(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
壁の開口部に設置される矩形の取り付け枠体と、前記取り付け枠体の内側に配設された障子と、前記取り付け枠体の下側横枠部に取り付けられ、前記障子の下側の端部を回動可能に支持する下側ステーと、前記取り付け枠体の上側横枠部に取り付けられて前記障子の上側の端部を回動可能に支持する上側ステーとを備えたすべり出し窓装置において、
前記下側ステーは、第一及び第二のリンク部材を有し、
前記第一のリンク部材は、一端部が前記下側横枠部の中央より右側の位置に軸着された第一の短アームと、一端部が前記下側横枠部の中央より右側の位置に軸着された第一の長アームと、異なる2箇所が前記第一の短アームの他端部と前記第一の長アームの他端部とにそれぞれ軸着された第一の板状本体を有し前記第一の板状本体に第一の係合突起が立設された第一の着脱板とで構成され、
前記第二のリンク部材は、一端部が前記下側横枠部の左側の位置に軸着された第二の短アームと、一端部が前記下側横枠部の左側の位置に軸着された第二の長アームと、異なる2箇所が前記第二の短アームの他端部と前記第二の長アームの他端部とにそれぞれ軸着された第二の板状本体を有し前記第二の板状本体に第二の係合突起が立設された第二の着脱板とで構成され、
前記上側ステーは、第三及び第四のリンク部材を有し、
前記第三のリンク部材は、第一のリンク部材に対して上下に線対称な構造であって、前記第一の短アーム、前記第一の長アーム、前記第一の板状本体、前記第一の係合突起及び前記第一の着脱板に対応する各部材として、第三の短アーム、第三の長アーム、第三の板状本体、第三の係合突起及び第三の着脱板を備え、
前記第四のリンク部材は、第二のリンク部材に対して上下に線対称な構造であって、前記第二の短アーム、前記第二の長アーム、前記第二の板状本体、前記第二の係合突起及び前記第二の着脱板に対応する各部材として、第四の短アーム、第四の長アーム、第四の板状本体、第四の係合突起及び第四の着脱板を備え、
前記障子には、前記障子の下端部に取り付けられ、前記下側ステーの部分に着脱される下側着脱機構と、前記障子の上端部に取り付けられ、前記上側ステーの部分に着脱される上側着脱機構と、使用者が右開き又は左開きを選択する際に操作する選択操作部とが設けられ、
前記下側着脱機構は、第一及び第二の着脱具を有し、
前記第一の着脱具は、前記第一の着脱板の第一の係合突起が係合し、前記第一の着脱板と前記障子の下端部との相対位置が固定されるように前記第一の係合突起を保持する第一のロック部と、前記第一のロック部と前記第一の係合突起と係合を解除するための第一のロック解除レバーとを備え、
前記第二の着脱具は、前記第二の着脱板の第二の係合突起が係合し、前記第二の着脱板と前記障子の下端部との相対位置が固定されるように前記第二の係合突起を保持する第二のロック部と、前記第二のロック部と前記第二の係合突起と係合を解除するための第二のロック解除レバーとを備え、
前記上側着脱機構は、第三及び第四の着脱具を有し、
前記第三の着脱具は、前記第一の着脱具に対して上下に線対称な構造であって、前記第一のロック部及び前記第一のロック解除レバーに対応する各部材として、第三のロック部及び第三のロック解除レバーを備え、
前記第四の着脱具は、前記第二の着脱具に対して上下に線対称な構造であって、前記第二のロック部及び前記第二のロック解除レバーに対応する各部材として、第四のロック部及び第四のロック解除レバーを備え、
前記選択操作部には、前記選択操作部の変位を前記第一及び第三のロック解除レバーに作用させる右側ロック解除手段と、前記選択操作部の動作を前記第二及び第四のロック解除レバーに作用させる左側ロック解除手段とが接続され、前記選択操作部が、前記障子が右開きになるように操作されたとき、前記右側ロック解除手段を通じて前記第一及び第三のロック部のロックが解除され、前記選択操作部が、前記障子が左開きになるように操作されたとき、前記左側ロック解除手段を通じて前記第二及び第四のロック部のロックが解除されることを特徴とするすべり出し窓装置。
前記第一の係合突起は、前記第一の着脱板の上面の互いに離れた位置に立設された一対の第一ピン状突起で成り、前記第一のロック部は、前記各第一ピン状突起の側周面と係合し、前記各第一ピン状突起が軸方向と交差する向きに移動するのを制限するものであり、
前記第二の係合突起は、前記第二の着脱板の上面の互いに離れた位置に立設された一対の第二ピン状突起で成り、前記第二のロック部は、前記各第二ピン状突起の側周面と係合し、前記各第二ピン状突起が軸方向と交差する向きに移動するのを制限するものであり、
前記第三の係合突起は、前記一対の第一ピン状突起に対して上下に線対称な構造であり、前記第三のロック部は、前記第一のロック部に対して上下に線対称な構造であり、
前記第四の係合突起は、前記一対の第二ピン状突起に対して上下に線対称な構造であり、前記第四のロック部は、前記第二のロック部に対して上下に線対称な構造である請求項1記載のすべり出し窓装置。
