特許第6487639号(P6487639)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6487639
(24)【登録日】2019年3月1日
(45)【発行日】2019年3月20日
(54)【発明の名称】蓋材及びこれを用いた包装容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 53/08 20060101AFI20190311BHJP
【FI】
   B65D53/08
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-132861(P2014-132861)
(22)【出願日】2014年6月27日
(65)【公開番号】特開2016-11121(P2016-11121A)
(43)【公開日】2016年1月21日
【審査請求日】2017年5月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】特許業務法人 小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下野 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 剛志
(72)【発明者】
【氏名】染谷 英明
(72)【発明者】
【氏名】桝屋 夏生
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 等
【審査官】 矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−226054(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0073308(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第00697345(EP,A2)
【文献】 特開2005−008246(JP,A)
【文献】 実公昭47−025260(JP,Y1)
【文献】 米国特許第04605136(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 35/44−35/54
B65D 39/00−55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形状の注出口部及び前記注出口部の外面に設けられたネジ山を有する容器本体と、
前記注出口部に螺合するキャップと、
前記注出口部の開口部を封止する蓋材とを備えた包装容器であって、
前記蓋材は、
前記注出口部の前記開口部を封止するためのシール部と、
前記シール部の外周縁に接続されるフラップ部とを備え、
前記フラップ部は、前記キャップの閉栓時における回転方向に突出した凸部を有し、
前記蓋材は、延伸フィルム及び金属蒸着延伸フィルムの一方または両方とシーラント層とからなる積層材よりなり、前記積層材の重量に対する前記延伸フィルムの重量の割合が40%以上であり、
前記注出口部に前記キャップを螺合させた状態において、前記フラップ部は、前記シール部との接続部近傍で折り曲げられて前記キャップの内壁部と前記注出口部との間に収納され、前記注出口部の軸方向における前記フラップ部の端部は、前記注出口部の最も先端部側に位置する前記ネジ山の端部よりも、前記注出口部の先端部側に位置しており、
前記キャップを開栓すると、前記フラップ部が前記シール部との接続部を支点として浮き上がる、包装容器。
【請求項2】
前記シール部と前記フラップ部との接続部分の外縁が曲線状に形成される、請求項1に記載の包装容器
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロー成形チューブ容器等の注出口部を有する包装容器において、当該注出口部を封止するための蓋材及びこれを用いた包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、容器開口部に、アルミニウム箔の下面に合成樹脂製フィルムをラミネートしたシール部材を高周波シールによりシールし、容器開口部にキャップを螺合させた合成樹脂製容器が記載されている。特許文献1のシール部材には、シール部材の剥離の起点となる引手つまみが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】登録実用新案第3043367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の合成樹脂製容器には、シール部材の引手つまみが設けられているものの、引手つまみのサイズが小さく摘まみにくいため、依然として開封時におけるシール部材の剥離がしにくいという問題がある。
