特許第6487095号(P6487095)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6487095
(24)【登録日】2019年3月1日
(45)【発行日】2019年3月20日
(54)【発明の名称】中国語教材
(51)【国際特許分類】
   G09B 19/08 20060101AFI20190311BHJP
   B42D 1/00 20060101ALI20190311BHJP
【FI】
   G09B19/08
   B42D1/00 Z
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-75468(P2018-75468)
(22)【出願日】2018年4月10日
【審査請求日】2018年4月10日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512269971
【氏名又は名称】長城学院株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100109139
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 孝弘
(72)【発明者】
【氏名】張 ▲きつ▼
【審査官】 金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第101458927(CN,A)
【文献】 登録実用新案第3137590(JP,U)
【文献】 特開2011−076384(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42D 1/00−15/00
15/04−19/00
G09B 1/00−9/56
17/00−19/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一文字の中国漢字と当該中国漢字の漢語ピン音とが表される漢字読音部であって、前記中国漢字の一字当たりの長さを相対的に示す音節長さ記号を伴って、前記中国漢字が表される漢字読音部と、
前記漢字読音部に記載された前記中国漢字を含む複数の中国漢字からなる単語発音部であって、それぞれの中国漢字が前記音節長さ記号を伴って表され、当該音節長さ記号は、前記それぞれの中国漢字の一字当たりの発音の長さが等しく、かつ、前記漢字読音部に記載された前記中国漢字の一字当たりの発音の長さと等しいか、あるいは当該長さよりも短いことを示す単語発音部と、
前記漢字読音部に記載された前記中国漢字を含む複数の中国漢字からなる会話発音部であって、それぞれの中国漢字が前記音節長さ記号を伴って表され、当該音節長さ記号は、前記それぞれの中国漢字の一字当たりの発音の長さが等しく、かつ、前記単語発音部に記載された前記中国漢字の一字当たりの発音の長さの二分の一であることを示す会話発音部と、を備え、
前記漢字読音部、前記単語発音部、および前記会話発音部は、前記漢字読音部、前記単語発音部、および前記会話発音部の順序で一頁内の左側から右側に向かってに並設されており、
前記音節長さ記号は矩形状の枠であり、前記中国漢字は前記矩形状の枠内に表され、前記単語発音部の前記矩形状の枠の幅は、前記漢字読音部の前記矩形状の枠の幅と等しいかまたは短く、前記会話発音部の前記矩形状の枠の幅は、前記漢字読音部の前記矩形状の枠の幅の二分の一の長さである、
中国語教材の印刷物
【請求項2】
前記漢字読音部、前記単語発音部、および前記会話発音部と共に前記一頁内であって、前記会話発音部の右側に設けられた、別の会話発音部をさらに備え、
前記別の会話発音部は、前記漢字読音部に記載された前記中国漢字を含む複数の中国漢字からなる別の会話発音部であって、それぞれの中国漢字が前記音節長さ記号を伴って表され、当該音節長さ記号は、前記それぞれの中国漢字の一字当たりの発音の長さが等しく、かつ、前記単語発音部に記載された前記中国漢字の一字当たりの発音の長さの四分の一であることを示す別の会話発音部であり、
前記別の会話発音部の前記音節長さ記号は矩形状の枠であり、前記中国漢字は前記矩形状の枠内に表され、前記別の会話発音部の前記矩形状の枠の幅は、前記漢字読音部の前記矩形状の枠の幅の四分の一の長さである、
請求項1に記載の中国語教材の印刷物
【請求項3】
前記漢字読音部には、発音が同じで四声が異なる前記中国漢字が、それぞれ前記音節長さ記号を伴って列記される、
請求項1または請求項2に記載の中国語教材の印刷物
【請求項4】
会話文と、前記会話文に対する和訳とを表す文法対照部を備え、
前記文法対照部においては、中国語と日本語とで語順の異なる箇所については他の文字の色と異なる色で表される、
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の中国語教材の印刷物
