特許第6487085号(P6487085)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6487085
(24)【登録日】2019年3月1日
(45)【発行日】2019年3月20日
(54)【発明の名称】3相インバータの診断装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20190311BHJP
【FI】
   H02M7/48 M
【請求項の数】9
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2018-43147(P2018-43147)
(22)【出願日】2018年3月9日
(65)【公開番号】特開2018-157745(P2018-157745A)
(43)【公開日】2018年10月4日
【審査請求日】2018年3月9日
(31)【優先権主張番号】10-2017-0033535
(32)【優先日】2017年3月17日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】593121379
【氏名又は名称】エルエス産電株式会社
【氏名又は名称原語表記】LSIS CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(72)【発明者】
【氏名】チョン−ソク・ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ホン−ソク・キム
【審査官】 松尾 俊介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−123216(JP,A)
【文献】 特開2013−162719(JP,A)
【文献】 特開2008−054398(JP,A)
【文献】 実開昭61−049527(JP,U)
【文献】 特開2004−357437(JP,A)
【文献】 特開2004−289882(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/42−7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流リンクに配置されたキャパシタと直列に連結されるリレー;
前記リレーに並列に連結される初期充電抵抗;
3相出力線への電源供給を調節するスイッチング素子を含むインバータ部;
前記直流リンクと前記インバータ部を連結する連結線上に配置されて電流を感知する電流センサー;及び、
前記スイッチング素子を駆動して、前記電流の感知有無によって前記スイッチング素子の開放および短絡のうち少なくともいずれかを診断する制御部;を含むとともに、
前記制御部は、前記インバータ部から3相電源の供給を受ける電力系統に印加される電源を遮断した後、前記直流リンクのキャパシタで電源が供給される間、前記キャパシタの電源を用いて前記スイッチング素子の開放および短絡のうち少なくともいずれかを診断することを特徴とする、3相インバータの診断装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記診断の前にインバータ部から3相電源の供給を受ける電力系統に印加される電源を遮断して、診断のほか印加電源を遮断することを特徴とする、請求項1に記載の3相インバータの診断装置。
【請求項3】
前記スイッチング素子は、
3相それぞれに対する出力線と前記キャパシタの第1極の間にそれぞれ配置される上段スイッチング素子;及び、
3相それぞれに対する出力線と前記キャパシタの第1極と反対である第2極の間にそれぞれ配置される下段スイッチング素子;を含むことを特徴とする、請求項1に記載の3相インバータの診断装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記直流リンク、前記3相のうちいずれか相に対する出力線および他の1個の相に対する出力線が閉回路を成すように前記スイッチング素子を選択的に駆動して、前記スイッチング素子の開放有無を決定することを特徴とする、請求項に記載の3相インバータの診断装置。
【請求項5】
前記制御部は、それぞれの前記スイッチング素子を独立に駆動して、前記電流の感知有無によって前記スイッチング素子の短絡有無を決定することを特徴とする、請求項に記載の3相インバータの診断装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記スイッチング素子のうちいずれかを駆動して、既設定値以上の大電流の感知有無によって駆動されたスイッチング素子と同じ相に連結されたスイッチング素子の短絡有無を決定することを特徴とする、請求項に記載の3相インバータの診断装置。
【請求項7】
直流リンクに配置されたキャパシタと直列に連結されるリレー;
前記リレーに並列に連結される初期充電抵抗;
3相出力線への電源供給を調節するスイッチング素子を含むインバータ部;
前記直流リンクと前記インバータ部を連結する連結線のうちいずれか連結線に配置されて第1電流を感知する第1の電流センサー;
前記直流リンクとインバータ部を連結する連結線のうち、前記第1の電流センサーが配置された連結線と異なる連結線に配置されて第2電流を感知する第2の電流センサー;及び、
前記スイッチング素子を駆動して、前記第1電流と前記第2電流の平衡有無によって3相出力線の地絡を診断する制御部;を含むとともに、
前記制御部は、前記インバータ部から3相電源の供給を受ける電力系統に印加される電源を遮断した後、前記直流リンクのキャパシタで電源が供給される間、前記キャパシタの電源を用いて前記スイッチング素子の開放および短絡のうち少なくともいずれかを診断することを特徴とする、3相インバータの診断装置。
【請求項8】
前記スイッチング素子は、
3相それぞれに対する出力線と前記キャパシタの第1極の間にそれぞれ配置される上段スイッチング素子;及び、
