特許第6487318号(P6487318)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6487318
(24)【登録日】2019年3月1日
(45)【発行日】2019年3月20日
(54)【発明の名称】小型の建設機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/16 20060101AFI20190311BHJP
【FI】
   E02F9/16 H
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-255488(P2015-255488)
(22)【出願日】2015年12月26日
(65)【公開番号】特開2017-115559(P2017-115559A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2018年2月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】398071668
【氏名又は名称】株式会社日立建機ティエラ
(74)【代理人】
【識別番号】110002457
【氏名又は名称】特許業務法人広和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀬滝 雅
(72)【発明者】
【氏名】田中 友幸
(72)【発明者】
【氏名】川本 純也
【審査官】 石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−299396(JP,A)
【文献】 特開2011−116482(JP,A)
【文献】 特開2011−064064(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00− 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走可能な下部走行体と、前記下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、前記上部旋回体の前側に設けられたフロント装置とからなり、
前記上部旋回体は、支持構造体をなす旋回フレームと、前記フロント装置とバランスをとるために前記旋回フレームの後側に設けられたカウンタウエイトと、前記カウンタウエイトの前側で前記旋回フレームに設けられた原動機と、前記原動機の上側を覆って設けられ運転席を有する運転席台座と、前記運転席台座の前側で前記旋回フレーム上に設けられた床板と、前記床板上に設けられたフロアマットと、前記旋回フレームの前側で前記旋回フレームに支持され前記床板よりも下側に回動中心となる回動軸を有すると共に基端が前記回動軸に取付けられたレバー部が前記フロアマットを介して上方に突出しており、前記レバー部が前,後方向に傾動されて前記下部走行体の走行を操作する走行レバー・ペダルとを備えてなる小型の建設機械において、
前記床板の前側位置には、前記走行レバー・ペダルの前記レバー部が挿通される床板側開口部が設けられており、
前記フロアマットには、前記床板側開口部と対応する位置にマット側開口部が設けられており、
前記フロアマットの前記マット側開口部には、前記マット側開口部を覆うと共に前記走行レバー・ペダルの前記レバー部が前,後方向に傾動可能に挿通されるスリットを有する平板部と、前記平板部から前記床板の前記床板側開口部に向けて延びる筒部とからなるカバー部材が設けられており、
前記フロアマットの前記マット側開口部と前記カバー部材の前記平板部の外周縁とには、前記フロアマットと前記カバー部材との間を液密状態でシールするシール部位がそれぞれ設けられており、
前記床板の前記床板側開口部と前記カバー部材の前記筒部とには、前記床板と前記カバー部材とが互いに係合する係合部位がそれぞれ設けられていることを特徴とする小型の建設機械。
【請求項2】
前記カバー部材の前記平板部は、前記フロアマットの足乗せ部位よりも高い位置に配置されてなる請求項1に記載の小型の建設機械。
【請求項3】
前記シール部位は、前記平板部の前記外周縁を全周に亘って切り欠いた全周段差部と、前記フロアマットの前記マット側開口部に設けられ前記全周段差部に向けて内向きに突出して前記全周段差部に係合する全周リップ部とにより形成してなる請求項1に記載の小型の建設機械。
【請求項4】
前記シール部位は、前記平板部の全周から前記フロアマットに向けて外向きに延びる全周鍔部と、前記フロアマットの前記マット側開口部に設けられ前記全周鍔部と前記床板の床板側開口部の近傍の上面との間で挟持される全周挟持部とにより形成してなる請求項1に記載の小型の建設機械。
【請求項5】
前記係合部位は、前記カバー部材の前記筒部の外周面を全周に亘って凹ませた全周凹溝と、前記床板の前記床板側開口部に前記全周凹溝に向けて突出して設けられ前記全周凹溝に係合する全周係合突部とにより形成してなる請求項1に記載の小型の建設機械。
【請求項6】
前記旋回フレームには、前記走行レバー・ペダルの操作に応じて前記下部走行体に圧油を給排する制御弁が設けられ、
前記走行レバー・ペダルの回動軸と前記制御弁とは、前記回動軸から径方向に延びる回動片と、前記回動片と前記制御弁のパイロット部とを連結するロッドとにより機械的に連結されてなる請求項1に記載の小型の建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル等の建設機械に関し、特に床板の前側に位置して下部走行体を操作する走行レバー・ペダルが配置された小型の建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建設機械の代表例である油圧ショベルは、自走可能な下部走行体と、前記下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、前記上部旋回体の前側に俯仰動可能に設けられたフロント装置とにより構成されている。