【請求項5】
日本語漢字と同じ中国漢字は黒色で表示され、日本語漢字と違う中国特有漢字は赤色で表示される、
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の中国語教材の印刷物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中国語学習のための中国語教材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の日本人学習者に対する中国語教育は、本来、一音節である漢字を、二音節からなる「漢語ピン音(ピンイン)」を用いて教え、発音構造を説明しながら中国語の発音を教えていく。この教え方は中国の小学生に漢字を教える方法とほぼ同じである(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6126339号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の方法は、中国の小学生に向いているけれども、必ずしも日本人学習者には向いていない。中国人の小学生は漢字を学ぶ前に漢字の発音を既に習得しているため、「漢語ピン音」で発音構造を習得した後に、本来の一音節の正しい漢字の発音に容易に戻すことができる。
【0005】
一方、日本人学習者にとっては、漢語ピン音による発音拡大法を使って、漢字を子音と母音とからなる二音節に拡大することはできるが、それを一音節の「漢字読音」に復元することができない。何故ならば、日本人は元々の漢字読音(中国語発音)ができていないためである。
【0006】
そのため、日本人学習者の話す中国語は、本来、一音節で構成される中国語とは異なったものとなり、中国人には通じない中国語となっていた。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、中国語を母国語としない学習者が、容易に正しい中国語の発音を習得することのできる中国語教材を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の中国語教材の一態様は、
一文字の中国漢字と当該中国漢字の漢語ピン音とが表される漢字読音部であって、前記中国漢字を発音する単位時間当たりの長さを相対的に示す音節長さ記号を伴って、前記中国漢字が表される漢字読音部と、
前記漢字読音部に記載された前記中国漢字を含む複数の中国漢字からなる単語発音部であって、それぞれの中国漢字が前記音節長さ記号を伴って表され、当該音節長さ記号は、前記それぞれの中国漢字を発音する単位時間当たりの長さが等しく、かつ、前記漢字読音部に記載された前記中国漢字を発音する単位時間当たりの長さと等しいか、あるいは当該長さよりも短いことを示す単語発音部と、
前記漢字読音部に記載された前記中国漢字を含む複数の中国漢字からなる会話発音部であって、それぞれの中国漢字が前記音節長さ記号を伴って表され、当該音節長さ記号は、前記それぞれの中国漢字を発音する単位時間当たりの長さが等しく、かつ、前記単語発音部に記載された前記中国漢字を発音する単位時間当たりの長さの二分の一であることを示す会話発音部と、を備える、
ことを特徴とする。
【0009】
本態様によれば、漢字読音部において、中国漢字と漢語ピン音とが記載されているので、正しい漢字読音を習得することができる。単語発音部においては、漢字読音部で用いられていた音節長さ記号と同じかそれよりも小さな音節長さ記号を伴って、中国語の単語が記載されている。この音節長さ記号は、単語を構成するそれぞれの漢字に用いられ、それぞれの音節長さ記号の大きさは等しい。したがって、学習者は、単語を構成する漢字のそれぞれの一音節が均一であることを視覚的に理解することができ、漢字読音部で習得した正しい発音のまま、正しい単語発音を習得できる。さらに、会話発音部においては、単語発音で用いられた音節長さ記号の半分の長さと幅を持つ音節長さ記号を伴って、中国語の文章が記載される。この場合も、それぞれの音節長さ記号の大きさは等しい。したがって、学習者は、文章を構成する漢字のそれぞれの一音節が均一であることを視覚的に理解することができ、単語発音部で習得した正しい単語発音のまま、正しく自然な会話発音を習得できる。
【0010】
本発明の中国語教材の他の態様は、前記漢字読音部には、発音が同じで四声が異なる前記中国漢字が、それぞれ前記音節長さ記号を伴って列記される、ことを特徴とする。この態様によれば、学習者は、四声を容易に習得することができる。
【0011】
本発明の中国語教材の他の態様は、前記第三会話文と、前記第三会話文に対する和訳とを表す中日対照部を備え、前記中日対照部においては、中国語と日本語とで語順の異なる箇所については他の文字の色と異なる色で表される、ことを特徴とする。この態様によれば、学習者は、中国語と日本語の語順を容易に理解することができる。
