(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して実施形態を詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態の検査装置10は、ポンプ11、ノズル13、移動装置15、ピストン荷重計21、及び制御装置41を有する。検査装置10は、圧縮空気供給装置35及び供給通路37を有しても良い。検査装置10は、洗浄機(高圧洗浄機や高圧バリ取り装置等。)に好適に適用できる。洗浄機は、例えば特許第5432943号、特許第6147623号、特許第6196588号に記載されている。
【0008】
ポンプ11は、液体ポンプであり、ノズル13と接続する。ポンプ11は、例えば、ピストンポンプ、ギヤ―ポンプ、遠心ポンプである。ポンプ11は、制御装置41によって制御される。好ましくは、ポンプ11はバルブ12を有する。バルブ12を開くと、ポンプ11は、ノズル13へ液体14を供給する。液体14は、水溶性洗浄液である。
【0009】
ポンプ11は、更に回転数制御装置(不図示)や圧力制御装置(不図示)を有しても良い。回転数制御装置は、例えば特開第2016−142216号に記載されている。ポンプ11が回転数制御装置又は圧力制御装置を含むとき、ポンプ11は圧力を制御する。
【0010】
ノズル13は、噴口17を有する。ノズル13は、例えば、直線棒状の噴流20を噴射する直射ノズル、平板扇状の噴流20を噴射する平射ノズル、円錐状の噴流20を噴射する円錐ノズルである。以下、噴流20の設計上の中心線を噴射軸19、噴口17の直径をノズル径d1とする。ここで、平射ノズル、円錐ノズルについては、そのノズルと同一の流量を噴射する直射ノズルの噴口17の直径をノズル径d1とする。例えばノズル径d1は0.3〜4.0mmが利用できる。
【0011】
移動装置15は、タレット151を有しても良い。タレット151は、複数のノズル13を支持できる。タレット151は、複数のノズル13の中の一つのノズル13へ液体14を供給する。
ピストン荷重計21は、ボディ29、受圧板23、ステム24、荷重計33を有する。ピストン荷重計21は、排出孔39及びラビリンス38を有しても良い。
【0012】
ボディ29は、屋根29a、測定室29c、シリンダ29b及び側壁29dを有する。
屋根29aは、側壁29dと連続的に接続される。屋根29aの上面は、好ましくは、ステム24の中心軸24aに対して傾斜している。屋根29aは、中心軸24aから離れるにしたがって、受圧板23から遠ざかるように傾斜する。好ましくは、屋根29aは、円錐又は多角錐状である。屋根29aの傾斜により、屋根29aに衝突した噴流20がステム24とシリンダ29bの隙間から測定室29cに侵入しにくい。屋根29aと噴射軸19とのなす角は、例えば85〜70°である。屋根29aは、ボディ29に衝突した噴流20を受け止め、噴流20を弾く。
【0013】
測定室29cはボディ29の中央に設けられる。測定室29cは円柱状又は直方体状である。
シリンダ29bは、屋根29aの中央又は頂部から測定室29cに貫通する円筒状の穴である。シリンダ29bは、中心軸24aに沿って伸びる。好ましくは、シリンダ29bの内面は滑らかに仕上げられる。ラビリンス38は、シリンダ29bに設けられる。
側壁29dは円柱又は角柱状である。ボディ29は、好ましくは底面を有する。側壁29dは荷重計33を噴流20やミストから保護する。
【0014】
受圧板23は、板状又は柱状である。受圧板23は、受圧面23aを有する。受圧板23は、傾斜面23b及びスカート23cを有しても良い。受圧板23は、噴流20を受け、噴流20が受圧面23aに衝突したときに受ける圧縮荷重(以下、単に「荷重F」という。)をステム24に伝達する。
【0015】
受圧板23の外径d3(多角柱の受圧板23においては、受圧板23の断面の内接円の径)は、ステム24の径d4以上とできる。
