(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
建設機械に設けられた運転席の左,右両側のうち少なくとも一方側に配置された支持部材と、該支持部材に設けられ前記支持部材から前方に向けて延びる操作位置と前記支持部材に対して上方に向けて延びる跳ね上げ位置との間で回動可能な操作具スタンドと、該操作具スタンドの前端側に設けられ前記建設機械を操作する操作具とを備えた建設機械の操作装置において、
前記操作具スタンドは、前記支持部材に設けられた支持ピンを回動支点として回動可能に取付けられた回動部材と、該回動部材に回転可能に設けられ前記回動部材と一緒に回動するカムローラとを含み、
前記支持部材には、前記回動部材の回動に応じて前記カムローラが弾性的に接触する接触面を有する弾性部材が設けられ、
前記弾性部材の前記接触面は、前記操作具スタンドが前記操作位置側にあるときの前記弾性部材の前記カムローラに対する撓み量を、前記操作具スタンドが前記跳ね上げ位置側にあるときの前記弾性部材の前記カムローラに対する撓み量に比べて大きく設定された円弧面を有していることを特徴とする建設機械の操作装置。
前記弾性部材の前記接触面には、前記操作具スタンドを前記操作位置まで回動したときに、前記カムローラが緩やかに停止する停止緩和部を備える構成としてなる請求項1に記載の建設機械の操作装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る建設機械の操作装置の実施の形態を、建設機械の一例であるホイールローダに搭載した場合を例に挙げて、
図1ないし
図10を参照しつつ詳細に説明する。
【0011】
図1に示すホイールローダ1は、左,右の前輪2が設けられた前部車体3と、左,右の後輪4が設けられた後部車体5とが、センタピンを介して左,右方向に屈曲可能に連結されている。そして、ホイールローダ1は、ステアリングシリンダ6によって前部車体3と後部車体5とを左,右方向に屈曲させることによって操舵を行う、アーティキュレート式の作業車両として構成されている。
【0012】
ここで、ホイールローダ1の前部車体3には、アーム7とバケット8とを備えた荷役装置(作業装置)9が俯仰動可能に設けられている。アーム7は、基端側を回動支点としてアームシリンダ10の駆動により上,下方向に回動(俯仰動)するものである。また、アーム7の先端には、作業具としてのバケット8が設けられ、該バケット8は、バケットシリンダ11の駆動により上,下方向に回動(クラウドまたはダンプ)するものである。
【0013】
一方、ホイールローダ1の後部車体5には、運転室を画成するキャブ12、図示しないエンジン、トランスミッション等が設けられている。キャブ12は、キャブボックス12Aの下側を床板13で覆うことにより、箱型状に形成されている。キャブボックス12Aの左側面には、乗降口12A1を開閉するためのドア12Bが設けられている。この乗降口12A1と後述の運転席15との間は、オペレータの乗降通路となっている。そして、床板13のほぼ中央部には、運転席支持台14が設けられている。この運転席支持台14は、後述の運転席15を前,後方向に位置調整可能に支持する台座を構成している。
【0014】
運転席15は、運転席支持台14上に設けられている。この運転席15は、オペレータがホイールローダ1を操作するときに着座するものである。そして、運転席15の前側には、走行用のステアリング装置16が設けられている。また、運転席15の右側には、右操作装置18が設けられ、左側には、左操作装置31が設けられている。
【0015】
ステアリング装置16は、運転席15の前側に位置して床板13上に立設されている。このステアリング装置16は、運転席15の前方で左,右方向のほぼ中央部、即ち運転席15に着座したオペレータの正面となる位置に配置されている。そして、ステアリング装置16は、例えばキャブ12内の前側に位置して計器類等を表示する計器類表示装置17に取付けられ上,下方向に延びるコラム16Aと、コラム16Aの上端側に取付けられたステアリングホイール16Bと、ステアリングホイール16Bの下側でコラム16Aから左側に向けて突出する前後進レバー16Cとを含んで構成されている。
【0016】