【0012】
本発明の中国語教材の他の態様は、日本語漢字と同じ中国漢字は黒色で表示され、日本語漢字と違う中国特有漢字は赤色で表示される、ことを特徴とする。この態様によれば、学習者は、中国特有漢字を効率良く学ぶことができる。
【0013】
本発明の中国語教材の他の態様は、前記音節長さ記号は矩形状の枠であり、前記中国漢字は前記矩形状の枠内に表される、ことを特徴とする。この態様によれば、学習者は、一音節の長さの均一さと、単語発音および会話発音における正しい一音節の長さを視覚的に理解することができ、効率的かつ容易な学習が可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明における中国語教材によれば、学習者は、中国語における均一な一音節の長さと、単語発音および会話発音における正しい一音節の長さを視覚的に理解することができ、効率的かつ容易な学習が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態における中国語教材の一例を示す図である。
図2】中国人が発音する正しい漢字の一音節の長さを説明する図である。
図3】日本人が発音する間違った漢字の一音節の長さを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の一実施形態を説明する。
【0017】
(本発明の原理)
中国漢字は、「音」と「形」と「意」から構成されており、本実施形態においては、漢字自身に含まれている「音」を「漢字読音」と名付けている。中国の「漢字読音」には二つの特徴があり、一つは全て「単音節発音」であること、もう一つは「中国語発音と漢字発音が全く一致」するということである。
【0018】
単音節の漢字読音には、「子音」と「母音」と「四声」が含まれているが、「漢語ピン音(ピンイン)」というツールを用いることにより、この漢字読音を「子音」と「母音」と「四声」とに分解することができる。しかしながら、「漢語ピン音」は、ローマ字の子音を表す文字と、母音を表す文字で表現するため、単音節ではなくなる場合がある。
【0019】
したがって、「漢語ピン音」を用いて中国漢字を勉強する場合には、一音節である漢字読音を「漢語ピン音」によって二音節に分解して「子音」と「母音」と「四声」を覚え、次に一音節に復元して漢字読音を習得することになる。
【0020】
例えば、「張」という漢字読音は一音節であるが、これを「漢語ピン音」で表すと、zhang(四声記号は省略)となり、"zh"の一音節と、"ang"の一音節とで二音節となる。
【0021】
中国人の場合は、小学生であっても、漢字を習う前に漢字読音を習得しているため、このような「漢語ピン音」を用いた学習法であっても弊害は出ない。
【0022】
しかしながら、日本語は、「子音」と「母音」とが常に組み合わされており、中国語にはない長音が存在するため、日本人が「漢語ピン音」を用いて二音節で「子音」と「母音」と「四声」を覚えてしまうと、その後に一音節の漢字読音に戻すことができない。
【0023】
その結果、中国語の文章を発音した場合には、漢字読音の音の長さが均一ではなく、中国人には通じない発音となってしまう。
【0024】
例えば、「一月一日」という中国語の文節の場合には、「一」、「月」、「日」のそれぞれの漢字読音の音の長さは、図2に示すように、それぞれ同じである。図2においては、音の長さをaで示している。しかしながら、日本人がこの文節を発音すると、図3に示すように、それぞれの漢字読音の音の長さが均一にならず、中国人には通じない発音となってしまう。
【0025】
そこで、本発明では、中国語教材において、音節の長さを表す音節長さ記号として、矩形の枠を導入することにより、中国語の単音節の漢字読音を習得することを可能とする。本実施形態では、この音節長さ記号のことを「字格」と名付けている。
【0026】
次に、本発明における一音節の速さを習得させる原理について説明する。一般に、中国のテレビ等のアナウンサーが話すスピードは、1分間で220〜240文字であり、一音節は約0.25秒である。ピンインで漢字読音を学んだ場合の一音節が1秒だとすると、一音節を0.5秒にすることで、自然な中国語の単語発音となる。さらに、一音節を0.25秒まで短縮することにより、自然な中国語の会話発音となる。
【0027】
そこで、本発明では、まず「漢語ピン音」を用いて漢字読音の「子音」と「母音」と「四声」を習得させる。この時、漢字は音節長さ記号である「字格」で囲い、「字格」の中には「漢語ピン音」も記載する。次に、その右側に、「漢語ピン音」に用いた「字格」と同じかそれよりも小さい「字格」を用いて単語発音を習得させる。そして、その右側には、単語発音に用いた「字格」を用いて会話発音を習得させる。