外径d3は、望ましくは径d4よりも大きい。このとき、受圧板23が噴流20を弾き、噴流20がステム24に接触するのを抑制できる。噴流20は、ステム24とシリンダ29bとの隙間を直撃せず、受圧板23で跳ね返った噴流20は、ステム24とシリンダ29bとの隙間とは異なる方向へ進む。このように、液体14が測定室29cへ侵入することが抑制される。
【0016】
受圧面23aは、中心軸24aに直交する。傾斜面23bは、中心軸24aに対して傾斜している。受圧面23aは円形又は多角形である。以下、受圧面23aの直径又は受圧面23aの内接円の直径を、受圧径d2という。
例えば、受圧径d2はノズル径d1の2〜3倍とする。噴流20の広がりに対して、受圧面23aが狭いとき、荷重Fの分布はベル型になる。ノズル13が充円錐形状の噴流20を生成するときも同様である。
また、受圧径d2はノズル径d1の3〜8倍としても良い。噴流20の広がりに対して、受圧面23aが広いとき、荷重Fの分布は円錐台状になる。
【0017】
傾斜面23bと中心軸24aとのなす角は、好ましくは10〜20°である。噴流20が傾斜面23bに衝突すると、噴流20は中心軸24aから離れる方向へ向かう。傾斜面23bにより、シリンダ29bとステム24との隙間から測定室29cへの噴流20の侵入を抑制できる。また、傾斜面23bの傾斜が大きいため、傾斜面23bに衝突した噴流20の衝突力の中心軸24aに沿った分力が小さくなる。そのため、傾斜面23bに衝突した噴流20の衝突力が荷重計33に伝わりにくい。
【0018】
スカート23cは、受圧面23aと反対面に設けられる。スカート23cは、受圧面23aから離れるにつれて中心軸24aから離れる傾斜面である。受圧面23aを重力方向上向きに配置すると、スカート23cに付着した液体14は、ステム24から離れる方向に流れ落ちる。スカート23cにより、シリンダ29bとステム24との隙間から測定室29cへの噴流20の侵入を抑制できる。
なお、受圧径d2がφ3以下のときには、受圧板23はステム24と同径とし、スカート23cを省いても良い。
【0019】
ステム24は、中心軸24aに沿って伸びる。ステム24は、円柱状である。望ましくは、ステム24の表面はなめらかに仕上げられる。ステム24は、シリンダ29b内を往復する。ステム24は、シリンダ29bと摺動する。受圧板23の反対側のステム24の端部に、ストッパ31が設けられる。ストッパ31は、ステム24のボディ29からの脱落を防ぐ。ストッパ31は、例えば、止め輪である。
【0020】
荷重計33は、測定室29cの内部に設けられる。荷重計33は、例えば、ロードセル、ピエゾセンサーである。荷重計33は、圧縮型である。ステム24と荷重計33の荷重受座33aとを接触させ、負荷方向と中心軸24aとを一致させる。例えば、ロードセルである荷重計33の起歪体が、ステム24の押し込みによりひずむように設けられる。荷重計33は、荷重Fを制御装置41へ送る。荷重計33は、A/D変換装置を有しても良い。荷重計33は、制御装置41と荷重Fを無線通信しても良い。
【0021】
ラビリンス38は、シリンダ29bに設けられる。ラビリンス38は、ステム24とシリンダ29bとの隙間を封止する。
排出孔39は、測定室29cとボディ29の外部とを接続する貫通穴である。測定室29c内部に侵入した液体14やミストは、排出孔39から排出される。荷重計33の信号線は排出孔39を通して設けても良い。
【0022】
圧縮空気供給装置35は、乾燥した圧縮空気36を、供給通路37を通じて測定室29cへ送る。圧縮空気36の一部は、ラビリンス38を通り、ステム24とシリンダ29bとの隙間から漏れてエアカーテンを形成する。圧縮空気36の残部は排出孔39から排出される。圧縮空気供給装置35により、測定室29cへの液体14の侵入を抑制できる。液体14が測定室29cの内部に侵入した場合、侵入した液体14を排出孔39から効率的に排出する。
【0023】
