【実施例】
【0091】
実施例1:CD27試薬及び方法
CD27結合モノクローナル抗体を作製及び試験するために、完全長のヒトCD70及びヒトCD27、並びにヒトCD27の細胞外ドメイン(ECD)を表すタンパク質コンストラクトを作製した。
【0092】
ヒトCD27(配列番号149)は、シグナルペプチド(残基1〜20)、細胞外ドメイン(ECD、残基21〜191)、膜貫通ドメイン(TM、残基191〜212)、及び細胞内ドメイン(ICD、残基213〜260)で構成される1型膜貫通タンパク質である。ヒトCD70(配列番号2)は、N末端から、細胞内ドメイン(ICD、残基1〜17)、膜貫通ドメイン(TM、残基18〜38)、及び細胞外ドメイン(ECD、残基39〜193)で構成される193アミノ酸長の2型膜貫通ポリペプチドである。完全なCD70コード配列を、HEK 293細胞の表面上でクローン的に発現させた。
【0093】
mAb ELISA及びProteOnに基づく直接結合アッセイのために、CD27 ECDのアミノ酸1〜121を、C末端にHis6−タグペプチドを有するHEK 293細胞で一時的に発現させ、金属イオンクロマトグラフィーによって精製した。ファージパニング及びELISAアッセイのために、C末端にHis6−タグを有するECDのアミノ酸1〜173をHEKで発現させ、金属イオンクロマトグラフィーによって、次いで、Superdex 75におけるサイズ排除クロマトグラフィーによって精製した。これらCD27タンパク質を両方とも、タンパク質におけるアミノ酸残基を標的とするNHS−エステルケミストリーを用いてビオチン化した。結晶化のために、C末端にHis6−タグを有するアミノ酸1〜101をバキュロウイルス系で発現させ、Proteose,Inc.による金属イオンクロマトグラフィーによって精製した。マウスの免疫のために、CD27−Fcタンパク質をR&D systemsから購入した。幾つかの研究のために、完全なCD27コード配列をHEK 293細胞の表面上でクローン的に発現させた。
【0094】
ヒトCD27及びヒトCD70 cDNAクローンは、Open Biosystemsから注文した。標準的な分子生物学の技術を用いて、発現コンストラクトを作製した。簡潔に述べると、CD27及びCD70遺伝子のオープンリーディングフレームをPCRで増幅し、制限エンドヌクレアーゼによる切断及びライゲーションを介して、又はリガーゼ非依存性クローニング(LIC)を介して哺乳類の発現ベクターにクローニングした。完全長CD27及びCD70遺伝子を発現ベクターにクローニングし、哺乳類細胞の表面上でクローン的に発現させた。CD27の細胞外ドメインを哺乳類発現ベクターにクローニングし、ヘキサヒスチジンテールとともにHEK293細胞で一時的に発現させた。
【0095】
実施例2:CD27中和抗体の作製
マウス抗ヒトCD27抗体を、Kohler及びMilstein(1975)のハイブリドーマ法によって作製した。10匹の12〜14週齢のC3H/HeJマウスをCharles River Laboratoriesから購入した。1日目に、最終体積100μLの、各0.33×10
5ユニットのマウスインターフェロンアルファ及びベータ(Biosource)と組み合わせた50μgのHu CD27 Fc(R&D Systems)を用いて、マウスの尾の付け根(BOT)に皮下免疫(SQ)した。2日目及び3日目に、マウスにインターフェロンをSQ BOT注射した(1日目と同じ用量)。14日目(融合のために脾臓を回収する4日前)に、PBS中50μgの抗マウスCD40アゴニストMab(R&D Systems、MAB440)と組み合わせた50μgのHu CD27−FcをSQ BOTでマウスに追加免疫した。
【0096】
力価評価のために、捕捉相EIAを実施した。簡潔に述べると、4℃で一晩、重炭酸バッファ中0.1マイクログラムのヤギ抗ms Fc(Jackson Immunotech)でプレート(Nunc−Maxisorp)をコーティングした。ブロッキング及び洗浄工程後、血清の希釈物を添加し、プレートを室温で30分間インキュベートした。洗浄工程後、ブロッキングバッファ中0.25μg/mLのビオチン化Hu CD27−ECDと共に室温で30分間プレートをインキュベートし、室温で30分間、0.4% BSA/PBS中1;40,000希釈したHRP標識ストレプトアビジン(Jackson Immunotech)でプロービングした。上記の通りプレートを洗浄し、次いで、OPD(Sigma fast tabs)基質溶液を添加し、室温で10分間インキュベートし、25μL/ウェルで4N硫酸を添加することによって基質発色を停止させ、490nmで吸光度を測定した。
【0097】
非分泌BALB/cマウス骨髄腫融合パートナーFOの細胞バンクをATCCから購入した(# CRL−1646)。1本の凍結バイアル瓶のFO細胞を解凍し、10%(v/v)FBS(Hyclone)を添加したGlutamax(商標)(変法)培地(Invitrogen)を含むDMEMに再懸濁させた。細胞を増殖させ、凍結保存し、Charles River Laboratoriesによって無菌且つマイコプラズマを含まないとみなされた。また、C1833A(Centocor)細胞株をこの融合で用いた。この細胞株は、FO細胞株におけるCHOP遺伝子の発現をノックダウンすることによってインハウスで誘導したので、ジェネテシンによる選択下で成長させる必要がある。10%(v/v)FBS(Hyclone)及び500μg/mLのジェネテシン(Gibco)を添加したGlutamax(商標)(変法)培地を含むDMEM中で成長させたことを除いて、上記FOの通り細胞を処理した。FO及びC1833A細胞株は、両方とも、融合前に細胞を同期させた。簡潔に述べると、1.5〜2×108個の細胞を、0.25%(v/v)FBS(Hyclone)を添加したGlutamax(商標)(変法)培地を含むDMEM 180mLに播種し、37℃で13時間インキュベートした。最終FBS濃度が10%になるように更に20mLのFBSを添加し、使用前に37℃で更に13時間インキュベートした。C1833A細胞は、細胞同期プロセス全体を通して常にジェネテシン選択下であった。骨髄腫細胞をPBSで洗浄し、計数し、Guava Viacountソフトウェアを介して生存率を測定(>78%)した後、融合させた。
【0098】
融合の日、動物をCO
2窒息により安楽死させた。脾臓を無菌的に摘出し、抗生物質(PSA)(Sigma)を含有する冷リン酸緩衝生理食塩水(PBS)10mLに浸漬した。
【0099】
脾臓細胞の単一細胞懸濁液を調製し、RBC溶解バッファ(Sigma)を用いてRBC溶解に供した。洗浄した細胞を、製造業者の指示書に従って、抗マウスThy1.2、抗マウス/ヒトCD11b、及び抗マウスIgM磁気ビーズ(それぞれ、Miltenyi Biotec #130−049−101、130−149−601、及び130−047−301)を用いて磁気選別のために標識し、次いで、Depleteプログラムを実行することによってAutoMacs Pro装置を用いて選別した。非標識(形質芽球B細胞リッチ)及び標識細胞画分を両方とも回収し、次いで、Guava PCAを介して計数した。陽性標識細胞を廃棄した。FO及びC1833A融合パートナーの両方に融合させるために、非標識細胞を半分に分けた。De St.Grothの方法に従って、マウス骨髄腫細胞対生存脾臓細胞の比1:1で融合を実施した(J Immunological Methods.35:1〜21.1980)。簡潔に述べると、脾臓及び骨髄腫細胞を混合し、ペレット化し、50mLのPBSで1回洗浄した。ペレットを、30秒間かけて37℃で1mLのポリエチレングリコール(PEG)溶液(2gのPEG分子量4000、2mLのDMEM、及び0.4mLのDMSO)に再懸濁させた。次いで、細胞/融合混合物を、穏やかに撹拌しながら約60秒間37℃の水浴に浸漬した。1分間かけて37℃のDMEMをゆっくりと添加することによって融合反応を停止させた。融合細胞を室温で5分間静置し、次いで、150×gで5分間遠心分離した。次いで、細胞を、HAT培地[20% FBS、5% Origen、25μg/mLのゲンタマイシン(Sigma)、並びにHAT(100μMのヒポキサンチン、0.4μMのアミノプテリン、及び16μMのチミジン(Sigma))を添加したGlutamax(商標)(変法)を含むDMEM]に再懸濁させ、96ウェル平底ポリスチレン組織培養プレート(Corning # 3997)又は〜2.25μg/mLのAF488ヒトCD27(Janssen Research & Development、LLC)を含有するメチルセルロース培地(StemCell Technologies,MediumD cat# 03804)に播種した。プレートを、7% CO
2とともに7〜10日間、加湿した37℃のインキュベータ内でインキュベートした。ClonepixFLを利用して又は白色光顕微鏡下でスクリーニングするために、メチルセルロースプレートからシングルコロニーを選択した。
【0100】
実施例3:組み換えMabの生物活性
マウス抗体由来の結合ドメインのCD27に結合する能力及びCD27の特定の生物活性を遮断する能力を、下記の通り様々なインビトロアッセイを用いて分析した。
【0101】
固相EIAを用いて、ヒトCD27に結合することができる抗体についてハイブリドーマ上清をスクリーニングした。プレート(Nunc−Maxisorp #446612)を、4℃で一晩、重炭酸バッファ中4μg/mLのFabヤギ抗huFc(Jackson #109−006−098)で一晩かけてコーティングした。洗浄せずに、室温で1時間、PBS中0.4%(w/v)ウシ血清アルブミン(BSA)200μLでウェルをブロッキングした。0.2%(w/v)Tween20を含有する0.15Mの生理食塩水で洗浄した後、0.4% BSA/PBS中huCD27−Fc 50μLを室温で1時間かけてプレートに添加した。再度洗浄した後、50μLの未希釈ハイブリドーマ上清を、室温で30分間、コーティングされたプレート上でインキュベートした。プレートを3回洗浄し、次いで、室温で30分間、1:10,000希釈したヤギ抗マウスFc HRP(Jackson # 115−036−071)50μLとともにインキュベートした。プレートを再度洗浄し、力価評価のために上記の通り現像した。ハイブリドーマMabの相対結合能を評価するために、連続希釈したハイブリドーマ上清(5μg/mLの出発濃度に正規化)を含むMaxisorp 384ウェルプレート(NUNC 464718)を用いて類似のアッセイを実施した。このアッセイで386個の陽性ハイブリドーマが同定された。
【0102】