前記右側ロック解除手段は、前記右側開閉用ハンドルが開き方向に操作されたときに、自己の中心軸の周りを所定方向に回動する右側回転盤と、前記右側回転盤の周端部の特定位置に一端が接続され、他端部が前記第一のロック解除レバーに接続された右側下ワイヤと、前記右側回転盤の前記特定位置と前記中心軸を挟んで反対側の位置に一端が接続され、他端部が前記第三のロック解除レバーに接続された右側上ワイヤとで構成され、前記右側回転盤が前記所定方向に回動すると、前記右側下ワイヤが上向きに引っ張られ、その力が前記第一のロック解除レバーに作用し、前記右側上ワイヤが下向きに引っ張られ、その力が前記第三のロック解除レバーに作用し、前記第一及び第三のロック部のロックが解除され、
前記左側ロック解除手段は、前記左側開閉用ハンドルが開き方向に操作されたときに、自己の中心軸の周りを所定方向に回動する左側回転盤と、前記左側回転盤の周端部の特定位置に一端が接続され、他端部が前記第二のロック解除レバーに接続された左側下ワイヤと、前記左側回転盤の前記特定位置と前記中心軸を挟んで反対側の位置に一端が接続され、他端部が前記第四のロック解除レバーに接続された左側上ワイヤとで構成され、前記左側回転盤が前記所定方向に回動すると、前記左側下ワイヤが上向きに引っ張られ、その力が前記第二のロック解除レバーに作用し、前記左側上ワイヤが下向きに引っ張られ、その力が前記第四のロック解除レバーに作用し、前記第二及び第四のロック部のロックが解除される請求項4記載のすべり出し窓装置。
前記下側ステー、前記上側ステー、前記下側着脱機構及び前記上側着脱機構は、それぞれ90°回転させた配置で、前記障子は水平方向の揺動軸を中心としてすべり出す構造である請求項1乃至5のいずれか記載のすべり出し窓装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のすべり出し窓の場合、部屋のレイアウト等に合わせ、右開きタイプと左開きタイプのどちらか一方が選択されて設置される。したがって、建具メーカは、左開きタイプと右開きタイプの両方を製作し在庫しなければならない。また、部屋に設置した後は、左右の開き方向が固定されてしまうので、風向きの変化に応じて開き方向を変更するという使い方ができない。そこで、左右開き可能なすべり出し窓装置が求められている。
【0007】
しかし、すべり出し窓装置は、障子を開閉するためのステーの構造が特殊であり、高い強度と安全性が要求されるので、左右開き式を実現するのは容易ではなく、例えば、特許文献2の技術は、特許文献1のすべり出し窓にそのまま適用することはできないものである。
【0008】
本発明は、上記背景技術に鑑みて成されたものであり、構造がシンプルで、設置された後でも左右の開き方向を容易かつ安全に切り替えることができるすべり出し窓装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、壁の開口部に設置される矩形の取り付け枠体と、前記取り付け枠体の内側に配設された障子と、前記取り付け枠体の下側横枠部に取り付けられ、前記障子の下側の端部を回動可能に支持する下側ステーと、前記取り付け枠体の上側横枠部に取り付けられて前記障子の上側の端部を回動可能に支持する上側ステーとを備えたすべり出し窓装置であって、前記下側ステーは、第一及び第二のリンク部材を有し、前記第一のリンク部材は、一端部が前記下側横枠部の中央より右側の位置に軸着された第一の短アームと、一端部が前記下側横枠部の中央より右側の位置に軸着された第一の長アームと、異なる2箇所が前記第一の短アームの他端部と前記第一の長アームの他端部とにそれぞれ軸着された第一の板状本体とを有し、前記第一の板状本体に第一の係合突起が立設された第一の着脱板とで構成され、前記第二のリンク部材は、一端部が前記下側横枠部の左側の位置に軸着された第二の短アームと、一端部が前記下側横枠部の左側の位置に軸着された第二の長アームと、異なる2箇所が前記第二の短アームの他端部と前記第二の長アームの他端部とにそれぞれ軸着された第二の板状本体とを有し、前記第二の板状本体に第二の係合突起が立設された第二の着脱板とで構成され、前記上側ステーは、第三及び第四のリンク部材を有し、前記第三のリンク部材は、第一のリンク部材に対して上下に線対称な構造であって、前記第一の短アーム、前記第一の長アーム、前記第一の板状本体、前記第一の係合突起及び前記第一の着脱板に対応する各部材として、第三の短アーム、第三の長アーム、第三の板状本体、第三の係合突起及び第三の着脱板を備え、前記第四のリンク部材は、第二のリンク部材に対して上下に線対称な構造であって、前記第二の短アーム、前記第二の長アーム、前記第二の板状本体、前記第二の係合突起及び前記第二の着脱板に対応する各部材として、第四の短アーム、第四の長アーム、第四の板状本体、第四の係合突起及び第四の着脱板を備え、前