特許第6487300号(P6487300)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6487300有機発光ダイオード表示装置及びその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6487300
(24)【登録日】2019年3月1日
(45)【発行日】2019年3月20日
(54)【発明の名称】有機発光ダイオード表示装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/04 20060101AFI20190311BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20190311BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20190311BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20190311BHJP
   H05B 33/12 20060101ALI20190311BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20190311BHJP
   H05B 33/22 20060101ALI20190311BHJP
【FI】
   H05B33/04
   G09F9/00 338
   G09F9/30 309
   G09F9/30 365
   H05B33/10
   H05B33/12 B
   H05B33/14 A
   H05B33/22 Z
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-172745(P2015-172745)
(22)【出願日】2015年9月2日
(65)【公開番号】特開2016-54144(P2016-54144A)
(43)【公開日】2016年4月14日
【審査請求日】2015年9月2日
【審判番号】不服2017-14541(P2017-14541/J1)
【審判請求日】2017年10月2日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0116922
(32)【優先日】2014年9月3日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】501426046
【氏名又は名称】エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(72)【発明者】
【氏名】鞠 允 鎬
(72)【発明者】
【氏名】宋 泰 俊
(72)【発明者】
【氏名】韓 龍 熙
【合議体】
【審判長】 中田 誠
【審判官】 樋口 信宏
【審判官】 清水 康司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−335403(JP,A)
【文献】 特開2012−155987(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0131682(US,A1)
【文献】 米国特許第9013099(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 33/04
G09F 9/00
G09F 9/30
H05B 33/10
H05B 33/12
H05B 33/22
H01L 51/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個のサブ画素を含む表示領域及び前記表示領域の周辺の非表示領域を含む基板と、
前記サブ画素毎に形成された薄膜トランジスタ、及び前記薄膜トランジスタと接続された有機発光ダイオードと、
前記有機発光ダイオードを完全に覆う第1無機膜と、前記第1無機膜上に形成される有機膜と、前記第1無機膜の少なくとも一部分上及び前記有機膜上に形成される第2無機膜とを含む保護部材と、
前記有機膜は、前記有機発光ダイオードを完全に覆う第1有機パターンと、前記第1有機パターンから離隔され、前記第1有機パターンを取り囲む少なくとも2つ以上の第2有機パターンとを含み、
前記第1有機パターンに隣接する前記第2有機パターンは部分的に開いた領域を有し、
最外郭の前記第2有機パターンは遮蔽構造であることを特徴とする有機発光ダイオード表示装置。
【請求項2】
前記第2有機パターンのそれぞれは、前記第1有機パターンの上面と同じ高さの上面を有する、請求項1に記載の有機発光ダイオード表示装置。
【請求項3】
