(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6487312
(24)【登録日】2019年3月1日
(45)【発行日】2019年3月20日
(54)【発明の名称】骨固定具をロッドに結合するための受け部およびこのような受け部を有する骨固定装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/70 20060101AFI20190311BHJP
【FI】
A61B17/70
【請求項の数】14
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-226580(P2015-226580)
(22)【出願日】2015年11月19日
(65)【公開番号】特開2016-97308(P2016-97308A)
(43)【公開日】2016年5月30日
【審査請求日】2017年10月19日
(31)【優先権主張番号】14194064.3
(32)【優先日】2014年11月20日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】62/082,517
(32)【優先日】2014年11月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511211737
【氏名又は名称】ビーダーマン・テクノロジーズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】BIEDERMANN TECHNOLOGIES GMBH & CO. KG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルッツ・ビーダーマン
(72)【発明者】
【氏名】ベルント・フィッシャー
【審査官】
吉川 直也
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2010/0204735(US,A1)
【文献】
特表2008−502458(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0123858(US,A1)
【文献】
特開2012−130696(JP,A)
【文献】
特開2001−017441(JP,A)
【文献】
特表2014−527851(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨固定具をロッドに結合するための受け部であって、
前記骨固定具は、骨もしくは脊椎に固定するためのシャンク(2,2′)を含み、前記受け部(3,3′,3′′,3′′′,30,30′,30′′)は、
第1の端部(3a)と第2の端部(3b)とを含み、前記第2の端部(3b)は、前記シャンク(2,2′)に接続され、前記受け部はさらに、
前記第1の端部(3a)から固定装置(9)を受けるための前記受け部内に延在する穴(7)を含み、前記穴は穴軸線(C)を有し、前記受け部はさらに、
ロッド(100,1000)を受けるためのU字形状の凹部(4,4′,4′′)を含み、前記凹部は、前記ロッドの挿入を可能にするために前記受け部の前記第1の端部(3a)において開かれ、ロッドが前記凹部に挿入されると、前記ロッドの長手軸(L)は、前記穴軸線(C)に対して実質的に垂直に延在し、前記凹部(4,4′,4′′)は、前記穴(7)の少なくとも一方の側に、対向する側壁(4b)を含み、
弾性保持要素(40,400,400′,400′′)が、前記対向する側壁(4b)の少なくとも一方に設けられ、前記弾性保持要素は、前記ロッド(100,1000)が挿入されると前記少なくとも一方の側壁(4b)に向けて偏向可能であり、前記弾性保持要素(40,400,400′,400′′)と前記少なくとも一方の側壁(4b)とが一体に形成された、受け部。
る、受け部。
【請求項2】
前記凹部(4,4′,4′′)は、前記受け部の2つの対向する脚部(5,6)を形成し、前記脚部(5,6)は、前記ロッドが挿入された時に広がらないように構成される、請求項1に記載の受け部。
【請求項3】
前記弾性保持要素(40,400,400′,400′′)は、挿入されたロッドを前記凹部内に摩擦により保持するように構成されるような程度で前記凹部内に突出する、請求項1または2に記載の受け部。
【請求項4】
前記弾性保持要素(40,400,400′,400′′)は、前記ロッドが前記凹部(4,4′,4′′)の底部(4a,10a,11a,12a,4a′,4a′′)にある時に挿入されたロッドの軸方向における高さの半分以上である前記穴軸線(C)の軸方向における高さに位置決めされる、請求項1から3のいずれか1項に記載の受け部。
【請求項5】
前記対向する側壁(4b)は、第1の対向する側壁であり、前記凹部の第2の対向する側壁が前記穴(7)の反対側に設けられ、弾性保持要素(40,400,400′,400′′)が前記対向する側壁の各々に設けられる、請求項1から4のいずれか1項に記載の受け部。
【請求項6】