3相それぞれに対する出力線と前記キャパシタの第1極と反対である第2極の間にそれぞれ配置される下段スイッチング素子;を含むことを特徴とする、請求項に記載の3相インバータの診断装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記直流リンク、前記3相のうちいずれか相に対する出力線および他の2個の相に対する出力線が閉回路を成すように前記スイッチング素子を選択的に駆動して、前記第1電流と前記第2電流の平衡有無によって前記いずれか相の地絡有無を決定することを特徴とする、請求項に記載の3相インバータの診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3相インバータの診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電動機(motor)のような電力系統を制御するインバータの代表的な故障は、電力系統への出力信号を制御するIGBT(Insulated gate bipolar transistor)のようなスイッチング素子の開放(open)及び短絡(short)、そして3相出力線上における地絡(ground )である。
【0003】
スイッチング素子の開放の場合、電力系統を構成する負荷に出力信号が伝達されず、非正常制御または制御不可の状況が生じ得る。
【0004】
スイッチング素子の短絡の場合、インバータ部内で製品を動作する際に電源端と直流リンクキャパシタの間に閉回路が生成され、非常に大きい電流が発生され得る。このように、所望しない大きい電流の発生は、キャパシタ、スイッチング素子などの焼損に繋がり、使用者に害を与える2次事故まで引き起こす可能性がある。
【0005】
3相出力線上における地絡は、出力線上のうち少なくともいずれかで電流の経路が分けられる結果、3相電流の平衡が成さらなくなる。不平衡が発生すると、3相電圧、電流を正確に判断し難いだけでなく、これに基づく制御はさらに難しくなる。
【0006】
従来には、スイッチング素子の開放または短絡によるリスクを防止するため過電流が検出される場合、スイッチング素子のゲーティング(gating)信号を遮断し、トリップ(trip)を発生してインバータの動作を中止する。このような従来の動作は、インバータを保護するだけであって、スイッチング素子や出力線のうち、どの部分に故障が発生したかに対する正確な情報が分からない限界がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする技術的課題は、安全を確保しながらスイッチング素子の開放および短絡、出力線の地絡を診断することができる3相インバータの診断装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記のような技術的課題を解決するために、本発明の一実施形態の3相インバータの診断装置は、直流リンクに配置されたキャパシタと直列に連結されるリレー;前記リレーに並列に連結される初期充電抵抗;3相出力線への電源供給を調節するスイッチング素子を含むインバータ部;前記直流リンクと前記インバータ部を連結する連結線上に配置されて電流を感知する電流センサー;及び前記スイッチング素子を駆動して、前記電流の感知有無によって前記スイッチング素子の開放および短絡のうち少なくともいずれかを診断する制御部;を含んでいてもよい。
【0009】
本発明の一実施形態において、前記制御部は、前記診断の前にインバータ部から3相電源の供給を受ける電力系統に印加される電源を遮断して、診断のほか印加電源を遮断することができる。
【0010】
本発明の一実施形態において、前記制御部は、前記インバータ部から3相電源の供給を受ける電力系統に印加される電源を遮断した後、前記直流リンクのキャパシタで電源が供給される間、前記キャパシタの電源を用いて前記スイッチング素子の開放および短絡のうち少なくともいずれかを診断することができる。
【0011】
本発明の一実施形態において、前記スイッチング素子は、3相それぞれに対する出力線と前記キャパシタの第1極の間にそれぞれ配置される上段スイッチング素子;及び3相それぞれに対する出力線と前記キャパシタの第1極と反対である第2極の間にそれぞれ配置される下段スイッチング素子;を含んでいてもよい。
【0012】
本発明の一実施形態において、前記制御部は、前記直流リンク、前記3相のうちいずれか相に対する出力線および他の1個の相に対する出力線が閉回路を成すように前記スイッチング素子を選択的に駆動して、前記スイッチング素子の開放有無を決定する。
【0013】
本発明の一実施形態において、前記制御部は、それぞれの前記スイッチング素子を独立に駆動して、前記電流の感知有無によって前記スイッチング素子の短絡有無を決定する。
【0014】
本発明の一実施形態において、前記制御部は、前記スイッチング素子のうちいずれかを駆動して、既設定値以上の大電流が感知されるか否かによって駆動されたスイッチング素子と同じ相に連結されたスイッチング素子の短絡有無を決定する。
【0015】
また、上記のような技術的課題を解決するために、本発明の一実施形態の3相インバータの診断装置は、直流リンクに配置されたキャパシタと直列に連結されるリレー;前記リレーに並列に連結される初期充電抵抗;3相出力線への電源供給を調節するスイッチング素子を含むインバータ部;前記直流リンクと前記インバータ部を連結する連結線のうちいずれか極に配置されて第1電流を感知する第1の電流センサー;前記直流リンクとインバータ部を連結する連結線のうち、前記第1の電流センサーが配置された連結線と異なる連結線に配置されて第2電流を感知する第2の電流センサー;及び前記スイッチング素子を駆動して、前記第1電流と前記第2電流の平衡有無によって3相出力線の地絡を診断する制御部;を含んでいてもよい。
【0016】
本発明の一実施形態において、前記スイッチング素子は、3相それぞれに対する出力線と前記キャパシタの第1極の間にそれぞれ配置される上段スイッチング素子;及び3相それぞれに対する出力線と前記キャパシタの第1極と反対である第2極の間にそれぞれ配置される下段スイッチング素子;を含んでいてもよい。
【0017】
本発明の一実施形態において、前記制御部は、前記直流リンク、前記3相のうちいずれか相に対する出力線および他の2個の相に対する出力線が閉回路を成すように前記スイッチング素子を選択的に駆動して、前記第1電流と前記第2電流の平衡有無によって前記いずれか相の地絡有無を決定する。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、出力電源印加を遮断した後、スイッチング素子の開放および短絡そして出力線の地絡を診断することができる効果がある。
【0019】
本発明は、前記診断の際に発生し得る過電流を防止する効果がある。
【0020】
本発明は、診断の結果を貯蔵して故障がある場合は、トリップを発生して事故を予め防止することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態による3相インバータの診断装置を示した図面である。
