(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、この種の半導体装置としては、例えば、特許文献1に「LEDランプ」として開示されたものがある。
【0003】
開示されたLEDランプは、
図14(平面図)及び
図15(正面図)にあるように、基板80の表面上に該基板80の両短辺から中央部に向かって延びる一対の導電パターン(第一の導電パターン81及び第二の導電パターン82)が設けられており、そのうち第一の導電パターン81は、基板80の短辺部に位置する外部接続用電極部81a及び該外部接続用電極部81aから中央部に向かって延びるダイボンディング部81bを有し、第二の導電パターン82は、基板80の短辺部に位置する外部接続用電極部82a及び該外部接続用電極部82aから中央部に向かって延びるワイヤボンディング部82bを有している。
【0004】
第一の導電パターン81のダイボンディング部81bは、LED素子83がダイボンディングされると共に該LED素子83の発光面上に設けられた一対の素子電極の一方とボンディングワイヤ84を介して電気的に接続されており、第二の導電パターン82のワイヤボンディング部82bはLED素子83の発光面上に設けられた一対の素子電極の他方とボンディングワイヤ84を介して電気的に接続されている。
【0005】
第一の導電パターン81及び第二の導電パターン82の夫々の外部接続用電極部81a、82aは、外部電極との電気的な接続に用いられる。
【0006】
そして、LED素子83及びLED素子83の素子電極とボンディングワイヤ84との接合部が、透光性のシリコーン樹脂からなる第一の封止樹脂によってドーム状(凸レンズの形状)に覆われて第一の封止部85が形成され、更に、第一の封止部85が透光性のエポキシ樹脂からなる第二の封止樹脂によって矩形状に覆われて第二の封止部86が形成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記構成のLEDランプは、第一の封止部85の形成に際しては、LED素子83の上方から第一の封止樹脂を定量滴下してLED素子83及びLED素子83の素子電極とボンディングワイヤ84との接合部をドーム状に覆い、その後加熱硬化して第一の封止部85が形成される。
【0009】
この場合、第一の導電パターン81のダイボンディング部81bは、LED素子83がダイボンディングされた位置Xを基準にして、ダイボンディング部81bが延びる外部接続用電極部81aの端部81baまでの長さD1と、外部接続用電極部81aと反対側の先端部81bbまでの長さD2が異なる。具体的には、D1>D2の関係にある。
【0010】
そのため、第一の導電パターン81のダイボンディング部81b上にダイボンディングされたLED素子83を覆うようにドーム状に滴下された第一の封止樹脂は、ダイボンディング部81b上を外部接続用電極部81a側に向かって濡れ広がり、外部接続用電極部81aと反対側の先端部81bb側に対しては先端部81bbによって濡れ広がりが止められる。
【0011】
その結果、ドーム状に形成された第一の封止部85は、LED素子83がダイボンディングされた位置Xを対称軸とする対称形状とはならず外部接続用電極部81a側に偏った形状を呈するものとなり、複数のLEDランプにおいては形状の再現性が乏しいものとなってLEDランプ間でばらつきを生じることとなる。
【0012】
LEDランプ間における第一の封止部85の形状のばらつきは、LED素子83から出射して第一の封止部85内を導光されて該第一の封止部85から第二の封止部86に入射する光の指向特性にばらつきが生じることになり、更に、第二の封止部86内を導光されてLEDランプ外に出射する光の指向特性にもばらつきが生じることになる。そのため、LEDランプの光学的諸特性(例えば、上記指向特性以外に光度等)の歩留まりが低下する要因となる。
【0013】
また、特に、第一の封止部85を形成する第一の封止樹脂に蛍光体が分散された場合は、LEDランプの出射光に色むらを生じることになり、色度歩留まりを低下させる要因となる。
【0014】
なお、LED素子83が長方形の形状を有する場合、LED素子83の長方形の上面上に滴下された第一の封止樹脂は、LED素子83の短辺縁部よりも先に第一の封止樹脂の流路幅が広い長辺縁部から側壁に沿って第一の導電パターン81のダイボンディング部81b上を濡れ広がる。
