特許第6487119号(P6487119)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 新電元工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6487119-電力変換装置 図000002
  • 特許6487119-電力変換装置 図000003
  • 特許6487119-電力変換装置 図000004
  • 特許6487119-電力変換装置 図000005
  • 特許6487119-電力変換装置 図000006
  • 特許6487119-電力変換装置 図000007
  • 特許6487119-電力変換装置 図000008
  • 特許6487119-電力変換装置 図000009
  • 特許6487119-電力変換装置 図000010
  • 特許6487119-電力変換装置 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6487119
(24)【登録日】2019年3月1日
(45)【発行日】2019年3月20日
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20190311BHJP
【FI】
   H02M7/48 Z
【請求項の数】15
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-520213(P2018-520213)
(86)(22)【出願日】2017年7月31日
(86)【国際出願番号】JP2017027780
【審査請求日】2018年4月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(72)【発明者】
【氏名】市川 正人
【審査官】 柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−78357(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/147292(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧を電力変換した出力電圧を出力する電力変換装置であって、
第1面および前記第1面の反対側の第2面を有する収納ケースと、
前記収納ケース内に配置され、前記収納ケースの前記第1面に対向する第3面および前記第3面の反対側の第4面を有する配線基板と、
前記収納ケースの前記第1面上の第1領域に配置され、前記配線基板に電気的に接続され、前記入力電圧を整流して出力する整流モジュールと、
前記収納ケースの前記第1面上の第2領域に前記整流モジュールに隣接して配置され、前記配線基板に電気的に接続され、前記整流モジュールが整流した電圧を変換して出力するHブリッジモジュールと、
前記収納ケースの前記第1面上の第3領域に前記Hブリッジモジュールに隣接して配置され、前記配線基板に電気的に接続され、Hブリッジモジュールが出力した電圧を調整して出力するリアクタと、
前記配線基板の前記第4面上に配置され、前記整流モジュール及びHブリッジモジュールの動作を制御する制御部と、
前記配線基板の前記第4面上に配置され、前記配線基板の配線を介して前記整流モジュールの出力に接続され、前記整流モジュールが出力した電圧を平滑化する平滑化キャパシタと、
前記配線基板の前記第4面上に配置され、前記配線基板の配線を介して前記リアクタを含むLCフィルタの出力に接続され、前記LCフィルタが出力した電圧をフィルタリングして出力するノイズフィルタと、
前記収納ケースの前記第1面上で、前記整流モジュール、Hブリッジモジュール、及び、リアクタを封止するとともに、前記配線基板、及び、前記配線基板の前記第4面上の、前記制御部、平滑化キャパシタ、並びに、ノイズフィルタを封止する、第1の封止部材と、を備える
ことを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記整流モジュールは、前記第1の封止部材とは異なる第2の封止部材を有し、前記整流モジュールの回路部分は、前記第2の封止部材で封止され、
前記Hブリッジモジュールは、前記第1の封止部材とは異なる第3の封止部材を有し、前記Hブリッジモジュールの回路部分は、前記第3の封止部材で封止されている
ていることを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記整流モジュールと前記Hブリッジモジュールとが隣接する第1の方向は、前記収納ケースの前記第1面上において、前記Hブリッジモジュールと前記リアクタとが隣接する第2の方向と、異なり、
前記平滑化キャパシタは、前記整流モジュールに隣接し且つ前記リアクタと反対側で前記Hブリッジモジュールと前記第2の方向に隣接する領域の上方に、位置するように、前記配線基板の前記第4面上に配置されている
ことを特徴とする請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記配線基板の前記第4面上に配置され、前記配線基板の配線を介して前記整流モジュールの入力に接続され、前記第1の封止部材により前記配線基板との接続部分が封止され、前記入力電圧が供給される入力端子をさらに備える
ことを特徴とする請求項3に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記配線基板の前記第4面上に配置され、前記配線基板に接続され、前記第1の封止部材により前記配線基板との接続部分が封止され、前記ノイズフィルタから供給された電圧を前記出力電圧として出力する出力端子をさらに備える
