(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
図1及び
図2は本実施形態における蓄電デバイスを示す図、
図3及び
図4は蓄電デバイスにおける正極端子の導出部分を示す図、
図5及び
図6は蓄電デバイスにおける負極端子の導出部分を示す図、
図7及び
図8は負極端子の変形例を示す図である。なお、
図3〜
図8には、説明の便宜上、電極ユニット20を図示していない。
【0015】
本実施形態における蓄電デバイス10は、
図1及び
図2に示すように、偏平型のリチウムイオン二次電池である。この蓄電デバイス10は、正極板21及び負極板22を含む電極ユニット20と、電極ユニット20を収容する外装部材30と、電極ユニット20に電気的に接続されていると共に外装部材30の内側から外側に延出する正極端子40及び負極端子50と、を備えている。
【0016】
なお、蓄電デバイス10の外形形状は、偏平形状に限定されず、円筒形状、箱形状等であってもよい。また、本発明に係る蓄電デバイスは、上記のリチウムイオン二次電池に特に限定されず、例えば、リチウムイオンキャパシタであってもよい。また、アルミニウムを主成分とする基材を有する正極端子を少なくとも備えていれば、リチウムイオン二次電池以外の二次電池、或いは、リチウムイオンキャパシタ以外のキャパシタであってもよい。
【0017】
本実施形態における電極ユニット20は、複数の正極板21と、複数の負極板22と、複数のセパレータ23と、を備えている。正極板21と負極板22は、セパレータ23を介して交互に積層されている。なお、電極ユニット20を構成する正極板21、負極板22、及びセパレータ23の枚数は特に限定されない。
【0018】
それぞれの正極板21は、正極集電体211と、当該正極集電体211の両面に設けられた正極活物質層212と、を備えている。なお、最上段の正極板21については、正極集電体211の下面のみに正極活物質層212が設けられている。
【0019】
正極板21の正極集電体211は、多数の貫通孔を有する箔状の部材である。この正極集電体211は、具体的には、エキスパンドメタル、パンチングメタル、網、発泡体等で構成されている。また、この正極集電体211を構成する材料としては、一般的にリチウム系電池に適用できる金属材料を用いることができ、具体的には、アルミニウムやステンレス等を用いることができる。
【0020】
正極板21の正極活物質層212は、正極活物質、導電材、バインダ、溶媒等を混合したスラリーを、正極集電体211の表面に塗布して乾燥させることで形成されている。正極活物質層212が含有する正極活物質としては、リチウムを可逆的に担持することが可能であれば特に限定されないが、例えば、Li
xCoO
2、Li
xNiO
2、Li
xMnO
2、Li
xFeO
2等のリチウム含有金属酸化物、コバルト、マンガン、バナジウム、チタン、ニッケル等の遷移金属酸化物若しくは硫化物、又は、ポリアセン系の導電性高分子等を例示することができる。
【0021】
正極活物質層212が含有する導電材としては、例えば、金属ニッケル等の金属粉末、又は、活性炭、カーボンブラック、アセチレンブラック、黒鉛等の炭素系の導電材を用いることができる。また、バインダとしては、例えば、SBR等のゴム系バインダ、ポリ四フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂等を例示することができる。
【0022】
それぞれの負極板22も、負極集電体221と、当該負極集電体221の両面に設けられた負極活物質層222と、を備えている。なお、最下段の負極板22については、負極集電体221の上面のみに負極活物質層222が設けられている。
【0023】
負極板22の負極集電体221も、上述の正極集電体211と同様に、多数の貫通孔を有する箔状の部材である。この負極集電体221は、具体的には、エキスパンドメタル、パンチングメタル、網、発泡体等で構成されている。また、この負極集電体221を構成する金属材料としては、一般的にリチウム系電池に適用できる材料を用いることができ、具体的には、ステンレス、銅、ニッケル等を用いることができる。
【0024】
負極板22の負極活物質層222は、負極活物質、バインダ、溶媒等を混合したスラリーを、負極集電体221の表面に塗布して乾燥させることで形成されている。負極活物質層222が含有する負極活物質としては、リチウムを可逆的に担持することが可能であれば特に限定されないが、例えば、グラファイト、種々の炭素材料、ポリアセン系の導電性高分子、錫酸化物、珪素酸化物等を例示することができる。
【0025】
また、バインダとしては、例えば、SBR等のゴム系バインダ、ポリ四フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂等を例示することができる。なお、負極活物質として導電性高分子や酸化物を用いる場合には、負極活物質層222を構成するスラリーが、アセチレンブラック、グラファイト、金属粉末等の導電材を含有していてもよい。
