(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
【0012】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る無線通信システム1を示す構成図である。
図1において、無線通信システム1は、制御装置10と、M(Mは、2以上の整数)個の基地局装置20−1〜Mと、基地局装置20−1〜Mの各々に対応して設けられるM個のチルト制御装置(RET:Remote Electrical Tilt Unit、リモート・チルト・ユニット)30−1〜Mと、基地局装置20−1〜Mの各々に対応して設けられるM個のアンテナ装置31−1〜Mと、端末装置40とを備える。チルト制御装置30−1〜Mとアンテナ装置31−1〜Mとは、各々に対応して設けられる。以下、基地局装置20−1〜Mを特に区別しないときは「基地局装置20」と称する。チルト制御装置30−1〜Mを特に区別しないときは「チルト制御装置30」と称する。アンテナ装置31−1〜Mを特に区別しないときは「アンテナ装置31」と称する。
【0013】
制御装置10と基地局装置20とは、有線又は無線の通信ネットワークを介して接続される。制御装置10は、M個の基地局装置20−1〜Mを集中制御する。基地局装置20は自己のカバレッジ内に存在する端末装置40と無線通信を行う。基地局装置20は、複数の搬送周波数を使用する。搬送周波数ごとにカバレッジがある。搬送周波数として、例えば、800MHz帯、1.5GHz帯、2GHz帯などが挙げられる。チルト制御装置30は、通信ケーブル等を介して、自己に対応する基地局装置20に接続される。チルト制御装置30は、通信ケーブル等を介して、自己に対応するアンテナ装置31に接続される。アンテナ装置31は、通信ケーブル等を介して、自己に対応する基地局装置20に接続される。
【0014】
図2は、本発明の第1実施形態に係るカバレッジの例を示す説明図である。
図2の例では、基地局装置20は、2つの搬送周波数f1、f2を使用する。アンテナ装置31は、搬送周波数f1の電波の送受信と、搬送周波数f2の電波の送受信とを行う。搬送周波数f1、f2ごとにカバレッジCov_f1、Cov_f2がある。カバレッジCov_f1は、端末装置40が基地局装置20との間で搬送周波数f1の電波の送受信が可能な区域である。基地局装置20は、カバレッジCov_f1内に存在する端末装置40と搬送周波数f1を使用して無線通信を行うことができる。カバレッジCov_f2は、端末装置40が基地局装置20との間で搬送周波数f2の電波の送受信が可能な区域である。基地局装置20は、カバレッジCov_f2内に存在する端末装置40と搬送周波数f2を使用して無線通信を行うことができる。
【0015】
説明を
図1に戻す。制御装置10は、搬送波制御部11と出力部12とを備える。基地局装置20は、情報出力部21と制御部22と無線部23と信号処理部24とを備える。基地局装置20に対応するアンテナ装置31は、搬送周波数ごとに設けられてもよく、又は、複数の搬送周波数を送受可能であってもよい。基地局装置20に対応するアンテナ装置31が搬送周波数ごとに設けられる場合、当該基地局装置20に対応するチルト制御装置30は、当該基地局装置20に対応する搬送周波数ごとのアンテナ装置31を各々制御する。
【0016】
基地局装置20の情報出力部21は、基地局情報A1を制御装置10へ送信する。基地局情報A1として、カバレッジ品質情報とトラフィック負荷情報とがある。
【0017】
カバレッジ品質情報は、基地局装置20の各カバレッジの無線通信品質を示す。カバレッジ品質情報として、例えば、共通パイロットチャネル(CPICH:Common Pilot Channel)の受信電力(CPICH RSCP:Received Signal Code Power)、共通パイロットチャネルの受信品質(CPICH Ec/No)、下りリンク(基地局装置20から端末装置40へのリンク)リファレンス信号(Downlink Reference Signal)の受信電力(RSRP:Reference Signal Received Power)、下りリンクリファレンス信号の受信品質(RSRQ:Reference Signal Received Quality)、CQI(Channel Quality Indicator)、接続率、呼損率などの情報が挙げられる。これらの情報のうち、いずれか1つをカバレッジ品質情報に使用してもよく、又は、いずれか複数をカバレッジ品質情報に使用してもよい。