ことを特徴とする請求項4に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記収納ケースの前記第1面上に配置された、前記整流モジュール、Hブリッジモジュール、及び、リアクタの動作時の単位時間当たりの発熱量は、前記配線基板の前記第4面上に配置された平滑化キャパシタ、及び、ノイズフィルタの動作時の単位時間当たりの発熱量よりも、大きい
ことを特徴とする請求項3に記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記Hブリッジモジュールの動作時の単位時間当たりの発熱量が前記整流モジュールの動作時の単位時間当たりの発熱量よりも、大きい
ことを特徴とする請求項6に記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記リアクタの動作時の単位時間当たりの発熱量は、前記整流モジュール及び前記Hブリッジモジュールの動作時の単位時間当たりの発熱量よりも、小さいことを特徴とする請求項7に記載の電力変換装置。
【請求項9】
前記整流モジュールが配置される前記第1面の前記第1領域は、前記収納ケースの前記第1面に凹むように形成された第1凹部であり、前記第1凹部の前記第2面側は、前記収納ケースの前記第2面から突出している
ことを特徴とする請求項3に記載の電力変換装置。
【請求項10】
前記Hブリッジモジュールが配置される前記第1面の前記第2領域は、前記収納ケースの前記第1面に凹むように形成された第2凹部であり、前記第2凹部の前記第2面側は、前記収納ケースの前記第2面から突出している
ことを特徴とする請求項9に記載の電力変換装置。
【請求項11】
前記リアクタが配置される前記第1面の前記第3領域は、前記収納ケースの前記第1面に凹むように形成された第3凹部であり、前記第3凹部の前記第2面側は、前記収納ケースの前記第2面から突出している
ことを特徴とする請求項10に記載の電力変換装置。
【請求項12】
前記収納ケースの前記第2面上に配置された放熱フィンをさらに備えることを特徴とする請求項11に記載の電力変換装置。
【請求項13】
前記放熱フィンは、前記第2面上において、前記第1面の前記整流モジュールが配置された前記第1領域から前記Hブリッジモジュールが配置された前記第2領域に亘る領域に対して、前記収納ケースを介して連続して対向するように、延在している
ことを特徴とする請求項12に記載の電力変換装置。
【請求項14】
前記放熱フィンは、前記第1面上で前記第1領域と前記第2領域とが隣接する第1の方向に平行な方向に延在するように、前記第2面上に設けられていることを特徴とする請求項13に記載の電力変換装置。
【請求項15】
前記放熱フィンは、外部から供給された気流により冷却されることで、少なくとも前記整流モジュール及びHブリッジモジュールが発する熱を外部に放出するように構成されるとともに、
前記放熱フィンにより誘導される気流の少なくとも一部が、前記リアクタが配置される前記第3凹部の前記第2面側を避けるように配置されている
ことを特徴とする請求項14に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯型発電機等に用いられる発電機には、エンジンの駆動によりオルタネータに交流電圧を発生させ、発生した交流電圧を整流回路による整流および電解コンデンサによる平滑化によって直流電圧に変換し、変換された直流電圧をインバータで交流電圧に変換するものがある(例えば、特開2003‐102200号公報参照)。
【0003】
さらに、上記従来の発電機においては、インバータで変換される交流電圧のノイズのレベルに応じて、インバータの出力側にノイズを低減するためのノイズフィルタが接続されている。
【0004】
このような発電機において、電子部品を収納ケース内に収納された状態で樹脂封止して電力変換装置が構成されている。
【0005】
そして、このような電力変換装置には、熱設計のマージンを考慮して各電子部品(モジュール)に流れる電流のアンバランスを抑制することで、小型化及び低コスト化を図るものがある(例えば、特開2017‐17911号公報参照)。
【0006】
しかしながら、従来の電力変換装置では、大電流が流れて発熱量が大きい整流回路や電力を変換するHブリッジ回路の電流経路と、発熱量が小さい平滑化キャパシタ、ノイズフィルタや制御部の電流経路との関係について十分に検討されていない。
【0007】
そして、例えば、従来の電力変換装置では、交流電圧を整流する整流回路と電力を変換するHブリッジ回路とが封止された1つのモジュールとして構成されているものがある。
【0008】
このような従来の電力変換装置では、当該モジュールから入力電圧(交流電圧)を整流した電圧が当該モジュールの外部の平滑化キャパシタに出力され、この平滑化キャパシタにより平滑化された直流電圧が当該モジュールの電圧を変換する電子部品に入力される。その後、当該モジュールにより変換された交流電圧が、リアクタ及びノイズフィルタを経由して、電力変換装置の出力電圧として出力されることになる。
【0009】