386個全てのCD27特異的ハイブリドーマを、ヒトCD70を内因的に発現することが見出されているIM−9細胞、B−リンパ芽球様細胞株による生化学的結合アッセイを用いてhuCD27のhuCD70に対する結合を阻害する能力についてスクリーニングした。Maxisorpプレート(VWR # 62409−314)を、250ナノグラム(ng)/mLの組み換えヒトCD27/Fc(R&D Systems,Cat# 382−CD)でコーティングし、4℃で一晩インキュベートした。次の日、ブロッキングバッファ(Pierce,Cat#37543)でプレートをブロッキングし、次いで、Ca++又はMg++を含まないPBS、0.01% Tween−20を含有する洗浄バッファIで洗浄した。コントロール(hCD27に対するマウスMAB、R&D Systems、Cat# MAB382;マウスIgG1アイソタイプコントロール、R&D Systems、Cat#MAB 002;マウスIgG2aアイソタイプコントロール、R&D Systems,Cat# MAB003)を各プレートにおいてインキュベートした。50μL/ウェルのハイブリドーマサンプル又はコントロールを、50μL/ウェルの回収したIM−9細胞、ヒトB−リンパ芽球様細胞株(ATCC、CCL−159)と混合し、振盪せずに室温で1時間インキュベートした。インキュベートの最後に、プレートを洗浄バッファIIで洗浄して、全ての未結合細胞を除去し、次いで、50μL/ウェルのCell Titer Glo試薬(Promega、Cat# G7571)で溶解させた。振盪しながら10分間インキュベートした後、プレートをEnvision(PerkinElmer、2102 Multilabel reader)で読み取った。発生した発光シグナルは、存在するATPの量に比例し、CD27結合によって捕捉されたウェル中に存在する生存細胞の数と直接相関する。生化学的結合アッセイの結果に基づいて、約50%のCD27特異的クローンが中和されていた。
【0103】
中和クローンの中で重複を除くために、競合結合アッセイを実施して抗体を競合群に分類した。このアッセイでは、ハイブリドーマ上清を、パネルにおける各陽性ハイブリドーマを用いて捕捉及び検出試薬の両方として個々に評価した。互いに有効な捕捉/検出試薬を形成する抗体は、恐らく、CD27タンパク質における空間的に離れているエピトープを認識するので、両抗体を同時に標的タンパク質に結合させることができる。パネル全体にわたって類似の活性パターンを呈するクローンの群は、恐らく、類似のエピトープに結合する。したがって、様々な群からクローンを選択することによって、様々なエピトープを認識する抗体が提供された。簡潔に述べると、384ウェルのNunc Maxisorpプレート(464718)を、4℃で一晩、コーティングバッファ中ヤギ抗マウスFc(JIR115−005−071)でコーティングした。次いで、室温で30分間、PBS中0.4% BSAでプレートをブロッキングした。この工程及び全ての後続工程では、PBS、0.02% Tween−20でプレートを洗浄する。20μLの上清を含む各ウェルの列(上清あたり1列)(初期スクリーニングでは未希釈上清を用いたが、サブクローンの再スクリーニングについては、上清(supes)を2μg/mLのmAbに正規化した)をコントロール(マウス抗huCD27、R&D Systems,Cat# MAB382;マウスアイソタイプコントロールCat#555439、Becton−Dickenson)と共に、次いで、室温で30分間インキュベートした。洗浄した後、25μLの非標識Hu CD27−ECD−His−tagをPBS+10%マウス血清(Bioreclamationマウス血清CD−1 lot#MSEBREC.18565)中で0.3(又は正規化した濃度については0.8)μg/mLに調製し、全てのウェルに添加し、次いで、室温で30分間インキュベートし、次いで洗浄した。各上清をシングルカラムに滴下し、以下の通り調製した混合物25μLとともに室温で30分間インキュベートした:(上清をヤギ抗マウスFc HRP(Jackson 115−036−008)とともにプレインキュベート、150μLの1:1000ヤギ抗マウスFc HRPを各1000μLの上清(一次スクリーニングの場合)又は2μg/mLに調整した上清600μL当たり90μLの1:2000(サブクローンの再スクリーニングの場合)と混合することによって)。室温で30分間インキュベートした後、1mL当たり200μLの100%正常マウス血清を添加し、室温で更に30分間インキュベートした。プレートを洗浄し、次いで、100μL/ウェルのクエン酸リン酸基質溶液(0.1Mクエン酸及び0.2Mリン酸ナトリウム、0.01% H2O2、及び1mg/mL OPD)とともに室温で15分間インキュベートした。25μLの4N硫酸を添加することによって基質の発色を停止させ、自動プレートリーダーを用いて490nmで吸光度を測定した。このビニングアッセイにより、huCD27抗原における非重複結合部位を認識する3つの群が同定された。3つの群全てから選択された抗体を、抗体産生、精製、及び機能アッセイにおける更なる試験のためにスケールアップした。
【0104】
細胞のシグナル伝達の阻害
CD70のCD27に対する結合は、転写因子NF−kβの下流の活性化を導くシグナル伝達を誘導する。NF−kβレポーターアッセイは、更に抗体を特性評価するために確立された。アッセイは、以下の2つの方法で実行した:(1)CD70によって誘導されるCD27の活性化の中和による抗体拮抗作用の評価、及び(2)CD70とのライゲーションなしのCD27シグナル伝達の活性化による抗体作動作用の評価。HEK−293細胞を、NF−kβプロモータの制御下で、ヒトCD27及びルシフェラーゼコンストラクトの両方を含有するDNA合計36ngを用いてトランスフェクトした。HEK−293トランスフェクタントを、96ウェルプレート内の40μLのFreestyle培地(Gibco)に、1ウェル当たり5×10
4細胞になるようにプレーティングした。CD27中和ハイブリドーマmAbの希釈物を、アッセイプレートの1:3希釈した最終濃度50μg/mLのFreestyle培地(Gibco)に添加し、プレートを1時間37℃(95% O
2/5% CO
2)でインキュベートした。ハイブリドーマmAbのCD70:CD27シグナル伝達を中和する能力を試験するために、一定期間(terminally)放射線照射した(4000rad)HEK−293E CD70エピソーム細胞を、CD27トランスフェクタント細胞の数の20%になるようにアッセイプレートに添加した。ハイブリドーマmAbのアゴニスト活性を試験するために、CD70エピソーム細胞の添加を省略した。アッセイプレートを37℃(95% O
2/5% CO
2)で一晩インキュベートし、製造業者の指示書に従ってSteady−Glo(登録商標)Luciferase Assay System(Promega)を用いて発色させた。CD70刺激の非存在下でCD27受容体の用量依存的アゴニスト活性をほとんど引き起こすことなくCD70媒介性CD27シグナル伝達を用量依存的に遮断する4つのCD27中和ハイブリドーマmAb:2177、C2186、C2191、及びC2192を、更なる特性評価のために選択した。NF−kβレポーター遺伝子アッセイにおけるCD27に対するIM−9細胞の結合及びCD70媒介性シグナル伝達の遮断についてのIC
50を、これら4つの抗体について表1に要約する。NF−kβレポーター遺伝子アッセイにおけるアゴニズム活性は、最大試験濃度の抗体におけるCD70刺激の非存在下の無関係のアイソタイプコントロール抗体(ラットEMPタンパク質に対するマウスIgG1)と比べたCD27シグナル伝達の増加倍数として示す。
【0105】
CD27に対する親和性
25℃における単量体可溶性CD27について抗体C2177、C2186、C2191、及びC2192のK
DをBiacoreによって測定し、表1に報告する。BIACORE 3000(BIAcore,Inc.)表面プラズモン共鳴(SPR)機器においてアッセイを実行した。0.005%界面活性剤(ポリソルベート20)を含有するダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(pH 7.4)においてサンプルを調製した。ヤギ抗マウスFc特異的抗体(Jackson Immunoresearch laboratories Prod # 115−005−071)を、カルボキシメチルデキストランでコーティングされた金表面(CM−5チップ、Biacore)に共有結合させた。固定化前に、チップを50mMのNaOH、100mMのHCl、及び0.1%ドデシル硫酸ナトリウムで前処理し、前処理と前処理との間に脱イオン水を注入した。抗体を10mMの酢酸ナトリウムバッファ(pH 4.5)で希釈し、アミンカップリング化学についての製造業者の指示書を用いてチップのカルボキシメチル化デキストラン表面に結合させた。表面上に残留する反応基を、エタノールアミンHCLを使用して不活化した。Fcドメインを介してmAbをセンサ表面に捕捉した。漸増濃度(0.6〜150nM、4倍希釈系列)で注入したヒトCD27ECDの会合を3分間モニタリングし、解離を10分間モニタリングした。捕捉表面のベースラインへの再生を、100mMのリン酸の3秒パルスを2回用いて最適化した。Scrubberソフトウェアバージョン1.1g(BioLogic Software)を用いてデータを処理した。データのダブルレファレンスサブトラクション(Double reference subtraction)を実施して、シグナル及び機器のノイズに対するバッファの寄与を補正した。処理したデータの動態解析をBiaevaluation 4.0.1ソフトウェア(GE Healthcare Bio−Sciences,Uppsala,Sweden)を用いて実施した。結合プロファイルは、1:1結合モデルによって説明され、これはCD27の一価結合を示す。
【0106】
【表1】
1 固定化CD27に対するIM−9細胞結合のmAb阻害についてのIC
50
2 レポーター遺伝子アッセイにおけるmAb阻害についてのIC
50
3 アイソタイプコントロール抗体と比べたレポーター遺伝子シグナルにおける倍数増加として測定した、CD70の非存在下における50ug/mLのmAbのアゴニスト活性。
【0107】
細胞増殖の阻害
抗CD3+抗CD28抗体を含む培養物において最適以下に活性化されたT細胞の増殖は、T細胞において発現しているCD27のCD70とのライゲーションによって強化される。4つのマウス中和抗体を、CD70の存在下においてT細胞増殖を阻害する能力及びCD70の非存在下において増殖を誘導する能力について評価した。凍結CD4+T細胞は、AllCells,LLCから購入した。細胞を解凍し、10% FBS、1% L−グルタミン、及び1%ペニシリン−ストレプトマイシンを含有するIMDM培地に入れた。細胞をプレーティングする前に、抗CD3(OKT3)抗体を4℃で一晩かけてPBS中1μg/mLでU底プレートにコーティングした。細胞を計数し、1×10
6細胞/mLの濃度にし、1×10
5細胞/ウェルでプレーティングした。可溶性抗CD28を、1ウェル当たり1μg/mLで二次活性化シグナルとして添加した。ヒトCD70又はベクターのみ(偽)でトランスフェクトした、放射線照射した(6000rad)HEK細胞を、2×10
4細胞/mL(20%)で適切なウェルに添加した。細胞を3日間刺激し、0.9μCiのチミジン[メチル−3H]を全てのサンプルウェルに添加し、前記細胞を18〜24時間インキュベートした。刺激から4日目に、PE Filtermate Harvesterを用いて細胞をフィルタープレートに収集した。プレートを乾燥させ、30μLのMicroScintTM−20を全てのサンプルウェルに添加した。プレートをPE TopCount NXTで読み取り、データをCPMとして収集した。抗体C2177は、CD70媒介性T細胞増殖の用量依存的な阻害を示し、CD70の非存在下において非常に弱い内因性アゴニスト活性を示す(
図1)。C2186、C2191、及びC2192抗体についても同様の結果が観察された。これら抗体についてのIC
50及び最大阻害率(%)を表2に報告する。CD70ライゲーションの非存在下において一貫した増殖の刺激を示した抗体はなく、これは、内因性アゴニスト活性が存在しないことを示す。
【0108】