前記第1有機パターンと、前記第1有機パターンに隣接する前記第2有機パターンとが離隔した領域において前記第1無機膜と前記第2無機膜とが接しており、前記第1有機パターンは、前記第1無機膜及び前記第2無機膜によって完全に取り囲まれていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の有機発光ダイオード表示装置。
【請求項4】
前記第1無機膜の縁部と前記第2無機膜の縁部とが接しており、前記第2有機パターンのそれぞれは、前記第1無機膜及び前記第2無機膜によって完全に取り囲まれていることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の有機発光ダイオード表示装置。
【請求項5】
接着剤層を介して前記保護部材の上部面に付着されて前記基板と貼り合わされたエンキャプシュレーションを更に含み、
前記接着剤層は、前記エンキャプシュレーションと前記基板とを貼り合わせるように、前記エンキャプシュレーションと前記保護部材との間に形成され、前記第1有機パターンと、前記第1有機パターンに隣接する前記第2有機パターンとが離隔した領域にも形成されていることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の有機発光ダイオード表示装置。
【請求項6】
前記第1有機パターン及び前記第2有機パターンのそれぞれの厚さは、15μm〜25μmの範囲内であることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の有機発光ダイオード表示装置。
【請求項7】
基板の表示領域に定義された複数個のサブ画素毎に薄膜トランジスタを形成するステップと、
前記薄膜トランジスタと接続される有機発光ダイオードを形成するステップと、
前記有機発光ダイオードを完全に覆う第1無機膜を形成するステップと、
前記有機発光ダイオードを完全に覆う第1有機パターンと、前記第1有機パターンと離隔され、前記第1有機パターンの周辺を取り囲む少なくとも2つ以上の第2有機パターンとを含む有機膜を前記第1無機膜上に形成するステップと、
前記第1無機膜の少なくとも一部分上及び前記有機膜上に第2無機膜を形成するステップと、
を含み、
前記有機膜を形成するステップは、
前記第1無機膜上に有機物質を塗布するステップと、
溝を有するモールドを前記有機物質に接触させるステップとを含み、
最外郭の前記第2有機パターンを遮蔽構造で形成し、前記第1有機パターンに隣接する前記第2有機パターンを、部分的に開いた領域を有して形成することを特徴とする有機発光ダイオード表示装置の製造方法。
【請求項8】
接着剤層を介して前記第2無機膜の上部面にエンキャプシュレーションを付着するステップを含む、請求項7に記載の有機発光ダイオード表示装置の製造方法。
【請求項9】
前記有機膜を形成するステップは、
前記有機物質に前記第1有機パターン及び前記第2有機パターンのそれぞれを形成する領域に、前記溝が形成された前記モールドを位置させるステップと、
前記有機物質に前記モールドを密着及び加圧させるステップと、
前記有機物質を硬化させるステップと、
前記モールドを分離させるステップと、をさらに含むことを特徴とする、請求項7又は8に記載の有機発光ダイオード表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光ダイオード表示装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な情報を画面上に具現する映像表示装置は、情報通信時代の核心技術であって、より薄く、より軽く、携帯可能であると共に、高性能の方向に発展している。特に、有機発光ダイオード表示装置は、電極間の薄い発光層を用いた、自発光素子である有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode:OLED)を含んで構成される。前記のような有機発光ダイオード表示装置は、紙のように薄膜化が可能である。
【0003】
有機発光ダイオードは、基板のサブ画素領域毎に形成された薄膜トランジスタと接続される正極(Anode)である第1電極と、発光層(Emission Layer;EML)と、負極(Cathode)である第2電極とを含んで構成される。前記のような有機発光ダイオードは、第1及び第2電極の間の駆動電流に基づいて発光する。すなわち、駆動電流によって正孔と電子が発光層内で再結合して生成されたエキシトン(Exciton)が基底状態に落ちることによって、光が放出される。
【0004】
図1は、一般的な有機発光ダイオード表示装置の断面図である。
【0005】
