(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、本発明は以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0011】
[第1の実施形態]
図1は、ロール紙等の用紙Pに印刷を行う印刷装置300と、印刷装置300に用紙Pを供給する用紙供給装置210と、印刷装置300から搬送された印刷後の用紙Pを巻取る媒体搬送装置としての巻取り装置100とを備える印刷システムの全体構成を説明する構成概略図である。本実施形態においては、用紙の巻取り動作の開始と停止を繰り返しながら印刷済みの用紙を巻取る機能を有する巻取り装置100を中心に説明する。
【0012】
印刷装置300は、例えば、電子写真方式、インクジェット方式、又はドットインパクト方式といった図示せぬ印刷エンジンを備える。用紙供給装置210から供給された用紙Pは、搬送ローラ31及び搬送ローラ30によって装置内を搬送される間に任意の情報が印刷エンジンによって印刷され、印刷済みの用紙Pは搬送ローラ30によって装置外部に搬送される。印刷装置300外部に搬送された用紙Pは、巻取り装置100が備えるテンション付与部材としてのテンションバー20、アイドルローラ19を介して巻取りローラ18により巻取られる。なお、搬送ローラ31と搬送ローラ30との間における用紙搬送経路には、ペーパーエンドを検出する媒体切れ検出部材としての用紙検出センサ32が設けられている。
【0013】
用紙供給装置210は、図中矢印y方向に回転可能に構成された供給ローラ24上にロール状にセットされた長尺媒体たる用紙Pを印刷装置300の搬送ローラ31に連続的に供給する。なお、用紙供給装置に対して本発明を適用した例については、第2の実施形態において説明する。
【0014】
巻取り装置100は、巻取り部材としての巻取りローラ18を図中矢印z方向に回転させることにより、印刷装置300の搬送ローラ30から搬送された用紙Pを巻取る。印刷装置300の搬送ローラ30と巻取りローラ18との間には、用紙Pに対して弛みを生じさせ、巻取りタイミングを生成するテンションバー20と、当該テンションバー20から巻取りローラ18に用紙Pを案内するアイドルローラ19とが設けられている。テンションバー20は用紙Pの搬送方向に対して垂直方向、すなわち、図中矢印Aで示す上下方向の所定範囲において摺動可能となるように構成されている。一般的に、印刷速度が一定であっても、巻取り速度は巻取りローラ18の巻取り径が大きくなればなるほど速くなる。この速度差に基づく用紙の巻取り不良、印刷品位の低下を防止するために、巻取り装置100はテンションバー20により速度差を吸収しながら用紙Pの巻取りを行う。具体的には、テンションバー20の摺動範囲には、テンションバー20の上下位置を検出するためのテンションバー位置検出部たるテンションバー第1位置センサ12、テンションバー第2位置センサ13、及びテンションバー第3位置センサ14が設けられており、巻取り装置100は、テンションバー20の上下位置を監視しながら、用紙Pの弛みが無くなれば(テンションバー20が上昇状態)、巻取り動作を停止し、用紙Pの弛みが大きくなれば(テンションバー20が下降状態)、巻取り動作を再開する動作を繰り返しながら、印刷済みの用紙Pを巻取る。
【0015】
次に、巻取り装置100のファームウェア構成について、
図2のブロック図を用いて説明する。
【0016】
巻取り装置100は、ハードウェア資源として、ROM11と、テンションバー第1位置センサ12と、テンションバー第2位置センサ13と、テンションバー第3位置センサ14と、巻取り開始スイッチ15と、巻取り停止スイッチ16と、巻取りモータ17とを備え、これらはCPU10に接続されている。
【0017】
CPU10は、本装置の構成主要素であり、ROM11に格納された各種プログラムを実行することにより当該プログラムに対応付けられた各機能を実現する。また、CPU10は、各種プログラムに対応づけられた各機能に基づき、テンションバー第1位置センサ12〜テンションバー第3位置センサ14、巻取り開始スイッチ15、巻取り停止スイッチ16、及び巻取りモータ17を制御する。
【0018】
ROM11は、CPU10が実現する機能として、テンション付与部材位置制御部として機能する主制御部111と、受信制御部112と、コマンド解析部113と、センサ制御部114と、モータ制御部115とを各種プログラムとして格納する。
【0019】