前後進レバー16Cは、ホイールローダ1を走行させるために操作するものである。この前後進レバー16Cは、前進位置、中立位置、後進位置の3段階に切替可能となっている。そして、例えば前後進レバー16Cを中立位置から前進位置に切替操作し、計器類表示装置17の下方で床板13に設けられたアクセルペダル(図示せず)を踏み込むことにより、ホイールローダ1を前進させることができる。また、ステアリングホイール16Bを回転操作することにより、ホイールローダ1の進行方向を操作することができる。
【0017】
右操作装置18は、運転席15の右側に配置されている。この右操作装置18は、運転席支持台14の右側に隣接して床板13上に配設された操作装置支持台19上に設けられたコンソール20と、コンソール20の上面20Aに設けられた操作レバー21と、操作レバー21の後側に設けられ運転席15に着座したオペレータが肘を掛けるための右アームレスト22等を含んで構成されている。
【0018】
操作レバー21は、アームシリンダ10およびバケットシリンダ11を操作するもので、例えば操作レバー21を前,後方向に操作することにより、アーム7を上,下方向に回動させることができ、操作レバー21を左,右方向に操作することにより、バケット8を上,下方向に回動させることができる。また、操作レバー21には、シフトダウンスイッチ、警報スイッチ等が設けられている。
【0019】
次に、左操作装置31について説明する。
【0020】
左操作装置31は、運転席15の左側に配置されている。この左操作装置31は、キャブボックス12Aの乗降口12A1と運転席15との間に位置し、本発明の操作装置を構成している。そして、左操作装置31は、支持部材32、操作具スタンド39、操作具53を含んで構成されている。
【0021】
支持部材32は、運転席15の背もたれの左側に配置されている。この支持部材32は、例えば運転席15の背もたれの左側面および/または運転席支持台14に取付けられている。そして、支持部材32は、運転席15の背もたれの左側面に沿うように上,下方向に延びる右側面板32Aと、右側面板32Aの上端および後端に溶接等により固着された略L字状のカバー取付板32Bと、右側面板32Aよりも左側に所定の隙間A(
図8参照)をもって配置され、右側面板32Aおよびカバー取付板32Bに溶接等により固着された左側面板32Cとにより構成されている。
【0022】
右側面板32Aの上端前側には、右側面板32Aから左側に向けて延びる支持ピン33が設けられている。この支持ピン33の先端(左端)側には、後述の回動部材40が取付けられている。一方、右側面板32Aの上端後側には、後述の弾性部材59が取付けられるナット32A1が溶接等により固着されている。
【0023】
カバー取付板32Bには、カバー34が取付けられる。
図2ないし
図4に示すように、カバー34は、カバー取付板32Bに固着されたナット32B1にボルト35を螺合することにより取付けられ、支持部材32の左側ないし後側を覆うベースカバー部34Aと、ベースカバー部34Aに対して回動可能に取付けられ、支持部材32の上方を覆う回動カバー部34Bとにより構成されている。回動カバー部34Bは、後述の操作具スタンド39が操作位置(
図5の状態)と跳ね上げ位置(
図7の状態)との間で回動するときに、追従して回動する構成となっている。
【0024】
左側面板32Cの前端側には、ストッパ36が取付けられている。このストッパ36は、左側面板32Cにボルト37により取付けられ左側面板32Cの上端よりも上方に突出する取付板部36Aと、取付板部36Aの上端側から右側(右側面板32A)に向けて延び、後述の回動板部41の回動を規制する規制突起36Bとにより構成されている。
【0025】
ストッパ36は、後述の操作具スタンド39を操作位置および跳ね上げ位置に保持するものである。即ち、ストッパ36は、操作具スタンド39が操作位置にあるときに、回動板部41の操作位置当接部41Aが規制突起36Bに接触することにより、回動部材40のこれ以上の回動を規制する。また、ストッパ36は、操作具スタンド39が跳ね上げ位置にあるときに、回動板部41の跳ね上げ位置当接部41Bが規制突起36Bに接触することにより、回動部材40のこれ以上の回動を規制する。
【0026】
下側係止部38は、左側面板32Cのほぼ中央部に位置して左側面板32Cから左側に向けて突出している。この下側係止部38は、後述のスプリング61の下端側を係止するものである。