前記弾性保持要素(40,400,400′,400′′)は、前記凹部内に突出するとともにスリット(41,401,401′,401′′)によって前記少なくとも1つの側壁(4b)から分離されている突出部によって形成される、請求項1から5のいずれか1項に記載の受け部。
【請求項7】
前記スリット(41)は、2つの対向する側において開かれる、請求項6に記載の受け部。
【請求項8】
前記スリット(401,401′,401′′)は、3つの側において開かれる、請求項6または7に記載の受け部。
【請求項9】
骨固定具をロッドに結合するための受け部であって、
前記骨固定具は、骨もしくは脊椎に固定するためのシャンク(2,2′)を含み、前記受け部(30′′′)は、
第1の端部(3a)と第2の端部(3b)とを含み、前記第2の端部(3b)は、前記シャンク(2,2′)に接続され、前記受け部はさらに、
前記第1の端部(3a)から固定装置(9)を受けるための前記受け部内に延在する穴(7)を含み、前記穴は穴軸線(C)を有し、前記受け部はさらに、
ロッド(100,1000)を受けるためのU字形状の凹部(4,4′,4′′)を含み、前記凹部は、前記ロッドの挿入を可能にするために前記受け部の前記第1の端部(3a)において開かれ、ロッドが前記凹部に挿入されると、前記ロッドの長手軸(L)は、前記穴軸線(C)に対して実質的に垂直に延在し、前記凹部(4,4′,4′′)は、前記穴(7)の少なくとも一方の側に対向する側壁(4b)を含み、
弾性保持要素(400′′′)が、前記対向する側壁(3b)の少なくとも一方に設けられ、前記弾性保持要素は、前記ロッド(100,1000)が挿入されると前記少なくとも一方の側壁(4b)に向けて偏向可能であり、
前記弾性保持要素(400′′′)は別個の部品であり、
前記弾性保持要素は、前記対向する側壁(4b)における溝(401′′′)に挿入される実質的にU字形状のクリップである、受け部。
【請求項10】
前記凹部(4,4′,4′′)は、前記受け部の2つの対向する脚部(5,6)を形成し、前記脚部(5,6)は、前記ロッドが挿入された時に広がらないように構成される、請求項9に記載の受け部。
【請求項11】
前記弾性保持要素(400′′′)は、挿入されたロッドを前記凹部内に摩擦により保持するように構成されるような程度で前記凹部内に突出する、請求項9または10に記載の受け部。
【請求項12】
前記凹部(4,4′,4′′)の底部(4a′)は、異なる直径を有する少なくとも2つのロッド(100,1000)を支持するように構成された形状を有し、前記保持要素(400′)は、異なる直径のロッド(100,1000)と係合するように構成される、請求項1から11のいずれか1項に記載の受け部。
【請求項13】
前記凹部(4,4′,4′′)は、挿入部分(4c′′)と、前記ロッドが置かれ得るロッド座部部分(4a′)とを有し、前記挿入部分は、前記ロッドのための挿入方向に対して横断する方向に前記ロッド座部部分からずれている、請求項1から12のいずれか1項に記載の受け部。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項に記載の受け部と、骨もしくは脊椎に固定するためのシャンク(2,2′)を有する骨固定具と、ロッド(100,1000)とを含む、骨固定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨固定具をロッドに結合するための受け部、およびこのような受け部を含む骨固定装置に関する。より具体的に、この発明は、ロッドを受けるための凹部と、凹部においてロッドを一時的に保持するための少なくとも1つの弾性保持要素とを有する受け部に関する。骨固定装置は、脊椎安定化システムにおける使用に特に好適である。
【背景技術】
【0002】
脊椎安定化システムを使用して脊柱を安定化する工程は、たとえば椎弓根スクリューなどの骨固定具、および骨固定具を接続するロッドを配置することを伴う。外科的処置時において、骨固定具の受け部は、ロッドが挿入されて最終的に固定され得るように位置合わせしなければならない。受け部のうちの1つにひとたび挿入されたロッドが固定される前に再び滑り落ちることが起こり得る。これは、処置を困難にするとともに時間を浪費し得ることから、望ましくない。
【0003】
米国特許第7,731,736号B2から、骨固定システムのレシーバーが公知である。このレシーバーは、ロッドがレシーバーに挿入された時にロッドを自動的に仮保持するものである。レシーバーは、ロッド座部と、間隔を空けられた脚部とを含み、脚部は対向するタブの形態の仮保持構造をさらに含む。タブは、レシーバーのポケット内に横方向へ突出する。ロッドを挿入する前に、レシーバーの脚部は、偏向していない配向にある。ロッドがポケット内で下方向に押されると、これによって脚部が互いに離れる方向に偏向し、ロッドが収容される。特定の実施形態において、部分的に偏向した脚部がロッドに対して締付力を加える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7,731,736号B2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、ロッドを骨固定具に結合するための向上した受け部、およびロッドを一時的に保持することができ、特定の設計に関わらずさまざまなタイプの受け部に適用可能な、このような受け部を含む骨固定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1に記載の受け部および請求項14に記載の骨固定装置によって解決される。さらなる発展形は、従属請求項において特定される。