【0028】
この際、「漢語ピン音」で練習する一音節が1秒だとすると、いきなり一音節を0.5秒、あるいは0.25秒に短縮するのではなく、まず、単語発音では「漢語ピン音」で練習する一音節と同じ1秒で練習を行い、次に会話発音の練習として一音節を0.5秒、そして最終的には一音節を0.25秒とするように、段階的な練習を可能としている。しかも、「字格」という記号を用いているため、それぞれの漢字読音の長さが均一であり、一音節の速さが徐々に速くなっていくことを視覚的に理解することを可能としている。
【0029】
以下、具体例に基づいて、上述した本発明の原理により作成された中国語教材の例について説明する。図1は、本実施形態に係る中国語教材のページの一例を示す図である。図1に示すように、本実施形態の中国語教材1は、ページ最上部の単元タイトル表示部10と、この単元で習得する漢字母音または子音表示部20と、この単元で習得する文型表示部30と、課のタイトル表示部40と、漢字読音部50と、単語発音部60と、会話発音部70と、文法対照部80とを備えている。
【0030】
単元タイトル表示部10は、中国語教材1の各単元の番号と、その単元で習得する内容が記載される。漢字母音または子音表示部20は、この単元で習得する漢字母音または漢字子音が記載される。
【0031】
文型表示部30は、この単元で習得する文型が記載される。課のタイトル表示部40は、各課の番号と、各課で習得する漢字の種類が記載される。
【0032】
漢字読音部50は、漢語ピン音と共に漢字が記載される。漢字読音部50は、ページの縦方向には、同一の漢語ピン音の四声が記載される。漢字と漢語ピン音は、字格90aに囲まれている。字格90a内に漢字が記載されていないところは、漢語ピン音に対応する漢字が存在しない場合である。漢語ピン音の四声に対応する漢字が全て存在する場合には、同一の発音で四声の全てを習得できると共に、四声に対応する漢字も習得することができる。この漢字読音部50で学習することにより、正しい漢字読音を習得することができる。
【0033】
単語発音部60は、漢字読音部50に記載された漢字を含む単語が記載される。単語を構成する各漢字は、字格90bにより囲まれている。字格90bの大きさは、漢字読音部50の字格90aと同じかそれよりも小さく表記される。図1に示す例では、漢字読音部50の字格90aと単語発音部60の字格90bとは同じ大きさになっており、かつ、単語発音部60の字格90bの大きさは、それぞれの漢字において同じ大きさである。したがって、学習者は、漢字読音部50で学習した正しい漢字の発音を、一音節の長さを変えずに、しかも、それぞれの漢字において一音節の長さが均一であることを視覚的に理解するこができ、正しい単語発音を習得することができる。
【0034】
会話発音部70は、単語発音部60に記載された単語を含む文章が記載される。文章を構成する各漢字は、字格90cにより囲まれている。字格90cの大きさは、単語発音部60の字格90bの半分の高さと幅を有している。会話発音部70の字格90cの大きさは、それぞれの漢字において同じ大きさである。したがって、学習者は、単語発音部60で学習した正しい単語発音を、単語を構成する漢字の一音節の長さが半分で、しかも、それぞれの漢字において一音節の長さが均一であることを視覚的に理解するこができ、正しい会話発音を習得することができる。
【0035】
図1の例では、ページのレイアウトおよび大きさの関係上、会話発音部70が一つしか設けられていないが、ページのレイアウトおよび大きさが許せば、会話発音部70の右側に、別の会話発音部を設けてもよい。この別の会話発音部においては、会話発音部70に記載された文章と同じ文章を記載する。そして、この文章を構成する漢字を囲む字格の大きさは、会話発音部70に記載された字格90cの半分の高さと幅を有するようにする。このように構成することにより、学習者は、会話発音部70で学習した正しい会話発音を、文章を構成する漢字の一音節の長さがさらに半分で、しかも、それぞれの漢字において一音節の長さが均一であることを視覚的に理解するこができ、正しい自然な会話発音を習得することができる。
【0036】
図1の例のように、上述のような別の会話発音部を設けられない場合には、指導者が、会話発音部70で練習した文章を、漢字の一音節の長さをさらに半分するように指導することにより、学習者は容易に正しい自然な会話発音を習得することができる。この場合でも、会話発音部70に記載された字格90cを見ながら練習することで、学習者は、一音節の長さがさらに半分になることを容易に頭の中で想像することができるので、一音節の長さを均一にしつつ、正しい自然な会話発音を習得することができる。
【0037】