【0027】
操作具スタンド39は、支持部材32の右側面板32Aに設けられている。この操作具スタンド39は、支持部材32から前方に向けて延びる操作位置(
図2ないし
図5の状態)と支持部材32に対して上方に向けて延びる跳ね上げ位置(
図7の状態)との間で回動可能になっている。そして、操作具スタンド39は、回動部材40、カムローラ50、中空パイプ51を含んで構成されている。
【0028】
回動部材40は、支持部材32に設けられた支持ピン33を回動支点(回動中心O)として回動可能に取付けられている。この回動部材40は、回動板部41、アームレスト固定板44、取付板45を含んで構成されている。
【0029】
回動部材40の回動板部41は、支持部材32の右側面板32Aに対面する板状体として形成され、回動板部41は、ストッパ36の取付板部36Aと右側面板32Aとの間に配設されている。回動板部41は、支持ピン33に回動可能に取付けられている。そして、回動板部41の下端側には、操作具スタンド39が操作位置にあるときにストッパ36の規制突起36Bに当接する操作位置当接部41Aが設けられている。一方、回動板部41の後下端側には、操作具スタンド39が操作位置にあるときにストッパ36の規制突起36Bに当接する跳ね上げ位置当接部41Bが設けられている。
【0030】
即ち、
図5および
図10に示すように、操作具スタンド39が操作位置にあるときに、回動板部41の操作位置当接部41Aがストッパ36の規制突起36Bに当接する。これにより、回動板部41の回動が規制され、ひいては操作具スタンド39がこれ以上下側に下がるのを抑制する。また、
図7に示すように、操作具スタンド39が跳ね上げ位置にあるときに、回動板部41の跳ね上げ位置当接部41Bがストッパ36の規制突起36Bに当接する。これにより、回動板部41の回動が規制され、ひいては操作具スタンド39がこれ以上後側に下がるのを抑制する。
【0031】
上側係止部42は、回動板部41の回動中心Oよりも上側に位置して回動板部41から左側に向けて突出している。この上側係止部42は、後述のスプリング61の上端側を係止するものである。また、上側係止部42は、操作具スタンド39が操作位置にあるときに、下側係止部38よりも前側に位置し、操作具スタンド39が跳ね上げ位置にあるときに、下側係止部38よりも後側に位置する構成となっている。
【0032】
回動板部41の後端側には、回動板部41から右側(右側面板32A)に向けて突出する突出ピン43が設けられている。この突出ピン43には、後述のカムローラ50が回転可能に取付けられる。
【0033】
アームレスト固定板44は、回動板部41の前端側に溶接等により固着されている。
図2に示すように、アームレスト固定板44は、回動板部41の前端側に固着された回動部材連結板部44Aと、回動部材連結板部44Aの左端側から前側に向けて延びる延出板部44Bとにより略L字状に構成されている。
【0034】
取付板45は、アームレスト固定板44の延出板部44Bに取付けられている。この取付板45は、延出板部44Bの左面にボルト46により固着されたアームレスト取付板部45Aと、アームレスト取付板部45Aの下端から左側に向けて延びる中空パイプ取付板部45Bとにより略L字状に形成されている。
【0035】
アームレスト取付板部45Aの左面の上端側には、オペレータが肘を掛けるための左アームレスト47が回動可能に取付けられている。一方、中空パイプ取付板部45Bの上面には、横断面略U字状の中空パイプ挿通具48が設けられている。この中空パイプ挿通具48は、左アームレスト47の下側に位置して、ボルト49により中空パイプ取付板部45Bに固着されている。
【0036】
カムローラ50は、回動部材40の回動板部41に回転可能に設けられている。このカムローラ50は、例えば樹脂材料からなり、回動板部41から突出する突出ピン43に回転可能に取付けられている。また、カムローラ50は、回動中心Oとして回動部材40と一緒に回動する。この場合、カムローラ50は、後述の弾性部材59の接触面59A上を回転しながら移動する。
【0037】
中空パイプ51は、回動部材40から前方に向けて延びている。
