(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6487112
(24)【登録日】2019年3月1日
(45)【発行日】2019年3月20日
(54)【発明の名称】冷蔵庫圧縮機用の給油アセンブリ及び圧縮機
(51)【国際特許分類】
F04B 39/04 20060101AFI20190311BHJP
F04B 39/14 20060101ALI20190311BHJP
F25D 11/00 20060101ALI20190311BHJP
【FI】
F04B39/04 J
F04B39/14
F25D11/00 101B
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-509908(P2018-509908)
(86)(22)【出願日】2016年12月6日
(65)【公表番号】特表2018-533684(P2018-533684A)
(43)【公表日】2018年11月15日
(86)【国際出願番号】CN2016108731
(87)【国際公開番号】WO2018053943
(87)【国際公開日】20180329
【審査請求日】2018年2月16日
(31)【優先権主張番号】201610834753.1
(32)【優先日】2016年9月20日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518056542
【氏名又は名称】安徽美芝制冷設備有限公司
【氏名又は名称原語表記】ANHUI MEIZHI COMPRESSOR CO.,LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】512237419
【氏名又は名称】美的集団股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】MIDEA GROUP CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】孫祥
(72)【発明者】
【氏名】嚴志奇
(72)【発明者】
【氏名】孔徳軍
【審査官】
岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭54−146911(JP,U)
【文献】
実開昭59−157583(JP,U)
【文献】
実公昭49−008331(JP,Y1)
【文献】
実公昭46−008909(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 39/02,39/04
F04C 29/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に排油孔及び排気孔が設けられ、内部に圧縮機のクランクシャフトの回転軸線に対して偏心して設けられる油吸入通路が区画され、前記排油孔及び前記排気孔が前記油吸入通路にそれぞれ連通される給油ベーンと、
内部にチャンバーが区画され、前記チャンバーに連通される油吸入孔が設けられ、且つ排油接続孔及び排気接続孔が設けられ、前記給油ベーンが前記チャンバー内に取り付けられ、前記排油接続孔が前記排油孔に連通され、前記排気接続孔が前記排気孔に連通されるオイルポンプハウジングと、を備える、
ことを特徴とする冷蔵庫圧縮機用の給油アセンブリ。
【請求項2】
前記給油ベーンの両側にそれぞれ突部が設けられ、前記排油孔が前記給油ベーンの一方側の前記突部に設けられ、前記排気孔が前記給油ベーンの他方側の前記突部に設けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫圧縮機用の給油アセンブリ。
【請求項3】
前記給油ベーンの2つの前記突部は前記オイルポンプハウジングの径方向に沿って対向して設けられ、前記排油孔と前記排気孔とが同軸に設けられる、
ことを特徴とする請求項2に記載の冷蔵庫圧縮機用の給油アセンブリ。
【請求項4】
前記排油孔と前記排油接続孔とが同軸に設けられ、前記排気孔と前記排気接続孔とが同軸に設けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫圧縮機用の給油アセンブリ。
【請求項5】
前記油吸入通路は、鉛直方向に沿って設けられるとともに、前記圧縮機のクランクシャフトの回転軸線に対して偏心して設けられ、前記排油孔が前記給油ベーンの前記油吸入通路に近接する側に設けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫圧縮機用の給油アセンブリ。