図2】本発明の一実施形態による3相インバータの診断装置のインバータ部内部のスイッチング素子の連結状態を示した図面である。
図3】本発明の一実施形態によるスイッチング素子の開放および短絡診断方法を示した図面である。
図4】本発明の一実施形態によるスイッチング素子の開放診断方法を示した詳細図面である。
図5】本発明の一実施形態によるスイッチング素子の開放診断方法を示した詳細図面である。
図6】本発明の一実施形態によるスイッチング素子の短絡診断方法を示した詳細図面である。
図7】本発明の一実施形態による3相インバータの診断装置の一部動作を示した手順図である。
図8】本発明の一実施形態による3相インバータの診断装置を示した図面である。
図9】本発明の一実施形態によるスイッチング素子の開放および短絡診断と地絡診断方法を示した図面である。
図10】本発明の一実施形態による地絡診断方法を示した詳細図面である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、多様な変更を加えることができ、様々な実施形態を有するところ、特定の実施形態を図面に例示して詳細な説明に詳説する。しかし、これは、本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるあらゆる変更、均等物ないし代替物を含むと理解しなければならない。
【0023】
以下、添付の図面を参照して、本発明による望ましい一実施形態を詳明する。
【0024】
電力系統300コントロールユニット200は、3相交流電源400(R相、S相およびT相)を整流するコンバータ部210、整流された電源を平滑する直流リンクのキャパシタ及びインバータ部220を含んでいてもよい。
【0025】
インバータ部220は、平滑された直流電源をさらに3相の交流電源に切り替えて電力系統300に提供する。
【0026】
本発明は、このような3相インバータのインバータ部220のスイッチング素子または電力系統300へ出力される3相の出力線(U相、V相及びW相)に対する地絡について診断する3相インバータの診断装置に関する。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態による3相インバータの診断装置を示した図面である。
【0028】
図1を参照すると、本発明の一実施形態による3相インバータの診断装置は、キャパシタ110、初期充電部120、初期充電抵抗122、リレー124、電流センサー130、検出部140、制御部150、制御電源供給部160、貯蔵部170、及び表示部180を含む。
【0029】
キャパシタ110は、3相交流電源400を整流するコンバータ部210と、インバータ部220を連結する線に両端が1つずつ連結される直流リンク(DC−link)に配置される。キャパシタ110は、整流された電源を平滑化することができる。
【0030】
初期充電部120は、直流リンクに配置されたキャパシタ110と直列に連結されて、初期充電抵抗122およびリレー124を含む。
【0031】
初期充電抵抗122は、キャパシタ110と直列に連結されて、リレー124は、初期充電抵抗122に並列に連結される。
【0032】
インバータの初期動作の際に、リレー124は、開放状態に制御することができ、この場合、整流された電圧は、初期充電抵抗122に印加されて大きい電流が制限される。
【0033】
キャパシタ110が一定時間充電された後、電圧検出部144によってキャパシタ110で予め設定された大きさ以上の直流電圧が感知されると、制御部150は、リレー124を閉鎖し、インバータ部220が電力系統300を稼動できるようにする。初期充電部120は、上述した動作によって初期に発生し得る突入電流を抑制することができる。
【0034】
初期充電部120は、初期に発生し得る突入電流を抑制するだけでなく、診断動作の際にも過電流を抑制することができる。
【0035】
例えば、診断動作の際には、直流リンクとインバータ部220の間の負荷なしに閉回路が生成され得るが、この場合も、初期充電部120は、直流リンク内に配置されたため過電流を抑制することができる。
【0036】
電流センサー130は、直流リンクの一極とインバータ部220の連結線上に配置されて、直流リンクとインバータ部220に流れる電流を感知することができる。電流センサー130は、図1で下段の連結線に連結されたと示したが、これに制限されるものではなく、上段の連結線に連結されてもよい。
【0037】
検出部140は、電流センサー130によって感知された電流及び電圧センサー(未図示)によって感知された電圧を検出して、電流及び電圧に関する情報を制御部150に提供することができる。
【0038】
電流検出部142は、感知された電流に対する情報を制御部150に提供することができる。
【0039】
電圧検出部144は、感知された電圧に対する情報を制御部150に提供することができる。
【0040】
制御部150は、インバータ部220のスイッチング素子を制御して、感知された電流によってインバータの故障を診断することができる。
【0041】
制御部150は、感知される電圧によってリレー124を制御するか診断を中断することもできる。例えば、制御部150は、インバータの初期稼動の際、設定値以上の電圧と判断される場合はリレー124を閉鎖する。例えば、制御部150は、診断途中、電圧が設定値以下に低くなると診断を中断する。
【0042】
制御電源供給部160は、制御部150に電源を供給する。制御部150は、制御電源供給部160から供給される電源を用いてスイッチング素子を制御する。
【0043】
貯蔵部170は、電圧に対する設定値、後述する大電流に対する設定値、診断に関するパラメーター、スイッチング素子の制御に使用されるPWM(Pulse Width Modulation)信号パターンなどを貯蔵する。
【0044】
表示部180は、診断結果に関する情報を視覚的に表示することができる。例えば、制御部150は、診断結果を貯蔵部170に貯蔵して、表示部180に表示する。
【0045】
図2は、本発明の一実施形態による3相インバータの診断装置のインバータ部220内部のスイッチング素子の連結状態を示した図面である。
【0046】