図9に示すように、中空パイプ51の後端側には、ねじ座51Aが溶接等により固着されている。そして、中空パイプ51は、後端側が中空パイプ挿通具48内に挿通された状態で、ボルト49により固着されている。即ち、中空パイプ51と中空パイプ挿通具48は、ボルト49により中空パイプ取付板部45Bに共締めされている。一方、
図4に示すように、中空パイプ51の前端側は、上方(左アームレスト47の前方)に向けて屈曲し、後述の操作具53が設けられている。
【0038】
中空パイプ51内には、ハーネス52が配設されている。このハーネス52は、例えば後述の操作具53への電源供給、操作具53からの信号通信等を行うための複数本の電線から構成され、操作具53に電気的に接続されている。
【0039】
このように、操作具53を中空パイプ51により支持し、かつ中空パイプ51内にハーネス52を配設して構造を簡素化しているので、例えばコンソールボックス型の操作具スタンドを用いた場合と比べて部品点数を削減でき、コストを低減することができる。また、オペレータは、中空パイプ51を把持して操作具スタンド39を操作位置と跳ね上げ位置との間で回動させることができるので、操作具スタンド39の回動を容易に行うことができる。
【0040】
操作具53は、操作具スタンド39の前端側に設けられている。この操作具53は、左アームレスト47の前方に位置して中空パイプ51の前端に設けられている。これにより、オペレータは、左アームレスト47に腕を載せた状態で操作具53の操作を容易に行うことができる。
【0041】
操作具53は、ホイールローダ1の走行を操作するためのものである。この操作具53の運転席15側の側面53Aには、ステアリングレバー切替スイッチ(図示せず)が設けられている。また、操作具53の上面53Bには、左アームレスト47側にステアリングレバー54が設けられ、ステアリングレバー54よりも前側に前後進スイッチ55が設けられている。さらに、前後進スイッチ55を挟んで左側にはダウンシフトスイッチ56が設けられ、右側にはワイパスイッチ57が設けられている。また、操作具53には、側面53Aから上方に向けて立上る板状の誤動作防止ガード58が設けられている。
【0042】
ステアリングレバー切替スイッチは、ステアリングレバー54、前後進スイッチ55等の操作を有効とするか無効とするかの切替スイッチである。即ち、ステアリングレバー切替スイッチは、ホイールローダ1の走行操作をステアリングホイール16Bおよび前後進レバー16Cで行うか、ステアリングレバー54および前後進スイッチ55で行うかを切替えるものである。
【0043】
ステアリングレバー54は、操作具53の上面53Bから上方に突出し、左,右方向に傾転可能な操作レバーである。このステアリングレバー54は、ステアリングホイール16Bに替えて用いられるもので、左,右方向に傾転操作することにより、ホイールローダ1の進行方向を操作することができる。
【0044】
前後進スイッチ55は、ホイールローダ1を走行させるためのもので、前後進レバー16Cに替えて用いられるものである。この前後進スイッチ55は、前進位置、中立位置、後進位置の3段階に切替可能となっている。そして、例えば前後進スイッチ55を中立位置から前進位置に切替操作し、計器類表示装置17の下方で床板13に設けられたアクセルペダル(図示せず)を踏み込むことにより、ホイールローダ1を前進させることができる。
【0045】
ダウンシフトスイッチ56は、ホイールローダ1の積み込み操作および運搬操作時に操作することにより、シフトダウン(例えば3速から2速または1速等)を行うことができるものである。また、ワイパスイッチ57は、キャブ12のガラス面のワイパ(図示せず)を作動させるものである。誤動作防止ガード58は、ステアリングレバー54を運転席15側から保護するものである。これにより、運転席15側からステアリングレバー54に意図しない接触を抑制することができる。
【0046】
次に、支持部材32に設けられた弾性部材59について説明する。
【0047】
弾性部材59は、支持部材32の右側面板32Aに設けられている。この弾性部材59は、例えばゴム材料からなり、右側面板32Aの上端後側に位置して右側面板32Aに設けられたナット32A1にボルト60を螺合することにより固着されている。
【0048】
そして、弾性部材59は、回動部材40の回動に応じてカムローラ50が弾性的に接触する接触面59Aを有している。