【0005】
シール部材を摘まみやすくする目的で引手つまみのサイズを大きくすることも考えられるが、単に引手つまみを大きくしただけでは、キャッピング時に引手つまみがキャップに噛み込まれたり、シール部材にシワが寄ったりすることに起因して、キャップの取り付け不良が生じてしまう。
【0006】
それ故に、本発明は、キャッピング適性に優れ、かつ、摘まみやすく剥離しやすい蓋材及びこれを用いた包装容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、円筒形状の注出口部及び注出口部の外面に設けられたネジ山を有する容器本体と、注出口部に螺合するキャップと、注出口部の開口部を封止するための蓋材とを備える包装容器に関するものである。当該蓋材は、注出口部の開口部を封止するためのシール部と、シール部の外周縁に接続されるフラップ部とを備える。フラップ部は、キャップの閉栓時における回転方向に突出した凸部を有する。蓋材は、延伸フィルム及び金属蒸着延伸フィルムの一方または両方とシーラント層とからなる積層材よりなり、積層材の重量に対する延伸フィルムの重量の割合が40%以上であり、注出口部にキャップを螺合させた状態において、フラップ部は、シール部との接続部近傍で折り曲げられてキャップの内壁部と注出口部との間に収納され、注出口部の軸方向におけるフラップ部の端部は、注出口部の最も先端部側に位置する前記ネジ山の端部よりも、注出口部の先端部側に位置しており、キャップを開栓すると、フラップ部がシール部との接続部を支点として浮き上がる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、キャッピング適性に優れ、かつ、摘まみやすく剥離しやすい蓋材及びこれを用いた包装容器を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る蓋材を用いた包装容器の斜視図
図2図1に示した蓋材のシール前の状態を示す平面図
図3】キャップ取り外し時におけるフラップ部の浮き上がりを説明するための断面図
図4】実施形態に係る蓋材の剥離方法の一例を示す斜視図
図5】蓋材の材質の復元特性の評価方法を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、実施形態に係る蓋材を用いた包装容器の斜視図である。
【0011】
包装容器1は、容器本体2と、キャップ3と、蓋材4とを備える。
【0012】
容器本体2は、ポリエチレン等の軟質樹脂のブロー成形により形成される中空のチューブ容器であり、例えば、練りワサビや、からし、マスタードのような半液状(ペースト状)の食品等を充填包装するために用いられるものである。容器本体2の一方端部(図1の上方端部)には、内容物を注出するための開口部6を有する注出口部5が設けられ、容器本体2の他方端部(図1の下方端部)はヒートシールによって封止されている。注出口部5の外面には、キャップ3を螺合させるためのネジ山10が設けられている。
【0013】
キャップ3は、ポリプロピレン等の容器本体2の材質より硬質の樹脂により成形され、容器本体2に着脱自在に取り付けられる。キャップ3の内部には、注出口部5のネジ山10と螺合するネジ山11(図3参照)が設けられ、注出口部5の先端部をキャップ3の内部に挿入した状態で、キャップ3を図1に示す矢印の方向に回転させると、キャップ3が注出口部5に螺合して閉栓状態となり、蓋材4の剥離後も容器本体2を密閉することができる。また、容器本体2から内容物を注出する際には、閉栓状態のキャップ3を、図1に示す矢印と反対方向に回転させることによって、注出口部5からキャップ3を取り外すことができる。尚、以下の説明では、閉栓時におけるキャップ3の回転方向を「閉栓方向」といい(図1の矢印方向)、開栓時におけるキャップ3の回転方向を「開栓方向」という(図1の矢印方向と反対の方向)。
【0014】
蓋材4は、容器本体2の注出口部5の先端部にシールされ、容器本体2の開口部6を封止する。以下、蓋材4の構成の詳細について説明する。
【0015】
図2は、図1に示した蓋材のシール前の状態を示す平面図である。
【0016】
蓋材4は、容器本体2の注出口部5にシールされるシール部7と、シール部7に接続され、シール部7の外方側に突出するフラップ部8a及び8bとを備える。シール部7の注出口部5へのシール方法は、蓋材4の材質に応じて適宜選択すれば良いが、例えば、ヒートシールや超音波溶着を利用できる。
【0017】
シール部7は、注出口部5の先端部の形状に対応する円形状を有する。シール部7の直径は、注出口部5の先端部の外径以上である。
【0018】