【0003】
ここで、油圧ショベルには、狭い作業現場等で作業を行うための小型の油圧ショベルがある。この小型の油圧ショベルは、通常ミニショベルと呼ばれるもので、建物の内部での解体作業、狭い街路地等での掘削作業等に用いられるため、例えば機械重量が0.7〜8トン程度までに抑えられている。従って、小型の油圧ショベルは、下部走行体、上部旋回体を含む車体全体がコンパクトに形成されている。
【0004】
小型の油圧ショベルの上部旋回体は、支持構造体をなす旋回フレームと、前記フロント装置とバランスをとるために前記旋回フレームの後側に設けられたカウンタウエイトと、前記カウンタウエイトの前側で前記旋回フレームに設けられたエンジン等の原動機と、前記原動機の上側を覆って設けられ運転席を有する運転席台座と、前記運転席台座の前側で前記旋回フレーム上に設けられた床板と、前記床板上に設けられたフロアマットと、前記旋回フレームの前側で前記旋回フレームに支持され前記床板よりも下側に回動中心となる回動軸を有すると共に基端が前記回動軸に取付けられたレバー部が前記フロアマットを介して上方に突出した走行レバー・ペダルとを備えている。
【0005】
このように構成された小型の油圧ショベルは、狭い路地や建物の入口を通ること、小型のトラック等で移送することを考慮し、下部走行体、上部旋回体の左,右方向の幅寸法を小さく設定している。また、上部旋回体の前,後方向の長さ寸法は、オペレータの居住スペースを確保できる範囲でコンパクトに設計されている。
【0006】
上述したように、小型の油圧ショベルでは、走行レバー・ペダルのレバー部が、フロアマットに形成された開口部を通って上方に突出している。オペレータは、このレバー部の先端を掴んで前,後方向に傾動させることにより、下部走行体の走行を操作することができる。この場合、フロアマットの開口部は、傾動されるレバー部を干渉しないように大きく形成されているから、開口部を通じて土砂や水が床下に浸入する虞がある。そこで、小型の油圧ショベルには、フロアマットの開口部とレバー部との隙間を覆う蛇腹状のブーツを設けたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−299396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1による油圧ショベルは、フロアマットの開口部に蛇腹状のブーツを設けており、このブーツは、フロアマットから上側に突出している。このため、特許文献1では、レバー部にペダル部を取付けようとすると、ペダル部の位置が高くなってしまい、操作性が悪くなるという問題がある。
【0009】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、フロアマットのマット側開口部と走行レバー・ペダルのレバー部との隙間を覆いつつ、走行レバー・ペダルのペダル部の取付位置を操作する上で良好な低い位置に配置して、このペダル部の操作性を向上できるようにした小型の建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による建設機械は、自走可能な下部走行体と、前記下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、前記上部旋回体の前側に設けられたフロント装置とからなり、前記上部旋回体は、支持構造体をなす旋回フレームと、前記フロント装置とバランスをとるために前記旋回フレームの後側に設けられたカウンタウエイトと、前記カウンタウエイトの前側で前記旋回フレームに設けられた原動機と、前記原動機の上側を覆って設けられ運転席を有する運転席台座と、前記運転席台座の前側で前記旋回フレーム上に設けられた床板と、前記床板上に設けられたフロアマットと、前記旋回フレームの前側で前記旋回フレームに支持され前記床板よりも下側に回動中心となる回動軸を有すると共に基端が前記回動軸に取付けられたレバー部が前記フロアマットを介して上方に突出しており、前記レバー部が前,後方向に傾動されて前記下部走行体の走行を操作する走行レバー・ペダルとを備えてなる小型の建設機械において、前記床板の前側位置には、前記走行レバー・ペダルの前記レバー部が挿通される床板側開口部が設けられており、前記フロアマットには、前記床板側開口部と対応する位置にマット側開口部が設けられており、前記フロアマットの前記マット側開口部には、前記マット側開口部を覆うと共に前記走行レバー・ペダルの前記レバー部が前,後方向に傾動可能に挿通されるスリットを有する平板部と、前記平板部から前記床板の前記床板側開口部に向けて延びる筒部とからなるカバー部材が設けられており、前記フロアマットの前記マット側開口部と前記カバー部材の前記平板部の外周縁とには、前記フロアマットと前記カバー部材との間を液密状態でシールするシール部位がそれぞれ設けられており、前記床板の前記床板側開口部と前記カバー部材の前記筒部とには、前記床板と前記カバー部材とが互いに係合する係合部位がそれぞれ設けられている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、フロアマットのマット側開口部と走行レバー・ペダルのレバー部との隙間を覆いつつ、走行レバー・ペダルのペダル部の取付位置を操作する上で良好な低い位置に配置でき、このペダル部の操作性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る小型の油圧ショベルを示す正面図である。