主制御部111は、本装置の動作を統括的に制御する。また、主制御部111は、センサ監視制御部120及び巻取りモータ制御部130を備える。センサ監視制御部120は、センサ制御部114を制御し、テンションバー第1位置センサ12〜テンションバー第3位置センサ14からの検出結果を主制御部111に出力させる。巻取りモータ制御部130は、モータ制御部115を制御し、巻取りモータ17を起動・停止させる。
【0020】
受信制御部112は、印刷装置300を含む外部上位装置から送信された制御コマンドを受信する。
【0021】
コマンド解析部113は、受信制御部112が受信した制御コマンドの解析を行う。主制御部111は、コマンド解析部113により解析された制御コマンドに基づき本装置の動作を制御する。
【0022】
センサ制御部114はセンサ監視制御部120からの指示に基づき、テンションバー第1位置センサ12〜テンションバー第3位置センサ14の駆動を制御する。
【0023】
モータ制御部115は、巻取りモータ制御部130からの指示に基づき、巻取りモータ17の駆動を制御する。
【0024】
テンションバー第1位置センサ12、テンションバー第2位置センサ13、及びテンションバー第3位置センサ14は、前述したように、センサ制御部114による制御に基づき、テンションバー20の上下位置を検出し、検出結果を主制御部111に出力する。テンションバー第1位置センサ12〜テンションバー第3位置センサ14としては、テンションバー20の上下位置を検出し、検出結果を主制御部111に出力することが可能であれば検出・出力形式に制限は無い。
【0025】
巻取り開始スイッチ15又は巻取り停止スイッチ16は、図示せぬ装置外筐に形成され、ユーザにより用紙Pの巻取り開始又は停止の入力を受け付けるスイッチである。
【0026】
巻取りモータ17は、モータ制御部115による制御に基づき、駆動・停止することで巻取りローラ18を回転・停止させる。
【0027】
図3は、テンションバー第1位置センサ12〜テンションバー第3位置センサ14による検出可能範囲を模式的に表した図であり、
図4は、テンションバー20の位置と巻取り動作の開始・停止との関係を表した表である。
【0028】
図3に示すように、本実施形態に係るテンションバー20は、摺動範囲としてArea1〜Area6内を移動する。本実施形態では、テンションバー20がArea1に位置する場合、すなわち、用紙Pの弛みが無くテンションバー20が最も上昇状態にある場合、全てのセンサはテンションバー20の位置を検出しない。このとき、
図4に示すように、巻取り動作は停止となる。
【0029】
テンションバー第1位置センサ12は、テンションバー20がArea2又はArea3の何れか位置する場合に、これを検出する。このとき、
図4に示すように、巻取り動作に変更はない。
【0030】
テンションバー第2位置センサ13は、テンションバー20がArea3〜Area5の何れか位置する場合に、これを検出する。このとき、
図4に示すように、テンションバー20がArea3又はArea4に位置する場合、巻取り動作に変更はなく、テンションバー20がArea5に位置する場合、巻取り動作は開始される。
【0031】
テンションバー第3位置センサ14は、テンションバー20がArea5又はArea6の何れか位置する場合に、これを検出する。このとき、
図4に示すように、巻取り動作は開始される。
【0032】
よって、本実施形態においては、テンションバー20がArea1に位置する場合には、巻取り動作は停止となり、テンションバー20がArea5又はArea6に位置する場合には、巻取り動作が開始されることになる。
【0033】
次に、本実施形態に係る動作について、
図5−1、
図5−2、
図6、
図7、
図8を用いて説明する。なお、
図5−1、
図5−2で説明する動作は
図6〜
図8で説明する例において共通する動作であり、
図5−1で示すA処理が
図6〜
図8のそれぞれのフローチャートで説明する動作である。
【0034】
まず、
図5−1のステップS10において、巻取り装置100の電源が投入されると、主制御部111は、初期設定動作等を実施後、ユーザにより巻取り開始スイッチ15が押下されるまで待機する。
【0035】
ユーザにより巻取り開始スイッチ15が押下されると(ステップS10 Yes)、主制御部111は、
図5−2で示す巻取り動作制御を開始し(ステップS11)、ユーザにより巻取り停止スイッチ16が押下されたか否かを確認する。
【0036】