このように、上記従来の電力変換装置では、当該1つのモジュールから電圧を入出力する電流経路が複数存在するため、この1つのモジュールの複数の電流経路に基づいて熱設計のマージンを検討する必要がある。すなわち、従来の電力変換装置では、熱設計のマージンを考慮して当該電力変換装置のサイズを適切に縮小できない問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明では、熱設計のマージンを考慮して電流経路を最適化しつつ、サイズの縮小を図ることが可能な電力変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様に係る実施形態に従った電力変換装置は、
入力電圧を電力変換した出力電圧を出力する電力変換装置であって、
第1面および前記第1面の反対側の第2面を有する収納ケースと、
前記収納ケース内に配置され、前記収納ケースの前記第1面に対向する第3面および前記第3面の反対側の第4面を有する配線基板と、
前記収納ケースの前記第1面上の第1領域に配置され、前記配線基板に電気的に接続され、前記入力電圧を整流して出力する整流モジュールYと、
前記収納ケースの前記第1面上の第2領域に前記整流モジュールに隣接して配置され、前記配線基板に電気的に接続され、前記整流モジュールが整流した電圧を変換して出力するHブリッジモジュールと、
前記収納ケースの前記第1面上の第3領域に前記Hブリッジモジュールに隣接して配置され、前記配線基板に電気的に接続され、Hブリッジモジュールが出力した電圧を調整して出力するリアクタと、
前記配線基板の前記第4面上に配置され、前記整流モジュール及びHブリッジモジュールの動作を制御する制御部と、
前記配線基板の前記第4面上に配置され、前記配線基板の配線を介して前記整流モジュールの出力に接続され、前記整流モジュールが出力した電圧を平滑化する平滑化キャパシタと、
前記配線基板の前記第4面上に配置され、前記配線基板の配線を介して前記リアクタを含むLCフィルタの出力に接続され、前記LCフィルタが出力した電圧をフィルタリングして出力するノイズフィルタと、
前記収納ケースの前記第1面上で、前記整流モジュール、Hブリッジモジュール、及び、リアクタを封止するとともに、前記配線基板、及び、前記配線基板の前記第4面上の、前記制御部、平滑化キャパシタ、並びに、ノイズフィルタを封止する、第1の封止部材と、を備える
ことを特徴とする。
【0012】
前記電力変換装置において、
前記整流モジュールは、前記第1の封止部材とは異なる第2の封止部材を有し、前記整流モジュールの回路部分は、前記第2の封止部材で封止され、
前記Hブリッジモジュールは、前記第1の封止部材とは異なる第3の封止部材を有し、前記Hブリッジモジュールの回路部分は、前記第3の封止部材で封止されている
ていることを特徴とする。
【0013】
前記電力変換装置において、
前記整流モジュールと前記Hブリッジモジュールとが隣接する第1の方向は、前記収納ケースの前記第1面上において、前記Hブリッジモジュールと前記リアクタとが隣接する第2の方向と、異なり、
前記平滑化キャパシタは、前記整流モジュールに隣接し且つ前記リアクタと反対側で前記Hブリッジモジュールと前記第2の方向に隣接する領域の上方に、位置するように、前記配線基板の前記第4面上に配置されている
ことを特徴とする。
【0014】
前記電力変換装置において、
前記配線基板の前記第4面上に配置され、前記配線基板の配線を介して前記整流モジュールの入力に接続され、前記第1の封止部材により前記配線基板との接続部分が封止され、前記入力電圧が供給される入力端子をさらに備える
ことを特徴とする。
【0015】
前記電力変換装置において、
前記配線基板の前記第4面上に配置され、前記配線基板に接続され、前記第1の封止部材により前記配線基板との接続部分が封止され、前記ノイズフィルタから供給された電圧を前記出力電圧として出力する出力端子をさらに備える
ことを特徴とする。
【0016】
前記電力変換装置において、
前記収納ケースの前記第1面上に配置された、前記整流モジュール、Hブリッジモジュール、及び、リアクタの動作時の単位時間当たりの発熱量は、前記配線基板の前記第4面上に配置された平滑化キャパシタ、及び、ノイズフィルタの動作時の単位時間当たりの発熱量よりも、大きい
ことを特徴とする。
【0017】
前記電力変換装置において、
前記Hブリッジモジュールの動作時の単位時間当たりの発熱量が前記整流モジュールの動作時の単位時間当たりの発熱量よりも、大きい
ことを特徴とする。
【0018】
前記電力変換装置において、
前記リアクタの動作時の単位時間当たりの発熱量は、前記整流モジュール及び前記Hブリッジモジュールの動作時の単位時間当たりの発熱量よりも、小さいことを特徴とする。
【0019】
前記電力変換装置において、
前記整流モジュールが配置される前記第1面の前記第1領域は、前記収納ケースの前記第1面に凹むように形成された第1凹部であり、前記第1凹部の前記第2面側は、前記収納ケースの前記第2面から突出している
ことを特徴とする。
【0020】
前記電力変換装置において、
前記Hブリッジモジュールが配置される前記第1面の前記第2領域は、前記収納ケースの前記第1面に凹むように形成された第2凹部であり、前記第2凹部の前記第2面側は、前記収納ケースの前記第2面から突出している
ことを特徴とする。
【0021】
前記電力変換装置において、
前記リアクタが配置される前記第1面の前記第3領域は、前記収納ケースの前記第1面に凹むように形成された第3凹部であり、前記第3凹部の前記第2面側は、前記収納ケースの前記第2面から突出している
ことを特徴とする。
【0022】
前記電力変換装置において、
前記収納ケースの前記第2面上に配置された放熱フィンをさらに備えることを特徴とする。
【0023】
前記電力変換装置において、