図10に示すように、接触面59Aは、弾性部材59の前面を構成するもので、カムローラ50の回動円弧(カムローラ50が支持ピン33を回動支点として回動するときの円弧状の軌道)に沿うように円弧状に形成されている。
【0049】
この場合、接触面59Aは、操作具スタンド39が操作位置側にあるときに、弾性部材59のカムローラ50に対する撓み量が操作具スタンド39が跳ね上げ位置側にあるときに比べて大きく設定された円弧面としての大撓み量円弧面59Bと、操作具スタンド39が跳ね上げ位置側にあるときに、弾性部材59のカムローラ50に対する撓み量が操作具スタンド39が操作位置側にあるときに比べて小さく設定された小撓み量円弧面59Cとにより構成されている。
【0050】
一例を挙げると、接触面59Aは、操作具スタンド39が0°以上40°未満のとき(
図5から
図6の状態)に、カムローラ50が接触する接触面59Aを大撓み量円弧面59Bとし、操作具スタンド39が40°以上80°以下のとき(
図6から
図7の状態)に、カムローラ50が接触する接触面59Aを小撓み量円弧面59Cとすることができる。なお、接触面59Aのうち大撓み量円弧面59Bと小撓み量円弧面59Cとの割合は、上記範囲に限らず操作具スタンド39の回動範囲内で適宜設定することができる。
【0051】
この場合、大撓み量円弧面59Bは、例えば自然状態でカムローラ50の回動円弧よりも小さい円弧形状としたり偏心させたりすることにより、カムローラ50を大撓み量円弧面59Bに弾性的に接触させ、カムローラ50と弾性部材59との回転抵抗(弾性部材59の変形代、即ち撓み量)を小撓み量円弧面59Cよりも大きくすることができる。大撓み量円弧面59Bは、操作具スタンド39が操作位置にあるときに、カムローラ50が接触する操作位置接触部59B1を有している。また、小撓み量円弧面59Cは、操作具スタンド39が跳ね上げ位置にあるときに、カムローラ50が接触する跳ね上げ位置接触部59C1を有している。
【0052】
即ち、操作位置接触部59B1と跳ね上げ位置接触部59C1とは、カムローラ50と接触面59Aとが接触する始点位置と終点位置となっている。そして、カムローラ50が大撓み量円弧面59B上に位置していないとき、即ち弾性部材59の自然状態では、
図10に示すように大撓み量円弧面59Bが二点鎖線に示す状態となる。この場合、回動部材40の回動板部41の回動中心Oから操作位置接触部59B1までの寸法Bは、回動板部41の回動中心Oから跳ね上げ位置接触部59C1までの寸法Cよりも小さく形成されている。
【0053】
これにより、カムローラ50は、弾性部材59を押圧しながら大撓み量円弧面59B上を操作位置接触部59B1に向けて移動するので、弾性部材59のカムローラ50に対する撓み量が大きくなり、カムローラ50と弾性部材59との回転抵抗が大きくなる。この場合、カムローラ50と弾性部材59との回転抵抗の大きさ(即ち、大撓み量円弧面59Bの形状)は、操作具スタンド39が操作位置に近付いたときに滑らかに(ゆっくりと)操作位置に下がるように、操作具スタンド39と操作具53との合計重量による重力と後述のスプリング61の付勢力との合力の関係により設定される。
【0054】
弾性部材59の接触面59Aには、保持突起59Dが設けられている。この保持突起59Dは、跳ね上げ位置接触部59C1の近傍位置に位置して小撓み量円弧面59Cから凸状に突出している。換言すると、保持突起59Dは、接触面59Aのうちカムローラ50が跳ね上げ位置接触部59C1にあるときに、カムローラ50と接触する位置に設けられている。
【0055】
操作具スタンド39を操作位置から跳ね上げ位置に上げるときに、カムローラ50は、操作位置接触部59B1から跳ね上げ位置接触部59C1に向けて弾性部材59の接触面59A上を回転しながら移動する。そして、カムローラ50は、保持突起59Dを弾性変形させながら保持突起59Dを乗り越え、跳ね上げ位置接触部59C1に到達する。この場合、カムローラ50の側面は、保持突起59Dに接触しているので、操作位置接触部59B1に向けての移動が規制される。これにより、操作具スタンド39は、跳ね上げ位置に保持される構成となっている。
【0056】