ユーザにより巻取り停止スイッチ16が押下されていない場合(ステップS12 No)、主制御部111は、A処理を開始する。なお、
図6〜
図8で説明するA処理は後述する。
【0037】
一方、ユーザにより巻取り停止スイッチ16が押下された場合(ステップS12 Yes)、主制御部111は、巻取り動作制御を停止する(ステップS13)。
【0038】
ここで、ステップS11における巻取り動作制御について
図5−2を用いて説明する。
【0039】
巻取り動作制御が開始されると、主制御部111は、巻取りモータ17が停止中であるか否かを確認する。巻取りモータ17が停止中である場合(ステップS110 Yes)、主制御部111は、テンションバー第1位置センサ12〜テンションバー第3位置センサ14からの検出結果を主制御部111に出力させるようセンサ監視制御部120に指示を与える。指示を受けたセンサ監視制御部120は、センサ制御部114を制御し、テンションバー第1位置センサ12〜テンションバー第3位置センサ14からの検出結果を主制御部111に出力させる。
【0040】
テンションバー20の位置がArea5、またはArea6であることを、テンションバー第2位置センサ13、またはテンションバー第3位置センサ14が検出した場合(ステップS111 Yes)、主制御部111は、用紙Pに弛みが発生し、テンションバー20が下降状態であると判断し、巻取りモータ制御部130に巻取りモータ17を起動するよう指示を与える。指示を受けた巻取りモータ制御部130は、モータ制御部115を制御し、巻取りモータ17を起動させる(ステップS112)。
【0041】
一方、テンションバー20の位置がArea5、またはArea6以外の位置であることを、テンションバー第1位置センサ12、またはテンションバー第2位置センサ13が検出した場合(ステップS111 No)、主制御部111は、巻取りモータ17を起動させず、印刷がさらに進行し、テンションバー20が下降するまで待機する。
【0042】
ところで、巻取りモータ17が起動中である場合(ステップS110 No)、主制御部111は、テンションバー第1位置センサ12〜テンションバー第3位置センサ14からの検出結果を主制御部111に出力させるようセンサ監視制御部120に指示を与える。指示を受けたセンサ監視制御部120は、センサ制御部114を制御し、テンションバー第1位置センサ12〜テンションバー第3位置センサ14からの検出結果を主制御部111に出力させる。
【0043】
テンションバー第1位置センサ12〜テンションバー第3位置センサ14からの検出結果が得られない場合、主制御部111は、テンションバー20の位置がArea1に到達し(ステップS113 Yes)、用紙Pの弛みが解消され、テンションバー20が最上昇状態(摺動範囲内において最上部)であると判断し、巻取りモータ制御部130に巻取りモータ17を停止するよう指示を与える。指示を受けた巻取りモータ制御部130は、モータ制御部115を制御し、巻取りモータ17を停止させる(ステップS114)。
【0044】
一方、テンションバー第1位置センサ12〜テンションバー第3位置センサ14の何れかのセンサから検出結果が得られた場合、主制御部111はテンションバー20の位置がArea1に到達していないと判断し(ステップS113 No)、巻取り動作を継続させる。
【0045】
次に、
図5−1で示したA処理について
図6〜
図8を用いて説明する。前述したように、用紙供給装置210においてペーパーエンドとなった状態で搬送を継続した場合、用紙後端が印刷装置300の搬送ローラ30を抜けた時点で用紙Pの押さえが利かなくなる。このとき、テンションバー20が最下降位置以外に位置していた場合、その自重によりテンションバー20の降下が発生する。
【0046】
これを防止するために、本実施形態においては、
図6で示すケース1(ステップS14)、
図7で示すケース2(ステップS15)、又は
図8で示すケース3(ステップS16)の何れかの方式を実施するものとする。
【0047】
まず、
図6で示すケース1(ステップS14)について説明する。ケース1では、巻取り装置100の用紙搬送経路上流側に位置する印刷装置300に設置されている用紙検出センサ32がペーパーエンドを検出した場合、巻取り装置100にペーパーエンドの通知を行う。この通知は、制御コマンド、もしくは巻取り装置100と印刷装置300とが信号線で接続されている場合は、その信号を変化させることによって行ってもよい。
【0048】