【0018】
トラフィック負荷情報は、基地局装置20のトラフィック負荷を示す。トラフィック負荷は、基地局装置20全体のトラフィック負荷であってもよく、又は、カバレッジ毎のトラフィック負荷であってもよい。トラフィック負荷情報として、例えば、基地局装置20に接続する端末装置40の数(セル単位の接続端末数)、基地局装置20に接続する端末装置40のセクタスループット、基地局装置20の無線リソース使用率などの情報が挙げられる。これらの情報のうち、いずれか1つをトラフィック負荷情報に使用してもよく、又は、いずれか複数をトラフィック負荷情報に使用してもよい。
【0019】
制御装置10の搬送波制御部11は、基地局装置20から受信した基地局情報A1に基づいて、基地局装置20の各カバレッジを決定する。搬送波制御部11は、決定したカバレッジについての情報であるカバレッジ決定情報A2を出力部12へ送信する。出力部12は、搬送波制御部11から受信したカバレッジ決定情報A2に基づいて、カバレッジ制御情報A3を基地局装置20へ送信する。
【0020】
基地局装置20の制御部22は、制御装置10から受信したカバレッジ制御情報A3に基づいて、基地局装置20の各カバレッジを変更するカバレッジ変更制御処理を実行する。
【0021】
制御部22が実行するカバレッジ変更制御処理として、例えば、カバレッジ制御情報A3に基づいたチルト角変更指示をチルト制御装置30へ送信することが挙げられる。チルト角変更指示は、搬送周波数ごとにある。チルト制御装置30は、搬送周波数ごとに、チルト角変更指示に従ってアンテナ装置31のチルト角を変更する。なお、制御装置10の出力部12は、チルト角の変更情報をカバレッジ制御情報A3としてもよい。チルト角の変更情報は、アンテナ装置31のアンテナ制御情報の例である。
【0022】
図3は、アンテナ装置31のチルト角θ_tiltを示す説明図である。
図3の例では、基地局装置20と、チルト制御装置30と、アンテナ装置31とは、建物Buの屋上にそれぞれ備えられる。
図3において、アンテナ装置31のチルト角θ_tiltは、水平方向DirHからメインローブ方向DirBMへの垂直方向の角度である。メインローブ方向DirBMは、アンテナ装置31の垂直放射パターンのメインローブBMの指向方向である。チルト角θ_tiltが大きくなると(ダウンチルトすると)、メインローブ方向DirBMはより地面Grに向くようになる。このため、基地局装置20のカバレッジは縮小する。一方、チルト角θ_tiltが小さくなると(アップチルトすると)、メインローブ方向DirBMは地面Grとは反対に天空に向くようになる。このため、基地局装置20のカバレッジは拡大する。
【0023】
説明を
図1に戻す。制御部22が実行するカバレッジ変更制御処理として、例えば、カバレッジ制御情報A3に基づいたアンテナパラメータ変更指示を無線部23へ送信することが挙げられる。アンテナパラメータ変更指示は、搬送周波数ごとにある。無線部23は、搬送周波数ごとに、アンテナパラメータ変更指示に従ってアンテナ装置31のアンテナパラメータを変更する。アンテナパラメータとして、例えば、アンテナゲイン、ビーム幅、水平無線パラメータ、垂直無線パラメータなどが挙げられる。なお、制御装置10の出力部12は、アンテナパラメータの変更情報をカバレッジ制御情報A3としてもよい。アンテナパラメータの変更情報は、アンテナ装置31のアンテナ制御情報の例である。
【0024】
制御部22が実行するカバレッジ変更制御処理として、例えば、カバレッジ制御情報A3に基づいた送信電力変更指示を無線部23へ送信することが挙げられる。送信電力変更指示は、搬送周波数ごとにある。無線部23は、搬送周波数ごとに、送信電力変更指示に従って送信電力を変更する。なお、制御装置10の出力部12は、送信電力の変更情報をカバレッジ制御情報A3としてもよい。送信電力の変更情報は、基地局装置20の送信電力の送信電力制御情報の例である。
【0025】
基地局装置20の制御部22は、制御装置10から受信したカバレッジ制御情報A3に基づいて、信号処理部24に対し、搬送周波数の使用方法の変更を指示してもよい。
【0026】
図4は、本発明の第1実施形態に係る制御装置10の搬送波制御部11を示す構成図である。