記障子には、前記障子の下端部に取り付けられ、前記下側ステーの部分に着脱される下側着脱機構と、前記障子の上端部に取り付けられ、前記上側ステーの部分に着脱される上側着脱機構と、使用者が右開き又は左開きを選択する際に操作する選択操作部とが設けられ、前記下側着脱機構は、第一及び第二の着脱具を有し、前記第一の着脱具は、前記第一の着脱板の第一の係合突起が係合し、前記第一の着脱板と前記障子の下端部との相対位置が固定されるように前記第一の係合突起を保持する第一のロック部と、前記第一のロック部と前記第一の係合突起と係合を解除するための第一のロック解除レバーとを備え、前記第二の着脱具は、前記第二の着脱板の第二の係合突起が係合し、前記第二の着脱板と前記障子の下端部との相対位置が固定されるように前記第二の係合突起を保持する第二のロック部と、前記第二のロック部と前記第二の係合突起と係合を解除するための第二のロック解除レバーとを備え、前記上側着脱機構は、第三及び第四の着脱具を有し、前記第三の着脱具は、前記第一の着脱具に対して上下に線対称な構造であって、前記第一のロック部及び前記第一のロック解除レバーに対応する各部材として、第三のロック部及び第三のロック解除レバーを備え、前記第四の着脱具は、前記第二の着脱具に対して上下に線対称な構造であって、前記第二のロック部及び前記第二のロック解除レバーに対応する各部材として、第四のロック部及び第四のロック解除レバーを備え、前記選択操作部には、前記選択操作部の変位を前記第一及び第三のロック解除レバーに作用させる右側ロック解除手段と、前記選択操作部の動作を前記第二及び第四のロック解除レバーに作用させる左側ロック解除手段とが接続され、前記選択操作部が、前記障子が右開きになるように操作されたとき、前記右側ロック解除手段を通じて前記第一及び第三のロック部のロックが解除され、前記選択操作部が、前記障子が左開きになるように操作されたとき、前記左側ロック解除手段を通じて前記第二及び第四のロック部のロックが解除されるすべり出し窓装置である。
【0010】
前記第一の係合突起は、前記第一の着脱板の上面の互いに離れた位置に立設された一対の第一ピン状突起で成り、前記第一のロック部は、前記各第一ピン状突起の側周面と係合し、前記各第一ピン状突起が軸方向と交差する向きに移動するのを制限するものであり、前記第二の係合突起は、前記第二の着脱板の上面の互いに離れた位置に立設された一対の第二ピン状突起で成り、前記第二のロック部は、前記各第二ピン状突起の側周面と係合し、前記各第二ピン状突起が軸方向と交差する向きに移動するのを制限するものであり、前記第三の係合突起は、前記一対の第一ピン状突起に対して上下に線対称な構造であり、前記第三のロック部は、前記第一のロック部に対して上下に線対称な構造であり、前記第四の係合突起は、前記一対の第二ピン状突起に対して上下に線対称な構造であり、前記第四のロック部は、前記第二のロック部に対して上下に線対称な構造である構成にしてもよい。
【0011】
また、前記下側ステー、前記上側ステー、前記下側着脱機構及び前記上側着脱機構は、それぞれ左右に線対称な構造であることが好ましい。
【0012】
また、前記選択操作部は、前記障子の右側の端部に配設された右側開閉用ハンドルと、前記障子の左側の端部に配設された左側開閉用ハンドルとで構成され、前記右側開閉用ハンドルには、前記右側開閉用ハンドルの動作を前記第一及び第三のロック解除レバーに作用させるための前記右側ロック解除手段が接続され、前記右側開閉用ハンドルが開き方向に操作されたとき、前記右側ロック解除手段を通じて前記第一及び第三のロック部のロックが解除され、前記左側開閉用ハンドルには、前記左側開閉用ハンドルの動作を前記第二及び第四のロック解除レバーに作用させるための前記左側ロック解除手段が接続され、前記左側開閉用ハンドルが開き方向に操作されたとき、前記左側ロック解除手段を通じて前記第二及び第四のロック部のロックが解除される構成にしてもよい。
【0013】
この場合、前記右側ロック解除手段は、前記右側開閉用ハンドルが開き方向に操作されたときに、自己の中心軸の周りを所定方向に回動する右側回転盤と、前記右側回転盤の周端部の特定位置に一端が接続され、他端部が前記第一のロック解除レバーに接続された右側下ワイヤと、前記右側回転盤の前記特定位置と前記中心軸を挟んで反対側の位置に一端が接続され、他端部が前記第三のロック解除レバーに接続された右側上ワイヤとで構成され、前記右側回転盤が前記所定方向に回動すると、前記右側下ワイヤが上向きに引っ張られ、その力が前記第一のロック解除レバーに作用し、前記右側上ワイヤが下向きに引っ張られ、その力が前記第三のロック解除レバーに作用し、前記第一及び第三のロック部のロックが解除され、前記左側ロック解除手段は、前記左側開閉用ハンドルが開き方向に操作されたときに、自己の中心軸の周りを所定方向に回動する左側回転盤と、前記左側回転盤の周端部の特定位置に一端が接続され、他端部が前記第二のロック解除レバーに接続された左側下ワイヤと、前記左側回転盤の前記特定位置と前記中心軸を挟んで反対側の位置に一端が接続され、他端部が前記第四のロック解除レバーに接続された左側上ワイヤとで構成され、前記左側回転盤が前記所定方向に回動すると、前記左側下ワイヤが上向きに引っ張られ、その力が前記第二のロック解除レバーに作用し、前記左側上ワイヤが下向きに引っ張られ、その力が前記第四のロック解除レバーに作用し、前記第二及び第四のロック部のロックが解除される構成であることが好ましい。
