【実施例】
【0075】
1.出発材料の製造
a)[1,1’−ビフェニル]−4−カルボン酸((3aR,4R,5R,6aS)−ヘキサヒドロ−4−[(1E,3S)−3−ヒドロキシ−5−フェニル−1−ペンテン−1−イル]−2−ヒドロキシ−2H−シクロペンタ[b]フラン−5−イル)エステル(PPB−ラクトールトリオール)の製造
−65〜−85℃のテトラヒドロフラン(THF)溶媒1000ml中で下式:
【0076】
【化15】
の[1,1’−ビフェニル]−4−カルボン酸((3aR,4R,5R,6aS)−ヘキサヒドロ−4−[(1E,3S)−3−ヒドロキシ−5−フェニル−1−ペンテン−1−イル]−2−オキソ−2H−シクロペンタ[b]フラン−5−イル)エステル(PPB−ラクトンジオール)55gのラクトン基を水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL−H)のヘキサン溶液422mlにより還元した。反応混合物をNaHSO
4溶液でクエンチし、水相を酢酸エチルで抽出し、有機相をNaHCO
3溶液で洗浄し、40〜50℃にて溶媒を除去した。粗生成物を蒸発させ、油状物46.2gを得た。
【0077】
得られたPPB−ラクトールトリオールの構造式:
【0078】
【化16】
【0079】
粗製油状物からtert−ブチルメチルエーテル(TBME)とヘキサンの混液中で結晶化後に白色結晶41.6gを得た。
融点:91.1〜91.7℃。
【0080】
実施例1aのラクトールトリオールのIRスペクトルを
図Iに示す。
【0081】
13C及び
1H NMRデータ:
【0082】
【化17】
【0083】
【表1】
【0084】
b)(3aR,4R,5R,6aS)−ヘキサヒドロ−4−[(1E,3S)−3−ヒドロキシ−5−フェニル−1−ペンテン−1−イル]−2H−シクロペンタ[b]フラン−2,5−ジオール(ラクトールトリオール)の製造:
[1,1’−ビフェニル]−4−カルボン酸((3aR,4R,5R,6aS)−ヘキサヒドロ−4−[(1E,3S)−3−ヒドロキシ−5−フェニル−1−ペンテン−1−イル]−2−ヒドロキシ−2H−シクロペンタ[b]フラン−5−イル)エステル(PPB−ラクトールトリオール)の油状物46.2gをメタノール230mlに溶解し、K
2CO
36.6gの添加後、35〜45℃にて脱アシル化した。−5〜0℃にて0.5Mリン酸溶液を加えて反応混合物のpHを7〜8に調整した。析出した結晶を濾別し、メタノールと水の混液で洗浄した。母液を蒸発させ、酢酸エチルで抽出し、有機相をNa
2SO
4で乾燥し、乾燥剤を濾別し、ヘキサンを加えて生成物を結晶化させた。白色結晶生成物26gを得た。
【0085】
生成物の構造式:
【0086】
【化18】
融点:98〜103℃。
【0087】
13C及び
1H NMRデータ:
【0088】
【化19】
【表2】
【0089】
c)7−[(1R,2R,3R,5S)−3,5−ジヒドロキシ−2−[(1E,3S
)−3−ヒドロキシ−5−フェニル−1−ペンテン−1−イル]シクロペンチル]−5−ヘプテン酸((5Z)−ビマトプロスト酸)の製造:
c1)4−カルボキシブチルホスホニウムブロミド(KBFBr)108gをTHF800mlに溶解し、この溶液を0〜−5℃まで冷却した。この溶液に先ずカリウムtert−ブチレート(KOtBu)91gを加えた後、撹拌し、−10〜−15℃まで冷却後、ラクトールトリオール25gのTHF溶液を加えた。予想転化率に達したら、反応混合物を水でクエンチした後、EtOAcを加えた。水相をEtOAcで洗浄した。水層をNaHSO
4溶液でpH=2まで酸性化し、EtOAcで抽出した。有機相を合わせて15%NaCl溶液で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥し、濾過し、蒸発させた。残渣を酢酸エチルとジイソプロピルエーテルの混液から結晶化させた。結晶を濾別し、洗浄し、濾液を蒸発させた。ジイソプロピルエーテル−アセトンを溶離液とし、得られた黄色い油状物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、油状物25.5gを得た。
【0090】
得られたビマトプロスト酸のIRスペクトルを
図IIに示す。
【0091】