更に、C2177、C2186、C2191、及びC2192抗体は、CSFEアッセイで測定したとき、CD70媒介性T細胞増殖の用量依存的な阻害を示し、CD70刺激の非存在下では増殖に対する効果はなかった。凍結CD3+T細胞は、AllCells,LLCから購入した。細胞を解凍し、10% FBS、1%L−グルタミン、及び1%ペニシリン−ストレプトマイシンを含有するIMDM培地に入れた。細胞を2.5mM CFSE(Invitrogen)で予め標識し、FBSでクエンチし、T細胞培地で洗浄した。CFSEは、細胞に受動的に拡散する色素であり、細胞内アミンと結合した際に高度に蛍光を発する。細胞分裂の際、各娘細胞は、親細胞のCFSE標識の半分を含有するので、異なるCFSE強度を有する細胞の数を追跡することによって細胞増殖をモニタリングすることができる。細胞の濃度を1×10
6細胞/mLにし、1×10
5細胞/ウェルでプレーティングした。細胞をプレーティングする前に、抗CD3(OKT3)抗体を4℃で一晩かけてPBS中0.5μg/mLでU底プレートにコーティングした。可溶性抗CD28を、1ウェル当たり0.1μg/mLで二次活性化シグナルとして添加した。ヒトCD70又はベクターのみ(偽)でトランスフェクトした、放射線照射した(6000rad)HEK細胞を、2×10
4細胞/ウェル(20%)で適切なウェルに添加した。細胞を4日間刺激し、FACS解析によって解析して、様々な強度レベルのCFSE標識を含有する分裂細胞を計数する。
【0109】
形質芽球分化の阻害
一次ヒトB細胞を用いた形質芽球分化アッセイにおいて、CD27中和抗体mAbについても試験した。正常ドナーの末梢血(AllCellsから入手)から陰性選択したCD19+ヒトBリンパ球を、1μg/mLの抗CD40抗体(クローンMAB89、Abcam)及び100ng/mLのインターロイキン21(Invitrogen)又は1ug/mLの可溶性ヒト組み換えCD40リガンド及び2ug/mLの「リガンド用エンハンサー」(両方ともAlexis Biochemicals)及び100ng/mLのインターロイキン21の存在下で、1ウェル当たり10
5個のB細胞で、96ウェルプレートにおいて、6日間培養した。CD27中和ハイブリドーマ又はアイソタイプコントロール抗体を、2×10
4個の放射線照射された(6000rad)CD70発現HEK 293細胞又は偽トランスフェクトされたHEK 293細胞の存在下又は非存在下で添加した。CD27中和ハイブリドーマmAb及び一致するアイソタイプコントロールを、25、2.5、及び0.25μg/mLで用いた。6日目に、細胞サンプルをフローサイトメトリーによって分析し、形質芽球の画分を前方散乱/高、IgDマイナス、CD38明、CD20低として同定した。CD27中和mabの効果を、偽トランスフェクトされた細胞を含有する対応するB細胞培養物における形質芽球頻度に対して正規化した、CD70発現細胞及びハイブリドーマmAbを含有するB細胞培養物における形質芽球頻度として計算した。2.5μg/mLのC2177、C2186、C2191又はC2192mAbによる阻害率(%)を表2に示す。CD70刺激の非存在下におけるアゴニスト活性は、これらmAbのいずれについても観察されなかった。
【0110】
【表2】
【0111】
実施例4:エピトープマッピング及びグループ化
より慎重に初期ビニングを評価するために、精製中和mAbの一部及びCD27中和抗体、MAB 382(R&D Systems)を用いて競合アッセイを実施した。簡潔に述べると、室温で2時間かけて、1ウェル当たり5μL(10μg/mL)のCD27−Fcキメラタンパク質(R&D Sysytems、Cat# 382−CD)を、MSD HighBind plate(Meso Scale Discovery,Gaithersburg,MD)にコーティングした。5%のMSDブロッカーAバッファ(Meso Scale Discovery,Gaithersburg,MD)を各ウェルに添加し、室温で2時間インキュベートした。プレートを0.1M HEPESバッファ(pH 7.4)で3回洗浄し、次いで、10nMの標識CD27抗体と様々な濃度の競合抗体(1nM〜2μM)との混合物を添加した。抗体をMSD Sulfo−Tag(商標)NHS−エステル、タンパク質の一級アミン基にカップリングして安定なアミド結合を形成するアミン反応性N−ヒドロキシスクシンイミドエステルで標識した。室温で穏やかに振盪しながら2時間インキュベートした後、プレートを0.1M HEPESバッファ(pH 7.4)で3回洗浄した。MSD Read Buffer Tを蒸留水で希釈(4倍)し、150μL/ウェルの体積で分注した。MSDマイクロプレートの電極表面で電気化学刺激が開始された際に光を発するSulfo−Tag標識を通して電気化学発光を検出するSECTOR Imager 6000を用いてプレートを分析した。
【0112】
競合試験により、表3に要約する抗体について3つの競合群が定義され、これは、初期ビニングアッセイを確認するものである。C2179、C2192及びMAB382が、1つの群を構成し;C2177、C2182、C2186、及びC2193は、第2の群であり;C2191は、別の群を構成する。
【0113】
【表3】
【0114】
実施例5:X線結晶解析によるエピトープ及びパラトープの同定
抗体C2177及びC2191の詳細なエピトープ及びパラトープを、三量体複合体としてCD27 ECD断片(残基1〜101)を有する対応するFabの共結晶化、及びX線結晶解析による構造決定によって決定した。C2177 Fab及びC2191 FabのHigタグ付キメラバージョン(マウス可変ドメイン、ヒト定常ドメイン)をHEK293細胞で発現させ、親和性及びサイズ排除クロマトグラフィーを用いて精製した。ヒトCD27のHisタグ付ECD断片(残基1〜101)を、アニオン交換クロマトグラフィーによって更に精製した。1:1.25:1.25のモル比でCD27と過剰のFabとを混合することによって三元複合体CD27:C2177 Fab:C2191 Fabを調製した。複合体を4℃で2時間インキュベートし、サイズ排除クロマトグラフィーを用いて非複合体化種から分離し、20mMのTris(pH 8.5)、250mMのNaClにおいて12mg/mLに濃縮した。複合体の結晶化を、20℃のシッティングドロップ(sitting drops)における蒸気拡散法によって実施した。24% PEG3350、0.2M塩化アンモニウム、0.1M Trisバッファ(pH 8.5)から複合体の結晶を得た。X線データ収集については、1つの結晶を、20%グリセロールを添加した結晶化溶液を含有する抗凍結剤溶液に数秒間浸漬し、100Kの窒素流中で急速冷凍した。回折データを、Saturn 944 CCD検出器及びX−stream 2000冷凍システム(Rigaku)を備えるRigaku MicroMaxTM−007HF X線発生装置で、0.25°ー画像当たり2分間曝露で240°の結晶回転にわたって収集し、プログラムXDSを用いて処理した(Kabsch W.2010.Acta Crystallogr.D66:125〜132)。結晶は、以下の単位格子パラメータを有する単斜空間群P21に属する:a=141.1Å、b=53.0Å、c=143.4Å、α=90°、β=112.2°、γ=90°。
【0115】
三元複合体の結晶構造を3.5Åの解像度で決定し、26%の結晶学的R因子まで精密にした。C2177及びC2191のFabは、空間的に異なる非重複エピトープでC27に結合する(
図2)。C2177 Fabは、CD27のN末端(細胞表面から遠位)部分に結合する。エピトープは、700Å2をカバーし、9つの残基K5、S6、P8、H11、W13、G16、K17、H36、R37を含む(
図3)。パラトープは、抗原と接触している(4Å以内)抗体残基として定義される。C2177パラトープは、VL由来の5つの残基(Y31、Y36、Y53、N57、N96)及びVH由来の9つの残基(S31、W33、Y52、D55、D57、Y101、Y102、D104、Y105)を含む(
図3)。6つのCDR全てが、抗原認識に関与している。H36及びR37は、エピトープの中心残基である。これらは、VLのY31及びVHのY102に対して積み重ねられ、H336もVHのD104に対して塩橋を形成する。
【0116】
C2191 Fabは、「側」面でCD27に結合し(
図2)、表面の800Å2をカバーする。エピトープは、10個の残基:F28、D43、P44、I46、P47、G48、V49、H60、S63、H66を含む。C2191パラトープは、VL由来の7つの残基(Y34、F36、Y53、L54、R96、L98、W100)及びVH由来の8つの残基(S31、Y32、Y50、N57、Y59、R100、G101、N102)を含む(
図4)。抗体−抗原相互作用は、CD27の残基44〜49とVL CDRの疎水性パッチとの間の疎水性相互作用によって支配される。
【0117】
C2177及びC2191エピトープの位置が異なることは、これら抗体の作用機序が異なることを示唆する。C2191は、恐らく、CD27の「側」面における重複エピトープについてCD70 ECDと直接競合する。C2177抗体は、対照的に、同じエピトープについて競合するのではなく、CD27及びCD70を有する細胞のアプローチを妨げる。この観察結果は、C2191は、可溶性CD70 ECDのCD27への結合を妨げるが、C2177は妨げないという事実によって支持される。
【0118】
実施例6:ヒトリンパ球応答の抗体調節
免疫不全マウスモデルNOD/SCID−IL2Rγ
null(NSG)マウスは、T細胞応答によるヒト免疫系コントロールの局面を研究するために開発された(Markus G Manz & James P Di Santo Renaissance for mouse models of human hematopoiesis and immunobiology Nature Immunology 10,1039〜1042(2009))。ヒトPBMCの免疫低下(NSG)マウスへの養子移入を使用して、ヒト細胞移植及び/又は増殖に対する抗CD27抗体の効果を評価した。このモデルは、抗体産生及びT細胞媒介応答に対する標的ヒトCD27の効果を評価することを可能にする。
【0119】
抗体C2177及びC2191を、細胞移入の時点、続いて、3週間の間1週間に2回投与した。21日目に、マウスを屠殺し、細胞を血液及び脾臓から精製し、次いで、フローサイトメトリーによって特性評価した。CTLA4−Ig(Orencia,BMS)を、免疫抑制についてのポジティブコントロールとして含めた。ヒト細胞移植/増加を、血液及び脾臓サンプル中のヒトCD45
+の存在を評価することによって測定した。
【0120】
マウスを念入りにモニタリングし、動物福祉指針に従ってXGVH症状に基づいて屠殺の時間を決めた。抗CD27処理の効果を評価するために用いた実験情報は、以下を含んでいた:体重(週2回)、XGVHの観察可能な徴候(週2回)、例えば、体位、活性レベル、毛づくろい、皮膚病変(特に、目及び耳の周囲)、1〜5のスコアシステムを用いる、ヒト細胞サブセットの絶対数、並びに(1)注入されたヒトPBMC、(2)マウスPB(週1回)及び(3)脾臓及び骨髄のフローサイトメトリー解析を用いる活性化状態;肝臓、腎臓、肺、及び脾臓等の標的器官におけるヒト浸潤のレベルを決定するためのELISA、並びに屠殺時、組織学又は免疫組織化学を用いる血清、脾臓、及びBM中の合計ヒトIg、IgM、及びIgGの測定。
【0121】
処理群は、以下の通りであった:
1.PBMC(2000万〜4000万細胞/マウス、i.p.)