フラップ部8a及び8bには、キャップ3の閉栓方向側の部分から、当該閉栓方向に突出した凸部9a及び9bがそれぞれ設けられている。凸部9a及び9bが設けられることによって、フラップ部8a及び8bは、平面視において、全体として略逆L字型となっている。凸部9a及び9bは、後述するように、蓋材4の剥離時にフラップ部8a及び8bを持ち上げるための起点として用いることができる部分であるが、凸部9a及び9bをフラップ部8a及び8bの閉栓方向側に設けていることによって、キャップ3のキャッピング時に凸部9a及び9bを起点としてフラップ部8a及び8bが捲れることを抑制できる。フラップ部8a及び8bが捲れた場合、フラップ部8a及び8bとシール部7との接続部(図2の二点鎖線部分)の近傍にシワが寄り、このシワによってキャップ3の中心軸が注出口栓部5の中心軸に対して傾いた斜め締めが生じやすい。凸部9a及び9bをフラップ部8a及び8bの閉栓方向側に設けていることによって、このような斜め締めを抑制することができるので、キャッピング適性を向上させることができる。
【0019】
シール部7の周方向におけるフラップ部8a及び8bの長さ、すなわち、フラップ部8a及び8bとシール部7との接続部の長さL1は、適宜設定すれば良いが、シール部7の周方向におけるフラップ部8a及び8bの長さL1が短すぎると、蓋材4を構成するシート材の反発力が小さくなり過ぎ、キャップ3の開栓時にフラップ8a及び8bの浮き上がりが少なくなる。この結果、フラップ部8a及び8bが摘まみにくくなり、蓋材4の剥離しやすさが低下する。逆に、シール部7の周方向におけるフラップ部8a及び8bの長さL1が長すぎると、フラップ部8a及び8bとシール部7との接続部近傍にシワが寄りやすくなり、上述した斜め締めが生じやすくなる。したがって、シール部7の周方向におけるフラップ部8a及び8bの長さL1は、上述した不具合が生じない長さに設定することが好ましい。尚、本実施形態では、シール部7の周方向におけるフラップ部8a及び8bの長さL1は、シール部7の円周長の1/6程度である。
【0020】
シール部7の径方向におけるフラップ部8a及び8bの長さ、すなわち、フラップ部8a及び8bとシール部7との接続部からフラップ部8a及び8bの外周縁までの長さL2は、容器本体2の注出口部5の先端部からネジ部(つまり、最も先端部側に位置するネジ山10の端部)までの長さL3(図1参照)以下に設定される。シール部7の径方向におけるフラップ部8a及び8bの長さL2をL3以下に設定することによって、キャップ3のキャッピング時にフラップ部8a及び8bがネジ山10に噛み込まれることを防止し、キャッピング適性を向上させることができる。
【0021】
また、フラップ部8a及び8bとシール部7との接続部分(図2において丸で囲んだA部〜D部)の外縁は、曲線状に形成されている。このようにフラップ部8a及び8bとシール部7とを曲線で接続しているのは、蓋材4の開封時に、フラップ8a及び8bが斜めに引き上げられた場合でも、フラップ部8a及び8bとシール部7との接続部が裂けて、フラップ部8a及び8bがちぎれてしまうことを抑制するためである。また、フラップ部8a及び8bとシール部7との接続部分において、フラップ部8a及び8b(凸部9a及び9b)の外周縁と、シール部7の外周縁(より正確には、シール部7の接続部の変曲点における接線)とがなす挟角が鈍角となるように形成することが好ましい。フラップ部8a及び8bとシール部7との接続部分の挟角を鈍角とすることによって、蓋材4の開封時に接続部分が裂けることをより効果的に抑制することができる。
【0022】
上述したシール部7とフラップ部8a及び8bとは、蓋材の形成材料となるシート材の打ち抜きにより、一体的に形成される。蓋材4を構成するシート材は、金属箔や、紙、セロハン等のデッドホールド性を有する層を含まない樹脂の積層体である。この樹脂の積層体は、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、延伸ポリエチレンナフタレートフィルム、延伸ポリブチレンテレフタレートフィルム、延伸ナイロンフィルム、延伸ポリエチレンフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム等の延伸フィルムを少なくとも1種類と、イージーピールフィルムやポリエチレン等のシーラント層とを含む。延伸フィルムは、シート材の重量に対して40重量%以上とする。延伸フィルムの重量比が40%を下回ると、シート材の反発力(剛性)が小さくなり、後述するフラップ部8a及び8bの折り癖がつきやすく、浮き上がりが小さくなるので好ましくない。尚、シート材の層構成には、非延伸フィルムや金属の蒸着層が含まれていても良い。
【0023】
図3は、キャップ取り外し時におけるフラップ部の浮き上がりを説明するための断面図である。より詳細には、図3は、図1に示すIII−IIIラインに沿った断面に対応する図であって、図3(a)は、キャップ3の閉栓状態を示し、図3(b)は、キャップ3の開栓状態を示す。
【0024】