c2)実施例1/c1で得られた生成物を酢酸イソプロピル60mlに溶解し、これに撹拌下にジエチルエーテル40mlを加えた。少量のビマトプロスト酸種晶を反応混合物に加えた。撹拌下に0℃まで徐々に冷却し、これにジイソプロピルエーテル約60mlを加えた。懸濁液をこの温度にて一晩撹拌後、濾過し、ジイソプロピルエーテルで洗浄し、減圧乾燥した。結晶質ビマトプロスト酸20.4gを得た。
【0092】
得られたビマトプロスト酸のDSC曲線を
図Xに示し、X線粉末回折曲線を
図IXに示す。
【0093】
生成物の構造式:
【0094】
【化20】
融点:63.0〜65.5℃。
【0095】
13C及び
1H NMRデータ:
【0096】
【化21】
【0097】
【表3】
【0098】
2.7−[3,5−ジヒドロキシ−2−(3−ヒドロキシ−5−フェニルペント−1−エニル)シクロペンチル]−5−ヘプテン酸(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)エステル(活性化エステル)の製造
実施例1/c2のビマトプロスト酸27.5gをTHF270mlに溶解し、これに室温にてN,N’−ジイソプロピルカルボジイミド13.7gを加えた後、N−ヒドロキシスクシンイミド13.7gを加えた。混合物をこの温度にて撹拌後、1N NaHSO
4溶液とtert−ブチルメチルエーテル(TBME)の混液に注いだ。相分離した。有機相を1N NaHCO
3溶液で洗浄し、アルカリ水相をTBMEで抽出した。有機相を合わせてNa
2SO
4で乾燥し、濾過し、蒸発させた。残渣をヘキサンとアセトンの混液から結晶化させ、白色結晶生成物30.04gを得た。
【0099】
生成物:
【0100】
【化22】
融点:93.5〜103.4℃。
【0101】
3)実施例1/c1のビマトプロスト酸27.5gをTHF270mlに溶解し、この溶液に室温にて炭酸カリウム11.5gと炭酸N,N’−ジスクシンイミジル19.6gを加えた。反応混合物を撹拌下に60℃まで徐々に加熱した後、1N NaHSO
4溶液とtert−ブチルメチルエーテル(TBME)の混液に注いだ。相分離し、有機相を1N NaHCO
3溶液で洗浄し、アルカリ水相をTBMEで抽出した。有機相を合わせてNa
2SO
4で乾燥し、濾過し、蒸発させた。残渣をヘキサンとアセトンの混液から結晶化させ、白色結晶生成物30.9gを得た。
【0102】
生成物:
【0103】
【化23】
融点:93.5〜103.4℃。
【0104】
13C及び
1H NMRデータ:
【0105】
【化24】
【0106】
【表4】
【0107】
4)7−[3,5−ジヒドロキシ−2−(3−ヒドロキシ−5−フェニルペント−1−エニル)シクロペンチル]−5−ヘプテン酸1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロイソインドール−2−イルエステル(活性化エステル)の製造
ビマトプロスト酸2gをTHF20mlに溶解し、この溶液に室温にてN−ヒドロキシフタルイミド1gとN,N’−ジイソプロピルカルボジイミド1mlを加えた。反応混合物を2時間撹拌後、1N NaHSO
4溶液とtert−ブチルメチルエーテル(TBME)の混液に注いだ。相分離し、有機相を1N NaHCO
3溶液で洗浄し、アルカリ水相をTBMEで抽出した。有機相を合わせてNa
2SO
4で乾燥し、濾過し、蒸発させた。残渣をヘキサンとアセトンの混液から結晶化させ、白色結晶生成物1.5gを得た。
【0108】
生成物:
【0109】
【化25】
融点:83.2〜84.5℃。
【0110】
13C及び
1H NMRデータ:
【0111】
【化26】
【0112】
【表5】
【0113】
5)活性化エステルを介する7−[(1R,2R,3R,5S)−3,5−ジヒドロキシ−2−[(1E,3S)−3−ヒドロキシ−5−フェニル−1−ペンテニル]シクロペンチル]−N−エチル−5−ヘプテンアミド((5Z)−ビマトプロスト)の製造
ビマトプロスト酸27.5gをTHF270mlに溶解し、この溶液に室温にてN,N’−ジイソプロピルカルボジイミド13.7gを加えた後、N−ヒドロキシスクシンイミド13.7gを加えた。混合物を室温で撹拌した。得られた活性化エステルを単離しなかった。
【0114】
【化27】
【0115】
エステル形成の完了後、エチルアミンの2M THF溶液70mlを反応混合物に加えた。予想転化率に達するまで混合物を撹拌後、1N NaHSO
4溶液とtert−ブチルメチルエーテル(TBME)の混液に注いだ。相分離し、有機相を1N NaHCO