また、弾性部材59の接触面59Aには、停止緩和部59Eが設けられている。停止緩和部59Eは、接触面59Aの上端側に位置して操作具スタンド39を操作位置まで回動したときに、カムローラ50と接触してカムローラ50を緩やかに停止させるものである。これにより、カムローラ50の回動速度を減速させることができるので、操作具スタンド39を操作位置に緩やかに停止させることができる。停止緩和部59Eは、カムローラ50が操作位置接触部59B1に近付いたときに、カムローラ50の操作位置接触部59B1への移動を抑制するように大撓み量円弧面59Bの上端から前側に向けてほぼ水平に延びている。
【0057】
そして、停止緩和部59Eは、カムローラ50が操作位置接触部59B1に到達する直前にカムローラ50と弾性的に接触して、カムローラ50および回動部材40の回動速度を減速させる。そして、操作具スタンド39と操作具53との合計重量による重力と、後述のスプリング61の付勢力とにより、カムローラ50が停止緩和部59Eを弾性変形させた状態に維持して、操作具スタンド39は操作位置に保持される。
【0058】
また、カムローラ50と停止緩和部59Eとの接触は、回動板部41の操作位置当接部41Aとストッパ36の規制突起36Bとの接触よりも前になされる。これにより、回動板部41の回動速度が減速された状態で操作位置当接部41Aが規制突起36Bに接触するので、規制突起36Bおよび回動板部41の衝撃を低減させることができ、ひいては操作具スタンド39および操作具53の衝撃も低減することができる。その結果、ストッパ36、回動部材40、操作具スタンド39、操作具53の寿命を向上することができる。
【0059】
スプリング61は、左側面板32Cに設けられた下側係止部38と回動板部41に設けられた上側係止部42との間に設けられている。スプリング61の上端側は、上側係止部42に回動可能に係止されて回動板部41の回動と共に前,後方向に移動する。一方、スプリング61の下端側は、下側係止部38に回動可能に係止されている。スプリング61は、操作具スタンド39が操作位置および跳ね上げ位置にあるときに最も縮小状態となり、例えば
図6に示すように、操作具スタンド39が操作位置から40°跳ね上げたときに最も伸長状態となるように配設されている。
【0060】
これにより、操作具スタンド39を操作位置から跳ね上げ位置に回動させたときに、操作具スタンド39が40°を超えるとスプリング61の付勢力により跳ね上げ位置に跳ね上げることができるので、操作具スタンド39の操作力を軽減することができる。また、スプリング61は、その付勢力により保持突起59Dと共に操作具スタンド39を跳ね上げ位置に保持させることができる。
【0061】
一方、操作具スタンド39を跳ね上げ位置から操作位置に回動させたときには、操作具スタンド39が40°を超えるとスプリング61の付勢力により操作位置への回動速度が増加することになる。しかし、大撓み量円弧面59Bのカムローラ50に対する撓み量が小撓み量円弧面59Cのカムローラ50に対する撓み量に比べて大きくなっている。即ち、カムローラ50と大撓み量円弧面59Bとの間の回転抵抗が、カムローラ50と小撓み量円弧面59Cとの回転抵抗に比べて大きくなっている。
【0062】
これにより、操作具スタンド39は、スプリング61の付勢力に抗して滑らかに操作位置に向けて移動する。また、操作具スタンド39が操作位置にあるときには、スプリング61の付勢力で操作具スタンド39を保持させることができるので、ホイールローダ1の作業による振動等による操作具スタンド39のバタつき(バウンド)を低減することができる。
【0063】
本実施の形態によるホイールローダ1の左操作装置31は、上述の如き構成を有するもので、次にその作動について説明する。
【0064】
まず、オペレータは、キャブ12に搭乗して運転席15に着座する。この状態でステアリングホイール16Bやアクセルペダル(図示せず)を操作することにより、ホイールローダ1を走行させることができる。
【0065】
土砂等の掘削、運搬作業を行う場合には、まず、操作具53の側面53Aに設けられたステアリングレバー切替スイッチ(図示せず)を操作することにより、ホイールローダ1の走行操作をステアリングホイール16Bおよび前後進レバー16Cから操作具53のステアリングレバー54および前後進スイッチ55に切替える。
【0066】
そして、オペレータは、右操作装置18の操作レバー21を操作することにより、アーム7およびバケット8を俯仰動させて土砂等の掘削、掬い上げを行うことができる。この場合、オペレータは、左操作装置31の操作具53の前後進スイッチ55およびステアリングレバー54を操作することにより、ホイールローダ1を走行させることができる。
