(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ピークセレクタ手段は、前記候補ピークのいずれかが、すべての他のピークを少なくとも第2のマージンだけ超過しているかどうかを決定するためのドミナントピークテスティング手段をさらに含み、前記ピークセレクタ手段は、前記ドミナントピークテスティング手段を使用し、前記ピケットテスト手段によって適切であると見出される候補ピークがない場合には、心拍数を推定するのに適切なピークを識別しようと試みるように動作可能である、請求項1に記載の植え込み型の医療用デバイスシステム(12、14、32、34)。
前記ドミナントピークテスティング手段が、少なくとも前記第2のマージンだけすべての他のピークを超過しているドミナントピークを識別し、前記ドミナントピークが、ドミナントピークレート閾値を下回る心拍数に対応する場合には、前記ピークセレクタ手段は、前記ドミナントピークに対応する前記心拍数を推定された心拍数として報告する、請求項2に記載の植え込み型の医療用デバイスシステム(12、14、32、34)。
心拍数推定値を発生させるべく前記ピークセレクタ手段の出力をトラッキングするためのトラッキング手段をさらに備える、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の植え込み型の医療用デバイスシステム(12、14、32、34)。
報告閾値よりも大きい前記自己相関関数の中の任意のピークを識別し、前記トラッキング手段に報告するための報告手段をさらに備える、請求項6に記載の植え込み型の医療用デバイスシステム(12、14、32、34)。
前記電極からの電気信号を閾値と比較することによって、心イベントを検出し、それによって、複数のR波検出および結果として得られるレート推定値を発生させるためのR波検出手段と、
該R波検出手段および前記トラッキング手段のそれぞれからの結果をとり、治療が必要とされるかどうかを決定するための決定手段と、をさらに備える、請求項6乃至8のいずれか1項に記載の植え込み型の医療用デバイスシステム(12、14、32、34)。
前記電極からの電気信号を閾値と比較することによって、心イベントを検出し、それによって、複数のR波検出および結果として得られるレート推定値を発生させるためのR波検出手段と、
該R波検出手段および前記ピークセレクタ手段のそれぞれからの結果をとり、治療が必要とされるかどうかを決定するための決定手段と、をさらに備える、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の植え込み型の医療用デバイスシステム(12、14、32、34)。
前記決定手段は、前記ピークセレクタ手段によって報告されるレート推定値が、心拍数を推定するのに適切であるとして前記ピケットテスト手段によって識別された候補ピークに基づいている場合には、前記ピークセレクタ手段からの結果を、前記R波検出手段からの結果よりも信頼性が高いものとして扱うように構成されている、請求項10に記載の植え込み型の医療用デバイスシステム。
前記ピークセレクタ手段は、前記自己相関関数の中のピークのセットの間で2段脈パターンを識別するための2段脈識別手段をさらに含む、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の植え込み型の医療用デバイスシステム(12、14、32、34)。
前記ピークセレクタ手段は、前記自己相関関数の中のピークのセットの間でジッタパターンを識別するためのジッタ識別手段をさらに含む、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の植え込み型の医療用デバイスシステム(12、14、32、34)。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1〜
図2は、例示目的の心臓システムに関する植え込み場所を示している。本発明は、
図1に図示されているような皮下専用システムに、または、
図2に示されているような経静脈システムに応用され得る。代替例は、複数の皮下エレメント、経静脈エレメント、および/または心臓内エレメントを有するシステム、心外膜システム、または、完全に静脈内のシステムもしくは心臓内システムを含むことが可能である。
【0021】
図1に示されている例示目的のシステムは、心臓10に対して示されており、また、患者の肋骨の上におよび患者の皮膚の下に生じることとなる皮下インプラントを搬送することが意図されている。キャニスタ12が、左腋窩の近くに植え込まれており、側方位置、前方位置、または後方位置も可能である。リード14が、キャニスタ12を電極16、18、および20に連結しており、電極16、18、および20は、患者の胸骨に沿って、典型的には、その左または右へ植え込まれるように図示されている。
図1のシステムは、インプラント12と通信するように構成されている外部プログラマ22を含むことが可能である。
【0022】
図2のシステムは、経静脈システムであり、それは、再び、心臓30に対して例証として示されており、患者の肋骨は、明確化のために省略されている。キャニスタ32は、高い胸部位置にあり、リード34が、血管系にアクセスし、心臓に進入している。リード34は、上大静脈コイル電極36、右心室コイル電極38、および、1つまたは2つの心室センス/ペース電極40、42を含むことが可能である。繰り返しになるが、プログラマが、44に示されており、植え込まれているシステムと通信するように構成されている。システムは、左心室リードをさらに含むことが可能である(図示せず)。
【0023】
図1または
図2のシステムのいずれかに関する通信は、誘導、RF、直接(すなわち、患者の自身の組織を通信媒体として使用する)のものであるか、または、任意の他の適切な通信の媒体を介するものであることが可能である。そのような通信は、センシング、治療、または他の特徴のための植え込まれたシステムを構成させること、植え込まれているシステムのための新しいソフトウェアまたはファームウェアをロードすること、および、デバイス状態、治療履歴、診断データ(デバイスおよび関連の患者の両方)、または、他の適切なデータなどのような、システム動作についての情報を引き出すことのために、有用である可能性がある。プログラマは、これらの述べられた目的のために、処理、メモリ、ディスプレイ、および、テレメトリ/RF通信などを提供するために必要とされるようなそのような回路を含有することが可能である。
【0024】
図1および
図2のキャニスタは、典型的に、植え込み型のシステムのための演算回路を含有することとなる。演算回路は、信号処理、メモリストレージ、ならびに、高パワーの電気的な出力、低パワーの電気的な出力、および/または非電気的な出力の発生のために必要とされるコントローラ、ならびに、任意の適切なアナログおよび/またはデジタル回路を含むことが可能である。たとえば、アナログデジタルコンバータ(ADC)は、ダイレクトコンバージョンADC、逐次比較型ADC、ランプ比較型ADC、Wilkinson型ADC、積分型ADC、デュアルスロープADCもしくはマルチスロープADC、パイプラインADC、またはシグマデルタADCであることが可能である。当業者が認識することとなるように、他のADCタイプ、これらのタイプのいずれかの修正および/またはハイブリッドが、その代わりに使用され得る。
【0025】
演算回路は、公知の当技術分野でよく知られている多数の例のいずれかによって、植え込み型のデバイスにとって適切なバッテリ技術に連結され得、また、さまざまなコンデンサ技術を使用し、短期間のビルドアップ、および/または、除細動もしくは他の高出力目的のためのエネルギーのストレージを支援することが可能である。キャニスタのためのリードおよび外部シェルは、たとえば、当技術分野の全体にわたって幅広く知られているものなど、植え込みに適切なさまざまな材料によって製造され得、そのような材料に関するコーティングを伴う。たとえば、キャニスタは、チタンを使用して作製され得、望まれる場合には、窒化チタンまたは酸化イリジウム(または、他の材料)のコーティングを伴い、リードは、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、もしくはポリカーボネートなどのようなポリマー材料、または、シリコンゴムなどのような他の材料によって形成され得る。電極は、同様に、たとえば、銀、金、チタン、もしくは、MP35Nステンレス鋼合金などのようなステンレス鋼、または、他の材料など、適切な材料から形成され得る。
【0026】
システム植え込みの場所は変化し得る。たとえば、
図1に示されているシステムは、患者の皮膚と胸郭との間の前胸部および側方胸部に位置付けされる、皮下専用システムである。他の皮下専用システム(リード14なしのシステム、複数のリード14を備えるシステム、または、リード14の代わりのアレイを含む)が、他の前方だけの設置、および/または、前後方向の場所、後方だけの場所、左右方向の場所などによって使用され得、それは、たとえば、米国特許第6,647,292号明細書、米国特許第6,721,597号明細書、米国特許第7,149,575号明細書、米国特許第7,194,302号明細書に記述されている場所を含み、そのそれぞれは、本願明細書に援用されており、また、同様に、他の場所でも使用され得る。皮下の設置は、筋肉下を含む、皮膚と胸郭との間の任意の場所を含むことが可能である。
【0027】
図2のものに加えて、例示目的の経静脈システムは、シングルチャンバシステム、デュアルチャンバシステム、および両心室システムを含む。また、完全に静脈内のシステムも提案されてきた。上述のものとは異なる追加的なまたは他のコーティングまたは材料が、とりわけ、心外膜、経静脈、または静脈内のシステム、リード、およびキャニスタに関して、使用され得る。システムは、植え込み型の「シード(seed)」をさらに含むことが可能であり、「シード」は、リードをまったく使用せずに、心筋に直接的に取り付けることが可能である。いくつかのシステムは、植え込み型の心臓内シードと皮下専用の除細動器を組み合わせることが可能であり、シードおよび除細動器は、管理された治療施行、および/または、感知されたデータの搬送などのような、双方向の通信に対して効力がある。
【0028】
これらの設計、材料、および植え込みアプローチに関する、さまざまな代替および詳細が、当業者に知られている。Boston Scientific Teligen(商標)ICDおよびS−ICD(商標)システム、Medtronic Concerto(商標)およびVirtuoso(商標)システム、ならびに、St.Jude Medical Promote(商標)RFおよびCurrent(商標)RFシステムを含む、市販のシステムが知られており、その中で上記の方法が実施され得、または、それは、そのような方法を実施するように構成され得る。そのようなプラットフォームは、さまざまなシステムエレメントに関して、多数の例および代替例を含む。
【0029】
図示されて説明されているように、植え込み型の心調律管理デバイスまたはシステムが本発明に関して実装され得る、さまざまな方式が存在している。いくつかの例では、本発明において重点を置かれている方法およびデバイスは、遠距離場の心臓信号を獲得および分析する能力を含む。遠距離場の信号のいくつかの例は、2つの皮下に設置された電極の間で、または、キャニスタ電極と心臓内電極との間で獲得される信号を含む。近距離場の信号、ならびに/または、近距離場の信号および遠距離場の信号の組み合わせとして発生させられる信号が、他の代替例において評価され得る。
【0030】
図3は、心拍数推定値を発生させるための全体的な方法を示している。関数「R[n]」が計算される。関数Rは、たとえば、下記に
図4〜
図5に図示されているような自己相関関数であることが可能である。関数Rは、信号の一部分であるコンパレータと全体的な信号自身との間において、比較的に大きい数(50以上)の比較を計算することによって実施される一連の比較を表しており、比較は、全体的な信号に対してコンパレータを繰り返してシフトさせることによって実施される。
【0031】
Rは、本明細書で、連続関数というよりもむしろ、分散関数として議論されている。他の例では、Rは、連続関数であることも可能である。例では、R[n]は、周期的に呼び出され得る関数であることが可能であり、または、それは、継続的に発生させられ得る。簡潔に
図5を参照すると、選択された時点において計算されるような例示目的のR[n]が、バッファ120に対するコンパレータ122のスクローリング比較に基づいて、140に示されており、バッファ120は、長さMを有しており、コンパレータは、長さM/2を有しており、R[n]にM/2の長さを提供する。R[n,t]について考えることが可能であり、ここで、nは、時間tにおけるRの個々の計算を表す値を有する。たとえば、
図10は、t1、t2、およびt3のそれぞれにおける3つの「R」関数を示しており、Rは、n=0から400に関して計算された。
【0032】
工程60から計算されるようなR[n]を使用することによって、いくつかの候補ピークが、62で識別される。
図6〜