図6において、まず、印刷装置300からペーパーエンドの通知があり(ステップS140 Yes)、巻取りモータが起動中である場合(ステップS141 Yes)、主制御部111は即座に巻取りモータ制御部130に巻取りモータ17を停止するよう指示を与える。指示を受けた巻取りモータ制御部130は、モータ制御部115を制御し、巻取りモータ17を停止させる(ステップS142)。
【0049】
以後、主制御部111は、ユーザにより巻取り開始スイッチ15が押下されるまで、巻取り動作制御を行わない。
【0050】
次に、
図7で示すケース2(ステップS15)について説明する。ケース2では、テンションバー20の位置が最上昇位置(摺動範囲内における最上部)から最下降位置(摺動範囲内における最下部)に下降するまでに要する用紙搬送量を予め巻取り装置100から印刷装置300へ制御コマンドにて通知する。印刷装置300側では、用紙検出センサ32がペーパーエンドを検出後、用紙後端が搬送ローラ30に到達するまでの残り搬送量が巻取り装置100からの通知により得られた搬送量となった場合、制御コマンド、もしくは巻取り装置100と印刷装置300とが信号線で接続されている場合は、その信号を変化させることで停止要求を巻き取り装置100へ通知する。
【0051】
図7において、まず、印刷装置300から巻取り停止要求通知があった場合(ステップS150 Yes)、主制御部111は巻取りモータ17が起動中であるか否かを確認する。巻取りモータ17が起動中であった場合(ステップS151 Yes)、主制御部111は、テンションバー20の位置の確認を行うことなく、即座に巻取りモータ制御部130に巻取りモータ17を停止するよう指示を与える。指示を受けた巻取りモータ制御部130は、モータ制御部115を制御し、巻取りモータ17を停止させる(ステップS152)。
【0052】
以後、主制御部111は、ユーザにより巻取り開始スイッチ15が押下されるまで、巻取り動作制御を行わない。
【0053】
ケース1では、印刷装置300の用紙検出センサ32がペーパーエンドを検出すると、即座に巻取り動作は停止する。しかしながら、用紙検出センサ32に配置位置によっては、巻取り動作停止後に印刷装置300から送られる用紙Pが長くなり蛇腹となる可能性がある。これに対して、ケース2では、印刷装置300の用紙検出センサ32がペーパーエンドを検出すると、一定量紙送りがなされた後に巻取り動作が停止するため、用紙Pが蛇腹となることを防ぐことができる。
【0054】
次に、
図8で示すケース3(ステップS16)について説明する。ケース3では、印刷装置300が用紙ジャム等の発生により緊急停止を行った場合、巻取り装置100に対しても緊急停止を通知する場合を想定したものである。印刷装置300が緊急停止を行った場合、当該印刷装置300側はこれ以上用紙搬送を行わない為、テンションバー20が上昇位置にあった場合、用紙搬送によりテンションバー20を下降させることができない。その為、ケース3では、テンションバー20を下降させるために、巻取りモータ17を逆回転させ、一旦巻取った用紙Pを戻すことによりテンションバー20を下降させる。
【0055】
図8において、まず、印刷装置300から緊急停止指示があった場合(ステップS160 Yes)、主制御部111は巻取りモータ17が起動中であるか否かを確認する。巻取りモータ17が起動中であった場合(ステップS161 Yes)、主制御部111は、即座に巻取りモータ制御部130に巻取りモータ17を停止するよう指示を与える。指示を受けた巻取りモータ制御部130は、モータ制御部115を制御し、巻取りモータ17を停止させる(ステップS162)。
【0056】
そして、主制御部111は、テンションバー第1位置センサ12〜テンションバー第3位置センサ14からの検出結果を主制御部111に出力させるようセンサ監視制御部120に指示を与える。指示を受けたセンサ監視制御部120は、センサ制御部114を制御し、テンションバー第1位置センサ12〜テンションバー第3位置センサ14からの検出結果を主制御部111に出力させる。
【0057】
テンションバー20の位置がArea6以外であった場合(ステップS163 Yes)、主制御部111は、巻取りモータ制御部130に巻取りモータ17を逆回転させるよう指示を与える。指示を受けた巻取りモータ制御部130は、モータ制御部115を制御し、巻取りモータ17を逆回転させる(ステップS164)。
【0058】