2.PBMC+CTLA4−Ig(10mg/kg)
3.PBMC+アイソタイプコントロール抗体、2×/週、3週間
4.PBMC+抗CD27抗体、2×/週、3週間
【0122】
10mg/kgの抗CD27 mAb、C2177、及びC2191(ヒトIgG
4(ala/ala,ser−>pro)スカフォールドにキメラ化したハイブリドーマ抗体)を投与したマウスは、PMBC単独、又は血液若しくは脾臓サンプルから単離したPMBC中アイソタイプコントロールと比べて、統計的に有意に少ないCD45
+細胞を有していた。
【0123】
実施例7:C2177及びC2191Mabのヒトフレームワーク適応
抗体C2177及びC2191からヒトFRに抗原特異性を移入させるために用いた抗原結合部位及び領域を、Raghunathan G.による米国特許出願公開第20090118127 A1号(2009年)に概説の通り再分類した。簡潔に述べると、抗原結合領域は、様々な用語を用いて定義されている(Almagro and Fransson,Front Biosci 13:1619〜1633,2008に考察されている)。用語「相補性決定領域(CDR)」は、配列の変動性に基づいている(Wu and Kabat,J.Exp.Med.132:211〜250,1970)。V
Hに3つ(H−CDR1、H−CDR2、H−CDR3)及びV
Lに3つ(L−CDR1、L−CDR2、L−CDR3)の6つのCDRが存在する(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.,1991)。「超可変領域」、「HVR」、又は「HVL」は、Chothia及びLeskによって定義されている通り、構造中における可変である抗体可変ドメインの領域を指す(Chothia and Lesk,Mol.Biol.196:901〜917,1987)。VHに3つ(H1、H2、及びH3)及びVLに3つ(L1、L2、及びL3)の6つのHVRが存在する。
【0124】
HFA法では、非ヒト抗体の特異性をヒトFR(HFR)に移入するために標的とされる領域は、V
HのCDR−1に対応する領域を除いて、Kabat(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.,1991)によって定義されているCDRであるこの領域の場合、CDRとHVLとの組み合わせ(延長したV
HのCDR−1)を非ヒト抗体からヒトFR(表30、31、34、35に提供)に移入する。更に、より短い移入されたCDR−H2を含む変異体(Kabat−7と呼ばれる[Raghunathan G.米国特許出願公開第20090118127 A1号(2009年)])を作製し、試験する。
【0125】
ヒトFRの選択
抗原結合部位には含まれないV領域の領域として定義されるヒトFRを、機能的ヒト生殖系列IGHV、IGKV、IGKJ、及びIGHJ遺伝子のレパートリーから選択した。ヒト生殖系列遺伝子配列のレパートリーは、IMGTデータベース(Kaas、et al.,Nucl.Acids.Res.32,D208〜D210,2004;Lefranc M.−P et al.,Nucl.Acids Res.,33,D593〜D597,2005)をサーチし、2007年10月1日現在で全ての「01」アレルをコンパイルすることによって得た。このコンパイルから、重複する遺伝子(アミノ酸レベルで100%同一)及び不対システイン残基を有するものをコンパイルから取り除いた。
【0126】
HFRについてのヒト配列の初期選択は、FR−1〜3並びにH−CDR−1及びH−CDR−2を含むマウスV
H領域の全長に対するヒトIGHV生殖系列遺伝子の配列類似性に基づいていた。次の段階では、CDRの長さ、及びマウス配列のCDRとヒト配列のCDRとの間の配列類似性の両方を考慮したスコアを用いて、選択されたヒト配列に順位序列をつけた。標準的な突然変異マトリクス、例えば、BLOSUM 62置換マトリクス(Henikoff and Henikoff,Proc Natl Acad Sci U S A.89,10915〜9,1992)を、マウス配列のCDRとヒト配列のCDRとのアラインメントを採点するために用い、CDRループに挿入及び/又は欠失が存在していた場合、大きなペナルティを適用した。FR−4は、IGHJ生殖系列遺伝子とマウス抗体C2177及びC2191配列との配列類似性に基づいて選択した(Kaas,et al.,Nucl.Acids.Res.32,D208〜D210,2004;Lefranc M.−P et al.,Nucl.Acids Res.,33,D593〜D597,2005)。類似の手順を用いて、V
LについてヒトFRを選択した。IGVK、生殖系列遺伝子を、FR 1〜3及びL−CDR1〜3を選択するために用いた。IGJK生殖系列遺伝子を、FR−4を選択するために用いた。
【0127】
配列基準に加えて、Fv断片についての3Dホモロジーモデルを、Accelrys、Inc製のプログラムスイートにおけるからModeler(Sali and Blundell.J.Mol.Biol.234:779,1993)を用いて構築した。このモデルを、CDRの特性評価及び発現性の傾向評価を含むHFR変異体の分析に利用した。HFR変異体を選択するための更なる検討事項は、露出しているメチオニン及びトリプトファン残基の数を最小化し、潜在的なN−グリコシル化部位を除去し、インシリコで最高の発現プロファイルを有するヒト生殖系列を支持することであった(de Wildt,J.Mol.Biol.185:895,1999)。
【0128】
経路1のフレームワーク適応及びC2177の最適化のために、6つのV
H及び4つのV
LHFR変異体がライブラリに含まれていた。V
H及びV
L HFR変異体をコンビナトリアルに対合させて、全てのHFR変異体をC2177の対応物V領域+親C2177自体と対合させる24個のHFR変異体対+10個のコントロールを得、合計35の組み合わせが得られた。C2191についても同様に、5つのV
H及び4つのV
L HFR変異体をコンビナトリアルに対合させて、合計30個の変異体について、C2191の対応物V領域+親C2191親自体と対合した全てのHFR V変異体を組み合わせて20個のHFR+9個のコントロールを得た。選択された可変ドメインをコードしているDNAを標準的な方法を用いて組み換えて、ヒトIgG1及びカッパ定常領域を有する完全MAbを組み立てた。得られるC2177の参照キメラ抗体(M40と命名)は、可変ドメインH7及びL18を含んでいた。対応するC2191のキメラ抗体(M41と命名)は、可変領域H10及びL20を含んでいた。mAbを、48ウェルプレートにおいて、HEK293E細胞で一時的に発現させた。培養物から得られた上清流体を、トランスフェクションの96時間後に発現及び結合活性について試験した。分泌されたmAbの発現レベルを、Octet技術を用いて評価して、ProteinAバイオセンサーに対する抗体結合の速度を測定した。公知の抗体濃度の標準的なサンプルに対する比較によって、発現レベルを定量した。100μg/mLから始まる同一アイソタイプの抗体の1:2連続希釈物からなる8点標準曲線を構築した。バイオセンサーをスペント培地で10分間水和させ、標準及び未知サンプルの結合速度を2分間測定した。5パラメータ重み付け用量応答等式及び初期傾斜結合速度アルゴリズムを用いてデータを解析した。発現が>1μg/mLであるサンプルをスペント培地で1μg/mLに希釈し、一点ELISAを用いてスクリーニングした。このELISAでは、96ウェル黒色maxisorpプレートを、4℃で一晩、炭酸−重炭酸バッファ(pH 9.4)で希釈した3μg/mLのヤギ抗ヒトIgG FC 50μLでコーティングし、次いで、洗浄バッファ(0.05% Tween−20を含むPBS)で3回洗浄し、300μLのStartingBlock(Thermo Scientific)溶液で1時間ブロッキングし、次いで、前述の通り洗浄した。サンプル又は標準をスペント培地で100ng/mLに希釈し、振盪しながら1時間室温で50μLをアッセイプレートに添加した。プレートを2回洗浄し、50μL/ウェルのHisタグ付ヒトCD27 ECDを、アッセイバッファ(1% FBS及び0.05% Tween−20を含むPBS)で希釈した60ng/mLで添加し、室温で1時間インキュベートした。洗浄後、アッセイバッファで1:2000希釈した50μL/ウェルのQiagenペルオキシダーゼコンジュゲート化ペンタヒスチジンを添加し、振盪しながら室温で1時間インキュベートした。BM ChemiLum基質(BM Chemilum,POD,Roche)を、製造業者の指示書に従って混合し、最後の洗浄後に50μLをプレートに添加した。10分後、プレートをPerkin Elmer Envision Readerで読み取った。
【0129】
C2177コンビナトリアルライブラリーをスクリーニングした結果は、全てのV領域が様々な強度でCD27に結合することを示した。幾つかのHFR変異体からは、親C2177よりも高い結合シグナルが得られたが、他は、親と同程度か又は親よりも低い結合を示した。全てのVLが、検出可能なレベルで抗原に結合し、許容可能であるが、親よりも低いレベルで発現したHFR変異体の結合に影響を与えなかった。24個のC2177HFR抗体(VH、VL組み合わせ)は、CD27結合及び>1μg/mLの発現を示した。
【0130】
C2191コンビナトリアルライブラリーをスクリーニングした結果は、1つを除いて全てのVHが様々な強度でCD27に結合することを示した。このVHとの対合を除いて、全てのVLは、CD27への結合を示した。幾つかのHFR変異体からは、親C2177よりも高い結合シグナルが得られたが、他は、親と同程度か又は親よりも低い結合を示した。17個のC2191 HFR抗体(VH、VL組み合わせ)は、CD27結合及び>1μg/mLの発現を示した。
【0131】
ELISAによって測定したCD27についての相対結合親和性に基づいて、パイロットスケールの発現及び精製のために15個のC2177及び11個のC2191変異体を選択した。パイロットスケールの発現は、750mLの体積でCHO−S細胞において一時的に行った。回収した上清をプロテインAクロマトグラフィーで精製し、精製タンパク質を、それらの親和性及び機能活性について評価した。
【0132】