【0026】
セパレータ23は、電解液、正極活物質、負極活物質等に対して耐久性があり、連通孔を有するが電子伝導性のない多孔体から構成されている。このセパレータは、具体的には、ガラス繊維、又は、ポリエチレン若しくはポリプロピレン等からなる布若しくは不織布から構成されている。このセパレータ23には電解液が含浸されている。電解液は、通常液体であってセパレータ23に含浸されるが、漏液を防止するためにゲル状又は固体状にして用いてもよく、この場合には、セパレータ23を省略してもよい。
【0027】
電解液を構成する溶媒としては、非プロトン性有機溶媒を用いることが好ましい。この非プロトン性有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、アセトニトリル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、塩化メチレン、スルホラン等を例示することができる。また、これら非プロトン性有機溶媒の二種以上を混合した混合液を用いてもよい。
【0028】
また、上記の溶媒に溶解させる電解質としては、リチウムイオンを生成し得る電解質であれば、あらゆるものを用いることができる。このような電解質としては、例えば、LiI、LiClO
4、LiAsF
6、LiBF
4、LiPF
6等を例示することができる。
【0029】
さらに、本実施形態における電極ユニット20は、リチウム供給源として、蓄電デバイス10の内部に、リチウム極集電体242上に設けられたリチウム極241を備えている。リチウム極241は、リチウム極集電体242の上面に圧着された金属箔又は金属板から構成されている。このリチウム極241は、少なくともリチウムを含有し、リチウムイオンを供給することのできる材料から構成されている。このリチウム極241を構成する具体的な材料としては、例えば、リチウム−アルミニウム合金等を例示することができる。リチウム極集電体242は、ステンレスメッシュ、銅エキスパンドメタル等の導電性多孔体から構成されている。このリチウム極241及びリチウム極集電体242は、最下段の負極板22に積層されている。
【0030】
本実施形態では、リチウム極241及びリチウム極集電体242が負極の一部を構成している。すなわち、後述するように、リチウム極集電体242は負極端子50に接続されており、負極活物質にリチウムを担持させることが可能となっている。リチウムを負極にスムーズに担持させるために、リチウム極241及びリチウム極集電体242を負極板22に対向するように配置することが好ましい。
【0031】
なお、リチウム極241及びリチウム極集電体242は、
図2に示す形態に限定されない。例えば、特に図示しないが、(1)最上段の正極板21の上にさらに負極板22を設けて当該負極板22の上にリチウム極241及びリチウム極集電体242をさらに追加した形態、(2)電極ユニット20の中央領域の2つの負極板22,22の間にリチウム極241を追加した形態、(3)円筒型蓄電デバイスに応用した形態としてもよい。
【0032】
また、リチウム極241及びリチウム極集電体242が正極の一部を構成してもよい。この場合には、特に図示しないが、リチウム極241及びリチウム極集電体242は、正極板21に対向するように配置されていると共に、当該リチウム極集電体242が正極端子40に接続されており、正極活物質にリチウムを担持させる。
【0033】
外装部材30は、上側部材31と下側部材32を備えている。上側部材31は、ラミネートフィルムを成形することで形成されており、上述した電極ユニット20を収容することが可能な凹部311を中央に有している。下側部材32も同様に、ラミネートフィルムを成形することで形成されており、電極ユニット20を収容可能な凹部321を中央に有している。
【0034】
上側部材31及び下側部材32を構成するラミネートフィルムは、
図2の拡大図に示すように、アルミニウム等から構成される金属箔30aと、当該金属箔30aの両面にそれぞれ積層された第1及び第2の樹脂フィルム30b,30cと、を備えており、適度な可撓性を有している。金属箔30aの内面に積層された第1の樹脂フィルム30bは、耐電解液性及び熱融着性に優れた樹脂材料から構成されている。一方、金属箔30aの外面に積層された第2の樹脂フィルム30cは、電気絶縁性に優れた樹脂材料から構成されている。本実施形態における金属箔30aが、本発明における金属層の一例に相当する。
【0035】
上側部材31及び下側部材32の凹部311,321に、正極端子40及び負極端子50が接続された電極ユニット20を収容した状態で、上側部材31の外周縁と下側部材32の外周縁とが熱融着等によって接合されている。これにより、外装部材30の外周に亘って当該外装部材30を封止する封止部分33が形成され、電極ユニット20が外装部材30の内部に収容されている。