【0007】
本発明によれば、骨固定具をロッドに結合するための受け部が提供され、受け部は、ロッドを受けるための凹部と、固定装置を挿入するための穴とを含み、穴軸線は、挿入されるロッドの長手軸に対して実質的に垂直であり、凹部は、対向する側壁と、対向する側壁のうちの少なくとも一方から突出する弾性保持要素とを含む。ロッドが凹部に挿入されると、ロッドは少なくとも1つの保持要素によって凹部内で一時的に保持され得る。
【0008】
保持要素が凹部の側壁に設けられ、固定要素を収容する穴内に設けられていないことから、ロッドのための凹部を有する受け部の任意の従来公知の設計に、受け部および受け部と相互作用する他の部分の設計を実質的に変更することなくこのような保持要素を設けることができる。保持要素の機能は、単軸骨固定装置の受け部、上部搭載タイプもしくは底部搭載タイプの多軸骨固定装置の受け部、ならびにヘッドの締付および係止が外側係止リングによってもたらされる受け部など、すべてのタイプの受け部において同じとなる。ロッドを最終的に固定装置に固定した後は、保持要素はさらなる機能を有し得ない。
【0009】
保持要素は、ロッドが凹部から滑り落ちることを防止し、特に、ロッドを複数の骨固定装置に挿入する工程において、またはロッドに対する骨固定装置の位置を調節する際にロッドが不意に滑り落ちることを防止する。
【0010】
保持要素は、ロッドを所定位置に仮保持するためにロッドに摩擦力を加えるような位置に設けられ得る。
【0011】
さらなる局面において、保持要素を有する受け部は、異なる直径のロッドを保持することができるような態様で構成され得る。これを実現するために、ロッド座部を形成する凹部の底部は、V字溝などの特定の形状を有し得る。これにより、1つの同じ骨固定装置を異なる直径を有するロッドとともに使用することができる。
【0012】
さらなる局面において、保持要素は、凹部の一方の側壁のみに設けられ得て、ロッドのための挿入部分は、受け部の穴軸線から偏り得るが、チャネルの底部のロッド座部は、穴軸線に対して実質的に対称となり得る。保持要素の保持機能は、この構成によって向上し得る。
【0013】
さらなる局面において、保持要素は、凹部の側壁に接続可能な別個の部品によって形成される。これにより、保持要素を特に弾性的に保持要素の材料を使用することができる。保持要素の材料は、受け部の材料とは異なり得る。
【0014】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面による実施形態の記載によって明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】シャンク(一部のみが示される)および受け部を有する、ならびにロッドおよび固定装置を有する、単軸骨固定装置を含む骨固定装置の一実施形態を示す分解斜視図である。
【
図2】組み立てられた状態の
図1の骨固定装置を示す斜視図である。
【
図3】断面が受け部の穴軸線を通るとともにロッドの長手軸に対して垂直に延在する、
図2の組み立てられた骨固定装置を示す断面図である。
【
図4a】
図1から
図3の骨固定装置の受け部にロッドを挿入して保持するステップを示す正面図である。
【
図4b】
図1から
図3の骨固定装置の受け部にロッドを挿入して保持するステップを示す正面図である。
【
図4c】
図1から
図3の骨固定装置の受け部にロッドを挿入して保持するステップを示す正面図である。
【
図4d】
図1から
図3の骨固定装置の受け部にロッドを挿入して保持するステップを示す正面図である。
【
図5】受け部と、受け部に対して多軸的に接続可能な別個の骨固定具と、ロッドと、固定装置とを含む骨固定装置の変形実施形態を示す分解斜視図である。
【
図6】断面が受け部の穴軸線を通るとともにロッドの長手軸に対して垂直に延在する、組み立てられた状態の
図5に係る骨固定装置の変形実施形態を示す断面図である。
【
図7】受け部と、受け部に対して多軸的に接続可能な別個の骨固定具と、ロッドと、固定装置とを有する骨固定装置のさらなる変形実施形態を示す図である。
【
図8】断面が受け部の穴軸線を通るとともにロッドの長手軸に対して垂直に延在する、組み立てられた状態の
図7の骨固定装置を示す断面図である。
【
図9】受け部と、受け部に対して多軸的に接続可能であって外側リングによって係止され得る別個の骨固定具と、さらにロッドと固定装置とを含む、骨固定装置のさらなる変形実施形態を示す図である。
【
図10】断面が受け部の穴軸線を通るとともにロッドの長手軸に対して垂直に延在する、組み立てられた状態の
図9に示される骨固定装置を示す断面図である。
【
図11】受け部とこれに接続されたシャンク(一部のみが示される)とを含む単軸骨固定装置の形態の骨固定装置のさらなる実施形態を示す斜視図である。
【
図12a】
図11に係る骨固定装置にロッドを挿入するステップを示す正面図である。
【
図12b】