図7は、候補ピークの識別の例を提供する。候補ピークは、心イベントの可能性のある「レート」を表すものとして理解され得る。R[n]のピークによって表されるように、高いマッチングは、心拍に関連付けられる周期性の電気波形の整合を示唆している。たとえば、R[n]のピークがn=90において起こり、サンプリングレートが256Hzである場合には、R[0]とピークとの間の時間は、90/256=352msになることとなる。この例に関して、コンパレータの時間を352msだけシフトして戻すことは、コンパレータとオリジナル信号との間の比較的に高いマッチングを発生させる。352msは、ラグ深さ(lag depth)と称され得、それが、真に、連続するR波同士の間の間隔である場合には、それは、171拍毎分(bpm)に対応することとなる。
【0033】
次に、方法は、64において、有効なトラックが存在するかどうかを決定する。トラッキングは、高い信頼度の心拍数が報告され得るかどうかを決定するために、R[n]計算の出力、およびそこからのピークをモニタリングする処理である。
図8A〜
図8Bは、レートトラッキングの例示目的の方法を示している。
図9は、レートトラッキングの別のアプローチを示している。
【0034】
トラックがすでに存在している場合には、方法は、66において示されているように、候補ピークの1つを確認するかどうかを決定することを含む。トラックが存在していない場合には、ピークトラッキングが、68において示されているように実施され、新しい有効なトラックが宣言され得るかどうかを決定する。次に、66または68のいずれかに続いて、方法は、レートおよび信頼度を報告することによって、示されている反復計算を終了する。
【0035】
場合によっては、高い信頼度のレートが報告されないこととなる。たとえば、心室に伝導される心房性不整脈は、心室脱分極同士の間の不安定な期間によって特徴付けられ得る。結果として、測定される心室レートは、非常に変化しやすくなり得る。心室レートが非常に変化しやすいときには、R[n]は、比較的に低いピークしか作り出すことができないか、または、反復的な計算の間に、一貫して同様のピークを作り出すことができない。結果として、手順全体からの出力レートは、見当たらないか、または、ブロック70において、単に低い信頼度とともに報告されるかのいずれかである。
図10〜
図13は、
図3の方法のいくつかの反復計算を示す例を図示している。
【0036】
例では、出力レートおよび信頼度は、より従来の処理を使用して計算されるような心拍数を確認または疑問視するために使用され得る。たとえば、デバイスは、デフォルトの拍動検出スキームを使用することが可能であり、デフォルトの拍動検出スキームでは、増幅およびフィルタリングに続いて受信される心臓信号が、検出閾値と比較される。いくつかの例示目的の拍動検出アプローチが、たとえば、米国特許第8,565,878号明細書および米国特許第5,709,215号明細書に示されており、その開示は、本願明細書に援用されている。次いで、検出閾値を超えることは、拍動またはR波を表すことが推定され得、ノイズまたは過検出によって引き起こされる、検出閾値を超えることを識別および排除するために、さまざまな公知の方法が使用され得る。たとえば、米国特許第7,248,921号明細書、米国特許第8,160,686号明細書、米国特許第8,160,687号明細書、米国特許第8,265,737号明細書、および米国特許第8,744,555号明細書を参照されたい。それらの開示は、本願明細書に援用されている。
【0037】
残りの検出された拍動またはR波、および、その間の間隔は、レートを計算するために使用され得る。いくつかの実施形態では、本発明は、そのような方法を使用して計算されたレートをダブルチェックするために使用される。そのようなダブルチェックは、必要に応じて要求され、または、継続的に提供され得る。たとえば、ダブルチェックは、治療施行の前に、または、治療施行のための準備の前に、レートを確認するために実施され得る。いくつかの実施形態では、本発明は、拍動検出などのような他の方法を使用して計算されるようなレートを覆し得るレート推定値を提供することが可能である。
【0038】
別の例では、ダブルチェックは、センシング構成が検証されていない場合に、センシングベクトルが変化させられ得る、センシング構成を検証する方式として、正確なイベント検出を確認するために実施され得る。他の実施形態では、本発明のエレメントは、デフォルトによるレート計算を提供するために使用され得、または、レート計算の単独の供給源であることが可能である。
【0039】
図4〜
図5は、自己相関関数を使用するデータの分析を図示しており、そのような分析をACFと差別化している。特定の追加的なオプションおよび例は、植え込み型の心臓デバイスの中での自己相関計算(CALCULATION OF SELF−CORRELATION IN AN IMPLANTABLE CARDIAC DEVICE)という標題の米国仮特許出願第62/038,440号明細書に見出され得る。
【0040】
図4は、100において、感知されたECG信号を示している。信号は、102において示されているように、長さMのバッファとして扱われ得る。R[1]、R[2]…R[M−1]の計算が、104において図示されている。R[n]のそれぞれの計算は、バッファに対してコンパレータの時間がシフトされた状態で、(ドット積を介して)バッファの一部分とコンパレータの一部分を掛けることによって、通常のACFの中で実施される。コンパレータ自身は、単に、オリジナルバッファのコピーである。時間をシフトすることに起因して、補正係数が、106において示されているように必要とされる。その理由は、R[n]のそれぞれの連続する計算に伴ってサイズの重複が低減されるときに、ドット積が、ますます少なくなるデータポイントを使用して計算されるからである。コンパレータをシフトすることは、ラグ深さと称され得る。
【0041】
第1の簡単化は、ドット積を計算するための乗算を減算と交換することである。減算結果の絶対的な値は、最小絶対差(MAD)を生み出す。ドット積を取り換え、その代わりにMADを使用することは、精度の最小の低減を伴って、必要とされる計算の数を1桁以上も低減させることとなる。
【0042】
次に、重複に関する補正係数106を排除するために、長さMを有するバッファ110は、半分に分割され、サンプル部分M/2および利用可能なラグ深さ114を提供する。次いで、反復的な比較は、サンプル112とバッファ110との間の差の面積を識別する。116に示されているように、結果は、ゼロのラグ深さからM/2のラグ深さへのM/2全体比較である。
【0043】
追加的な簡単化は、いくつかの実施形態では、入力データを圧縮することによって実施され得る。たとえば、システムは、256Hzのレートにおいて、心臓信号のアナログデジタル変換を実施することが可能である。R[n]の計算は、オリジナル信号の限定されたまたは圧縮されたバージョンについて実施され得、計算の数を再び低減させる(ダウンサンプリングのために必要とされる計算を費やすが、それは、データストレージを容易にするためにすでに実施され得る)。
【0044】
図5を見てみると、特定の時点におけるR[n]の例示的な計算が示されている。長さMを有するバッファによって保存されているようなECGが、120において示されている。自己相関のためのコンパレータが、122において示されており、それは、ごく最近に検出されたサンプルを有するバッファ120の半分を含む。好ましくは、Mの長さは、十分になっており、良性のレート(たとえば、60bpmなど)の間に、少なくとも2つの拍動がコンパレータの中にフィットすることとなるようになっている。したがって、例示目的の例では、バッファ120は、約4秒の長さを有しており、コンパレータ122は、約2秒の長さを有する。別の例は、約2秒の長さのバッファ120を有しており、コンパレータ122は、約1秒の長さを備える。他のサイズも使用され得る。いくつかの例では、本発明は、必要とされる所定の最低のレートにおいて起こる少なくとも2つの心臓周期が獲得されることを確実にするのに十分に大きいバッファを有することによって特徴付けられており、その必要とされる最低のレートは、60〜120bpmの範囲にあり得る。さらなる例証では、バッファ長さは、1.5秒から6秒であることが可能であり、コンパレータ長さは、750ミリ秒から3秒の間にある。本明細書に示されている例では、コンパレータは、バッファの長さの半分であり、他の例では、コンパレータは、全体的なバッファ長さの10分の1から2分の1の間にあることが可能である。
【0045】
124において示されているように、MAD関数が、この例において適用され、次いで、R[n]の特定の反復計算に関して行われる比較のすべてにわたって、MADの最大を使用して正規化される。これは、126においてグラフ化されている結果を生み出す。結果として生じるグラフは、130においてピークを含み、それは、ゼロラグ深さ計算に対応しており、ゼロラグ深さ計算では、MADは、ゼロになり、1の出力を与えることとなる。次のピーク132、134、および136は、コンパレータの中のR波ピークがバッファからのR波ピークのセットと整合させられている間にMADが計算される時点にそれぞれ対応する。たとえば、コンパレータのピーク138がバッファのピーク140と整合させられる場合に、R波間隔が同様であるならば、これは、隣接するピークも整合させることとなり、その特定の整合において小さい絶対差を与えることとなる。分析において、ゼロラグ深さ計算は、典型的に無視される。
【0046】
コンパレータ122とバッファ120との間の他のピーク整合は、R[n]において、より小さいピークを発生させる可能性がある。たとえば、コンパレータのピーク138が144におけるT波と整合させられるときに、ピーク142が起こる。この位置決めは、より小さいMAD出力を生成させ、それは、公式124を使用して正規化されると、R[n]において、容易に気付くが小さいピークを発生させることとなる。
【0047】
R[n]関数は、周期的に計算され得る。1つの例では、バッファおよびコンパレータは、たとえば、1秒よりも大きいか、または、さらには2秒などの、かなり大きい一定の時間をとるので、R[n]を連続的に再計算する必要性は存在しない。たとえば、R[n]の再計算同士の間の期間は、おおよそ、コンパレータの持続時間であるか、または、別の例では、おおよそ、コンパレータの持続時間の半分であることが可能である。たとえば、コンパレータ長さが2秒である場合には、バッファは、4秒の長さであることが可能であり、R[n]の計算は、1秒間隔で実施され得る。したがって、1秒ごとに、バッファは、更新されることとなり、コンパレータが再形成されることとなり、比較のシーケンス、および、時間をシフトすることが、繰り返されることとなる。たとえば、
図10は、t1、t2、およびt3におけるR[n]の繰り返される計算を示しており、したがって、R[n,t1]、R[n,t2]、およびR[n,t3]が、その図の200において示されている。
【0048】
本明細書において、さまざまな図の中の例示目的の例は、R[n]の非同期計算の使用を提案している。いくつかの他の方法によって実施される拍動検出に、計算がリンクまたは同期させられていない限りにおいて、これらは非同期式である。他の実施形態は、その代わりに、R[n]の拍動同期式の更新または再計算を使用することが可能である。ハイブリッドの実施形態は、同期式に更新し、拍動検出によって引き起こされるマイクロプロセッサ/マイクロコントローラウェイクアップを利用することが可能であるが、R[n]の計算がいくつかの所望の計量と同程度の頻度で起こるように限定することが可能である。たとえば、R[n]の計算は、1秒以上の間隔で同期させられる拍動であることが可能である。
【0049】
図4〜
図5の任意選択の簡単化は、説明のために、および、例示目的のために提供されている。しかし、下記に示されているピーク選択および/またはトラッキングの例は、別段の記述がない限り、R[n]に関する任意の特定のタイプの計算に左右されないので、これらの簡単化は、いくつかの実施形態では、省略され得る。
【0050】
図6〜
図7は、候補心拍数および心拍数推定値を識別するためのR[n]ピークの分析を図示している。
図6は、フロー図で動作を示しており、一方、
図7は、グラフィックの例を提供する。
【0051】
図6では、ブロック150における始まりにおいて、方法は、R[n,tk]の中の任意のピークの識別から開始する。この例では、最大ピークの50%以内であり、かつ、いくつかの最小サイズ基準を満たすピークが、152において示されているように、ピークトラッカへ報告される。トラッキングは、たとえば、
図8A〜
図8Bおよび
図9において下記に示されているように実施され得る。
【0052】
次いで、最大候補のセットが、154において示されているように選択される。例示目的の例では、閾値が、Rのスケール調整された(scaled)計算の中で設定され得る。たとえば、
図5の公式124を使用して、候補ピークに関する閾値が、R=0.3に設定され得、候補として考慮されるためには、ピークが、最大ピークの0.3倍よりも大きくなければならないようになっている。最大ピークは、常に、R[0]において起こることとなる。その理由は、それが、コンパレータおよびバッファが完全に整合させられるときであり、したがって、R[0]=1になるときだからである。0.3よりも大きい任意の後続のピークが、候補ピークになり得る。例では、0.3よりも大きい最大ピークの最大5つが(R[0]におけるピークを除外する)、候補として扱われている。
【0053】
