距離)より大きい直径を有する。面取り切断スロット536の反対側の端部では、側壁538の外側縁部546は形状及び大きさにおいて同一である。したがって、図面に示すデバイスにおいて、面取り切断スロット536は、細長い平面的なスロットによって連結された対向する内側端部と外側端部で離間された2つのシリンダの形態をとる。
【0106】
図12、13、及び15に示すように、金属製の捕捉型面取り切断ガイド組立体550が、面取り切断スロット536内に配置される。組立体550は、面取り切断スロット536の前方側を画定する側壁538の前方縁部540に固定された金属製の平面切断ガイド552を、面取り切断スロット536の後方側を画定する側壁538の後方縁部542に固定された金属製の平面切断ガイド554と共に含んでいる。図15に最良に示すように、平面切断ガイド552、554は、前方向/後方向に互いに離間しており、互いに対して斜角をなして構成されている。平面切断ガイド552、554の長手方向軸線は、内側/外側方向に延びている。
【0107】
捕捉型の面取り切断ガイド組立体の内側端及び外側端部は、1対の金属製ブッシング556、558によって画定されている。具体的に言えば、金属製ブッシング556は、面取り切断スロット536の拡大されたシリンダ形状の内側端部内に配置されている。金属製ブッシング556はしたがって、面取り切断スロット536の内側端部を画定する側壁538の内側縁部544と接触して固定される。金属製ブッシング558は、面取り切断スロット536の拡大されたシリンダ形状の外側端部内に配置されている。金属製ブッシング558はしたがって、面取り切断スロット536の外側端部を画定する側壁538の外側縁部546と接触して固定される。
【0108】
金属製ブッシング556、558は、シリンダ形状をなしており、それらを貫いて延びる細長い穴560を有している。細長い穴560は、4−in−1型切断ブロックを患者の遠位大腿骨にピン止めするための固定ピン又はガイドピン(図18を参照)を、また外科医が所望する場合、患者の大腿骨がガイドピンの導入に先立って事前に穿孔され得るよう任意選択でドリルを受容するように大きさを定められている。金属製ブッシング556、558は形状において同一であり、環状の形状をなす外表面562を含んでいる。図13で分かるように、金属製ブッシング556の外表面562は、平面切断ガイド552、554の内側端部564に配置されており、金属製ブッシング558の外表面562は、平面切断ガイド552、554の外側端部566に配置されている。図面に示すデバイスにおいて、金属製ブッシング556、558の外表面562は、平面切断ガイド552、554のそれぞれ内側端端部564及び外側端部566からわずかに離間されている(すなわち、ブッシング556、558は、平面切断ガイド552、554と接触して配置されていない)。そのような離間によって、骨鋸の刃の捕捉が可能になり、同時に製造プロセスにおける過度に厳しい許容誤差が軽減される。しかしながら、金属製ブッシング556、558が、平面切断ガイド552、554のそれぞれ内側端部564及び外側端部566と接触して配置され得ることも予想される。
【0109】
図12及び15に最良に示すように、4−in−1型切断ブロック512は、その骨係合表面522に固定された楔コンポーネント570を有している。4−in−1型切断ブロック512と同様に、楔コンポーネント570は、高分子材料から形成される。楔コンポーネント570は、楔形状の切断表面572を有している。楔形状の切断表面の「前」縁部574は、面取り切断スロット536の中に延びている。金属製の平面切断ガイド576は、楔形状の切断表面572の前方表面578に固定され、金属製の平面切断ガイド580は、楔形状の切断表面572の後方表面582に固定される。切断ガイド552、554と同様に、平面切断ガイド576、580は、互いに離間しており、互いに対して斜角をなして構成されている。平面切断ガイド576、580の長手方向軸線は、内側/外側方向に延びている。図15で分かるように、切断ガイド576は、切断ガイド552から離間しかつ切断ガイド552と平行であり、切断ガイド580は、切断ガイド554から離間しかつ切断ガイド554に平行である。このようにして、切断ガイド552、576は、前方面取り切断の実施中に協働して鋸刃を案内し、切断ガイド554、580は、後方面取り切断の実施中に協働して鋸刃を案内する(図18を参照)。
【0110】
