特許第6487101号(P6487101)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ BIJIN&Co.株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6487101-報酬額試算システム 図000002
  • 特許6487101-報酬額試算システム 図000003
  • 特許6487101-報酬額試算システム 図000004
  • 特許6487101-報酬額試算システム 図000005
  • 特許6487101-報酬額試算システム 図000006
  • 特許6487101-報酬額試算システム 図000007
  • 特許6487101-報酬額試算システム 図000008
  • 特許6487101-報酬額試算システム 図000009
  • 特許6487101-報酬額試算システム 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6487101
(24)【登録日】2019年3月1日
(45)【発行日】2019年3月20日
(54)【発明の名称】報酬額試算システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20190311BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20190311BHJP
【FI】
   G06Q30/02 490
   G06Q50/10
【請求項の数】10
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-101583(P2018-101583)
(22)【出願日】2018年5月28日
【審査請求日】2018年6月5日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 http://www.bijin−co.jp/caseexample/cloudcasting_cast.pdf(掲載日 平成29年12月26日) http://www.bijin−co.jp/caseexample/cloudcasting.pdf(掲載日 平成29年12月26日) http://www.bijin−co.jp/caseexample/bijin−co.pdf(掲載日 平成30年1月23日)
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】509183888
【氏名又は名称】BIJIN&Co.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】誠真IP特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】田中 慎也
(72)【発明者】
【氏名】谷田貝 力
【審査官】 木方 庸輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−212555(JP,A)
【文献】 特開2007−183863(JP,A)
【文献】 特開2001−344387(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の依頼をする依頼者の依頼対象となる対象候補者の報酬額を試算するための報酬額試算システムであって
なくとも1種類の属性を含む候補者の候補者属性と、前記候補者属性を有する前記候補者が過去に受けた依頼回数である被依頼回数との関係性を、複数の候補者の各々についての前記候補者属性と前記被依頼回数との関係に基づいて学習した試算モデルに基づいて、前記対象候補者が有する前記候補者属性である対象候補者属性に応じた前記依頼回数の予測値を算出し、前記依頼回数の予測値に基づいて前記報酬額を試算する報酬額試算部を、備えることを特徴とする報酬額試算システム。
【請求項2】
前記試算モデルは、複数の前記候補者属性の各々について、前記候補者属性と、前記候補者属性を有する前記候補者の前記被依頼回数とを対応付けた複数のデータで構成される教師データを機械学習することにより作成されており、
前記報酬額試算部は
前記試算モデルに基づいて、前記対象候補者属性に対応する前記依頼回数の予測値を算出する依頼回数予測部と、
前記依頼回数の予測値に基づいて前記報酬額を試算する試算部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の報酬額試算システム。
【請求項3】
前記試算部は、前記依頼回数の予測値を所定値の指数として採用して、前記報酬額を試算することを特徴とする請求項2に記載の報酬額試算システム。
【請求項4】
前記複数の候補者毎に、SNS上において前記候補者と関係性を有する関係数を取得する関係数取得部を、さらに備え、
前記試算部は、前記関係数取得部が取得した前記関係数を加味して、前記報酬額を試算することを特徴とする請求項2または3に記載の報酬額試算システム。
【請求項5】
前記試算部は、前記依頼者の社会的評価、又は前記所定の依頼の内容のうち少なくとも1つを加味して、前記報酬額を試算することを特徴とする請求項2から4の何れか一項に記載の報酬額試算システム。
【請求項6】
前記候補者は、モデル、タレント、アーティスト、インフルエンサー、実演家、専門家、キャラクタのいずれかであることを特徴とする請求項1からの何れか一項に記載の報酬額試算システム。
【請求項7】
前記属性は、プロフィール文章に出現する所定のキーワードの出現回数、年齢、体型、BMI、平均報酬、返信時間、依頼者評価又はWikipedia情報のうちの少なくとも1つの評価値の何れかであることを特徴とする請求項1からの何れか一項に記載の報酬額試算システム。
【請求項8】
前記報酬額を前記依頼者が使用する依頼者端末に向けて出力する出力部をさらに備えることを特徴とする請求項1から7の何れか一項に記載の報酬額試算システム。
【請求項9】
前記複数の候補者の各々毎の前記候補者属性を記憶する記憶部を、さらに備え、
前記所定の依頼に適した前記候補者属性を有する前記候補者の登録情報の検索、閲覧が可能に構成されていることを特徴とすることを特徴とする請求項1から8の何れか一項に記載の報酬額試算システム。