図4において、搬送波制御部11は、カバレッジ決定条件記憶部51とカバレッジ決定部52と基地局管理情報記憶部53とを備える。
【0027】
カバレッジ決定条件記憶部51は、基地局装置20のカバレッジを決定するときの条件(カバレッジ決定条件)を示す情報を記憶する。カバレッジ決定部52は、カバレッジ決定条件記憶部51に記憶される情報で示されるカバレッジ決定条件に基づいて、基地局装置20のカバレッジを決定する。基地局管理情報記憶部53は、基地局装置20の管理情報を記憶する。基地局装置20の管理情報として、基地局装置20が使用する搬送周波数、基地局装置20のカバレッジ、基地局装置20を運用する際の運用方針などの情報がある。
【0028】
図5は、本発明の第1実施形態に係る制御方法を示すフローチャートである。
図5を参照して、本発明の第1実施形態に係る制御装置10の動作を説明する。制御装置10は、一の基地局装置20から基地局情報A1を受信すると、当該一の基地局装置20を制御対象として
図5の制御処理を開始する。以下、
図5の制御処理の説明において、基地局装置20とは、制御対象である同一の基地局装置20を指す。
【0029】
(ステップS1)カバレッジ決定部52は、基地局装置20から受信した基地局情報A1に基づいて、基地局装置20の複数のカバレッジのうち変更するカバレッジがあるかを判断する。この判断は、例えば、基地局管理情報記憶部53に記憶される基地局装置20の運用方針の情報に基づいて行われる。
【0030】
基地局装置20の運用方針として、例えば、「カバレッジホールを減らす」がある場合、基地局情報A1のカバレッジ品質情報に基づいてカバレッジホールの有無を判断する。この判断の結果が「カバレッジホールあり」である場合、変更するカバレッジがあると判断する。
【0031】
基地局装置20の運用方針として、例えば、「基地局装置20のトラフィック負荷を一定量以下とする」がある場合、基地局情報A1のトラフィック負荷情報に基づいて基地局装置20のトラフィック負荷が一定量を超えるかを判断する。この判断の結果が「基地局装置20のトラフィック負荷が一定量を超える」である場合、変更するカバレッジがあると判断する。
【0032】
ステップS1の判断の結果、変更するカバレッジがある場合にはステップS2に進む。一方、変更するカバレッジがない場合には
図5の制御処理を終了する。
【0033】
ステップS2以降の説明では、ステップS1で変更すると判断されたカバレッジの搬送周波数を、説明の便宜上、第2の搬送周波数f2とする。第2の搬送周波数f2のカバレッジはカバレッジCov_f2である。また、基地局装置20の複数の搬送周波数のうち、第2の搬送周波数f2以外の一の搬送周波数を、説明の便宜上、第1の搬送周波数f1とする。第1の搬送周波数f1のカバレッジはカバレッジCov_f1である。
【0034】
(ステップS2)カバレッジ決定部52は、ステップS1でカバレッジを変更すると判断された基地局装置20の第2の搬送周波数f2について、カバレッジCov_f2を決定する。例えば、基地局装置20の運用方針が「カバレッジホールを減らす」であって、ステップS1の判断の結果が「カバレッジホールあり」である場合、カバレッジCov_f2を拡大すると決定する。例えば、基地局装置20の運用方針が「基地局装置20のトラフィック負荷を一定量以下とする」であって、ステップS1の判断の結果が「基地局装置20のトラフィック負荷が一定量を超える」である場合、カバレッジCov_f2を縮小すると決定する。
【0035】
(ステップS3)カバレッジ決定部52は、ステップS2で決定したカバレッジCov_f2に基づいて、基地局装置20の第1の搬送周波数f1のカバレッジCov_f1を決定する。このカバレッジCov_f1の決定において、カバレッジ決定部52は、カバレッジ決定条件記憶部51に記憶される情報で示されるカバレッジ決定条件に従う。
【0036】
(ステップS4)カバレッジ決定部52は、ステップS2で決定したカバレッジCov_f2のカバレッジ決定情報A2と、ステップS3で決定したカバレッジCov_f1のカバレッジ決定情報A2と、を出力部12へ送信する。出力部12は、搬送波制御部11から受信したカバレッジ決定情報A2に基づいて、カバレッジ制御情報A3を基地局装置20へ送信する。これにより、基地局装置20の制御部22は、制御装置10から受信したカバレッジ制御情報A3に基づいて、基地局装置20のカバレッジCov_f1とカバレッジCov_f2とを変更するカバレッジ変更制御処理を実行する。