図1のように、一般的な有機発光ダイオード表示装置は、基板10上の表示領域の各サブ画素毎に形成され、半導体層15、ゲート絶縁膜20、ゲート電極25、層間絶縁膜30、ソース電極35s及びドレイン電極35dを含む薄膜トランジスタと、当該薄膜トランジスタを被覆するように設けられた第1保護膜40と、薄膜トランジスタと接続され、第1電極45、有機発光層55及び第2電極60を含む有機発光ダイオードとを含む。有機発光ダイオードは、バンク絶縁膜50によって、隣接するサブ画素の有機発光ダイオードと区分される。
【0006】
有機発光ダイオードを覆うように保護部材65,70,75が形成される。保護部材65,70,75は、有機発光ダイオードを完全に覆うように、有機発光ダイオードが形成された表示領域だけでなく、表示領域の周辺を取り囲む非表示領域にまで形成される。そして、保護部材65,70,75上に接着剤80を介してガラスまたはフィルムのエンキャプシュレーション(Encapsulation)85が貼り付けられ、基板10とエンキャプシュレーション85とが貼り合わされる。
【0007】
保護部材65,70,75及びエンキャプシュレーション85は、水分、酸素などのような異物から有機発光ダイオードを保護する。一般に、異物95は、エンキャプシュレーション85によって保護されない有機発光ダイオード表示装置の側面を通して流入する。したがって、一般的な有機発光ダイオード表示装置において、側面に流入する水分及び酸素の表示装置内部への経路を接着剤80を用いて増加させるためには、接着剤80が形成される領域の幅を増加させなければならない。しかし、このことは、非表示領域の幅を増加させることになり、ナローベゼル(Narrow bezel)を具現できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような問題点を解決するためのもので、有機発光ダイオード表示装置の側面から水分及び酸素が浸透することを効率的に防止しつつ、ナローベゼル(Narrow bezel)を具現することができる有機発光ダイオード表示装置及びその製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明の有機発光ダイオード表示装置は、有機発光ダイオードを完全に覆う保護部材を含む。このとき、保護部材は、有機発光ダイオードを完全に覆う第1無機膜と、第1無機膜上に形成される有機膜と、第1無機膜及び有機膜上に形成される第2無機膜とを含む。そして、有機膜は、有機発光ダイオードの上部及び側部に対応する第1有機パターンと、第1有機パターンから離隔し、第1有機パターンを取り囲み、第1有機パターンの上面の高さと同じ高さの上面を有する第2有機パターンとを含む。このとき、第1、第2有機パターンは、15μm〜25μmの厚さを有する。
【0010】
また、本発明の有機発光ダイオードの製造方法は、モールドを用いるインプリンティング工程により有機膜を形成する。
【0011】
特に、第1、第2無機膜は、第1有機パターンと第2有機パターンとが離隔した領域において互いに接し、第1無機膜の縁部と第2無機膜の縁部も互いに接して、第1有機パターン、第2有機パターンは、第1、第2無機膜によって完全に取り囲まれる。そして、基板とエンキャプシュレーションとを貼り合わせるためにエンキャプシュレーションと保護部材との間に形成された接着剤は、第1有機パターンと第2有機パターンとが離隔した領域にも形成される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の有機発光ダイオード表示装置及びその製造方法は、インプリンティング方法により微細な幅を有する第2有機パターンを形成することによって、ナローベゼルを具現すると共に、有機発光ダイオード表示装置の側面から水分及び酸素が浸透することを効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一般的な有機発光ダイオード表示装置の断面図である。
図2】本発明の一実施例に係る有機発光ダイオード表示装置の断面図である。
図3図2の非表示領域の拡大図である。
図4A】保護部材の平面図である。
図4B】保護部材の平面図である。
図5A】本発明の一実施例に係る有機発光ダイオード表示装置の製造方法を示す工程断面図である。
図5B】本発明の一実施例に係る有機発光ダイオード表示装置の製造方法を示す工程断面図である。
図5C】本発明の一実施例に係る有機発光ダイオード表示装置の製造方法を示す工程断面図である。
図5D】本発明の一実施例に係る有機発光ダイオード表示装置の製造方法を示す工程断面図である。
図5E】本発明の一実施例に係る有機発光ダイオード表示装置の製造方法を示す工程断面図である。
図5F】本発明の一実施例に係る有機発光ダイオード表示装置の製造方法を示す工程断面図である。
図6A図5Dの有機膜を形成する工程を具体的に示す工程断面図である。