図2を参照すると、本発明の一実施形態による3相インバータの診断装置のインバータ部220内部のスイッチング素子は、3相それぞれ(U、V、W)に対する出力線とキャパシタ110の第1極の間にそれぞれ配置される上段スイッチング素子(S1、S2、S3)及び3相それぞれ(U、V、W)に対する出力線とキャパシタ110の第1極とは反対である第2極の間にそれぞれ配置される下段スイッチング素子(S4、S5、S6)を含んでいてもよい。
【0047】
本明細書の同じ列に配置されるスイッチング素子は、同じ相に対する出力線に連結される。また本明細書は、U相に対する上段および下段のスイッチング素子をSa、V相に対する上段および下段のスイッチング素子をSb、そしてW相に対する上段および下段のスイッチング素子をScと表示する。
【0048】
スイッチング素子は、3相出力線への電源供給を調節することができる。ここで、同じ例にある2個のスイッチング素子は駆動されてはならない。すなわち、Sa、Sb、Scに配置されたスイッチング素子は、同時に閉鎖するように駆動されない。例えば、SaにあるS1、S4が同時に閉鎖または短絡されると、キャパシタ110とS1、S4が閉回路を形成して非常に大きい電流が流れるようになる。
【0049】
一方、本発明は、スイッチング素子のうちいずれか以上が短絡される場合を考慮して、上述したように初期充電部120を配置した。
【0050】
図3は、本発明の一実施形態によるスイッチング素子の開放および短絡診断方法を示した図面である。
【0051】
図3図6に対する診断方法は、本発明の一実施形態による3相インバータの診断装置によって行うことができる。したがって、本明細書では、3相インバータの診断装置の構成要素を主体として、図3図6の診断方法を説明する。
【0052】
図3を参照すると、S310ステップにおいて、制御部150は、電力系統300に印加される電源を遮断することができる。
【0053】
S320ステップにおいて、制御部150は、診断のほか使用される印加電源を遮断することができる。診断のほか使用される印加電源は例えば、ファン(Fan)の駆動電源などがある。
【0054】
S330ステップにおいて、制御部150は、リレー124を開放する。リレー124を開放することは、電流が初期充電抵抗122を介して流れるようにして、スイッチング素子Sa、SbまたはScが短絡された場合に流れる過電流を抑制するためである。
【0055】
S340ステップにおいて、制御部150は、スイッチング素子を診断する。制御部150は、スイッチング素子を選択的に駆動して、電流の感知有無や電流が設定値以上の大きさであるか否かによってスイッチング素子の状態を診断する。
【0056】
制御部150は、印加電源が遮断された後、キャパシタ110が放電されて、電圧検出部144の感知する電圧が設定値以下になる時間内にスイッチング素子を診断することができる。制御部150は、スイッチング素子を診断するにおいて、短パルスによってスイッチング素子を駆動することができる。
【0057】
S350ステップにおいて、制御部150は、診断が終了した後、インバータに提供されるあらゆる電源を遮断する。
【0058】
S341ステップにおいて、制御部150は、スイッチング素子の開放有無を診断して、S343ステップにおいて、制御部150は、スイッチング素子の短絡有無を診断する。開放および短絡の診断方法に対しては、図4図6を参照して詳説する。
【0059】
S345ステップにおいて、制御部150は、診断結果をスイッチング素子パラメーターで貯蔵部170に貯蔵する。
【0060】
図4及び図5は、本発明の一実施形態によるスイッチング素子の開放診断方法を示した詳細図面である。
【0061】
図4を参照すると、S401ステップにおいて、制御部150は、開放診断用PWMパターンを入力して、スイッチング素子に対するゲーティング信号(gating signal)を印加する。スイッチング素子に対するPWMパターンによるゲーティング信号は、S405〜S495ステップにかけて提供されて、S401ステップは、その開始を意味する。
次の[表1]は、スイッチング素子に印加されるPWM信号パターンを表す。
【0062】
【表1】
【0063】
[表1]において、1は、上段スイッチング素子を駆動して、下段スイッチング素子の駆動は解除した場合、0は、上段スイッチング素子の駆動を解除して、下段スイッチング素子を駆動する場合、−は、上段および下段スイッチング素子の駆動をいずれも解除した場合を意味する。
【0064】
制御部150は、S1から順次にスイッチング素子を[表1]のパターンに対応するように駆動する。
【0065】
S403ステップにおいて、制御部150は、それぞれのスイッチング素子に対応する1から6までの自然数nを1に設定する。
【0066】
S405ステップにおいて、制御部150は、nが3を超えるか否かを判断する。nが3を超えない場合はS407ステップに進み、超える場合は図5のS449ステップに進む。
【0067】
S407ステップにおいて、制御部150は、n+4が6を超えるか否かを判断する。超えない場合はS409ステップに進み、超える場合はS411ステップに進む。
【0068】
S409ステップにおいて、制御部150は、スイッチング素子(Sn)及びスイッチング素子(Sn+4)を駆動することができる。例えば、制御部150は、n=1である場合、スイッチング素子(S1)及びスイッチング素子(S5)を駆動する。
【0069】
S411ステップにおいて、制御部150は、スイッチング素子(Sn)及びスイッチング素子(Sn+1)を駆動することができる。例えば、制御部150は、n=2である場合、スイッチング素子(S2)及びスイッチング素子(S3)を駆動する。
【0070】
S413ステップにおいて、制御部150は、電流が検出されるか否かを判断する。例えば、制御部150は、n=1である場合、スイッチング素子(S1)及びスイッチング素子(S5)が駆動された状態で電流が検出されるか否かを判断することである。電流が検出されない場合はS415ステップに進み、検出される場合はS431ステップに進む。
【0071】
S415ステップにおいて、制御部150は、スイッチング素子(Sn+4)またはスイッチング素子(Sn+1)の駆動を解除する。制御部150は、S409経路を経てきた場合、スイッチング素子(Sn+4)の駆動を解除して、S411経路を経てきた場合、スイッチング素子(Sn+1)の駆動を解除する。例えば、n=1である場合、制御部150は、スイッチング素子(S5)の駆動を解除する。S431ステップにおいても、制御部150は、同じ方法を行うことができる。
【0072】