【0037】
カバレッジ決定部52は、ステップS2で決定したカバレッジCov_f2のカバレッジ決定情報A2とステップS3で決定したカバレッジCov_f1のカバレッジ決定情報A2とに基づいて、基地局管理情報記憶部53に記憶される基地局装置20の管理情報を更新する。
【0038】
次に、上述した
図5のステップS3に係るカバレッジ決定条件の例を説明する。
【0039】
(カバレッジ決定条件の例1)
カバレッジ決定条件の例1は、カバレッジの大きさを同様に変更することである。カバレッジ決定条件の例1によれば、カバレッジ決定部52は、第2の搬送周波数f2のカバレッジCov_f2を拡大する場合に、第1の搬送周波数f1のカバレッジCov_f1を拡大すると決定する。カバレッジ決定条件の例1によれば、カバレッジ決定部52は、第2の搬送周波数f2のカバレッジCov_f2を縮小する場合に、第1の搬送周波数f1のカバレッジCov_f1を縮小すると決定する。
【0040】
(カバレッジ決定条件の例2)
カバレッジ決定条件の例2は、カバレッジの大きさを逆に変更することである。カバレッジ決定条件の例2によれば、カバレッジ決定部52は、第2の搬送周波数f2のカバレッジCov_f2を拡大する場合に、第1の搬送周波数f1のカバレッジCov_f1を縮小すると決定する。カバレッジ決定条件の例2によれば、カバレッジ決定部52は、第2の搬送周波数f2のカバレッジCov_f2を縮小する場合に、第1の搬送周波数f1のカバレッジCov_f1を拡大すると決定する。
【0041】
(カバレッジ決定条件の例3)
カバレッジ決定条件の例3は、カバレッジの大きさを変更する場合には拡大することである。カバレッジ決定条件の例3によれば、カバレッジ決定部52は、第2の搬送周波数f2のカバレッジCov_f2の大きさを変更する場合に、第1の搬送周波数f1のカバレッジCov_f1を拡大すると決定する。
【0042】
(カバレッジ決定条件の例4)
カバレッジ決定条件の例4は、カバレッジの大きさを変更する場合には縮小することである。カバレッジ決定条件の例4によれば、カバレッジ決定部52は、第2の搬送周波数f2のカバレッジCov_f2の大きさを変更する場合に、第1の搬送周波数f1のカバレッジCov_f1を縮小すると決定する。
【0043】
(カバレッジ決定条件の例5)
カバレッジ決定条件の例5は、カバレッジの変更方法を決定することである。カバレッジ決定条件の例5によれば、カバレッジ決定部52は、第2の搬送周波数f2のカバレッジCov_f2の変更方法に応じて、第1の搬送周波数f1のカバレッジCov_f1の変更方法を決定する。
【0044】
カバレッジ決定条件の例5の具体例を挙げる。
【0045】
(カバレッジ決定条件の例5の具体例5−1A)
具体例5−1Aは、カバレッジの変更範囲を同じにすることである。具体例5−1Aによれば、カバレッジ決定部52は、第1の搬送周波数f1のカバレッジCov_f1の変更範囲を、第2の搬送周波数f2のカバレッジCov_f2の変更範囲と同じにすると決定する。カバレッジの変更範囲として、カバレッジの大きさを変更する量(カバレッジ変更量)と、カバレッジの大きさを変更する方向(カバレッジ変更方向)とがある。なお、カバレッジ変更量のみを同じにしてもよく、又は、カバレッジ変更方向のみを同じにしてもよく、又は、カバレッジ変更量とカバレッジ変更方向との両方を同じにしてもよい。
【0046】
(カバレッジ決定条件の例5の具体例5−1B)
具体例5−1Bは、カバレッジの変更範囲を異ならせることである。具体例5−1Bによれば、カバレッジ決定部52は、第1の搬送周波数f1のカバレッジCov_f1の変更範囲を、第2の搬送周波数f2のカバレッジCov_f2の変更範囲と異ならせると決定する。カバレッジの変更範囲として、カバレッジ変更量とカバレッジ変更方向とがある。なお、カバレッジ変更量のみを異ならせてもよく、又は、カバレッジ変更方向のみを異ならせてもよく、又は、カバレッジ変更量とカバレッジ変更方向との両方を異ならせてもよい。
【0047】
(カバレッジ決定条件の例5の具体例5−2A)