【請求項10】
所定の依頼をする依頼者の依頼対象となる対象候補者の報酬額を試算するための報酬額試算プログラムであって、
コンピュータに、
少なくとも1種類の属性を含む候補者の候補者属性と、前記候補者属性を有する前記候補者が過去に受けた依頼回数である被依頼回数との関係性を、複数の候補者の各々についての前記候補者属性と前記被依頼回数との関係に基づいて学習した試算モデルに基づいて、前記対象候補者が有する前記候補者属性である対象候補者属性に応じた前記依頼回数の予測値を算出し、前記依頼回数の予測値に基づいて前記報酬額を試算する報酬額試算部を実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、所定の依頼をする依頼者の依頼対象となる対象候補者の報酬額を試算するための報酬額試算システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、化粧品業界や食品業界など商品を製造販売する事業者などは、化粧品の効果をより多くの消費者に伝えたり、食品の購買意欲を促進したりするために、モデル、インフルエンサー、又は著名人など(以下、モデル等)と契約し、広告、雑誌への掲載、テレビなどへの出演などを通して、その販売促進を図ることが通常行われる。そして、このような事業者、個人事業主などの依頼者は、数多く存在するモデル等のうちから、依頼内容に適した対象者を選び、そのような対象者に対して依頼を行う。また、依頼を受けた対象者は、報酬額などの契約条件が希望に一致する場合などに、依頼を受けたりする。
【0003】
このような、依頼者とモデル等とを結びつける仲介システムも既に導入されている。具体的には、この種の仲介システムでは、キャスティングを希望する多数のモデル等が、インターネットを介して例えばクラウド上に設置されたデータベースに自身の情報を事前に登録しておく。そして、依頼者は、同じくインターネットを介してクラウドにアクセスしてデータベースを検索し、登録されたモデル等の情報を閲覧することが可能となっている。これによって、依頼者は、依頼内容に適した1以上の対象者を効率良く探すことが可能となる。
【0004】
このような仲介システムは、キャスティング業界に限らず、様々な業界で知られている。例えば特許文献1では、求人を行なう企業と求職者とを仲介する業界におけるシステムにおいて、求人を行なう企業の求める人物像と、就職したい求職者の人物像とをマッチングする技術について開示されている。また、例えば特許文献2では、的確な不動産価格の評価情報を投資家に提供するため、重回帰分析により、不動産に関する属性から不動産価格の情報を算出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−246453号公報
【特許文献2】特開2013−161293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、依頼者は、仲介システムに登録された多数の登録者(候補者)の中から、出演依頼などの依頼内容に適した候補者(対象候補者)を絞り込んだとしても、実際に出演依頼する際には、この対象候補者に対する妥当な報酬額の判断が困難な場合がある。このため、例えば、労力を費やして、仲介システムなどに登録された多数の候補者から適した対象候補者を絞ったとしても報酬額の不一致に起因して、依頼者−対象候補者間の契約が不成立になってしまう場合がある。そこで、対象候補者に対して出演依頼する前などに、この対象候補者に対する客観的な報酬額を提示できることが望まれる。
【0007】
本発明は上述の課題に鑑みなされたものであり、依頼者から対象候補者に対して出演依頼する前などに、対象候補者に対する客観的な報酬額を試算するための報酬額試算システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る報酬額試算システムは、
所定の依頼をする依頼者の依頼対象となる対象候補者の報酬額を試算するための報酬額試算システムであって、
複数の候補者の各々の候補者属性であって、少なくとも1種類の属性を含む候補者属性を前記候補者毎に記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された複数の前記候補者属性に基づいて、前記対象候補者が有する前記候補者属性である対象候補者属性に応じた前記報酬額を試算する報酬額試算部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
上記(1)の構成によれば、記憶部は複数の候補者の各々の候補者属性であって、少なくとも1種類の属性を含む候補者属性を候補者毎に記憶する。そして、報酬額試算部は、記憶部に記憶された複数の候補者属性に基づいて、対象候補者が有する候補者属性である対象候補者属性に応じた報酬額を試算する。このため、依頼者から対象候補者に所定の依頼をする前などに、対象候補者に対する客観的な報酬額を試算することができる。これによって、依頼者は、試算された報酬額を考慮して、対象候補者へ提示する報酬額を決定することができる。従って、例えば、報酬額の不一致に起因することにより、依頼者−対象候補者間の契約が不成立になってしまうことを防止するなどが可能となり、依頼者−対象候補者間の円滑な契約を促進することができる。
【0010】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)に記載の構成において、
前記記憶部は、さらに、前記複数の候補者の各々が過去に受けた依頼回数である被依頼回数を、前記候補者属性に対応付けて記憶しており、
前記報酬額試算部は、
前記候補者属性と、該候補者属性を有する前記候補者の前記被依頼回数とを対応付けた複数のデータで構成される教師データを機械学習することにより作成された試算モデルに基づいて、前記対象候補者属性に対応する前記依頼回数の予測値を算出する依頼回数予測部と、
前記依頼回数の予測値に基づいて前記報酬額を試算する試算部と、を有することを特徴とする。
【0011】