【請求項6】
前記排油孔と前記油吸入通路との交差部と、前記クランクシャフトの回転軸線との間の距離がRであり、前記油吸入孔の半径がrであるとき、R及びrがR>rを満たす、
ことを特徴とする請求項5に記載の冷蔵庫圧縮機用の給油アセンブリ。
【請求項7】
前記排気孔と前記油吸入通路との交差部と、前記クランクシャフトの回転軸線との間の距離がR1であり、前記油吸入孔の半径がrであるとき、R1及びrがR1<rを満たす、
ことを特徴とする請求項5に記載の冷蔵庫圧縮機用の給油アセンブリ。
【請求項8】
前記排気孔の中心軸線と前記油吸入通路との交差部が前記クランクシャフトの回転軸線に位置する、
ことを特徴とする請求項7に記載の冷蔵庫圧縮機用の給油アセンブリ。
【請求項9】
前記給油ベーンの外周面が円弧面に形成される、
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の冷蔵庫圧縮機用の給油アセンブリ。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の冷蔵庫圧縮機用の給油アセンブリを備えることを特徴とする圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機の技術分野に関し、特に、冷蔵庫圧縮機用の給油アセンブリ及び当該給油アセンブリを備える圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
インバータ型冷蔵庫圧縮機の最大の特徴は、モータの回転数が可変であることであり、通常、回転数の範囲は1200〜4500rpm程度である。普通の定速圧縮機は回転数が一般的に2900rpm程度である。回転数が高ければ、冷蔵庫の冷凍性能が効果的に向上され、冷蔵庫内に保存された食品の冷却速度が向上され、冷蔵庫の急速冷凍機能や食物の鮮度の維持において、普通の定速圧縮機に比べその利点が明らかである。しかし、回転数が高くなるにつれ、圧縮機における多くの冷凍オイルが遠心オイルポンプによりポンピングされて(回転数が高いほど、オイルポンプのポンピング能力が高い)、シリンダへ流れ込むとともに冷蔵庫システムに排出される。冷凍オイルが多過ぎることにより冷蔵庫システムに油詰まりが生じ、システムダクトの熱交換効率が低下し、冷蔵庫の冷凍性能が低下してしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の冷蔵庫圧縮機のメーカーは、クランクシャフトのメインシャフトにおける排油孔の数を増加することで上述した問題を解決するのが通常であるが、この技術において、排油孔に対する機械加工の要求が非常に厳しく、設備の加工精度を向上する必要があり、また、加工位置決めなどに対しても要求が厳しい。
【0004】
本発明は、関連技術に存在する技術的問題をある程度解決することを目的とする。そのために、本発明は、構造が簡単であり、インバータ型圧縮機の回転数が高いときポンピングされるオイルが多過ぎるなどの問題を効果的に解決できるだけでなく、圧縮機に取り付けられることにより圧縮機のクランクシャフトの加工プロセスを簡素化できる冷蔵庫圧縮機用の給油アセンブリを提供する。
【0005】
本発明は、前記冷蔵庫圧縮機用の給油アセンブリを備える圧縮機をさらに提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の側面の実施例に係る冷蔵庫圧縮機用の給油アセンブリは、上部に排油孔及び排気孔が設けられ、内部に圧縮機のクランクシャフトの回転軸線に対して偏心して設けられる油吸入通路が区画され、前記排油孔及び前記排気孔が前記油吸入通路にそれぞれ連通される給油ベーンと、内部にチャンバーが区画され、前記チャンバーに連通される油吸入孔が設けられ、前記給油ベーンが前記チャンバー内に取り付けられ、排油接続孔及び排気接続孔が設けられ、前記排油接続孔が前記排油孔に連通され、前記排気接続孔が前記排気孔に連通されるオイルポンプハウジングと、を備える。
【0007】