156において示されているように、最大候補のいずれかが、「頻脈ゾーン」の中に候補を置くこととなるラグ深さを有する場合には、頻脈フラッグがセットされる。ピークのラグ深さが比較的に小さい場合には、候補ピークは、「頻脈ゾーン」の中にある。これは、R[nt](ここで、ntは頻脈閾値よりも小さい)においてピークが存在するかどうかを問い合わせることによって識別され得る。たとえば、頻脈ゾーンフラッグが、160bpmを上回るレートを示唆する候補ピークに関して設定されるべきであり、サンプリングレートが256Hzである場合には、n<96におけるピークが、頻脈ゾーンにある。その理由は、ピークが、375ms未満のラグ深さで起こることとなり、それは、160bpmを上回るレートに等しいからである。頻脈フラッグがセットされる場合には、頻脈フラッグは、分析が最終的に結論付けるレートが大概正しいということにかかわらず、分析が、頻拍の可能性を示唆していることを示している。
【0054】
次に、第1の候補ピークが、158において示されているように選択される。候補ピークを見出すための2つの規則のいずれかが適用され得る。すなわち、75bpmよりも大きいレートが見出されることを可能にするラグ深さを有するピークであって、時間的に最初のピークよりも、選ばれた限界デルタだけ大きいピークが、160において示されているように選ばれ得るか、または、そうでなければ、候補ピークのうちの時間的に最初のピークが、162において示されているように選ばれる。時間的に最初のピークは、最小のラグ深さを有する候補ピークである。160における第1の規則は、時間的に最初の候補ピークよりもかなり大きいピークが、それがレート閾値を上回る限りにおいて、選択されることを可能にする。例では、レート閾値は、75bpmであり、他の閾値も使用され得る。
【0055】
例示目的の例では、160および162の組み合わせは、より高いレートに関連付けられるピークが最初に分析されることとなることを確実にし、この点で、方法を、より高いレート候補を探すように付勢する。より高いレートに向けて付勢することは、頻脈性不整脈が存在している状態において、心拍数過小評価のリスクを最小化するために望ましい可能性がある。
【0056】
次に、候補ピークは、164において示されているように、「ピケット」を探して数えることによって分析される。ピケットは、候補ピークの複数のラグ深さにおけるピークである。
図7は、ピケットの例を示している。第1のピークは、110サンプル(256Hzでサンプリングされた140bpmに対応する)のラグ深さにおいて見出される。このラグ深さは、180において示されているようなR−R間隔を与える。2つのピケットは、220サンプルおよび330サンプルのラグ深さにおいて、追加的なピークを観察することによって識別され得、220サンプルおよび330サンプルのラグ深さは、候補の複数のラグ深さである。182および184におけるピケットは、140bpmレートが正しい心拍数でありそうであるという確認を提供する。
【0057】
ピケットを数えることは、ピークスペーシングのいくらかの変化に関する許容差を含むことが可能である。たとえば、ピケットピークは、最大公差内で、等しい間隔を置いて配置されているべきである。公差は、計算される心拍数の関数として定義され得、または、ミリ秒またはサンプル(n)の観点から設定され得る。たとえば、第1のピークが80サンプルのラグにある場合には(256Hzにおいて313ミリ秒)、ピケットが、75サンプルから85サンプルの間で(293ミリ秒から332ミリ秒)離れて出現することが予期されることとなる。より幅の狭いまたはより幅の広い公差が、他の例では定義され得る。
【0058】
この例では、最大ピークは、第1の選択された候補ピークではないことに留意されたい。これがそうなる2つの理由が存在する。第1に、最大ピークは、規則160を満たすほど、候補ピークに対して十分に大きくはない。例では、第1のピーク以外のピークを候補として選択するために、その後のピークが、候補よりも少なくとも30%大きくなることが必要とされ(デルタ相対値を作る)、それは、ここでのケースに当てはまらない。別の例では、デルタは、
図5からのMAD公式124を使用して、たとえば、0.2などのような固定値であることが可能である。
【0059】
第2に、最大ピークは、70bpmのレートに対応するラグ深さにあり、それは、再び、規則160を満たさない。例では、第1のピーク以外のピークを候補として選択するために、その後のピークは、75bpmよりも大きいレートに対応するラグ深さにあることが必要とされる。他の閾値も選ばれ得る。ピケット決定は、後続のピケットを確立するために使用されるピークが最大Nピークの間にあること、または、それぞれのピークが、たとえば、
図5の124における公式を使用して、0.35または0.50を上回るピークなど、所定の閾値よりも大きいことを要求することが可能である。
【0060】
規則160、162の両方は、他の例では修正され得る。
例示目的のために、
図7は、頻脈ゾーン186も図示している。この例では、頻脈ゾーンは、ゼロから約90までのラグ深さをカバーしている。これは、最大で90サンプルのオフセットに対応する。示されている例証では、384サンプルは、1.5秒と等しく、4msサンプリング期間を意味している。90サンプルは、360msのRR推定間隔に対応することとなり、それは、167bpmに等しい。上述のように、頻脈ゾーンに関する他のセッティングも使用され得る。
【0061】
ここで
図6に戻ると、方法は、168において示されているように、ピケットテストをパスしたかどうかを決定することによって進む。例では、候補ピークに関して識別される少なくとも2つのピケットが存在する場合に、ピケットテストはパスする。別の例では、分析の下でのピークのラグ深さに応じて、複数のピケット閾値が適用され得る。たとえば、最大ラグ深さNを備える分析では、規則のセットは、N/3未満のラグ深さを有する候補ピークに関して少なくとも2つのピケットを要求し、また、N/3よりも大きくN/2未満のラグ深さを有する候補ピークに関して少なくとも1つのピケットを要求することが可能である。この相対的なアプローチは、N/3からN/2の間のラグ深さを有する候補ピークに関して、第2のピケットは「N」自身よりも大きいラグ深さにあることとなるので、単に1つだけのピケットが可能であるということに対処する。そのような相対性は、任意選択のものであり、また、下記に議論されているドミナントピークテストを使用して、少なくとも部分的に管理され得る。
【0062】
ピケットテストがパスされる場合には、方法は、170において示されているように、頻脈ゾーンの中の任意の大きいピークに関して最終チェックを行う。いくつかの限定された場合には、無秩序な頻脈イベントの間に、多数のピークが報告され得る。そのような場合、ブロック154における「N」最大候補ピークだけを選択するという決定は、頻脈ゾーンの中のピークを候補として選ぶことができない。したがって、170におけるテストは、最大ピークのサイズの30%以内であるが、候補として識別されなかった、頻脈ゾーンの中の任意のピークを探す。
【0063】
大きい頻脈ゾーンピークが170において識別される場合には、このピークが、同様に、ピケットテストを受ける。170において選ばれたピークが、ピケットテストをパスするようなピケットを有する場合には、ブロック170からの大きい頻脈ゾーンピークが、174におけるRR推定値として報告される。そうでなければ、156において記述されているように、頻脈ゾーンフラッグがセットされ、168においてピケットテストをパスした候補ピークが、174におけるRR推定値として報告されることとなる。
【0064】
いくつかの例では、ピケットテストをパスするものが見出されるまで、すべての候補がチェックされ得、候補ピークのいずれかに関して、ピケットテストのパスを見出すことができなかった場合には、方法は、ブロック172に進む。代替的に、第1の選択された候補ピークだけが、168においてピケットテストを受け、ピケットテストを一度パスしなかったときには、方法は、ブロック172へ行く。
【0065】
ブロック172に到達すると、ドミナントピークテストが適用される。ドミナントピークテストは、R[n]の中に、すべての他のピークよりも30%大きいピークが存在しているかどうかを決定する(n=0におけるピークを除外する)。そうである場合には、そのドミナントピークが、RR推定値として識別される。
【0066】
また、ドミナントピークテスト172は、識別されたドミナントピークが、60、75、または90bpmなどのようなプリセット閾値を下回るレートに対応するラグ深さにあるときに、パスするように限定され得る。レート限界は、低いレートのピークに関して、分析されたデータの中にピケットが存在しない可能性があるという確認として、ブロック172の中に含まれ得る。R[n]計算の時間スパンが、すべての心拍数に関して、とりわけ、より長い拍動間隔を伴うより低い心拍数に関して、ピケットパターンを作り出すのに十分でない可能性があるので、これは、そのようになっている。
【0067】
たとえば、3秒のバッファおよび1.5秒長さのコンパレータを使用して、800ミリ秒(75bpm)のラグ深さにおけるピークに関する第1のピケットは、1.6秒にあることとなる。3秒/1.5秒のバッファ/コンパレータサイズを前提として、最大のラグ深さは、単に1.5秒であるので、そのようなピケットは、バッファ/コンパレータサイズを前提として識別されることが可能でない。他方では、500ミリ秒(120bpm)などのような、より小さいラグ深さにおけるドミナントピークが、このシナリオにおいて2つのピケットを有することが予期されることとなり、また、ピケットがないことは、信頼度の高いRR推定値に通常関連付けられることとなるものよりも小さい周期性が存在するようであるので、起こり得る可能性の高いRR推定値として扱われないこととなる。
【0068】
RR推定値が、3つの可能な道、すなわち、ピケットテスト(158−164−168)をパスする候補ピーク、大きい頻脈ピーク(170)、またはドミナントピークテスト(172)のうちの1つを介して計算される場合には、RR推定値が報告され得る。また、信頼度のグレードも適用され得る。例では、3つのグレードが利用可能である。
【0069】
− 以下のいずれかの場合の高い信頼度
○ レート>3つのピケットを伴う頻脈閾値、かつ、R>HC閾値、または、
○ レート<2つのピケットを伴う頻脈閾値、かつ、R>HC閾値
− 高い信頼度条件または低い信頼度条件が満たされない場合のデフォルトによる中間信頼度、および、
− 以下の場合の低い信頼度
○ R<LC閾値、または、
○ 1つ以下のピケットおよびドミナントピークテスト172がパスされていない
この例では、頻脈閾値は、たとえば、150bpm、180bpm、または200bpmを超える、高いレートを要求する範囲に設定され得る。いくつかの例では、頻脈閾値は、出現し得るピケットの量にリンクさせるために、バッファサイズおよびコンパレータサイズを参照して選択され得る。HC閾値の定義は、単にRがどのようにコンピュータ計算されたかに依存することとなる。例では、
図5の124における公式を使用するRのコンピュータ計算を前提として、HC閾値は、0.65に設定される。同様に、LC閾値は、Rのコンピュータ計算に密接に結び付けられる様式で、定義されることとなる。また、
図5から公式124を使用する例では、LC閾値は、0.35に設定される。
【0070】
また、信頼度情報は、
図8A〜
図8Bに示されているトラッキング工程に組み込まれ得る。たとえば、1つのトラックから別のトラックにスイッチすること、または、新しいトラックを宣言することは、高い信頼度のレートに応答して加速され得るが、一方、そのような工程は、低い信頼度のレートに関して遅れる可能性がある。
【0071】
2段脈パターンでは、心室脱分極または「R」波に関する2つの交互のモーフォロジが存在している。2段脈パターンが自己相関を使用して分析されるときに、R波ピークおよびT波ピークが、交互になっており、異なるモーフォロジを有しており、出力がそのR波ピークおよびT波ピークを反映しているか、または、2段脈パターンを有する2つのR波を反映しているかを決定することが困難である可能性がある。2段脈および/またはジッタを識別するための特定のアプローチが、下記に、
図16(2段脈)および
図17(ジッタ)に示されている。
【0072】
図8A〜
図8Bは、心拍数をトラッキングする1つの方法を図示している。
図8Aの中のブロック200から開始して、R[n]を見出すこと、ピークのセットを選択すること、および、RR推定値を発生させることの任意の適切な様式が実施される。
図4〜
図7に図示されている方法は、ブロック200に関するさまざまなオプションを提供する。トラッキング方法は、202のように、既存のトラックまたは「アクティブ」トラックが存在しているかどうかを決定することによって始まる。そうである場合には、方法は、
図8Bの中のBに進む。
【0073】
既存のトラックが存在しない場合には、方法は、204において示されているように、有効なRR推定値が発生させられたかどうかを決定する。有効なRR推定値を前の分析から得ることができていない場合には、新しいトラックは宣言されないこととなり、方法は、212において、トラックなしの状態で終了し、次の反復計算を待機する。有効なRR推定値が見出された場合には、方法は、次に、206において示されているように、直近Y分のXのRR推定値(X out of the last Y RR Estimates)(または、試み)が同様であるかどうかを決定する。たとえば、直近4分の3のRR推定値が同様である場合には、206におけるテストは、3/4のX/Yに関して満たされることとなる。1つの例では、6分の3の規則が、206において適用される。ブロック206におけるテストが満たされる場合には、新しいトラックが、208において確立される。