本発明者らの鋭意研究によれば、属性と、所定の依頼を受けた回数(被依頼回数)との間には相関があることを見出した。よって、属性と被依頼回数とを機械学習することにより、対象候補者属性から適切な報酬額を試算することが可能であると考えた。
【0012】
上記(2)の構成によれば、記憶部は、被依頼回数を候補者属性に対応付けて記憶している。そして、依頼回数予測部は、候補者属性と、該候補者属性を有する候補者の被依頼回数とを対応付けた複数のデータで構成される教師データを機械学習することにより作成された試算モデルに基づいて、対象候補者属性に対応する依頼回数の予測値を算出する。そして、試算部は、依頼回数予測部で算出された依頼回数の予測値に基づいて、報酬額を試算する。これによって、試算モデルを用いて依頼回数を適切に予測し、対象候補者に対する客観的な報酬額を試算することができる。よって、依頼者から対象候補者に所定の依頼をする前などに、対象候補者に対する客観的な報酬額をより適切に試算することができる。
【0013】
(3)幾つかの実施形態では、上記(2)に記載の構成において、
前記試算部は、前記依頼回数の予測値を所定値の指数として採用して、前記報酬額を試算することを特徴とする。
【0014】
本発明者らの鋭意研究によれば、より適切な報酬額を試算するために、上述した依頼回数の予測値を所定値の指数として採用して、報酬額を試算することを見出した。上記(3)の構成によれば、試算部は、依頼回数予測部で算出された依頼回数の予測値を所定値の指数として採用して報酬額を試算することにより、報酬額をより適切に試算することができる。
【0015】
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)から(3)の何れか1つに記載の構成において、
前記候補者は、モデル、タレント、アーティスト、インフルエンサー、実演家、専門家キャラクタのいずれかであることを特徴とする。
【0016】
依頼者は、例えば、自社の製品やサービスの広告宣伝・PRのために、モデル、タレント、アーティスト、インフルエンサー、実演家、専門家、キャラクタのいずれかに所定の依頼をする場合が多い。このため、上記(4)の構成によれば、依頼者が、モデル、タレント、アーティスト、インフルエンサー、実演家、専門家、キャラクタのいずれかに所定の依頼をする前などに、これらのジャンルの対象候補者に対する客観的な報酬額を試算することができる。
【0017】
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)から(4)の何れか1つに記載の構成において、
前記属性は、プロフィール文章に出現する所定のキーワードの出現回数、年齢、体型、BMI、平均報酬、返信時間、依頼者評価又はWikipedia情報のうちの少なくとも1つの評価値の何れかであることを特徴とする。
【0018】
本発明者らの鋭意研究によれば、プロフィール文章に出現する所定のキーワードの出現回数、年齢、体型、BMI、平均報酬、返信時間、依頼者評価又はWikipedia情報のうちの少なくとも1つが、報酬額に影響を与えることを見出した。上記(5)の構成によれば、属性は、プロフィール文章に出現する所定のキーワードの出現回数、年齢、体型、BMI、平均報酬、返信時間、依頼者評価又はWikipedia情報のうちの少なくとも1つの評価値の何れかである。よって、このような属性の少なくとも1種類を含む候補者属性に基づいて報酬額が試算されるので、より適切な報酬額を試算することができる。
【0019】
(6)幾つかの実施形態では、上記(2)から(5)の何れか1つに記載の構成において、
前記複数の候補者毎に、SNS上において前記候補者と関係性を有する関係数を取得する関係数取得部を、さらに備え、
前記試算部は、前記関係数取得部が取得した前記関係数を加味して、前記報酬額を試算することを特徴とする。
【0020】
本発明者らの鋭意研究によれば、SNS上において前記候補者と関係性を有する関係数(SNSのフォロワー数)に応じて、報酬額が変化することを見出した。例えば、対象候補者がインフルエンサーである場合には、関係数が直接的に報酬額を変化させる場合がある。上記(6)の構成によれば、試算部は、関係数取得部が取得した関係数を加味して報酬額を試算するので、より適切な報酬額を試算することができる。
【0021】
(7)幾つかの実施形態では、上記(2)から(6)の何れか1つに記載の構成において、
前記試算部は、前記依頼者の社会的評価(知名度、人気、地位)、又は前記所定の依頼の内容のうち少なくとも1つを加味して、前記報酬額を試算することを特徴とする。
【0022】
依頼者の社会的評価、又は所定の依頼の内容に応じて、報酬額が変化する場合がある。上記(7)の構成によれば、試算部は、依頼者の社会的評価、又は所定の依頼の内容のうち少なくとも1つを加味して、報酬額を試算する。このため、依頼者の社会的評価、又は所定の依頼の内容に応じた報酬額を試算することができる。
【0023】
(8)幾つかの実施形態では、上記(1)から(7)の何れか1つに記載の構成において、
前記報酬額を前記依頼者が使用する依頼者端末に向けて出力する出力部をさらに備えることを特徴とする。
【0024】
上記(8)の構成によれば、例えば依頼者端末のディスプレイ上に報酬額が出力されるので、依頼者は対象候補者に対する客観的な報酬額を知ることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、依頼者が対象候補者に所定の依頼をする前に、対象候補者に対する客観的な報酬額を試算することができる報酬額試算システムを提供することを目的とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態に係る報酬額試算システムの構成を概略的に示す概略構成図である。
図2】本発明の一実施形態に係る報酬額試算システムが報酬額を試算するまでの流れを示した図である。
図3】本発明の一実施形態に係る報酬額試算システムが報酬額を試算するまでの流れを示した図である。
図4A】被依頼回数と返信時間との関係を示すグラフである。
図4B】被依頼回数と依頼者評価との関係を示すグラフである。
図4C】被依頼回数とキーワードの出現回数の評価値との関係を示すグラフである。
図5A】本発明の一実施形態に係る報酬額試算部がモデルの報酬額を試算する場合を示す図である。