HFRC 2177ヒトMAb変異体の親和性は、ProteOn XPR36タンパク質相互作用アレイシステム(Biorad)を用いて表面プラズモン共鳴(SPR)によって測定した。CD27の会合及び解離の速度を各変異体について測定した。アミンカップリング化学についての製造業者の指示書を用いて、GLCチップ(Biorad)の表面にヤギ抗ヒトIgG(Fc)抗体を共有結合させることによって、バイオセンサー表面を調製した。約5,000RU(応答単位)の抗体を固定化した。速度実験を、25℃でランニングバッファ(PBS、0.01% P20、0.01% BSA)中で実施した。300nMで始まるヒトCD27 ECDの1:3連続希釈物をランニングバッファで調製した。約350 RUのmAbを、センサチップの各チャンネルに捕捉した。アイソタイプが一致している抗体コントロールをチャンネル6に固定化し、レファレンス表面として用いた。mAbの捕捉後、3分間、30μL/分で抗原を注入(会合相)し、次いで、10分間バッファを流した(解離相)。チップ表面を、100μL/分で0.85%リン酸を注入することによって再生した。機器のソフトウェアにおいてデータを処理した。分析物の注入についてのレファレンスを引いた曲線からバッファ注入によって作成した曲線を減じることによって、レファレンスデータのダブルレファレンスサブトラクションを実施した。データの動態解析は、グローバルフィットを用いる1:1 Langmuir結合モデルを用いて実施した。各mAbの結果を、K
a(オン合速度)、K
d(オフ速度)、K
D(平衡解離定数)、及び活性率の形式で報告した。C2177 HFR変異体の親和性は、親M40 mAbに類似しており、全ての変異体についてK
Dが3倍未満の変化を示した。同様に、HFR C2191ヒトmAb変異体の親和性は、親M41 mAbと2倍未満の差を示した。
【0133】
ルシフェラーゼレポーターアッセイにおけるNFkBのC70媒介性誘導の阻害によって、HFR変異体の生物活性を測定した。HEK細胞をNFkB誘導性ルシフェラーゼ発現ベクターpGL4−32−NFkB−Luc2(Promega)でトランスフェクトし、CD27発現プラスミド又は空ベクターをFreestyle発現培地(Gibco,#12338)中で一晩インキュベートした。次の日、細胞を、40μL及び50,000細胞/ウェルで96ウェル培養プレートにプレーティングした。次いで、40μLの抗体又はコントロールを、30μg/mLで始めてインウェル(in-well)濃度で終わる1:3の連続希釈物を用いて細胞に添加し、1〜2時間インキュベートした。このインキュベート中、刺激用にCD70エピソーム細胞を調製する。簡潔に述べると、標準的な細胞培養技術を用いて接着細胞を再懸濁させ、25μg/mLのマイトマイシンCとともに1時間インキュベートして、細胞増殖を停止させた。インキュベート後、CD70+細胞を培地で洗浄し、希釈し、10,000細胞/ウェルで40μLを添加した。プレートを一晩インキュベートした。次の日、製造業者の指示書に従ってSteady Glo試薬(Promega)を調製し、1ウェル当たり120μLを添加した。振盪しながら20分間室温でプレートをインキュベートした。Perkin Elmer Envision Readerで発光を測定した。C2177 HFR変異体のIC
50は、互いに及びM40親MAbと類似しており、0.11nM〜0.21nMの範囲であった。C2191 HFR変異体のIC
50も互いに及びM41親と類似しており、0.13nM〜1.39nMの範囲であった。
【0134】
親和性、生物活性、及び生物物理学的特性の考察により、親和性成熟について、可変領域H28(配列番号111)及びL35(配列番号82)を含んでいたC2177変異体M69と、可変領域H31(配列番号131)及びL42(配列番号140)を含んでいたC2191変異体M91とが選択された。M40親及びそのM69 HFR変異体、並びにM41親及びそのM91変異体について、K
D、精製収量、細胞培養上清についてCD27 ECDへの結合(「ELISA」)、CD70によるCD27媒介性NFκβ応答の阻害(IC
50)の要約を表4に示す。
【0135】
【表4】
【0136】
実施例8:C2177 HFR MAB M69の最適化
M69は、ヒトCD27 ECDに対して約1nMの親和性を有し、C2177及びHF親C27M40と同じCDRを含有する。M69の最適化は、親和性を上昇させ、プロセスにおいて導入又は同定されるPTM部位を除去するための複数のライブラリを含んでいた。
【0137】
実施例9に記載の通り、HFR及びC2177の最適化のためのパラレルファージディスプレイライブラリアプローチにより、CDR−H2の位置52aのプロリンにおける多様性が同定された。この位置は、ライブラリの設計においてランダム化されていなかった。C2177及びC2191 FabとCD27との共構造(実施例5)は、P52aが抗原結合に直接関与していないことを示す。それにもかかわらず、この位置における突然変異は、CDR−H2ループの立体構造を変化させることができ、周囲の残基D27によってCD27とのより最適な相互作用を可能にする。したがって、NNK突然変異誘発を用いてP52a並びにその隣接する残基Y52、G53、及びD54をランダムに多様化させるようにライブラリを設計した(ライブラリC27H28L2)。また、経路2の最適化では、CDR−L1におけるY32のFへの突然変異が、結合の改善を示した。したがって、第2のライブラリは、Y32と同じ構造面に存在する残基Y30a、D30d、A50における多様性とともに、Y32におけるランダム多様性を有するように設計した(ライブラリC27L35L2)。
【0138】
更に、完全なCDR−H3及びCDR−L1ループを、多様性の制限されているライブラリを用いて評価した。表5及び6は、これらライブラリの設計を示す。
【0139】
【表5】
【0140】
【表6】
【0141】
制限酵素部位に軽微な修正を加えた以外、国際公開第2009/085462号、Shi et al,J Mol Biol 397:385〜396(2010)、及びTornetta et al.J Immunol Methods 360:39〜46(2010)に記載の通り、FabライブラリをpIXファージFabディスプレイシステムにおいて構築した。これらライブラリを、より遅いオフ速度又はより早いオン速度について選択することによって親和性を上昇させることを目的とする、国際公開第2009/085462号及びShi et al,J Mol Biol 397:385〜396(2010)に記載の通り、当該技術分野において公知のパニングスキームに従ってビオチン化CD27−ECDに対してパニングした。ヘルパーファージ感染によってファージを作製した。ビーズ/抗原/ファージ複合体を形成するためにビーズを添加することによって、結合剤を回収した。最終洗浄の後、指数関数的に成長しているTG−1大腸菌細胞の感染により、ファージをレスキューした。ファージを再度作製し、更なる一連のパニングに供した。
【0142】
フォローアップスクリーニングのために、ファージパニングラウンドのグリセロールストックからDNAを調製し、pIX遺伝子をNhel/Spel切断によって切断した。ライゲーション後、DNAをTG−1細胞に形質転換し、LB/寒天培地上で一晩成長させた。次の日、コロニーを採取し、一晩成長させ、この培養物を、(i)V領域のコロニーPCR及び配列決定、及び(ii)Fab産生の誘導に用いた。Fabを産生するため、一晩培養物を新しい培地で10〜100倍に希釈し、37℃で5〜6時間成長させた。IPTGを含有する新鮮培地を添加することによってFab産生を誘導し、培養物を30℃にて一晩成長させた。次の日、培養物を回転沈降させ、可溶性Fabタンパク質を含有する上清を、FabのELISで用いた。ELISAのために、可溶性Fabタンパク質を、ポリクローナル抗Fd(CH1)抗体によってプレートに捕捉した。洗浄及びブロッキング後、ビオチン化ヒトCD27 ECDを0.2nMの濃度で添加した。この濃度は、全プレートに対照として存在した親Fabを100%結合と定義した場合の親の結合率として定義された、Fab変異体のランク付けを可能にする。ビオチン化CD27 ECDは、HRPコンジュゲート化ストレプトアビジン及びプレートリーダーにおける化学発光読み取りによって検出した。この濃度のCD27では、親Fabに対して正規化されたFab変異体のランク付けが可能である。この基準によって、M69 Fabに比べて100%以上でヒトCD27に結合する10本の重鎖及び6本の軽鎖が選択された。
【0143】
CDR−H2ライブラリー(C27H28L2)から、位置52における親のYが主に選択され、これは、この残基の優先性を示す。位置52aでは、最良の結合活性を有するFabの中でも、PはA、S、V、及びG残基で置換された。位置53では、親のGがR及びNとともに選択された。位置54では、親のDのみが回収されたこのライブラリから9つのクローン(表7)を、発現及びmAbとしての特性評価のためにIgGベクターにサブクローニングした。
【0144】
【表7】
【0145】
CDR−H3ライブラリー(C27H28L3)の場合、回収された唯一の多様性は、S95A及びA101Gであった。両方の突然変異を含有するこのライブラリ由来の1つのクローン(表8)を、発現及びmAbとしての特性評価のためにIgGベクターにサブクローニングした。
【0146】
【表8】
【0147】
4つの位置のL−CDR1ライブラリー(C27L35L2)について、位置30aは、親のY及びWの富化を示した。位置30dでは、残基S、H、及びEは、親のDとともに富化されていた。位置32では、親のYは、F及びWで置換されていた。位置50では、Tは、親のAよりも好ましかった。一般的に、最良のクローンは、親に比べてより疎水性の側鎖を有していた。このライブラリ由来の5つのクローン(表9)を、発現及びmAbとしての特性評価のためにIgGベクターにサブクローニングした。
【0148】
多様性の制限されている完全CDR−L1ライブラリ(C27L35L3)について、Y32である親がFに変化していることだけを除いて上記4つの位置VLライブラリに類似している配列が1つだけ回収された。この完全CDR−L1ライブラリは、位置32にFを含んでいなかったので、回収されたクローンは、恐らく4つの位置のVLライブラリからのコンタミであった。このクローン(L255)を発現及びmAbとしての特性評価のためにIgGベクターにサブクローニングした(表9)。
【0149】
【表9】
【0150】
6個の変異体軽鎖は、10個の変異体重鎖と対合して、HEK293E細胞で発現していた60の組み合わせが得られた。上清を、発現レベル、ELISAによって測定したときのヒトCD27 ECDへの結合、及びProteOn機器で測定したときの親和性についてスクリーニングした。全ての変異体の発現レベルは、スクリーニング目的に十分であった。親和性は、一部の変異体について40倍以下増加した。2つのmAb M596及びM600を、更なる突然変異誘発について選択して、翻訳後修飾の潜在部位を除去した。これらmAbについてVH及びVL鎖の組み合わせを表10に示す。抗体は、これら軽鎖における2つの残基のみが異なる。
【0151】