【0074】
206におけるテストが満たされない場合には、新しいトラックは、依然として、単一の非常に高い信頼度のレート計算に基づいて確立され得る。非常に高い信頼度の定義は、変化することが可能である。1つの例では、上記に適用されている高い/中間/低い信頼度規則が使用され得、高い信頼度によって計算される任意のRR推定値は、210における規則を満たすのに十分であることとなる。別の例では、210における非常に高い信頼度の規則に関して別々の閾値が設定され得る。1つの実施形態では、
図5の124において示されている公式を使用してRを計算するシステムにおいて、R>0.85であるときに、ブロック210は満たされる。210における規則が満たされる場合には、新しいトラックが、208において示されているように確立される。そうでなければ、212において記述されているように、新しいトラックは設定されない。
【0075】
図8Bを見てみると、有効なトラックが存在しており、また、220において示されているように、最近のRR推定値がゲートの中にあるかどうかが決定される。ゲートは、幅を有しており、その幅は、さまざまな方式で定義され得る。たとえば、ゲートは、40ミリ秒の幅であることが可能であり、または、それは、20bpmの幅であることが可能である。ゲートは、前のRR推定値、または、2〜4個の以前のRR推定値の平均に中心を合わせられ得る。1つの例証では、ゲートは、最新のRR推定値をbpmに変換することによって、および、上側境界および下側境界を10bpm離して設定することによって、計算される。したがって、たとえば、最新のRR推定値が400ms(それは、150bpmに変換される)である場合には、ゲートは、140bpmから160bpmであることとなり、429msから375ミリ秒の間のRR推定値は、ゲートの「中にある」ものとして考えられることとなる。
【0076】
また、ゲート幅は、レート変動性を考慮に入れることが可能である。たとえば、最近のRR推定値のセットの変動性は、単に、1つの推定値から次の推定値までにどの程度の変化が存在するかをトラッキングすることによって、計算され得る。レートが、この例において極めて可変であるように思われる場合には、ゲート幅は増加させられ得る。
【0077】
RR推定値がゲートの中にある場合には、方法は、222において、トラックが継続されることを宣言する。また、RR推定値が報告される。
RR推定値がゲートの中にない場合には、コースティング(Coasting)規則が適用される。有効なトラックが識別/定義されたが、RR推定値計算の反復計算が、トラック定義を満たす結果を生み出せないときに、コースティングは起こる。コースティングの使用は、トラックが継続することを可能にし、たとえば、ノイズまたはPVCなどのような一時的な外乱を考慮に入れない。コースティングは、最後に知られたRR推定値を保持することによって、出力RR推定値の中のギャップを回避する。ピークがR[n]の中に存在するが、何らかの理由によって、そうでなければ、候補ピークをRR推定値として識別するためのピークセレクタの中の厳格なテストをパスすることができないときに、コースティングは、とりわけ有用である可能性がある。コースティングは、そのようなピークに関するRR推定値を救い出すのに利用可能であるが、それは、限定された時間だけに関する。
【0078】
例示目的の例では、コースティングは、永久に継続することは許容されず、224において示されているように、限界が適用される。コースティングがその限界内にある場合には、方法は、ブロック232を介して継続し、222において、トラックを継続し続ける。コースティングを限定するために、さまざまな規則が適用され得、それぞれは、異なる限界を有することが可能である。
【0079】
たとえば、226において示されているように、RR推定値またはピークが、Rの計算から報告されない場合には、コースティングの持続時間に対して第1の「ノーデータ」限界が存在することが可能である。例では、システムは、236においてトラック喪失を宣言する前に、「ノーデータ」の単一の反復計算だけを可能にすることとなる。たとえば、ノイズがセンシングを中断させ、R[n]のピークのいずれもがベース閾値を超過しない場合に、そのような「ノーデータ」条件が起こることが可能である。また、非常に多形性の不整脈が始まり、R[n]が、単純に、任意の有意のピークを有することができないようになっている場合に、「ノーデータ」条件が起こることが可能である。
【0080】
次に、228において示されているように、RR推定値が作り出されないコースティング状態が存在しており、この状態は、230において示されているように、報告されたピークのいずれもがゲートの中に存在しないことも要求する。したがって、ブロック228は、レート推定値が欠如しており、トラックが確認されていない事態の1つのセットをカバーし、一方、ブロック230は、トラック外のRR推定値が識別されたかどうかという、トラックのより低い信頼度確認が存在している状態をカバーする。
【0081】
コースティングの第4の形態は、232において記述されているように、代替的なトラックへの移行または「ジャンプ」の一部として起こることが可能である。この場合、
図8Aの206または210のものと同様の決定を使用して宣言された「新しい」トラックを有することによって、いずれかの代替的なトラック条件が満たされるまで、既存のトラックが継続する。
【0082】
ブロック226、228、230、232から見ることができるように、コースティング状態に対する異なる入力が存在しており、そのそれぞれは、いくらかさまざまな信頼度レベルを伴う。たとえば、ノーデータが受信されるとき226、根本的なトラックまたはセンシング信頼性の信頼度は低く、また、報告されるRR推定値が存在しないとき、および、報告されたピークのいずれもゲート228の中に入らないときも、それほど良くはない。これらの2つのブロック226、228は、コースティング限界が超過される前に、1〜3回の反復計算の範囲の中の単一の限界に関して組み合わせされ得る。代替的に、ブロック226は、より低いコースティング限界(1〜2回の反復計算)を有することが可能であるが、ブロック228は、等しいかまたはより高い限界(1〜4回の反復計算)を有しており、組み合わせられた限界は、より高い限界(1〜4)にマッチしている。
【0083】
ノイズなどのような異常を感知することが存在する場合でも、トラックが依然として有効であり得ることを示唆することによって、ゲート条件における代替的なピークは、230において、はるかに高い信頼度条件である。この条件230は、2〜10回の反復計算の範囲において、さらに高いコースティング限界を有することが可能であり、または、単に、全体的な限界(2〜10回の反復計算の範囲にある)を受けることが可能であり、それは、226、228、230、または232のいずれかの中の任意のコースティングを組み合わせることとなる。
【0084】
ブロック232(ジャンプ限界)は、新しいトラックが存在するかどうかを評価する前に、トラックが236において喪失したという宣言を最初に待機する必要なしに、新しいトラックへの迅速な移行を可能にするために存在している。また、ジャンプ限界は、古いがもはや有効でないトラックの中に出現することとなるピークに基づいて、新しいレートへのシフトを防止する。コースティング限界が、224において、ジャンプ限界を介して満たされるときには、アウトカムは、238まで異なる経路を辿る。結果として、ジャンプ限界が満たされる場合には、方法は、単に、新しいトラック定義で継続する。例示目的の例において、ジャンプ限界232を満たすために、206において適用されたものと同じ規則が、新しいトラックに対して適用され得る。232において記述されているように、ジャンプ限界は、単に、高いレート条件に対して適用され得、それは、低いレート条件よりも概して大きい懸念のあるものであり、たとえば、100〜180bpmの範囲にある限界を使用し、とりわけ、150bpmは、1つの例示的なレートである。
【0085】
ジャンプの使用は、より高いレートRR推定値への迅速な移行を可能にし、既存のトラックおよびジャンプが存在するときに、より厳しくない規則のセットが起こる。例では、トラックが識別されなかったときに新しいトラックを宣言することは、ジャンプに必要とされるものよりも、新しいデータの中に高い信頼度を必要とすることとなる。
【0086】
コースティング限界が224において超過される場合には、トラックは、236において記述されているように、喪失を宣言されることとなる。コースティング限界が超過されない場合には、コースティング「状態」が記録され得234、異なるコースト状態が、異なるコースティング条件226、228、230、232のそれぞれに関して識別される。コースティングの間に、トラックは、次の反復計算が呼び出されるまで、222において示されているように継続する。
【0087】
図9は、経時的な心拍数のトラッキングを図示している。240において記述されているように、自己相関を実施するためのさまざまなトリガーが存在することが可能である。たとえば、自己相関は、デフォルトであることが可能であり、システムの寿命の全体を通して、植え込み型のシステムによって要求される分析を継続する。代替的に、自己相関は、上昇したレート条件などのような治療を必要とする識別される可能性のある条件に応答して、要求され得る。1つの例では、心拍数は、従来のR波検出スキームを使用して(しばしば、検出される心臓信号と時間的に変化する閾値を比較することによって)計算され得る。識別されるレートが閾値を超える場合には、自己相関方法は、上昇したレートを確認するために開始させられ得る。閾値は、たとえば、要望に応じて、100〜180bpmの範囲において、または、それよりも高くまたは低く、設定され得る。
【0088】
1つの例では、心臓治療システムは、無関心の状態から治療準備および治療施行状態へ移行するために、検出すべき間隔の数(number of intervals to detect)(NID)アプローチまたはX/Yフィルタを使用することが可能である。たとえば、X/Yフィルタが、治療が施行される前に、検出された心拍が分析され、治療可能であると考えられる前に、24のうちの18が要求され得る。そのようなシステムに関して、Xが、より低い閾値、たとえば、8/24に到達する場合には、自己相関は、18/24境界線が到達される前に、計算されるレートを分析および確認(または、拒絶)し始めるために呼び出され得る。同様に、NIDアプローチが使用される場合には、治療境界線を下回るNID閾値が、自己相関分析をトリガーするために使用され得る。
【0089】
別の例では、自己相関は、他のレート計算方法/回路との比較のために心拍数を計算することによって、センシング完全性を周期的に確認するために呼び出され得る。いくつかの例では、本出願に示されている自己相関は、植え込み型のデバイスの中において、心拍数の単独の推定器としての役割を果たすことが可能である。
【0090】
分析が240においてトリガーされると、自己相関が、間隔を置いて実施され、R[n,t]が、242、244、246において示されているように、t={0、1、…i}のそれぞれに関して計算されるようになっている。この一連の計算から、レートトラックが探され、可能である場合には、248において示されているように確立される。分析は、250において示されているように、計算されたレートを確認または拒絶することが可能である。
【0091】
それに加えて、分析は、252において記述されているように、治療施行を確認、加速、または遅延させるために使用され得る。上記の例に戻ると、従来のR波検出によって識別される心拍数が閾値を超えると、自己相関が呼び出される場合に、自己相関が、治療を必要とする上昇した心拍数を確認する場合に、治療閾値が低下させられ得る。たとえば、システムが、18/24に設定されたX/Yカウンタを使用する場合には、X/Yカウンタ条件が満たされる前に、自己相関が非常に高いレートを確認する場合に、カウンタは、12/16に低減され得る。別の実装形態では、自己相関RR推定値は、特定の期間に関して、検出されるイベントの量に関して、または、R[n]の次の計算およびその分析が実施されるまで、従来的に計算される心拍数を交換することが可能である。
【0092】
図10〜
図13は、仮想的な例を使用して、いくつかの心拍数トラッキング工程を実証している。
図10は、レートトラッキング活動の開始を図示している。自己相関関数は、260、262、および264において示されているように、時間t1、t2、およびt3のそれぞれにおいて計算される。この実施形態の動作を理解する目的のために、266におけるグラフは、それぞれのR[n]計算のピークがどのように互いに整合するかを図示している。R[n,t1]を見ると、260におけるグラフは、おおよそ95、190、および285サンプルのラグ深さにおいて、R=0.3閾値を上回る3つのピークが見出されたことを図示している。
図6の方法を使用して、これらの3つのピーク268、270、272が、ピーク分析から報告されることとなる。