【0067】
次に、オペレータがキャブ12内に搭乗する場合について説明する。
【0068】
まず、オペレータは、キャブボックス12Aのドア12Bを開ける。次に、左操作装置31の操作具スタンド39を構成する中空パイプ51を把持して持上げる。これにより、操作具スタンド39を後方に退避させることができるので、乗降口12A1と運転席15との間の乗降通路を広く確保することができ、オペレータは運転席15に着座することができる。そして、オペレータは、操作具スタンド39を跳ね上げ位置から操作位置に下げてホイールローダ1の運転操作を行うことができる。
【0069】
ところで、上述した従来技術では、ガスダンパの反力により操作装置を跳ね上げ位置に退避させ、操作装置を操作位置に下げるときに、ガスダンパの抵抗により下げる速度を減速させている。従って、操作装置を下げるときの操作力が重くなってしまうという問題がある。また、ガスダンパを操作装置内に収容しなければならないので、操作装置が大型化してしまうという問題がある。
【0070】
そこで、本実施の形態では、左操作装置31を運転席15の左側に配置された支持部材32と、支持部材32に回動可能に設けられた操作具スタンド39と、操作具スタンド39の前端側に設けられた操作具53とにより構成している。
【0071】
以下、左操作装置31の回動機構について
図5ないし
図7、
図10を参照して説明する。
【0072】
オペレータが中空パイプ51を把持して持上げると、操作具スタンド39は、支持部材32の右側面板32Aに設けられた支持ピン33を回動支点(回動中心O)として操作位置(
図5の状態)から跳ね上げ位置(
図7の状態)に向けて回動する。そして、回動板部41の突出ピン43に回転可能に設けられたカムローラ50が、弾性部材59の接触面59A上を操作位置接触部59B1から跳ね上げ位置接触部59C1に向けて移動する。
【0073】
操作具スタンド39が操作位置から40°を超える(
図6の状態)と、カムローラ50は、弾性部材59の接触面59Aのうち小撓み量円弧面59C上を移動することになるので、小撓み量円弧面59Cのカムローラ50に対する撓み量が小さくなる。さらに、スプリング61には、縮小方向への付勢力が生じる。これにより、カムローラ50と接触面59Aとの回転抵抗が小さくなるので、操作具スタンド39を跳ね上げ位置に退避させるときの操作力を軽減することができる。
【0074】
そして、操作具スタンド39が跳ね上げ位置に近付くと、カムローラ50は、保持突起59Dを弾性変形させながら乗り越えて跳ね上げ位置接触部59C1に到達する。操作具スタンド39が跳ね上げ位置にあるとき(
図7の状態)には、回動板部41の跳ね上げ位置当接部41Bがストッパ36の規制突起36Bに接触することにより、操作具スタンド39がこれ以上後側に退避しないように規制される。
【0075】
また、カムローラ50は、跳ね上げ位置接触部59C1に位置して保持突起59Dに接触することにより、操作位置接触部59B1に向けての移動が規制される。さらに、カムローラ50は、スプリング61の付勢力によっても操作位置接触部59B1に向けての移動が規制される。これにより、操作具スタンド39を跳ね上げ位置に保持させることができる。
【0076】
次に、オペレータが運転席15に着座して操作具スタンド39を跳ね上げ位置から操作位置に下げるときには、操作具スタンド39の中空パイプ51を把持して下げる。これにより、操作具スタンド39を操作位置に移動させることができ、ホイールローダ1の走行、掘削作業を行うことができる。
【0077】
この場合、カムローラ50は、保持突起59Dを乗り越えて操作位置接触部59B1に向けて移動する。操作具スタンド39が跳ね上げ位置から40°を超えて下がると、カムローラ50は、弾性部材59の接触面59Aのうち大撓み量円弧面59B上を移動することになるので、大撓み量円弧面59Bのカムローラ50に対する撓み量が大きくなる。これにより、カムローラ50と接触面59Aとの回転抵抗が大きくなるので、操作具スタンド39を滑らかに操作位置に向けて移動させることができる。
【0078】
