特許第6487050号(P6487050)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イ・エス・カ・エヌの特許一覧

特許6487050少なくとも1個の可動磁性体の位置を特定する方法および関連するシステム
<>
  • 特許6487050-少なくとも1個の可動磁性体の位置を特定する方法および関連するシステム 図000015
  • 特許6487050-少なくとも1個の可動磁性体の位置を特定する方法および関連するシステム 図000016
  • 特許6487050-少なくとも1個の可動磁性体の位置を特定する方法および関連するシステム 図000017
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6487050
(24)【登録日】2019年3月1日
(45)【発行日】2019年3月20日
(54)【発明の名称】少なくとも1個の可動磁性体の位置を特定する方法および関連するシステム
(51)【国際特許分類】
   G01B 7/00 20060101AFI20190311BHJP
   G06F 3/046 20060101ALI20190311BHJP
【FI】
   G01B7/00 103M
   G06F3/046 E
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-531756(P2017-531756)
(86)(22)【出願日】2015年12月7日
(65)【公表番号】特表2018-504589(P2018-504589A)
(43)【公表日】2018年2月15日
(86)【国際出願番号】EP2015078814
(87)【国際公開番号】WO2016091798
(87)【国際公開日】20160616
【審査請求日】2017年7月13日
(31)【優先権主張番号】1462106
(32)【優先日】2014年12月9日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】517202261
【氏名又は名称】イ・エス・カ・エヌ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オートソン,トリスタン
(72)【発明者】
【氏名】アロウイ,ラベブ
【審査官】 八木 智規
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−019505(JP,A)
【文献】 特開2006−338526(JP,A)
【文献】 米国特許第5831873(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 7/00 − 7/34
G06F 3/03
G06F 3/041− 3/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともN個の三軸磁力計(Mi,j)であって、前記磁力計(Mi,j)の既知の相対位置を維持するために自由度なしで互いに機械的に接続される少なくともN個の三軸磁力計(Mi,j)の配列に対する少なくとも1個の可動磁性体(OMM)の位置を特定する方法であって、Nは少なくとも2に等しい整数であり、前記方法は、
− 現時点(t)における前記磁力計(Mi,j)の測定値(Bi,jmes)をロードするステップと、
− 平均地球磁場および前記可動磁性体(OMM)に起因する平均磁場を表す前記磁力計(Mi,j)の前記測定値(Bi,jmes)の加重平均(<Bmes>)を計算するステップと、
− 修正測定値(Bi,jmes−<Bmes>)を取得するために、前記加重平均(<Bmes>)を前記測定値(Bi,jmes)の各々から減算するステップと、
− 前記1個以上の可動磁性体(OMM)の位置を特定するためのフィルタリング演算(FL)への入力として、前記修正測定値(Bi,jmes−<Bmes>)および前記現時点(t)における前記1個以上の可動磁性体(OMM)の位置(Pos,M)をロードするステップと、
− 前記位置フィルタリング演算(FL)を実行するステップを含み前記実行するステップが、
− 前記磁力計(M)により伝送されたデータ推定値(Bi,jest)の加重平均(<Best>)を計算することを含み、推定値(Bi,jest)が、推定アルゴリズムを用いて計算され、推定アルゴリズムが、磁石の位置、向き、および磁気モーメントを空間のあらゆる点で生じた磁場に関連付ける測定モデルの使用に基づき、前記実行するステップがさらに、
− 前記加重平均(<Best>)を前記推定データ(Bi,jest)の各々から減算することと、
− 後続時点(t+1)における前記1個以上の可動磁性体(OMM)の位置(Post+1,Mt+1)を出力として伝送することとを含む、方法。
【請求項2】