S417ステップにおいて、制御部150は、n+5が6を超えるか否かを判断する。超えない場合はS419ステップに進み、超える場合はS421ステップに進む。S433ステップにおいても、制御部150は、同じ方法を行うことができる。
【0073】
S419ステップにおいて、制御部150は、スイッチング素子(Sn+5)を駆動することができる。例えば、n=1である場合、制御部150は、スイッチング素子(S6)を駆動する。S435ステップにおいても、制御部150は、同じ方法を行うことができる。
【0074】
S421ステップにおいて、制御部150は、スイッチング素子(Sn+2)を駆動することができる。例えば、n=2である場合、制御部150は、スイッチング素子(S4)を駆動する。S437ステップにおいても、制御部150は同じ方法を行うことができる。
【0075】
S423ステップにおいて、制御部150は、電流が検出されるか否かを判断する。例えば、制御部150は、n=1である場合、スイッチング素子(S1)及びスイッチング素子(S6)が駆動された状態で電流が検出されるか否かを判断することである。電流が検出されない場合はS425ステップに進み、検出される場合はS427ステップに進む。S439ステップにおいても、制御部150は、同じ方法を行うことができる。
【0076】
S425ステップにおいて、制御部150は、選択的に駆動された3個のスイッチング素子のうち1個以上が開放された状態であると診断結果を貯蔵する。例えば、n=1である場合、スイッチング素子(S1)とスイッチング素子(S5)を駆動した時も電流が検出されず、スイッチング素子(S1)とスイッチング素子(S6)を駆動した時も電流が検出されなければ、3個のスイッチング素子(S1、S5、S6)のうち少なくとも1個以上が開放されたことである。
【0077】
S427ステップにおいて、制御部150は、スイッチング素子(Sn+4)またはスイッチング素子(Sn+1)を開放状態に決定する。例えば、n=1である場合、スイッチング素子(S1)とスイッチング素子(S5)を駆動した時は、電流が検出されなかったが、スイッチング素子(S1)とスイッチング素子(S6)を駆動した時は、電流が検出されれば、スイッチング素子(S5)を開放と判断することである。
【0078】
S429ステップにおいて、制御部150は、スイッチング素子(Sn+4)またはスイッチング素子(Sn+1)の状態を開放状態に貯蔵する。
【0079】
S441ステップにおいて、制御部150は、スイッチング素子(Sn+5)またはスイッチング素子(Sn+2)を開放状態に決定する。
【0080】
S443ステップにおいて、制御部150は、スイッチング素子(Sn+5)またはスイッチング素子(Sn+2)の状態を開放状態に貯蔵する。
【0081】
S445ステップにおいて、制御部150は、選択的に駆動された3個のスイッチング素子いずれも正常であると決定する。
【0082】
S447ステップにおいて、制御部150は、3個のスイッチング素子に対するパラメーターをいずれも正常状態に貯蔵する。
【0083】
図5を参照すると、S449ステップにおいて、制御部150は、n−2が3を超えるか否かを判断する。超えない場合はS451ステップに進み、超える場合はS453ステップに進む。
【0084】
S451ステップにおいて、制御部150は、スイッチング素子(Sn)及びスイッチング素子(Sn−2)を駆動することができる。例えば、制御部150は、n=4である場合、スイッチング素子(S4)及びスイッチング素子(S2)を駆動する。
【0085】
S453ステップにおいて、制御部150は、スイッチング素子(Sn)及びスイッチング素子(Sn−5)を駆動することができる。例えば、制御部150は、n=6である場合、スイッチング素子(S6)及びスイッチング素子(S1)を駆動する。
【0086】
S455ステップにおいて、制御部150は、電流が検出されるか否かを判断する。例えば、制御部150は、n=4である場合、スイッチング素子(S4)及びスイッチング素子(S2)が駆動された状態で電流が検出されるか否かを判断することである。電流が検出されない場合はS457ステップに進み、検出される場合はS459ステップに進む。
【0087】
S457ステップにおいて、制御部150は、スイッチング素子(Sn−2)またはスイッチング素子(Sn−5)の駆動を解除する。制御部150は、S451経路を経てきた場合、スイッチング素子(Sn−2)の駆動を解除して、S453経路を経てきた場合、スイッチング素子(Sn−5)の駆動を解除する。例えば、n=4である場合、制御部150は、スイッチング素子(S2)の駆動を解除する。S473ステップにおいても、制御部150は、同じ方法を行うことができる。
【0088】
S459ステップにおいて、制御部150は、n−1が3を超えるか否かを判断する。超えない場合はS461ステップに進み、超える場合はS463ステップに進む。S475ステップにおいても、制御部150は、同じ方法を行うことができる。
【0089】
S461ステップにおいて、制御部150は、スイッチング素子(Sn−1)を駆動することができる。例えば、n=4である場合、制御部150は、スイッチング素子(S3)を駆動する。S477ステップにおいても、制御部150は、同じ方法を行うことができる。
【0090】
S463ステップにおいて、制御部150は、スイッチング素子(Sn−4)を駆動することができる。例えば、n=6である場合、制御部150は、スイッチング素子(S2)を駆動する。S479ステップにおいても、制御部150は、同じ方法を行うことができる。
【0091】
S465ステップにおいて、制御部150は、電流が検出されるか否かを判断する。例えば、制御部150は、n=4である場合、スイッチング素子(S4)及びスイッチング素子(S3)が駆動された状態で電流が検出されるか否かを判断することである。電流が検出されない場合はS467ステップに進み、検出される場合はS469ステップに進む。S481ステップにおいても、制御部150は、同じ方法を行うことができる。
【0092】
S467ステップにおいて、制御部150は、選択的に駆動された3個のスイッチング素子のうち1個以上が開放された状態であると診断結果を貯蔵する。例えば、n=4である場合、スイッチング素子(S4)とスイッチング素子(S2)を駆動した時も電流が検出されず、スイッチング素子(S4)とスイッチング素子(S3)を駆動した時も電流が検出されなければ、3個のスイッチング素子(S4、S2、S3)のうち少なくとも1個以上が開放されたことである。