【表10】
【0152】
M596は、3つの位置で親分子M69と異なる:CDR−H2におけるP52aA、CDR−L1におけるY32W、及びCDR−L2におけるA50T。M600は、2つの位置でM69と異なる:CDR−H2におけるP52aA及びCDR−L1におけるY32F。
【0153】
3つの共有されている潜在的翻訳後修飾部位をM596及びM600で同定した。CDR−H2の位置N58に潜在的N−結合グリコシル化部位が存在し、それぞれ「DG」及び「DS」によってコードされているCDR−H2及びCDR−L1に2つの潜在的異性化部位が存在する。更に、M596は、酸化を受けやすい場合があるCDR−L1における非生殖系列トリプトファン残基を含有する。
【0154】
グリコシル化リスクを取り除くために、3つの個々の単一置換をN59及びS60で作製した(表11)。コンストラクトをHEK293E細胞で発現させ、ProteOn機器を用いてCD27に対する親和性について上清を評価した。変異体の全てが、親に近い親和性を有しており、それぞれ、M596及びM600について25pM及び49pMであった。両方ともM600に由来する変異体M680及びM678を、異性化部位を除去するための更なる置換の評価のために選択した。変異体M680及びM678は、それぞれ位置60及び58にAを有し、M596親に存在していたCDR−L1におけるトリプトファンを有していないという更なる利点を有している。
【0155】
【表11】
【0156】
M678及びM680における潜在的異性化部位を突然変異させることの影響を評価するために、小さなライブラリを設計して平行して両部位を除去した。各突然変異を、重鎖のCDR−H2又は共通の軽鎖のCDR−L1に個々に置換し、次いで、コンビナトリアルライブラリーで対合させた。このライブラリの多様性を表12に示す。
【0157】
【表12】
【0158】
これらmAbを発現させ、グリコシル化部位変異体について親和性を評価した。CDR−L1の潜在的異性化部位におけるD34E突然変異は、親和性を一貫して2倍上昇させたので、この部位の除去は成功していた。CDR−H2の潜在的異性化部位におけるD54E突然変異は、親和性を10倍超低下させた。しかし、G55A突然変異は、親和性にほとんど影響を与えなかった。変異体M703及びM706は、M600親の親和性を保持し、PTM由来の機能に対する影響のリスクが低下していた。表13は、PTMリスク評価の各段階からの選択された変異体、その重鎖及び軽鎖の対合、親和性、並びにCDRにおける配列改変を示す。潜在的グリコシル化部位を除去するために選択した突然変異に下線を引く。2つの潜在的異性化部位を除去するための突然変異を太字にし、二重下線を引く。
【0159】
【表13】
【0160】
実施例9:組み合わせられたHFR及びC2177 mAbの最適化
このアプローチでは、制限されたセットのHFR変異体を、発現のためのFabフォーマット、pIXディスプレイ、及び結合において評価し、次いで、最良の候補を最適化に進めた。C2177由来のCDRを、2つの重鎖VH5−51(配列番号102 H24)及びVH1−46(配列番号106H25)並びに2つの軽鎖Vk4−1及びVk012(配列番号90L36)にヒトフレームワーク適応させた。これらHFA可変ドメインを、Fab pIXファージディスプレイベクターにおけるヒトCH1及びCk定常領域とFabとの2×2マトリクスにおいて対合させた。VH1−46/Vk012変異体(M55、H25/L36)は、CD27への結合及び良好なディスプレイ特性を示し、親和性成熟ライブラリの構築のために選択された。
【0161】
pIXファージディスプレイのためのFabライブラリを、実施例8に記載の通り構築した。CD27とC2191及びC2177との実験的共構造(実施例5)に基づいて、抗体パラトープ内及び周囲のCDR残基において多様性ライブラリを設計した。CDR L1、L3、及びH2に変異の重点を置いた。個々のCDR内の合計4〜6個の残基を、全20アミノ酸をコードしているNNKコドンを用いて多様化した。各ライブラリのサイズは、≦6×10
7変異体と推定され、これは、標準的なライブラリ制限エンドヌクレアーゼクローニング技術を用いて網羅することができる。表14は、様々なCDRライブラリにおいて完全多様化に供した残基を示す。
【0162】
【表14】
【0163】
ファージコートタンパク質IXにディスプレイされるFabライブラリを、ビオチン化hCD27ECD/Fcに対してパニングした。変異体のプラスミドライブラリーのヘルパーファージ感染によってファージを作製した。ビーズ/抗原/ファージ複合体を形成するためにストレプトアビジンでコーティングされた磁気ビーズを添加することによって、結合剤を回収した。最後の洗浄後、指数関数的に成長しているMC1061F’大腸菌細胞の感染によってファージをレスキューした。ファージを再度作製し、更なる一連のパニングに供した。選択されたクローンから可溶性Fabを作製し、経路1について記載した通り結合活性を評価した。CDR−L1及びCDR−L2ライブラリからのみヒットが得られた。これら2つのライブラリ由来の21クローンは、親HFR Fabを超える結合を示した。多様化配列においてC又はMを含有するクローンを廃棄した。更なる特性評価のために、IgG4SPAAa/カッパバックグラウンドにおいて発現させるために10個のFabを変換した。IgG4PAA重鎖は、ヒンジ領域におけるセリンからプロリンへの置換(Angal et al.,Mol Immunol 30:105(1993)及びCH2の2つの位置におけるアラニン置換(ML Alegre et al,Transplantation;57:1537〜43(1994))を含有するヒトIgG4である。mAbを、Fabのレプリカとして、及び重鎖と軽鎖との組み合わせのマトリクスとしてHEK293E細胞で産生させた。培養物上清を用いてProteOn機器で親和性を測定した(表15)。CDR−H2におけるP52aからQ(M158)又はS(M157)への突然変異は、親mAb(M159)に比べてK
Dを6倍低下させた。CDR−L1(M149)におけるY36F突然変異は、K
Dを4倍低下させ、G33Hの付加及びD34E突然変異(M155)は、K
Dを6倍低下させた。P52S突然変異とY36F(M160)又はY36F+G33H及びD34Eとの組み合わせは、K
Dを20倍(100pMに)低下させた。更なる特性評価のために、M158、M160、及びM166における置換の組み合わせを選択した。
【0164】
【表15】
【0165】
M158、M160、及びM166タンパク質を750mLのHEK293細胞培養物中で産生し、精製し、BiacoreにおいてCD27ーHisに対する結合反応速度について分析した。K
D値は、粗上清を用いてProteOnによって測定したものよりも約1log高かったが、互いに同じ値を示した(表16)。
【0166】
【表16】
【0167】
オリジナルのHFAの組み合わせを再評価したとき、VH5−51適応VHは、VH1−46スカフォールドよりも2倍低いK
Dを示した。H−CDR2におけるP52aS突然変異をVH5−51 VHに導入し、H221を作製した。H221は、HFA親mAb(M159)由来のL220、L219、及びL217、並びにそれぞれ、親和性の改善された変異体M160及びM166で発現して、mAb M171、M169、及びM170を作製した。精製mAbにおけるBIAcore反応速度測定は、対応するVH1−46変異体に比べてK
Dの2倍の改善を示した(表16及び17を比較)。
【0168】
【表17】
【0169】
M160、M169、及びM170の配列解析により、H196及びH221のCDR−H2におけるD54〜G55における潜在的異性化部位、並びにN61〜G62における潜在的脱アミド部位を同定した。更に、潜在的異性化部位をL219のCDR−L1内のD34において同定した。突然変異を導入してこれら部位を除去し、活性に対する影響を評価した(表18)。精製mAbを、ProteOnにおいてCD27−Hisに対する親和性について分析した。突然変異は、K
Dに対して効果を有しなかった又は正の効果を有していた。例えば、M668及びM671は、両方とも、それぞれ、その親mAbであるM160及びCM169よりもほぼ2倍低いK
Dを有していた。
【0170】
【表18】
【0171】
実施例10:C2191 HFR mAb M91の最適化
M91(H31/L42)の最適化のために適用した方法は、以下を除いて実施例8に記載の通りであった。ヒトCh1及びCk定常領域を有するFabフォーマットにおけるC2191親VH及びVL領域を用いて、C2191のCDRのアラニン/生殖系列スキャンをFabフォーマットで実施して、CD27との相互作用に重要な位置を評価した。ライブラリは、CDRにおける残基をアラニン又は対応する生殖系列配列に存在する残基で置換していた。モデリング、及び後に決定された構造に基づいて、溶媒曝露が低いか又はなかったので、CDRにおける幾つかの位置を除外した(実施例5)。推定体細胞突然変異をマウス生殖系列アミノ酸に復帰突然変異させて、抗体親和性に対するその寄与を評価した。簡潔に述べると、マウスV領域をFab pIXディスプレイベクターにクローニングし、親のビオチン化ヒトCD27−ECDタンパク質に対する結合をELISAによって検証した。単一突然変異(ライブラリーの設計に従って)を部位特異的突然変異誘発によって導入した(本質的にStratagene(La Jolla,CA,USA)によって記載の通り実施した)。配列を確認した突然変異体を入念に選んで新たなプレートに移し、親Fab及びネガティブコントロールFabとともに成長させた。最後の単一アミノ酸置換変異体を大腸菌で作製し、次いで、発現及びELISAによるCD27結合についてスクリーニングした。親クローンについて発現及び結合シグナルを平均し、1.0に設定し、突然変異体のシグナルを親に対して正規化した。2つの形態の抗原をELISAで用いた:CD27 ECD(1〜173残基)及びCD27 ECD−Fcキメラ(R&D Systems)。
【0172】