本発明の実施例に係る冷蔵庫圧縮機用の給油アセンブリによれば、排気孔及び排油孔を給油ベーンに設けることにより、インバータ型圧縮機の回転数が高いときポンピングされるオイルが多過ぎるなどの問題を効果的に解決でき、且つ、従来技術においてクランクシャフトに加工されている排油孔及び排気孔を給油ベーンに集積させることにより、クランクシャフトの加工工程を減少でき、圧縮機のクランクシャフトの構造がより簡単になり、信頼性が向上する。また、給油ベーンの加工が簡単になり、専門の加工や組み立て用のツールを導入する必要がなくなり、経済性がより顕著になる。
【0008】
また、本発明の実施例に係る冷蔵庫圧縮機用の給油アセンブリは、以下のような付加的な技術特徴をさらに備えてもよい。
【0009】
本発明の一実施例によれば、前記給油ベーンの両側にそれぞれ突部が設けられ、前記排油孔が前記給油ベーンの一方側の前記突部に設けられ、前記排気孔が前記給油ベーンの他方側の前記突部に設けられる。
【0010】
選択的に、前記給油ベーンの2つの前記突部は前記オイルポンプハウジングの径方向に沿って対向して設けられ、前記排油孔と前記排気孔とが同軸に設けられる。
【0011】
本発明の一実施例によれば、前記排油孔と前記排油接続孔とが同軸に設けられ、前記排気孔と前記排気接続孔とが同軸に設けられる。
【0012】
本発明の一実施例によれば、前記油吸入通路は、鉛直方向に沿って設けられるとともに、前記圧縮機のクランクシャフトの回転軸線に対して偏心して設けられ、前記排油孔が前記給油ベーンの前記油吸入通路に近接する側に設けられる。
【0013】
選択的に、前記排油孔と前記油吸入通路との交差部と、前記クランクシャフトの回転軸線との間の距離がRであり、前記油吸入孔の半径がrであるとき、R及びrがR>rを満たす。
【0014】
選択的に、前記排気孔と前記油吸入通路との交差部と、前記クランクシャフトの回転軸線との間の距離がR1であり、前記油吸入孔の半径がrであるとき、R1及びrがR1<rを満たす。
【0015】
さらに、前記排気孔の中心軸線と前記油吸入通路との交差部が前記クランクシャフトの回転軸線に位置する。
【0016】
本発明の一実施例によれば、前記給油ベーンの外周面が円弧面に形成される。
【0017】
また、本発明は、上記実施例に係る冷蔵庫圧縮機用の給油アセンブリを備える圧縮機をさらに提供する。
【0018】
本発明の第2の側面の実施例に係る圧縮機は、本発明の上記実施例に係る冷蔵庫圧縮機用の給油アセンブリが上述した技術的効果を奏するので、本発明の実施例に係る圧縮機も上述した技術的効果を奏する。即ち、本発明の実施例に係る圧縮機は、インバータ型圧縮機の回転数が高いときポンピングされるオイルが多過ぎる問題を効果的に解決できるだけでなく、圧縮機の加工工程を減少できる。
【0019】
本発明の附加的側面やメリットの一部は以下の説明に記載され、一部は以下の説明から明らかであり、又は、本発明を実践することにより把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本発明の実施例に係る冷蔵庫圧縮機用の給油アセンブリの構造を示す概略図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施例に係る冷蔵庫圧縮機用の給油アセンブリの断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施例に係る冷蔵庫圧縮機用の給油アセンブリの平面図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施例に係る冷蔵庫圧縮機用の給油アセンブリの給油ベーンの構造を示す概略図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施例に係る冷蔵庫圧縮機用の給油アセンブリの給油ベーンの断面図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施例に係る冷蔵庫圧縮機用の給油アセンブリの給油ベーンの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施例に対して詳しく説明するが、前記実施例の例示は図面に示される。以下、図面を参照しながら説明する実施例は例示的なものであり、本発明を説明することに用いられ、本発明を限定するものと理解してはならない。
【0022】