図5B】本発明の一実施形態に係る報酬額試算部がインフルエンサーの報酬額を試算する場合を示す図である。
図6】本発明の一実施形態に係る報酬額試算方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
また例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0028】
本発明の一実施形態に係る報酬額試算システムは、所定の依頼をする依頼者の依頼対象となる対象候補者の報酬額を試算するためのシステムである。本実施形態において、依頼者(クライアント)とは、例えば、自社の製品やサービスの広告宣伝・PRのために、出演依頼など所定の依頼をする法人又は個人(個人事業主)を意味する。依頼者は、法人などからプロモーションを請け負う広告代理店などであってもよい。また、対象候補者とは、依頼者が報酬額試算システムからの報酬額の試算結果を得るのを希望する者を意味しており、例えば後述するようなモデル等である。尚、本発明は、求人を行なう企業と求職者とを仲介する業界(人材紹介の業界)や、派遣元から労働者を派遣する労働者派遣の業界においても利用可能である。
【0029】
図1は、本発明の一実施形態に係る報酬額試算システムの構成を概略的に示す概略構成図である。図2及び図3は、本発明の一実施形態に係る報酬額試算システムが報酬額を試算するまでの流れを示した図である。
【0030】
本実施形態では、図1に示すように、仲介システム100は、インターネットIを介して、依頼者−対象候補者間のやり取りを仲介するためのシステムである。本システムにおいては、仲介を希望する希望者は、本システムに対して自身の情報を事前に登録する。また、依頼者は、このように事前に登録された登録者を候補者として、各候補者の登録情報を検索、閲覧しながら、依頼に適した候補者を対象候補者として絞り込んだ後、対象候補者に対して依頼を行うことが可能に構成される。尚、仲介システム100は、クラウド上に配置されるシステムであってもよいし、所定のサーバ内で構築されるシステムであってもよい。
【0031】
より具体的には、依頼者が、例えば、携帯電話やパソコンのような依頼者端末2を用いてインターネットIを介して仲介システム100に接続する。また、対象候補者が、例えば、携帯電話やパソコンのような候補者端末3を用いてインターネットIを介して仲介システム100に接続する。そして、このような仲介システム100では、依頼者端末2を用いて、仲介システム100における依頼者の情報を管理(登録や削除)可能に構成されている。同様に、候補者端末3を用いて、仲介システム100における対象候補者の情報を管理(登録や削除)可能に構成されている。
【0032】
尚、仲介システム100における依頼者の情報を管理する方法、及び対象候補者の情報を管理する方法は上述した方法に限定されない。例えば、仲介システム100は不図示の入力装置を備えており、この入力装置を用いて依頼者や対象候補者の情報が仲介システム100に登録されてもよい。また、対象候補者の代理人(例えば、対象候補者のマネージャーなど、対象候補者をマネジメントする者)が、候補者端末3を用いて、仲介システム100における対象候補者の情報を管理してもよい。
【0033】
また、図1に示すように、仲介システム100は報酬額試算システム1を備えている。そして、この報酬額試算システム1は、候補者管理サーバ4と、報酬額試算サーバ6と、依頼者管理サーバ8と、を備えている。尚、候補者管理サーバ4、報酬額試算サーバ6、及び依頼者管理サーバ8のそれぞれはコンピュータであり、図示しないCPU(プロセッサ)、ROMやRAMといったメモリ、及びI/Oインターフェイスなどを備えている。そして、メモリにロードされたプログラムの命令に従ってプロセッサが動作(データの演算など)することで、各機能部(後述する記憶部10や報酬額試算部12など)を実現する。
【0034】
上記の報酬額試算システム1は、図1に示すように、記憶部10と、報酬額試算部12と、を備える。
【0035】
記憶部10は、例えばデータベースを含み、複数の候補者の各々の候補者属性であって、少なくとも1種類の属性を含む候補者属性を候補者毎に記憶する。ここで、候補者とは、仲介システム100に登録されている者を意味する。また、属性とは、例えば、年齢や体型、BMI、性別、候補者のプロフィールの更新頻度、候補者の専門性・トーク力・語学力、候補者の画像データ、検索エンジンによるヒット件数などの、報酬額を試算するのに用いることが可能な候補者の情報の1つを意味する。また、記憶部10が記憶する属性は、候補者が登録した情報そのものであってもよいし、候補者が登録した情報から算出する情報であってもよい。例えば、BMIは体重と身長から算出でき、年齢は生年月日から算出できるが、BMIや年齢そのものを登録してもよい。尚、属性は、依頼者が出演依頼するにあたって候補者を絞るために用いても良い。図1に示した実施形態では、記憶部10は、候補者管理サーバ4の一機能部として実装されているが、本発明は本実施形態に限定されない。
【0036】
報酬額試算部12は、記憶部10に記憶された複数の候補者属性に基づいて、対象候補者が有する候補者属性である対象候補者属性に応じた報酬額を試算する(図2図3参照)。報酬額試算部12は、後述するような機械学習の手法を利用して報酬額を試算してもよい。あるいは、例えば、記憶部10に記憶されている複数の候補者属性から最良の候補者属性を導きだし、この最良の候補者属性と対象候補者属性とを比較して差分を算出し、最良の候補者属性を有する場合の報酬額から差分に対応した金額を減じることで、対象候補者の報酬額を試算してもよい。図1に示した実施形態では、報酬額試算部12は、報酬額試算サーバ6の一機能部として実装されているが、本発明は本実施形態に限定されない。
【0037】