【0036】
この際、正極端子40が外装部材30の内側から外側に延出しており、当該正極端子40の先端が外装部材30の一方の端部から外側に向かって導出している。負極端子50も外装部材30の内側から外側に延出しており、当該負極端子50の先端が外装部材30の他方の端部から外側に向かって導出している。なお、特に図示しないが、正極端子40と負極端子50が外装部材30の同じ端部から導出していてもよい。
【0037】
正極端子40は、
図3及び
図4に示すように、第1の基材41と、第1のシーラント樹脂層42と、第1の錫層43と、を備えている。この正極端子40の後端側の部分には、電極ユニット20から延出する複数の正極集電体211の端部が、溶接等によって接合されている(
図2参照)。本実施形態における第1のシーラント樹脂層42が、本発明における第1の封止部材の一例に相当する。
【0038】
なお、本実施形態において、ある部材において蓄電デバイス10の外側方向に位置する端部を、当該部材の「先端」と称するのに対し、前記ある部材において蓄電デバイス10の中心側方向に位置する端部を、当該部材の「後端」と称する。
【0039】
第1の基材41は、アルミニウムを主成分とする金属材料、すなわちアルミニウム又はアルミニウム合金から構成されている。この第1の基材41の略中央部分には、当該第1の基材41の全周を覆うように第1のシーラント樹脂層42が固着されており、第1のシーラント樹脂層42が、第1の基材41と外装部材30の封止部分33との間に介在している。
【0040】
この第1のシーラント樹脂層42は、第1の基材41に予め取り付けられた、いわゆる先付け樹脂であり、例えば、ポリプロピレン等の樹脂材料から構成されている。この第1のシーラント樹脂層42は、外装部材30の封止部分33と熱融着等によって固着された(すなわち、平面視において外装部材30の封止部分33と重複している)第1の固着部分421と、当該第1の固着部分421から第1の基材41の先端411に向かって延長された第1の延長部分422と、を有している。この第1の延長部分422は、外装部材30の外縁から所定距離だけ第1の基材41の先端411に向かって延在しており、第1の基材41の先端411には到達していない。
【0041】
第1の錫層43は、錫(Sn)を主成分とする金属、すなわち錫又は錫合金から構成されている。この第1の錫層43は、例えば、めっき処理、スパッタリング処理、蒸着処理、圧延加工等によって、第1の基材41の表面に形成されている。この第1の錫層43は、第1の基材41の先端411から第1のシーラント樹脂層42の第1の延長部分422までの第1の基材41の全面に形成されている。すなわち、本実施形態では、正極端子40において第1のシーラント樹脂層42の第1の延長部分422よりも先端側の部分では、第1の錫層43が露出していると共に、当該第1の錫層43の後端431が、第1のシーラント樹脂層42の第1の延長部分422で覆われている。なお、第1の基材41の先端面411については、加工上の制約から第1の錫層43が形成されていなくてもよい。
【0042】
以上のように、本実施形態では、ニッケル層に代えて、正極端子40の第1の基材41の先端側の部分を第1の錫層43で被覆する。このため、正極端子40における外部との接触点の接触抵抗を小さくすることができるので、蓄電デバイス10の出力特性が優れている。また、蓄電デバイス10の低コスト化を図ることもできる。
【0043】
また、本実施形態では、第1の錫層43の後端431が第1のシーラント樹脂層42の第1の延長部分422で覆われている。このため、第1の基材41と第1の錫層43の間への水分浸入に起因したガルバニック腐食の発生を抑制することができる。
【0044】
また、一般的に、錫層に熱や圧力が加わると当該錫層にウィスカが発生する傾向があり、こうしたウィスカは正極端子と外装部材の金属箔との短絡を招来するおそれがある。これに対し、本実施形態では、第1の錫層43の後端431が第1のシーラント樹脂層42の第1の延長部分422に位置しており、第1の錫層43が外装部材30の封止部分33と重複していない。このため、外装部材30の外周を熱融着する際に第1の錫層43に対して熱や圧力が印加され難くなるので、第1の錫層43にウィスカが発生し難くなり、当該ウィスカによる第1の錫層43と外装部材30の金属箔30aとの短絡を抑制することができる。
【0045】
また、本実施形態では、第1の錫層43の後端431が第1のシーラント樹脂層42の第1の延長部分422に位置するように、正極端子40を予め形成しておくことができる。このため、外装部材30に対する正極端子40の位置決めが容易となるので、蓄電デバイス10の更なる低コスト化を図ることもできる。
【0046】