【0014】
前記下側ステー、前記上側ステー、前記下側着脱機構及び前記上側着脱機構は、それぞれ90°回転させた配置で、前記障子は水平方向の揺動軸を中心としてすべり出す構造にしても良い。
【発明の効果】
【0015】
本発明のすべり出し窓装置によれば、シンプルな構造の下側ステー、上側ステー、下側着脱機構、及び上側着脱機構を組み合わせることにより、左右開きが可能なすべり出し窓装置を容易に得ることができる。また、選択操作部を操作することによって、左右の開き方向を容易かつ安全に切り替えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明のすべり出し窓装置の一実施形態について、図面に基づいて説明する。この実施形態のすべり出し窓装置10は、
図1、
図2、
図3に示すように、略矩形の取り付け枠体12と、取り付け枠体14の内側に配設され障子14とを備え、設置された後、障子の開き方向を切り替えることができるすべり出し窓装置である。ここで、「右」「左」は、すべり出し窓装置10を室内側から見たときの方向とする。
【0018】
取り付け枠体12は、部屋の壁の開口部に設置され、上下一対の横枠部(下側横枠部12a、上側横枠部12b)と左右一対の縦枠部(右側縦枠部12c、左側縦枠部12d)とを有している。
【0019】
障子14は、略矩形の框16の内側にガラス18が嵌め込まれた構造で、框16は、上下一対の横框部(下側横框部16a、上側横框部16b)と左右一対の縦框部(右側縦框部16c、左側縦框部16d)とを有している。障子14の下端部である下側横框部16aは、取り付け枠体12の下側横枠部12aに取り付けられた下側ステー20により回動可能に支持され、障子14の上端部である上側横框部16bは、取り付け枠体12の上側横枠部12bに取り付けられた上側ステー22により回動可能に支持されている。下側ステー20と下側横框部16aとを接続する構造、及び上側ステー22と上側横框部16bとを接続する構造については、後で説明する。
【0020】
框16の外周面の屋外側の端部には、
図3(a)、(b)に示すように、外向きに延びる先端部16sが設けられている。また、取り付け枠体12の屋外側の側面には、先端部16sに対向するように、帯状の気密パッド24が取り付けられている。つまり、
図4(a)に示すように、障子14が閉じられた状態で框16の先端部16sが気密パッド24に当接し、室内と屋外との間の気密性が確保されるようになっている。
【0021】
障子14の右側縦框部16cには、
図1、
図2、
図3に示すように、室内側の側面に右側開閉用ハンドル26が設置され、右側縦枠部12cと対向する面に、
図1、
図4(a)、(b)に示すように、右側開閉用ハンドル26が操作されることにより上下方向に移動する右側スライドバー28が設けられ、右側スライドバー28の外面に、2つの右側係合ピン30が上下一対に立設されている。また、右側縦枠部12cの内面には、L字状の切り込みが形成された右側係合金具32が上下一対に取り付けられている。L字状の切り込みは、最奥部から上向きに伸びる一辺と、この一辺の端部から横向きに伸びて入口に達する一辺とを有している。
【0022】
障子14が閉じられた状態では、
図4(b)に示すように、一対の右側係合ピン30が相手側の右側係合金具32の切り込みの中に深く入り込んで係合し、右側縦框部16cが右側縦枠部12cの近傍に保持される。ここでは、室内と屋外との間の気密性を向上させるため、右側係合金具32の切り込みの奥側の一辺に傾斜が設けられ、右側係合ピン30が奥の部分に深く入るほど、障子14の先端部16sが気密パッド24に強く押し当てられる構造になっている。
【0023】
右側係合ピン30と右側係合金具32との係合を解除するときは、右側開閉用ハンドル26を内側に倒す操作(右回りに回動させる操作)を行って右側スライドバー32を上向きに移動させ、
図4(c)に示すように、右側係合ピン30を切り込みの最奥部から中点の位置まで移動させる。そして、右側開閉用ハンドル26を倒したまま、屋外の方向に押し出すと、
図4(d)に示すように、右側係合ピン30が切り込みの外に脱出し、係合が解除される。
【0024】