【0093】
次に、
図6に示されている規則を再び使用して、R[n,t1]からの第1のピーク268が、候補ピークとして選ばれる。次いで、ピケットが探されることとなる。図示されているように、270および272における追加的なピークに対して、候補ピーク268に関して識別される2つのピケットが存在している。したがって、
図6の方法は、ピーク268、270、および272のそれぞれが、トラッキングエンジンに対して報告されることとなるが、ピーク268がRR推定値を提供することを確認することとなる。
【0094】
R[n,t1]からのRR推定値は、グラフ266の中に、274において示されており、R[n,t1]からの他のピークも、代替的なピークとして示されている。同様に、RR推定値は、276および278において示されているように、R[n,t2]およびR[n,t3]における他の2つの計算の分析から結果として生じる。ここで、トラックは、まだ宣言されていない。結果として、トラックが宣言され得るまで、RR推定値のそれぞれが、中間信頼度のレート推定値を生み出すと見なされ得る。
【0095】
図11を見てみると、R[n,t1]、R[n,t2]、およびR[n,t3]のそれぞれに関する結果のマッチングは、3/6規則を使用する
図8Bの中のトラック定義を満たすのに十分である。したがって、トラックゲートが、R[n,t4]において、自己相関の次の反復計算を評価する際に使用するために、280において示されている。新しく計算されたR[n,t4]が、282において、グラフィカルに示されている。R[n,t4]では、286におけるR波に関するはるかに高いピークに加えて、T波比較に関連付けられるピークが、284において出現している。
図6の規則のセットを再び適用すると、第1のピークは、284にあり、また、
図6の中の162における規則が制御される場合に、選ばれ得る。しかし、286における第2のピークは、第1のピークよりも著しく大きく、75bpmよりも大きいレートを支持するラグ深さにおいて出現し、
図6の160における規則を満たす。したがって、ピーク286が、分析のために選択され、前と同様に、2つのピケット(図示せず)を有することが見出され、RR推定値を報告するために使用される。288において示されているように、R[n,t4]に関するRR推定値は、ゲートの中にある。
【0096】
また、RR推定値に関して使用されるピーク286は、高い信頼度に関するHC閾値を超過することに留意されたい。したがって、288におけるRR推定値は、次いで、高い信頼度で、トラッカによるレートの報告のために使用されることとなる。
【0097】
図12は、トラックが確立され、ゲートが290において設定された後の、R[n,t4]の計算に関する異なるシナリオを表している。ここで、出力は、292において示されているように、R[n,t3]からR[n,t4]へ劇的に変化した。
図6の規則を使用して、第1のピーク294が、候補ピークとして選ばれるが、しかし、296における次の有意のピークは遠すぎるので、ピケットは見出されない。また、ドミナントピークも存在しない。結果として、RR推定値は計算されない。
【0098】
更新された全体的なグラフを見ると、ゲート298は空になっており、RR推定値または代替的なピークをその中に伴っていないことがわかる。結果として、R[n,t4]に関して、分析は、
図12においてコースティング状態になっている。RR推定値は、R[n,t4]に基づいて計算されることができないので、レートは、ピークトラッカに報告されないこととなる。トラックは、コースティング状態で継続するので、出力レート推定値が提供されることとなり、それは、例では、ゲートの中の値であることとなり、または、以前の出力と同じであることが可能である。298における空のゲートに基づいて、出力レート推定値は、低い信頼度レベルが与えられることとなる。
【0099】
図13は、トラックが確立された後のR[n,t4]の計算に関する別の異なるシナリオを表している。ゲート300が、分析のために設定されるが、しかし、R[n,t4]は、302において示されているように、ゲートの中に位置するピークを、304において示されているように、RR推定値として識別しない。その代わりに、より小さいラグ深さにおけるピーク306が、RR推定値として識別される。したがって、R[n,t4]における代替的なピークのうちの1つがゲートの中にあるが、RR推定値308は、ゲート304から離れて位置している。
【0100】
図8Bに戻って参照すると、
図13に示されているイベントは、頻脈ジャンプ限界232を使用するコースティング分析をトリガーすることとなる。具体的には、RR推定値308は、例では、180bpmから240bpmの間のレートに対応するものとして示されている、比較的に短いラグ深さにある。これが第1のそのようなRR推定値であることを前提として、新しいトラックを宣言するために、十分な情報がまだ利用可能ではない。これは、瞬時のジャンプであることが可能であり、または、それは、新しいリズムの始まりであることが可能である。より多くのデータが受信されるまで、例示目的の方法は、トラックが継続している状態で、待機およびコースティングすることとなる。出力レート推定値は、既存のトラックの中にあるように継続することとなる。しかし、RR推定値はゲートの外側にあるので、任意のレート推定値が、低い信頼度で報告されることとなる。頻脈フラッグが、頻脈ゾーンの中の大きいピークに基づいて、セットされることとなる。
【0101】
図14は、
図6のピーク選択に関するドミナントピークテストを図示している。例示目的の例では、R[n,t]計算に関する結果が、約200サンプルのラグ深さを伴う320における大きいピークとともに示されている。ここで、信号は、困難を発する。まず第1に、320におけるピークは、322において示されているような任意のピケットを欠いている。その大きな理由は、ピーク320の大きいラグ深さに起因して、任意のピークが、R[n,t]計算の端部を越えて出現することとなるからである。したがって、例示目的の分析では、ピケットテストは、パスしないこととなる。
【0102】
図6の分析を使用して、次の候補ピークが再検討され得、ここで、候補ピーク324がチェックされ得る。しかし、326において示されているように、再び、ピケットは、識別されないこととなる。ピーク324に関してピケットテストをパスするために、ピケットが出現することにならなければならない場所に、閾値328を上回る識別されたピークのセットの中に、ピケットピークは存在していない。代替的なアプローチでは、単一パスのシステムは、ピケットを識別するために、単一の候補だけを見ることとなり、この分析において、ピーク320がパスしないと、他のピークは、分析されないこととなる。
【0103】
図14の下側部分に示されているように、ドミナントピークを識別するための方法は、340において示されているように、ピークがピケットテストをパスしないと決定することによって始まることが可能である。次に、342において示されているように、いくらかのマージンだけ、すべての他のピーク(ゼロラグ深さにおけるヌルピークを除く)よりも大きいピークが存在しているかどうかが決定される。例示目的の例では、マージンは、パーセンテージXであり、それは、30%の範囲にあることが可能であり、例示目的の範囲は、15%から50%であり、または、それよりも大きいもしくは小さい。当業者は、他の「マージン」は、
図14に示されているドミナントピークテストの原理を修正することなく、たとえば、R[n,t]が正規化される様式に依存して定義され得ることを認識することとなる。
【0104】
ここで、324におけるR[n,t]グラフの中の次の最大ピークは、ピーク320よりもマージン330だけ低いので、ピーク320は、ブロック342をパスする。次いで、ドミナントピークテストは、344において示されているように、大きいピークのラグ深さがドミナントピークラグ閾値を超えるかどうかを見る。閾値は、332において示されている。例では、閾値332は、R[n,t]の中にピケットが出現することができないようにそのラグ深さがなっていることに起因して、ピケットテストを必然的にパスしない任意のピークをパスさせるように選択され得る。したがって、例では、合計深さ400のウィンドウの中において、閾値332は、200のラグ深さにおいて設定される。閾値332よりも大きいラグ深さを有する、ピーク320などのような任意のピークは、分析ウィンドウの中にピケットを有さないこととなる。
【0105】
ピーク320は、テスト342および344の両方をパスするので、ピーク320は、ドミナントピークとして識別され、方法は、ピーク320のラグ深さに対応するレートを報告することとなる。テスト342または344のいずれかがパスしなかった場合には、方法は、ドミナントピークの識別なしに、350において終了することとなる。340において示されているように、ピケットテストがパスしなかったことを前提として、ブロック350において終了することは、いくつかの例では、特定のR[n,t]計算に基づいてレートが推定されないという結果につながる可能性がある。他の例では、たとえば、最大ピーク(ここでは、320)を使用して、低い信頼度レート推定が依然としてなされ得る。別の例では、ピケットテストをパスするピークも見出されない場合には、2つの可能性のあるレート、すなわち、最大ピーク320に対応するレート、および、次の最大ピーク324に対応するレートが、それぞれ、低い信頼度で報告され得る。
【0106】
図15は、
図6のピーク選択に関する高レートピークテストを図示している。ここで、多数のピークが、R[t,n]の中に出現しており、最大の5つのピークが、A、B、C、D、Eでラベル付けされている。ピケットテスト規則を使用して、360におけるピークは、ピケット362(ピークCに対応する)および364(ピークEに対応する)を有しており、ピケットテストをパスする。しかし、別のピーク366が存在しており、それは、それがいくらか小さいことに起因して、候補ピークの1つとして選定されなかった。
【0107】
高レートピークテストは、370において示されているように、ピケットテストがパスしたかどうかを決定することによって始まる。ここで、ピケットテストは、ピーク360に関してピケット362および364によって示されているようにパスされている。
【0108】
次に、高レートピークテストは、372において示されているように、最大のいくらかのパーセンテージの中に頻脈ピークが存在しているかどうかをチェックする。「頻脈ピーク」によって、方法は、頻脈ゾーンの中に入る、候補ピークA、B、C、D、およびEの間にないピークを示している。例示目的の例では、256Hzのサンプリングレートを使用して、頻脈ゾーンは、100未満のラグ深さにおける任意のピークとして定義され得、それは、396ミリ秒以下の期間、および、150bpmを上回るレートに相関することとなる。代替的な例では、ブロック372は、最大ピークの高さを参照することなく、頻脈ゾーンの中の任意のピークを識別することが可能である。
【0109】
この例では、そのようなピークが、366において出現している。次に、ブロック372において識別されたピークを使用して、ピケットテストが再実施される。再テストは、380において、例証として示されている。ピーク366は、示されているように、ピケット382および384を有する。
【0110】
ピケットテストが、374においてパスされる場合には、最初に選択されたピークが、372において識別されて374においてピケットテストをパスした頻脈ピークによって交換される。例示目的の例では、360においてピークAを選択するというよりもむしろ、方法は、その代わりに、ピーク366を選択する。この例証では、計算されるラグ深さは、120から60に行き、130bpmから260bpmへ、識別される心拍数の増加を引き起こす。いくつかの例では、心拍数推定値を生み出すピークが、より低いピークであり、第1のパスの中で識別されなかったので、アウトカムは、より低い信頼度を有するものとして扱われ得、または、曖昧性フラッグが、いくらかの曖昧性が存在していることを示すようにセットされ得る。
【0111】
上述のように、2段脈パターンでは、心室脱分極または「R」波に関して、2つの交互のモーフォロジが存在している。ABABの2段脈パターンは、自己相関結果R[n]の中に、交互のピークを生み出すこととなる。「AB」が「AB」と比較されるときに、高いピークが出現することとなり、Aピークのそれぞれが整合させられており、かつ、Bピークのそれぞれが整合させられており、また、「AB」が「BA」と比較されるときに、すなわち、AがBと比較され、かつ、BがAと比較されるときに、比較的に低いピークが出現することとなる。しかし、2段脈パターンの中で、AB間隔およびBA間隔は、一致することとなることが多い。
【0112】
比較的に大きいT波を伴う心臓信号は、R波と比較されるときに、いくつかの2段脈信号といくらか同様に出現する可能性がある。これは、2つのエレメントを要求する。すなわち、それは、第1に、R波およびT波は、全体的に極めて類似していなければならないこと、ならびに、第2に、R−T間隔およびT−R間隔も極めて類似していなければならないことである。R波は、通常、T波よりも幅が狭いこととなるが、両方が単相である場合には、2つは、極めて類似している可能性がある。R−T間隔およびT−R間隔は、任意の所与の患者に関する幅の狭い範囲だけにおいて、全体的に類似している。そのうえ、述べられているように、たとえば、米国特許第7,623,909号明細書および米国特許第8,200,341号明細書において、R波およびT波振幅が類似しているセンシングベクトルは、しばしば、最初から不利になることとなり、ベクトル選択は、より大きいR:T振幅比を有するベクトルを選ぶために使用され得る。