3溶液で洗浄し、アルカリ水相をTBMEで抽出した。有機相を合わせてNa
2SO
4で乾燥し、濾過し、蒸発させ、油状物25.4gを得た。
【0116】
生成物:
【0117】
【化28】
【0118】
13C及び
1H NMRデータ:
【化29】
【0119】
【表6】
【0120】
MSデータ
MSスペクトル:
正イオン化:
【0121】
【表7】
【0122】
予想される式:
C
25H
37NO
4
厳密な質量測定値:438.2648[M+Na]+
厳密な質量予想値:438.2615[M+Na]+
ΔM=3.3mDa及び7.53ppm。
C
25H
35NO
3(M−H
2O)
厳密な質量測定値:398.2655[M−H
2O+H]+
厳密な質量予想値:398.2690[M−H
2O+H]+
ΔM=−3.5mDa及び8.79ppm。
【0123】
MSMS(前駆体イオン:438.26):
【0124】
【表8】
【0125】
予想される式:
C
25H
35NO
3(M−H
2O)
厳密な質量測定値:420.2520[M−H
2O+Na]+
厳密な質量予想値:420.2509[M−H
2O+Na]+
ΔM=1.1mDa及び2.62ppm。
C
25H
32NO
3(M−H
2O−5H)
厳密な質量測定値:394.2366[M−H
2O−5H]+
厳密な質量予想値:394.2377[M−H
2O−5H]+
ΔM=−1.1mDa及び2.79ppm。
C
25H
30NO
2(M−2xH
2O−5H)
厳密な質量測定値:376.2258[M−2xH
2O−5H]+
厳密な質量予想値:376.2271[M−2xH
2O−5H]+
ΔM=−1.3mDa及び3.46ppm。
【0126】
6)活性化エステルを介するビマトプロストの製造
ビマトプロスト酸27.5gをTHF270mlに溶解し、この溶液に室温にて炭酸カリウム11.5gと炭酸N,N’−ジスクシンイミジル19.6gを加えた。反応混合物を撹拌下に60℃まで徐々に加熱した。得られた活性化エステルを単離しなかった。
【0127】
【化30】
【0128】
活性化エステルの形成後、エチルアミンの2M THF溶液70mlを反応混合物に加えた。反応が完了したら、混合物を1N NaHSO
4溶液とEtOAcの混液に注いだ。有機相を1N NaHCO
3溶液で洗浄し、アルカリ水相をEtOAcで抽出した。有機相を合わせてNaCl溶液で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥した。乾燥剤を濾別し、濾液を蒸発させ、油状物25.7gを得た。
【0129】
生成物:
【0130】
【化31】
【0131】
7)活性化アミドを介するビマトプロストの製造
ビマトプロスト酸27.5gをピリジン270mlに溶解し、これに1,1’−カルボニルジイミダゾール13.7gを加えた。活性化アミド形成が生じるまで混合物を20〜25℃にて撹拌した。得られた活性化アミドを単離しなかった。
【0132】
【化32】
【0133】
エチルアミンの2M THF溶液70mlを室温にて反応混合物に加え、予想転化率に達するまで混合物を撹拌した。次に混合物を1N NaHSO
4溶液とtert−ブチルメチルエーテル(TBME)の混液に注いだ。相分離し、有機相を1N NaHCO
3溶液で洗浄し、アルカリ水相をTBMEで抽出した。有機相を合わせてNa
2SO
4で乾燥し、濾過し、濾液を蒸発させ、油状物23.82gを得た。
【0134】
生成物:
【0135】
【化33】
【0136】
8)精製活性化エステルからのビマトプロストの製造
実施例3の活性化エステル30.9gをTHF270mlに溶解し、この溶液にエチルアミンの2M THF溶液70mlを加えた。反応の完了後、混合物を1N NaHSO
4溶液とEtOAcの混液に注いだ。有機相を1N NaHCO
3溶液で洗浄した。アルカリ水相をEtOAcで抽出した。有機相を合わせてNaCl溶液で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥した。乾燥剤を濾別し、濾液を蒸発させた。得られた油状物に35質量%の水を加え、生成物を結晶化させた。99.5%を上回る純度の白色ビマトプロスト結晶24.8gを得た。
【0137】
生成物:
【0138】
【化34】
融点:71.9〜72.5℃。
HPLC:ビマトプロスト99.6%、トランス体ビマトプロスト0.3%未満、他の不純物0.1%。
【0139】
9)手法iii)によるビマトプロストの製造