障子14の左側縦框部16d及び取り付け枠体12の左側縦枠部12dにも、上記の右側開閉用ハンドル26、右側スライドバー28、右側係合ピン30及び右側係合金具32に対応する部材であって、これらと左右に線対称な構造の左側開閉用ハンドル34、左側スライドバー36、左側係合ピン38及び左側係合金具40が設けられている。右側及び左側スライドバー28,36は互いに連動する部材であり、右側又は左側開閉用ハンドル26,34が操作されると、右側及び左側スライドバー28,36の両方が上下方向に移動する構造になっている。
【0025】
取り付け枠体12の下側横枠部12aに取り付けられている下側ステー20は、
図5に示すように、左右一対に設けられた2つのリンク部材42,52で構成されている。下側横枠部12aの中央より右側の位置に取り付けられている第一のリンク部材42は、下側横枠部12aの上面に固定された第一の基板44を有し、この第一の基板44に、第一の短アーム46、第一の短アーム46よりも長い第一の長アーム48、及び所定長さの第一の着脱板50が相互に連結され、障子14のすべり出し動作を実現するためのリンク機構を形成している。具体的には、
図6(a)、(b)、(c)に示すように、第一の基板44の中央部に第一の短アーム46の一端部が軸着され、第一の基板44の左側の端部に第一の長アーム48の一端部が軸着されている。第一の着脱板50は、第一の板状本体50aの一端部の少し内側の位置で第一の短アーム46の他端部に軸着され、第一の板状本体50aの他端部の少し内側の位置で第一の長アーム48の他端部に軸着されている。
【0026】
第一の着脱板50の第一の板状本体50aには、一対の第一ピン状突起50b(第一の係合突起)が立設されている。第一ピン状突起50bは、第一の板状本体50aの両端部に1つずつ配置され、軸方向の中央部が少し細くなった円柱状外形を有し、中心軸の位置で第一の板状本体50aに軸着され、円柱状の周方向に回転自在に起立している。
【0027】
下側横枠部12aの中央より左側の位置に取り付けられている第二のリンク部材52は、
図7に示すように、第一のリンク部材42と左右に線対称なリンク機構を形成している。具体的には、上記の第一の基板44、第一の短アーム46、第一の長アーム48、及び第一の着脱板50(第一の板状本体50a、一対の第二ピン状突起50b)に対応する部材であって、これらと左右に線対称な第二の基板54、第二の短アーム56、第二の長アーム58、及び第二の着脱板60(第二の板状本体60a、一対の第二ピン状突起60b)で構成されている。
【0028】
下側ステー20と障子14の下側横框部16aとの接続は、下側ステー20の着脱板50,60を下側横框部16aに取り付けられた下側着脱機構62に係合させ保持させることにより行われる。下側着脱機構62は、
図8(b),(c)に示すように、左右一対に設けられた2組の着脱具で構成され、下側横框部16aの右端部に取り付けられている一対の第一着脱金具64が第一の着脱具である。ここで、
図8(b)は構造を表すために、後述する第一及び第二のロック部74,86の両方を開いた状態を示し、
図8(c)は、第一及び第二のロック部74,86が閉じた状態を示している。
【0029】
第一着脱金具64は、
図9(a)に示すように、下側横框部16aに固定された本体66を有し、本体66の異なる位置に、2つのロック体68,70が回動可能に軸着されている。ロック体68は、略長方形の一端辺がU字状に切り込まれた形状であり、回動可能な範囲は、U字状の切り込みが外側に突出する角度(
図9(a)に示す状態)から、U字状の切り込みが内側に収まる角度(
図9(d)に示す状態)までであり、図示しないバネによって前者の角度に近づけるように付勢されている。
【0030】
ロック体70は、略四角形の一端辺であってロック体68に対向する側の端辺が山型に突出した形状であり、反対側の端辺の角部に第一のロック解除レバー72が設けられている。ロック体70の回動可能な範囲は、山型の突出部がロック体68側にまっすぐ向いている角度(
図9(a)の状態)から山型の突出部がロック体68から離れて接触できなくなる角度までであり、図示しないバネによって前者の角度に近づけるように付勢されている。
【0031】
図9(a)に示す一対の第一着脱金具64は、第一の着脱板50に立設された一対の第一ピン状突起50bに係合させることができ、一旦係合すると係合状態にロックされる。まず、
図9(b)に示すように、下側横框部16aの右端部を第一の着脱板50に近づけ、ロック体68のU字状の切り込みの内側に第一ピン状突起50bの側周面を差し込み、所定の力で押し込むと、
図9(c)に示すように、ロック体68がバネの付勢方向と逆向きに回動する。さらに、ロック体68の一部分がロック体70の山型の突出部の傾斜面を押圧しながら摺動し、ロック体70もバネの付勢方向と逆向きに回動する。その後、ロック体68の摺接部分がロック体70の山型の突出部を乗り越えると、ロック体70がバネの付勢によって初期の角度に戻り、ロック体68の摺接部分が山型の突出部の反対側の傾斜面に乗り上げて係止され、ロック体68が初期の角度に戻れず、