図11に係る骨固定装置にロッドを挿入するステップを示す正面図である。
【
図13】受け部とこれに接続されたシャンク(一部のみが示される)とを含む単軸骨固定装置の形態の骨固定装置のさらなる実施形態を示す斜視図である。
【
図15】第1の直径を有するロッドが挿入され、固定装置が取り付けられた、
図13および
図14の骨固定装置を示す正面図である。
【
図16】第2の直径を有するロッドが挿入され、固定装置が取り付けられた、
図13および
図14の骨固定装置を示す正面図である。
【
図17】受け部とこれに接続されたシャンク(一部のみが示される)とを含む骨固定装置のさらなる実施形態を示す斜視図である。
【
図20】受け部と、これに接続されたシャンク(一部のみが示される)と、別個の保持要素と、ロッドとを含む単軸骨固定装置の形態の骨固定装置のさらなる実施形態を示す図である。
【
図21】断面が受け部の穴軸線に平行かつロッドのためのチャネルの側壁を通って延在する、保持要素が組み立てられた状態の
図20の骨固定装置を示す断面図である。
【
図22a】保持要素が
図21と同様に組み立てられ、ロッドが挿入された、
図20の骨固定装置を示す断面図である。
【
図23】延長タブを伴う脚部を有する受け部と受け部に接続されるシャンク(一部のみ示される)とを含む骨固定装置のさらなる実施形態を示す斜視図である。
【
図24a】延長タブの対向する内側壁において保持突出部のパターンが視認可能である、組み立てられた状態の
図23の骨固定装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
受け部の実施形態は、単軸骨固定装置1を示す
図1から
図3に示される。骨固定装置1は、骨ねじ部と先端(図示せず)とを有するシャンク2と、骨固定装置を他の骨固定装置に接続するロッド100を受けるための、シャンク2に固く接続された受け部3とを有する。単軸という用語は、受け部3に対して固定された角度でシャンク軸が延在することを意味する。実施形態において、角度は0度であるが、他の角度であってもよい。受け部3は、第1の端部3aと反対側の第2の端部3bとを含み、第2の端部3bはシャンク2に隣接する。第1の端部3aにおいて、凹部4の形態のロッドのためのチャネルが設けられ、これはロッド100のための座部を形成する凹部の底部4aを伴う実質的にU字形状の断面を有する。凹部4によって、2つの自由脚部5,6が形成される。穴7は、第1の端部3aから凹部4の底部4aの下方の深さへ延在する。第1の端部3aに隣接して、内ねじ部8が脚部5,6に設けられる。内ねじ部8は、固定要素9の対応する外ねじ部と協働する。実施形態において、示される固定要素9は止めねじである。穴7は、ねじ切りシャンク2の回転軸線と同軸である穴軸線Cを有する。凹部4の対向する側壁4bは、穴7の両側に形成されており、そのため、一対の対向する側壁4bが穴7の各側に配置される。
【0017】
凹部4の側壁4bの各々に、実質的にU字形状の凹部4の幅を穴軸線に対して垂直な方向に減少させるように構成される保持要素40が設けられる。保持要素40は、2つの対向する保持要素40の間の距離がロッド100の幅よりも小さくなるように凹部
4へ突出する。実施形態に係る筒状ロッド100の場合において、対向する側壁4bの保持要素40の間の距離は、ロッド100の直径よりも小さい。保持要素40は、穴軸線Cに対して垂直であってロッド100の長手軸Lに対して平行に延在するリブの形状を有する。穴軸線Cの軸方向における位置は、ロッド100が挿入されて底部4a上に支持された時に凹部4の底部4aから測定してロッド100の中心以上に保持要素40が位置決めされるように設定される。
【0018】
保持要素40は弾性を有する。特に、保持要素40は、側壁4bのそれぞれと一体に形成される。保持要素40の弾性は、ロッド100が挿入された時に保持要素が外方へ移動するように、すなわち、穴軸線Cから離れる方向へ移動するように構成され、保持要素40の間の距離が大きくなり、ロッド100がその間を通れるように設定される。ロッド100が取り外され、保持要素40に対して圧力が加えられなくなると、保持要素40は元の形状に戻り、凹部の幅を再び制限する。
【0019】
保持要素40の弾性は、側壁4bのそれぞれを通って受け部3の外側から穴7へ穴軸線に対して実質的に垂直な方向に延在する、角度を付けたスリットもしくは凹部41を側壁4bの各々に設けることによって実現される。このため、凹部41は2つの側で開かれる。凹部41の断面は、V字形状に似ており、Vの脚の間は鈍角である。凹部41により、保持要素40を形成するリブは、凹部41内へ移動する空間があることから、外方向に押され得る。
【0020】
凹部41のサイズ、形状、および位置は、保持要素40の所望の柔軟性を得るように選択され得る。
【0021】
受け部3の外形は、実質的に筒状であり得るが、任意の他の形状が考えられ得る。