前記放熱フィンは、前記第2面上において、前記第1面の前記整流モジュールが配置された前記第1領域から前記Hブリッジモジュールが配置された前記第2領域に亘る領域に対して、前記収納ケースを介して連続して対向するように、延在している
ことを特徴とする。
【0024】
前記電力変換装置において、
前記放熱フィンは、前記第1面上で前記第1領域と前記第2領域とが隣接する第1の方向に平行な方向に延在するように、前記第2面上に設けられていることを特徴とする。
【0025】
前記電力変換装置において、
前記放熱フィンは、外部から供給された気流により冷却されることで、少なくとも前記整流モジュール及びHブリッジモジュールが発する熱を外部に放出するように構成されるとともに、
前記放熱フィンにより誘導される気流の少なくとも一部が、前記リアクタが配置される前記第3凹部の前記第2面側を避けるように配置されている
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明の一態様に係る電力変換装置は、入力電圧を電力変換した出力電圧を出力する電力変換装置であって、第1面および前記第1面の反対側の第2面を有する収納ケースと、前記収納ケース内に配置され、前記収納ケースの前記第1面に対向する第3面および前記第3面の反対側の第4面を有する配線基板と、前記収納ケースの前記第1面上の第1領域に配置され、前記配線基板に電気的に接続され、前記入力電圧を整流して出力する整流モジュールYと、前記収納ケースの前記第1面上の第2領域に前記整流モジュールに隣接して配置され、前記配線基板に電気的に接続され、前記整流モジュールが整流した電圧を変換して出力するHブリッジモジュールと、前記収納ケースの前記第1面上の第3領域に前記Hブリッジモジュールに隣接して配置され、前記配線基板に電気的に接続され、Hブリッジモジュールが出力した電圧を調整して出力するリアクタと、前記配線基板の前記第4面上に配置され、前記整流モジュール及びHブリッジモジュールの動作を制御する制御部と、前記配線基板の前記第4面上に配置され、前記配線基板の配線を介して前記整流モジュールの出力に接続され、前記整流モジュールが出力した電圧を平滑化する平滑化キャパシタと、前記配線基板の前記第4面上に配置され、前記配線基板の配線を介して前記リアクタの出力に接続され、前記リアクタが出力した電圧をフィルタリングして出力するノイズフィルタと、前記収納ケースの前記第1面上で、前記整流モジュール、Hブリッジモジュール、及び、リアクタを封止するとともに、前記配線基板、及び、前記配線基板の前記第4面上の、前記制御部、平滑化キャパシタ、並びに、ノイズフィルタを封止する、第1の封止部材と、を備える。
【0027】
これにより、発熱量が大きい整流モジュール、Hブリッジモジュール、及び、リアクタを放熱性が高い収納ケースHの第1面上に配置するとともに、発熱量が小さいされた平滑化キャパシタ、及び、ノイズフィルタや熱の影響を低減すべき制御部を配線基板の第4面上に配置することで、放熱性及び制御性を向上しつつ、各部品の配置を最適化することができる。
【0028】
すなわち、本発明の一態様に係る電力変換装置は、熱設計のマージンを考慮して電流経路を最適化しつつ、サイズの縮小を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、第1の実施形態に係る電力変換装置100が適用される発電システム1000の構成の一例を示す図である。
図2図2は、図1に示第1の実施形態に係る電力変換装置100の主要な構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、図2に示す電力変換装置100の外観の構成の一例を示す上面図である。
図4図4は、図3に示す電力変換装置100の構成の一例を示す断面図である。
図5図5は、図3に示す電力変換装置100の収納ケースHの下面図である。
図6図6は、図5に示す収納ケースHの側面図である。
図7図7は、図5に示す収納ケースHの斜視図である。
図8図8は、図7に示す収納ケースHに、第1ないし第3の電子部品Y、M、Rを搭載した、封止前の状態の一例を示す斜視図である。
図9図9は、図7に示す収納ケースHに、第1ないし第3の電子部品Y、M、Rを搭載した、樹脂封止前の状態の一例を示す上面図である。
図10図10は、図3図4に示す配線基板10の一例を示す上面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明に係る実施形態について図面に基づいて説明する。
【第1の実施形態】
【0031】
図1は、第1の実施形態に係る電力変換装置100が適用される発電システム1000の構成の一例を示す図である。また、図2は、図1に示第1の実施形態に係る電力変換装置100の主要な構成の一例を示すブロック図である。また、図3は、図2に示す電力変換装置100の外観の構成の一例を示す上面図である。また、図4は、図3に示す電力変換装置100の構成の一例を示す断面図である。また、図5は、図3に示す電力変換装置100の収納ケースHの下面図である。また、図6は、図5に示す収納ケースHの側面図である。また、図7は、図5に示す収納ケースHの斜視図である。また、図8は、図7に示す収納ケースHに、第1ないし第3の電子部品Y、M、Rを搭載した、封止前の状態の一例を示す斜視図である。また、図9は、図7に示す収納ケースHに、第1ないし第3の電子部品Y、M、Rを搭載した、樹脂封止前の状態の一例を示す上面図である。また、図10は、図3図4に示す配線基板10の一例を示す上面図である。
【0032】