本発明の説明において、「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚み」、「上」、「下」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」などの用語が示す方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づき、単に本発明を便利に又は簡単に説明するためのものであり、指定された装置又は部品が特定の方位にあり、特定の方位において構成され操作されることを指示又は暗示するものではないので、本発明を限定するものと理解してはならない。
【0023】
また、「第1」、「第2」という用語は目的を説明するためだけに用いられるものであり、相対的な重要性を指示又は暗示するか、或いは示された技術的特徴の数を黙示的に指示すると理解してはならない。よって、「第1」、「第2」が限定されている特徴は少なくとも一つの前記特徴を含むことを明示又は暗示するものである。本発明の説明において、明確且つ具体的な限定がない限り、「複数」とは、少なくとも2つ、例えば2つ、3つなどであることを意味する。
【0024】
本発明において、明確な規定と限定がない限り、「取り付ける」、「互いに接続する」、「接続する」、「固定する」などの用語の意味は広く理解されるべきである。例えば、固定接続や、着脱可能な接続や、あるいは一体的な接続でも可能である。机械的な接続や、電気的な接続や、あるいは互いに通信することも可能である。直接的に接続することや、中間媒体を介して間接的に接続することや、2つの部品の内部が連通することや、あるいは2つの部品の間に相互の作用関係があることも可能である。当業者は、具体的な場合に応じて上記用語の本発明における具体的な意味を理解することができる。
【0025】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施例に係る冷蔵庫圧縮機用の給油アセンブリ100を説明する。
【0026】
図1乃至
図3に示すように、本発明の実施例に係る冷蔵庫圧縮機用の給油アセンブリ100は、給油ベーン1及びオイルポンプハウジング2を備えてもよい。
【0027】
具体的に、給油ベーン1の上部に排油孔11及び排気孔12が設けられ、給油ベーン1の内部に圧縮機のクランクシャフト(図示せず)の回転軸線に対して偏心して設けられる油吸入通路13が区画され、排油孔11及び排気孔12が油吸入通路13にそれぞれ連通され、オイルポンプハウジング2の内部にチャンバー21が区画されるとともに、オイルポンプハウジング2に、チャンバー21に連通される油吸入孔22が設けられ、給油ベーン1がチャンバー21内に取り付けられ、オイルポンプハウジング2に排油接続孔23及び排気接続孔24が設けられ、排油接続孔23が排油孔11に連通され、排気接続孔24が排気孔12に連通される。
【0028】
図1に示すように、オイルポンプハウジング2の内部にチャンバー21が区画され、給油ベーン1がチャンバー21内に取り付けられ、オイルポンプハウジング2の下端に油吸入孔22が設けられ、油吸入孔22がチャンバー21に連通され、給油ベーン1の上部に油吸入通路13が設けられる。油吸入通路13は、圧縮機のクランクシャフトの軸方向に沿って延伸されるとともに、圧縮機のクランクシャフトの回転軸線に対して偏心して設けられる。即ち、油吸入通路13の中心軸線は圧縮機のクランクシャフトの回転軸線と同一の直線に位置しない。
【0029】
油吸入通路13はチャンバー21に連通される。即ち、油吸入通路13は油吸入孔22に連通される。給油ベーン1に排油孔11及び排気孔12がさらに設けられ、排気孔12及び排油孔11は油吸入通路13にそれぞれ連通される。オイルポンプハウジング2に排油接続孔23及び排気接続孔24が設けられ、排油接続孔23が排油孔11に連通され、排気接続孔24が排気孔12に連通される。このようにして、圧縮機が一定の回転数まで運転された場合、油吸入通路13を介してオイルを送り出すとともに、排油孔11、排油接続孔23を介して余分なポンピングされるオイルを排出する。圧縮機が起動するとき、排気孔12及び排気接続孔24を介して排気し、圧縮機の回転数が前記回転数よりも低い場合、給油アセンブリ100は油吸入通路13のみを介してオイルを送り出し、排油孔11及び排油接続孔23は排油しない。これによって、圧縮機内におけるポンピングされるオイルを確保でき、油詰まりを抑制して、圧縮機の使用性能を確保できる。
【0030】