骨固定装置の部品は、たとえば、生体適合金属、生体適合合金、または生体適合プラスチック材料などの生体適合材料からなる。このような材料の例は、ステンレス鋼、チタン、たとえばニチノールなどのニッケルチタン合金NiTi、βチタン、またはPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)などである。特に、保持要素40を含む部分は、たとえばニチノールのような超弾性形状記憶合金またはβチタンなど、高い弾性特性を提供する材料から作られ得る。加えて、骨固定装置もしくはその部品は、少なくとも部分的に生分解性材料からなり得る。特に、このような材料は、たとえばPLLA(ポリL−ラクチド)などの分解性ポリマー、たとえばマグネシウムなどの分解性金属、またはたとえばマグネシウム系合金もしくは鉄系合金などの分解性合金を含む。
【0022】
使用時において、ひとたび骨固定装置1がシャンク2を用いて骨もしくは脊椎に固定されると、
図4aから
図4bに示されるように、ロッド100が挿入され、受け部3において保持され得る。
図4aから分かり得るように、保持要素40は、その静止位置において、対向する保持要素40の最も内側の表面の間の距離がロッド100の直径よりも小さくなるようにロッド100のためのチャネルを狭める。次に、
図4bに示されるように、ロッド100が挿入されると、ロッド100は自動的に保持要素400の間を通ることはできない。
図4cに示されるように、ロッド100が下方向に押されると、ロッド100は保持要素40に対して横方向の力を加える。保持要素40は、ロッド100を通すために外方向に偏向して経路を広げる。最後に、ロッド100が凹部4の底部4aに置かれると、保持要素40はその弾性によって元の形状に戻ろうとし、ロッド100を仮保持する横方向の摩擦力をロッド100に加える。ロッド100は、垂直位置、すなわち、凹部4の底部4aのロッド座部において保持されるだけでなく、水平位置、すなわちチャネルの長さに沿った位置においても保持され得る。
【0023】
保持要素40が偏向していない状態において、ロッドの最大直径の領域もしくはそれよりも上方の位置、すなわち凹部4の底部4aから測定してロッド100の半径よりも高い軸方向の位置に保持要素40が置かれるようにリブの位置が設定されていることから、ロッド100は、ひとたび置かれると第1の端部3aから移動して出ないように防止される。
【0024】
受け部の変形実施形態は、
図5および
図6を参照して説明される。上記の実施形態の部品および部分と同一もしくは類似の部品および部分は、同じ参照符号を用いて記載され、その詳細な説明は繰り返されない。例示的な多軸骨固定装置1′は、シャンク2aと通常は球台形状のヘッドであるヘッド2bとを有する、骨固定具2′を含む。受け部3′は、上記の実施形態の部分に加え、第2の端部3bの開口3cと、骨固定具2′のヘッド2bのための座部3dとを含む。座部3dは、骨固定具2′のヘッド2bを内部で枢動させることが可能な球形状の座部もしくは任意の他の座部であり得る。座部3dは、穴7と連通している。例示的な多軸骨固定装置は、上部搭載タイプである。すなわち、骨固定具2′が上部もしくは第1の端部3aから受け部3′に挿入される。加圧要素10が設けられ、加圧要素10は、穴7内に配置され、骨固定具2′のヘッド2bに圧力を加えてヘッド2bを受け部3′に対して所望の角度配向で係止するように構成される。このため、多軸という用語は、シャンク2aが受け部3′に対してさまざまな角度になることが可能であることを意味する。さらに、加圧要素10は、この実施形態においてロッド座部を形成する、ロッド100のための支持表面10aを提供する。保持要素40は、上記の実施形態の保持要素40と同一もしくは類似である。
図6に示されるように、組み立てられた状態において、ヘッド2bが座部3dにあり、加圧要素10が骨固定具2′のヘッド2bの上部にあり、ロッド100が挿入されると、保持要素40の位置は、リブが加圧要素10のロッド支持表面10aからロッド100の半径以上の軸方向の距離に置かれるように設定される。
【0025】
さらなる変形実施形態が
図7および
図8を参照して説明される。上記の実施形態の部品および部分と同一もしくは類似の部品および部分は、同じ参照符号を用いて記載され、その説明は繰り返されない。
図7および
図8に示される骨固定装置1′′は、下部搭載タイプの例示的な多軸骨固定装置である。これは、上記の実施形態と同様の別個の骨固定具2′と、受け部3′′とを含む。受け部3′′は、骨固定具2′のヘッド2bの直径よりも大きい開口3c′′を第2の端部3bに含む。さらに、受け部3′′は、狭まり部分3d′′において下方開口3c′′に向けて狭まる収容空間3e′′を含む。収容空間 3e′′は、ヘッド2bおよびキャップ状加圧要素11を収容するものである。キャップ状加圧要素11は、キャップ状部分11bを含む。キャップ状部分11bは、スリット11cによって柔軟であり、球台形状のヘッド2bの外径が最大となる領域にわたって延在する。キャップ状部分11bの反対側に、加圧要素11は、この実施形態においてロッド座部を形成する、ロッドのためのロッド支持表面11aを含む。受け部3′′および加圧要素11の寸法は、加圧要素11が受け部3′′内に置かれた時に、キャップ状部分11bが収容空間3e′′内で拡大してヘッド2bの挿入を可能とする挿入位置を取り得るように設定される。次に、加圧要素11は、事前係止位置を取り得る。この事前係止位置において、加圧要素11は、ひとたびヘッド2bが挿入されると下方向に移動し、これにより、キャップ状部分11bが狭まり部分3d′′において締め付けられ、挿入されたヘッド2bが外れないように防止される。最後に、加圧要素11は、係止位置を取り得る。この係止位置において、加圧要素11および挿入されたヘッド2bは、キャップ状部分11bおよびヘッド2bに対して狭まり部分3d′′によって加えられた締付力によってヘッド2bが係止される範囲まで下方向に移動される。上記の実施形態と同様に、保持要素40は、受け部3′′の凹部4の側壁4bに設けられる。保持要素40は、挿入されてロッド支持表面11aに置かれたロッド100がその位置に保持要素40によって保持されるような高さに位置する。