平面切断ガイド552、554と同様に、金属製ブッシング556の外表面562は、平面切断ガイド576、580の内側端部に配置され、金属製ブッシング558の外表面562は、平面切断ガイド576、580の外側端に配置される。図面に示すデバイスにおいて、金属製ブッシング556、558の外表面562は、平面切断ガイド576、580のそれぞれ内側端部及び外側端部からわずかに離間されている(すなわち、ブッシング556、558は、平面切断ガイド576、580と接触して配置されていない)。そのような離間によって、骨鋸の刃の捕捉が可能になり、同時に製造プロセスにおける過度に厳しい許容誤差が軽減される。しかしながら、金属製ブッシング556、558が、平面切断ガイド576、580のそれぞれ内側端部及び外側端部と接触して配置されることも予想される。
【0111】
4−in−1型切断ブロック512は、その中に画定された複数のガイド穴586を有し、それらのガイド穴586は、1対の固定ピン又はガイドピン588を受容するように大きさを定められている(図17を参照)。ガイド穴586は、前方切断スロット524と面取り切断スロット536との間に配置され、切断ブロック512の外表面520と骨係合表面522との間に延びる。以下に詳述するように、穴586は、固定ピン588を取り外す必要なしに、外科医が患者の大腿骨上の切断ブロック512の位置を変更することを可能にするように、食い違いパターンをなして構成される。
【0112】
4−in−1型切断ブロック512はまた、面取り切断536と後方切断表面530との間に配置された別の複数のガイド穴590を含む。各ガイド穴590は、ガイド穴586と同様の方式で固定ピン588のうちの1つを受容するように大きさを定められ、それによって切断ブロック512の外表面520と骨係合表面522との間に延びる。ガイド穴586と同様に、ガイド穴590は、外科医が固定ピン588を除去する必要なしに患者の大腿骨上の切断ブロック512の位置を変更することを可能にするように、食い違いパターンをなして構成される。
【0113】
手術中、外科医は、人工大腿骨コンポーネントを受容するように、整形外科器具510を使用して患者の大腿骨100の遠位端部518を調製し得る。そのようにするためには、外科医は、4−in−1型切断ブロック512を患者の大腿骨100に固定し、次いで、切断ブロック512の金属製切断ガイドを使用して、大腿骨の遠位端部518を連続して4か所切除する際に、切断鋸刃を案内し得る。
【0114】
整形外科手技の間、外科医は最初に患者の大腿骨100の遠位端部518を切除して、外科的に調製された遠位表面592を形成し得る。外科医は次いで、図16に示すように、患者の大腿骨100の外科的に調製された遠位表面592に1対の固定ピン588を固定し得る。そうするために、外科医は、人工大腿骨コンポーネントに合わせて患者の大腿骨100をサイジングし、大腿骨の回転を設定し得る。大腿骨のサイジング及び回転設定手技の間に固定ピンを位置決めするための手順が、DePuy Orthopaedics,Incから入手可能であるSIGMA Fixed Reference Surgical Technique(2010)と称される外科技法文書に記載されている。大腿骨コンポーネントをサイジングし、回転を設定した後、外科医は、患者の大腿骨100の外科的に調製された遠位表面に固定ピン588を取り付け得る。
【0115】
固定ピン588を取り付けた後、外科医は、4−in−1型切断ブロック512を患者の大腿骨100の外科的に調製された遠位表面592上に配置し得る。そのようにするために、外科医は、固定ピン588のシャフト594を4−in−1型切断ブロック512の1対のガイド穴586と整合させ得る。外科医は次いで、4−in−1型切断ブロック512を、シャフト594を越えて患者の大腿骨100の外科的に調製された遠位表面592に向かう方向に前進させ得る。図17に示すように、器具510が患者の大腿骨100の遠位端部518上に配置されると、4−in−1型切断ブロック512の骨係合表面522は、外科的に調製された遠位表面592に接触する。外科医が4−in−1型切断ブロック512を再配置することを望む場合、外科医は、ガイド穴586の別の組み合わせを使用して、患者の大腿骨100上の切断ブロック512の位置を変更し得る。更なる固定が必要な場合、外科医は、4−in−1型切断ブロック512内に画定されたガイド穴590を通して、追加の固定ピン588を挿入し得る。
【0116】