共結晶構造に加えてこのスキャンの結果から、親和性成熟ライブラリの設計の基礎が得られた。重鎖の場合、変異体について選択された位置は、H−CDR1におけるT33並びにCDR−H2におけるY50、S52、S52a、N56及びY58であった(表23)。T33は、接触残基ではないが、T33A突然変異は、結合を改善した。位置S52及びS52aは、接触残基でないが、スキャンにおける置換は、若干の結合増加を示した。位置50及び58におけるチロシンは、両方とも接触残基であり、これら部位における置換は、実施例11に記載の平行最適化経路において選択された。位置N56は、アラニン/生殖系列スキャンでは評価されなかったが、接触部位であり、結晶構造においてT33、S52、及びS52aに隣接している。軽鎖の場合、変異体について選択された位置は、CDR−L1におけるT30a、S30b、G30c、及びY30d、並びにCDR−L2におけるL50及びN53であった(表23)。これら残基はいずれも直接抗原に接触しないが、接触している残基に隣接しており、スキャンが結合に対して実質的に負の影響を有していた。L50A突然変異は、結合に対して中程度の効果を有しており、結晶構造では、恐らく抗原と接触しているCDR−L2における唯一の残基である。更に、N53は、制限された多様化について選択された。2つの平行ライブラリを構築し、1つのライブラリでは、Y30dがWに突然変異し、別のライブラリでは、Y30dがYとして保持されていた。その理由は、Wは、パラトープをより疎水性にすることができるので、発現可能性が低いためである。以下の表19及び20は、M91についてのVH及びVL親和性成熟ライブラリ設計を示す。
【0173】
【表19】
【0174】
【表20】
* この位置にY又はWを含有する2つの別個のライブラリを作製した。
【0175】
ファージコートタンパク質IXにディスプレイされたFabライブラリをビオチン化CD27−ECDに対してパニングした。C2191の親キメラFabと同じか又はより多くCD27に対して結合する合計12個の重鎖変異体及び12個の軽鎖変異体を選択した。144の組み合わせとしてHEK293E細胞で産生した変異体をIgG1/カッパ抗体に変換し、培養物上清をProteOnによって結合について評価した。幾つかの変異体について親和性の著しい上昇(>100倍)が観察された。144のVHとVLとの対合のうち、8つを更なる特性評価のために選択した(表21)。これらmAbを3つのサブクラスに分類した:第1群の変異体は、4つの異なる軽鎖と対合する同じ重鎖(H227、配列番号133)を有するが、第2群及び第3群は、それぞれ、2つの異なる重鎖と対合する1つの軽鎖を有する。4つの選択された軽鎖は、CDR−L1において多様化している4つの位置全てで変動していた(RASKSVSX
1X
2X
3X
4SFMH)(配列番号158)(式中、X
1は、A、E、H、又はLであり;X
2は、D、G、V、又はWであり;X
3は、G又はRであり;X
4は、W又はYである)。また、これらは、CDR−L2において多様化している両位置で変動していた(X
1ASX
2LES)(配列番号:171)(式中、X
1は、L又はVであり、X
2は、K、N、又はRである)。CDR−L3は、L42配列(配列番号140)から変化しておらず、QHSRELPWTである。
【0176】
【表21】
【0177】
750mLの体積のHEK293E細胞において一時的に発現させることによって、これら8つの変異体を作製した。回収した上清をプロテインAクロマトグラフィーを介して精製し、各変異体をSDS−PAGE及びSE−HPLCによって分析して、サンプルの純度及び精製サンプルにおけるモノマーの割合を求めた。変異体は全て90%超の純度を有し、90%超がモノマーであった。抗体の会合特性を評価するために、各精製変異体について相互作用クロマトグラフィーを実施することによって保持係数(k’)を決定した(Jacobs SA、Wu SJ,Feng Y,Bethea D & O’Neil KT(2010) Cross−interaction chromatography:a rapid method to identify highly soluble monoclonal antibody candidates.Pharm Res 27,65〜71)。この方法では、サンプル抗体をヒトIgGとカップリングしているカラムに通し、コントロール抗体に対する保持について評価した。簡潔に述べると、50mgのヒトIgG(Sigma Aldrich)を、製造業者の指示書に従って1mLのNHS−セファロースカラム(GE Healthcare)にカップリングさせた。0.1M Tris(pH 8)、0.5M NaClで洗浄することによってカップリングしていないIgGを除去し、未反応のNHS基を同じバッファでブロッキングした。Pierce’s Coomassie Plusアッセイキット(Thermo Pierce)を使用して、非反応カップリングバッファ及び洗浄液中に残留しているタンパク質濃度を測定し、固定化前のタンパク質の量から減じることによって、カップリング効率を求めた。また、樹脂にIgGをコンジュゲートさせなかったこと以外同じプロトコールを用いて、コントロールカラムを調製した。コントロールカラムは、まず、0.1mL/分の流速でPBS(pH 7)で平衡化した後、Dionex UltiMate 3000 HPLCに通した。まず20μLのタンパク質原液を注入して、非特異的結合部位を確実にブロックし、次いで、20μLの10%アセトンを注入して、カラムの完全性を確認した。分析するサンプルを、PBS(pH 7)で0.1mg/mLに希釈した。20μLの各サンプルを各カラムに注入し、0.1mL/分で30分間通した。保持時間を記録し、各変異体の保持係数(k’)を計算した。IgG及びブランクカラムにおける保持時間の差としてk’値を計算した。全ての変異体を、SDS−PAGE及びSE−HPLCに基づいて純度90%超に精製した。全てのk’値は、0.3未満であると計算され、これは、良好な溶液特性を示す(表22)。
【0178】
【表22】
【0179】
8つの変異体mAb及びHFR親を、BIAcoreによるCD27 ECDに対する親和性及びκβレポーターアッセイにおけるIC
50について評価した。速度定数及び親和性をBIAcoreにより測定した。表23は、これら変異体において収集したデータを要約する。初期小培養上清から測定したときの発現及びCD27に対する結合についてのELISAシグナルもこの表に含まれる。
【0180】
【表23】
【0181】
実施例11:組み合わせたHFR及びC2191 mAbの最適化
このアプローチでは、制限されたセットのHFR変異体を、発現のためのFabフォーマット、pIXディスプレイ、及び結合において評価し、次いで、最良の候補を最適化に進めた。C2191由来のCDRは、2つの重鎖(VH3−23及びVH3−11)及び2つの軽鎖(Vk4−1及びVk012)にヒトフレームワーク適応した。これらHFA可変ドメインを、Fab pIXファージディスプレイベクターにおけるヒトCH1及びCk定常領域とFabとの2×2マトリクスにおいて対合させた。VH3−23/Vk012変異体(H39(配列番号145))及びL40(配列番号137)は、CD27への結合及び良好なディスプレイ特性を示し、親和性成熟ライブラリの構築のために選択された。このFabを「親」と呼ぶ。
【0182】
改善された親和性について抗体を選択するために、H39のCDR−H3を除く全てのCDRにおける複数の残基を、NNK縮重コドンを用いて完全に多様化した(表24)。各CDRライブラリを別々に構築し、親和性成熟変異体を選択するためにファージパニングに供した。
【0183】
【表24】
【0184】
CDR−H2、CDR−L1、又はCDR−L2に多様性を有するC2191ライブラリから、単一点ELISAにおいて測定したとき、親HFR Fabに比べてヒトCD27への結合が改善されている50個の独自のFabが得られた。これらクローンを多点ELISAにおいて更にランク付けし、更に特性評価するために17個のクローンをヒトIgG4alaala/カッパへの変換について選択した(表25)。
【0185】
【表25】
【0186】
IgG1/k mAbをFabのレプリカとして、並びに重鎖及び軽鎖可変領域のマトリクスとして構築し(表26)、親和性及び溶液特性について試験した。親FabのmAb形態は、M131と表される。M141及びM408を更なる特性評価のために選択した。
【0187】
【表26】
【0188】
実施例12:親和性成熟mAbの特性評価
親C2177及びC2191ハイブリドーマ抗体に由来する選択された親和性成熟mAbのコドンを最適化し、重鎖及び軽鎖の二重発現のために異なるベクターに導入し、CHO−GS細胞培養物で発現させ、更なる特性評価のために精製した。上記実施例に記載の成熟変異体に関連するこれら抗体のIDを表27に示す。
【0189】
【表27】
【0190】
BiacoreによるK
D分析及びNF−κβレポーター遺伝子アッセイで測定したIC
50について、これらmAbの要約データを以下に示す(表28及び29)。このNF−κβレポーターアッセイについて、HEK−293F細胞を、NF−κβプロモータの制御下でヒトCD27及びルシフェラーゼコンストラクトを含有する合計36ngのDNAでトランスフェクトした。HEK−293Fトランスフェクタントを、96ウェルプレートの40μLのFreestyle培地(Gibco)に5×10
4細胞/ウェルでプレーティングした。抗CD27ハイブリドーマmAbの希釈物を、アッセイプレートの、1:3希釈した50μg/mLの最終濃度のFreestyle培地に添加し、プレートを37℃(5% CO
2)で1時間インキュベートした。mAbがCD70:CD27シグナル伝達を中和する能力を試験するために、一定期間放射線照射した(4000rad)HEK−293E CD70エピソーム細胞を、CD27トランスフェクタント細胞の数の20%でアッセイプレートに添加した。ハイブリドーマmAbのアゴニスト活性を試験するために、CD70エピソーム細胞の添加を省略した。アッセイプレートを37℃(5% CO
2)で一晩インキュベートし、製造業者の指示書に従ってSteady−Glo(登録商標)ルシフェラーゼアッセイシステム(Promega)を用いて発色させた。
【0191】
【表28】
【0192】
【表29】
【0193】
CDR及びV領域の配列
【0194】
【表30】
【0195】
配列番号151について、X
1は、F又はYであり;X
2は、A、G、S、又はVであり;X
3は、G、N、又はRであり;X
4は、A又はGであり;X
5は、A又はNであり;X
6は、A又はSである。
【0196】
【表31】
【0197】
配列番号152について、X
1は、P、Q、又はSであり;X
2は、A又はGであり;X
3は、A又はNであり;X
4は、G又はQである。
【0198】
【表32】
【0199】
配列番号153について、X
1は、W又はYであり;X
2は、D、E、S、又はHであり;X
3は、F、W、又はYである。
配列番号154について、X
1は、A、E、T、又はVである。
【0200】
【表33】
【0201】
配列番号155について、X
1は、A、F、V、W、又はYであり;X
2は、G、H、N、R、又はSであり;X
3は、D、E、S、又はTであり;X
4は、F、L、又はYである。
【0202】
【表34】
【0203】
配列番号156について、X
1は、H又はYであり;X