また、本実施形態では、第1のシーラント樹脂層42を延長させることで、第1の錫層43の後端431を覆う第1の延長部分422を形成するので、第1の錫層43の後端431を覆うための専用の樹脂層を設ける必要がない。
【0047】
さらに、錫層が蓄電デバイスの内部空間まで延在している場合には、電解液中に錫が溶出して正極端子が腐食してしまうおそれがある。これに対し、本実施形態では、第1の錫層43が第1のシーラント樹脂層42の第1の延長部分422まで延在し、蓄電デバイス10の内部空間には、主成分としてアルミニウムを含有した第1の基材41が露出しているので、高電位環境で正極端子40が腐食し難くなっている。
【0048】
負極端子50は、
図5及び
図6に示すように、第2の基材51と、第2のシーラント樹脂層52と、第2の錫層53と、ニッケル層54と、備えている。この負極端子50の後端側の部分には、電極ユニット20から延出する複数の負極集電体221及びリチウム極集電体242の端部が、溶接等によって接合されている(
図2参照)。本実施形態における第2のシーラント樹脂層52が、本発明における第2の封止部材の一例に相当する。
【0049】
第2の基材51は、銅を主成分とする金属材料、すなわち銅又は銅合金から構成されている。この第2の基材51の略中央部分には、当該第2の基材51の全周を覆うように第2のシーラント樹脂層52が固着されており、第2のシーラント樹脂層52が、第2の基材51と外装部材30の封止部分33との間に介在している。
【0050】
この第2のシーラント樹脂層52も、上述の第1のシーラント樹脂層42と同様に、第2の基材51に予め取り付けられた、いわゆる先付け樹脂であり、例えば、ポリプロピレン等の樹脂材料から構成されている。この第2のシーラント樹脂層52は、外装部材30の封止部分33と熱融着等によって固着された(すなわち、平面視において外装部材30の封止部分33と重複している)第2の固着部分521と、当該第2の固着部分521から先端に向かって延長された第2の延長部分522と、を有している。この第2の延長部分522は、外装部材30の外縁から所定距離だけ先端に向かって延在しており、第2の基材51の先端511には到達していない。
【0051】
第2の錫層53は、錫(Sn)を主成分とする金属材料、すなわち錫又は錫合金から構成されておる。この第2の錫層53は、例えば、めっき処理、スパッタリング処理、蒸着処理、圧延加工等によって、第2の基材51の表面に形成されている。この第2の錫層53は、第2の基材51の先端511から第2のシーラント樹脂層52の第2の延長部分522までの第2の基材51の全面に形成されている。すなわち、本実施形態では、負極端子50において第2のシーラント樹脂層52の第2の延長部分522よりも先端側の部分では、第2の錫層53が露出していると共に、当該第2の錫層53の後端531が、第2のシーラント樹脂層52の第2の延長部分522で覆われている。なお、第2の基材51の先端面511については、加工上の制約から第2の錫層53が形成されていなくてもよい。
【0052】
このように、本実施形態では、ニッケル層に代えて、負極端子50の第2の基材51の先端側の部分を第2の錫層53で被覆する。このため、負極端子50における外部との接触点の接触抵抗を小さくすることができるので、蓄電デバイス10の出力特性が優れている。また、蓄電デバイス10の低コスト化を図ることもできる。
【0053】
また、本実施形態では、第2の錫層53の後端531が第2のシーラント樹脂層52の第2の延長部分522で覆われている。このため、第2の基材51と第2の錫層53の間への水分浸入に起因したガルバニック腐食の発生を抑制することができる。
【0054】
また、本実施形態では、第2の錫層53の後端531が第2のシーラント樹脂層52の第2の延長部分522に位置しており、第2の錫層53が外装部材30の封止部分33と重複していない。このため、外装部材30の外周を熱融着する際に第2の錫層53に対して熱や圧力が印加され難くなるので、第2の錫層53にウィスカが発生し難くなり、当該ウィスカによる第2の錫層53と外装部材30の金属箔30aとの短絡を抑制することができる。
【0055】
また、本実施形態では、第2の錫層53の後端531が第2のシーラント樹脂層52の第2の延長部分522に位置するように、負極端子50を予め形成しておくことができる。このため、外装部材30に対する負極端子50の位置決めが容易となるので、蓄電デバイス10の更なる低コスト化を図ることもできる。
【0056】
さらに、本実施形態では、第2のシーラント樹脂層52を延長させることで、第2の錫層53の後端531を覆う第2の延長部分522を形成するので、第2の錫層53の後端531を覆うための専用の樹脂層を設ける必要がない。
【0057】