移動装置15は、ピストン荷重計21に対してノズル13を相対的に移動する。移動装置15は、ノズル13を支持する。移動装置15は、例えば、垂直多関節ロボット、スカラーロボット、直行軸ロボット、パラレルリンクロボット又は移動カラム及び送り台である。移動装置15は、制御装置41によって数値制御される。移動装置15は、ノズル13を受圧面23aの中心59を基準とするXYZ直交座標上を自在に移動する。以下、便宜上、受圧面23aを通り中心軸24aに垂直な平面上にX軸及びY軸を、中心軸24aに沿って受圧面23aから離れる方向にZ軸を定義する。なお、軸名称は入れ替えても良い。
【0024】
図2を参照して、制御装置41を説明する。制御装置41は、記憶装置57、演算装置51、入出力装置53、I/Oポート55及びバス49を有する。記憶装置57、演算装置51、入出力装置53及びI/Oポート55はバス49で接続されている。制御装置41は、例えば数値制御装置、シーケンサ、パーソナルコンピュータである。
【0025】
記憶装置57は、基準関数57e、測定荷重値57c及び近似関数57dを記憶する。記憶装置57は、測定条件57b、パラメータ表57a及び特徴値の限界値57fを記憶しても良い。
【0026】
基準関数57eは、測定荷重値57cに対して近似関数57dを得るための関数である。基準関数57eはX座標およびY座標を変数として含むベル型又は円錐台状の曲面を示す関数である。基準関数57eは、ノズルの種類、ピストン荷重計21、噴射条件によって、得られる荷重Fの分布に適合するように設定される。基準関数57eは、ガウス関数でもよい。基準関数57eは、入出力装置53又はI/Oポートを介して入力されても良い。
基準関数57eは、複数設けられても良い。複数の基準関数57eが設けられる場合、基準関数57eは、測定条件に応じて選択される。
【0027】
パラメータ表57aは、測定条件57bに対応する基準関数57eの係数の初期値57a1を与える。パラメータ表57aは限界値57fを含んでも良い。
【0028】
図3を参照して、特徴値は近似関数57dから抽出される、噴流20の特性を示す値である。特徴値は、例えば、ピーク高さH、変位量|P|、変位量|P1|、有効範囲65の面積である有効面積A1又は有効範囲65の長辺−短辺比率(以下、単に「比率I」という。)である。洗浄やバリ取りに有効な荷重Fを有効荷重F1とする。有効範囲65は、近似関数57dの値が有効荷重F1以上を示す領域である。変位量|P|は、原点から近似関数57dのピーク位置Pまでの距離である。ピーク高さHは近似関数57dのピークの高さである。変位量|P1|は、原点から有効範囲65の重心P1までの距離である。特徴値が近似関数57dから抽出されるため、個々の測定点のばらつきを含み、測定点全体から評価された値を得ることができる。
【0029】
限界値57fは、測定条件57bに対応して設けられる。限界値57fは、例えば、最小ピーク高さHmin、最大変位量|P|max、最大変位量|P1|max、最大有効面積A1max又は最大比率Imaxである。最小ピーク高さHminはピーク高さHの最小値、最大変位量|P|maxは変位量|P|の最大値、最大変位量|P1|maxは変位量|P1|の最大値、最大有効面積A1maxは有効面積Aの最大値、最大比率Imaxは比率Iの最大値である。限界値57fは、例えば洗浄能力が発揮される範囲として実験的に定められる。
【0030】
測定荷重値57cは、測定開始時刻からの経過時間(以下、単に時間tという。)に対する荷重Fおよびノズル13のXY座標値を含む。
測定条件57bは、荷重Fを測定するときの噴射条件である。例えば、測定条件57bは、ノズル種別、圧力、スタンドオフ距離(以下、単に距離Lという。)を含む。ノズル13毎に数値制御プログラムによって測定条件57bが定められている場合、プログラム番号又はノズル番号を測定条件54bとしてもよい。
【0031】
演算装置51は、近似関数演算手段51b、特徴値抽出手段51c、数値制御手段51e及びデータ収集手段51fを有する。演算装置51は、基準関数決定手段51a及び判定手段51dを有しても良い。