図2図1の油圧ショベルをフロント装置とキャブを省略した状態で左前側から見た斜視図である。
図3】旋回フレーム、運転席台座、床板等の組立体とフロアマットとカバー部材とを分解した状態で示す分解斜視図である。
図4図3中の前フレーム部材、制御弁群、走行レバー・ペダル等を右後側から拡大して見た斜視図である。
図5図4中の前フレーム部材を単体で示す斜視図である。
図6】制御弁群と走行レバー・ペダルとの接続状態を図4中の矢示VI-VI方向から見た要部拡大の断面図である。
図7図6中のA部を示す要部拡大の断面図である。
図8】第1の実施の形態によるカバー部材を単体で示す拡大斜視図である。
図9】第2の実施の形態によるフロアマットとカバー部材を、図7と同様位置から見た要部拡大の断面図である。
図10】第2の実施の形態によるカバー部材を単体で示す拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態に係る小型の建設機械の代表例として、キャブ仕様の小型の油圧ショベル、所謂ミニショベルを例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
【0014】
まず、図1ないし図8は本発明の第1の実施の形態を示している。図1において、建設機械としての油圧ショベル1は、キャブ仕様の小型の油圧ショベル(ミニショベル)として構成されている。この小型の油圧ショベル1は、油圧モータ(図示せず)を駆動源として自走可能なクローラ式の下部走行体2と、前記下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3とを備えている。
【0015】
上部旋回体3の前側には、左,右方向に揺動可能なスイング式のフロント装置4が設けられ、このフロント装置4は、複数本の油圧シリンダを駆動源として回動することにより土砂の掘削作業等を行うものである。
【0016】
ここで、小型の油圧ショベル1は、建物の内部の解体作業、街路地等の狭い場所での掘削作業に用いられるため、例えば機械重量(総重量)が0.7〜8トン程度までに抑えられている。
【0017】
上部旋回体3は、下部走行体2の車幅とほぼ等しい左,右方向の幅寸法を有している。また、上部旋回体3の前,後方向の長さ寸法は、オペレータの居住スペースを確保できる範囲でコンパクトに設計されている。この場合、図2図3に示すように、小型の油圧ショベル1では、例えば、後述するエンジン7の上側に運転席台座9を介して運転席10を配置したり、オペレータが足を置くための床板18を小さくすることにより、コンパクト化を可能にしている。
【0018】
旋回フレーム5は、上部旋回体3の支持構造体を形成するものである。図3に示すように、旋回フレーム5は、前,後方向に延びる略長方形状をした厚肉な鋼板等からなる底板5Aと、前記底板5A上に前側に向け互いに接近するようにV字状に延びて立設された左前縦板5B,右前縦板5Cと、前記各前縦板5B,5Cの後部に位置して左,右方向に延びて立設された横板5Dと、横板5Dから左,右方向に間隔をもって後側に延びた左後縦板5E,右後縦板(図示せず)とを含んで構成されている。前記各前縦板5B,5Cの前部は、フロント装置4を左,右方向に揺動自在に支持する支持ブラケット5Fとなっている。
【0019】
一方、旋回フレーム5の右前部、即ち、底板5Aの右前コーナ部には、後述する前フレーム部材13の右側と床板18の右前部とを支持する右前支柱5Gが立設されている。さらに、旋回フレーム5の底板5Aの前側位置には、旋回フレーム5の一部と後述する床板18の一部を構成する前フレーム部材13が設けられている。
【0020】
カウンタウエイト6は、旋回フレーム5の後側に取付けられている(図1参照)。このカウンタウエイト6は、フロント装置4との重量バランスをとるもので、例えば鋳造等を用いて成形された重量物として構成されている。
【0021】
図1図3に示すように、エンジン7は、後述する油圧ポンプ8を駆動する原動機を構成している。エンジン7は、カウンタウエイト6の前側に位置して旋回フレーム5の後側に左,右方向に延在する横置き状態で配設されている。
【0022】
エンジン7には、例えば左,右方向の左側に位置して油圧ポンプ8(図1中に点線で図示)が設けられ、右側には冷却ファン(図示せず)が設けられている。油圧ポンプ8は、エンジン7によって駆動されることにより、後述の制御弁群20を介して下部走行体2の油圧モータ、フロント装置4の油圧シリンダ等に作動油(圧油)を供給するものである。また、冷却ファンと対面する位置には、エンジン冷却水、作動油等を冷却するための熱交換装置(図示せず)が設けられている。なお、原動機としては、エンジンにアシスト用の電動モータを設けたハイブリッド式の原動機を用いることもでき、電動モータだけを原動機として用いることもできる。
【0023】
図2図3に示すように、運転席台座9は、エンジン7、油圧ポンプ8、熱交換装置等を覆うと共に、後述の運転席10を支持するものである。即ち、運転席台座9は、エンジン7の前側から旋回フレーム5に立設された前面板9Aと、前記前面板9Aの上部から後側に延びエンジン7等の上側を覆った座席取付板9Bとを含んで構成されている。前記座席取付板9Bの上側には、後述の運転席10、左,右の操作レバー11,12等が取付けられる。
【0024】
運転席10は、運転席台座9を構成する座席取付板9Bの中央位置に設けられている。この運転席10は、油圧ショベル1を操縦するオペレータが着座するものである。また、運転席10の左,右両側には、フロント装置4等を操作する作業用の左,右の操作レバー11,12が配設されている。