【0015】
その結果、第一の導電パターン81のダイボンディング部81b上を濡れ広がる第一の封止樹脂はLED素子83の短辺側よりも長辺側の方に大きく広がり、ドーム状に形成された第一の封止部85はLED素子83の長辺側に偏った形状を呈するものとなる。そのため、複数のLEDランプにおいては形状の再現性が乏しいものとなってLEDランプ間でばらつきを生じることとなる。
【0016】
そこで、本発明は上記問題に鑑みて創案されたものであり、その目的とするところは、LED素子(半導体素子)を覆う第一の封止部の形状を偏りのないドーム形状とし、それにより、良好な光学的諸特性を有する半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載された発明は、基板と、前記基板上の両側に形成された一対の導電パターンと、前記一対の導電パターンのうちの一方の導電パターン上にダイボンディングされた半導体素子と、前記半導体素子を覆って封止するように前記基板上に形成された透光性封止部を備え、前記一方の導電パターンは、
前記基板の一方の側面側に形成された外部接続用電極部と、前記半導体素子がダイボンディングされたダイボンディング
部とを備えており、前記ダイボンディング部は、前記両側の導電パターンの間に位置する円形状のダイボンディングパッド、前記ダイボンディングパッドと
前記一方の導電パターンの外部接続用電極部とを繋ぐ中継部及び
前記ダイボンディングパッドから延びる
1つ以上の延出部を有し
ており、前記中継部は、前記外部接続用電極部
と前記ダイボンディング部との間に、表面が露出した露出中継部を有しており、前記延出部は、前記露出中継部と略同一の幅及び略同一の長さを有し、且つ表面が露出しており、前記延出部の形成位置は、前記延出部が1か所のみの場合には前記ダイボンディング部から前記露出中継部と反対方向に延びる位置、前記延出部が2か所以上の場合には前記ダイボンディング部から前記露出中継部に対して等角度間隔で放射状に延長された位置であることを特徴とするものである。
【0018】
また、本発明の請求項2に記載された発明は、基板と、前記基板上の両側に形成された一対の導電パターンと、前記一対の導電パターンのうちの一方の導電パターン上にダイボンディングされた
上面の光出射面が長方形の半導体素子と、前記半導体素子を覆って封止するように前記基板上に形成された透光性封止部を備え、前記一方の導電パターンは、
前記基板の一方の側面側に形成された外部接続用電極部と、前記半導体素子がダイボンディングされたダイボンディング部とを備えており、前記ダイボンディング部は、前記両側の導電パターンの間に位置する円形状のダイボンディングパッド、前記ダイボンディングパッドと前記一方の導電パターンの外部接続用電極部とを繋ぐ中継部及び前記ダイボンディングパッドから延びる1つ以上の延出部を有しており、
前記中継部は、前記外部接続用電極部と前記ダイボンディング部との間に、表面が露出した露出中継部を有しており、前記半導体素子は、当該半導体素子の長方形の辺の対向する一対の側面が延びる方向と、前記露出中継部が延びる方向が同一方向とされ、前記延出部は、前記延出部が1か所のみの場合には前記ダイボンディング部から前記露出中継部と反対方向に延びる方向に位置する第1延出部のみからなり、前記延出部が2か所以上を設ける場合には前記第1延出部及び前記反対方向と対し直交する方向に延びる位置に等角度間隔で延長された一対の第2延出部が形成され、前記第1延出部は、前記露出中継部と略同一の幅及び略同一の長さを有し、且つ表面が露出しており、前記第2延出部は、前記露出中継部及び前記第1延出部とは異なる幅もしくは長さで、且つ表面が露出していることを特徴とする半導体装置。
【0019】
また、本発明の請求項3に記載された発明は、請求項1又は請求項2のいずれかにおいて、
前記透光性樹脂部は、蛍光体が分散されていることを特徴とするものである。
【0020】
また、本発明の請求項4に記載された発明は、
請求項1〜請求項3のいずれかにおいて、前記透光性樹脂部を覆って封止するように更に透光性封止部が前記基板上に形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明の半導体装置は、基板上の両側に一対の導電パターンを形成し、一対の導電パターンのうちの一方の導電パターンの、等角度間隔で放射状に延びる延長部を有するダイボンディングパッドに半導体素子をダイボンディングし、該半導体素子を覆って封止するように基板上に第一の封止部を形成した。