このような本発明の一実施形態に係る報酬額試算システム1の構成によれば、記憶部10は複数の候補者の各々の候補者属性であって、少なくとも1種類の属性を含む候補者属性を候補者毎に記憶する。そして、報酬額試算部12は、記憶部10に記憶された複数の候補者属性に基づいて、対象候補者が有する候補者属性である対象候補者属性に応じた報酬額を試算する。このため、依頼者から対象候補者に出演依頼をする前などに、対象候補者に対する客観的な報酬額を試算することができる。これによって、依頼者は、試算された報酬額(参考報酬額)を参考にして、対象候補者へ提示する報酬額を決定することができ、例えば、報酬額の不一致に起因することにより、対象候補者−依頼者間の契約が不成立になってしまうことを防止し、依頼者−対象候補者間の円滑な契約を促進することができる。
【0038】
幾つかの実施形態では、上述した候補者は、モデル、タレント、アーティスト、インフルエンサー、実演家、専門家、キャラクタ(以降ではモデル等と記載する)の何れかである。尚、専門家とは、芸能、法律や学問などのような特定の分野に精通しているものであって、例えば、講演家、弁護士・弁理士、料理研究家、マナー講師、カメラマンなどである。また、キャラクタとは、人物や動物等をイラストやアニメーション等で表現した著作物である。このため、候補者がキャラクタである場合には、キャラクタの著作権者が候補者(対象候補者)となる。
【0039】
依頼者は、例えば、自社の製品やサービスの広告宣伝・PRのために、モデル等の何れかに出演依頼をする場合が多い。このような構成によれば、記憶部10にはモデル等の何れかの候補者属性が記憶されている。そして、この候補者属性に基づいて、モデル等に対する客観的な報酬額が試算される。このため、依頼者が、モデル等の何れかに出演依頼をする前などに、モデル等に対する客観的な報酬額を試算することができる。
【0040】
幾つかの実施形態では、属性は、プロフィール文章に出現する所定のキーワードの出現回数、年齢、体型、BMI、平均報酬、返信時間、依頼者評価又はWikipedia情報のうちの少なくとも1つの評価値の何れかである。ここで、評価値は、属性の値そのものであってもよいし、後述するような、5段階などのn段階評価など、周知な手法によって属性の値が変換された変換値であってもよい。Wikipedia情報は、候補者がWikipediaに登録されているか否かという情報を含んでおり、候補者がWikipediaに登録されている場合、そのWikipediaから取得できる編集回数やページビュー数などといった情報をさらに含んでもよい。
【0041】
幾つかの実施形態では、図2及び図3に示すように、所定のキーワードの出現回数の評価値(図2及び図3に示すプロフィール文章)が候補者属性に含まれるように、記憶部10には、プロフィール文章が記憶されている。このプロフィール文章は、例えば、対象候補者の経歴が記載されており、候補者端末3を用いて記憶部10に登録(記憶)される。そして、記憶部10は、このプロフィール文章に含まれている所定のキーワードの出現回数の評価値を記憶する。具体例を挙げると、記憶部10に記憶されているプロフィール文章から形態素解析により幾つかの単語に分け、TF−IDFにより特徴ベクトルに変換し、L^1正規化を行い、BisectingKMeansによって幾つかのグループにクラスタリングする。そして、各グループを5段階評価によって変換された変換値で評価する。
【0042】
幾つかの実施形態では、図2に示すように、体型の評価値が候補者属性に含まれるように、記憶部10には胸囲及び腹囲が記憶されている。体型は、胸囲及び腹囲に基づいて算出される値であって、例えば、体型=0.7×胸囲/腹囲によって算出される。また、幾つかの実施形態では、図2に示すように、BMIの評価値が候補者属性に含まれるように、記憶部10には身長及び体重が記憶されている、BMIは、身長及び体重によって算出される値であって、例えば、BMI=体重/(身長^2)によって算出される。
【0043】
幾つかの実施形態では、図2及び図3に示すように、平均報酬の評価値が候補者属性に含まれるように、記憶部10には平均報酬が記憶されている。この平均報酬は、1つの出演依頼において、依頼者から対象候補者に対して支払われた報酬額の平均値である。
【0044】
幾つかの実施形態では、図2及び図3に示すように、返信時間の評価値が候補者属性に含まれるように、記憶部10には返信時間が記憶されている。この返信時間は、1つの出演依頼において、依頼者から対象候補者に対して送った初メッセージに対して、対象候補者が返信するまでにかかった時間の平均値である。
【0045】
幾つかの実施形態では、図2及び図3に示すように、依頼者評価の評価値が候補者属性に含まれるように、記憶部10には依頼者評価が記憶されている。この依頼者評価は、依頼者の出演依頼に対して実際に出演した候補者の評価である。依頼者評価は、例えば、インターネットIに接続されている依頼者端末2を介して、5段階評価によって記憶部10に登録(記憶)される。
【0046】
本発明者らの鋭意研究によれば、プロフィール文章に出現する所定のキーワードの出現回数、年齢、体型、BMI、平均報酬、返信時間、依頼者評価又はWikipedia情報が、それぞれ、後述するような依頼回数など、報酬額に影響を与えることを見出した。これらの属性は、特にモデル等の報酬額と相関が高い。
【0047】
このような構成によれば、属性は、プロフィール文章に出現する所定のキーワードの出現回数、年齢、体型、BMI、平均報酬、返信時間、依頼者評価又はWikipedia情報のうちの少なくとも1つの評価値の何れかである。よって、このような属性の少なくとも1種類を含む候補者属性に基づいて報酬額が試算されるので、より適切な報酬額を試算することができる。
【0048】
幾つかの実施形態では、記憶部10は、さらに、複数の候補者の各々が過去に受けた依頼回数である被依頼回数を、候補者属性に対応付けて記憶する。本システムを通して、さまざまな依頼者が、本システムに登録されている候補者に対して依頼を行うが、被依頼回数は、各候補者がいずれかの依頼者から依頼を受けたことのある依頼回数の実績(累積)である。本実施形態では、被依頼回数は、例えば本システムを使用している依頼者などとなる特定の依頼者及びその特定の依頼者以外から受けた実績であってもよい。他の幾つかの実施形態では、被依頼回数は、特定の依頼者から受けた実績であってもよい。その他の幾つかの実施形態では、被依頼回数は、特定の依頼者以外から受けた実績であってもよい。
【0049】