このようにして導入すると、外科医は、4−in−1型切断ブロック512を使用して、患者の大腿骨100の遠位端部518の切除を複数回、行い得る。例えば、図17に示すように、前方切断ガイド528は、患者の大腿骨100の遠位端部518を通じて延びる切除平面を画定する。外科医は、例えば外科用切断鋸596などの切断工具を、前方切断ガイド528を通じて前進させて、患者の大腿骨100と係合させ、外科用鋸596を操作して、人工大腿骨コンポーネントを受容するように患者の大腿骨100の前方表面を外科的に調製し得る。外科医は同様に、後方切断ガイド534を使用して患者の大腿骨100の後方顆598を切除し、人工大腿骨コンポーネントを受容するように患者の大腿骨100の後方表面を外科的に調製し得る。
【0117】
図18に示すように、外科医はまた、捕捉型面取り切断ガイド組立体550を楔コンポーネント570の平面切断ガイド576、580と共に使用して、患者の大腿骨100上に面取り切断を行い得る。そのようにするために、外科医はまず、面取り切断ガイド組立体550の金属製ブッシング556、558の細長い穴560を通じて固定ピン588を挿入し得る。外科医は次いで、ガイド穴586、590内に配置された固定ピン588が面取り切断プロセスの妨げとなるので、ガイド穴586、590から任意の固定ピン588を取り外し得る。外科医は次いで、前方面取り切断を実施する間、切断ガイド552、576間の開口部を通じて外科用切断鋸596を案内し(図18に実線で示す)、次いで、後方面取り切断を実施する間、切断ガイド554、580間の開口部を通じて鋸596を案内するように、鋸596を前進させ得る。
【0118】
そのような面取り切断を実施する間、金属製切断ガイド552、554は、4−in−1型切断ブロック512の高分子本体に鋸596が係合するのを防止するための鋸止めとして機能し、この鋸止めが、面取り切断スロット536の前方縁部及び後方縁部を画定する。同様に、金属製ブッシング556、558の外表面562は、4−in−1型切断ブロック512の高分子本体に鋸が係合するのを防止するための鋸止めとして機能し、この鋸止めが、面取り切断スロット536の内側縁部及び外側縁部を画定する。同様に、楔コンポーネントの金属切断ガイド576、580は、楔コンポーネントの楔型切断表面572に鋸596が係合するのを防止するための鋸止めとして機能する。
【0119】
楔コンポーネント570の前方側の切断ガイド578は、患者の大腿骨上に前方面取り切断の平面537を画定する。この平面と、骨対向表面の平面と面取り切断の平面との交線同士の間の中間で、楔コンポーネント570の骨対向表面の中点からこの平面に平行に延びる基準線539との間の距離は、GAntである。
【0120】
楔コンポーネント570の後方側の切断ガイド580は、患者の大腿骨上に後方面取り切断の平面541を画定する。この平面と、骨対向表面の平面と面取り切断の平面との交線同士の間の中間で、楔コンポーネント570の骨対向表面の中点からこの平面に平行に延びる基準線543との間の距離は、GPostである。
【0121】
遠位基準線が、前方面取り切断及び後方面取り切断の平面537、541の交線において画定される。この基準線上にある各平面の交差点は、図15の立断面図において参照番号545で示される。この基準線と骨係合表面522の平面との間の距離はGDistである。
【0122】
図19は、患者の大腿骨と人工膝関節の大腿骨コンポーネントとの間の界面の前方面取り部分、遠位部分、及び後方面取り部分の概略図である。太い黒線は、骨702と大腿骨コンポーネント704との間の界面700を表している。この界面は、前方面取り部分706と、遠位部分708と、後方面取り部分710とを有している。前方基準線712が、前方面取り部分の平面に対して平行に、界面の遠位部分708上の点714から延び、この点714は、前方面取り部分及び後方面取り部分706、710から等距離にある。後方基準線716が、後方面取り部分の平面に対して平行に、界面の遠位部分708上の点710から延び、この点710は、前方面取り部分及び後方面取り部分706、710から等距離にある。この基準線は、遠位部分及び面取り部分に対して垂直である平面内で延びる。大腿骨の面取り切断の平面に対して画定される基準線、並びに、大腿骨コンポーネントの骨対向表面の面取り部分に対して画定される基準線の位置は、調製された大腿骨上に大腿骨コンポーネントが適切に位置するときに一致するため、図面にはこれらの基準線の位置が示されている。前方基準線から前方面取り切断の平面までの距離はGAntであり、後方基準線から後方面取り切断の平面までの距離はGPostである。