図9(d)、(e)に示すように、第一ピン状突起50bの側周面がロック体68,70に囲まれた状態にロックされる。
【0032】
ここで、第一ピン状突起50bの側周面を囲む部分(ロック体68のU字状の切り込みの部分、ロック体70の山型の突出部の部分)が第一のロック部74である。一対の第一のロック部74に一対の第一ピン状突起50bが係合して保持されると、個々の係合部に多少のクリアランスがあっても、異なる2箇所で保持しているので、障子14の下端部と第一の着脱板50との相対位置が確実に固定され、障子14の下側横框部16aに対する第一の着脱具50の角度がほぼ平行に維持される。
【0033】
なお、各第一ピン状突起50bを中心軸の位置で軸着し回動自在にしてあるのは、第一ピン状突起50bがロック体68のU字状の切り込みの内側に差し込んだ状態で、ロック体68がスムーズに回動できるようにするためである。したがって、第一ピン状突起50bが回動しなくてもロック体68がスムーズに回動できる場合は、第一ピン状突起50bを軸着せずに固着した構造にしてもよい。
【0034】
第一のロック部64aのロックの解除は、第一のロック解除レバー72を操作することによって簡単に行うことができる。
図9(d)に示すロック状態で、第一のロック解除レバー72を引っ張ってロック体70をバネによる付勢方向と反対方向に回動させ、ロック体70の山型の突出部がロック体68から離れる方向に移動させる。そして、ロック体70がロック体68の部分を係止できなくなる位置に達するとロックが解除され、ロック体68がバネの付勢によって初期の角度に戻る。そして、第一のロック解除レバー72を引っ張るのを止めると、ロック体70がバネの付勢によって初期の角度に戻り、
図9(a)に示す状態になる。
【0035】
図8(b),(c)に示す下側横框部16aの左端部に取り付けられている一対の第二着脱金具76が、第二の着脱具であり、第二着脱金具76は、
図10(a)〜(e)に示すように、第一着脱金具64と左右に線対称な構造である。具体的には、上記の本体66、ロック体68,70、第一のロック解除レバー72、及び第一のロック部74に対応する部材であって、これらと左右に線対称な構造の本体78、ロック体80,82、第二のロック解除レバー84、及び第二のロック部86で構成され、同様の動作を行うことができる。
【0036】
取り付け枠体12の上側横枠部12bに取り付けられている上側ステー22は、
図1に示すように、左右一対に設けられた2つのリンク部材88,90で構成されている。上側横枠部12bの中央より右側の位置に取り付けられている第三のリンク部材88は、第一のリンク部材42と上下に線対称な構造である。具体的には、上記の第一の基板44、第一の短アーム46、第一の長アーム48、及び第一の着脱板50(第一の板状本体50a、一対の第二ピン状突起50b)に対応する部材であって、これらと上下に線対称な第三の基板、第三の短アーム、第三の長アーム、及び第三の着脱板(第三の板状本体、一対の第三ピン状突起)で構成されている。
【0037】
上側横枠部12bの中央より左側の位置に取り付けられている第四のリンク部材90は、第二のリンク部材52と上下に線対称な構造である。具体的には、上記の第二の基板54、第二の短アーム56、第二の長アーム58、及び第二の着脱板60(第二の板状本体60a、一対の第二ピン状突起60b)に対応する部材であって、これらと上下に線対称な第四の基板、第四の短アーム、第四の長アーム、及び第四の着脱板(第四の板状本体、一対の第四ピン状突起)で構成されている。
【0038】
上側ステー22と障子14の上側横框部16bとの接続は、上側ステー22の2つの着脱板を上側横框部16bに取り付けられた上側着脱機構92に係合させ保持させることにより行われる。上側着脱機構92は、
図1に示すように、左右一対に設けられた2組の着脱具で構成され、上側横框部16bの右端部に取り付けられている一対の第三着脱金具94が第三の着脱具、左端部に取り付けられている一対の第四着脱金具96が第四の着脱具である。
【0039】
第三着脱金具94は、第一着脱金具64と上下に線対称に設けられ、具体的には、上記の本体66、ロック体68,70、第一のロック解除レバー72、及び第一のロック部74に対応する部材であって、これらと上下に線対称な構造の本体、2つのロック体、第三のロック解除レバー、及び第三のロック部で構成されて、同様の動作を行うことができる。
【0040】
第四着脱金具96は、第二着脱金具76と上下に線対称に設けられ、具体的には、上記の本体78、ロック体80,82、第二のロック解除レバー84、及び第二のロック部86に対応する部材であって、これらと上下に線対称な構造の本体、2つのロック体、第四のロック解除レバー、及び第四のロック部で構成され、同様の動作を行うことができる。
【0041】