前記加重平均は、前記N個の磁力計(Mi,j)の各々に対して同一である重み係数を使用する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記加重平均は、前記N個の磁力計(Mi,j)のうち、前記1個以上の可動磁性体(OMM)に最も近いP個の磁力計に対してより低い重み係数を使用し、PはNよりも小さい整数である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記加重平均は、前記P個の磁力計に対してゼロの重み係数を使用する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記加重平均は、前記N個の磁力計(Mi,j)のうち、前記1個以上の可動磁性体(OMM)から最も遠い前記磁力計以外に対してゼロの重み係数を使用する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1個の可動磁性体(OMM)の位置を特定するシステムであって、
− 少なくともN個の三軸磁力計(Mi,jの配列を含み、前記磁力計(Mi,j)は、前記磁力計(Mi,j)の既知の相対位置を維持するために自由度なしで互いに機械的に接続され、Nは少なくとも2に等しい整数であり、前記システムはさらに、
− 前記配列の前記磁力計(Mi,j)および位置フィルタ(FL)により伝送された測定値(Bmes)から前記1個以上の可動磁性体(OMM)の位置(Post,M)を判定するために好適な電子処理ユニット(11)を含み、
前記電子処理ユニット(11)は、
− 現時点(t)における前記磁力計(Mi,j)の測定値(Bi,jmes)をロードする手段と、
− 平均地球磁場および前記可動磁性体(OMM)に起因する平均磁場を表す前記磁力計(Mi,j)の前記測定値(Bi,jmes)の加重平均(<Bmes>)を計算する手段と、
− 修正測定値(Bi,jmes−<Bmes>)を取得するために、前記加重平均(<Bmes>)を前記測定値(Bi,jmes)の各々から減算する手段とを含み、
前記位置フィルタ(FL)は、
− 前記可動磁性体(OMM)の位置を特定するためのフィルタリング演算(FL)への入力として、前記修正測定値(Bi,jmes−<Bmes>)および前記現時点(t)における前記1個以上の可動磁性体(OMM)の位置(Pos,M)をロードする手段と、
− 前記磁力計(Mi,j)により伝送されたデータの推定値(Bi,jest)の加重平均(<Best>)を計算する手段とを含み推定値(Bi,jest)が、推定アルゴリズムを用いて計算され、推定アルゴリズムが、磁石の位置、向き、および磁気モーメントを空間のあらゆる点で生じた磁場に関連付ける測定モデルの使用に基づき、前記位置フィルタ(FL)はさらに、
− 前記加重平均(<Best>)を前記推定データ(Bi,jest)の各々から減算する手段と、
− 後続時点(t+1)における前記1個以上の可動磁性体(OMM)の位置(Post+1,Mt+1)を出力として伝送する手段とを含む、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1個の可動磁性体の位置を特定する方法および関連するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
磁性体の位置を特定する方法および装置に関する文献、例えば文献仏国特許第2988862号明細書等が知られている。
【0003】
文献仏国特許第2988862号明細書は、N個の三軸磁力計であって、これらの磁力計の各々間の既知の距離を維持するために自由度なしで互いに機械的に接続されるN個の三軸磁力計を含む、三軸磁力計の配列であって、Nは5よりも大きい整数である、配列により取得された測定値から磁性体の位置を特定する方法を開示している。磁力計の配列は、任意選択的に重ね合わされた一枚以上の用紙等の筆記媒体用の荷重面を含む装置内に配置される。
【0004】
磁性体の位置は、その配置(磁力計の配列に対して固定された座標系内での(x、y、z)座標)と、磁性体の向きを表す磁気モーメント(同一の座標系内での(Mx,My,Mz))の値からなると考えられる。
【0005】
この種の方法で使用される測定値へのバイアスの導入は、位置を不正確にするか、または不安定にさえする。
【0006】
このような位置特定装置の動的な使用に関連して、すなわち筆記媒体を搭載した位置特定装置をユーザーが動かすことができる場合、その向きを修正することができ、これは、磁力計の配列により測定される座標系内での地球磁場の回転と、従って全ての磁力計の測定におけるバイアスとに直接つながる。
【0007】
従って、均一な磁場内での位置特定装置の移動により、このような位置特定装置を使用することがほぼ不可能になる。
【0008】