2は、D又はSであり;X
3は、A、E、R、又はSであり;X
4は、I、W、又はYである。
【0204】
【表35】
【0205】
配列番号157について、X
1は、A、T、V、又はYであり;X
2は、D又はSであり;X
3は、G、H、R、又はSであり;X
4は、A、N、Q、R、又はSであり;X
5は、H、L、W、又はYである。
【0206】
【表36】
【0207】
配列番号158について、X
1は、A、E、H、L、T、又はYであり;X
2は、D、G、I、S、V、又はWであり;X
3は、G又はRであり;X
4は、W又はYである。
【0208】
【表37】
【0209】
タンパク質及び抗体可変領域配列
【0210】
【表38-1】
【0211】
【表38-2】
【0212】
【表38-3】
【0213】
【表38-4】
【0214】
【表38-5】
【0215】
【表39-1】
【0216】
【表39-2】
【0217】
【表40】
【0218】
【表41】
【0219】
【表42】
本発明は、以下の態様を包含し得る。
[1]
軽鎖可変領域を含む単離ヒトCD27抗体又はその抗原結合断片であって、前記軽鎖可変領域が、
配列番号59〜66及び158からなる群より選択される相補性決定領域軽鎖1(CDRL1)アミノ酸配列と、
配列番号67〜74からなる群より選択されるCDRL2アミノ酸配列と、
配列番号75のCDRL3アミノ酸配列とを含む抗体又はその抗原結合断片と、
を含む、前記抗体又はその抗原結合断片。
[2]
上記[1]に記載の単離ヒトCD27抗体又はその抗原結合断片であって、
配列番号42〜45及び161からなる群より選択されるCDRH1アミノ酸配列と、
配列番号46〜57、156、及び157からなる群より選択されるCDRH2アミノ酸配列と、
配列番号58のCDRH3と、
を含む重鎖可変領域を更に含む、前記抗体又はその抗原結合断片。
[3]
重鎖可変領域を含む単離ヒトCD27抗体又はその抗原結合断片であって、前記重鎖可変領域が、
配列番号42〜45及び161からなる群より選択される相補性決定領域重鎖1(CDRH1)と、
配列番号46〜57、156、及び157からなる群より選択されるCDRH2アミノ酸配列と、
配列番号58のCDRH3アミノ酸配列と、
を含む、前記抗体又はその抗原結合断片。
[4]
軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含む単離ヒトCD27抗体又はその抗原結合断片であ
って、前記軽鎖可変領域が、
配列番号59〜66及び158からなる群より選択されるCDRL1アミノ酸配列と、
配列番号67〜74からなる群より選択されるCDRL2アミノ酸配列と、
配列番号75のCDRL3アミノ酸配列と、
を含み、前記重鎖可変領域が、
配列番号42〜45からなる群より選択されるCDRH1アミノ酸配列と、
配列番号46〜57、156、及び157からなる群より選択されるCDRH2アミノ酸配列と、
配列番号58のCDRH3アミノ酸配列と、
を含む、前記抗体又はその抗原結合断片。
[5]
軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含む単離ヒトCD27抗体又はその抗原結合断片であって、前記軽鎖可変領域が、
配列番号62のCDRL1アミノ酸配列と、
配列番号68のCDRL2アミノ酸配列と、
配列番号75のCDRL3アミノ酸配列と、
を含み、前記重鎖可変領域が、
配列番号44及び161からなる群より選択されるCDRH1アミノ酸配列と、
配列番号47のCDRH2アミノ酸配列と、
配列番号58のCDRH3アミノ酸配列と、
を含む、前記抗体又はその抗原結合断片。
[6]
軽鎖可変アミノ酸配列と、重鎖可変アミノ酸配列とを含む単離ヒトCD27抗体又はその抗原結合断片であって、前記軽鎖可変アミノ酸配列が、配列番号143を含み、前記重鎖可変アミノ酸配列が、配列番号133を含む抗体又はその抗原結合断片。
[7]
IgG4重鎖定常領域とIgG4軽鎖定常領域とを更に含む、上記[6]に記載の単離抗体。
[8]
前記重鎖定常領域が、配列番号159のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖定常領域が、配列番号160のアミノ酸配列を含む、上記[7]に記載の単離抗体。
[9]
固定化CD27細胞外ドメインに対する結合によって求めたとき、上記[6]に記載の抗体によって結合しているエピトープに結合する単離ヒトCD27中和抗体又はその抗原結合断片。
[10]
表面プラズモン共鳴によって求めたとき、1×10-7M以下のKDでヒトCD27に結合する、上記[6]に記載の単離抗体。
[11]
(i)上記[6]に記載の抗体又は抗原結合部分をコードしているヌクレオチド配列、(ii)配列番号163の軽鎖ヌクレオチド配列及び/又は配列番号164の重鎖ヌクレオチド配列、又は(iii)配列番号143の軽鎖可変領域のアミノ酸配列及び/又は配列番号133の重鎖可変領域のアミノ酸配列をコードしているヌクレオチド配列からなる群より選択される単離核酸分子。
[12]
上記[11に記載の単離核酸分子を含む単離核酸ベクター。
[13]
上記[12]に記載の単離核酸ベクターを含む、原核又は真核宿主細胞。
[14]
上記[13]に記載の宿主細胞であって、COS−1、COS−7、HEK293、BHK21、CHO、BSC−1、Hep G2、653、SP2/0、293、HeLa、骨髄腫若しくはリンパ腫細胞、又はこれらの任意の誘導体、不死化若しくは形質転換細胞から選択される少なくとも1つである、宿主細胞。
[15]
上記[11]に記載の核酸分子をベクターに組み込み、宿主細胞、トランスジェニック動物、又は形質転換植物を形質転換して抗体を発現させ、前記発現した抗体を回収することを含む、CD27抗体を生産する方法。
[16]
被験体のT細胞の一部と有効な量の上記[6]に記載の抗体又は抗原結合部分とを接触させることを含み、前記抗体又はその抗原結合部分が、ヒトCD70タンパク質又はヒトCD70タンパク質の一部の存在下で前記ヒトT細胞におけるCD27の活性化を阻害する、T細胞によって媒介されるB細胞の抗体産生を阻害する方法。
[17]
前記被験体が、炎症性疾患に罹患している、上記[16]に記載の方法。
[18]
前記炎症性疾患が、全身性エリテマトーデスである、上記[17]に記載の方法。
[19]
前記被験体が、肺又は胸膜系の疾患、中枢又は末梢神経系の疾患、目又は視覚系の疾患、胃腸及び消化器系の疾患、心血管系の疾患、感染性疾患、及び寄生虫性感染症からなる群より選択される疾患に関連する抗原特異的体液性免疫反応を示す、上記[16]に記載の方法。
[20]
前記抗体又はその抗原結合部分が、前記被験体に全身投与される、上記[16]に記載の方法。
[21]
組織を有効な量の上記[6]に記載の抗体又は抗原結合部分に接触させることを含み、前記抗体又は抗原結合部分が、ヒトCD70タンパク質又はヒトCD70タンパク質の一部の存在下で前記ヒトT細胞におけるCD27の活性化を阻害する、ナイーブT細胞の増殖を阻害する方法。
[22]
上記[6]に記載の抗体を含む薬学的に許容できる配合を含む製品。
[23]
抗体C2177、CD2186、CD2191、及びCD2192からなる群より選択される抗体によって結合しているヒトCD27タンパク質におけるエピトープに結合する抗体可変領域を含む、単離ヒト抗体又はその抗原結合断片。
[24]
抗体C2177、CD2186、CD2191、及びCD2192からなる群より選択される抗体と、ヒトCD27タンパク質への結合について競合する抗体可変領域を含む、単離ヒト抗体又はその抗原結合断片。
[25]
軽鎖可変領域を含む単離ヒトCD27抗体又はその抗原結合断片であって、前記軽鎖可変領域が、
配列番号24〜36、153、及び155からなる群より選択される相補性決定領域軽鎖1(CDRL1)アミノ酸配列と、
配列番号37〜40及び154からなる群より選択されるCDRL2アミノ酸配列と、
配列番号41のCDRL3アミノ酸配列と、
を含む、前記抗体又はその抗原結合断片。
[26]
重鎖可変領域を含む単離ヒトCD27抗体又はその抗原結合断片であって、前記重鎖可変領域が、
配列番号1及び2からなる群より選択される相補性決定領域重鎖1(CDRH1)アミノ酸配列と、
配列番号3〜22、151、及び152からなる群より選択されるCDRH2アミノ酸配列と、
配列番号23及び162からなる群より選択されるCDRH3アミノ酸配列と、
を含む、前記抗体又その抗原結合断片。
[27]
軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含む単離ヒトCD27抗体又はその抗原結合断片であって、前記軽鎖可変領域が、
配列番号24〜36、153、及び155からなる群より選択される相補性決定領域軽鎖1(CDRL1)アミノ酸配列と、
配列番号37〜40及び154からなる群より選択されるCDRL2アミノ酸配列と、
配列番号41のCDRL3アミノ酸配列と、
を含み、前記重鎖可変領域が、
配列番号1及び2からなる群より選択されるCDRH1アミノ酸配列と、
配列番号3〜22、151、及び152からなる群より選択されるCDRH2アミノ酸配列と、
配列番号23及び162からなる群より選択されるCDRH3アミノ酸配列と、
を含む、前記抗体又はその抗原結合断片。
[28]
配列番号137〜144及び148からなる群より選択される軽鎖可変アミノ酸配列を含む、単離ヒトCD27抗体又はその抗原結合断片。
[29]
配列番号128〜136及び145〜147からなる群より選択される重鎖可変アミノ酸配列を更に含む、上記[28]に記載の単離抗体又はその抗原結合断片。
[30]
配列番号128〜136及び145〜147からなる群より選択される重鎖可変アミノ酸配列を含む、単離ヒトCD27抗体又はその抗原結合断片。
[31]
配列番号82〜101からなる群より選択される軽鎖可変アミノ酸配列を含む、単離ヒトCD27抗体又はその抗原結合断片。
[32]
配列番号102〜125からなる群より選択される重鎖可変アミノ酸配列を更に含む、上記[31]に記載の単離抗体又はその抗原結合断片。
[33]
配列番号102〜125からなる群より選択される重鎖可変アミノ酸配列を含む、単離ヒトCD27抗体又はその抗原結合断片。
[34]
配列番号77、79、81、及び127からなる群より選択される軽鎖可変アミノ酸配列を含む、単離CD27抗体又はその抗原結合断片。
[35]
配列番号76、78、80、及び126からなる群より選択される重鎖可変アミノ酸配列を更に含む、上記[34]に記載の単離抗体又は抗原結合断片。
[36]
配列番号76、78、80、及び126からなる群より選択される重鎖可変アミノ酸配列を含む、単離CD27抗体又はその抗原結合断片。
[37]
本明細書に記載されたいずれかの発明。