すべり出し窓装置10は、下側ステー20と上側ステー22とが上下に線対称であり、下側着脱機構62と上側着脱機構92とが上下に線対称であり、しかも下側ステー20(第一のリンク部材42と第二のリンク部材52)、上側ステー22(第三のリンク部材88と第四のリンク部材90)、下側着脱機構62(一対の第一着脱金具64と第二着脱金具76)、及び上側着脱機構92(一対の第三着脱金具と第四着脱金具)がそれぞれ左右に線対称な構造になっている。つまり、第一のリンク部材42と第三のリンク部材が同一構造の部材であり、第二のリンク部材52と第四のリンク部材の同一構造の部材なので、リンク部材の種類は実質的には対称な構造の2種類となる。同様に、一対の第一着脱金具64と第三着脱金具が同一構造の部材であり、一対の第二着脱金具76と第四着脱金具が同一構造の部材なので、着脱金具の種類は実質的には対称な構造の2種類となる。
【0042】
障子14には、使用者が右開き又は左開きを選択する際に操作する選択操作部が設けられており、ここでは、右開きを選択する際の選択操作部は右側開閉用ハンドル26で、右開きを選択するとき、右側開閉用ハンドル26を内側に倒す操作(右回りに回動させる操作)を行う。また、左開きを選択する際の選択操作部は左側開閉用ハンドル34で、左開きを選択するとき、左側開閉用ハンドル34を内側に倒す操作(左回りに回動させる操作)を行う。
【0043】
右側開閉用ハンドル26には、上記の右側開閉用ハンドル26の動作を、第一着脱金具64の第一のロック解除レバー72及び第三着脱金具の第三のロック解除レバーに作用させるための右側ロック解除手段98が接続されている。右側ロック解除手段98は、右側開閉用ハンドル26を内側に倒す操作が行われたとき、自己の中心軸の周りを右回りに回動する右側回転盤98aと、右側回転盤98aの周端部の特定位置に一端が接続され、
図11に示すように、他端部が第一のロック解除レバー72に接続された右側下ワイヤ98bと、右側回転盤98aの中心軸を挟んで反対側の位置に一端が接続され、他端部が第三のロック解除レバーに接続された右側上ワイヤ98cとで構成されている。右側回転盤98aが右回りに回動すると、右側下ワイヤ98bが上向きに引っ張られ、
図12に示すように、その力が第一のロック解除レバー72に作用し、第一のロック部74のロックが解除される。同様に、右側上ワイヤ98cが下向きに引っ張られ、その力が第三のロック解除レバーに作用し、第三のロック部のロックが解除される。
【0044】
左側開閉用ハンドル34には、上記の左側開閉用ハンドル34の動作を、第二着脱金具76の第二のロック解除レバー84及び第四着脱金具の第四のロック解除レバーに作用させるための左側ロック解除手段100が接続されている。左側ロック解除手段100は、左側開閉用ハンドル34を内側に倒す操作が行われたとき、自己の中心軸の周りを左回りに回動する左側回転盤100aと、左側回転盤100aの周端部の特定位置に一端が接続され、他端部が第二のロック解除レバー84に接続された左側下ワイヤ100bと、左側回転盤100aの中心軸を挟んで反対側の位置に一端が接続され、他端部が第四のロック解除レバーに接続された左側上ワイヤ100cとで構成されている。左側回転盤100aが左回りに回動すると、左側下ワイヤ100bが上向きに引っ張られ、
図13に示すように、その力が第二のロック解除レバー84に作用し、第二のロック部86のロックが解除される。同様に、左側上ワイヤ100cが下向きに引っ張られ、その力が第四のロック解除レバーに作用し、第四のロック部のロックが解除される。
【0045】
次に、すべり出し窓装置10を開閉する際の動作について説明する。障子14が閉じられた状態で、下側ステー20は、
図5に示すように、第一及び第二のリンク部材42,52が閉じられており、下側着脱機構62は、
図8(c)に示すように、第一及び第二のロック部74,86が閉じてロックされている。つまり、第一のリンク部材42の第一ピン状突起50bが第一のロック部74に係合し保持され、第一の着脱板50が障子14の下側横框部16aの右側の位置に接続されている。同様に、第二のリンク部材52の第二ピン状突起60bが第二のロック部86に係合し保持され、第二の着脱板60が障子14の下側横框部16aの左側の位置に接続されている。上側ステー22と上側着脱機構92についても同様である。
【0046】
室内にいる使用者が、障子14の右側を開くため、右側開閉用ハンドル26を内側に倒す操作(右回りに回動させる操作)を行うと、
図4(c)に示すように、右側スライドバー28が上向きに移動し、右側係合ピン30と右側係合金具32とが離脱可能な状態になる。これに連動して、左側スライドバー36も上向きに移動し、左側係合ピン38と左側係合金具40とが離脱可能な状態になる。また、
図11、
図12に示すように、右側開閉用ハンドル26の動作が右側ロック解除手段100を通じて第一のロック解除レバー72及び第三のロック解除レバーに作用し、第一のロック部74及び第三のロック部のロックが解除され、障子14の上側及び下側横框部16a,16bが第一及び第三のリンク部材42,88から離脱可能な状態になる。