【0025】
次に、旋回フレーム5の前側に設けられた本実施の形態の特徴部分の一部をなす前フレーム部材13の構成について述べる。
【0026】
図3に示すように、前フレーム部材13は、旋回フレーム5の前側に設けられている。図4に示すように、前フレーム部材13は、後述する制御弁群20、走行レバー・ペダル21等が組付けられるサブ組立体のベースフレームとなるものである。これにより、前フレーム部材13には、メインの組立現場とは別の広い場所で、制御弁群20、走行レバー・ペダル21等を組付けることができる。しかも、制御弁群20に含まれる油圧モータ用の制御弁20Aと走行レバー・ペダル21との調整作業を、予め広い場所で効率よく行うことができる。
【0027】
前フレーム部材13は、旋回フレーム5の底板5Aと対面する略長方形状の下面板14と、前記下面板14の左前側のコーナ部に立設されたアングル状の左柱15と、左柱15と左,右方向で対面するように、前記下面板14の右前側のコーナ部に立設されたアングル状の右柱16と、前側に位置して前記左,右の柱15,16の上部に左,右方向に延びて設けられた上面板17とを含んで構成されている。
【0028】
下面板14は、旋回フレーム5の底板5Aの左前位置、具体的には、左前縦板5Bの左側で横板5Dよりも前側位置にボルト止めされている。図5に示すように、下面板14には、前,後方向の中間部に位置して弁台14Aが複数台、例えば左,右方向に間隔をもって3台設けられている。これらの弁台14A上には制御弁群20が取付けられる。
【0029】
左柱15には、上面板17の下側近傍に位置して回動軸挿通孔15Aが左,右方向に貫通して設けられている。一方、右柱16には、回動軸挿通孔15Aと同一軸線となるように回動軸挿通孔16Aが左,右方向に貫通して設けられている。各柱15,16の回動軸挿通孔15A,16Aには、後述する走行レバー・ペダル21の回動軸22が挿通される。
【0030】
さらに、右柱16の右側位置には、回動軸挿通孔16Aの前側に位置してブラケット16Bが設けられている。図6に示すように、このブラケット16Bには、走行レバー・ペダル21の右レバー部24の傾動(回動)角度を調整するための調整ボルト16Cが上,下方向に間隔をもって2個螺合されている。また、右柱16の左面側には、走行レバー・ペダル21の左レバー部26の傾動角度を調整するための調整ボルトが螺合されるブラケット(いずれも図示せず)が設けられている。
【0031】
上面板17は、後述する床板18の前側部分の一部を構成している。この上面板17には、床板18と同一面をなすように1段高い位置に操作系取付板17Aが形成されている。操作系取付板17Aには、左,右方向の中央位置、詳しくは、右柱16の右側近傍に位置して床板側開口部17Bが設けられている。床板側開口部17Bは、走行レバー・ペダル21の左,右のレバー部24,26が挿通されるものである。
【0032】
ここで、床板側開口部17Bは、前,後方向に傾動(回動)される左,右のレバー部24,26が接触しないように、十分に大きな長方形状の開口として形成されている。図7に示すように、床板側開口部17Bの内側の端部は、後述するカバー部材32の全周凹溝36に向けて突出した係合部位としての全周係合突部17Cとなっている。この全周係合突部17Cは、前記全周凹溝36と互いに係合することにより、上面板17の所定位置、即ち、床板側開口部17Bにカバー部材32を位置決め状態で固定するものである。
【0033】
図3図6に示すように、床板18は、運転席台座9の前側で旋回フレーム5上に設けられている。床板18は、前側が前フレーム部材13の上面板17に取付けられ、後側が運転席台座9の前面板9A等に取付けられている。床板18は、オペレータが足を置く足置き部材を構成するもので、平坦で左,右方向に長尺な長方形状に形成されている。
【0034】
フロアマット19は、床板18上に設けられている。フロアマット19は、前フレーム部材13の上面板17を含む床板18を覆うように、弾性を有する樹脂材料(ゴム材料)を用いて左,右方向に長尺な長方形状に形成されている。フロアマット19の周囲には、乗降側となる左側を除いて枠部19Aが立ち上がっている。また、フロアマット19は、前側部分を除く中間部分から後側部分がオペレータが足の乗せる足乗せ部位19Bとなっている。
【0035】
フロアマット19には、前側の左,右方向の中間位置、具体的には、上面板17の床板側開口部17Bと対応する位置にマット側開口部19Cが設けられている。このマット側開口部19Cは、カバー部材32よりも大きな寸法をもった長方形状の開口として形成されている。
【0036】
マット側開口部19Cには、フロアマット19とカバー部材32との間を液密状態でシールするシール部位としての全周リップ部19Dが設けられている。全周リップ部19Dは、カバー部材32の全周段差部35に向け斜め上向きに突出して延びることにより、全周段差部35に係合する傾斜リップ部として構成されている。これにより、マット側開口部19Cの全周リップ部19Dは、その上面19D1の傾斜によってカバー部材32に向けて土砂や水が移動しないようにすることができる。
【0037】
一方、全周リップ部19Dの下面19D2および内側面19D3は、後述のカバー部材32を構成する筒部34の全周段差部35に弾性的に密着することにより、フロアマット19とカバー部材32との間を液密状態でシールすることができる。
【0038】