【0113】
2段脈パターンが、自己相関を使用して分析されるときには、出力が、交互になっており異なるモーフォロジを有するR波ピークおよびT波ピークを反映しているか、または、2段脈パターンを有する2つのR波を反映しているかを決定することは困難である可能性がある。ベクトル選択は、
図16において示されて実証されている規則のセットとともに、混同を回避するために使用され得る。
【0114】
400において示されているように、2段脈リズムは、上記の
図4〜
図5の自己相関分析を受けるとき、高いピークおよび低いピークのパターンを生み出す。上記の
図6〜
図7の方法を使用することは、通常、ピーク402をRR推定値ピークとして選択することとなる。しかし、実際のリズムは2段脈信号であるので、真のRRは、最初に選ばれたRR推定値のラグ深さの半分にあり、すなわち、ピーク404にある。
【0115】
この可能性のある問題に対処するために、任意選択の2段脈テストが、408において下記に示されている。すべての患者がこのリズムパターンを発するというわけではないので、任意選択の2段脈テストは、医師によって「スイッチが入れられる」ことができる。
【0116】
RR推定値が410において計算された後に、テストが始まる。次に、テストは、412において示されているように、RR推定値のラグ深さの半分だけ間隔を置いて配置されたピークを探す。400におけるグラフィックに示されているように、ピーク404および406が、412におけるチェックを満たす。
【0117】
412におけるチェックをパスした後に、方法は、ブロック412において識別されたR[n]ピークの値が、RR推定値として選択されたR[n]ピークオリジナルの値の所定の比率の中にあるかどうかを決定する。「RVal」は、図面の中のそれぞれのピークのR[n]の値の省略表現として使用される。ここで、閾値が、グラフィック400に示されており、ピーク404は、閾値を超過しており、工程414をパスする。例示目的の閾値は、オリジナルRR推定値に関するRValピークの55%であり、他の閾値も、たとえば、40〜80%の範囲において使用され得る。
【0118】
412および414の両方がパスされると、2段脈テストは、416において示されているように、RR推定値/2におけるピークを使用して、RR推定値を言い換えることとなり、ここで、ピーク404が、RR推定値になる。しかし、起こり得る2段脈パターンの識別を考慮して、アウトカムの信頼度を決定する目的のために、オリジナルRR推定値に関するRValは、416において示されているように保持される。したがって、ピーク404は、約0.5のR[n]を有するが、報告されるRVal数値は、約0.75であることとなる(ピーク402に関するR[n]値)。
【0119】
412または414のいずれかがパスしない場合には、2段脈テストも同様にパスせず、方法は、418において終了する。同様に、任意の補正がブロック416において行われた後に、2段脈テストは終了する。
【0120】
図17は、ジッタをチェックするためのテストに対処する。ジッタは、R−R間隔がときどき一貫していない場所において起こり得、グラフィックの中の430において示されているものなどのような出力におけるスプリットピークにつながる。
図6〜
図7の方法を使用して、RR推定値が、432において識別される。しかし、スプリットピークは、434において出現しており、スプリットピークは、約RR推定値/2において起こっており、スプリットピークのそれぞれに関するR[n]値は、相対的な閾値を超過しており、ジッタ(または、変化するR−R間隔が要求され得るときには、交互脈)が起こっている可能性があることを示唆する。
【0121】
そのようなジッタをテストするために、方法が、436において示されている。第1に、RR推定値が、438において示されているように計算される。次に、方法は、440において示されているように、RR推定値/2におけるスプリットピークをチェックする。そのようなスプリットピークが、440において見出される場合には、方法は、442において示されているように、スプリットピークのそれぞれがRval閾値を満たすかどうかどいうことを決定する。例示目的の方法では、Rval閾値は50%であり、他の閾値も、たとえば、40%から80%の範囲において使用され得る。
【0122】
チェック440および442のそれぞれがパスされる場合には、方法は、444において示されているように、RR推定値をRR推定値/2として言い換えることとなる。2段脈テストと同様に、オリジナルRR推定値からのRvalが、この例では保持され得る。チェック440および442のいずれかがパスしない場合には、ジッタテストは、446において示されているように終了する。
【0123】
2段脈テスト(
図16)およびジッタテスト(
図17)のそれぞれに関して、テストによりRR推定値の修正を引き起こされるときには、フラッグがセットされ得、カウンタが増され得、または、イベントが、そうでなければ、数えられ/識別され得る。いくつかの例では、これらのテストのいずれかをパスすることにより、後の医師が検索して任意のそのようなイベントを再検討するために、システムにデータをメモリに保存させることが可能である。
【0124】
図18A〜
図18Bは、R[n]計算機、ピークセレクタ、RR推定値トラッカ、および治療決定が一緒にリンク接続され得る、いくつかの方式を示している。
図18Aの例では、R[n]計算機460は、R[n]計算の出力をピークセレクタ462に報告する。ピークセレクタ462は、RR推定値(a)およびピークのセットをピークトラッカ464に提供する。また、ピークセレクタ462は、この例では、ピークセレクタ462分析から生じる任意のフラッグ、および、信頼度(a)インジケーターとともに、RR推定値(a)を治療決定ブロック466に提供する。治療決定ブロック466は、ピークセレクタ462からのRR推定値(a)、ならびに、任意のフラッグ、および、報告された信頼度(a)を使用し、従来のレート推定値が正しそうであるか、または正しくなさそうであるかを決定することが可能である。RR推定値トラッカ464は、RR推定値(b)および信頼度を治療決定466に報告する。
【0125】
たとえば、ピークセレクタ462は、RR推定値(a)を識別することが可能であるが、それは、低い信頼度(a)であり、一方、RR推定値トラッカ464は、二次的なピークに基づいて、より高い信頼度(b)で異なるRR推定値(b)を識別し、二次的なピークは、既存のトラックを満たし、二次的なピークは、報告されたRR推定値(a)がトラックの中にない場合でも、1つまたは複数のピケットを有するか、または、頻脈ゾーンの中にあるかのいずれかである。そのケースでは、治療決定ブロック466は、RR推定値(a)を無視し、その代わりに、RR推定値(b)を採用することが可能である。
【0126】
別の例では、RR推定値(a)が高い信頼度(a)で報告されるが、RR推定値トラッカは、既存のトラックの中にピークを見出さず、それがコースティングであることを報告し、保存されている前のRR推定値を使用し、低い信頼度(b)を報告する場合には、治療決定ブロック406は、RR推定値(b)よりもRR推定値(a)を採用することが可能である。
【0127】
したがって、
図18Aの例では、治療決定ブロック466は、ピークセレクタ462およびRR推定値トラッカ464のそれぞれから報告された信頼度を使用して、RR推定値(a)とRR推定値(b)との間から選択することを許容される。
【0128】
図18Bの例では、R[n]計算機480は、再び、その結果をピークセレクタ482に提供する。ピークセレクタ482は、その機能を果たし、ピーク、RR推定値(a)、任意のセットフラッグ、および信頼度(a)を、RR推定値トラッカ484に提供する。RR推定値トラッカ484は、その機能を果たし、RR推定値(b)、信頼度(b)、および、任意のセットフラッグを、治療決定ブロック486に提供する。したがって、
図18Bでは、RR推定値トラッカは、治療決定ブロック486に対して、関連の信頼度(b)で単一の出力RR推定値(a)を決定する。
【0129】
図18A〜
図18Bの中の個々のブロックの1つまたは複数は、単一のシステムの中のハードウェアの別々のピースであることが可能であるが、2つ以上のブロックが、単一の専用回路の中に一体化され得る。代替的に、
図18A〜
図18Bの中の別々のブロックは、より大きいソフトウェア構成の中の別々の機能的ブロックであることが可能である。たとえば、データのストリーム(または、保存されたスタック)を前提として、R[n]を計算する460/480のための関数呼び出しが実施され得、その後に、出力R[n]を与えられるピーク選択を実施する462/482ための関数呼び出しが続き、その後に、ピーク選択からのRR推定値(a)およびピークを使用して、RR推定値をトラッキングする464/484ための関数呼び出しが続き、RR推定値(a)およびピークは、すべて、治療決定466/486を呼び出すための入力(他のデータを伴う)として使用され得る。1つの例では、ブロック480、482、および484は、専用回路の上に設けられており、これらのブロックの出力は、プロセッサまたはコントローラに提供され、そこで、治療決定処理が実施される。
【0130】
図18A〜
図18Bに示されている実施形態(および、上記および下記に示されている他の例)では、RR推定値は、心拍数の推定値と考えられ得る。信頼度メジャー(measure)が、RR推定値および1つまたは複数のピークに関連して提供される場合には、そのようなものは、心拍数の1つまたは複数の可能性のある推定値として扱われ得る。
【0131】
図19は、レートを識別するための2つの方法の一体化を図示している。従来のレート方法は、ブロック500を使用して図示されており、ブロック500において、検出される信号を閾値と比較することによって、R波が個別に検出される。従来のR波検出が、ブロック500において使用され得る。いくつかの例示目的の例は、米国特許第8,565,878号明細書および米国特許第5,709,215号明細書に出現する。
【0132】
検出されたR波は、ノイズ/過検出除去ブロック502に報告され、ノイズ/過検出除去ブロック502は、R波が、恐らく心イベントであることを確認する。個別に検出されたR波が502において確認されると、レートおよび形状(モーフォロジ)情報が、獲得され504、治療決定および/または施行ブロック506に提供される。次いで、この従来の方法は、次のR波検出まで、待機状態508に戻る。
【0133】
また、方法は、自己相関を使用するレート計算を一体化し、それは、要望に応じて、新しい検出500に対して非同期式に(たとえば、固定間隔で)、または、同期式に呼び出され得る。この待機状態は、510において示されている。活性化すると、自己相関レート推定が、R[n]を計算すること、ピークを選択すること、および、RR推定値をトラッキングすることのうちの1つまたは複数の組み合わせを使用してなされる512。次いで、結果として生じるRR推定値は、514において、治療決定ブロック506に報告され、待機状態510に再び入れられる。ブロック512からのRR推定値は、上記に説明されているトラッキングツールを使用して発生させられ得、または、いくつかの例では、心拍数推定値は、自己相関関数を評価するピークセレクタから直接的に発生させられ得る。したがって、トラッキングは、上記の例において、明示的に任意選択である。
【0134】
治療決定506は、さまざまなアプローチにおいてこれらの異なる計算のそれぞれを使用し、治療が必要とされるかどうかを識別することが可能である。たとえば、レートの1つが、他のレートをダブルチェックするために使用され得、または、レートが、マッチングを識別するために比較され得る。レートがマッチしない場合には、たとえば、モーションセンサーまたは血液圧力もしくは酸素化センサーなどのような、追加的なセンシング入力を使用して、追加的な分析が実施され得る。レートが、両方とも、治療が必要とされることを示唆する場合には(マッチングするかどうかにかかわらず)、治療関数が呼び出され得る。他のアプローチも上記に記述されている。
【0135】
1つの例では、ドミナントピークテストが、適用され、ドミナントピークによって満たされる場合には、治療決定506が、ドミナントピークに関連付けられる推定された心拍数を、ブロック500からのR波検出を使用して発生させられたレートよりも信頼性が高いものとして扱うように構成され得る。別の例では、ピケットテストをパスするピークが、治療決定506において、ブロック500からのR波検出を使用して発生させられたレートよりも信頼性が高いものとして扱われ得る。さらなる別の例では、トラックが、
図8A〜
図8Bの方法を介して宣言されるまで、および、ピーク選択出力が、規定されたトラックの中に入る場合にだけ、ピーク選択の出力は、R波検出出力よりも信頼性が低いものとして扱われ得る。
【0136】
さらなる他の例は、R波検出レートトラッキングおよびピーク選択出力の状態に応じて、複数の分析コースを有することが可能である。たとえば、さまざまな例において、以下の規則を適用することが可能である。