例えば、記憶部10(データベース)には、1レコードとして、候補者Aの被依頼回数(例えば10回という数値情報)と、候補者Aの返信時間の評価値(例えば5という変換値)と、候補者Aの依頼者評価の評価値(例えば4という変換値)と、候補者Aの年齢の評価値(例えば26歳という数値情報)、候補者Aの体型の評価値(例えば3という評価値)、及び候補者AのBMIの評価値(例えば19という数値情報)を含む候補者属性とが対応付けて記憶されている。つまり、返信時間が5、依頼者評価が4、年齢が26歳、体型が3、且つBMIが19である候補者Aは、依頼者から10回の依頼を受けていることが、記憶部10に記憶されている。
【0050】
また、図1に示すように、報酬額試算部12は依頼回数予測部14及び試算部15を備える。この依頼回数予測部14は、図2及び図3に示すように、候補者属性と、該候補者属性を有する候補者の被依頼回数とを対応付けた複数のデータで構成される教師データを機械学習することにより作成された試算モデルに基づいて、対象候補者属性に対応する依頼回数の予測値を算出する。試算部15は、依頼回数の予測値に基づいて報酬額を試算する。尚、図1に示した実施形態では、依頼回数予測部14及び試算部15は、報酬額試算サーバ6の一機能部として実装されているが、本発明は本実施形態に限定されない。
【0051】
図1に示した実施形態では、報酬額試算部12は試算モデル作成部16を備えている。この試算モデル作成部16は、候補者属性と被依頼回数とを対応付けた複数のデータで構成される教師データを機械学習することにより試算モデルを作成する。図2に示した実施形態では、試算モデル作成部16は、プロフィール文章、年齢、体型、BMI、平均報酬、返信時間、依頼者評価又はWikipedia情報を含む候補者属性と、被依頼回数とを対応付けた複数のデータで構成される教師データを機械学習することによって試算モデルを作成している。図3に示した実施形態では、試算モデル作成部16は、プロフィール文章、年齢、平均報酬、返信時間、依頼者評価又はWikipedia情報を含む候補者属性と、被依頼回数とを対応付けた複数のデータで構成される教師データを機械学習することによって試算モデルを作成している。尚、幾つかの実施形態では、試算モデルは報酬額試算システム1の外部で作成されてもよい。
【0052】
ここで、候補者属性に返信時間の評価値と依頼者評価の評価値とが含まれている場合を例にして、報酬額を試算する方法について説明する。図4Aは、被依頼回数と返信時間との関係を示すグラフである。図4Bは、被依頼回数と依頼者評価との関係を示すグラフである。図4Cは、被依頼回数とキーワードの出現回数の評価値との関係を示すグラフである。尚、図示した実施形態では、返信時間の評価値、依頼者評価の評価値及びキーワードの出現回数の評価値を5段階評価(1、2、3、4、5)で示しており、5が最も高い評価であり、1が最も低い評価である。評価値は、属性毎によって決定方法が異なっており、例えば、返信時間の評価値では、返信時間が25分以内であると5、25分を超えて50分以内であると4、50分を超えて100分以内であると3、100分を超えて300分以内であると2、300分を超えると1と評価される。
【0053】
試算モデル作成部16は、図1に示すように、記憶部10から候補者属性と被依頼回数とを取得している。この試算モデル作成部16は、候補者毎に候補者属性と被依頼回数とを取得しており、返信時間及びクライアント評価と、被依頼回数とを対応付けた複数のデータで構成される教師データを機械学習(重回帰分析)する。具体的には、教師データから、記憶部10から取得される返信時間及びクライアント評価と、被依頼回数とからなるデータセットを求め、重回帰分析により、返信時間及びクライアント評価から被依頼回数を求める回帰式を求める。また、幾つかの実施形態では、試算モデル作成部16は、1種類の属性が被依頼回数に与える影響の大きさ(影響度T)を算出する。尚、重回帰分析を例にして機械学習を説明したが、機械学習は単回帰分析や正則化の処理を行なった線形重回帰、モデルを線形でなくした一般化線形重回帰、SVR(Support Vector Regression)、ベイズ推定による線形重回帰、ニューラルネットワーク、ディープラーニングといった周知の機械学習の手法(アルゴリズム)によって行なわれてもよい。また、図1に示した実施形態では、試算モデル作成部16は、報酬額試算サーバ6の一機能部として実装されているが、本発明は本実施形態に限定されない。
尚、返信時間と被依頼回数との関係は、例えば図4Aに示すように、横軸を返信時間、縦軸を被依頼回数とし、候補者毎にプロットしたグラフ(散布図)によって示すことができる。同様に、依頼者評価と被依頼回数との関係は、例えば図4Bに示すように、横軸を依頼者評価、縦軸を被依頼回数とし、候補者毎にプロットしたグラフ(散布図)によって示すことができる。
【0054】
幾つかの実施形態では、候補者属性にプロフィール文章に出現する所定のキーワードの出現回数の評価値が含まれる場合において、試算モデル作成部16は、記憶部10から候補者属性と被依頼回数とを取得し、キーワードの出現回数の評価値と被依頼回数とを対応付けた複数のデータで構成される教師データを機械学習する。尚、被依頼回数とキーワードの出現回数の評価値との関係は、例えば図4Cに示すように、横軸をキーワードの出現回数の評価値、縦軸を被依頼回数とし、候補者毎にプロットした箱ひげ図によって示すことができる。
【0055】
試算モデル作成部16は、機械学習した結果、例えば、次のような試算モデルを作成する。
依頼回数の予測値a=返信時間の評価値×T1+依頼者評価の評価値×T2+年齢の評価値×T3+体型の評価値×T4+BMIの評価値×T5+平均報酬の評価値×T6+Wikipedia情報の評価値×T7+プロフィール文章の評価値×T8
(T1:返信時間の評価値の影響度T、T2:依頼者評価の評価値の影響度T、T3:年齢の評価値の影響度T、T4:体型の評価値の影響度T、T5:BMIの評価値の影響度、T6:平均報酬の評価値の影響度、T7:Wikipedia情報の評価値の影響度、T8:プロフィール文章の評価値の影響度)
【0056】