図6B図5Dの有機膜を形成する工程を具体的に示す工程断面図である。
図6C図5Dの有機膜を形成する工程を具体的に示す工程断面図である。
図6D図5Dの有機膜を形成する工程を具体的に示す工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付の図面を参照して、本発明に係る有機発光ダイオード表示装置を詳細に説明すると、次の通りである。
【0015】
図2は、本発明の一実施例に係る有機発光ダイオード表示装置の断面図であり、図3は、図2の非表示領域の拡大図である。そして、図4A及び図4Bは、保護部材の平面図である。
【0016】
図2のように、本発明の有機発光ダイオード表示装置は、複数個のサブ画素を含む表示領域及び非表示領域が定義された基板100と、サブ画素毎に形成された薄膜トランジスタTFT及び有機発光ダイオードOLEDと、有機発光ダイオードOLEDを完全に覆う保護部材と、接着剤175を介して基板100と貼り合わされたエンキャプシュレーション180とを含む。
【0017】
具体的には、基板100の表示領域にデータ配線とゲート配線とが交差して複数個のサブ画素が定義される。そして、サブ画素毎に、スイッチング薄膜トランジスタ、駆動薄膜トランジスタ、ストレージキャパシタ及び有機発光ダイオードが形成され、図2には、駆動薄膜トランジスタTFTと有機発光ダイオードOLEDのみを示した。
【0018】
駆動薄膜トランジスタTFTは、半導体層105と、半導体層105を覆うゲート絶縁膜110上に形成されるゲート電極115と、ゲート電極115を覆う層間絶縁膜120上に形成されるソース電極125s及びドレイン電極125dとを含む。図示していないが、半導体層105は、ソース領域、チャネル領域及びドレイン領域を含む。そして、ゲート電極115は、ゲート絶縁膜110を挟んで半導体層105のチャネル領域と重なる。ソース電極125s及びドレイン電極125dは、それぞれ半導体層105のソース領域及びドレイン領域と接続される。
【0019】
上記のような駆動薄膜トランジスタを覆うように第1保護膜130が形成される。第1保護膜130は、無機物質と有機物質が積層された構造で形成されてもよい。そして、第1保護膜130上に有機発光ダイオードOLEDが形成される。有機発光ダイオードは、第1電極135、有機発光層145及び第2電極150を含む。
【0020】
第1電極135は、第1保護膜130を貫通するコンタクトホールを介してドレイン電極125dと接続される。有機発光層145から放出される光がエンキャプシュレーション180を介して放出される場合、第1電極135は、不透明伝導性物質と透明伝導性物質が積層された構造で形成されてもよい。または、有機発光層145から放出される光が基板100を介して放出される場合、第1電極135は透明伝導性物質で形成される。
【0021】
そして、第1電極135の縁領域を覆うバンク絶縁膜140は、隣接するサブ画素の間に形成されて有機発光ダイオードの発光領域を定義し、隣接する有機発光ダイオードを区分する。
【0022】
有機発光層145は、バンク絶縁膜140によって露出された第1電極135上に形成される。第2電極150は有機発光層145上に形成される。第2電極150は、表示領域の複数個の有機発光層145及びバンク絶縁膜140を覆うように一体型に形成されるか、または第1電極135のように各サブ画素毎に形成されてもよい。有機発光層145から放出される光がエンキャプシュレーション180を介して放出される場合、第2電極150は、上述した透明伝導性物質で形成される。または、有機発光層145から放出される光が基板100を介して放出される場合、第2電極150は不透明伝導性物質で形成される。
【0023】
そして、第2電極150上に第2保護膜155が形成される。第2保護膜155は、有機物質で形成されることで、保護部材160,165,170を形成する前に流入した異物による第2電極150の損傷などを防止する。
【0024】
そして、前記のような第2保護膜155上に、有機発光ダイオードを水分、酸素などのような異物から保護するための保護部材160,165,170が備えられる。保護部材160,165,170は、有機発光ダイオードを完全に覆うように、表示領域だけでなく非表示領域にまで形成される。保護部材160,165,170は、無機膜と有機膜が積層された構造である。例示的に、図では、保護部材160,165,170が第1無機膜160、有機膜165及び第2無機膜170が順次積層された構造であるものと示したが、保護部材160,165,170の構造はこれに限定されない。
【0025】