【0137】
− R波検出レートおよび自己相関レートの両方がマッチし、高いレートである場合には、高いレートが確認され、頻脈性不整脈を示唆する
− R波検出は高いレートを示唆するが、自己相関レートは低い場合には、以下のいずれかの場合に、高いレートが有効であるとして扱われる前に、追加的な分析が必要とされる(待機時間、検出されるイベント幅、またはモーフォロジ分析)
○ 自己相関レートは、有効なトラックの中に入るレート推定値に基づいている(レート推定値は、ピーク分析からの候補または選択されたピークのいずれかである)、または、
○ 自己相関レートは、ピケットテストまたはドミナントピークテストのうちの1つをパスする選択されたピークに基づいている
− R波検出レートは低いが、自己相関レートが高い場合には、自己相関レートが宣言されたトラックの中になければ、および、(直接的に、または、大きい頻脈ピークテストを介して、にかかわらず)ピケットテストをパスするピークに基づいていなければ、高いレートが有効であるとして扱われる前に、追加的な分析(待機時間、検出されるイベント幅、またはモーフォロジ分析)が必要とされる
別の例では、トラッキングが省略され、以下の規則を適用することが可能である。
【0138】
− R波検出を使用して計算されるレートは、それが高い場合には、および、(レートがマッチするかどうかにかかわらず)自己相関レートが頻脈閾値を超過している場合には、有効であるとして扱われる
− R波検出を使用して計算されるレートは、それが高い場合には、および、自己相関テストがピケットテストまたはドミナントピークテストのいずれかを満たすことができない場合には、有効であるとして扱われる
− 自己相関テストを使用して計算されるレートは、それがR波検出レートよりも低く、頻脈閾値を下回る場合には、および、ピケットテストまたはドミナントピークテストのいずれかをパスする場合には、有効であるとして扱われる
また、本発明の範囲内において、他の組み合わせも可能である。
【0139】
1つの例では、自己相関分析が周期的に呼び出される場合に、および、自己相関レートが高い信頼度で計算される場合に、自己相関レートは、自己相関分析の次の反復計算まで、R波検出を使用して計算されるレートに取って代わる。NIDまたはY分のXフィルタを使用するシステムでは、次いで、自己相関分析レートは、R波検出が交換される期間の間に繰り返して起こるものとして扱われ得る。たとえば、自己相関が180拍毎分のレートを決定し、自己相関関数が1秒間隔で呼び出される場合には、NIDまたはY分のXフィルタ分析が、自己相関分析の反復計算同士の間の1秒間隔の間に、180拍毎分で3つのイベントを追加することとなる。
【0140】
治療決定506は、たとえば、1つのレートの直接計算を使用して、または、上記に議論されているようなNIDもしくはY分のXフィルタのうちの1つもしくは複数を使用するいくつかの反復計算にわたる計算を使用して、ブロック502/512の一方または両方によって推定されるような心拍数が治療閾値を超過しているかどうかを決定することが可能である。治療決定は、心臓信号から集められたモーフォロジ(形状)情報とレートを組み合わせることが可能である。いくつかの例では、治療決定506は、ショックのみの境界線(そこでは、閾値を上回るレートが、高エネルギーの電気的除細動または除細動ショックを必要とすると見なされる)、たとえば、抗頻脈ペーシングなど、より低いエネルギー治療が適用されるVTゾーン、ならびに、形状エレメント(テンプレートマッチング、幅、間隔安定性、振幅など)およびレートの組み合わせの追加的な分析が実施される条件付きゾーンのうちの1つまたは複数を含む、2つ以上のレート境界線を設定することが可能である。治療決定506は、追加的なセンサー入力、または、別々のデバイスからの入力、たとえば、血液酸素化、圧力、色などの測定値、たとえば、圧力モニタ、リードレスペースメーカなどの、別々のデバイスからの測定値、または、患者の中に別々に提供され得る、または、上記に説明されている自己相関および他の関数を実施するシステムの残りのものと単一のデバイスの中で一体化され得る、位置センサーまたは移動センサーからの測定値を一体化することが可能である。
【0141】
さまざまな注記および実施例
第1の非限定的な実施例は、心臓信号の反復的な分析のために構成されている植え込み型の医療用デバイスシステムであって、心臓信号を感知するための複数の電極(16、18、20、36、38、40、42)と、感知された心臓信号から自己相関関数を発生させるための自己相関手段であって、自己相関関数は、ラグ深さの関数として振幅を有する、自己相関手段と、自己相関関数の中の振幅ピークを識別するためのピークセレクタ手段であって、心拍数の第1の推定値、および、少なくとも低い信頼度または高い信頼度の格付けを有する第1の関連の信頼度を見出すためのものである、ピークセレクタ手段と、からなる、植え込み型の医療用デバイスシステムの形態をとる。さらに、第1の非限定的な実施例では、ピークセレクタ手段は、所与の反復計算の自己相関関数の中の第1のラグ深さを有する選択されたピークに関して、少なくとも1つの追加的なピークが、第1のラグ深さのある倍数である第2のラグ深さに出現するかどうかを決定するためのピケットテスト手段からなり、ピークセレクタ手段は、さらに、候補ピークを選択し、推定される心拍数を計算することに関する候補ピークの適切性を決定するための候補選択手段からなり、候補選択手段は、自己相関関数のピークを使用して多数の候補ピークを識別するように動作可能であり、候補選択手段は、第1の候補ピークとして、以下、すなわち、識別された候補ピークのうちの最小のラグ深さを有する候補ピーク、または、最小のラグ深さを備える候補ピークのものよりも、少なくとも第1のマージンだけ大きい振幅を有する候補ピークであって、レート閾値を超過する心拍数に対応する、候補ピーク、のうちの1つを選択するように動作可能であり、ピークセレクタ手段は、候補選択手段を使用し、1つまたは複数の候補ピークを識別するように構成されており、また、ピケットテスト手段を使用し、任意の候補ピークが心拍数を推定するのに適切であるかを決定し、そうである場合には、推定された心拍数を報告するように構成されている。
図3および関連のテキストは、60において自己相関関数R[n]を発生させる自己相関手段と、62におけるピークセレクタ手段と、ブロック64、66、および68を備えており、70において推定されるレートおよび信頼度を発生させるトラッキング手段とを含むことによって、第1の非限定的な実施例を図示している。別の例が
図6にあり、
図6は、ピークセレクタ手段を図示しており、ピークセレクタ手段は、全体的に識別を含み、または、150および関連のテキストにおいてピークを見出し、174においてRR間隔推定値の形態のレートの推定値につながる分析を実施する。
図6に示されているようなピークセレクタ手段は、154、156、158、160、162、および関連のテキストにおける候補選択と、164、166、168、および関連のテキストにおけるピケットテスティング決定とを含む。
【0142】
第2の非限定的な実施例は、第1の非限定的な実施例に記載の植え込み型の医療用デバイスシステムであって、ピークセレクタ手段は、候補ピークのいずれかが、すべての他のピークを少なくとも第2のマージンだけ超過しているかどうかを決定するためのドミナントピークテスティング手段をさらに含み、ピークセレクタ手段は、ドミナントピークテスティング手段を使用し、ピケットテスト手段によって適切であると見出される候補ピークがない場合には、心拍数を推定するのに適切なピークを識別しようと試みるように動作可能である、植え込み型の医療用デバイスシステムの形態をとる。ドミナントピークテスティング手段は、
図6の中の172および関連のテキストにおいて図示されている。
【0143】
第3の非限定的な実施例は、第2の非限定的な実施例に記載の植え込み型の医療用デバイスシステムであって、ドミナントピークテスティング手段が、少なくとも第2のマージンだけすべての他のピークを超過しているドミナントピークを識別し、ドミナントピークが、ドミナントピークレート閾値を下回る心拍数に対応する場合には、ピークセレクタ手段は、ドミナントピークに対応する心拍数を推定された心拍数として報告する、植え込み型の医療用デバイスシステムの形態をとる。
【0144】
第4の非限定的な実施例は、第3の非限定的な実施例に記載の植え込み型の医療用デバイスシステムであって、電極からの電気信号を閾値と比較することによって、心イベントを検出し、それによって、複数のR波検出および結果として得られるレート推定値を発生させるためのR波検出手段と、R波検出手段およびトラッキング手段のそれぞれからの結果をとり、治療が必要とされるかどうかを決定するための決定手段と、をさらに含み、決定手段は、ドミナントピークに基づいてピークセレクタ手段によって報告される推定された心拍数を、R波検出手段によって発生させられるレートよりも信頼性が高いものとして受け入れるように構成されている、植え込み型の医療用デバイスシステムの形態をとる。R波検出手段および決定手段を含むことは、少なくとも
図19に図示されており、それは、たとえば、R波検出500、ならびに、506および関連のテキストにおける決定手段を含む。
【0145】
第5の非限定的な実施例は、第1または第2の非限定的な実施例に記載の植え込み型の医療用デバイスシステムであって、候補選択手段は、自己相関関数の中の所定の量の最大ピークを選択するように構成されており、ピークセレクタ手段は、頻拍レートに対応する深さにおける自己相関関数の中のピークが、自己相関関数の中の最大ピークの第3のマージンの中にあるかどうかを決定するための大きい頻拍ピークチェック手段をさらに含み、そうである場合には、ピークセレクタ手段は、大きい頻拍ピークチェック手段によって識別されたピークをピケットテスト手段に提出し、それが心拍数を推定するのに適切であるかどうかを決定するように構成されている、植え込み型の医療用デバイスシステムの形態をとる。
【0146】
第6の非限定的な実施例は、第1乃至第3の非限定的な実施例のいずれか1つに記載の植え込み型の医療用デバイスシステムであって、ピークセレクタ手段の出力をトラッキングし、そこから心拍数推定値を発生させるためのトラッキング手段をさらに含む、植え込み型の医療用デバイスシステムの形態をとる。
【0147】
第7の非限定的な実施例は、第6の非限定的な実施例に記載の植え込み型の医療用デバイスシステムであって、報告閾値よりも大きい自己相関関数の中の任意のピークを識別し、トラッキング手段に報告するための報告手段をさらに含む、植え込み型の医療用デバイスシステムの形態をとる。
【0148】
第8の非限定的な実施例は、第6の非限定的な実施例に記載の植え込み型の医療用デバイスシステムであって、自己相関関数の中の最大ピークを識別し、最大ピークの閾値パーセンテージよりも大きい自己相関関数の中の任意のピークをトラッキング手段に報告するための報告手段をさらに含む、植え込み型の医療用デバイスシステムの形態をとる。
【0149】
第9の非限定的な実施例は、第6乃至第8の非限定的な実施例のいずれか1つに記載の植え込み型の医療用デバイスシステムであって、電極からの電気信号を閾値と比較することによって、心イベントを検出し、それによって、複数のR波検出および結果として得られるレート推定値を発生させるためのR波検出手段と、R波検出手段およびトラッキング手段のそれぞれからの結果をとり、治療が必要とされるかどうかを決定するための決定手段と、をさらに含む、植え込み型の医療用デバイスシステムの形態をとる。
【0150】
第10の非限定的な実施例は、第1乃至第3の非限定的な実施例のいずれか1つに記載の植え込み型の医療用デバイスシステムであって、電極からの電気信号を閾値と比較することによって、心イベントを検出し、それによって、複数のR波検出および結果として得られるレート推定値を発生させるためのR波検出手段と、R波検出手段およびピークセレクタ手段のそれぞれからの結果をとり、治療が必要とされるかどうかを決定するための決定手段と、をさらに含む、植え込み型の医療用デバイスシステムの形態をとる。
【0151】
第11の非限定的な実施例は、第10の非限定的な実施例に記載の植え込み型の医療用デバイスシステムであって、決定手段は、ピークセレクタ手段によって報告されるレート推定値が、心拍数を推定するのに適切であるとしてピケットテスト手段によって識別された候補ピークに基づいている場合には、ピークセレクタ手段からの結果を、R波検出手段からの結果よりも信頼性が高いものとして扱うように構成されている、植え込み型の医療用デバイスシステムの形態をとる。
【0152】
第12の非限定的な実施例は、第1乃至第11の非限定的な実施例のいずれか1つに記載の植え込み型の医療用デバイスシステムであって、レート閾値は、75拍毎分に設定される、植え込み型の医療用デバイスシステムの形態をとる。
【0153】
第13の非限定的な実施例は、第1乃至第12の非限定的な実施例のいずれか1つに記載の植え込み型の医療用デバイスシステムであって、自己相関手段は、一連の出力サンプル{1…N}を有する自己相関関数を発生させ、ピケットテスト手段は、N/3未満のラグ深さを有する候補ピークに関して少なくとも2つのピケットが存在するかどうか、および、N/3よりも大きくN/2未満のラグ深さを有する候補ピークに関して少なくとも1つのピケットが存在するかどうか、を識別するように構成されている、植え込み型の医療用デバイスシステムの形態をとる。