依頼回数予測部14は、図1図3に示すように、試算モデル作成部16で作成された試算モデルを取得する。そして、依頼回数予測部14は、対象候補者が有する対象候補者属性を試算モデルに入力することで、対象候補者の依頼回数の予測値aを算出する。そして、試算部15は、依頼回数の予測値aに基づいて報酬額を試算する。そして、図1に示した実施形態では、試算部15が試算した報酬額は記憶部10に取得(記憶)されるように構成されている。そして、後述する出力部22によって、この報酬額が依頼者端末2に出力される。
【0057】
本発明者らの鋭意研究によれば、属性と、出演依頼を受けた回数(被依頼回数)との間には相関があることを見出した。よって、属性と被依頼回数とを機械学習することにより、対象候補者属性から適切な報酬額を試算することが可能であると考えた。
【0058】
このような構成によれば、記憶部10は、被依頼回数を候補者属性に対応付けて記憶している。そして、依頼回数予測部14は、候補者属性と、該候補者属性を有する候補者の被依頼回数とを対応付けた複数のデータで構成される教師データを機械学習することにより作成された試算モデルに基づいて、対象候補者属性に対応する依頼回数の予測値aを算出する。そして、試算部15は、依頼回数予測部14で算出された依頼回数の予測値aに基づいて、報酬額を試算する。これによって、試算モデルを用いて依頼回数を適切に予測し、対象候補者に対する客観的な報酬額を試算することができる。よって、依頼者から対象候補者に出演依頼する前に、対象候補者に対する客観的な報酬額をより適切に試算することができる。
【0059】
幾つかの実施形態では、候補者属性は、少なくとも返信時間の評価値及び依頼者評価の評価値を含む。本発明者らの鋭意研究によれば、返信時間及び依頼者評価が報酬額に大きな影響を与えることを見出した。このような構成によれば、候補者属性には、少なくとも返信時間の評価値及び依頼者評価の評価値が含まれるので、対象候補者の報酬額をより適切に試算することができる。
【0060】
幾つかの実施形態では、試算部15は、依頼回数の予測値aを所定値の指数として採用して、報酬額を試算する。
【0061】
本発明者らの鋭意研究によれば、候補者の人気、知名度などが上がるほど報酬額も指数関数的など加速度的に増えることから、報酬額は依頼回数の予測値aが大きくなるにつれて加速度的に増えると考え、より適切な報酬額を試算するために、上述した依頼回数の予測値aを所定値の指数として採用して、報酬額を試算することを見出した。本発明者らは、例えば、次のような第1の報酬額の試算式を作成した。
報酬額=B×C^a (B及びCは任意の値)
【0062】
このような構成によれば、試算部15は、依頼回数予測部14で算出された依頼回数の予測値aを所定値の指数として採用して報酬額を試算するので、報酬額をより適切に試算することができる。
【0063】
幾つかの実施形態では、図1に示すように、報酬額試算システム1は、関係数取得部18をさらに備える。この関係数取得部18は、複数の候補者毎に、SNS上において候補者と関係性を有する関係数を取得する。ここで、SNS(Social Networking Service)とは、仲介システム100の外部に設けられたSNSサーバからインターネットIを介して提供されるサービスであって、例えば、Twitter(登録商標)、Facebook(登録商標)、Instagram(登録商標)などが挙げられる。そして、関係数とは、例えば、Twitterのフォロワー数やInstagramのフォロワー数を意味する。図1に示した実施形態では、関係数取得部18は、インターネットIを介して、関係数を取得する。そして、試算部15は、関係数取得部18が取得した関係数を取得し、図3に示すように、この関係数を加味して報酬額を試算する。幾つかの実施形態では、試算部15は、次のような第2の報酬額の計算式を用いて、報酬額を試算する。
報酬額=関係数×D^a (Dは任意の値)
尚、関係数は、例えば、Twitterのフォロワー数及びInstagramのフォロワー数の2つが取得されるように、複数の関係数が取得される場合には、最も大きい値が採用される。また、幾つかの実施形態では、複数の関係数の合計値であってもよい。また、関係数を取得する方法は、上述したインターネットIを介して取得する方法に限定されず、例えば、幾つかの実施形態では、関係数取得部18は、関係数を取得する外部サービスから関係数を取得してもよい。
【0064】
図1に示した実施形態では、関係数取得部18は、候補者管理サーバ4の一機能部として実装されている。ただし、本発明は本実施形態に限定されず、他の幾つかの実施形態では、候補者管理サーバ4とは物理的に異なるコンピュータ(例えば、報酬額試算サーバ6)に、単独あるいは他の機能部と共に実装されていても良い。
【0065】
本発明者らの鋭意研究によれば、SNS上において候補者と関係性を有する関係数に応じて、報酬額が変化することを見出した。例えば、対象候補者がインフルエンサーである場合には、関係数が多いほど、依頼者の商品がより多くの需要者に知られることが期待されるので、関係数が直接的に報酬額を変化させる場合がある。このような構成によれば、試算部15は関係数取得部18が取得した関係数を加味して、報酬額を試算するので、より適切な報酬額を試算することができる。
【0066】
図5Aは、本発明の一実施形態に係る報酬額試算部がモデルの報酬額を試算する場合を示す図である。図5Bは、本発明の一実施形態に係る報酬額試算部がインフルエンサーの報酬額を試算する場合を示す図である。
【0067】
幾つかの実施形態では、記憶部10は、候補者に応じた候補者属性を候補者毎に記憶する。
【0068】
例えば、図5A及び図5Bに示すように、対象候補者がモデルの場合と、対象候補者がインフルエンサーの場合とでは、報酬額を試算するための対象候補者属性が異なる。対象候補者がモデルの場合には、図5Aに示すように、対象候補者属性は、プロフィール文章(上述した所定のキーワードの出現回数)、BMI、年齢、Wikipedia情報、依頼者評価、返信時間、及び平均報酬を含む。一方で、対象候補者がインフルエンサーの場合には、図5Bに示すように、対象候補者属性は、プロフィール文章、年齢、Wikipedia情報、依頼者評価、返信時間、及び平均報酬を含む。尚、幾つかの実施形態では、依頼回数予測部14は、対象候補者がモデルの場合と、対象候補者がインフルエンサーの場合とでは、互いに異なる試算モデルに基づいて、依頼回数の予測値aを算出する。