本発明の実施例に係る冷蔵庫圧縮機用の給油アセンブリ100は、排気孔12及び排油孔11を給油ベーン1に設けることにより、インバータ型圧縮機の回転数が高いときポンピングされるオイルが多過ぎるなどの問題を効果的に解決できるだけではなく、従来技術においてクランクシャフトに加工されている排油孔11及び排気孔12を給油ベーン1に集積させることで、クランクシャフトの加工工程も減少でき、圧縮機のクランクシャフトの構造がより簡単になり、信頼性が向上するとともに、給油ベーン1の加工が簡単になり、且つ、専用の加工や組み立て用のツールを導入する必要がなくなり、経済性がより顕著になる。
【0031】
本発明の一実施例において、給油ベーン1の両側にそれぞれ突部14が設けられ、排油孔11が給油ベーン1の一方側の突部14に設けられ、排気孔12が給油ベーン1の他方側の突部14に設けられる。即ち、排油孔11及び排気孔12が給油ベーン1の両側にそれぞれ設けられる。排油孔11は油吸入通路13と給油ベーン1の外部とを連通し、排気孔12は油吸入通路13と給油ベーン1の外部とを連通する。これにより、排気孔12及び排油孔11の設置が便利になり、排油孔11による排油や、排気孔12による排気にも役立つ。
【0032】
具体的に、
図1、
図4及び
図5に示すように、給油ベーン1の本体はほぼ薄板状の構造に形成され、給油ベーン1の上部の両側にそれぞれ突部14が設けられ、突部14は本体と一体に成形される。油吸入通路13が給油ベーン1の上部に形成されるとともに、給油ベーン1の軸方向に沿って延伸される。排油孔11が給油ベーン1の一方側であって給油ベーン1の一方側の突部14に設けられ、排油孔11が油吸入通路13とオイルポンプハウジング2の排油接続孔23とを連通する。排気孔12が給油ベーン1の他方側の突部14に設けられ、油吸入通路13とオイルポンプハウジング2の排油接続孔23とを連通する。2つの突部14により、排油孔11及び排気孔12の設置が便利になり、給油ベーン1の構造が簡単になり、圧縮機のクランクシャフトを二次加工する必要がなくなり、圧縮機の生産プロセスが簡素化される。
【0033】
選択的に、給油ベーン1の2つの突部14はオイルポンプハウジング2の径方向に沿って対向して配置され、排油孔11と排気孔12とが同軸に設けられる。即ち、2つの突部14が給油ベーン1の両側にそれぞれ設けられるとともに、オイルポンプハウジング2のチャンバー21の径方向に沿って対向して配置される。
図4及び
図5に示すように、給油ベーン1の平面図から分かるように、給油ベーン1の本体及び2つの突部14の横断面の形状がほぼ十字状に形成されており、給油ベーン1がオイルポンプハウジング2のチャンバー21に取り付けられるとき、給油ベーン1とチャンバー21との組み立てが便利になり、給油ベーン1の構造の強度が強化される。また、排油孔11及び排気孔12は油吸入通路13と垂直であり、且つ排油孔11と排気孔12とは同軸に設けられることで、排油孔11及び排気孔12の加工製造がさらに便利になる。
【0034】
本発明の一実施例において、排油孔11と排油接続孔23とが同軸に設けられ、排気孔12と排気接続孔24とが同軸に設けられる。
図2及び
図5を併せて参照すると、排油孔11及び排気孔12が水平方向に設けられ、排油接続孔23と排油孔11とは位置が対応するとともに同軸に設けられ、排気接続孔24と排気孔12とは位置が対応するとともに同軸に設けられることで、排油接続孔23と排油孔11との連通、及び排気接続孔24と排気孔12との連通に役立つ。
【0035】
好ましくは、油吸入通路13は、鉛直方向に沿って設けられるとともに、圧縮機のクランクシャフトの回転軸線に対して偏心して設けられ、排油孔11が給油ベーン1の油吸入通路13に近接する一方側に設けられる。言い換えると、油吸入通路13は、圧縮機のクランクシャフトの回転軸線に対して偏心して設けられ、排油孔11が給油ベーン1の油吸入通路13が圧縮機クランクシャフトからずれる一方側に設けられる。即ち、油吸入通路13及び排油孔11は、圧縮機のクランクシャフトの回転軸線に対して偏心して給油ベーン1の一方側に設けられ、排気孔12は給油ベーン1の対向する他方側に設けられる。これによって、圧縮機の回転数が一定の回転数まで高まった場合、排油孔11を介して排油することができるとともに、排気孔12は排気するのみで、ポンピングされるオイルが排気孔12から排出されることがないように確保できる。
【0036】