なお、図2においては、簡単のため、電力変換装置100が入力電圧VINを出力端子TOUTに電力変換するために必要な構成を示し、その他の構成については省略している。また、図3においては、電力変換装置100の各電子部品及び配線基板10が第1の封止部材11により封止された状態を示している。また、図4においては、第4の電子部品Wを通る第2の方向D2に平行な直線に沿った電力変換装置100の断面を示している。
【0033】
発電システム1000は、例えば、図1に示すように、エンジンEと、エンジンEに接続されたオルタネータ(図示せず)により駆動するファンXと、該オルタネータが出力した交流電圧(入力電圧VIN)を電力変換した交流電圧(出力電圧VOUT)を出力する電力変換装置100とを備える。
【0034】
この発電システム1000において、ファンXが駆動することにより、外部から冷却風である気流Aが発電システム1000の内部に流れ込み、電力変換装置100及びエンジンEの周囲に誘導される。これにより、電力変換装置100及びエンジンEが冷却風である気流Aにより冷却され、電力変換装置100及びエンジンEが発した熱が気流Bとともに外部に放出されることとなる。
【0035】
このような電力変換装置100は、例えば、図2図3に示すように、収納ケースHと、放熱フィンZと、第1の封止部材11と、配線基板10と、入力端子TINと、出力端子TOUTと、第1の電子部品(整流モジュール)Yと、第2の電子部品(Hブリッジモジュール)Mと、LCフィルタ(第3の電子部品(リアクタ)R、キャパシタCF1)LCと、平滑化キャパシタCと、ノイズフィルタFと、制御部CONと、を備える。
【0036】
なお、ノイズフィルタFには、キャパシタC2Fと、第4の電子部品Wと、が含まれる。
【0037】
そして、例えば、図4ないし図9に示すように、収納ケースHは、当該収納ケースHの内面(電子部品搭載面)である第1面(上面)A1および第1面A1の反対側の第2面A2(下面、外面)を有する。
【0038】
この収納ケースHと放熱フィンZとは、例えば、アルミニウムにより構成されており、一体成型されている。
【0039】
また、第1の電子部品Yは、例えば、図8図9に示すように、収納ケースHの第1面A1上の第1領域S1に配置されている。この第1の電子部品Yは、動作することにより発熱する第1の発熱源である。
【0040】
この第1の電子部品Yは、例えば、図2に示すように、配線基板10に電気的に接続され、制御部CONにより制御され、入力電圧(交流電圧)VINを整流して出力する整流回路(整流モジュール)である。
【0041】
この第1の電子部品Yは、第1の封止部材11とは異なる第2の封止部材(封止樹脂)によりモールドされている。すなわち、整流モジュールYは、第1の封止部材11とは異なる第2の封止部材を有し、整流モジュールYの回路部分は当該第2の封止部材で封止されている。
【0042】
そして、この第1の電子部品Yは、例えば、図8図9に示すように、入力電圧VIN、整流電圧、又は制御信号を入出力するための複数の端子YTを備える。これらの端子YTは、配線基板10の電極10Yにはんだ材等により電気的に接続されている(図3図10)。
【0043】
このように、第1の電子部品(整流モジュール)Yは、配線基板10に電気的に接続されている。特に、この整流モジュールYの入力(入力用の端子YT、電極10Y)は、配線基板10の配線10Yaを介して、入力端子TINに接続され、整流モジュールYの出力(出力用の端子YT、電極10Y)は、配線基板10の配線10Caを介して、平滑化キャパシタCに接続されている(図3)。
【0044】
ここで、例えば、図7ないし図9に示すように、第1の電子部品Yが配置される第1面A1の第1領域S1は、収納ケースHの第1面A1に凹むように形成された第1凹部S1bである。そして、この第1凹部S1bの第2面A2側は、収納ケースHの第2面A2から突出している凸部S1aである(図5)。
【0045】
また、第2の電子部品Mは、例えば、図8図9に示すように、収納ケースHの第1面A1上の第2領域S2に、第1の電子部品Yに第1の方向D1に隣接して配置されている。この第2の電子部品Mは、動作することにより発熱する第2の発熱源である。
【0046】
この第2の電子部品Mは、例えば、図2に示すように、配線基板10に電気的に接続され、制御部CONにより制御され、整流回路(第1の電子部品)Yが整流した電圧を変換して出力するHブリッジモジュール(Hブリッジ回路)である。
【0047】
この第2の電子部品Mは、第1の封止部材11とは異なる第3の封止部材(封止樹脂)によりモールドされている。すなわち、HブリッジモジュールMは、第1の封止部材11とは異なる第3の封止部材を有し、HブリッジモジュールMの回路部分は当該第3の封止部材で封止されている。
【0048】
そして、この第2の電子部品Mは、例えば、図8図9に示すように、整流電圧、交流電圧、又は制御信号を入出力するための複数の端子MTを備える。これらの端子MTは、配線基板10の電極10Mにはんだ材等により電気的に接続されている(図3図10)。
【0049】
このように、第2の電子部品(Hブリッジモジュール)Mは、配線基板10に電気的に接続されている。特に、このHブリッジモジュールMの入力(入力用の端子MT、電極10M)は、配線基板10の配線10Ca、10Cbを介して、整流モジュールYの出力(出力用の端子MT、電極10Y)に接続され、HブリッジモジュールMの出力(出力用の端子MT、電極10M)は、配線基板10の配線10Raを介して、リアクタRの入力(入力用の端子MT、電極10Y)に接続されている(図3)。