ニッケル層54は、ニッケル(Ni)を主成分とする金属材料、すなわちニッケル又はニッケル合金から構成されている。このニッケル層54は、例えば、めっき処理、スパッタリング処理、蒸着処理、圧延加工等によって、第2の基材51の表面に形成されている。このニッケル層54は、第2の錫層53の後端531から第2の基材51の後端512までの第2の基材51の全面に形成されている。すなわち、本実施形態では、第2の基材51と第2のシーラント樹脂層52の間に第2の錫層53かニッケル層54のいずれかが介在しており、第2の基材51と第2のシーラント樹脂層52とは直接接触していない。
【0058】
このように、本実施形態では、第2の基材51と第2のシーラント樹脂層52とを非接触とすることで、主成分として銅を含有した第2の基材51によって第2のシーラント樹脂層52が劣化してしまうのを抑制することができ、外装部材30の密閉性を維持することができる。
【0059】
また、本実施形態では、ニッケル層54が蓄電デバイス10の内部空間まで延在しているので、低電位環境で負極端子50が腐食し難くなっている。
【0060】
なお、特に図示しないが、ニッケル層54を、第2の錫層53の後端531から第2のシーラント樹脂層52の第2の固着部分521の後端まで延在させて、蓄電デバイス10の内部では、第2の基材51を露出させてもよい。
【0061】
また、上述のように正極端子40の第1の錫層43にウィスカが発生し難くなっているため、
図7及び
図8に示すように、負極端子50Bにニッケル層54を設けずに、第2の錫層53を第2の基材51の先端511から後端512までの第2の基材51の全面に形成してもよい。すなわち、第2の基材51全体を第2の錫層53で覆ってもよい。なお、この場合には、第2のシーラント樹脂層52に第2の延長部分522を設けなくてもよい。
【0062】
或いは、特に図示しないが、第2の錫層53を第2の基材51の先端511から第2のシーラント樹脂層52の第2の固着部分521の後端まで延在させて、蓄電デバイス10の内部では、第2の基材51を露出させてもよい。
【0063】
以上に説明した蓄電デバイス10の外形形状(大きさや厚み)、容量、出力電圧等の仕様は、用途に応じて適宜設定される。また、複数の蓄電デバイス10を電気的に直列接続することで出力電圧を調整することができ、複数の蓄電デバイス10を電気的に並列接続することで、蓄電容量(出力電力)を調整することができる。
【0064】
複数の蓄電デバイス10から構成される蓄電モジュール1について、
図9及び
図10を参照しながら説明する。
図9は本実施形態における蓄電モジュールを示す斜視図であり、
図10はその蓄電モジュールの等価回路図である。なお、蓄電モジュールの構造は、相互に直列接続された複数の蓄電デバイス10を含むものであれば、
図9及び
図10に示すものに限定されない。
【0065】
本実施形態における蓄電モジュール1は、
図9及び
図10に示すように、相互に積層された複数(本例では10個)の蓄電デバイス10を備えている。これらの蓄電デバイス10は、下段の蓄電デバイス10の正極端子40が上段の蓄電デバイス10の負極端子50に対向するように積層されている。相互に隣り合う蓄電デバイス10の間には、電気絶縁材料から構成される支持部材2がそれぞれ介装されており、当該支持部材2の四隅に形成された貫通孔にボルト3を挿通して締結することで、複数の蓄電デバイス10が固定されている。
【0066】
また、下段の蓄電デバイス10の正極端子40と、上段の蓄電デバイス10の負極端子50とが、接続部材4を用いて直接接続されている。そして、10個の蓄電デバイス10のうち最上段の蓄電デバイス10の正極端子40が、蓄電モジュール1の正極入出力端子5を構成している。一方、10個の蓄電デバイス10のうち最下段の蓄電デバイス10の負極端子50が、蓄電モジュール1の負極入出力端子6を構成している。
【0067】
本実施形態では、蓄電デバイス10の正極端子40の先端側の部分が第1の錫層43で覆われていると共に、当該蓄電デバイス10の負極端子50の先端側の部分も第2の錫層53で覆われている。このため、下段の蓄電デバイス10の正極端子40と上段の蓄電デバイス10の負極端子50とを直接接続する際に、同種金属接触となるため、正極端子40と負極端子50との間にガルバニック腐食が発生するのを抑制することができる。
【0068】
また、本実施形態では、正極端子40及び負極端子50の先端側の部分がいずれも錫層43,53で覆われており、正極端子40及び負極端子50の接触点の接触抵抗が小さくなるので、蓄電モジュール1の大電流化に対応することもできる。
【0069】
なお、本実施形態では、正極端子40及び負極端子50の先端側の部分がいずれも半田付け性に優れた錫層43,53で覆われているため、正極端子40と負極端子50を半田付けによって接合してもよい。或いは、半田付けに代えて、超音波溶接や抵抗溶接等によって、正極端子40と負極端子50を接合してもよい。
【0070】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。