このような装置が手書き文字をデジタル化するシステムで使用される場合、そのようなシステムによる位置の判定に要する精度は1mm未満であるため、磁力計の座標系内での地球磁場におけるわずかな変化であっても、求める精度よりも大きい測定誤差に直接つながる。
【0009】
従来技術において、起動時に、全てのセンサにおいてまたは一切の磁性体が存在しない状態で測定バイアスを除去することが知られている。
【0010】
このような方法では、磁性体の位置特定実行中の移動が不可能であり、従って、移動的使用に関して述べた潜在的な問題を解決しない。特に、筆記デジタル化アプリケーションに関連して、ユーザーは、自らの姿勢および動きを修正しながら可能な筆記角度を得るために位置特定装置を動かす場合が多い。
【0011】
また、磁力計を可動磁性体から十分な距離に置くことにより、この磁力計が可動磁性体により生じた磁場の影響を受けないようにする方法が知られている。この遠隔磁力計により測定される密封は、地球磁場により誘導される磁性成分を抑制するのに役立つ。
【0012】
上述のような方法は、小型の装置が使用されることを許容せず、従って携帯機器に適していない。更に、上述の方法は、この遠隔磁力計の測定誤差、特に地球以外の磁場による遠隔磁力計の誤動作または撹乱に極めて敏感である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】仏国特許第2988862号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的の1つは、これらの問題を緩和することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一態様によれば、少なくともN個の三軸磁力計であって、これらの磁力計の既知の相対位置を維持するために自由度なしで互いに機械的に接続される少なくともN個の三軸磁力計の配列に対する少なくとも1個の可動磁性体の位置を特定する方法が提供され、Nは少なくとも2に等しい整数であり、本方法は、
− 現時点における磁力計の測定値をロードすることと、
− 平均地球磁場および可動磁性体に起因する平均磁場を表す磁力計の前記測定値の加重平均を計算することと、
− 修正測定値を取得するために、前記測定値の前記加重平均を前記測定値の各々から減算することと、
− 1個以上の可動磁性体の位置を特定するためのフィルタリング演算への入力として、前記修正測定値および現時点における1個以上の可動磁性体の位置をロードすることと、
− 位置フィルタリング演算を実行することであって、
− 前記磁力計により伝送されたデータの推定値の前記加重平均を計算することと、
− 前記推定値の前記加重平均を前記推定データの各々から減算することと、
− 後続時点における1個以上の可動磁性体の位置を出力として伝送することと
を含むステップを含む、実行することと
を含むステップを含む。
【0016】
本方法により、上述の磁気位置特定装置を、装置の向きを修正しながらおよび/または移動しながら使用することが可能になる。
【0017】
また、本方法により、装置に対する均一な磁場(地球磁場がその一例である)の影響を抑制して、全ての磁力計に均一な磁場をもたらす撹乱の発生源を除去することが可能になる。大部分の発生源は磁気双極子に例えることができる。装置と撹乱の発生源との距離が十分に大きい場合、検出される磁場は均一な磁場となり、従って本方法により修正される。
【0018】
磁気撹乱の発生源としてDCモーターが知られており、例えば1ガウスよりも強い強磁場を生成する。従って、本方法により、これらの装置を列車または路面電車に使用することができる。
【0019】
「位置を特定する」とは、例えばデカルト座標(3本の直交軸に沿った成分)で表された磁性体の位置および磁気モーメントを判定することにより、可動磁性体の位置および向きを判定することを意味する。一変形形態として、可動磁性体の位置および向きは、磁気モーメントを球面座標系、すなわちノルムおよび2個の角度で表すことにより判定することができる。この代替案により、磁気モーメントを既知の値に初期化することにより可動磁性体の磁気モーメントを設定でき、従って位置および2個の角度のみを推定すればよく、利点として位置フィルタにより推定すべき未知数の個数を減らすことができる。
【0020】
一実施形態において、前記加重平均は、N個の磁力計の各々に対して同一である重み係数を使用する。この方法は、必要とされる計算能力が異なる重みを使用する場合よりも低くて済む利点がある。具体的には、3n回の乗算(Nはセンサの個数である)が冗長になる。
【0021】
一実施形態によれば、前記加重平均は、N個の磁力計のうち、各々の可動磁性体に最も近いP個の磁力計に対してより低い重み係数を使用し、PはNよりも小さい整数である。
【0022】
従って、可動磁性体により最も影響を受け易いかまたは飽和することもあるP個の磁力計の影響は無視され、限定的である。
【0023】