【0093】
S469ステップにおいて、制御部150は、スイッチング素子(Sn−2)またはスイッチング素子(Sn−5)を開放状態に決定する。例えば、n=4である場合、スイッチング素子(S4)とスイッチング素子(S2)を駆動した時は電流が検出されなかったが、スイッチング素子(S4)とスイッチング素子(S3)を駆動した時は電流が検出されれば、スイッチング素子(S2)を開放と判断することである。
【0094】
S471ステップにおいて、制御部150は、スイッチング素子(Sn−2)またはスイッチング素子(Sn−5)の状態を開放状態に貯蔵する。
【0095】
S483ステップにおいて、制御部150は、スイッチング素子(Sn−1)またはスイッチング素子(Sn−4)を開放状態に決定する。
【0096】
S485ステップにおいて、制御部150は、スイッチング素子(Sn−1)またはスイッチング素子(Sn−4)の状態を開放状態に貯蔵する。
【0097】
S487ステップにおいて、制御部150は、選択的に駆動された3個のスイッチング素子いずれも正常であると決定する。
【0098】
S489ステップにおいて、制御部150は、3個のスイッチング素子に対するパラメーターをいずれも正常状態に貯蔵する。
【0099】
S491ステップにおいて、制御部150は、あらゆるスイッチング素子の駆動を解除して、診断結果を表示部180に表示する。
【0100】
S493ステップにおいて、制御部150は、nの値をn+1に更新する。
【0101】
S495ステップにおいて、制御部150は、nが6を超えるか否かを判断する。nが6を超えない場合はS405ステップに戻り、超える場合は開放診断を終了してもよい。
【0102】
図4及び図5によって説明したように、制御部150は、直流リンク、3相のうちいずれかに対する出力線および他の1個の相に対する出力線が閉回路を成すようにスイッチング素子を選択的に駆動して、スイッチング素子の開放有無を決定する。
【0103】
例えば、制御部150は、直流リンクの両極からU相に対する出力線、V相に対する出力線、直流リンクの陰極が閉回路を成すように2個のスイッチング素子(S1、S5)を選択的に駆動する。
【0104】
他の例として、制御部150は、直流リンクの両極からU相に対する出力線、W相に対する出力線、直流リンクの陰極が閉回路を成すように2個のスイッチング素子(S1、S6)を選択的に駆動する。
【0105】
開放に対する診断後、スイッチング素子の開放有無に対する判断方法は、次の[表2]に従ってもよい。
【0106】
【表2】
【0107】
[表2]において、○は電流が検出される場合、Xは電流が検出されない場合を意味する。
【0108】
図6は、本発明の一実施形態によるスイッチング素子の短絡診断方法を示した詳細図面である。
【0109】
図6を参照すると、S501ステップにおいて、制御部150は、短絡診断用PWMパターンを入力して、スイッチング素子に対するゲーティング信号(gating signal)を印加する。スイッチング素子に対するPWMパターンによるゲーティング信号は、S503〜S543ステップにかけて提供されて、S501ステップは、その開始を意味する。
【0110】
次の[表3]は、スイッチング素子に印加されるPWM信号パターンを表す。
【0111】
【表3】
【0112】
[表3]において、1は、上段スイッチング素子を駆動して、下段スイッチング素子の駆動は解除した場合、0は、上段スイッチング素子の駆動を解除して、下段スイッチング素子を駆動する場合、−は、上段および下段スイッチング素子の駆動をいずれも解除した場合を意味する。
【0113】
S503ステップにおいて、制御部150は、それぞれのスイッチング素子に対応する1から6までの自然数nを1に設定する。S505ステップにおいて、制御部150は、いずれのスイッチング素子も駆動しない。
【0114】
S505ステップにおいて、制御部150は、nが3を超えるか否かを判断する。nが3を超えない場合はS507ステップに進み、超える場合はS523ステップに進む。
【0115】
S507ステップにおいて、制御部150は、スイッチング素子(Sn)を駆動することができる。例えば、n=1である場合、制御部150は、スイッチング素子(S1)を駆動する。
【0116】
S509ステップにおいて、制御部150は、電流が検出されるか否かを判断する。電流が検出されない場合はS511ステップに進み、検出される場合はS513ステップに進む。
【0117】
S511ステップにおいて、制御部150は、上段スイッチング素子(S1、S2またはS3)と閉回路を構成する3個の下段スイッチング素子(S4、S5及びS6)がいずれも正常であると判断する。
【0118】
S513ステップにおいて、制御部150は、3個のスイッチング素子(S4、S5、S6)のうち少なくとも1個以上のスイッチが短絡されたと判断する。
【0119】
S515ステップにおいて、制御部150は、検出された電流が既設定値以上であるか否かを判断する。これは、駆動された上段スイッチング素子と同じ例に配置された下段スイッチング素子が短絡された場合、電力系統300の負荷を経らずに直流リンクと閉回路を形成するため、他のスイッチング素子が短絡された場合に比べて大きい電流が流れるからである。検出された電流が既設定値を超えない場合はS517ステップに進み、超える場合はS519ステップに進む。
【0120】
S517ステップにおいて、制御部150は、3個のスイッチング素子(S4、S5、S6)のうち駆動された上段スイッチング素子と同じ例に配置されたスイッチング素子を除いて、少なくとも1個以上短絡されたと判断する。
【0121】
S519ステップにおいて、制御部150は、駆動された上段スイッチング素子(Sn)と同じ例に配置されたスイッチング素子(Sn+3)が短絡されたと決定する。
【0122】
S521ステップにおいて、制御部150は、スイッチング素子(Sn+3)の状態を短絡状態に貯蔵する。
【0123】
S523ステップにおいて、制御部150は、スイッチング素子(Sn)を駆動することができる。例えば、n=4である場合、制御部150は、スイッチング素子(S4)を駆動する。
【0124】
S525ステップにおいて、制御部150は、電流が検出されるか否かを判断する。電流が検出されない場合はS527ステップに進み、検出される場合はS529ステップに進む。
【0125】