本発明の一つの例示において、排油孔11と油吸入通路13との交差部と、クランクシャフトの回転軸線との間の距離がRであり、油吸入孔22の半径がrであるとき、R及びrがR>rを満たす。言い換えると、排油孔11の中心軸線と油吸入通路13との交差点と、クランクシャフトの回転軸線との間の距離が油吸入孔22の半径よりも大きい。これによって、圧縮機の回転数が一定の回転数に達した場合、ポンピングされるオイルが排油孔11を介して排油されて、油詰まりを防止できる。
【0037】
好ましくは、排気孔12と油吸入通路13との交差部と、クランクシャフトの回転軸線との間の距離がR1であり、油吸入孔22の半径がrであるとき、R1及びrがR1<rを満たす。言い換えると、排気孔12の中心軸線と油吸入通路13の内周壁との交差点からクランクシャフトの回転軸線までの水平距離が油吸入孔22の半径よりも小さい。これによって、油吸入通路13のポンピングされるオイルが排気孔12を介して排出されることを防止でき、圧縮機の安全性能を向上させることができる。
【0038】
さらに、排気孔12の中心軸線と油吸入通路13との交差部がクランクシャフトの回転軸線に位置する。即ち、油吸入通路13の内側壁がクランクシャフトの回転軸線を通過する。言い換えると、排気孔12と油吸入通路13との交差部と、クランクシャフトの回転軸線との間の距離がゼロである。これによって、油吸入通路13のポンピングされるオイルが排気孔12から排出されないことを確保でき、さらに圧縮機の使用性能を確保できる。
【0039】
本発明の一実施例において、給油ベーン1の外周面が円弧面に形成される。
図2及び
図6を併せて参照すると、オイルポンプハウジング2のチャンバー21が円柱状に形成され、給油ベーン1の外周面が円弧面に形成されることで、チャンバー21の内周面に結合することに好適であり、給油ベーン1及びオイルポンプハウジング2の組み立てが便利になる。選択的に、給油ベーン1はオイルポンプハウジング2のチャンバー21に締まりばめされることにより、給油ベーン1とオイルポンプハウジング2との組み立てが便利になる。給油ベーン1とオイルポンプハウジング2との組み立て手段としては、給油ベーン1及びオイルポンプハウジング2が他の形態で結合し接続されてもよい。例えば、給油ベーン1及びオイルポンプハウジング2は、隙間ばめ又は止まりばめを採用してもよく、また、他の構造や、組み立て装置により取り付けられてもよく、本発明はこれに対して限定しない。
【0040】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施例に係る冷蔵庫圧縮機用の給油アセンブリ100の具体的な一実施例を説明する。なお、以下の説明は単に例示的な説明であり、本発明の実施例に対して限定するものではない。
【0041】
図1乃至
図6を併せて参照すると、本発明の実施例に係る冷蔵庫圧縮機用の給油アセンブリ100は、給油ベーン1及びオイルポンプハウジング2を備える。給油ベーン1の下部が薄板状の構造に形成され、給油ベーン1の上部に油吸入通路13、排油孔11及び排気孔12が区画され、排油孔11及び排気孔12が油吸入通路13にそれぞれ連通され、油吸入通路13が圧縮機のクランクシャフトの軸方向に沿って延伸されるとともに、クランクシャフトの回転軸線からずれて設けられる。
【0042】
排油孔11及び排気孔12は、それぞれ吸気通路と垂直になるとともに、排油孔11と排気孔12とが同軸に設けられる。排油孔11及び排気孔12は給油ベーン1の対向する両側にそれぞれ設けられ、排油孔11は給油ベーン1の油吸入通路13がクランクシャフトの回転軸線からずれる一方側に設けられ、排気孔12は給油ベーン1の排油孔11に対向する他方側に設けられる。
【0043】
図6に示すように、油吸入通路13の横断面は多角形に形成され、多角形はほぼ長方形であって、長方形のクランクシャフトの回転軸の軸方向から離れる一辺が弧状に形成される。これによって、油吸入通路13のサイズを増大することができ、ポンピングされるオイルの流通に役立つ。なお、本発明の実施例の油吸入通路13は他の形状であってもよい。
【0044】
オイルポンプハウジング2の内部にチャンバー21が区画され、オイルポンプハウジング2の底壁の中央位置に、チャンバー21に連通する油吸入孔22が設けられ、オイルポンプハウジング2の側壁に排油接続孔23及び排気接続孔24が設けられ、給油ベーン1がチャンバー21内に取り付けられる。油吸入通路13が油吸入孔22に連通され、排油接続孔23が排油孔11と連通されるとともに同軸に設けられ、排気接続孔24が排気孔12と連通されるとともに同軸に設けられる。これによって、排油孔11及び排油接続孔23により余分なポンピングされるオイルを排出でき、排気接続孔24及び排気孔12により排気できて、油詰まりが抑制され、圧縮機の使用性能が向上する。