【0123】
図1〜9を参照して上記で説明したように、陥凹及びレール機構が大腿骨コンポーネントの前方面取り部分及び後方面取り部分上に設けられる。骨対向表面の前方面取り部分における陥凹の底部は、点線718で示す、調製された大腿骨の表面の前方面取り部分706から離間している。骨対向表面の前方面取り部分上のレールは、点線720で示す、調製された大腿骨の表面の前方面取り部分706の表面を貫いている。同様に、骨対向表面の後方面取り部分における陥凹の底部は、点線722で示す、調製された大腿骨の表面の後方面取り部分710から離間している。骨対向表面の後方面取り部分上のレールは、点線724で示す、調製された大腿骨の表面の後方面取り部分706の表面を貫いている。前方基準線712から前方面取り陥凹の底部718までの距離はIAntRecessである。前方基準線712から前方レールまでの距離はIAntRailである。後方基準線716から後方面取り陥凹の底部722までの距離はIPostRecessである。後方基準線716から後方レールまでの距離はIPostRailである。
【0124】
(IAntRecess−GAnt)の値は少なくとも約0.5mm、例えば約1mmである。(IPostRecess−GPost)の値は少なくとも約0.5mm、例えば約1mmである。これは、骨の表面と陥凹の底部との間隙の大きさの尺度となる。
【0125】
(GAnt−IAntRail)の値は少なくとも約0.05mm、例えば約0.5mmである。(GPost−IPostRails)の値は少なくとも約0.05mm、例えば約0.5mmである。これは、レールが骨の表面に貫入する深さの尺度となる。
【0126】
図20は、患者の大腿骨と人工膝関節の大腿骨コンポーネントとの間の界面の前方面取り部分、遠位部分、及び後方面取り部分の概略図である。太い黒線は、骨802と大腿骨コンポーネント804との間の界面800を表している。この界面は、前方面取り部分806と、遠位面取り部分808と、後方面取り部分810とを有している。基準線812(図面が提示されているページの平面へと延びる)が、前方面取り部分及び後方面取り部分の各平面の交線に画定される。大腿骨の面取り切断の平面に対して画定される基準線、並びに、大腿骨コンポーネントの骨対向表面の面取り部分に対して画定される基準線の位置は、調製された大腿骨上に大腿骨コンポーネントが適切に位置するときに一致するため、図面にはこれらの基準線の位置が示されている。この基準線から界面800の遠位部分808の平面までの距離はGDistである。
【0127】
図10及び11を参照して上記で説明したように、陥凹及びレール機構が大腿骨コンポーネントの骨対向表面の遠位部分上に設けられる。骨対向表面の前方面取り部分における陥凹の底部は、点線818で示す、調製された大腿骨の表面の遠位部分806から離間している。骨対向表面の遠位部分上のレールは、点線820で示す、調製された大腿骨の表面の遠位部分806の表面を貫いている。基準線812から遠位陥凹の底部818までの距離はIDistRecessである。前方基準線812から遠位レールまでの距離はIDistRailである。
【0128】
(GDist−IDistRecess)の値は少なくとも約0.5mm、例えば約1mmである。これは、骨の表面と陥凹の底部との間隙の大きさの尺度となる。
【0129】
(IDistRail−GDist)の値は少なくとも約0.05mm、例えば約0.5mmである。これは、レールが骨の表面に貫入する深さの尺度となる。
【0130】
大腿骨コンポーネントの骨対向表面のうちの1つ又は2つ以上の部分(特にそれらの部分の各々)が、組織とコーティングされた表面との界面で骨が生成されるときに骨組織との強力な物理的連結の形成を促進する材料(例えば、Ca10(PO(OH))などのセラミックヒドロキシアパタイト)のコーティングによってもたらされる場合、露出したコーティングの表面に対して測定がなされる。
【0131】
本発明によって提供される大腿骨コンポーネントの植え込みに適合され得る外科手技の詳細は、2011年にDePuy Orthopaedics,Incから発行された、Attune Surgical Techniqueという名称の文書に見出され得る。
【0132】
〔実施の態様〕
(1) 患者の膝に対する外科手技において使用するためのシステムであって、