S527ステップにおいて、制御部150は、下段スイッチング素子(S4、S6またはS6)と閉回路を構成する3個の上段スイッチング素子(S1、S2及びS3)がいずれも正常であると判断する。
【0126】
S529ステップにおいて、制御部150は、3個のスイッチング素子(S1、S2、S3)のうち少なくとも1個以上のスイッチが短絡されたと判断する。
【0127】
S531ステップにおいて、制御部150は、検出された電流が既設定値以上であるか否かを判断する。これは、駆動された下段スイッチング素子と同じ例に配置された上段スイッチング素子が短絡された場合、電力系統300の負荷を経らずに直流リンクと閉回路を形成するため、他のスイッチング素子が短絡された場合に比べて大きい電流が流れるからである。検出された電流が既設定値を超えない場合はS533ステップに進み、超える場合はS535ステップに進む。
【0128】
S533ステップにおいて、制御部150は、3個のスイッチング素子(S1、S2、S3)のうち駆動された下段スイッチング素子と同じ例に配置されたスイッチング素子を除いて、少なくとも1個以上短絡されたと判断する。
【0129】
S535ステップにおいて、制御部150は、駆動された下段スイッチング素子(Sn)と同じ例に配置されたスイッチング素子(Sn−3)が短絡されたと決定する。
【0130】
S537ステップにおいて、制御部150は、スイッチング素子(Sn−3)の状態を短絡状態に貯蔵する。
【0131】
S539ステップにおいて、制御部150は、あらゆるスイッチング素子の駆動を解除して、診断結果を表示部180に表示する。
【0132】
S541ステップにおいて、制御部150は、nの値をn+1に更新する。
【0133】
S543ステップにおいて、制御部150は、nが6を超えるか否かを判断する。nが6を超えない場合はS505ステップに戻り、超える場合は短絡診断を終了してもよい。
【0134】
図6によって説明したように、制御部150は、6個のスイッチング素子(S1〜S6)それぞれを独立に駆動して、電流の検出有無によってスイッチング素子の短絡有無を1次に決定する。制御部150は、もし電流が検出される場合、電流の大きさが既設定値以上である場合(以下、「大電流」という。)、同じ相に連結された(または、同じ例に配置された)スイッチング素子が短絡されたと2次に決定する。
【0135】
開放に対する診断後、スイッチング素子の開放有無に対する判断方法は、次の[表4]に従ってもよい。
【0136】
【表4】
【0137】
[表4]において、○は電流が検出される場合、Xは電流が検出されない場合を意味する。
【0138】
図7は、本発明の一実施形態による3相インバータの診断装置の一部動作を示した手順図である。
【0139】
図7を参照すると、S601ステップにおいて、制御部150は、インバータに電源を印加する。
【0140】
S603ステップにおいて、制御部150は、貯蔵部170に貯蔵された診断パラメーターを読み出して故障状態が存在するか否かを判断する。故障状態が存在する場合はS605ステップに進み、存在しない場合はS607ステップに進む。
【0141】
S605ステップにおいて、制御部150は、表示部180に故障に関する情報を表示して、トリップ(trip)を発生する。
【0142】
S607ステップにおいて、制御部150は、インバータを正常稼動することができる。
【0143】
図8は、本発明の一実施形態による3相インバータの診断装置を示した図面である。
【0144】
図8を参照すると、本発明の一実施形態による3相インバータの診断装置は、キャパシタ110、初期充電部120、初期充電抵抗122、リレー124、第1の電流センサー130、第2の電流センサー132、検出部140、制御部150、制御電源供給部160、貯蔵部170、及び表示部180を含む。
【0145】
図8において、第1の電流センサー130及び第2の電流センサー132を除いた構成は、図1によって上述したとおりであり、ここでは詳説を省略する。
【0146】
第1の電流センサー130は、直流リンクとインバータ部220の連結線のうちいずれか極に配置されて、その極でインバータ部220へ流れる電流を感知する。
【0147】
第2の電流センサー132は、直流リンクとインバータ部220の連結線のうち、第1の電流センサー130とは別の極に配置されて、別の極でインバータ部220へ流れる電流を感知する。
【0148】
第1の電流センサー130及び第2の電流センサー132を直流リンクとインバータ部220の両連結線にそれぞれ配置したことは、3相に流れる電流の平衡を確認するためである。
【0149】
図9は、本発明の一実施形態によるスイッチング素子の開放および短絡診断と地絡診断方法を示した図面である。
【0150】
図9及び図10に対する診断方法は、本発明の一実施形態による3相インバータの診断装置によって行うことができる。したがって、本明細書では、3相インバータの診断装置の構成要素を主体として図9及び図10の診断方法を説明する。
【0151】
図9を参照すると、S810ステップにおいて、制御部150は、電力系統300に印加される電源を遮断する。
【0152】
S820ステップにおいて、制御部150は、診断のほか使用される印加電源を遮断することができる。診断のほか使用される印加電源は例えば、ファン(Fan)の駆動電源などがある。
【0153】
S830ステップにおいて、制御部150は、リレー124を開放する。リレー124を開放することは、電流が初期充電抵抗122を介して流れるようにして、スイッチング素子Sa、SbまたはScが短絡された場合に流れる過電流を抑制するためである。
【0154】
S840ステップにおいて、制御部150は、スイッチング素子を診断する。制御部150は、スイッチング素子を選択的に駆動して、電流の感知有無や電流が設定値以上の大きさであるか否かによってスイッチング素子の状態を診断する。制御部150は、印加電源が遮断された後、キャパシタ110が放電されて、電圧検出部144の感知する電圧が設定値以下になる時間内にスイッチング素子を診断する。制御部150は、スイッチング素子を診断するにおいて、短パルスによってスイッチング素子を駆動することができる。
【0155】
S841ステップにおいて、制御部150は、スイッチング素子の開放有無を診断して、S843ステップにおいて、制御部150は、スイッチング素子の短絡有無を診断する。開放および短絡の診断方法に対しては、図4図6を参照して詳説したとおりである。
【0156】
S845ステップにおいて、制御部150は、診断結果をスイッチング素子パラメーターで貯蔵部170に貯蔵する。