ビマトプロスト酸2.00gをテトラヒドロフラン(THF)20mlに溶解し、30℃にて先ず2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウムクロリド(DMC)1.29gとトリエチルアミン1.44mlを加えた後、10分間撹拌後にエチルアミンの2M THF溶液2.57mlを加えた。反応混合物を1時間かけて70℃まで徐々に加熱し、出発材料がなくなるまで(約1時間)混合物をこの温度で撹拌した。反応をTLCによりモニターした。
【0140】
反応の完了後、混合物を1N NaHSO
4溶液と酢酸イソプロピル(iPrOAc)の混液に注いだ。有機相を1N NaHCO
3溶液で洗浄し、アルカリ水相をiPrOAcで抽出した。有機相を合わせてNaCl溶液で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥した。乾燥剤を濾別し、濾液を蒸発させ、油状物1.41gを得た。
【0141】
生成物:
【0142】
【化35】
【0143】
10)粗製ビマトプロスト油状物から結晶形態IIのビマトプロストの製造
実施例6に従って製造したビマトプロスト油状物に35質量%の量の精製水を加えた。混合物を強く撹拌後、2時間おきに撹拌及び擦りながら最高温度35℃にて減圧乾燥した。完全に乾燥後、混合物をホモジナイズした。この生成物のIRスペクトルを
図IVに示し、この生成物のDSC曲線を
図VIに示す。生成された形態IIのX線回折曲線を
図VIIIに示す。
収率:96.9%
Mp.:78℃
DSC開始温度:73.56℃。
【0144】
11)結晶形態IIのビマトプロストの製造
実施例5に従って製造した粗製ビマトプロストを加熱下に3000倍量のジエチルエーテルに溶解した。次に窒素ガスを緩やかに通じることにより、−20〜−30℃にて溶媒を除去した。得られた結晶をホモジナイズするか、又は先ず機械的作用を加えた後にホモジナイズした。
収率:94.4%
Mp.:75.9℃
DSC開始温度:72.92℃。
【0145】
12)結晶形態IIのビマトプロストの製造
実施例6に従って製造した粗製ビマトプロストに35質量%の量のメタノールを加えた。混合物を強く撹拌後、2時間おきに撹拌及び擦りながら最高温度35℃にて減圧乾燥した。完全に乾燥後、混合物をホモジナイズした。
収率:95.8%
Mp.:77.2℃
DSC開始温度:73.07℃。
【0146】
13)結晶形態IIのビマトプロストの製造
実施例6に従って製造した粗製ビマトプロストに17.5質量%の量の精製水と17.5質量%の量のエタノールを加えた。混合物を強く撹拌後、2時間おきに撹拌及び擦りながら最高温度35℃にて減圧乾燥した。完全に乾燥後、混合物をホモジナイズした。
収率:92.3%
Mp.:72.9℃
DSC開始温度:72.96℃。
【0147】
14)
a)(特許出願US20090163596の実施例38による)ビマトプロスト結晶形態Iの製造
粗製ビマトプロスト5.2gをアセトニトリル106gから結晶化させた。混合物を沸点付近の温度まで加熱し、高温の溶液を室温まで冷却し、混合物をこの温度で1時間撹拌後、0〜5℃で2時間撹拌した。析出した結晶を濾別し、冷温(0〜5℃)のアセトニトリル20gで洗浄し、0〜5℃にて1時間、室温にて30分間、更に30〜40℃にて2時間減圧乾燥した。
【0148】
結晶形態Iのビマトプロスト4.3gが得られた。形態IのIRスペクトルを
図IIIに示し、そのDSC曲線を
図Vに示し、そのX線回折曲線を
図VIIに示す。
収率:83%
Mp.:62.1℃
DSC開始温度:63.61℃。
【0149】
b)形態Iから出発したビマトプロスト結晶形態IIの製造
実施例14aに従って製造した結晶形態Iのビマトプロストに35質量%の量の精製水を加えた。混合物を強く撹拌後、2時間おきに撹拌及び擦りながら最高温度35℃にて減圧乾燥した。完全に乾燥後、混合物をホモジナイズした。
収率:97.3%
Mp.:77.7℃
DSC開始温度:73.14℃。
【0150】
15)ビマトプロスト結晶形態II及びIの混合物から結晶形態IIの製造
結晶形態II及びIのビマトプロストの50%−50%混合物に35質量%の量の精製水を加えた。混合物を強く撹拌後、2時間おきに撹拌及び擦りながら最高温度35℃にて減圧乾燥した。完全に乾燥後、混合物をホモジナイズした。
収率:97.6%
Mp.:78.2℃
DSC開始温度:73.77℃。