【0026】
さらなる変形実施形態が
図9および
図10を参照して説明される。骨固定装置1′′′は、下部搭載タイプの多軸骨固定装置であり、骨固定具2′のヘッド2bが外側リングによって締め付けられる。受け部3′′′は、ロッド受け部分31を含み、ロッド受け部分31は、ロッド100のためのチャネルを形成する凹部4と、保持要素40と、穴7とを含む。ロッド受け部分31に隣接し、ヘッド受け部分32が設けられる。ヘッド受け部分は、第2の端部3bに向られた開口を有する中空の内部33と、第2の端部3bに開かれたスリット36によって柔軟となっている柔軟な壁とを含む。中空の内部33は、ヘッド2bを収容するようにサイズ設定および成形される。ヘッド2bは、摩擦によってヘッド受け部分32内に保持され得る。ヘッド受け部分32の周りに延在する係止リング12が設けられる。係止リング12上の2つの対向する突出部12aは、この実施形態においてロッド座部を形成し得る。係止リング12は、ロッド100の圧力によってヘッド受け部分32がヘッド2bを覆うまで下方開口34を通じたヘッド2bの挿入を可能とするロッド受け部分31に近い第1の位置から、係止リング12が第1の位置よりも第2の端部3bに近く、ヘッド2bが下方開口34を通って外れることを防止する少なくとも第2の位置へ移動され得る。係止リング12は、ヘッド2bが係止されるようにヘッド受け部分32を圧縮する、第2の位置よりも第2の端部3bに近い第3の位置を取り得る。
【0027】
さらなる実施形態は、
図11、
図12a、および
図12bに示される。骨固定装置は、受け部30に固く接続されたシャンク2を有する単軸骨固定装置110として示される。受け部30は、
図1から
図3の受け部3と同様である。同一もしくは類似の部品および部分は、同じ参照符号を用いて示され、説明は繰り返されない。受け部30は、保持要素の設計が異なる。保持要素 400の各々は、自由端400aを有するとともに自由端4aの反対側の端部において側壁4bに一体に接続される弾性フラップとして成形される。凹部もしくはスリット401は、保持要素400を偏向させるための空間を提供する。フラップの配向は、自由端400が受け部30の第2の端部3bに向けられるように設定される。
図11において分かり得るように、凹部401は3つの側に向けて開いている。第2の端部3bに隣接し、内表面部分400b、すなわち、ロッドのためのチャネルの内側に向けられる表面部分は、ロッドの形状に一致する形状を有して凹形状となっている。保持要素400は、ロッド100が挿入されていない時に保持要素400間の最も短い距離が、挿入されるロッド100の直径よりも小さくなるようにチャネル内に突出する。
【0028】
使用時において、ロッド100が挿入されると、ロッド100は保護要素400の内表面に沿って摺動し、保持要素400を凹部401内に向けて外方向に偏向させる。ロッド100がU字形状の凹部4の底部4a内に置かれると、ロッド100は、保持要素400間に留められ、ロッド表面と保持要素400の凹状表面部分400bとの間の摩擦によって暫定的および一時的にそこに保持される。
【0029】
変形実施形態が
図13から
図16に示される。単軸骨固定装置110′は、異なる直径を有する少なくとも2つのロッド100,1000と共に使用されるように構成される。受け部30′は、保持要素の形状、およびチャネルを形成する凹部の底部の形状が受け部30とは異なる。チャネルを形成する凹部4′は、実質的に円形でない底部4a′を有する。より具体的に、底部4a′は、実質的にV字形状である。これにより、異なる直径を有するロッド100,1000、特に筒状ロッドをチャネル内に置くことができる。筒状ロッドが使用される場合、筒状ロッドはロッドの長手軸に対して平行な方向に少なくとも2つの接触線を有し、ロッドの直径に関わらずロッドが少なくとも2つの接触線によって安全に支持される。保持要素400′は、上記の実施形態においてフラップ状に形成される。フラップは、凹部401′の断面が実質的に三角となるようにチャネル内へ内方向に延在する。凹部401′の閉じられた端部401a′は、拡大され得て、たとえば、フラップの曲げを容易にするために円の部分の断面を有し得る。これにより、内方向に突出するフラップは、小さい直径を有するロッドも使用されるとともに一時的に保持されるように、ロッドのためのチャネルの幅を減少させる。チャネルの内側に面する保持要素400′の内表面は、いくつかの凹状表面部分400b′を異なる位置に有し、対応するロッドを掴み得る。
【0030】