【0050】
なお、この第2の電子部品(Hブリッジモジュール)Mの動作時の単位時間当たりの発熱量が、第1の電子部品(整流モジュール)Yの動作時の単位時間当たりの発熱量よりも、大きくなっている。
【0051】
ここで、例えば、図7ないし図9に示すように、第2の電子部品Mが配置される第1面A1の第2領域S2は、収納ケースHの第1面A1に凹むように形成された第2凹部S2bである。そして、この第2凹部S2bの第2面A2側は、収納ケースHの第2面A2から突出している凸部S2aである(図5)。
【0052】
また、第3の電子部品Rは、例えば、図8図9に示すように、収納ケースHの第1面A1上の第3領域S3に、第2の方向Dに第2の電子部品(Hブリッジモジュール)Mと隣接するように配置されている。この第3の電子部品Rは、動作することにより発熱する第3の発熱源である。
【0053】
この第3の電子部品Rは、例えば、図2に示すように、配線基板10に電気的に接続され、HブリッジモジュールMが出力した電圧を調整して(高周波成分を除去して)出力するリアクタである。
【0054】
この第3の電子部品Rは、例えば、図8図9に示すように、HブリッジモジュールMが出力した電圧が入力され、調整した電圧を出力するための複数の端子RTを備える。これらの端子RTは、配線基板10の電極10Yにはんだ材等により電気的に接続されている(図3図10)。
【0055】
このように、第3の電子部品(リアクタ)Rは、配線基板10に電気的に接続されている。特に、このリアクタRの入力(入力用の端子RT、電極10R)は、配線基板10の配線10Raを介して、HブリッジモジュールMの出力に接続され、リアクタRの出力(出力用の端子RT、電極10R)は、配線基板10の配線10Rbと配線基板10の第4面A4上に配置されたキャパシタC1Fを介して、ノイズフィルタFの入力に接続されている(図3)。
【0056】
なお、この第3の電子部品(リアクタ)Rの動作時の単位時間当たりの発熱量は、第1の電子部品(整流モジュール)Y及び第2の電子部品(Hブリッジモジュール)Mの動作時の単位時間当たりの発熱量よりも、小さくなっている。
【0057】
ここで、例えば、図7ないし図9に示すように、第3の電子部品Rが配置される第1面A1の第3領域S3は、収納ケースHの第1面A1に凹むように形成された第3凹部S3bである。そして、この第3凹部S3bの第2面A2側は、収納ケースHの第2面A2から突出している凸部S3aである(図5)。
【0058】
また、第4の電子部品Wは、例えば、図4図8図9に示すように、収納ケースHの第1面A1上の第4領域S4に、第3の電子部品Rと隣接するように配置されている。この第4の電子部品Rは、ノイズフィルタFを構成する巻線である。
【0059】
ここで、例えば、図7ないし図9に示すように、第4の電子部品Rが配置される第1面A1の第4領域S4は、収納ケースHの第1面A1に凹むように形成された第4凹部S4bである。そして、この第4凹部S4bの第2面A2側は、収納ケースHの第2面A2から突出している凸部S4aである(図5)。
【0060】
このように、第1ないし第4の電子部品Y、M、R、Wは、収納ケースHの略矩形の第1面(内面)A1の外周に沿って(すなわち、電流が流れる電流経路に沿って)配置されている。
【0061】
これにより、収納ケースHが第1ないし第4の電子部品Y、M、R、Wを収納するためスペースを縮小して、電力変換装置100のサイズの縮小を図ることができる。
【0062】
また、配線基板10は、例えば、図3図4に示すように、収納ケースH内に配置されている。この配線基板10は、収納ケースHの第1面A1に対向する第3面A3(下面)および第3面A3の反対側の第4面A4(上面)を有する。
【0063】
そして、この配線基板10は、複数の配線10Ya、10Ca、10Cb、10Ra、10Rb、10Fa、10a、10bと、複数の電極10Y、10M、10R、10Fと、を備える。
【0064】
また、入力端子TINは、例えば、図3図10に示すように、配線基板10の第4面A4上に配置されている。この入力端子TINは、配線基板10の配線を介して整流モジュール(第1の電子部品Y)の入力に接続されている。
【0065】
この入力端子TINは、第1の封止部材11により配線基板10との接続部分が封止されている。この入力端子TINは、入力電圧VINが供給されるようになっている。
【0066】
この入力端子TINは、例えば、図3に示すように、配線基板10の配線10Yaを介して電極10Yに電気的に接続されている。
【0067】
また、平滑化キャパシタCは、例えば、図3図10に示すように、配線基板10の第4面A4上に配置されている。
【0068】
特に、この平滑化キャパシタCは、例えば、図3図8に示すように、整流モジュールY(第1領域S1)に隣接し且つリアクタR(第3領域S3)と反対側でHブリッジモジュールM(第2領域S2)と第2の方向D2に隣接する領域の上方に、位置するように、配線基板10の第4面A4上に配置されている。
【0069】
この平滑化キャパシタCは、配線基板10の配線10Caを介して整流モジュール(第1の電子部品)Yの出力(出力用の端子YT、電極10Y)に接続されている。
【0070】
この平滑化キャパシタCは、例えば、図3図10に示すように、第1の封止部材11により配線基板10との接続部分が封止されている。この平滑化キャパシタCは、整流モジュール(第1の電子部品)Yが出力した電圧を平滑化するようになっている。
【0071】