文法対照部80は、会話発音部70に記載された文章の日本語訳が中国語の下に記載される。図1は白黒で描画しているため分かりにくいが、文法対照部80においては、中国語と日本語とで語順の異なる箇所については他の文字の色と異なる色で表される。これにより、学習者は、中国語と日本語との語順の違いを容易に理解することができる。また、図1は白黒で描画しているため分かりにくいが、文法対照部80においては、日本語漢字と同じ中国漢字は黒色で表示され、日本語漢字と違う中国特有漢字は赤色で表示される。これにより、学習者は、効率良く中国特有漢字を習得することができる。
【0038】
中国語の常用漢字は約2500字あり、本発明の中国語教材1では、この2500の常用漢字を中心に、例えば、四冊に分けて構成されている。例えば、第一冊には、常用漢字900字を用い、その中の中国特有漢字は360字となっている。また、第二冊には、常用漢字800字を用い、その中の中国特有漢字は300字となっている。さらに、第三冊には、常用漢字800字を用い、その中の中国特有漢字は200字となっている。そして、第四冊には、一文字に二つ以上の発音を持つ240字の多音字を掲載している。
【0039】
中国語には、六つの短母音と複合母音、および23の子音があり、全部で約1200の読音がある。本発明の中国語教材1では、一例として、母音と複合母音のほかに、23の子音を23単元に分け、子音ごとに発音を集中して学ぶことができる。本発明の中国語教材1を一冊学ぶことにより、約1200の読音を一通り学ぶことができる。さらに三冊学ぶことにより、三回も繰り返して学ぶことができる。
【0040】
中国語教材1の全体の構成としては、例えば、a、i、u、e等の単母音、および、an、ang、ai等の複合母音を含む全ての漢字母音を第1単元に網羅する。そして、第2単元以降は、b、p、m、f、d等の全ての漢字子音を、前記漢字母音との組み合わせで記載する。このような全体構成とすることにより、第1単元においては、全ての漢字母音を正しい中国語の発音で習得することができ、かつ、第2単元以降においては、全ての漢字子音を漢字母音との組み合わせで正しい中国語の発音により習得することができる。また、各ページの漢字読音部50においては、それぞれの漢字母音の発音が、四声の順序で繰り返し記載されているので、中国語教材1の全体を学習していくうちに、自然に正しい四声を身につけることが可能となる。以上のように、本発明の中国語教材1の全体を学習することにより、正しい中国語の発音を、全ての漢字母音、および全ての漢字母音と漢字母音の組み合わせにおいて習得することが可能になる。
【0041】
以上のように、本発明の中国語教材1によれば、字格という音節長さ記号を用い、かつ、漢字読音部50、単語発音部60、会話発音部70の順に、字格の大きさを各部に適切な大きさとして表記する。したがって、学習者は、一音節の均一なことと、一音節の長さを短くすることを視覚的に理解することができ、正しい漢字読音、正しい単語発音、および正しく自然な会話発音を容易かつ適切に習得することができる。
【0042】
上述した実施形態では、中国語教材1を紙の本として実現する態様について説明したが、本発明はこのような態様に限定される訳ではなく、例えば、コンピュータ、あるいはスマートフォン等のアプリケーションとして実現することも可能である。
【0043】
以上の実施形態は例示であり、この発明の範囲から離れることなく様々な変形が可能である。上述した複数の実施の形態は、それぞれ単独で成立し得るものであるが、実施の形態同士の組みあわせも可能である。また、異なる実施の形態の中の種々の特徴も、それぞれ単独で成立し得るものであるが、異なる実施の形態の中の特徴同士の組みあわせも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、中国語教材を製作する分野において利用可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 中国語教材
50 漢字読音部
60 単語発音部
70 会話発音部
80 文法対照部
【要約】
【課題】中国語を母国語としない学習者が、容易に中国語の発音を習得することのできる中国語教材を提供すること。
【解決手段】中国漢字を発音する単位時間当たりの長さを相対的に示す音節長さ記号である字格90aを伴って、漢語ピン音と共に中国漢字が表される漢字読音部50と、漢字読音部50に記載された字格90aと同じかそれよりも小さく、それぞれの大きさが等しい字格90bを伴って、単語が記載された単語発音部60と、単語発音部60に記載された字格90bの二分の一の長さと幅を持ち、それぞれの大きさが等しい字格90cを伴って、文章が記載された会話発音部70とを備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3