【0069】
また、幾つかの実施形態では、試算部15は、対象候補者がモデルの場合と、対象候補者がインフルエンサーの場合とでは、互いに異なる報酬額の試算式を用いて、報酬額を試算する。例えば、試算部15は、対象候補者がモデルの場合には、上述した第1の報酬額の試算式を用いて、報酬額を試算する(図5Aを参照)。一方で、対象候補者がインフルエンサーの場合には、上述した第2の報酬額の試算式を用いて、報酬額を試算する(図5Bを参照)。
【0070】
本発明者らの鋭意研究によれば、対象候補者のジャンルに応じて(例えば、対象候補者がモデルであるかタレントであるかなどの種類)、対象候補者属性が異なること、試算モデルが異なること、及び報酬額の試算式が異なることを見出した。このような構成によれば、対象候補者の職業に応じて、適切な報酬額を試算することができる。
【0071】
幾つかの実施形態では、試算部15は、依頼者の社会的評価(知名度、人気、地位)、又は所定の依頼の内容のうち少なくとも1つを加味して、報酬額を試算する。
【0072】
図1に示した実施形態では、報酬額試算システム1は、依頼記憶部20をさらに備える。この依頼記憶部20は、依頼者からの出演依頼に関する情報である依頼情報を依頼者毎に記憶している。依頼情報は、例えば、依頼者の社会的評価、出演依頼する日時や場所、具体的な出演依頼内容などである。図1に示した実施形態では、依頼記憶部20は依頼者管理サーバ8の一機能部として実装されている。そして、試算部15は、依頼記憶部20から依頼情報を取得している。報酬額試算部12は、例えば、依頼回数予測部14が算出した依頼回数の予測値aに、依頼情報に応じて算出される補正値を加算してから報酬額を試算する。
【0073】
依頼者の社会的評価、又は所定の依頼の内容に応じて、報酬額が変化する場合がある。このような構成によれば、試算部15は、依頼者の社会的評価、又は所定の依頼の内容のうち少なくとも1つを加味して、報酬額を試算する。このため、依頼者の社会的評価、又は所定の依頼の内容に応じた報酬額を試算することができる。尚、社会的評価とは、例えば、対象候補者を撮影するカメラマンの知名度や依頼者の知名度である。また、依頼内容とは、例えば、依頼者に対する成果物(対象候補者が依頼を受けた結果生ずる著作物)の利用期間・利用目的、成果物の二次利用の有無・内容、競合排他の内容・期間(例えば、ライバル企業の依頼を受けない)、ヘアメイク・スタイリストが付くか否か、撮影時に着用する衣装が魅力的であるかどうか、出演の難易度(例えば、スチール撮影、動画撮影、CM撮影、トークの有無)、条件付きの案件(例えば、対象候補者の職業や属性が限定される)、自宅と出演場所との距離、誇れる内容であるかどうか、などである。
【0074】
幾つかの実施形態では、報酬額試算システム1は、図1に示すように、出力部22をさらに備える。この出力部22は、報酬額を依頼者が使用する依頼者端末2に向けて出力する。出力部22は、例えば、報酬額を依頼者端末2のディスプレイに表示させたり、依頼者端末2のスピーカーから流したりするように構成される。尚、図1に示した実施形態では、出力部22は、依頼者管理サーバ8の一機能部として実装されているが、本発明は本実施形態に限定されない。
【0075】
このような構成によれば、依頼者端末2に報酬額が出力されるので、依頼者は対象候補者に対する客観的な報酬額を知ることができる。
【0076】
図6は、本発明の一実施形態に係る報酬額試算方法のフローチャートである。
【0077】
本発明の一実施形態に係る報酬額試算方法は、図6に示すように、所定の依頼をする依頼者の依頼対象となる対象候補者の報酬額を試算するための報酬額試算方法であって、複数の候補者の各々の候補者属性であって、少なくとも1種類の属性を含む候補者属性を候補者毎に記憶する記憶ステップS1と、記憶ステップS1において記憶された複数の候補者属性に基づいて、対象候補者が有する候補者属性である対象候補者属性に応じた報酬額を試算する報酬額試算ステップS2と、を備える。
【0078】
また、幾つかの実施形態では、図6に示すように、記憶ステップS1は、さらに、複数の候補者の各々が過去に受けた依頼回数である被依頼回数を、候補者属性に対応付けて記憶している。報酬額試算方法は、図6に示すように、候補者属性と、該候補者属性を有する候補者の被依頼回数とを対応付けた複数のデータで構成される教師データを機械学習することにより作成された試算モデルに基づいて、対象候補者属性に対応する依頼回数の予測値を算出する依頼回数予測ステップS3を、さらに備える。報酬額試算ステップS2は、依頼回数予測ステップS3で算出した依頼回数の予測値に基づいて報酬額を試算する。
【0079】
以上、本発明の一実施形態に係る報酬額試算システムについて説明したが、本発明は上記の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない範囲での種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0080】
1 報酬額試算システム
2 依頼者端末
3 候補者端末
4 候補者管理サーバ
6 報酬額試算サーバ
8 依頼者管理サーバ
10 記憶部
12 報酬額試算部
14 依頼回数予測部
15 試算部
16 試算モデル作成部
18 関係数取得部
20 依頼記憶部
22 出力部
100 仲介システム
S1 記憶ステップ
S2 報酬額試算ステップ
S3 依頼回数予測ステップ
I インターネット
T 影響度
a 依頼回数の予測値
【要約】
【課題】依頼者が対象候補者に所定の依頼をする前などに、対象候補者に支払われる報酬額を試算するための報酬額試算システムを提供する。
【解決手段】所定の依頼をする依頼者の依頼対象となる対象候補者の報酬額を試算するための報酬額試算システムは、複数の候補者の各々の候補者属性であって、少なくとも1種類の属性を含む候補者属性を候補者毎に記憶する記憶部と、記憶部に記憶された複数の候補者属性に基づいて、対象候補者が有する候補者属性である対象候補者属性に応じた報酬額を試算する報酬額試算部と、を備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6