具体的には、第2保護膜155上に、SiN、SiO、SiON、及びAlなどのような無機物質からなる第1無機膜160が形成される。第1無機膜160は、基板100上に形成され、異物の流入を防止するように、表示領域に形成された複数個の有機発光ダイオードを完全に覆う。図示していないが、基板100上の非表示領域に形成されたパッド部(図示せず)は、第1無機膜160で覆われない。第1無機膜160の厚さは0.5μm〜1.5μmであってもよい。
【0026】
第1無機膜160上にBenzocyclobutene(BCB)またはアクリル(Acryl)系樹脂などのような有機物質からなる有機膜165が形成される。有機膜165は、流入してきた異物の有機発光ダイオードOLEDへの移動経路を遮断するためのものである。これによって、異物が表示装置内に流入してきても、有機膜165によって異物の有機発光ダイオード内部への侵入が抑制されるため、有機発光ダイオードの寿命を維持することができる。また、有機膜165は、一般的には10μm程度の大きさを有する異物が流入しても表面を平坦に維持できる程度の十分な厚さで形成される。例示的に、有機膜165の厚さは15μm〜25μmであってもよい。
【0027】
有機膜165は、表示領域に形成された複数個の有機発光ダイオードの上部及び側部に対応する第1有機パターン165aと、第1有機パターン165aを取り囲むように非表示領域に形成された第2有機パターン165bとを含む。
【0028】
具体的には、第1有機パターン165aは、第1無機膜160を挟んでバンク絶縁膜140の縁部まで覆うように形成されて、有機発光ダイオードを完全に覆う。有機発光ダイオードと重なる領域での第1有機パターン165aの厚さは、有機発光ダイオードと重ならない最外郭領域での第1有機パターン165aの厚さとは異なる。すなわち、第1有機パターン165aが最も厚い領域は、第1有機パターン165aの最外郭領域である。
【0029】
第2有機パターン165bは、第1有機パターン165aの上部面と同じ高さの上部面を有し、第2有機パターン165bの厚さは、第1有機パターン165aの最外郭領域の厚さと同一である。第2有機パターン165bは、非表示領域に形成され、第1有機パターン165aの縁部から一定間隔離隔され第1有機パターン165aの周辺を取り囲む。このとき、第2有機パターン165bは、少なくとも1つ以上備えられ、図では、2つの第2有機パターン165bを図示した。
【0030】
そして、前記のような有機膜165上に、有機膜165を完全に覆う第2無機膜170が形成される。第2無機膜170は、第1無機膜160のように、SiN、SiO、SiON、及びAlなどのような無機物質で形成される。第2無機膜170の厚さは0.5μm〜1.5μmであってもよい。第2無機膜170は、有機膜165の表面に沿って形成されて、第1有機パターン165aと第2有機パターン165bとが離隔した領域において第1無機膜160と第2無機膜170とが互いに接触する。そして、第1無機膜160の縁部と第2無機膜170の縁部も互いに接触する。したがって、第1、第2無機膜160,170の間に挟まれた有機膜165は、第1、第2無機膜160,170によって完全に取り囲まれる。
【0031】
具体的には、図3のように、第2有機パターン165bの幅wが広すぎる場合、非表示領域の幅が増加してナローベゼルを具現することができない。したがって、第2有機パターン165bの幅wは、数十nm〜数十μmであることが好ましい。例えば、第2有機パターン165bの幅wは10nmであることが好ましい。
【0032】
また、第1、第2有機パターン165a,165bの離隔間隔dが広すぎる場合にも、ナローベゼルを具現することができず、離隔間隔が狭すぎる場合、第1、第2有機パターン165a,165bの表面に第2無機膜170を均一な厚さで形成することができない。
【0033】
具体的には、第1、第2有機パターン165a,165bの離隔間隔dは、第2無機膜170の厚さtの二倍よりも大きくなければならない。これは、第1、第2有機パターン165a,165bの離隔領域において第2無機膜170が均一な厚さを有することで、第2無機膜170が第1、第2有機パターン165a,165b上に均一に形成されるようにするためである。
【0034】
そして、第1、第2有機パターン165a,165bの離隔間隔dが広すぎる場合、ナローベゼルを具現することができない。したがって、第1、第2有機パターン165a,165bの離隔間隔dは、ナローベゼル及び工程マージンを考慮して、第2有機パターン165bの幅wよりは小さいことが好ましい。
【0035】
図4Aのように、本発明の一実施例に係る第1有機パターン165aは、表示領域に形成された複数個の有機発光ダイオードを完全に覆い、少なくとも1つの第2有機パターン165bは、非表示領域に形成されて第1有機パターン165aの周辺を取り囲む。
【0036】