制御弁群20は、前フレーム部材13の下面板14の各弁台14A上に取付けられている。制御弁群20は、複数個の制御弁20Aを左,右方向に並べて連結することにより構成されている。各制御弁20Aは、後述の走行レバー・ペダル21、左,右の操作レバー11,12等の操作によって、下部走行体2の走行用の油圧モータ、フロント装置4の複数本の油圧シリンダ等に向けて圧油を給排するものである。
【0039】
ここで、各制御弁20Aのうち、例えば、中央付近に配置された2個の制御弁20Aは、下部走行体2の走行用の油圧モータに圧油を給排するものである。図4図6に示すように、2個の制御弁20Aのうち、左側に位置する制御弁20Aは、そのパイロット部20A1が後述のロッド29等を介して右レバー部24に対し直接的に接続されている。一方、右側に位置する制御弁20Aは、そのパイロット部20A1がロッド31等を介して左レバー部26に対し機械的(直接的)に接続されている。
【0040】
走行レバー・ペダル21は、旋回フレーム5の一部を構成する前フレーム部材13に支持されている。走行レバー・ペダル21は、床板18の一部をなす上面板17よりも下側、即ち、左柱15、右柱16に対し前,後方向に傾動(回動)可能に取付けられている。走行レバー・ペダル21は、後述する右レバー部24、左レバー部26を傾動させることにより、対応する制御弁20Aを介して下部走行体2の走行を操作するものである。走行レバー・ペダル21は、後述の回動軸22、筒状回動軸23、右レバー部24、左レバー部26を含んで構成されている。
【0041】
走行レバー・ペダル21を構成する回動軸22は、上面板17よりも下側で回動中心を構成している。回動軸22は、左,右方向に延びて左柱15,右柱16の回動軸挿通孔15A,16Aに挿通され、軸受ブロック(ピローブロック)22Aを介して各柱15,16に回動自在に取付けられている。回動軸22のうち、右柱16から右側に突出した突出端22Bには、径方向に延びてストッパ部22Cが設けられている。一方、回動軸22の左側寄りには、油圧モータ用の制御弁20Aに対応して後述の回動片28が取付けられている。
【0042】
筒状回動軸23は、左,右方向に延びる円筒体(パイプ部材)として形成されている。この筒状回動軸23は、右柱16を挟んで突出端22Bと反対側に配置され、回動軸22の外周側に、回動軸22と相対回転可能に取付けられている。筒状回動軸23の左側寄りには、他の油圧モータ用の制御弁20Aに対応して後述の回動片30が取付けられている。
【0043】
右レバー部24は、回動軸22を回動させるもので、基端(下端)が回動軸22の突出端22Bに取付けられている。一方、右レバー部24は、前フレーム部材13を構成する上面板17の床板側開口部17Bとフロアマット19のマット側開口部19Cとを通って上側に延びている。この場合、右レバー部24は、カバー部材32の平板部33に設けられた右スリット33Aを介して上側に延び、その先端(上端)には、オペレータが握るグリップ24Aが設けられている。ここで、右レバー部24の基端は、回動軸22の回動中心を挟んでストッパ部22Cと反対側(相対位置)に位置して回動軸22に固着されている。
【0044】
右ペダル部25は、フロアマット19よりも上側に位置して右レバー部24の右側に設けられている。右ペダル部25は、右レバー部24に対してボルト止めされている。ここで、右ペダル部25は、マット側開口部19C、床板側開口部17Bと走行レバー・ペダル21の各レバー部24,26との隙間を覆う部材として、高さ寸法が低い後述のカバー部材32を用いたことにより、フロアマット19に近い低い位置に配置することができる。これにより、オペレータは、右ペダル部25に容易に足を掛けることができ、簡単にかつ的確に足踏み操作することができる。
【0045】
左レバー部26は、筒状回動軸23を回動させるもので、基端(下端)が筒状回動軸23の外周面に取付けられている。一方、左レバー部26は、右レバー部24に沿うように、上面板17の床板側開口部17Bとフロアマット19のマット側開口部19Cとを通って上側に延びている。この場合、左レバー部26は、平板部33の左スリット33Bを介して上側に延び、その先端(上端)はグリップ26Aとなっている。ここで、左レバー部26の基端は、略J字状に屈曲されて筒状回動軸23と平行に延び、この平行部分が筒状回動軸23に固着されている。
【0046】
左ペダル部27は、右ペダル部25とほぼ同様に、フロアマット19よりも上側に位置して左レバー部26の左側に設けられている。左ペダル部27は、左レバー部26に対し、フロアマット19に近い低い位置に取付けられている。これにより、オペレータは、右ペダル部25と同様に、左ペダル部27も簡単にかつ的確に足踏み操作することができる。
【0047】
右レバー部24用の回動片28は、長方形状の板体からなり、右側の油圧モータに圧油を給排するための制御弁20Aに対応するように回動軸22の左側寄りに設けられている。回動片28は、例えば、右レバー部24が中立位置にあるときに、回動軸22から真下に延びるように、回動軸22の外周面に固着されている。
【0048】
右レバー部24用のロッド29は、回動片28の先端部と右側の油圧モータ用の制御弁20Aのパイロット部20A1とを連結する棒状体として設けられている。これにより、右レバー部24と右側の油圧モータ用の制御弁20Aとは、機械的(直接的)に連結されている。
【0049】
左レバー部26用の回動片30は、右レバー部24用の回動片28と同様に、長方形状の板体からなり、左側の油圧モータに圧油を給排するための制御弁20Aに対応するように筒状回動軸23に設けられている。回動片30は、例えば、左レバー部26が中立位置にあるときに、筒状回動軸23から真下に延びるように、筒状回動軸23の外周面に固着されている。