【0032】
基準関数決定手段51aは、測定条件57b、パラメータ表57aに基づいて基準関数57eを決定する。
近似関数演算手段51bは、基準関数57eに対する測定荷重値57cを近似する近似関数57dを演算する。近似関数演算手段51bは、最小二乗法により基準関数57eを測定荷重値57cに近似できる。近似関数演算手段51bは、例えば、Levenberg-Marquardt法やGauss-Newton法を利用する。近似関数演算手段51bは、パラメータ表57aを読み出し、基準関数57eの初期値57a1を決定する。
【0033】
特徴値抽出手段51cは、近似関数57dから特徴値を抽出する。特徴値抽出手段51cは、近似関数57dの定数から特徴値を演算しても良い。また、特徴値抽出手段51cは、マトリックス状に与えられた座標(X,Y)に対して近似関数57dの示す値を演算し、得られた値に基づいて特徴値を抽出してもよい。
【0034】
判定手段51dは、抽出した特徴値と、限界値57fとを比較する。特徴値が限界値57fを超えた場合、判定手段51dはノズル13を不適合と判定する。特徴値が複数設けられ、少なくとも1つの特徴値が限界値57fを超えた場合、判定手段51dはノズル13を不適合と判定する。
数値制御手段51eは、移動装置15を数値制御する。数値制御手段51eは、I/Oポートを介して、移動装置15及びポンプ11を制御する。
【0035】
データ収集手段51fは、荷重計33から荷重Fを、数値制御手段51eからノズル13のXY座標を同時に一定周期で収集する。データ収集手段51fは、時間tに対する荷重FおよびXY座標を、測定荷重値57cとして記憶装置57に記憶させる。
【0036】
データ収集手段51fは、ソフトウェアとして制御装置41に組み込まれても良い。データ収集手段51fは、データロガーを利用できる。データロガーは組み込みボードとして上位コントローラに組み込まれても良い。データロガーを別置きとし、I/Oポートを介して接続しても良い。
また、検査装置10は、レーザ測長機などの測長手段を含んでも良い。このとき、データ収集手段51fは、測長手段からノズル13のXY座標を収集できる。
【0037】
I/Oポート55は、移動装置15、荷重計33及びポンプ11とデータ通信する。
入出力装置53は、例えば、キーボード、ポインティングデバイス又はモニターである。キーボードは、ソフトウェアキーボードでもよい。ポインティングデバイスは、例えば、マウス、タッチパネルである。
【0038】
図4を参照して、ノズルの検査方法の手順を説明する。まず、ノズル13が噴流20を生成する(S1)。次にノズル13が走査範囲61内を走査する(S2)。基準関数決定手段51aは、数値制御手段51eやポンプ11から測定条件57bを取得する(S3)。基準関数決定手段51aは、測定条件57bに基づいて基準関数57eを決定する(S4)。荷重計33は、荷重Fを取得する(S5)。数値制御手段51eは、ノズル13の座標X,Yを取得する(S6)。近似関数演算手段51bは、測定荷重値57cを近似する近似関数57dを演算する(S7)。特徴値抽出手段51cは、近似関数57dから特徴値を抽出する(S8)。最後に、判定手段51dは、ノズル13の適否を判定する(S9)。
なお、ステップS3、S4及びS9は省いても良い。ステップS1〜S3の順は入れ替えても良い。
【0039】
以下、各ステップを詳細に説明する。ステップS1において、ポンプ11は液体14を加圧し、バルブ12を開く。ノズル13へ送られた液体14は、噴口17から噴出する。ノズル13は、走査範囲61の外側で噴射を開始する。
【0040】
図5に示すように、ステップS2において、ノズル13は、プログラムされた軌跡63に沿って、走査範囲61内を走査する。好ましくは、ノズル13は等速で移動する。好ましくは、軌跡63は、走査範囲61の全体に均一の密度で設けられる。軌跡63の走査密度は走査範囲61の周辺部において中央部よりも疎らでも良い。ノズル13が走査範囲61内を走査する際、噴流20が受圧面23aに衝突する。ノズル13は、走査範囲61内を走査した後に、走査範囲61の外側に移動する。