この平滑化キャパシタCは、例えば、図3に示すように、配線基板10の配線10Caを介して電極10Yに電気的に接続されている。さらに、この平滑化キャパシタCは、例えば、図3に示すように、配線基板10の配線10Cbを介して電極10Mに電気的に接続されている。すなわち、この平滑化キャパシタCは、配線基板10の配線10Cbを介して、HブリッジモジュールMの入力(入力用の端子MT、電極10M)に接続されている。
【0072】
また、ノイズフィルタFのキャパシタCF2は、例えば、図3図4に示すように、配線基板10の第4面A4上に配置されている。このノイズフィルタFは、第3の電子部品(リアクタ)RとキャパシタCF1で構成されるLCフィルタFXが出力した電圧をフィルタリングして、出力端子TOUTに出力するようになっている。
【0073】
このノイズフィルタFの入力は、例えば、図3に示すように、配線基板10の配線10RbとキャパシタCF1を介してリアクタRの出力に接続されている。そして、このノイズフィルタFの出力は、配線基板10の配線10Faを介して出力端子TOUTに電気的に接続されている。
【0074】
特に、ノイズフィルタFのキャパシタCF2は、配線基板10の第4面A4上に配置され、配線基板10の配線10Faを介してリアクタRの出力(出力用の端子RT、電極10R)に接続され、LCフィルタFXが出力した電圧をフィルタリングして出力するようになっている。
【0075】
また、出力端子TOUTは、例えば、図3図10に示すように、配線基板10の第4面(上面)A4上に配置されている。この出力端子TOUTは、配線基板10に接続され、第1の封止部材11により配線基板10との接続部分が封止されている。
【0076】
この出力端子TOUTは、ノイズフィルタFから供給された電圧を出力電圧VOUTとして出力するようになっている。
【0077】
また、制御部CONは、例えば、図3図4に示すように、配線基板10の第4面A4上に配置されている。この制御部CONは、例えば、図2に示すように、第1の電子部品(整流モジュール)Y及び第2の電子部品(Hブリッジモジュール)Mの動作を制御するようになっている。
【0078】
この制御部CONは、図3に示す配線基板10の配線10a及び電極10Yを介して制御信号を入出力して、第1の電子部品(整流モジュール)Yの動作を制御するようになっている。
【0079】
さらに、制御部CONは、図3に示す配線基板10の配線10b及び電極10Mを介して、制御信号を入出力して、第2の電子部品(Hブリッジモジュール)Mの動作を制御するようになっている。
【0080】
また、第1の封止部材11は、例えば、図3図4に示すように、収納ケースHの第1面A1上で、第1ないし第4の電子部品Y、M、R、Wを封止するようになっている。
【0081】
さらに、第1の封止部材11は、配線基板10および配線基板10の第4面A4上の、制御部CON、入力端子TINの一部、平滑化キャパシタCの一部、ノイズフィルタFのキャパシタCF2の一部、及び、出力端子TOUTの一部を封止するようになっている。
【0082】
この第1の封止部材11は、例えば、エポキシ樹脂等の封止樹脂である。
【0083】
また、放熱フィンZは、例えば、図4ないし図8に示すように、収納ケースHの第2面(外面)A2上に配置されている。
【0084】
この放熱フィンZは、発電システム1000の外部から供給された気流により冷却されることで、少なくとも第1及び第2の電子部品Mが発する熱を外部に放出するように構成されている。
【0085】
この放熱フィンZは、例えば、図5に示すように、第2面A2上において、第1面A1の第1の電子部品Yが配置された第1領域S1から第2の電子部品Mが配置された第2領域S2に亘る領域に対して、収納ケースHを介して連続して対向するように、延在している。すなわち、放熱フィンZは、第1凹部S1b及び第2凹部S2bの第2面A2側の凸部S2a、S3aに接している。
【0086】
さらに、図5に示すように、放熱フィンZは、第1面A1上で第1領域S1と第2領域S2とが隣接する第1の方向D1に平行な方向に延在するように、第2面A2上に設けられている。
【0087】
また、この放熱フィンZは、例えば、図5に示すように、第1の方向D1に平行な方向に延在するように、複数個設けられている。
【0088】
そして、この放熱フィンZは、例えば、図6に示すように、収納ケースHの第2面A2から突出した平板状の形状を有する。
【0089】
なお、放熱フィンZは、例えば、図5図6に示すように、第2面A2上において、第1面A1の第3の電子部品Rが配置された第3領域S3に対向する領域には、設けられていない。そして、例えば、図5図6に示すように、放熱フィンZは、第3凹部S3bの第2面A2側に接していない。言い換えれば、放熱フィンZがリアクタである第3の電子部品R用には設けられていない。
【0090】
ここで、既述のように、第2の電子部品(Hブリッジモジュール)Mの動作時の単位時間当たりの発熱量が第1の電子部品(整流モジュール)Yの動作時の単位時間当たりの発熱量よりも、大きくなっている。
【0091】
さらに、既述のように、第3の電子部品(リアクタ)Rの動作時の単位時間当たりの発熱量は、第1の電子部品(Hブリッジモジュール)Y及び第2の電子部品(整流モジュール)Mの動作時の単位時間当たりの発熱量よりも、小さくなっている。
【0092】
そこで、既述のように、発熱量が高い第2の電子部品(Hブリッジモジュール)Mと第1の電子部品(整流モジュール)Yとを隣接して配置している。そして、これら第1、第2の電子部品Y、Mの熱を放熱する放熱フィンZを、気流の誘導方向がリアクタRから離れるようにモジュールM側から整流モジュールY側に向かう第1の方向D1に沿うように、設けている。