具体例5−2Aは、カバレッジの変更時間を同じにすることである。カバレッジの変更時間とは、カバレッジの変更開始からカバレッジが目標のカバレッジになるまでの時間である。具体例5−2Aによれば、カバレッジ決定部52は、第2の搬送周波数f2のカバレッジCov_f2の変更開始からカバレッジCov_f2が目標のカバレッジになるまでの変更時間と、第1の搬送周波数f1のカバレッジCov_f1の変更開始からカバレッジCov_f1が目標のカバレッジになるまでの変更時間と、を同じにすると決定する。
【0048】
(カバレッジ決定条件の例5の具体例5−2B)
具体例5−2Bは、カバレッジの変更時間を異ならせることである。具体例5−2Bによれば、カバレッジ決定部52は、第2の搬送周波数f2のカバレッジCov_f2の変更開始からカバレッジCov_f2が目標のカバレッジになるまでの変更時間と、第1の搬送周波数f1のカバレッジCov_f1の変更開始からカバレッジCov_f1が目標のカバレッジになるまでの変更時間と、を異ならせると決定する。
【0049】
(カバレッジ決定条件の例6)
カバレッジ決定条件の例6は、カバレッジの存在を条件に縮小することである。カバレッジ決定条件の例6によれば、カバレッジ決定部52は、第2の搬送周波数f2のカバレッジCov_f2の存在を条件に、第1の搬送周波数f1のカバレッジCov_f1を縮小する。カバレッジCov_f2の存在を条件にとは、カバレッジCov_f1を縮小した結果として発生する第1の搬送周波数f1のカバレッジホールの範囲の少なくとも一部分に、カバレッジCov_f2が存在することである。より好ましくは、カバレッジCov_f2の存在を条件にとは、カバレッジCov_f1を縮小した結果として発生する第1の搬送周波数f1のカバレッジホールの範囲の全てに、カバレッジCov_f2が存在することである。
ある領域(判断対象領域)にカバレッジCov_f2が及んでいるか否かを判断する方法の例を以下に挙げる。第2の搬送周波数f2を使用して基地局装置20と通信接続する端末装置40が判断対象領域に存在する場合には、判断対象領域にカバレッジCov_f2が及んでいる、と判断する。一方、第2の搬送周波数f2を使用して基地局装置20と通信接続する端末装置40が判断対象領域に所定期間存在しない場合には、判断対象領域にカバレッジCov_f2が及んでいない、と判断する。又は、第2の搬送周波数f2を使用して基地局装置20と通信接続する端末装置40が判断対象領域に所定期間存在しない場合には、カバレッジCov_f2が及んでいない領域(カバレッジホール)が判断対象領域に存在する、と判断してもよい。
【0050】
カバレッジ決定条件の例6の変形例を挙げる。
【0051】
(カバレッジ決定条件の例6の変形例6−1)
変形例6−1は、カバレッジの存在を条件にし、且つ、通信容量の逼迫時に縮小することである。変形例6−1によれば、カバレッジ決定部52は、第2の搬送周波数f2のカバレッジCov_f2の存在を条件に、且つ、第1の搬送周波数f1の通信容量の逼迫時にカバレッジCov_f1を縮小すると決定する。カバレッジ決定部52は、基地局装置20から受信した基地局情報A1のトラフィック負荷情報に基づいて、基地局装置20の第1の搬送周波数f1の通信容量が逼迫しているか否かを判断する。例えば、基地局情報A1のトラフィック負荷情報に含まれる第1の搬送周波数f1の接続端末数が、所定値以上である場合に第1の搬送周波数f1の通信容量が逼迫していると判断し、所定値未満である場合に第1の搬送周波数f1の通信容量が逼迫していないと判断する。
【0052】
(カバレッジ決定条件の例6の変形例6−2)
変形例6−2は、カバレッジの存在を条件にし、且つ、通信容量の余裕発生時に拡大することである。変形例6−2によれば、カバレッジ決定部52は、第2の搬送周波数f2のカバレッジCov_f2の存在を条件に、且つ、第1の搬送周波数f1の通信容量の余裕発生時にカバレッジCov_f1を拡大すると決定する。カバレッジ決定部52は、基地局装置20から受信した基地局情報A1のトラフィック負荷情報に基づいて、基地局装置20の第1の搬送周波数f1の通信容量に余裕が発生しているか否かを判断する。例えば、基地局情報A1のトラフィック負荷情報に含まれる第1の搬送周波数f1の接続端末数が、所定値未満である場合に第1の搬送周波数f1の通信容量に余裕が発生していると判断し、所定値以上である場合に第1の搬送周波数f1の通信容量に余裕が発生していないと判断する。
【0053】
以上がカバレッジ決定条件の例の説明である。
【0054】