【0041】
走査範囲61は、矩形、正多角形又は円形である。走査範囲61の中心59は中心軸24a上に設けられる。走査範囲61は、許容される変位量|P|,変位量|P1|に対して荷重Fのピークを観測できる区域を持つ。走査範囲61が円形であればその直径を、走査範囲61が多角形であればその内接円の直径を代表長69と定義する。代表長69は、受圧板23の外径d3よりも大きい。例えば直射ノズルにおいては、代表長69はノズル径d1の10〜20倍とできる。
【0042】
軌跡63は、受圧面23aから距離Lだけ離れた平面内に設けられる。距離Lは、検査装置10が適用される噴流装置の作業に対応して定められる。例えば洗浄、バリ取りにおいてはL=20〜200mmとする。
軌跡63は、一定の走査間隔(以下、単に間隔67という。)で走査範囲61内を一様にノズルが通過するように設けられる。一例として、
図5の軌跡63は、X正方向に走査範囲61の端部を横切り、Y負方向に間隔67移動し、次にX負方向に走査範囲61を横切り、再度Y負方向に間隔67移動し、X正方向に走査範囲61を横切る。軌跡63は、一定の間隔67で走査範囲61の全面を繰り返して往復する。
【0043】
検査装置10を洗浄機に適用する場合、一例として、距離L=100mmに対して代表長69を5〜10mmとできる。間隔67は、好ましくはノズル径d1の0.3〜1.5倍である。ノズル13の移動速度は、100〜500mm/minである。
【0044】
ステップS3において、基準関数決定手段51aは、数値制御手段51eからプログラム番号、又はノズル番号、圧力若しくは距離Lを取得する。基準関数決定手段51aは、ポンプ11から圧力を取得しても良い。基準関数決定手段51aは取得した測定条件57bを記憶装置57に記憶させる。
ステップS4において、基準関数決定手段51aは、記憶装置57から測定条件57bを読み出し、基準関数57eを決定する。
【0045】
ステップS5において、噴流20が受圧面23aに衝突する。受圧面23aは、噴流20により、受圧面23aを押下げる方向の衝突力を受ける。ステム24は、受圧面23aが受けた力を荷重計33に伝達する。荷重計33は、ステム24から受けた荷重Fを検出する。
【0046】
データ収集手段51fは、時間tにおける荷重Fを荷重計33から順次取得する。計測周期は、例えば1秒間に200回から1000回である。荷重計33は、測定開始後の時間tと共に測定した荷重Fを記憶装置57に記録する。
【0047】
ステップS6において、データ収集手段51fは、時間tにおけるXY座標を数値制御手段51eから順次取得する。ステップS6は、ステップS5と同時に行う。データ収集手段51fは取得したXY座標の小数点以下2桁または3桁を四捨五入して数字をそろえても良い。
【0048】
ステップS7において、近似関数演算手段51bは、基準関数57e及び測定荷重値57cを記憶装置57から読み出す。好ましくは、近似関数演算手段51bは、測定条件57b及びパラメータ表57aを更に記憶装置57から読み出す。近似関数演算手段51bは、基準関数57e及び測定荷重値57cに基づいて、測定荷重値57cを近似する近似関数57dを演算する。近似関数演算手段51bは、測定条件57b及びパラメータ表57aに基づいて、初期値57a1を決定してもよい。近似関数演算手段51bは、演算した近似関数57dを記憶装置57に記憶させる。
【0049】
ステップS8において、特徴値抽出手段51cは、近似関数57dを記憶装置57から読み出す。特徴値抽出手段51cは、近似関数57dから特徴値を演算し、記憶装置57に記憶させる。特徴値抽出手段51cは、特徴値又は座標値(x,y)に対する近似関数57dの値を示すグラフを入出力装置53へ出力する。
【0050】