図15に示されるように、たとえば直径が4.5mmのロッドなど、直径の小さい第1のロッド100が使用される場合、保持要素400′は、凹部401′へ外方向に向けてわずかにのみ偏向する。ロッド100はチャネルの基部における少なくとも2つの接触線に沿って支持されることから、ロッドは、保持要素400′およびチャネルの底部4a′によって安全に仮保持される。
図16に示されるように、たとえば直径が5.5mmのロッドなど、より直径の大きいロッド1000が使用される場合、ロッドは、小さいロッドと比較してより大きな角度で保持要素400′を外方向へ偏向させる。保持要素400′の弾性により、ロッドを挿入した場合の外方向への偏向の角度は、段階の無い態様で変化し得る。このため、直径の異なるさまざまなロッドが、受け部に一時的に保持され得る。
【0031】
さらなる実施形態が
図17から
図19bを参照して説明される。単軸骨固定装置110′′は、受け部30′′に単軸で接続されたシャンク2を含む。受け部30′′は、ロッドを挿入するための凹部および保持要素の配置が上記の実施形態の受け部とは異なる。上記の実施形態と同様に、受け部30′′は、シャンク軸と同軸である穴軸線Cを有する穴7を含む。凹部4′′は、受け部30′′の第1の端部3aから始まり、第2の端部3bから所定の距離に位置するロッド座部を形成する底部部分4aで終わる。底部部分4a′′は、実質的に弓形状の断面を有し、円の中心は、穴軸線Cを通って延在する面にある。さらに、凹部4′′は、実質的に矩形の断面を有する挿入部分4c′′を含む。挿入部分4c′′は、底部部分4a′′に入り込み、これによって僅かに突出するリブ402が側壁4bの一方に形成される。挿入部分4c′′の中心綿は、特に
図19aおよび
図19bに示されるように、穴軸線Cからずれている。突出するリブ402に対向する側壁4bにおいて、受け部30分′の第1の端部3aに面する自由端400a′′を有する弾性保持要素 400′′が形成される。弾性保持要素400′′は、内部輪郭400bを有する。内部輪郭400bは、実質的に筒状であり、そこに受けられるロッドのサイズに適合される。また、 シリンダーセグメント形状の凹部401′′は、弾性保持要素400′′の外方向の偏向のための空間を提供する。このため、この実施形態において、リブの形態の1つの固い保持要素 402が側壁4b上にあり、1つの弾性保持要素400′′が対向する側壁4b上にある。
【0032】
使用時において、
図19aに示されるように、偏った挿入部分4c′′を通ってロッドが挿入されると、弾性保持要素400′′は、ロッド100が通過して底部部分4a′′に嵌め込まれるまで外方向に偏向される。そして、ロッド100は、保持要素400′′,402によって底部部分4a′′に一時的に保持される。挿入部分4c′′は底部部分4a′′の中心から偏っていることから、自由端400a′′は、障害物が設けられることなくロッドのための挿入部分4c′′に向けられ得て、ロッド100′が挿入される。これにより、ロッド100の把持が向上し得る。
【0033】
なお、固い保持要素402も省かれ得る。
さらなる実施形態が
図20から
図22bを参照して説明される。この実施形態に係る単軸骨固定装置110′′′は、受け部30′′′に固く接続されたシャンク2を含む。受け部30′′′は、シャンク軸と同軸の穴軸線Cを有する穴7と、ロッド座部を提供するための底部a′′′を有する実質的にU字形状の凹部4′′′とを含む。この実施形態において、ロッド100のためのチャネルを形成する凹部4′′′は、穴軸線Cを通って延在するとともにロッド軸を含む面に対して対称であり得る。実質的にU字形状の凹部4′′′によって形成された側壁4bの各々は、別個の保持要素400′′′を受けるよう機能する実質的にU字形状の溝401′′′を含む。別個の保持要素400′′′は、実質的にU字形状のクリップとして形成され、溝401′′′に適合する外側輪郭とロッド座部として機能する実質的にシリンダーセグメント形状の底部部分400a′′′とを含み、底部部分400a′′′と自由端との間に、たとえば歯が受け部30′′′の第1の端部3aへ上方に向けられた歯状構造であり得る把持輪郭400c′′′を含む。把持構造400c′′′は、ロッドをチャネル内において僅かに締め付けるように機能する。示される実施形態において、別個の保持要素400′′′が、穴7の両側に設けられる。保持要素400′′′は、ロッドが挿入されると保持要素400′′′のアームが僅かに外方向に曲げられて溝401′′′内で締め付けられるように設計され得る。保持要素400′′′の材料は、受け部30′′′と同じ材料からなる保持要素と比して高い弾性を有する材料であり得る。たとえば、別個の保持要素400′′′は、超弾性生体適合合金または生体適合プラスチック材料からなり得る。
【0034】
使用時において、ロッド100が挿入されると、ロッド100は別個の保持要素400′′′のアームを外方向へ押し、アームが溝401′′′内において締め付けられる。そして、ロッド100は、把持輪郭400c′′′によってロッド座部400a′′′内に保持される。
【0035】
なお、記載された実施形態の各々は、
図5から
図10に例示的に示された多軸骨固定装置の受け部においても実現され得ることは言うまでもない。