複数の可動部が存在する場合、磁力計と各可動磁性体との距離が配列の各磁力計について判定され、次いで、判定された距離が全ての磁力計および可動磁性体について昇順に分類され、分類された距離が最も短いP個の磁力計に対して低い相関係数が使用される。
【0024】
例えば、前記加重平均は、前記P個の磁力計に対してゼロの重み係数を使用する。
【0025】
従って、可動磁性体により最も影響を受け易いかまたは飽和することもあるP個の磁力計は無視される。
【0026】
一実施形態において、前記加重平均は、N個の磁力計のうち、1個以上の可動磁性体から最も遠い磁力計以外に対してゼロの重み係数を使用する。
【0027】
従って、測定された地球磁場の平均は、1個以上の可動磁性体から最も遠い磁力計により測定された磁場に等しく設定され、従って1個以上の可動磁性体により撹乱される度合いが最も少ない磁場に設定される。
【0028】
本発明の別の態様によれば、少なくとも1個の可動磁性体の位置を特定するシステムも提供され、前記システムは、
− 少なくとも三軸磁力計であって、これらの磁力計の既知の相対位置を維持するために自由度なしで互いに機械的に接続される少なくとも三軸磁力計の配列であって、Nは少なくとも2に等しい整数である、配列と、
− 配列の磁力計および位置フィルタにより伝送された測定値から1個以上の可動磁性体の位置を判定するために好適な電子処理ユニットと
を含み、
前記電子処理ユニットは、
− 現時点における磁力計の測定値をロードする手段と、
− 平均地球磁場および可動磁性体に起因する平均磁場を表す磁力計の前記測定値の加重平均を計算する手段と、
− 修正測定値を取得するために、前記測定値の前記加重平均を前記測定値の各々から減算する手段と
を含み、
位置フィルタは、
− 可動磁性体の位置を特定するためのフィルタリング演算への入力として、前記修正測定値および現時点における1個以上の可動磁性体の位置をロードする手段と、
− 前記磁力計により伝送されたデータの推定値の加重平均を計算する手段と、
− 前記推定値の前記加重平均を前記推定データの各々から減算する手段と、
− 後続時点における1個以上の可動磁性体の位置を出力として伝送する手段と
を含む。
【0029】
本発明は、添付図面に例示する完全に非限定的な例を使用して記述するいくつかの実施形態を調べることでより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】公知の従来技術による位置特定装置を概略的に示す。
図2】公知の従来技術による位置特定装置を概略的に示す。
図3】本発明の一態様による方法を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
全ての図面を通じて同一の参照符号で示す要素は同一である。
【0032】
以下の記述において当業者に公知の特徴および機能は詳述しない。
【0033】
図1に、従来技術による、例えば文献仏国特許出願公開第2988862A1号明細書に記述されている可動磁性体OMMの位置を特定する装置1を示す。
【0034】
この場合、位置特定装置1を使用して、電子装置2、例えば画面2上の画像の表示を制御することができる制御装置3に接続された画面2を制御する。
【0035】
図示する例において、装置3は画面2上のカーソル4の位置および向きを制御する。例えば、カーソル4は、直方体等の三次元形状を有する。
【0036】
可動磁性体OMMは、外部磁場および非磁性筆記具6が存在しない場合であっても非ゼロの磁気モーメントを有する永久磁石5を含む。非磁性とは、測定可能な磁気特性を有していない材料で作られた筆記具を意味する。例えば、筆記具6は木またはプラスチック製の鉛筆、ペン、またはインク消しである。筆記具6の位置は永久磁石5の位置から特定することができる。筆記具6により、特に永久磁石5のサイズが小さい場合に永久磁石5を扱い易くする。典型的に、永久磁石5および筆記具6の組み合わせは、装置1と自由度なしで固定された直交XYZ座標系に存在する人間の手により直接自由に動かすことができる。この場合、XおよびY方向は水平(筆記媒体の平面)であり、Z方向は垂直である。この目的のため、この組み合わせの重量は1キロ未満、好適には200g未満である。この組み合わせの寸法は、ユーザーの片手でつまみ上げて動かすのに十分小さい。1個以上の可動磁性体OMMは、直交XYZ座標系内で自由に動かすことができる。
【0037】
例えば、磁石の保磁力は100A.m−1または500A.m−1よりも高い。例えば、それは強またはフェリ磁性体で作られている。永久磁石5は長方形の形状をなしている。図1において、永久磁石5の磁気モーメントの方向を、この物体の長手方向に平行な矢印で示す。一変形形態として、永久磁石5は、筆記具6を囲むリングの形状をなしていてよい。永久磁石5で最長寸法を以下でLと表記する。
【0038】