a.脛骨支持表面と関節をなすための支持表面と、反対側の骨対向表面とを有する人工膝関節の大腿骨コンポーネントであって、前記骨対向表面は、
i.前記大腿骨とその前方側で係合するための前方部分と、
ii.前記大腿骨とその後方側で係合するための後方部分と、
iii.前記大腿骨の前記遠位端面と係合するための遠位部分と、
iv.前記前方部分及び前記遠位部分の各々に対して傾斜する、前記前方部分と前記遠位部分との間に位置する前方面取り部分と、
v.前記後方部分及び前記遠位部分の各々に対して傾斜する、前記後方部分と前記遠位部分との間に位置する後方面取り部分とを有し、
前記骨対向表面の前記遠位部分、前方部分、及び後方部分の各々は、その領域の少なくとも一部にわたって平面的である、大腿骨コンポーネントと、
b.前記前方面取り切断及び後方面取り切断が実施され得る平面の、遠位切除切断の平面に対する位置を画定するように、前記遠位切除切断がなされている患者の大腿骨の遠位面に締結され得る、平面的な遠位表面を有するガイドブロックであって、(a)前記前方面取り切断の前記平面に対して平行に延び、前記遠位表面の前記平面と前記前方面取り切断の前記平面との交線と、前記遠位表面の前記平面と前記後方面取り切断の前記平面との交線との間の中間の点で、前記遠位表面の前記平面と交差する前方基準線と、(b)前記前方面取り切断の前記平面との間の距離はGAntであり、(a)前記後方面取り切断の前記平面に対して平行に延び、前記遠位表面の前記平面と前記前方面取り切断の前記平面との交線と、前記遠位表面の前記平面と前記後方面取り切断の前記平面との交線との間の中間の点で、前記遠位表面の前記平面と交差する後方基準線と、(b)前記後方面取り切断の前記平面との間の距離はGPostである、ガイドブロックと、を備え、
(A)前記大腿骨コンポーネントの前記骨対向表面の前記前方面取り部分は、少なくとも1つの陥凹を間に有する、離間した内側レール及び外側レールを有し、(a)前記骨対向表面の前記前方面取り部分に対して平行に延び、前記遠位部分と前記前方面取り部分との交点と、前記遠位部分と前記後方面取り部分との交点との間の中間の点で、前記表面の前記遠位部分と交差する前方植え込み基準線と、(b)前記レールの先端縁部との間の距離はIAntRailであり、(a)前記前方植え込み基準線と(b)前記レール間の前記陥凹の底部との間の距離はIAntRecessであり、(IAntRecess−GAnt)の値は少なくとも約0.5mmであり、
かつ/又は、
(B)前記大腿骨コンポーネントの前記骨対向表面の前記後方面取り部分は、少なくとも1つの陥凹を間に有する、離間した内側レール及び外側レールを有し、(a)前記骨対向表面の前記後方面取り部分に対して平行に延び、前記遠位部分と前記前方面取り部分との交点と、前記遠位部分と前記後方面取り部分との交点との間の中間の点で、前記表面の前記遠位部分と交差する後方植え込み基準線と、(b)前記レールの前記先端縁部との間の距離はIPostRailであり、(a)前記後方植え込み基準線と(b)前記レール間の前記陥凹の前記底部との間の距離はIPostRecessであり、(IPostRecess−GPost)の値は少なくとも約0.5mmである、システム。
(2) レールが、前記骨対向表面の前記前方面取り部分上に設けられ、(GAnt−IAntRail)の値は少なくとも約0.05mmである、実施態様1に記載のシステム。
(3) レールが、前記骨対向表面の前記後方面取り部分上に設けられ、(GPost−IPostRail)の値は少なくとも約0.05mmである、実施態様1又は2に記載のシステム。
(4) 前記内側レールは前記大腿骨コンポーネントの前記内側縁部に位置し、前記外側レールは前記大腿骨コンポーネントの前記外側縁部に位置する、実施態様1〜3のいずれかに記載のシステム。
(5) 前記内側レール及び外側レールが前記骨対向表面の前記前方面取り部分上に設けられるとき、それらは前記遠位部分から前記前方部分へと延びる、実施態様1〜4のいずれかに記載のシステム。
【0133】
(6) 前記内側レール及び外側レールが前記骨対向表面の前記後方面取り部分上に設けられるとき、それらは前記遠位部分から前記後方部分へと延びる、実施態様1〜5のいずれかに記載のシステム。
(7) 前記内側レール及び外側レールの各々は、その露出した骨対向縁部に向かって内向きに先細にされている、実施態様1〜6のいずれかに記載のシステム。
(8) 前記内側レールと外側レールとの間に位置する少なくとも1つの付加的なレールを含む、実施態様1〜7のいずれかに記載のシステム。