そして、テンションバー20がArea6まで下降すると(ステップS165 Yes)、主制御部111は、巻取りモータ制御部130に巻取りモータ17を停止するよう指示を与える。指示を受けた巻取りモータ制御部130は、モータ制御部115を制御し、巻取りモータ17を停止させる(ステップS166)。
【0059】
以上のように、本実施形態に係るケース1及びケース2の制御では、印刷装置300がペーパーエンドを検出してからペーパーエンドが印刷装置300の搬送ローラ30から外れるまでの間にテンションバー20を最下降位置に移動させる。また、ケース3の制御では、巻取りモータ17を逆回転させることで一旦巻取った用紙Pを戻すことにより、テンションバー20を最下降位置に移動させる。これにより、ペーパーエンドや印刷装置300において緊急停止が発生したとしても、テンションバー20の降下を防止することができ、装置への損傷を防ぐことができる。
【0060】
[第2の実施形態]
第2の実施形態では、本発明を用紙供給装置に適用した例について説明する。なお、本実施形態に係る用紙供給装置は、対の搬送ローラにより用紙Pを挟持搬送する点が第1の実施形態で説明した巻取り装置100の構成とは異なるが、その他の構成は、巻取り装置100と略同等とすることができるため、以下の説明では、同一の部材に関しては同一の符号を付してその説明を省略する。
【0061】
図9−1及び
図9−2は、印刷装置300に対して用紙Pを供給する用紙供給装置200及び用紙供給装置200'の構成を説明する構成概略図である。用紙供給装置200'は用紙搬送経路中にペーパーカッター27を備え、当該ペーパーカッター27の用紙搬送経路下流側に用紙検出センサ21'が設けられている点が用紙供給装置200とは異なる。
【0062】
図9−1に示す用紙供給装置200は、図中矢印y方向に回転可能に構成された供給部材としての供給ローラ24上にロール状にセットされた用紙Pを、搬送部材としての搬送ローラ25a,25b,25c,25dにより挟持搬送する。搬送ローラ25aと搬送ローラ25bとの間には用紙Pのペーパーエンドを検出する媒体切れ検出部としての用紙検出センサ21が設けられている。また、搬送ローラ25bと搬送ローラ25cとの間、搬送ローラ25dと印刷装置300の搬送ローラ31との間には、それぞれ固定ローラ(アイドルローラ)26a及び固定ローラ26bがそれぞれ設けられている。
【0063】
そして、搬送ローラ25cと搬送ローラ25dとの間には、用紙Pに対して弛みを生じさせ、供給タイミングを生成するテンションバー20が設けられており、第1の実施形態と同様に、当該テンションバー20は、自重により図中矢印Aで示す上下方向に摺動可能となるように構成されている。また、テンションバー20の摺動範囲には、テンションバー20の上下位置を検出するためのテンションバー第1位置センサ12、テンションバー第2位置センサ13、及びテンションバー第3位置センサ14が設けられており、用紙供給装置200は、テンションバー20の上下位置を監視しながら、用紙Pの弛みが無くなれば(テンションバー20が上昇状態)、用紙搬送を停止し、用紙Pの弛みが大きくなれば(テンションバー20が下降状態)、用紙搬送を再開する動作を繰り返しながら、用紙Pを印刷装置300に供給する。
【0064】
図9−2に示す用紙供給装置200'は、
図9−1で示した用紙供給装置200の構成に加え、搬送ローラ25aと搬送ローラ25bとの間に用紙Pを所定長で切断するペーパーカッター27が設けられている。ペーパーカッター27は後述するペーパーカッターモータ23に接続されており、ペーパーカッター制御部150の指示に基づき、用紙Pを切断する。ペーパーカッター27の用紙搬送経路下流側には、ペーパーカッター27により切断された用紙Pの用紙後端を検出する媒体切れ検出部としての用紙検出センサ21'が設けられている。
【0065】
次に、用紙供給装置200及び用紙供給装置200'のファームウェア構成について、
図10のブロック図を用いて説明する。前述したように、本実施形態に係る用紙供給装置は、第1の実施形態で説明した巻取り装置100の構成と略同構成とすることができるため、異なる箇所について説明するものとする。
【0066】
用紙供給装置200及び用紙供給装置200'は、ハードウェア資源として、ROM11'と、テンションバー第1位置センサ12と、テンションバー第2位置センサ13と、テンションバー第3位置センサ14と、用紙検出センサ21、用紙検出センサ21'と、搬送モータ22と、ペーパーカッターモータ23とを備え、これらはCPU10に接続されている。