【0023】
そのため、半導体素子を滴下方法で封止した第一の封止部が、偏りのないドーム形状に良好な歩留まりで再現性良く形成できる。その結果、半導体素子から発せられて第一の封止部内を導光された光の指向特性が偏りの少ないものとなり、半導体装置からの出射光も偏りの少ない良好な指向特性を有するものとなる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、この発明の好適な実施形態を
図1〜
図13を参照しながら、詳細に説明する(同一部分については同じ符号を付す)。尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの実施形態に限られるものではない。
【0026】
図1は第1の実施形態の半導体装置の斜視図、
図2は平面図である。
【0027】
第1の実施形態の半導体装置1は、平板状の基板2の互いに対向する両短辺側の夫々に一対の導電パターン(第一の導電パターン10及び第二の導電パターン20)が設けられている。そのうち第一の導電パターン10は、基板2の表面の短辺縁部から側面を経て裏面に回り込むように延在する外部接続用電極部11、該外部接続用電極部11から基板の表面の短辺方向の中央部を長辺方向に沿って対向する短辺方向に延びるダイボンディング部12及び該外部接続用電極部11から基板の表面の一方の長辺側を長辺方向に沿って対向する短辺方向に延びる突出部17を有している。
【0028】
ダイボンディング部12は、基板2の中央部に位置する円形状のダイボンディングパッド13、ダイボンディングパッド13と外部接続用電極部11とを繋ぐ中継部14及びダイボンディングパッド13から中継部14と反対方向に延びる延出部15を有している。
【0029】
第一の導電パターン10の外部接続用電極部11の一部及び中継部14の一部がレジスト層30で一体に被覆されており、中継部14はレジスト層30が被覆されないで露出した露出中継部16を有している。露出中継部16と延出部15は略同一の幅及び略同一の長さを有している
【0030】
具体的には、ダイボンディングパッド13の外周縁13aから延出部15の先端部15aまでの長さをL1とし、ダイボンディングパッド13の外周縁13aから露出中継部16の露出端部16aまでの長さをL2とすると、L1≒L2の関係にある。
【0031】
第二の導電パターン20は、基板2の表面の短辺縁部から側面を経て裏面に回り込むように延在する外部接続用電極部21及び該外部接続用電極部21から基板の表面の他方の長辺側を長辺方向に沿って対応する短辺方向に延びるワイヤボンディングパッド22を有しており、外部接続用電極部21の一部がレジスト層31で被覆されている。
【0032】
第一の導電パターン10のダイボンディング部12のダイボンディングパッド13には導電性接合部材3を介して上面の光出射面4aが略正方形の半導体素子4がダイボンディングされて第一の導電パターン10と半導体素子4の下部電極(図示せず)が電気的に接続され、半導体素子4の上部電極4bと第二の導電パターン20のワイヤボンディングパッド22がボンディングワイヤ5を介して接続されて第二の導電パターン20と半導体素子4の上部電極4bが電気的に接続されている。
【0033】
第一の導電パターン10及び第二の導電パターン20の夫々の外部接続用電極部11、21は、外部電極に接続されて外部電源からの電力を受電する。
【0034】
そして、半導体素子4及び半導体素子4の上部電極4bとボンディングワイヤ5との接合部が、透光性を有する第一の封止樹脂によってドーム状に覆われて第一の封止部6が形成され、更に、第一の封止部6が透光性を有する第二の封止樹脂によって覆われて第二の封止部7が形成されている。
【0035】
基板2は、例えば、シリコーン樹脂基板やガラスエポキシ基板等の樹脂基板、アルミニウム基板や鉄基板等の金属基板、セラミック基板が用いられる。
【0036】
第一の導電パターン10及び第二の導電パターン20の夫々は、例えば、基板2が樹脂基板の場合は、基板2上にCuの薄膜を形成し、その上に順次Cuメッキ、NiメッキPdメッキ及びAuメッキを施した多層構造からなっている。
【0037】