特に、図4Bのように、2つの第2有機パターン165bを有する場合、最外郭の第2有機パターン165bは、第1有機パターン165aを完全に取り囲む遮蔽構造で形成され、第1有機パターン165aと隣接する第2有機パターン165bは、部分的にオープン(OPEN)された領域を有することができる。このように第2有機パターン165bを構成することで、例えば樹脂系の材料から第2有機パターン165bを形成する際に生じ得る余分な材料を、オープンされた領域を介して表示領域の外へ排出することができる。このようにして第2有機パターン165bの材料が表示領域へ浸透することを抑制することにより、表示領域に表示される画像にむらが生じてしまう現象を回避することができる。
【0037】
再び図2を参照すると、接着剤175を介して、ガラスまたはフィルムのエンキャプシュレーション180が基板100と貼り合わされる。接着剤175は、保護部材160,165,170の上部面及び側面まで完全に覆うように、第1有機パターン165aと第2有機パターン165bとが離隔した領域にも形成される。このとき、接着剤175は、樹脂系の材料で形成され、エンキャプシュレーション180と基板100とを貼り合わせると共に、側面から有機発光ダイオードOLEDに流入しようとする水分及び酸素の経路を遮断する。
【0038】
したがって、本発明の一実施例に係る有機発光ダイオード表示装置は、第1無機膜160、有機膜165及び第2無機膜170が積層された多重層構造の保護部材160,165,170を備えることで、有機発光ダイオードの内部に流入しようとする酸素及び水分を遮断することができる。特に、有機膜165が、表示領域に形成された複数個の有機発光ダイオードの上部及び側部に対応する第1有機パターン165aと、第1有機パターン165aを取り囲むように非表示領域に形成された第2有機パターン165bとを含み、第1、第2有機パターン165a,165bが第1、第2無機膜160,170によって完全に取り囲まれるので、側面からの酸素及び水分を効率的に遮断することができ、ナローベゼルを具現できる。
【0039】
例えば、有機膜165が第1有機パターン165a及び1つの第2有機パターン165bを含む場合、側面から酸素及び水分が有機発光ダイオードに流入するためには、接着剤175−第2無機膜170−第2有機パターン165b−第2無機膜170−接着剤175−第2無機膜170−第1有機パターン165a−第1無機膜160の全てを通過しなければならない。したがって、本発明は、酸素及び水分の浸透を効果的に遮断することができる。
【0040】
特に、第2有機パターン165bは、数十nm〜数十μmの微細な幅を有する。したがって、本発明の有機発光ダイオード表示装置は、表示領域の縁部から基板100の縁部までの非表示領域の幅を増加させずに、効率的に酸素及び水分を遮断できるので、1mm以下のナローベゼルを具現することができる。
【0041】
以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施例に係る有機発光ダイオード表示装置の製造方法を具体的に説明すると、次の通りである。
【0042】
図5A乃至図5Fは、本発明の一実施例に係る有機発光ダイオード表示装置の製造方法を示す工程断面図である。そして、図6A乃至図6Dは、図5Dの有機膜を形成する工程を具体的に示す工程断面図である。
【0043】
図5Aのように、基板100の表示領域にゲート配線とデータ配線が交差して定義された複数個のサブ画素毎に、半導体層105、ゲート絶縁膜110上のゲート電極115、層間絶縁膜120上のソース電極125s及びドレイン電極125dを形成することによって、駆動薄膜トランジスタを形成する。図示していないが、駆動薄膜トランジスタを形成するとき、駆動薄膜トランジスタと接続されたスイッチング薄膜トランジスタをさらに形成する。
【0044】
そして、駆動薄膜トランジスタを覆うように有機物質で第1保護膜130を形成する。そして、第1保護膜130を選択的に除去し、第1保護膜130を貫通するコンタクトホールを形成する。駆動薄膜トランジスタのドレイン電極125dの少なくとも一部は、コンタクトホールによって露出する。図では、単一層の第1保護膜130を示したが、第1保護膜130を有機物質と無機物質とが積層された構造で形成してもよい。
【0045】
次いで、図5Bのように、第1保護膜130上に有機発光ダイオードを形成する。具体的には、コンタクトホールを含む第1保護膜130の全面に第1電極物質を形成し、これをパターニングして、コンタクトホールを介してドレイン電極125dと接続される第1電極135を形成する。第1電極135は、各サブ画素の駆動薄膜トランジスタと接続され、各サブ画素毎に分離された構造である。
【0046】