【0047】
一方、第二のロック部86及び第四のロック部はロックが解除されておらず、第二の着脱板60が障子14の下側横框部16aの左側の位置に接続され、第四の着脱板が障子14の上側横框部16bの左側の位置に接続されたままである。したがって、右側開閉用ハンドル26を内側に倒した状態で屋外に向かって押し出すと、
図2に示すように、障子14の左側が第二のリンク部材52及び図示しない第四のリンク部材により回動可能に支持され、右側を開くことができる。
【0048】
その後、障子14を閉じるときは、右側開閉用ハンドル26を内側に倒した状態で引き戻し、第一のリンク部材42の第一ピン状突起50bを第一のロック部74に係合させると共に、第三のリンク部材88の第三ピン状突起を第三のロック部に係合させる。そして、右側開閉用ハンドル26を内側に倒した状態から外側に戻す操作(左回りに回動させる操作)を行うことによって、上記と逆の動作が行われ、障子14が閉じられた状態に戻る。
【0049】
障子14の左側を開閉するときの動作は、右側を開閉するときの動作とほぼ同じであり、使用者が左側開閉用ハンドル34を操作することによって行うことができる。
【0050】
以上説明したように、すべり出し窓装置10によれば、シンプルな構造の下側ステー20、上側ステー22、下側着脱機構62、及び上側着脱機構92を組み合わせることにより、左右開きが可能なすべり出し窓装置を容易に得ることができる。また、選択操作部である右側及び左側開閉用ハンドル26,34を操作することによって、左右の開き方向を容易かつ安全に切り替えることができる。
【0051】
また、各部材が互いに対称な構造になっているので、第一及び第二のリンク部材42,52を第三及び第四のリンク部材88,90に転用したり、第一及び第二着脱金具64,76を第三及び第四着脱金具94,96に転用したりすることができ、使用部材の共通化を図ることができる。
【0052】
なお、本発明のすべり出し窓装置は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、前記下側ステー、前記上側ステー、前記下側着脱機構及び前記上側着脱機構は、それぞれ90°回転させた配置で、前記障子は水平方向の揺動軸を中心としてすべり出す構造でもよい。これにより、例えば天窓にこのすべり出し窓装置を取り付けて、任意の方向に傾斜した障子により、良好な換気用開口を形成することができる。
【0053】
その他、第一乃至第四のリンク部材を構成する短アーム、長アーム及び着脱板の形状や長さは、障子が取り付け枠体からすべり出す動きや角度、障子の大きさや重量、デザイン性等を考慮して自由に変更することができる。また、各着脱板に設けられる係合突起は、上記の第一及び第二ピン状突起50b,60bのように、互いに離れた位置に一対に設けた構造でもよいが、例えば、着脱板の特定位置に1つの突起を設ける構造にしてもよい。この場合、相手方の着脱具に係合し保持された状態で、各着脱板と障子の下側又は上側の端部との相対位置がしっかり固定されるように、相互に強く嵌合させる構造にしたり、係合突起の形状を、障子と平行に長い突条にしたりするとよい。
【0054】
第一乃至第四の着脱具のロック部及びロック解除レバーの構造は、第一乃至第四のリンク部材の各着脱板に設けられた係合突起の形態に合わせて変更することができる。また、各ロック解除レバーの構造に合わせて右側及び左側ロック解除手段や選択操作部の構造も変更することができる。例えば、上記のすべり出し窓10の右側及び左側ロック解除手段98,100は、右側下ワイヤ98b、右側上ワイヤ98b、左側下ワイヤ100b、及び左側上ワイヤ100cで各ロック解除レバーを所定方向に引っ張ってロックを解除するシンプルな構造であるが、各ロック解除レバーの構造や配置によってはワイヤで引っ張る構造にできないケースがあるので、その場合は、他の公知技術を用いて右側及び左側ロック解除手段を構成すればよい。
【0055】
選択操作部は、すべり出し窓装置10の場合、既存の右側及び左側開閉用ハンドル26,34を使用しているが、その他の形態に変更することができる。例えば、障子14の框16の側面に専用の選択操作用レバーを設け、選択操作用レバーを右向きに操作すると、右側ロック解除手段を通じて第一及び第三のロック部のロックが解除し、左向きに操作すると、左側ロック解除手段を通じて第二及びのロック部のロックが解除するようにしてもよい。
【0056】
下側ステーと上側ステーが線対称な構造であるというのは、障子が斜めに傾いたりすることなく、スムーズに開閉できることを意味しており、障子の開閉動作に直接影響しない部分(例えば、装飾用の凹凸の有無等)は、厳密に対称でなくてもよい。これは、下側着脱機構と上側着脱機構についても同様である。ただし、上記のように、使用部材の種類をできるだけ少なくしたい場合は、厳密に対称な構造にすることが好ましい。