半導体素子4は、LED素子あるいはレーザ素子からなっている。
【0038】
導電性接合部材3は、Ag、Ni等の金属粉を混入した樹脂ペースト、はんだ、共晶ペースト等が用いられる。
【0039】
ボンディングワイヤ5は、Au、Al、Ag等からなる金属ワイヤが用いられ、半導体素子4の上部電極4bにボールボンディング5aによって接合され、第二の導電パターン20のワイヤボンディングパッド22にステッチボンディング5bによって接合されている。
【0040】
第一の封止部6を形成する第一の封止樹脂は、該第一の封止部6を波長変換部とするときは、溶媒に蛍光体を分散したものが用いられる。その場合、蛍光体には、YAG蛍光体、サイアロン蛍光体、オルトシリケート蛍光体等が用いられ、溶媒には、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アルコール等の有機溶剤が用いられる。
【0041】
第一の封止部6を波長変換部としないときは、後述の第二の封止部7を形成する第二の封止樹脂よりも低屈折率の材料を用いることができる。
【0042】
第二の封止樹脂は、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ガラス等を用いることができ、ポッティング、トランスファーモールド、コンプレッションモールド等の封止手段によって第二の封止部7を形成する。
【0043】
ところで、第一の封止樹脂によって第一の封止部6を形成するに際しては、半導体素子4の上方から第一の封止樹脂を定量滴下して半導体素子4及び半導体素子4の上部電極4bとボンディングワイヤ5との接合部をドーム状に覆う。
【0044】
その場合、半導体素子4の上方から定量滴下した第一の封止樹脂は、半導体素子4の上面の光出射面4aから側面を伝って第一の導電パターン10のダイボンディングパッド13に達し、ダイボンディングパッド13を経て該ダイボンディングパッド13から互いに反対方向に延びる延出部15と露出中継部16に濡れ広がる。このとき、延出部15と露出中継部16は上述したように長さが略同一であるため、第一の封止樹脂の濡れ広がりが延出部15側と露出中継部16側で釣り合いがとれる。
【0045】
そのため、ドーム状に形成された第一の封止部6は、ダイボンディング部12の延長方向に偏在することがなく、且つダイボンディング部12の延長方向に垂直な方向に対しても円形状のダイボンディングパッド13によって第一の封止樹脂が偏在することがなく、偏りのないドーム形状を良好な歩留まりで再現性良く得ることができる。
【0046】
その結果、半導体素子4から発せられて第一の封止部6内を導光された光の指向特性が偏りの少ないものとなり、半導体装置からの出射光も偏りの少ない良好な指向特性を有するものとなる。
【0047】
特に、第一の封止部6を波長変換部とする場合は、半導体素子4から発せられて蛍光体が分散された第一の封止部6内を導光される光の光路長に偏りが少ないために第一の封止部6からの出射光に色むらが少なく、半導体装置からの出射光も色むらが少なく良好な色度歩留まりを得ることができる。
【0048】
そこで、第1の実施形態の半導体装置と従来の構成の半導体装置に関し、第一の封止部の形成状態の違いについて比較検証した結果を以下に示す。
【0049】
図3(第1実施例の平面図)は、第1の実施形態の半導体装置(以下、「第1実施例」と呼称する)の具体的な寸法を示している。第一の導電パターン10のダイボンディング部12に設けられた円形状のダイボンディングパッド13の直径Dを0.54mm、ダイボンディングパッド13の外周縁13aから延出部15の先端部15aまでの長さL1及びダイボンディングパッド13の外周縁13aから露出中継部16の露出端部16aまでの長さL2を共に0.2mmとした。
【0050】
一方、従来構成の半導体装置(以下、「第1比較例」と呼称する)は、
図4(第1比較例の平面図)に示すように、第1実施例に対して第一の導電パターン10に延出部15を有せず、第一の導電パターン10に設けられた円形状のダイボンディングパッド13の直径Dをφ0.54mm、ダイボンディングパッド13の外周縁13aから露出中継部16の露出端部16aまでの長さL2を0.2mmとした。
【0051】