永久磁石5の強度は、典型的に0.01A.mまたは0.1A.mよりも強い。本実施形態において、永久磁石5は、自由度なしで筆記具6に固定されている。
【0039】
位置特定装置1により、永久磁石5のXYZ座標系内での位置を特定することができる。ここで位置を特定するとは、XYZ座標系内での永久磁石5のx、y、z位置を判定し、かつXYZ座標系のX、YおよびZ軸に関する永久磁石5の向きを判定することを意味する。例えば、永久磁石5の向きは、座標系のX、YおよびZ軸に対する、XYZ座標系内での永久磁石5の磁気モーメントのデカルト座標Mx,My、およびMzにより、またはXYZ座標系内での永久磁石5の磁気モーメントの球面座標M、θ、φにより表すことができる。
【0040】
位置特定装置1は、N個の三軸磁力計Mijの配列を含む。図1において、波形の垂直線は、いくつかの位置特定装置1が示されていないことを示す。
【0041】
典型的に、Nは5よりも大きく、好適には16もしくは32よりも大きく、または64に等しくてもよい。
【0042】
本実施形態において、磁力計Mijは、行および列に配置されてマトリクス配列または単に配列を形成する。この場合、このマトリクス配列は8行および8列を含む。添え字iおよびjは、それぞれこのマトリクス配列の行および列を識別し、その交差部に磁力計Mijが見出されれる。
【0043】
図1において、行iの磁力計Mi1、Mi2、Mi3、Mi4およびMi8のみを示す。互いに相対的な磁力計Mijの位置を図2に更に詳細に示す。
【0044】
各磁力計Mijは、他の磁力計と自由度なしで接合されている。この目的のため、磁力計Mijは、剛性パネル8の背面7に自由度なしで固定されている。この剛性パネル8は、永久磁石5に向けられた前面9を有する。パネル8は、固い非磁性材料で作られている。例えば、パネル8はガラス製であってよい。
【0045】
各磁力計Mijは、永久磁石5により生じた磁場の方向および強度を測定する。これを行うため、各磁力計Mijは、この磁力計の3本の測定軸に沿ってこの磁力計Mijの永久磁石5により生じた磁場の直交射影のノルムを測定する。この場合、これらの3本の測定軸は互い直交している。例えば、磁力計Mijの各々の測定軸は座標系のX、Y、およびZ軸に平行である。
【0046】
各磁力計Mijは、データバス10を介して処理ユニット11に接続されている。
【0047】
処理ユニット11は、磁力計Mijの測定値から、XYZ座標系内での永久磁石5の位置および向きを判定することができる。この目的のため、装置11は、データ記憶媒体に格納された命令を実行可能なプログラム可能電子プロセッサ12を含む。装置11は、従って、プロセッサ12による図3の方法の実行に必要な命令を含むメモリ13も含む。
【0048】
特に、装置11は、複数の磁力計Mijの測定値に永久磁石5、すなわち同じくXYZ座標系内での筆記具6の位置および向きを表すパラメータを関連付ける物理数学的モデルを実装している。
【0049】
このモデルは、非線形推定値フィルタ、例えば拡張カルマンフィルタ形式で実装される。
【0050】
このモデルは、典型的に静磁場物理方程式から構築される。このモデルを構築するために永久磁石5を磁気双極子で近似している。この近似により、永久磁石5と磁力計Mijとの距離が2Lよりも大きく、好適には8Lよりも大きい場合、生じる誤差が極めて小さい(Lは永久磁石5の最大寸法である)。典型的には、Lは、20cmよりも小さく、好適には10または5cm未満である。
【0051】
装置11はまた、永久磁石5の位置および測定された向きをインターフェース14に渡すことができる。
【0052】
制御装置3は、このインターフェース14を介して装置11に接続されている。
【0053】
図2は、位置特定装置1のいくつかの磁力計Mijを示す。これらの磁力計Mijは、X方向に平行な行iに整列配置されている。これらの磁力計はまた、マトリクス配列または単に配列を形成するためにY方向に平行な列jに整列配置されている。行iおよび列jは、添え字の昇順に配置されている。
【0054】
磁力計Mijの中心は、行iおよび列jの交差箇所に位置している。磁力計の中心は、磁場がこの磁力計により測定される点に対応している。この場合、添え字iおよびjは、区間[1;8]に属している。
【0055】
行iに沿って直接隣接する2個の磁力計Mij、M1,j+1の中心は、既知の距離di,j,j+1だけ離れている。同様に、所与の列jに沿って直接隣接する2個の磁力計Mij、Mi+1,jの中心は、既知の距離dj,i,i+1だけ離れている。
【0056】
ここに記述する特定の場合において、いずれの行iについても距離di,j,j+1は同一である。従って、この距離をdと表記する。同様に、いずれの列jについても2個の磁力計間の距離dj,i,i+1は同一である。従って、この距離をdと表記する。記述する例において、距離dおよびdは共にdに等しい。
【0057】