【0050】
左レバー部26用のロッド31は、回動片30の先端部と左側の油圧モータ用の制御弁20Aのパイロット部20A1とを連結する棒状体として設けられている。これにより、左レバー部26と左側の油圧モータ用の制御弁20Aとは、機械的(直接的)に連結されている。
【0051】
次に、フロアマット19のマット側開口部19Cに設けられた本実施の形態の特徴部分をなすカバー部材32の構成について述べる。
【0052】
カバー部材32は、フロアマット19のマット側開口部19Cに設けられている。また、カバー部材32の下側部分は、床板18の一部をなす前フレーム部材13の上面板17に設けられた床板側開口部17Bに係合されている。カバー部材32は、例えば、柔軟性(弾性)を有する樹脂材料からなり、マット側開口部19C、床板側開口部17Bと走行レバー・ペダル21の各レバー部24,26との隙間を覆うものである。図7図8に示すように、カバー部材32は、後述の平板部33、筒部34、全周段差部35、全周凹溝36を含んで構成されている。
【0053】
平板部33は、フロアマット19のマット側開口部19Cを覆うように長方形状に形成されている。この平板部33には、走行レバー・ペダル21の右レバー部24が前,後方向に傾動可能に挿通される右スリット33Aと、左レバー部26が前,後方向に傾動可能に挿通される左スリット33Bとが左,右方向に間隔をもって設けられている。この左,右のスリット33A,33Bは、前,後方向に延びる貫通溝として形成されると共に、中立状態の各レバー部24,26が配置される中間位置に、レバー部24,26の直径寸法とほぼ同じ寸法の円形部33A1,33B1を有している。
【0054】
この上で、平板部33は、後述する筒部34の厚さ寸法に比較して非常に薄い寸法となっており、これによって、平板部33は、レバー部24,26が前,後方向に傾動されたときに、自由に変形することができ、レバー部24,26の傾動を許しつつ、レバー部24,26との間の閉塞状態を維持することができる。
【0055】
ここで、平板部33は、フロアマット19のマット側開口部19Cの足乗せ部位19Bよりも高い位置に配置されている。これにより、フロアマット19の足乗せ部位19B上に土砂や水が溜まった場合でも、この土砂や水は、高い位置に配置された平板部33に上がることがないから、土砂や水が各スリット33A,33Bを通じて旋回フレーム5側に浸入するのを防止することができる。
【0056】
筒部34は、平板部33の周囲から上面板17(床板18)の床板側開口部17Bに向けて延びるものである。筒部34は、長方形状の平板部33に対応するように、厚肉な長方形状の枠体として形成されている。筒部34の外周面34Aには、後述の全周段差部35と全周凹溝36が形成されている。
【0057】
全周段差部35は、フロアマット19の全周リップ部19Dと共にシール部位を構成している。この全周段差部35は、カバー部材32の上側に位置する平板部33の外周縁に位置して、フロアマット19の全周リップ部19Dとの間を液密状態でシールするものである。全周段差部35は、平板部33の外周縁、即ち、筒部34の外周面34Aの上側部分を全周に亘って切り欠いて形成されている。これにより、全周段差部35は、全周リップ部19Dの下面19D2と密着して対面する底面35Aと、全周リップ部19Dの内側面19D3と密着して対面する外側面35Bとにより構成されている。底面35Aは、下面19D2の傾斜に合せて外側に向け下側に傾斜している。
【0058】
全周凹溝36は、上面板17(床板18)の全周係合突部17Cと共に係合部位を構成している。この全周凹溝36は、筒部34の下側に位置して外周面34Aを全周に亘って凹ませることにより形成されている。全周凹溝36は、上面板17の床板側開口部17Bに設けられた全周係合突部17Cが係合(嵌合)されることにより、上面板17の床板側開口部17Bにカバー部材32を位置決め状態で固定する。
【0059】
このように構成されたカバー部材32は、筒部34の下側部分を内側に変形させつつ、全周凹溝36と上面板17の全周係合突部17Cとを互いに係合させる。カバー部材32を上面板17に固定したら、フロアマット19のマット側開口部19Cをカバー部材32に外嵌させる。このときには、フロアマット19の全周リップ部19Dとカバー部材32の全周段差部35とが密着することにより、液密状態でシールすることができる。
【0060】
なお、図1図2に示すように、排土板装置37は、地均し作業等を行うもので、下部走行体2の前側に上,下動可能に設けられている。操作ペダル38は、走行レバー・ペダル21の右側に設けられ、フロント装置4の揺動、排土板装置37の上下動、追加された油圧機器(図示せず)の動作等に用いられるものである。さらに、キャブ39は、運転席10の周囲と上側を覆うもので、左側面には、乗降時に開閉されるドア39Aが設けられている。
【0061】
本実施の形態による小型の油圧ショベル1は、上述の如き構成を有するもので、次に、油圧ショベル1の動作について説明する。
【0062】
運転席10に着座したオペレータは、エンジン7を始動して油圧ポンプ8を駆動する。これにより、油圧ポンプ8からの圧油は、制御弁群20に供給される。これにより、オペレータが走行レバー・ペダル21のレバー部24,26を操作したときには、油圧ポンプ8からの圧油を対応する制御弁20Aから下部走行体2の油圧モータに供給し、この下部走行体2を前進または後退させることができる。一方、作業用の操作レバー装置11,12を操作することにより、フロント装置4等を動作させて土砂の掘削作業等を行うことができる。
【0063】