そして、第1実施例及び第1比較例はいずれも、ダイボンディングパッド13に上面の光出射面4aが□0.19mmの正方形の半導体素子4をダイボンディングし、オルトシリケート系蛍光体を分散した有機溶剤を上方から滴下して半導体素子4を覆うように第一の封止部6を形成して加熱硬化した。サンプル数は、第1実施例及び第1比較例ともに48個であった。
【0052】
その結果、第1比較例は、第一の封止樹脂がレジスト層30側に向かって濡れ広がつてレジスト層30側に偏在し、48個のサンプルのうち6個について第一の封止部6がダイボンディングパッド13及び露出中継部16からはみ出し(
図5(ダイボンディングパッド近傍の部分斜視図)参照)、1個について半導体素子4の、露出中継部16と反対方向及び露出中継部16の延長方向と垂直方向の夫々の側面4cが第一の封止部6で覆われない露出状態(
図6(ダイボンディングパッド近傍の部分斜視図)参照)となった。
【0053】
それに対し、第1実施例は、48個のサンプルのうち1個について第一の封止部6がダイボンディングパッド13及び露出中継部16からはみ出した。
【0054】
その結果、第一の導電パターン10のダイボンディング部12が、半導体素子4をダイボンディングするダイボンディングパッド13と、該ダイボンディングパッド13から等角度間隔で放射状に且つ略同一の形状寸法で延長された露出中継部16及び延出部15を有することにより、滴下方法で半導体素子4を覆うように形成した第一の封止部6の形状が偏在することが少なく、半導体素子4を中心とした偏りのないドーム形状を良好な歩留まりで再現性良く得られることがわかった。
【0055】
したがって、例えば
図7(半導体装置の平面図)にあるように、第一の導電パターン10のダイボンディング部12が、ダイボンディングパッド13から120°の等角度間隔で放射状に延長された略同一の形状寸法の3つの延長部(露出中継部16、第一延出部40及び第二延出部41)を有する構成、あるいは、
図8(半導体装置の平面図)にあるように、ダイボンディングパッド13から90°の等角度間隔で放射状に延長された4つの延長部(露出中継部16、第一延出部40、第二延出部41及び第三延出部42)を有する構成であっても、第一の封止部6の形状を偏在しない形状とすることができる。
【0056】
但し、少なくとも、ダイボンディングパッド13に対して、対向する側から互いに反対方向に延びる延長部同士は形状寸法を略同一にすることが好ましい。
【0057】
図9は第2の実施形態の半導体装置の平面図である。第2の実施形態は、第1の実施形態に対して上面の光出射面の形状が略長方形の半導体素子を用いたことが異なる。
【0058】
この場合、半導体素子4を第一の導電パターン10のダイボンディング部12のダイボンディングパッド13にダイボンディングするにあたっては、半導体素子4の長辺の夫々が露出中継部16及び延出部15の方向を向くように配置する。
【0059】
これにより、第一の封止部6を形成する際に半導体素子4の上方から定量滴下した第一の封止樹脂が、半導体素子4の上面の光出射面4aから、短辺縁部よりも先に第一の封止樹脂の流路幅が広い長辺縁部から側壁に沿って流れ落ちたとしても、長辺縁部側に位置する、ダイボンディングパッド13から互いに反対方向に延びる露出中継部16及び延出部15にほぼ均等に濡れ広がる。
【0060】
そのため、ドーム状に形成された第一の封止部6は第1の実施形態と同様に、ダイボンディング部12の延長方向に偏在することがなく、且つダイボンディング部12の延長方向に垂直な方向に対しても円形状のダイボンディングパッド13によって第一の封止部6の形状が偏在することが少なく、半導体素子4を中心とした偏りのないドーム形状を良好な歩留まりで再現性良く得ることができる。
【0061】
その結果、半導体素子4から発せられて第一の封止部6内を導光された光の指向特性が偏りの少ないものとなり、半導体装置からの出射光も偏りの少ない良好な指向特性を有するものとなる。
【0062】
次に、第2の実施形態の半導体装置と従来の構成の半導体装置に関し、第一の封止部の形成状態の違いについて比較検証した結果を以下に示す。
【0063】
第2の実施形態の半導体装置(以下、「第2実施例」と呼称する)は、上記第1実施例に対して、半導体素子4に上面の光出射面が0.22mm×0.27mmの長方形のものを用いたことが異なる。そして、半導体素子4を該半導体素子4の長辺の夫々が露出中継部16及び延出部15の方向を向くようにダイボンディングパッド13にダイボンディングした(