まず、図3(a)に示すように、キャップ3の閉栓状態においては、蓋材4のフラップ部8a及び8bは、シール部7との接続部近傍で折り曲げられて、キャップ3の内壁部12と容器本体2の注出口部5との間に収納されている。フラップ部8a及び8bは、図2に示したような平坦状の蓋材4を注出口部5にシールした後、キャッピングに伴って行って折り曲げても良いし、蓋材4のシール時に予め折り曲げておいても良い。
【0025】
次に、図3(b)に示すように、キャップ3を開栓すると、蓋材4が有する反発力によって、フラップ部8a及び8bがシール部7との接続部を支点として浮き上がる。フラップ部8a及び8bの浮き上がりにより、フラップ部8a及び8bの下端部と注出口部5との間の隙間が大きくなるので、開封時にフラップ部8a及び8bを指で摘まみやすくすることができる。注出口部5の外面に対してフラップ部8a及び8bがなす角度(以下、「浮き上がり角度」という)αは、25°以上であることが好ましい。浮き上がり角度αが25°以上であれば、フラップ部8a及び8bを摘まみやすくなる。
【0026】
図4は、実施形態に係る蓋材の剥離方法の一例を示す斜視図である。
【0027】
まず、図4(a)に示すように、指先を注出口部5の外周面に沿わせて、キャップ3の開栓方向(図4(a)の白抜き矢印で示す方向)に移動させると、指先にフラップ部8aの凸部9aが引っ掛かり、図4(b)に示すように、凸部9aが捲れて浮き上がった状態となる。この凸部9aの浮き上がり部分を起点とすることで、フラップ部8aを摘まみやすくなる。
【0028】
次に、図4(c)に示すように、フラップ部8aを指で摘まんで、白抜き矢印で示す方向に引き上げることによって、シール部7を注出口部5の先端部から剥離させることができる。
【0029】
尚、蓋材4を構成するシート材は、デッドホールド性を有する層を含まず、比較的剛性の高い延伸フィルムを40重量%以上含んでいるため、図3で説明したように、蓋材4は、自身の反発力によって浮き上がった状態となる。したがって、必ずしも図4(a)及び(b)で示した手順でフラップ部8aを摘まむ必要はなく、浮き上がったフラップ部8aをそのまま摘まんでも良い。ただし、図4(a)及び(b)に示したように、フラップ部8aに設けられた凸部9aを利用した方が、フラップ部8aの摘まみやすさは向上する。また、キャッピング後の包装容器1の保存環境が高温多湿の場合は、蓋材4の反発力が低下しやすいが、この場合でも、凸部9aを起点として利用することによって、フラップ部8aを摘まみやすくなる。
【0030】
以上説明したように、本実施形態に係る蓋材4には、注出口部5の開口部6を封止するシール部7にフラップ部8a及び8bが設けられ、キャップ3の開栓時にフラップ部8a及び8bが浮き上がると共に、フラップ部8a及び8bの閉栓方向側に突出する凸部9a及び9bをフラップ部8a及び8bを摘まむための起点として利用することができる。したがって、本実施形態に寄れば、摘まみやすく、開封しやすい蓋材4を実現できる。また、凸部9a及び9bをフラップ部8a及び8bの閉栓方向側に設け、更に、フラップ部8a及び8bの長さL2を、注出口部5のネジ山10に届かない寸法に設定することによって、キャッピング適性を向上させることができる。
【0031】
また、フラップ部8a及び8bとシール部7との接続部分の外縁が曲線状に形成されていることによって、凸部9a及び9bを捲り上げる際や(図4(b)参照)、フラップ部8aを摘まんで引き上げる際に(図4(c)参照)、フラップ部8a及び8bとシール部7との接続部分で蓋材4が裂けてしまうことを抑制できる。
【0032】
また、蓋材4を構成するシート材にデッドホールド性を有する材料を用いず、シート材の重量の40%以上に延伸フィルムを用いることによって、蓋材4に反発力が生じるので、キャップ3の開栓時にフラップ8a及び8bを浮き上がらせて摘まみやすくすることができる。
【0033】
更に、本実施形態のように、フラップ部8a及び8bに設けられた凸部9a及び9bを、閉栓方向に向かって先細りとなるように構成することによって、注出口部5の外周面に沿って指先を沿わせた際に(図4(a)及び(b)参照)、指先による凸部9a及び9bの捲れ上がりをし易くすることができ、更に開封しやすい蓋材4を実現できる。
【0034】
(その他の変形例)
尚、本実施形態においては、2つのフラップ部を設けた蓋材を説明したが、フラップ部の数は1つであっても良いし、3つ以上であっても良い。
【0035】
また、本実施形態においては、容器本体2がブロー成形のチューブ容器である包装容器を例に挙げて説明したが、チューブ容器に限らず、注出口部及びこれに螺合するキャップからなる口栓部を備えた包装容器であれば、同様に本実施形態に係る蓋材を適用可能である。例えば、本実施形態に係る蓋材は、紙パック容器の注出口栓やパウチの注出口栓を封止するために用いても良い。