上述した第1実施形態によれば、同一の基地局装置20において、複数の搬送周波数のカバレッジの決定を連携することにより、一方の搬送周波数のカバレッジの変更による悪影響を他方の搬送周波数のカバレッジにより低減することができる。これにより、カバレッジホールの発生やトラフィック負荷の短期的な増大などに、カバレッジ調整によって柔軟に対処することができるという効果が得られる。
【0055】
例えば、第2の搬送周波数f2のカバレッジCov_f2の縮小によるカバレッジホールの発生を、第1の搬送周波数f1のカバレッジCov_f1を拡大することにより補うことができる。これにより、第2の搬送周波数f2のカバレッジCov_f2を縮小するときのカバレッジホール発生による悪影響を低減できる。
【0056】
例えば、第2の搬送周波数f2のカバレッジCov_f2の存在を条件に、第1の搬送周波数f1のカバレッジCov_f1を縮小することにより、カバレッジCov_f1の縮小による通信品質の低下を抑制することができる。
【0057】
例えば、一方の搬送周波数のカバレッジの変更により発生する効果を、もう一方の搬送周波数のカバレッジを変更することにより増強できる。具体的には、例えば、第2の搬送周波数f2のカバレッジCov_f2を拡大するときに、第1の搬送周波数f1のカバレッジCov_f1も拡大することにより、カバレッジ増強の効果を増大できる。
【0058】
[第2実施形態]
第2実施形態は第1実施形態の変形例である。
図6は、本発明の第2実施形態に係る無線通信システム2を示す構成図である。
図6において、
図1の各部に対応する部分には同一の符号を付け、その説明を省略する。
図6において、無線通信システム2は、M(Mは、2以上の整数)個の基地局装置20a−1〜Mと、基地局装置20a−1〜Mの各々に対応して設けられるM個のチルト制御装置30−1〜Mと、基地局装置20a−1〜Mの各々に対応して設けられるM個のアンテナ装置31−1〜Mと、端末装置40とを備える。上述した第1実施形態では、
図1に示される制御装置10がM個の基地局装置20−1〜Mを集中制御したが、第2実施形態では、
図6に示されるM個の基地局装置20a−1〜Mの各々が搬送波制御部11と出力部12とを備え、M個の基地局装置20a−1〜Mの各々で分散制御する。以下、基地局装置20a−1〜Mを特に区別しないときは「基地局装置20a」と称する。
【0059】
基地局装置20aは自己のカバレッジ内に存在する端末装置40と無線通信を行う。基地局装置20aは、複数の搬送周波数を使用する。搬送周波数ごとにカバレッジがある。基地局装置20aにおいて、情報出力部21は、基地局情報A1を搬送波制御部11へ送信する。搬送波制御部11は、情報出力部21から受信した基地局情報A1に基づいて、自基地局装置20aの各カバレッジを決定する。搬送波制御部11は、決定したカバレッジについての情報であるカバレッジ決定情報A2を出力部12へ送信する。出力部12は、搬送波制御部11から受信したカバレッジ決定情報A2に基づいて、カバレッジ制御情報A3を制御部22へ送信する。制御部22は、出力部12から受信したカバレッジ制御情報A3に基づいて、自基地局装置20aの各カバレッジを変更するカバレッジ変更制御処理を実行する。基地局装置20aの各部の動作は、上述した第1実施形態の対応する各部と同じである。
【0060】
上述した第1実施形態に係る制御装置10による集中制御によれば、制御装置10がM個の基地局装置20−1〜Mのカバレッジを管理するので、隣接する基地局装置20のカバレッジ間の状態を把握してカバレッジの長期的な運用を目指したカバレッジ変更を行うことができる。一方、上述した第2実施形態に係る各基地局装置20aによる分散制御によれば、基地局装置20aの各々が自己のカバレッジの状態に基づいて迅速にカバレッジ変更を行うことができる。
【0061】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0062】
例えば、
図5に示す各ステップを実現するためのコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disk)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0063】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。