ステップS8において、判定手段51dは、特徴値を記憶装置57から読み出す。判定手段51dは、特徴値を限界値57fと比較し、ノズル13の適否を判定する。判定手段51dは、ノズル13の適否を入出力装置53へ出力する。
【実施例1】
【0051】
以下、非限定的な実施例を示す。
例えば、直射ノズル(ノズル径d1=φ1.2mm)、受圧径d2=φ3mm、距離L=100mm、代表長(69)=φ10mm、圧力10MPa、間隔(67)=0.5mmとする。この条件では、典型的なベル型のピークが観測される。
【0052】
基準関数57eは式1で与えられる。関数f(x、y)はベル型の関数である。
【数1】
(式1)
ここで、A,B,C,D,E,F,Gは定数。
【0053】
パラメータ表57aはノズル種別、圧力、距離Lのときの定数A〜Gの初期値57a1をそれぞれ示す。パラメータ表57aは、限界値57fを含む。限界値57fは、最大変位量|P|max、最小ピーク高さHminを含む。
【0054】
特徴値抽出手段51cは、次の手法により特徴値を抽出できる。f(x,y)=F1を満たす座標は、
【数2】
(式2)
となる。式2は楕円関数である。
【0055】
式2の楕円の中心座標Pは、
【数3】
(式3)
となる。
【0056】
特徴値抽出手段51cは、中心座標Pをf(x,y)に代入し、ピーク高さH=f(x,y)を演算する。
変位量|P|は、原点(0,0)から中心座標(X1,Y1)までの距離で与えられる。
【実施例2】
【0057】
例えば、直射ノズル(ノズル径d1=φ1.2mm)、受圧径d2=φ10mm、距離L=100mm、代表長(69)=φ12mm、圧力2MPa、間隔(67)=0.5mmとする。この条件では、典型的な円錐台状のピークが観測される。
【0058】
基準関数57eは式4で与えられる。式4により、円錐台状の関数に近似できる。
【数4】
(式4)
ここで、A,B,C,D,E,F,G,H,I,J,K,L,M,Nは定数。
【0059】
パラメータ表57aはノズル種別、圧力、距離Lのときの定数A〜Nの初期値57a1をそれぞれ示す。
【0060】
特徴値抽出手段51cは、マトリックス状に与えられた座標(x,y)に対して近似関数57dの示す値f(x,y)を演算する。ここで、座標(x,y)は等間隔で与えられる。例えば座標(X,Y)の間隔は、代表長69の1/10〜1/20に設定できる。特徴値抽出手段51cは、値f(x,y)の分布から有効範囲65を決定する。特徴値抽出手段51cは重心P1、長辺L1、短辺L2又は面積A2を演算する。特徴値抽出手段51cは、重心P1から変位量|P1|を演算する。特徴値抽出手段51cは長辺L1、短辺L2から比率I=L1/L2を演算する。特徴値抽出手段51cは、f(x,y)の最大値から最大荷重Fmaxを演算する。
【0061】
なお、上述の実施形態及び実施例では、基準関数57eは、X座標、Y座標のいずれも変数とした曲面の関数である。これに替えて、基準関数57eは、X座標、Y座標のいずれか一方を変数とする関数を予め記憶しても良い。例えば、基準関数57eはガウス関数、ローレンス関数又はロジスティック関数である。このとき、X方向およびY方向についてそれぞれ近似関数57dを演算する。例えば、
図5のように走査する場合、Y座標毎にそれぞれ基準関数57eに対して荷重Fを近似する。得られた近似関数のピーク位置の平均をY1とする。Y1から一定幅ΔYの範囲内の荷重Fを測定荷重値57cから読み出し、X座標に対して荷重Fを近似する。X方向の近似関数のピーク位置をX1とする。座標(X1,Y1)をピーク位置Pとして算出する。
【解決手段】ノズルの検査装置(10)は、ポンプ(11)と、ノズル(13)と、シリンダ(29b)を有するボディ(29)、ノズルが生成した噴流を受ける受圧板(23)、受圧板に固定され、シリンダ内を往復移動するステム(24)、及び受圧板への荷重(F)を測定する荷重計(33)を含むピストン荷重計(21)と、ノズルと受圧板を相対的に移動させる移動装置(15)と、を備える。