【0157】
S847ステップにおいて、制御部150は、スイッチング素子の診断結果、故障状態がないか否かを判断する。制御部150は、故障状態がない場合はS849ステップに進み、故障状態が存在する場合は診断を終了してもよい。
【0158】
S849ステップにおいて、制御部150は、地絡について診断する。地絡診断に関する方法は、図9によって詳説する。
【0159】
S850ステップにおいて、制御部150は、診断が終了した後、インバータに提供されるあらゆる電源を遮断する。
【0160】
図10は、本発明の一実施形態による地絡診断方法を示した詳細図面である。
【0161】
図10を参照すると、S901ステップにおいて、制御部150は、地絡診断のためPWMパターンを入力して、スイッチング素子に対するゲーティング信号(gating signal)を印加する。スイッチング素子に対するPWMパターンによるゲーティング信号は、S905〜S939ステップにかけて提供されて、S901ステップは、その開始を意味する。
【0162】
S903ステップにおいて、制御部150は、あらゆるスイッチング素子の駆動を解除する。
【0163】
S905ステップにおいて、制御部150は、3個のスイッチング素子を選択的に駆動する。このとき、駆動されるものは、3個のスイッチング素子(S1、S5、S6)または3個のスイッチング素子(S2、S3、S4)になってもよい。
【0164】
S907ステップにおいて、制御部150は、直流リンク両端の電流、すなわち、第1の電流センサー130によって感知された電流及び第2の電流センサー132によって感知された電流が平衡を成すか否かを判断する。平衡を成す場合はS909ステップに進み、平衡を成さない場合はS911ステップに進む。
【0165】
S909ステップにおいて、制御部150は、U相に対して地絡ではないと判断する。
【0166】
S911ステップにおいて、制御部150は、地絡であると判断する。しかし、どの相に地絡が起きたかは現段階で判断することができない。制御部150は、どの相に地絡が起きたかに対して、あらゆる相に対する地絡有無の判断結果を総合して決定する。
【0167】
S913ステップにおいて、制御部150は、診断結果を地絡診断パラメーターにして貯蔵部170に貯蔵する。
【0168】
S915ステップにおいて、制御部150は、あらゆるスイッチング素子の駆動を解除する。
【0169】
S917ステップにおいて、制御部150は、3個のスイッチング素子を選択的に駆動することができる。このとき、駆動されるものは、3個のスイッチング素子(S2、S4、S6)または3個のスイッチング素子(S1、S3、S5)になってもよい。
【0170】
S919ステップにおいて、制御部150は、直流リンク両端の電流、すなわち、第1の電流センサー130によって感知された電流及び第2の電流センサー132によって感知された電流が平衡を成すか否かを判断する。平衡を成す場合はS921ステップに進み、平衡を成さない場合はS923ステップに進む。
【0171】
S921ステップにおいて、制御部150は、V相に対して地絡ではないと判断する。
【0172】
S923ステップにおいて、制御部150は、地絡であると判断する。しかし、どの相に地絡が起きたかは現段階で判断することができない。制御部150は、どの相に地絡が起きたかに対して、あらゆる相に対する地絡有無の判断結果を総合して決定する。
【0173】
S925ステップにおいて、制御部150は、診断結果を地絡診断パラメーターにして貯蔵部170に貯蔵する。
【0174】
S927ステップにおいて、制御部150は、あらゆるスイッチング素子の駆動を解除する。
【0175】
S929ステップにおいて、制御部150は、3個のスイッチング素子を選択的に駆動することができる。このとき、駆動されるものは、3個のスイッチング素子(S3、S4、S5)または3個のスイッチング素子(S1、S2、S6)になってもよい。
【0176】
S931ステップにおいて、制御部150は、直流リンク両端の電流、すなわち、第1の電流センサー130によって感知された電流及び第2の電流センサー132によって感知された電流が平衡を成すか否かを判断する。平衡を成す場合はS933ステップに進み、平衡を成さない場合はS935ステップに進む。
【0177】
S933ステップにおいて、制御部150は、W相に対して地絡ではないと判断する。
【0178】
S935ステップにおいて、制御部150は、地絡であると判断する。しかし、どの相に地絡が起きたかは現段階で判断することができない。制御部150は、どの相に地絡が起きたかに対して、あらゆる相に対する地絡有無の判断結果を総合して決定する。
【0179】
S937ステップにおいて、制御部150は、診断結果を地絡診断パラメーターにして貯蔵部170に貯蔵する。
【0180】
S939ステップにおいて、制御部150は、あらゆるスイッチング素子の駆動を解除して、地絡に対する診断結果を表示部180に表示する。
【0181】
図9によって説明したように、制御部150は、直流リンク、3相のうちいずれか相に対する出力線および他の2個の相に対する出力線が閉回路を成すようにスイッチング素子を選択的に駆動することができる。例えば、制御部150は、直流リンク、U相、電力系統300、V及びW相が閉回路を成すように、3個のスイッチング素子(S1、S5、S6)または3個のスイッチング素子(S2、S3、S4)を選択的に駆動することができる。制御部150は、このような制御後、直流リンク両端の電流の平衡有無を判断して、各相に対する地絡有無を決定する。
【0182】
地絡に対する診断後、平衡有無による地絡判断方法は、次の[表5]に従ってもよい。
【0183】
【表5】
【0184】
[表5]において、○は地絡である場合、Xは地絡ではない場合を意味し、1個の相が地絡ではないと判断された場合、他の2個の相のうちいずれかは地絡である可能性が存在する。あらゆる相に対して診断する場合、各相の地絡有無が個別に判断されてもよい。
【0185】
以上にて、本発明による実施形態を説明したが、これは例示的なものに過ぎず、当該分野で通常の知識を有する者であれば、これより多様な変形及び均等な範囲の実施形態が可能である点を理解することができる。したがって、本発明の真の技術的保護の範囲は、次の特許請求の範囲によって定めなければならない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10