そして、操作具スタンド39が操作位置に近付いたときに、カムローラ50が停止緩和部59Eに弾性的に接触して操作具スタンド39の回動速度がさらに減速される。その後、回動板部41の操作位置当接部41Aがストッパ36の規制突起36Bに接触することにより、操作具スタンド39がこれ以上下がらないように規制される。また、スプリング61の付勢力により、操作具スタンド39の持ち上がりが規制されるので、例えばホイールローダ1の振動等により操作具スタンド39がバタつくのを低減することができる。
【0079】
かくして、本実施の形態によるホイールローダ1の左操作装置31は、弾性部材59の接触面59Aをカムローラ50に対する撓み量が大きな大撓み量円弧面59Bと、カムローラ50に対する撓み量が小さな小撓み量円弧面59Cとにより構成している。大撓み量円弧面59Bは、操作具スタンド39が操作位置側にあるときに、カムローラ50が接触する部分に設けられている。
【0080】
また、接触面59Aは、操作位置でカムローラ50が接触する操作位置接触部59B1と、跳ね上げ位置でカムローラ50が接触する跳ね上げ位置接触部59C1とを有し、回動板部41の回動中心Oから操作位置接触部59B1までの寸法Bは、回動板部41の回動中心Oから跳ね上げ位置接触部59C1までの寸法Cよりも小さく形成されている。
【0081】
これにより、操作具スタンド39を跳ね上げ位置から操作位置に下げるときの操作力は、カムローラ50が小撓み量円弧面59C上を移動しているときに軽減することができる。そして、操作具スタンド39が操作位置に近付くときに、カムローラ50が大撓み量円弧面59B上を移動するので、カムローラ50の回動速度を減速させることができ、ひいては操作具スタンド39を滑らかに操作位置に向けて移動させることができる。
【0082】
また、回動部材40と一緒に回動するカムローラ50を弾性部材59に弾性的に接触させることにより、操作具スタンド39を円滑に操作位置に回動させている。これにより、左操作装置31内に長尺なガスダンパ等を設ける必要がないので、左操作装置31を小型化することができる。
【0083】
さらに、接触面59Aには、操作具スタンド39を跳ね上げ位置に保持する保持突起59Dが備えられている。これにより、例えば操作具スタンド39が風等により操作位置に下がるのを低減することができるので、オペレータがキャブ12内に搭乗するときの安全性を向上することができる。
【0084】
また、接触面59Aには、操作具スタンド39を操作位置まで回動したときに、カムローラ50が緩やかに停止する停止緩和部59Eを備えている。これにより、操作具スタンド39を操作位置に緩やかに停止させることができるので、操作具スタンド39が操作位置でリバウンドするのを低減することができる。また、カムローラ50を緩やかに停止させることにより、操作具スタンド39、操作具53等の衝撃を低減させることができるので、操作具スタンド39、操作具53等の寿命を向上することができる。
【0085】
また、操作具スタンド39は、回動部材40から前方に向けて延びる中空パイプ51を備えている。そして、操作具53は、中空パイプ51の前端側に設けられている。これにより、左操作装置31を簡素化して部品点数を低減することができ、コストを低減することができる。また、部品点数が低減されたことにより操作具スタンド39の重量が低減すると共に、中空パイプ51を把持して操作具スタンド39を操作位置と跳ね上げ位置との間で簡単に回動させることができる。
【0086】
また、中空パイプ51内には、操作具53に電気的に接続されるハーネス52が配設される。これにより、ハーネス52が左操作装置31の周囲に乱雑に配設されるのを抑制することができるので、ハーネス52を気にすることなくオペレータはキャブ12内に搭乗することができる。
【0087】
なお、上述した本実施の形態では、建設機械の操作装置として、運転席15の左側に配設された左操作装置31を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば運転席15の右側に配設された右操作装置に適用してもよい。
【0088】
また、上述した本実施の形態では、ホイールローダ1の操作装置(左操作装置31)を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば油圧ショベル等の他の建設機械の操作装置に適用してもよい。