そして、第1電極135を含む基板100の全面にポリイミド、フォトアクリル(photo acryl)、ベンゾシクロブテン(BCB)などのような有機絶縁物質を塗布し、これをパターニングして、第1電極135の一部の領域を露出させるバンク絶縁膜140を形成する。バンク絶縁膜140は、隣接するサブ画素の間に形成されて有機発光ダイオードの発光領域を定義し、隣接する有機発光ダイオードを区分する。
【0047】
次いで、バンク絶縁膜140によって露出された第1電極135上に有機発光層145を形成する。そして、バンク絶縁膜140及び有機発光層145を含んだ基板100の全面に第2電極物質を形成し、これをパターニングして、第2電極150を形成する。第2電極150は、表示領域の複数個の有機発光層145及びバンク絶縁膜140を覆うように一体型に形成する。そして、保護部材160,165,170を形成する前に流入した異物による第1、第2電極135,150及び有機発光層145の損傷などを防止するために、第2電極150上に第2保護膜155を形成する。第2保護膜155は有機物質で形成する。即ち、無機物質からなる第2電極150上には、有機物質からなる第2保護膜155が形成されるように構成する。
【0048】
そして、図5Cのように、第2保護膜155を含んだ基板100の全面に、スパッタリングまたはCVD工程を用いて、SiN、SiO、SiON、及びAlなどのような物質を形成し、これを選択的に除去して第1無機膜160を形成する。第1無機膜160は、表示領域に形成された複数個の有機発光ダイオードを完全に覆い、基板100のパッド領域を露出させるように形成される。
【0049】
そして、図5Dのように、第1無機膜160上に、インプリンティング工程により、有機物質を用いて、第1、第2有機パターン165a,165bを含む有機膜165を形成する。
【0050】
具体的には、図6Aのように、第1無機膜160を含む基板100の全面に、Benzocyclobutene(BCB)またはアクリル(Acryl)系樹脂などのような有機物質200を塗布する。このとき、有機物質200は、異物が流入しても表面を平坦化できるように十分な厚さで形成する。
【0051】
そして、図6Bのように、真空状態で有機物質200上にモールド300を位置させる。モールド300は、第1有機パターン165aを形成する領域及び第2有機パターン165bを形成する領域に対応する溝300aを含む。溝300aは、電子ビームを用いたエッチング方法またはフォトリソグラフィ工程などで形成することで、溝の深さ及び幅を容易に調節することができる。このとき、溝300aの深さは、第2有機パターン165bの厚さに対応する。例示的に、溝300aの深さは、15μm〜25μmであってもよい。また、溝300aの幅は、第2有機パターン165bの幅に対応する。例示的に、溝300aの幅は、数十nm〜数十μmであってもよい。
【0052】
そして、図6Cのように、有機物質200にモールド300を密着及び加圧して、有機物質200がモールド300の溝300aに充填される。次いで、モールド300が有機物質200に密着した状態で熱を加えるか、またはUVを照射して、有機物質を硬化させる。したがって、本発明は、モールド300が加圧された状態で硬化処理を行うので、有機物質200の縁部が流れ落ちることを防止することができる。
【0053】
そして、図6Dのように、硬化された有機物質からモールド300を分離し、第1、第2有機パターン165a,165bを形成する。図示していないが、第1、第2有機パターン165a,165bの周辺に残っている残膜を除去する工程がさらに行われてもよい。
【0054】
前記のようなインプリンティング工程は、電子ビームまたはフォトリソグラフィ工程により、微細な幅を有する溝300aをモールド300に形成できるので、微細な幅を有する第2有機パターン165bを形成することができる。また、インプリンティング工程は、基板100とモールド300との貼り合わせ公差が小さいので、第1、第2有機パターン165a,165bを正確な位置に形成することができる。
【0055】
第1有機パターン165aは、複数個の有機発光ダイオードの上部及び側部だけでなく、第1無機膜160を挟んでバンク絶縁膜140の側部まで対応することによって、有機発光ダイオードを完全に取り囲む。このようにして形成される第1有機パターン165aの厚さは、有機発光ダイオードと重なる領域と、有機発光ダイオードと重ならない最外郭領域とにおいて互いに異なり、最外郭領域の厚さが最も厚い。
【0056】
そして、第2有機パターン165bは、第1有機パターン165aの縁部から一定間隔離隔され、第1有機パターン165aの周辺を取り囲むように非表示領域に形成される。第2有機パターン165bの厚さは、第1有機パターン165aの最外郭の厚さと同一である。すなわち、本発明の一実施例は、非表示領域の第2有機パターン165bが十分な厚さを有することで、側面に水分及び酸素が浸透することを効果的に防止することができる。