【0154】
第14の非限定的な実施例は、第1乃至第13の非限定的な実施例のいずれか1つに記載の植え込み型の医療用デバイスシステムであって、ピークセレクタ手段は、頻脈ラグ閾値未満のラグ深さの中に位置付けされている頻脈閾値よりも大きい自己相関関数の中の任意のピークが存在するかどうかを決定し、そうである場合には、可能性のある頻脈性不整脈に関してフラッグをセットするように構成されている、植え込み型の医療用デバイスシステムの形態をとる。
【0155】
第15の非限定的な実施例は、第1乃至第14の非限定的な実施例のいずれか1つに記載の植え込み型の医療用デバイスシステムであって、少なくとも自己相関手段およびピークセレクタ手段を含む演算回路を収容するキャニスタと、複数の電極の少なくともいくつかを含むリードシステムと、からなる、植え込み型の医療用デバイスシステムの形態をとる。
【0156】
第16の非限定的な実施例は、植え込み型の医療用デバイスの中の心臓信号を分析する方法であって、植え込み型の医療用デバイスは、心臓信号を感知するための複数の電極を有しており、複数の電極は、感知された心臓信号の分析を少なくとも実施するための演算回路に連結されており、方法は、感知された心臓信号から自己相関関数を発生させるための工程であって、自己相関関数は、ラグ深さの関数として振幅を有する、工程と、自己相関関数の中の振幅ピークを識別し、心拍数の第1の推定値を見出す工程と、それぞれラグ深さを有する1つまたは複数の候補振幅ピークを識別する工程と、識別された候補ピークのうちの最小のラグ深さを有する候補ピーク、または、最小のラグ深さを備える候補ピークのものよりも、少なくとも第1のマージンだけ大きい振幅を有する候補ピークであって、レート閾値を超過する心拍数に対応する、候補ピーク、のいずれかを選ぶことによって、第1のラグ深さを有する第1の候補ピークを選択する工程と、少なくとも1つの追加的なピークが、第1の候補ピークのラグ深さのある倍数である第2のラグ深さに出現するかどうかを決定し、そうである場合には、第1の候補ピークに関してピケットテストがパスされたことを見出すことによって、第1の候補ピークにピケットテストを適用する工程と、からなる、心臓信号を分析する方法の形態をとる。
【0157】
第17の非限定的な実施例は、第16の非限定的な実施例に記載の心臓信号を分析する方法であって、心拍数の第1の推定値は、第1の候補ピークによってピケットテストがパスされたことを見出すことに応答して、第1のラグ深さを時間間隔に変換することによって、および、時間間隔をレートに変換することによって、発生させられる、心臓信号を分析する方法の形態をとる。
【0158】
第18の非限定的な実施例は、第16の非限定的な実施例に記載の心臓信号を分析する方法であって、第1の候補ピークに関して、ピケットテストがパスされなかったことを見出す工程と、第2の候補ピークを選択する工程と、ピケットテストを第2の候補ピークに適用する工程と、をさらに含む、心臓信号を分析する方法の形態をとる。
【0159】
第19の非限定的な実施例は、第16の非限定的な実施例に記載の心臓信号を分析する方法であって、少なくとも第1の候補ピークに関して、ピケットテストがパスされなかったことを見出す工程と、自己相関関数の中の最大ピークを識別する工程と、最大ピークが、自己相関関数の中の任意の他のピークよりも、少なくとも閾値量だけ大きいかどうかを評価する工程と、最大ピークが任意の他のピークよりも少なくとも閾値量だけ大きいことを見出す工程と、最大ピークのラグ深さを使用し、心拍数の第1の推定値を計算する工程と、をさらに含む、心臓信号を分析する方法の形態をとる。
【0160】
第20の非限定的な実施例は、第16の非限定的な実施例に記載の心臓信号を分析する方法であって、第1の候補ピークに関してピケットテストがパスされたことを見出す工程と、自己相関関数が、第1の候補ピークのものよりも小さいラグ深さ、および、第1の候補ピークの閾値内の振幅を有する非候補ピークを含むかどうかをチェックする工程と、そうである場合には、非候補ピークがピケットテストをパスするかどうかを決定する工程と、をさらに含む、心臓信号を分析する方法の形態をとる。
【0161】
第21の非限定的な実施例は、第16から第20の非限定的な実施例のいずれか1つに記載の心臓信号を分析する方法であって、感知された心臓信号に対してR波検出を実施し、複数のR波検出を発生させる工程と、R波検出を使用して心拍数の第2の推定値を計算する工程と、心拍数の第1および第2の推定値を分析し、治療が必要とされるかどうかを決定する工程と、をさらに含む、心臓信号を分析する方法の形態をとる。
【0162】
第22の非限定的な実施例は、第16から第21の非限定的な実施例のいずれか1つに記載の心臓信号を分析する方法であって、経時的に心拍数の第1の推定値をトラッキングし、心拍数の第1の推定値が期間または一連の計算のいずれかにわたって一貫している場合には、信頼度メジャーを確立する工程をさらに含む、心臓信号を分析する方法の形態をとる。
【0163】
第23の非限定的な実施例は、第16から第22の非限定的な実施例のいずれか1つに記載の心臓信号を分析する方法であって、自己相関関数の中の最大ピークを分析し、少なくとも第1の候補ピークによってピケットテストがパスされなかった場合には、それがドミナントピークであるかどうかを決定し、第1の候補ピークの類似性境界内の振幅、および、第1の候補ピークのものよりも小さいラグ深さを有し、頻脈閾値を上回る心拍数に関連付けられる非候補ピークが、自己相関関数の中に出現するかどうかを分析し、そうである場合には、非候補ピークがピケットテストをパスするかどうかを決定するというように、心拍数の第1の推定値に関連する信頼度を発生させる工程と、候補ピークまたは非候補ピークが少なくとも2つのピケットを伴ってピケットテストをパスする場合には、心拍数の第1の推定値に高い信頼度を置く工程、ドミナントピークが見出される場合、もしくは、候補ピークまたは非候補ピークが1つだけのピケットを伴ってピケットテストをパスする場合には、心拍数の第1の推定値に中間信頼度を置き、または、ドミナントピークもピケットテストをパスするピークも見出されない場合には、自己相関関数の中の最大ピークに基づいて、推定された心拍数を報告し、心拍数の第1の推定値に低い信頼度を置くというように、心拍数の第1の推定値に関連する信頼度を発生させる工程と、をさらに含み、2つのピークを伴ってピケットテストをパスするピークは、ピケットテストの中の分析におけるピークの複数のラグ深さにおいて、少なくとも第1および第2の追加的なピークが存在することを意味している、心臓信号を分析する方法の形態をとる。
【0164】
第24の非限定的な実施例は、第23の非限定的な実施例に記載の心臓信号を分析する方法であって、感知された心臓信号に対してR波検出を実施し、複数のR波検出を発生させる工程と、R波検出を使用して心拍数の第2の推定値を計算する工程と、心拍数の第1および第2の推定値を分析し、第1の推定値が高い信頼度を伴う場合には、心拍数の第1の推定値を、心拍数の第2の推定値よりも信頼性が高いものとして扱うことによって、および、第1の推定値が低い信頼度を伴う場合には、心拍数の第2の推定値を心拍数の第1の推定値よりも信頼性が高いものとして扱うことによって、治療が必要とされるかどうかを決定する工程と、をさらに含む、心臓信号を分析する方法の形態をとる。
【0165】
第25の非限定的な実施例は、心臓信号分析を実施するための演算回路を収容する植え込み型のキャニスタと、それに心臓信号を提供するための演算回路に連結されている複数の電極とからなり、演算回路は、第16乃至第24の非限定的な実施例のいずれか1つに記載の心臓信号分析の方法を実施するように構成されている、植え込み型の心臓デバイスの形態をとる。
【0166】
第1乃至第25のいずれか1つの非限定的な実施例は、2段脈識別手段もしくは工程、および/または、ジッタ識別手段もしくは工程をさらに含むことが可能である。2段脈識別の例は、
図16および関連のテキストに示されている。追加的に、ジッタ識別の例は、
図17および関連のテキストに示されている。
【0167】
これらの非限定的な実施例のそれぞれは、独立していてもよいし、または、さまざまな置換もしくは組み合わせで、他の実施例の1つまたは複数と組み合わせられ得る。
上記の詳細な説明は、詳細な説明の一部を形成する添付の図面への言及を含む。図面は、例証として、本発明が実践され得る特定の実施形態を示している。また、これらの実施形態は、本明細書で「実施例」とも称される。そのような実施例は、示されているかまたは、説明されているものに加えて、エレメントを含むことが可能である。しかし、本発明者らは、示されているかまたは説明されているそれらのエレメントだけが設けられている実施例も企図している。そのうえ、本発明者らは、特定の例(または、その1つまたは複数の態様)、または、本明細書で示されているかもしくは説明されている他の例(または、その1つまたは複数の態様)のいずれかに関して、示されているかまたは説明されている(または、その1つまたは複数の態様)のそれらのエレメントの任意の組み合わせまたは置換を使用する実施例も企図している。
【0168】
この文献と、本願明細書に援用されている任意の文献との間で一貫しない用法がある場合には、この文献の用法が支配する。
この文献において、「a」または「an」という用語は、「少なくとも1つの」または「1つまたは複数の」の任意の他の例または用法とは無関係に、1つまたは2つ以上を含むように使用されている。この文書において、「または」という用語は、別段の指示がない限り、非排他的論理和を表すように使用されており、または、「AまたはB」が、「AであるがBではない」、「BであるがAではない」、および「AおよびB」を含むようになっている。この文書において、「含む(including)」および「in which」という用語は、「備える(comprising)」および「wherein」というそれぞれの用語の平易な英語の同等表現として使用されている。また、以下の請求項において、「含む(including)」および「備える(comprising)」という用語は、開放型であり、すなわち、請求項においてそのような用語の後に列挙されたものに加えてエレメントを含むシステム、デバイス、物品、組成物、配合物、または方法は、依然として、その請求項の範囲内に入ると見なされる。そのうえ、以下の請求項において、「第1」、「第2」、および「第3」などという用語は、単に、ラベルとして使用されており、それらの対象に数値的な要件を課すようには意図されていない。
【0169】
本明細書で説明されている方法の例は、少なくとも部分的に、マシンまたはコンピュータによって実装され得る。いくつかの例は、上記の例に説明されているような方法を実施するように電子デバイスを構成させるように動作可能なインストラクションによってコード化されたコンピュータ可読媒体または機械可読媒体を含むことが可能である。そのような方法の実装形態は、マイクロコード、アセンブリ言語コード、または高水準言語コードなどのような、コードを含むことが可能である。そのようなコードは、さまざまな方法を実施するためのコンピュータ可読インストラクションを含むことが可能である。コードは、コンピュータプログラム製品の一部を形成することが可能である。さらに、例では、コードは、たとえば、実行中にまたは他のときなどに、1つまたは複数の揮発性の、非一時的な、または不揮発性の有形コンピュータ可読媒体の上に有形に格納され得る。これらの有形コンピュータ可読媒体の例は、ハードディスク、リムーバブル磁気ディスク、リムーバブル光ディスク(たとえば、コンパクトディスクおよびデジタルビデオディスク)、磁気カセット、メモリカードまたはメモリスティック、ランダムアクセスメモリ(RAM)、およびリードオンリーメモリ(ROM)などを含むことが可能であるが、それに限定されない。
【0170】
上記の説明は、例示目的であり、限定的でないことが意図されている。たとえば、上述の例(または、その1つまたは複数の態様)は、互いに組み合わせて使用され得る。他の実施形態は、上記の説明の検討により、たとえば、当業者などによって使用され得る。要約書は、読者が技術的な開示の性質を迅速に確認できるようにするために、米国特許法施行規則第1.72条(b)に準拠するために提供される。要約書は、特許請求の範囲または意味を解釈または限定するために使用されることとはならないという理解で提出されている。
【0171】
また、上記の詳細な説明において、さまざまな特徴は、開示を能率的に行うためにクループ化され得る。これは、特許請求されていいない開示された特徴が任意の請求項に対して必須であることを意図するものとして解釈されるべきではない。むしろ、本発明の主題は、特定の開示された実施形態のすべての特徴よりも少ない状態であってもよい。したがって、以下の特許請求の範囲は、実施例または実施形態として、これにより詳細な説明の中に援用され、それぞれの請求項は、別々の実施形態として自立しており、また、そのような実施形態は、さまざまな組み合わせまたは置換で、互いに組み合わせられ得ることが企図される。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲とともに、そのような特許請求の範囲が権利を享受する均等物の全範囲を参照して決定されるべきである。