【0045】
好ましくは、排油孔11の中心軸線と近接する油吸入通路13の側壁との交差点と、クランクシャフトの回転軸線との間の距離Rが油吸入孔22の半径rよりも大きい。これによって、圧縮機の回転数が一定の回転数に達した場合、排油孔11による排油を確保できる。排気孔12の中心軸線と近接する油吸入通路13の側壁との交差点と、クランクシャフトの回転軸線との間の距離R1が油吸入孔22の半径rよりも小さい。これによって、ポンピングされるオイルが排気孔12から流れ出ることを防止できる。
【0046】
さらに、排気孔12の中心軸線と近接する油吸入通路13の側壁との交差点がクランクシャフトの回転軸線に位置する。即ち、排気孔12の中心軸線と近接する油吸入通路13の側壁との交差点と、クランクシャフトの回転軸線との間の距離がゼロである。これによって、ポンピングされるオイルが排気孔12から流れ出ることをさらに防止できる。
【0047】
図6に示すように、給油ベーン1の外周面が円弧面に形成され、給油ベーン1がチャンバー21内に取り付けられ、給油ベーン1の外周面がチャンバー21の内周面に結合することに好適であるので、給油ベーン1の組み立てに役立つ。
【0048】
これにより、本発明の実施例に係る冷蔵庫圧縮機用の給油アセンブリ100は、従来技術においてクランクシャフトに形成されている排気孔12及び排油孔11を給油ベーン1に集積させることで、インバータ型圧縮機の回転数が高いときポンピングされるオイルが多過ぎる問題を効果的に解決できるとともに、クランクシャフトに対して加工を複数回実施する必要がなくなり、クランクシャフトの加工工程を減少することができる。
【0049】
また、本発明は、上述の実施例に係る冷蔵庫圧縮機用の給油アセンブリ100を備える圧縮機をさらに提供する。
【0050】
本発明の上述の実施例に係る冷蔵庫圧縮機用の給油アセンブリ100が上述の技術的効果を有するので、本発明の実施例に係る圧縮機も上述の技術的効果を有する。即ち、本発明の実施例に係る圧縮機は、インバータ型圧縮機の回転数が高いときポンピングされるオイルが多過ぎる問題を効果的に解決でき、圧縮機の加工工程を減少することができる。
【0051】
本発明の実施例に係る圧縮機の他の構造及び操作は当業者にとって周知なものであるので、ここで詳しく説明しない。
【0052】
本発明において、明確な規定と限定がない限り、第一特徴が第二特徴の「上」又は「下」にあることは、第一特徴と第二特徴とが直接的に接触することを含んでも良いし、第一特徴と第二特徴とが中間媒体を介して間接的に接触することを含んでもよい。また、第一特徴が第二特徴の「上」、「上方」又は「上面」にあることは、第一特徴が第二特徴の真上及び斜め上にあることを含むか、或いは、単に第一特徴の水平高さが第二特徴より高いことだけを表す。第一特徴が第二特徴の「下」、「下方」又は「下面」にあることは、第一特徴が第二特徴の真下及び斜め下にあることを含むか、或いは、単に第一特徴の水平高さが第二特徴より低いことだけを表す。
【0053】
本発明の説明において、「一つの実施形態」、「一実施例」、「例示」、「具体的な例示」、或いは「一つの例示」などの用語を参考した説明は、該実施例或いは例示を結び付けて説明した具体的な特徴、構成、材料或いは特性が、本発明の少なくとも一つの実施例或いは例示に含まれることを意味する。本明細書において、上記用語に対する例示的な描写は、必ずしも同じ実施例或いは例示を示すことではない。又、説明された具体的な特徴、構成、材料或いは特性は、いずれか一つ或いは複数の実施例又は例示において適切に組み合わせることができる。また、相互に矛盾しない場合において、当業者は本明細書に記載された異なる実施例又は例示、及び異なる実施例又は例示の特徴を結合する及び組み合わせることができる。
【0054】
本発明の実施例を示して説明したが、上記の実施例は例示的なものであり、本発明を限定するものと理解してはならない。当業者は、本発明の範囲内において、これらの実施例に対して変更、修正、置換及び変形を行うことができる。
【符号の説明】
【0055】
100:冷蔵庫圧縮機用の給油アセンブリ
1:給油ベーン
11:排油孔
12:排気孔
13:油吸入通路
14:突部
2:オイルポンプハウジング
21:チャンバー
22:油吸入孔
23:排油接続孔
24:排気接続孔