【0093】
そして、例えば、図5ないし図9に示すように、収納ケースHの第1面A1上において、第1の電子部品Yと第2の電子部品Mとが隣接する第1の方向D1は、第2の電子部品Mと第3の電子部品Rとが隣接する第2の方向D2と、異なる。
【0094】
すなわち、放熱フィンZは、放熱フィンZにより誘導される気流の少なくとも一部が第3の電子部品Rが配置される第3凹部S3bの第2面A2側を避けるように配置されている。
【0095】
これにより、例えば、気流(冷却風)は、第2の電子部品(モジュール)Mに隣接する第3の電子部品(リアクタ)Rから離れるように放熱フィンZに沿って誘導され、第3の電子部品(リアクタ)Rからの煽り熱を避けながら、発熱量が大きい第2の電子部品(モジュール)Mで生じた熱および第1の電子部品(整流モジュール)Yで生じた熱を順に放熱する。
【0096】
このようにして、電力変換装置100の発熱源である電子部品から生じた熱の放熱性の向上を図ることができる。
【0097】
特に、収納ケースHの第1面A1上に配置された、整流モジュールY、HブリッジモジュールM、及び、リアクタRの動作時の単位時間当たりの発熱量は、配線基板10の第4面A4上に配置された平滑化キャパシタC、及び、ノイズフィルタFの動作時の単位時間当たりの発熱量よりも、大きくなっている。
【0098】
これにより、発熱量が大きい整流モジュールY、HブリッジモジュールM、及び、リアクタRを放熱性が高い収納ケースHの第1面A1上に配置するとともに、発熱量が小さいされた平滑化キャパシタC、及び、ノイズフィルタFや熱の影響を低減すべき制御部CONを配線基板10の第4面A4上に配置することで、放熱性及び制御性を向上しつつ、各部品の配置を最適化することができる。
【0099】
すなわち、電力変換装置100の熱設計のマージンを考慮して電流経路を最適化しつつ、サイズの縮小を図ることができる。
【0100】
以上のように、本発明の一態様に係る電力変換装置は、入力電圧を電力変換した出力電圧を出力する電力変換装置であって、第1面および第1面の反対側の第2面を有する収納ケースと、収納ケース内に配置され、収納ケースの第1面に対向する第3面および第3面の反対側の第4面を有する配線基板と、収納ケースの第1面上の第1領域に配置され、配線基板に電気的に接続され、入力電圧を整流して出力する整流モジュールYと、収納ケースの第1面上の第2領域に整流モジュールに隣接して配置され、配線基板に電気的に接続され、整流モジュールが整流した電圧を変換して出力するHブリッジモジュールと、収納ケースの第1面上の第3領域にHブリッジモジュールに隣接して配置され、配線基板に電気的に接続され、Hブリッジモジュールが出力した電圧を調整して出力するリアクタと、配線基板の第4面上に配置され、整流モジュール及びHブリッジモジュールの動作を制御する制御部と、配線基板の第4面上に配置され、配線基板の配線を介して整流モジュールの出力に接続され、整流モジュールが出力した電圧を平滑化する平滑化キャパシタと、配線基板の第4面上に配置され、配線基板の配線を介してリアクタの出力に接続され、リアクタが出力した電圧をフィルタリングして出力するノイズフィルタと、収納ケースの第1面上で、整流モジュール、Hブリッジモジュール、及び、リアクタを封止するとともに、配線基板、及び、配線基板の第4面上の、制御部、平滑化キャパシタ、並びに、ノイズフィルタを封止する、第1の封止部材と、を備える。
【0101】
これにより、発熱量が大きい整流モジュール、Hブリッジモジュール、及び、リアクタを放熱性が高い収納ケースHの第1面上に配置するとともに、発熱量が小さいされた平滑化キャパシタ、及び、ノイズフィルタや熱の影響を低減すべき制御部を配線基板の第4面上に配置することで、放熱性及び制御性を向上しつつ、各部品の配置を最適化することができる。
【0102】
すなわち、本発明の一態様に係る電力変換装置は、熱設計のマージンを考慮して電流経路を最適化しつつ、サイズの縮小を図ることができる。
【0103】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0104】
100 電力変換装置
1000 発電システム
E エンジン
X ファン
A、B 気流
H 収納ケース
Z 放熱フィン
11 第1の封止部材
10 配線基板
TIN 入力端子
TOUT 出力端子
Y 第1の電子部品(整流回路、整流モジュール)
M 第2の電子部品(Hブリッジ回路、Hブリッジモジュール)
R 第3の電子部品(リアクタ)
W 第4の電子部品、
C 平滑化キャパシタ
FX LCフィルタ
F ノイズフィルタ
CON 制御部
CF1、C2F キャパシタ
10Ya、10Ca、10Cb、10Ra、10Rb、10Fa、10a、10b 配線
10Y、10M、10R、10F 電極
【要約】
電力変換装置は、第1面および第1面の反対側の第2面を有する収納ケースと、収納ケース内に配置され、収納ケースの第1面に対向する第3面および第3面の反対側の第4面を有する配線基板と、収納ケースの第1面上で、整流モジュール、Hブリッジモジュール、及び、リアクタを封止するとともに、配線基板、及び、配線基板の第4面上の、制御部、平滑化キャパシタ、並びに、ノイズフィルタを封止する、第1の封止部材と、を備える。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10