【0036】
骨固定装置1′′′′のさらなる実施形態が
図23から
図24に示される。骨固定装置1′′′′は、
図9および
図10に示されるものと同様であり、下部搭載多軸骨固定装置として形成され、骨固定具2′のヘッド2bは、外側係止リング12によって締め付けられる。
図9および
図10の実施形態と異なるこれらの部品のみが以下で説明され、同一もしくは類似の特徴についての詳細な記載はここでは繰り返されない。
【0037】
受け部3′′′′は、ロッド100を受けるためのチャネルを形成する凹部4を含むロッド受け部分31を含む。また、ロッド受け部分31は、凹部4によって互いに離された2つの脚部5,6を有する。2つの脚部5,6は、それぞれの上方の先端部に受け部3′′′′の第1の端部3aを含む。しかしながら、それを取り外す前に、離脱延長タブ50,60は、それぞれ脚部50,60の各々において第1の端部3aから一体に延在する。離脱延長タブの使用は当該技術において周知である。この実施形態の離脱延長タブ50,60は、とりわけ、挿入されたロッドを受け部3′′′′のロッド受け部分31に向けて案内することを補助する。ひとたびロッドが離脱延長タブ50,60の内側壁4cを通って案内されて固定要素9(
図23から
図24bには示されない)が離脱延長タブ50,60の内ねじ80を介してねじ込まれると、これらのタブは所定の破壊点51,61の周りで外方へ曲げることによって取り除かれ得る。破壊点51,61は、第1の端部3aにおいて受け部3′′′′の薄い壁部分として形成される。この実施形態において、所定の破壊点51,61は、受け部3′′′′の外壁面における周方向の溝もしくは切り込みとして形成される。
【0038】
所定の破壊点51,61により、離脱延長タブ60,60は、延長タブ50,60を離脱させるのに十分な曲げ力を加える前に弾性的に曲げることができる。さらに、離脱延長タブ50,60の対向する内側壁4cは、相互の距離を含み、この距離は、保持リング12の突出部12aにロッドが置かれる位置にロッドを案内する脚部5,6の対向する側壁4b間の距離と同じである。しかしながら、対向する側壁4cの各々には1つ以上の保持突出部62が形成され得て、これによって凹部4の幅がこの上方部分で狭まる。タブ50,60の弾性により、ロッド100は、挿入されると、2つの保持突出部62の各々の間の側壁4cの平坦部分63に一時的に保持され、タブ50,60は、ロッド100が対向する保持突出部62を通ってタブ50,60を外方向へ押すと、互いに離れる方向に曲がる。
【0039】
なお、保持突出部62は、2つの側壁4cの一方のみに設けられ得る。また、保持突出部62は、一定のパターンを形成し得て、たとえば、4つから6つの保持突出部62が各側壁4c上に形成され、ラチェット状の保持気候がロッド100のために確立され得る。これは、操作者に対して触知可能な応答を与えるとともに、さらに、特定の必要に応じてロッド受け部分31の上方のいくつかの可能な垂直位置においてロッド100を保持することができる。破壊点51,61に近い部分と比して、タブ50,60の上端が所与の曲げ力で互いにさらに離れる方向に移動すると、ロッド100を一時的に保持するための保持力が、ロッド受け部分31(底端部)により近い位置に位置決めされた保持突出部62において増大し、操作者は望み通りのロッド100を一時的に保持するための力を選択することができる。この実施形態において、保持突出部62を含む曲げることが可能なタブ50,60は、弾性保持要素を形成する。
【0040】
実施形態のさらなる変形例も可能である。保持要素は、実施形態に示される特定の形状に限定されない。同じ機能が実現される限りは逸脱も可能である。
【0041】
実施形態では、ロッドが受け部の上部側から受け部へ搭載される骨固定装置について記載されたが、本発明は、ロッドが側部から挿入可能である、すなわち、ロッドの挿入方向が穴軸線に対してたとえば90°の角度を含む、側部搭載装置においても実現され得る。
【0042】
固定装置については、2部品固定装置、外側ナット、差し込みピン固定装置、およびその他など、公知の固定装置のすべての種類が使用され得る。
【0043】
骨固定具については、ねじ切りシャンクを有するねじタイプの骨固定具、掛かりを有する、もしくは有さない釘タイプの骨固定具、管状骨固定具、フックなど、骨固定具のすべての種類が使用され得る。
【0044】
ロッドは筒状ロッドとして例示的に示されたが、必ずしも筒状である必要はなく、矩形、正方形、楕円形などの他の断面も有し得る。断面はロッドの長さ全体にわたって一定である必要はない。ロッドは、平滑であっても良く、粗くてもよく、その他の構造であってもよい。また、多ピースロッドもしくは湾曲ロッドも考えられ得る。
【0045】
いくつかの異なる実施形態が本願明細書において開示されている。異なる実施形態の構成部品は、他の異なる実施形態を作るために混合および適合され得る。
【符号の説明】
【0046】
1 単軸骨固定装置1、2 シャンク、3 受け部、4 凹部、4a 底部、4b 側壁、40 保持要素、41 凹部、5 脚部、6 脚部、7 穴、8 内ねじ部、9 固定要素、100 ロッド、C 穴軸線、L 長手軸。