【0067】
ROM11'は、CPU10が実現する機能として、主制御部111'と、受信制御部112と、コマンド解析部113と、センサ制御部114'と、モータ制御部115'とを各種プログラムとして格納する。
【0068】
主制御部111'は、本装置の動作を統括的に制御する。また、主制御部111'は、センサ監視制御部120、搬送モータ制御部140、及びペーパーカッター制御部150を備える。搬送モータ制御部140は、モータ制御部115'を制御し、搬送モータ22の起動・停止させる。ペーパーカッター制御部150は、ペーパーカッターモータ23の駆動を制御する。
【0069】
センサ制御部114'はセンサ監視制御部120からの指示に基づき、テンションバー第1位置センサ12〜テンションバー第3位置センサ14の駆動を制御するとともに、用紙検出センサ21、用紙検出センサ21'からの検出結果を主制御部111'に出力する。
【0070】
モータ制御部115'は、搬送モータ制御部140からの指示に基づき、搬送モータ22の駆動を制御する。
【0071】
用紙検出センサ21、用紙検出センサ21'は、センサ制御部114'からの指示に基づき用紙搬送経路を通過する用紙Pのペーパーエンドを検出し、検出結果を主制御部111'に出力する。用紙検出センサ21、用紙検出センサ21'としては、用紙Pのペーパーエンドを検出し、検出結果を主制御部111'に出力することが可能であれば、検出・出力形式に制限はない。
【0072】
搬送モータ22は、モータ制御部115'による指示に基づき、起動・停止することで、搬送ローラ25a〜25dの何れか又は全ての搬送ローラを回転・停止させる。
【0073】
ペーパーカッターモータ23は、ペーパーカッター制御部150による指示に基づき、駆動・停止することで、ペーパーカッター27を駆動・停止させる。
【0074】
次に、本実施形態に係る動作について、
図11−1、
図11−2、
図12、
図13を用いて説明する。なお、
図11−1、
図11−2で説明する動作は
図12、
図13で説明する例において共通する動作であり、
図11−2で示すB処理が
図12、
図13のそれぞれのフローチャートで説明する動作である。なお、以下の説明では、
図9−1で示した用紙供給装置200、
図9−2で示した用紙供給装置200'において共通して説明可能な動作は、用紙給紙装置200を一例として説明する。
【0075】
まず、
図11−1のステップS20において、用紙供給装置200の主制御部111'は、印刷装置300から用紙Pの搬送開始の要求が有るか否かを監視する。受信制御部112を介して用紙Pの搬送要求を受けると(ステップS20 Yes)、主制御部111'は、搬送モータ制御部140に搬送モータ22を駆動させるよう指示を与える。指示を受けた搬送モータ制御部140は、モータ制御部115'を制御し、搬送モータ22を起動させる(ステップS21)。
【0076】
次に、
図11−2において、搬送モータ22を起動させた主制御部111'は、搬送状態監視処理を実施する。具体的には、主制御部111'は、用紙Pの搬送中の状態において(ステップS22 Yes)、
図12、
図13で説明するB処理を行う。一方、用紙Pが搬送中の状態でない場合(ステップS22 No)、主制御部111'は搬送状態監視処理を終了する。
【0077】
ところで、第1の実施形態では、用紙Pにペーパーエンドが発生した場合、巻取り動作を停止することで用紙Pに弛みを発生させることにより、テンションバー20を降下させる構成について説明したが、本実施形態に係る用紙供給装置200では、用紙Pに弛みを発生させるためには、印刷装置300での用紙搬送速度(引っ張り速度)よりも速い速度で用紙Pを搬送させる必要がある。その為、
図12で示すケース4(ステップS23)では、用紙Pにおけるペーパーエンドを検出した場合、搬送ローラによる用紙送り速度を速め、用紙後端が搬送ローラから外れる前にテンションバー20を降下させる例について説明する。
【0078】
図12において、まず、用紙供給装置200の用紙検出センサ21がペーパーエンドを検出すると(ステップS230 Yes)、主制御部111'は、搬送モータ制御部140に搬送モータ22の駆動速度を増加するよう指示を与える。指示を受けた搬送モータ制御部140は、モータ制御部115'を制御し、搬送モータ22の駆動速度を速める(ステップS231)。
【0079】