典型的に、距離dが1〜4cmであるのは、1
− 永久磁石の強度が0.5A.mであり、
− 磁力計の感度が4×10−7Tであり、および
− 磁力計Mijの個数が64であるときである。
【0058】
図3は、本発明の一態様による方法の一実施形態を示す。本方法のステップは、電子処理ユニット11により実装される。
【0059】
各測定ステップにおいて、平均地球磁場と可動磁性体OMMに起因する平均磁場との和を表す各磁力計Mi,jの前記測定値Bi,jmesの加重平均<Bmes>を計算する。
【0060】
加重平均<Bmes>は、非限定的に、重み係数が全て等しい場合に算術平均であってよい。
【0061】
従って、地球磁場は、1個以上の可動磁性体OMMにより生成された平均磁場と同時に除去される。
【0062】
地球磁場またはシステムに対する均一な磁気撹乱を抑制することで求める修正が得られるのに対し、強磁性物質により生じた磁場の平均を抑制することで誤差が生じる。
【0063】
次に、生じた誤差を考慮に入れて位置特定アルゴリズムの精度を下げないようにする。
【0064】
従って、平均地球磁場および可動磁性体OMMに起因する平均磁場を表す磁力計Mijの測定値
【数1】
の加重平均
【数2】
を計算する。
【0065】
次に、測定値Bi,jmesの加重平均
【数3】
を各々の測定値
【数4】
から減算して修正測定値
【数5】
を得る。
【0066】
例えば、加重平均が算術平均である場合、
【数6】
が成立し、ここで、a×b=Nである。
【0067】
次いで位置フィルタリング演算(FL)は、入力として、修正測定値
【数7】
および現時点tでの1個以上の可動磁性体(OMM)の位置
【数8】
を使用する。
【0068】
位置フィルタリング演算は、前記磁力計(Mij)により伝送したデータの推定値
【数9】
の推定加重平均
【数10】
の計算を使用する。この場合、使用する加重平均は、測定された加重平均(すなわち、測定値の重み付けおよび推定値の重み付けにおいて磁力計に各々関連付けられた同一の重み係数であり、1個の重み係数が各磁力計に関連付けられている)に使用したものと同一でなければならない。
【0069】
推定アルゴリズムは、磁石の位置、向き、および磁気モーメントを空間のあらゆる点で生じた磁場に関連付ける測定モデルの使用に基づいている。
【0070】
推定加重平均の計算は、本実施形態では、同一の加重平均、この場合には算術平均
【数11】
を使用し、ここで、a×b=Nである。
【0071】
次に、前記加重平均
【数12】
を前記推定データBi,jestの各々から減算する。
【0072】
位置フィルタFLは、次いで、出力として後続時点t+1における1個以上の可動磁性体OMMの位置
【数13】
を伝送する。
【0073】
一変形形態として、前記加重平均は、N個の磁力計Mi,jのうち、各々の可動磁性体OMMに最も近いP個の磁力計に対してより低い重み係数を使用し、PはNよりも小さい整数である。当然のことながら、測定値の加重平均は依然として推定値の加重平均と同一である。
【0074】
従って、可動磁性体により最も影響を受け易いかまたは飽和することもあるP個の磁力計の影響は無視され、限定的である。
【0075】
加重平均は、可動部磁性体により最も影響を受け易いかまたは飽和することもあるP個の磁力計の影響を完全に除去して無視できるように、前記P個の磁力計に対してゼロの重み係数を使用してもよい。
【0076】
一変形形態として、加重平均は、地球磁場同等の平均を1個以上の可動磁性体により最も影響を受けにくい磁力計の測定値に設定するために、N個の磁力計のうち、1個以上の可動磁性体から最も遠い磁力計以外に対してゼロの重み係数を使用してもよい。
【0077】
本実施形態において、計算された平均値は磁力計の測定値と厳密に一致する。
【0078】
上述の方法のステップは、入力データに作用して出力データを生成することにより本発明の機能を実行するために、コンピュータプログラムを実行する1個以上のプログラム可能プロセッサにより実行され得る。
【0079】
コンピュータプログラムは、コンパイラまたはインタープリタ言語を含む任意の形式のプログラミング言語で記述さていてよく、コンピュータプログラムは、スタンドアローンプログラムまたはサブプログラムとして、コンピュータ環境での使用に適した要素または他の装置を含む任意の形式で提供することができる。コンピュータプログラムは、1台のコンピュータ、または1箇所もしくは複数箇所にわたり分散されて通信ネットワークにより互いに接続された複数台のコンピュータ上で実行するために提供することができる。
【0080】
本発明の好適な実施形態について記述してきた。本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく各種の変更形態がなされ得る。従って、他の実施形態は添付の請求項の範囲内に含まれる。
図1
図2
図3