図9参照)。
【0064】
一方、従来構成の半導体装置(以下、「第2比較例」と呼称する)は、上記第1比較例に対して、半導体素子4を上面の光出射面が0.22mm×0.27mmの長方形のものを用いたことが異なる。そして、半導体素子4を該半導体素子4の長辺の一方が露出中継部16の方向を向くようにダイボンディングパッド13にダイボンディングした(
図10(第2比較例の平面図)参照))。
【0065】
そして、第2実施例及び第2比較例はいずれも、オルトシリケート系蛍光体を分散した有機溶剤を上方から滴下して半導体素子4を覆うように第一の封止部6を形成して加熱硬化した。サンプル数は、第2実施例及び第2比較例ともに48個であった。
【0066】
その結果、第2比較例は、第一の封止樹脂がレジスト層30側に向かって濡れ広がつてレジスト層30側に偏在し、48個のサンプルのうち12個について第一の封止部6がダイボンディングパッド13の、露出中継部16と反対方向からはみ出し(
図11(ダイボンディングパッド近傍の部分斜視図)参照)、1個について半導体素子4の、露出中継部16と反対方向及び露出中継部16の延長方向と垂直方向の夫々の側面4cが第一の封止部6で覆われない露出状態(
図12(ダイボンディングパッド近傍の部分斜視図)参照)となった。
【0067】
それに対し、第2実施例は、48個のサンプルのうち2個について第一の封止部6がダイボンディングパッド13からはみ出し、1個について半導体素子4の、露出中継部16と反対方向及び露出中継部16の延長方向と垂直方向の夫々の側面4cが第一の封止部6で覆われない露出状態となった。
【0068】
その結果、第一の導電パターン10のダイボンディング部12が、半導体素子4をダイボンディングするダイボンディングパッド13と、該ダイボンディングパッド13から、該ダイボンディングパッド13にダイボンディングされた、上面の光出射面の形状が略長方形の半導体素子4の両長辺縁部側に且つ略同一の形状寸法で延長された露出中継部16及び延出部15を有することにより、滴下方法で半導体素子4を覆うように形成した第一の封止部6の形状が偏在することが少なく、半導体素子4を中心とした偏りのないドーム形状を良好な歩留まりで再現性良く得られることがわかった。
【0069】
なお、半導体素子4が略長方形の光出射面を有する場合、
図13(半導体装置の平面図)にあるように、ダイボンディングパッド13から90°の等角度間隔で放射状に延長された4つの延長部(露出中継部16、第一延出部40、第二延出部41及び第三延出部42)を有すると共に、露出中継部16及び第一延出部40の幅に対して露出中継部16及び第一延出部40に垂直な第二延出部41及び第三延出部42の幅を広く設定し、半導体素子4の長辺の夫々が第一延出部40及び第三延出部42の方向を向くように配置することも可能である。これにより、上面の光出射面の形状が略長方形の半導体素子4を封止した第一の封止部6の形状を偏在することがない形状とすることができる。
【0070】
したがって、半導体素子4が、略正方形の光出射面あるいは略長方形の光出射面を有する場合であっても、第一の封止部6の濡れ広がり状態によってドーム形状の偏在を容易に判定することができる。
【0071】
また、ダイボンディングパッド13から等角度間隔で放射状に延長された延長部は、半導体素子4のダイボンディング時にダイボンディング位置の認識マークとして利用することができ、これにより半導体素子4の、ダイボンディングパッド13におけるダイボンディングの位置精度を高めることができる。
【0072】
なお、第一の導電パターン上及び第二の導電パターン上にレジスト層が設けられていない場合は、露出中継部はダイボンディング部が延びる外部接続用電極部の端部からダイボンディングパッド先端部までとする。
【0073】
以上のように、本発明の半導体装置は、半導体素子をダイボンディングするダイボンディングパッドに該ダイボンディングパッドに対して等角度間隔の対称位置から放射状に延びる延長部を設けた。これにより、半導体素子を滴下方法で封止した第一の封止部が、偏りのないドーム形状に良好な歩留まりで再現性良く形成できる。その結果、半導体素子から発せられて第一の封止部内を導光された光の指向特性が偏りの少ないものとなり、半導体装置からの出射光も偏りの少ない良好な指向特性を有するものとなる。