そして、主制御部111'は、用紙検出センサ21がペーパーエンドを検出した時点からの用紙搬送量をカウントし、用紙後端が搬送ローラ25cを抜けたタイミングを確認する。用紙後端が搬送ローラ25cを抜けると(ステップS232 Yes)、主制御部111'は、搬送モータ制御部140に搬送モータ22の駆動を停止するよう指示を与える。指示を受けた搬送モータ制御部140は、モータ制御部115'を制御し、搬送モータ22の駆動を停止する(ステップS233)。これは、用紙後端が搬送ローラ25cを抜ける前に搬送モータ22を停止してしまうと、再度印刷装置300により用紙Pが引っ張られ、テンションバー20が上昇することを防ぐためである。
【0080】
ところで、上記ステップS231において、用紙供給装置200の搬送モータ制御部140は、
図9−1で示した用紙検出センサ21から搬送ローラ25cまでの範囲において用紙Pの加速後の搬送速度が一定となるように搬送モータ22の駆動速度を制御する。一方、用紙供給装置200'の搬送モータ制御部140は、
図9−2で示した用紙検出センサ21'から搬送ローラ25cまでの範囲において用紙Pの加速後の搬送速度が一定となるように搬送モータ22の駆動速度を制御する。これは、用紙供給装置200'がペーパーカッター27を備え、切断された用紙Pの用紙後端が検出される位置が異なるためである。そして、用紙供給装置200'では、搬送速度を増加する範囲が用紙供給装置200に比べて短いことから、ペーパーエンド検出後の用紙供給装置200'における搬送速度は、用紙供給装置200における搬送速度よりも速い搬送速度とすることが好ましい。
【0081】
なお、搬送モータ22による回転制御を受ける搬送ローラとしては、搬送ローラ25a〜25dの全てとしてもよいが、ステップS231におけるペーパーエンド検出後の搬送速度制御を行うことができるのであれば、搬送ローラ25aを除くどの搬送ローラ25b〜25dを搬送モータ22による回転制御の対象としてもかまわない。
【0082】
次に、
図13で示すケース5(ステップS24)について説明する。ケース5では、印刷装置300が用紙ジャム等の発生により緊急停止を行った場合、用紙供給装置200に対しても緊急停止を通知する場合を想定したものである。印刷装置300が緊急停止を行った場合、当該印刷装置300側はこれ以上用紙搬送を行わない為、テンションバー20が上昇位置にあった場合、用紙搬送によりテンションバー20を下降させることができない。その為、ケース5では、テンションバー20が第1の実施形態で説明したArea6に位置していない場合には、当該テンションバー20がArea6に下降するまで用紙搬送を継続した後、搬送モータ22を停止させる。
【0083】
図13において、まず、印刷装置300から緊急停止指示があった場合(ステップS240 Yes)、主制御部111'はテンションバー第1位置センサ12〜テンションバー第3位置センサ14からの検出結果を主制御部111'に出力させるようセンサ監視制御部120に指示を与える。指示を受けたセンサ監視制御部120は、センサ制御部114'を制御し、テンションバー第1位置センサ12〜テンションバー第3位置センサ14からの検出結果を主制御部111に出力させる。
【0084】
テンションバー20の現在位置がArea6以外であった場合(ステップS241 Yes)、主制御部111'は、搬送モータ制御部140に対して搬送モータ22の駆動を継続するよう指示を与える。そして、テンションバー20がArea6に下降した場合(ステップS242 Yes)、主制御部111'は、搬送モータ制御部140に対して搬送モータ22の駆動を停止するよう指示を与える。指示を受けた搬送モータ制御部140は、モータ制御部115を制御し、搬送モータ22の駆動を停止する(ステップS243)。
【0085】
一方、テンションバー20の現在位置がArea6であった場合(ステップS241 No)、主制御部111'は、搬送モータ制御部140に対して搬送モータ22の駆動を停止するよう指示を与え搬送モータ22の駆動を停止させる。
【0086】
以上のように、本実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、ペーパーエンドや印刷装置300において緊急停止が発生したとしても、テンションバー20の降下を防止することができ、装置への損傷を防ぐことができる。
【0087】
本発明は、用紙に対して弛みを生じさせ、巻取りタイミングを生成するテンションバーを備えた巻取り装置、用紙供給装置等の媒体搬送装置に適用することができる。