(9) 前記付加的なレールは前記内側レール及び外側レールと整合される、実施態様8に記載のシステム。
(10) 前記付加的なレールは前記内側レールと外側レールとの間で、前記内側レール及び外側レールに対し概ね横向きに延びる、実施態様8に記載のシステム。
【0134】
(11) 前記骨対向表面の前記前方部分、遠位部分、及び後方部分の各々が平面的であり、したがって縁部のいずれにもレールを有さない、実施態様1〜10のいずれかに記載のシステム。
(12) 前記骨対向表面の前記前方部分、遠位部分、及び後方部分の各々が、骨セメントを使用せずに骨への固定を促進するように適合されている、実施態様1〜11のいずれかに記載のシステム。
(13) 患者の膝に対する外科手技において使用するためのシステムであって、
a.脛骨支持表面と関節をなすための支持表面と、反対側の骨対向表面とを有する人工膝関節の大腿骨コンポーネントであって、前記骨対向表面は、
i.前記大腿骨とその前方側で係合するための前方部分と、
ii.前記大腿骨とその後方側で係合するための後方部分と、
iii.前記大腿骨の前記遠位端面と係合するための遠位部分と、
iv.前記前方部分及び前記遠位部分の各々に対して傾斜する、前記前方部分と前記遠位部分との間に位置する前方面取り部分と、
v.前記後方部分及び前記遠位部分の各々に対して傾斜する、前記後方部分と前記遠位部分との間に位置する後方面取り部分とを有し、
前記骨対向表面の前記前方部分、前方面取り部分、後方面取り部分、及び後方部分の各々は、その領域の少なくとも一部にわたって平面的であり、前記骨対向表面の前記遠位部分は、少なくとも1つの陥凹を間に有する、離間した内側レール及び外側レールを有する、大腿骨コンポーネントと、
b.前記前方面取り切断及び後方面取り切断が実施され得る平面の、遠位切除切断の平面に対する位置を画定するように、前記遠位切除切断がなされている患者の大腿骨の遠位面に締結され得る、平面的な遠位表面を有するガイドブロックであって、前方切断の平面と後方切断の平面との交線にガイドブロック基準線を画定し、したがって、前記基準線と前記平面的な遠位表面との間の距離がGDistとなる、ガイドブロックと、を備え、
前記大腿骨コンポーネントの前記骨対向表面の前記遠位部分は、少なくとも1つの陥凹を間に有する、離間した内側レール及び外側レールを有し、(a)前記骨対向表面の前記前方面取り部分の平面と後方面取り部分の平面との交線にある植え込み基準線と、(b)前記レールの先端縁部との間の距離はIDistRailであり、(a)前記植え込み基準線と(b)前記レール間の前記陥凹の底部との間の距離はIDistRecessであり、(GDist−IDistRecess)の値は少なくとも約0.5mmである、システム。
(14) (IDistRail−GDist)の値は少なくとも約0.05mmである、実施態様13に記載のシステム。
(15) 前記内側レールは前記大腿骨コンポーネントの前記内側縁部に位置し、前記外側レールは前記大腿骨コンポーネントの前記外側縁部に位置する、実施態様13に記載のシステム。
【0135】
(16) 前記内側レール及び外側レールは、前記骨対向表面の前記遠位部分上でその前記前方面取り部分から前記後方面取り部分へと延びる、実施態様13〜15のいずれかに記載のシステム。
(17) 前記内側レール及び外側レールの各々は、その露出した骨対向縁部に向かって内向きに先細にされている、実施態様13〜16のいずれかに記載のシステム。
(18) 前記内側レールと外側レールとの間に位置する少なくとも1つの付加的なレールを含む、実施態様13〜17のいずれかに記載のシステム。
(19) 前記付加的なレールは前記内側レール及び外側レールと概ね整合される、実施態様18に記載のシステム。
(20) 前記付加的なレールは前記内側レールと外側レールとの間で、前記内側レール及び外側レールに対し概ね横向きに延びる、実施態様18に記載のシステム。
【0136】
(21) 前記骨対向表面の前記前方部分、前方面取り部分、後方面取り部分、及び後方部分の各々が平面的であり、したがって縁部のいずれにもレールを有さない、実施態様13〜20のいずれかに記載のシステム。
(22) 前記骨対向表面の前記前方部分、前方面取り部分、後方面取り部分、及び後方部分の各々が、骨セメントを使用せずに骨への固定を促進するように適合されている、実施態様13〜21のいずれかに記載のシステム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20