【0036】
また、ケチャップやマヨネーズ、ソース等の調味料を充填包装する包装容器のように、注出口部を有する容器本体と、開孔を有し、注出口部に螺合する中栓と、中栓の開孔を閉鎖するキャップとを備えた容器において、本実施形態に係る蓋材を、容器本体の注出口部を封止する蓋材として用いても良い。この場合、開封前において、蓋材が注出口部と中栓との間に挟まれた状態となる。このような包装容器に本実施形態に係る蓋材を適用した場合も、本実施形態と同様に、中栓の開栓後にフラップ部を摘まみやすく、注出口部からの剥離がしやすく、かつ、中栓のキャッピング適性に優れるという効果を得ることができる。
【0037】
更に、本実施形態では、フラップ部に設けられた凸部を、閉栓方向に向かって先細りとなるように形成した例を説明したが、凸部がフラップ部の閉栓方向側から突出するように設けられている限り、凸部の形状は任意で良い。例えば、凸部の幅(図2における左右方向の寸法)を一定としても良い。
【実施例】
【0038】
以下、本発明を具体的に実施した実施例を示す。
【0039】
まず、蓋材に適したシート材の材質を検討した。表1に検討したシート材の層構成、延伸フィルムの重量割合、復元角度及び摘まみやすさを示す。
【0040】
【表1】
【0041】
表1に示す層構成のうち、アルミニウム蒸着PETフィルムは、12μmのPETフィルムの片面に600Å(0.06μm)の厚みでアルミニウムが蒸着されたものである。延伸フィルムの重量割合は、表1に記載の各層の厚みと、表2に示す比重に基づいて計算した。この際、層構成のうち、アルミニウム箔、イージーピールフィルム、アルミニウム蒸着PETフィルムの蒸着層以外の層を全て延伸フィルムとみなした。尚、各層を接着する接着剤の重量は考慮していない。
【0042】
【表2】
【0043】
図5に、シート材の復元角度の評価方法を示す。
【0044】
復元角度は、次のように評価した。まず、10mm幅×60mm長さに裁断した各サンプルのシート材21を、図5に示すように、2つのL字型の治具20a及び20bに挟み、25℃・60%RH環境下及び40℃・90%RH環境下で1週間保存した。保存後、一方の治具20bを外し、シート材21が復元することによって治具20aとの間に形成された角度を復元角度とした。
【0045】
摘まみやすさは、5人の評価者が図5(b)に示す状態のシート材21を指で摘まみ、官能評価によって摘まみやすさを5段階で評価し、5人の評価者及び各保存環境の平均値を評価値とした。摘まみやすさの評価値が高いほど、摘まみやすいことを意味する。
【0046】
サンプル1及び2を比較すると、サンプル1のシート材は、デッドホールド性を有するアルミニウム箔を含んでいるため、サンプル2のシート材と比べて復元角度が小さく、摘まみやすさの評価も低くなった。
【0047】
また、サンプル2〜5を比較すると、延伸フィルムの重量割合が高くなるにつれて、復元角度が大きくなり、摘まみやすさの評価値も高くなった。また、延伸フィルムの重量割合が40%以上のサンプル3〜5のシート材では、復元角度及び摘まみやすさのいずれについても、延伸フィルムの重量割合が40%未満のサンプル2のシート材に比べて高い評価結果となった。
【0048】
また、全てのサンプルにおいて、高温多湿環境下で保存した場合には、復元角度が小さくなる傾向が見られたが、延伸フィルムの重量割合が40%以上のサンプル3〜5のシート材では、高温多湿環境下での保存後においても25°以上の復元角度が得られた。
【0049】
表1に示した結果より、デッドホールド性を有する層を含まず、延伸フィルムの重量割合をシート材の重量の40%以上としたシート材を用いれば、シート材の復元力に優れることがわかった。
【0050】
次に、表1のサンプル3〜5に示す層構成のシート材を用いて、図2に示した形状の蓋材を作成した。作成した蓋材を容器本体に注出口部にシールして、図1に示す包装容器を作成した。サンプル3〜5のいずれのシート材を用いた場合でも、キャッピング時に蓋材にシワが寄る等の不具合は生じず、キャッピング適性に優れていた。また、サンプル3〜5のいずれのシート材を用いた場合でも、キャップの開栓時にフラップ部が浮き上がり、摘まみやすく剥離しやすい蓋材を構成できた。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、食品や医薬品、医薬部外品、化粧品等の包装容器に利用できる。本発明は、特に、半液状(ペースト状)の内容物を充填包装するチューブ容器に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0052】
1 包装容器
2 容器本体
3 キャップ
4 蓋材
5 注出口部
6 開口部
7 シール部
8a、8b フラップ部
9a、9b 凸部
10 ネジ
図1
図2
図3
図4
図5