かくして、本実施の形態によれば、床板18の前側位置、即ち、前フレーム部材13の上面板17には、走行レバー・ペダル21の各レバー部24,26が挿通される床板側開口部17Bが設けられている。また、フロアマット19には、床板側開口部17Bと対応する位置にマット側開口部19Cが設けられている。フロアマット19のマット側開口部19Cには、このマット側開口部19Cを覆うと共に走行レバー・ペダル21の各レバー部24,26が前,後方向に傾動可能に挿通されるスリット33A,33Bを有する平板部33と、前記平板部33から上面板17の床板側開口部17Bに向けて延びる筒部34とからなるカバー部材32が設けられている。
【0064】
この上で、フロアマット19のマット側開口部19Cとカバー部材32の平板部33の外周縁とには、フロアマット19とカバー部材32との間を液密状態でシールするシール部位がそれぞれ設けられている。この場合、シール部位は、平板部33の外周縁を全周に亘って切り欠いた全周段差部35と、フロアマット19のマット側開口部19Cに設けられ全周段差部35に向けて内向きに突出して前記全周段差部35に係合する全周リップ部19Dとにより形成している。
【0065】
さらに、上面板17の床板側開口部17Bとカバー部材32の筒部34とには、上面板17とカバー部材32とが互いに係合する係合部位がそれぞれ設けられている。この場合、係合部位は、カバー部材32の筒部34の外周面34Aを全周に亘って凹ませた全周凹溝36と、上面板17の床板側開口部17Bに前記全周凹溝36に向けて突出して設けられ全周凹溝36に係合する全周係合突部17Cとにより形成している。
【0066】
従って、本実施の形態では、カバー部材32の平板部33によってフロアマット19のマット側開口部19Cと各レバー部24,26との隙間を閉塞することができる。このカバー部材32は、特許文献1に記載された蛇腹状のブーツに比較し、高さ寸法を低く抑えることができ、各レバー部24,26に対する各ペダル部25,27の取付位置を低くすることができる。
【0067】
この結果、走行レバー・ペダル21の各ペダル部25,27は、フロアマット19から近い位置に配置することができるから、オペレータは、各ペダル部25,27に容易に足を掛けることができる。これにより、下部走行体2を走行させるときの足踏み操作を容易に、かつ的確に行うことができ、走行レバー・ペダル21の操作性を向上することができる。
【0068】
また、平板部33の外周縁の全周段差部35と、フロアマット19のマット側開口部19Cに設けられ全周段差部35に係合する全周リップ部19Dとからなるシール部材は、フロアマット19のマット側開口部19Cとカバー部材32との間を液密状態でシールすることができる。これにより、全周段差部35と全周リップ部19Dとは、フロアマット19上の土砂、水等がフロアマット19の下側に入り込むのを防止することができ、清掃作業に要する手間を軽減することができる。
【0069】
一方、カバー部材32の筒部34の外周面34Aに設けられた全周凹溝36と、上面板17の床板側開口部17Bに設けられ全周凹溝36に係合する全周係合突部17Cとからなる係合部位は、互いに係合することができる。これにより、ボルト、フック等の固定具を用いることなく、簡単な構成でカバー部材32を上面板17の床板側開口部17Bに位置決め状態で固定することができる。
【0070】
さらに、フロアマット19の全周リップ部19Dは、カバー部材32の全周段差部35に向けて斜め上向きに延びる傾斜リップ部として構成している。これにより、全周リップ部19Dの上面19D1は、その傾斜によって土砂や水を下側に移動させて除去することができる。また、カバー部材32の平板部33側への土砂や水の移動を抑制することができる。さらに、土砂の堆積を防止できるから、見栄えをよくすることができる。
【0071】
カバー部材32の平板部33は、フロアマット19の足乗せ部位19Bよりも高い位置に配置している。従って、フロアマット19の足乗せ部位19B上に土砂や水が溜まった場合でも、この土砂や水が各スリット33A,33Bを通じて旋回フレーム5側に浸入するのを防止することができ、旋回フレーム5上を清浄に保つことができる。
【0072】
旋回フレーム5には、走行レバー・ペダル21の操作に応じて下部走行体2に圧油を給排する制御弁群20が設けられている。走行レバー・ペダル21の回動軸22、筒状回動軸23と制御弁群20のうち走行用の油圧モータを制御する制御弁20Aとは、回動軸22,23から径方向に延びる回動片28,30と、回動片28,30と制御弁20Aのパイロット部20A1とを連結するロッド29,31とにより機械的に連結することができる。
【0073】
次に、図9および図10は本発明の第2の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、シール部位は、平板部の全周からフロアマットに向けて外向きに延びる全周鍔部と、フロアマットのマット側開口部に設けられ全周鍔部と床板の床板側開口部の近傍の上面との間で挟持される全周挟持部とにより形成したことにある。なお、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0074】
図9図10において、第2の実施の形態によるフロアマット41は、前述した第1の実施の形態によるフロアマット19とほぼ同様に、枠部41A、足乗せ部位(図示せず)、マット側開口部41Bを備え、弾性を有する樹脂材料(ゴム材料)を用いて左,右方向に長尺な長方形状に形成されている。しかし、第2の実施の形態によるフロアマット41は、マット側開口部41Bの位置に、全周リップ部が形成されていない点で、第1の実施の形態によるフロアマット19と相違している。