【0057】
次いで、図5Eのように、第1無機膜160及び有機膜165上に、スパッタリングまたはCVD工程を用いて、SiN、SiO、SiON、及びAlなどのような物質を形成し、これをパターニングして、第2無機膜170を形成する。第2無機膜170は、第1、第2有機パターン165a,165bの表面に沿って形成されて、第1有機パターン165aと第2有機パターン165bとが離隔した領域において第1無機膜160と第2無機膜170とが互いに接し、また第1無機膜160の縁部と第2無機膜170の縁部とが接する。したがって、第1、第2有機パターン165a,165bは、第1、第2無機膜160,170によって完全に取り囲まれる。
【0058】
したがって、本発明の一実施例に係る有機発光ダイオード表示装置は、第1無機膜160、有機膜165及び第2無機膜170が積層された多重層構造の保護部材160,165,170を備えることで、有機発光ダイオードの内部に流入しようとする酸素及び水分を遮断することができる。特に、有機膜165は、表示領域に形成された複数個の有機発光ダイオードの上部及び側部に対応する第1有機パターン165aと、第1有機パターン165aを取り囲むように非表示領域に形成された第2有機パターン165bとを含み、第1、第2無機膜160,170の間に挟まれた第1、第2有機パターン165a,165bが第1、第2無機膜160,170によって完全に取り囲まれるので、非表示領域を幅を増大させること無く側面からの酸素及び水分を効率的に遮断することができ、ナローベゼルを具現できる。
【0059】
そして、図5Fのように、ガラスまたはフィルムのエンキャプシュレーション180の一面に接着剤175を塗布し、保護部材160,165,170が形成された基板100とエンキャプシュレーション180とが互いに対向するように配置した後、接着剤175を介して基板100とエンキャプシュレーション180とを貼り合わせる。
【0060】
上述した本発明の一実施例によれば、インプリンティング工程により有機膜を形成することによって、有機発光ダイオード表示装置は、ナローベゼルを具現すると共に、側面から水分及び酸素が浸透することを効果的に防止することができる。
【0061】
一般的な有機発光ダイオード表示装置は、スクリーンプリンティング方法により、有機膜を形成する領域にのみ有機物質を塗布するので、有機物質を硬化させる前に有機物質が流れてしまい、有機膜の上部に形成される無機膜が有機膜の縁部を十分に覆うことができないという問題が発生する。したがって、これを防止するために、一般的な有機発光ダイオード表示装置は、非表示領域に有機物質が流れることを防止するための構造物をさらに形成するので、構造物を形成するための数百μmの領域が必要である。
【0062】
しかし、本発明の一実施例は、インプリンティング工程により微細な幅を有する有機膜165を形成するとき、基板100の全面に有機物質200を塗布した後、真空状態で直ちにモールド300を用いて加圧し、モールド300が加圧された状態で硬化を行うので、有機物質200の縁部が流れ落ちることを防止することができる。特に、第2有機パターン165bの厚さが、有機発光ダイオード上に形成される第1有機パターン165aの厚さと同一であるので、非表示領域の第2有機パターン165bが十分な厚さを有する。したがって、本発明は、側面から水分及び酸素が浸透することを効果的に防止することができる。
【0063】
以上で説明した本発明は、上述した実施例及び添付の図面に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で様々な置換、変形及び変更が可能であるということが、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって明白であるだろう。
【符号の説明】
【0064】
100 基板
105 半導体層
110 ゲート絶縁膜
115 ゲート電極
120 層間絶縁膜
125d ドレイン電極
125s ソース電極
130 第1保護膜
135 第1電極
140 バンク絶縁膜
145 有機発光層
150 第2電極
155 第2保護膜
160 第1無機膜
165 有機膜
165a 第1有機パターン
165b 第2有機パターン
170 第2無機膜
175 接着剤
180 エンキャプシュレーション
200 有機物質
300 モールド
300a 溝
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6A
図6B
図6C
図6D