【0075】
フロアマット41のマット側開口部41Bには、後述するカバー部材42の全周鍔部46と床板18の一部をなす上面板17の床板側開口部17Bの近傍の上面17B1との間で挟持される全周挟持部41Cが形成されている。この全周挟持部41Cは、全周鍔部46と共にフロアマット41とカバー部材42との間を液密状態でシールするシール部位を構成している。
【0076】
全周挟持部41Cは、全周鍔部46の下面46Bに対面する上面41C1と、床板側開口部17Bの近傍の上面17B1と対面する下面41C2と、カバー部材42の筒部44の外周面44Aと対面する内周面41C3とを有している。
【0077】
第2の実施の形態によるカバー部材42は、第1の実施の形態によるカバー部材32とほぼ同様に、柔軟性(弾性)を有する樹脂材料からなり、平板部43と筒部44と全周凹溝45を含んで構成されている。しかし、第2の実施の形態によるカバー部材42は、平板部43の全周に全周鍔部46が形成されている点で、第1の実施の形態によるカバー部材32と相違している。なお、平板部43は、右スリット43Aと左スリット43Bを有し、筒部44は、外周面44Aを有している。
【0078】
カバー部材42の全周鍔部46は、平板部43の全周からフロアマット41に向けて外向きに延びている。全周鍔部46は、上面46A、下面46Bおよび外周面46Cを有している。
【0079】
全周鍔部46の上面46Aは、フロアマット41の全周挟持部41Cの上面41C1に向けて斜め下向きに延びる傾斜面として構成されている。これにより、上面46Aは、傾斜によって土砂や水を下側に移動させて除去することができる。また、平板部43側への土砂や水の移動を抑制することができる。
【0080】
全周鍔部46は、その下面46Bを全周挟持部41Cの上面41C1に密着させることにより、フロアマット41のマット側開口部41B(全周挟持部41C)とカバー部材42との間を液密状態でシールすることができる。
【0081】
かくして、このように構成された第2の実施の形態においても、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、第2の実施の形態によれば、シール部位は、平板部43の全周からフロアマット41に向けて外向きに延びる全周鍔部46と、フロアマット41のマット側開口部41Bに設けられ全周鍔部46と上面板17の床板側開口部17Bの近傍の上面17B1との間で挟持される全周挟持部41Cとにより形成している。これにより、全周挟持部41Cと全周鍔部46とは、フロアマット41上の土砂、水等がフロアマット41の下側に入り込むのを防止することができ、清掃作業に要する手間を軽減することができる。
【0082】
さらに、全周鍔部46は、上面46Aが全周挟持部41Cの上面41C1に向けて斜め下向きに延びる傾斜面として構成している。従って、全周鍔部46の上面46Aは、その傾斜によって土砂や水を下側に移動させて除去することができる。また、カバー部材42の平板部43側への土砂や水の移動を抑制することができる。
【0083】
なお、第1の実施の形態では、制御弁群20の制御弁20Aのパイロット部20A1と走行レバー・ペダル21とを、回動片28,30、ロッド29,31を介して直接的(機械的)に接続する構成とした場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、制御弁群20の制御弁20Aのパイロット部20A1と走行レバー・ペダル21とをワイヤケーブル等を用いて接続する構成としてもよい。この構成は、第2の実施の形態にも同様に適用できるものである。
【0084】
各実施の形態では、運転席10の周囲と上側を覆うキャブ39を備えたキャブ仕様の小型の油圧ショベル1を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、運転席の上側を覆うキャノピを備えたキャノピ仕様の小型の油圧ショベルに適用することもできる。
【0085】
さらに、各実施の形態では、小型の建設機械として、クローラ式の下部走行体2を備えた小型の油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えばホイール式の下部走行体を備えた小型の油圧ショベルに適用してもよい。
【符号の説明】
【0086】
1 小型の油圧ショベル(小型の建設機械)
2 下部走行体
3 上部旋回体
4 フロント装置
5 旋回フレーム
6 カウンタウエイト
7 エンジン(原動機)
8 油圧ポンプ
9 運転席台座
10 運転席
13 前フレーム部材
14 下面板(旋回フレーム)
17 上面板(床板)
17B 床板側開口部
17B1 上面
17C 全周係合突部(係合部位)
18 床板
19,41 フロアマット
19B 足乗せ部位
19C,41B マット側開口部
19D 全周リップ部(シール部位)
20 制御弁群
20A 制御弁
20A1 パイロット部
21 走行レバー・ペダル
22 回動軸
23 筒状回動軸
24 右レバー部
25 右ペダル部
26 左レバー部
27 左ペダル部
28,30 回動片
29,31 ロッド
32,42 カバー部材
33,43 平板部
33A,43A 右スリット
33B,43B 左スリット
34,44 筒部
34A,44A 外周面
35 全周段差部(シール部位)
36,45 全周凹溝(係合部位)
41C 全周挟持部(シール部位)
46 全周鍔部(シール部位)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10