特許第6487860号(P6487860)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6487860転写ラベル、転写ラベルの製造方法、粘着ラベル、粘着ラベルの製造方法、および被貼付物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6487860
(24)【登録日】2019年3月1日
(45)【発行日】2019年3月20日
(54)【発明の名称】転写ラベル、転写ラベルの製造方法、粘着ラベル、粘着ラベルの製造方法、および被貼付物
(51)【国際特許分類】
   G09F 3/02 20060101AFI20190311BHJP
   G09F 3/10 20060101ALI20190311BHJP
【FI】
   G09F3/02 F
   G09F3/02 T
   G09F3/10 A
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-18306(P2016-18306)
(22)【出願日】2016年2月2日
(65)【公開番号】特開2017-138408(P2017-138408A)
(43)【公開日】2017年8月10日
【審査請求日】2018年1月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】516034359
【氏名又は名称】株式会社アイエヌジー
(74)【代理人】
【識別番号】100152700
【弁理士】
【氏名又は名称】泉谷 透
(72)【発明者】
【氏名】森井 智子
(72)【発明者】
【氏名】相塲 雅満
【審査官】 吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−234976(JP,A)
【文献】 特開2014−058124(JP,A)
【文献】 特開2004−258583(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 3/02
G09F 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーで形成された第一画像層と、トナーで形成された第二画像層と、前記第一画像層と前記第二画像層との間にあるマスキング層と、前記第二画像層の上に直接に設けられた糊層と、を含む転写ラベル。
【請求項2】
前記マスキング層が、トナー層、顔料箔、インク層のいずれかである請求項1に記載の転写ラベル。
【請求項3】
前記第一画像層及び前記第二画像層が、前記マスキング層に接着している請求項1又は2に記載の転写ラベル。
【請求項4】
前記第一画像層の下にある離型基材を含む請求項1乃至3のいずれか一項に記載の転写ラベル。
【請求項5】
前記糊層の上にある保護層を含む請求項1乃至4のいずれか一項に記載の転写ラベル。
【請求項6】
透明又は半透明の対象物と、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の転写ラベルとが、前記転写ラベルの糊層で接着している被貼付物。
【請求項7】
離型基材の上にトナーを印刷することで第一画像層を設ける第一プリント工程と、前記第一画像層の上にマスキング層を設けるマスキング工程と、前記マスキング層の上にトナーを印刷することで第二画像層を設ける第二プリント工程と、前記第二画像層の上に直接に糊層を設ける糊層配置工程と、を含む転写ラベルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写ラベル及びその製造方法と、粘着ラベル及びその製造方法と、転写ラベルまたは粘着ラベルが貼り付けられた被貼付物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、転写ラベルは、画像層と、基材と接着するための糊層とを備える。転写ラベルが貼り付けられる対象物の色によって、画像層の発色性が低下することがある。画像層の発色性を向上させるため、画像層と糊層との間に白色の層を設けることが行われている。
【0003】
例えば特許文献1には、水溶性糊料の表面に白色のトナー画像を設けると共に、白色のトナー画像の表面に油性カラーインクを設けた転写ラベルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−146015号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の転写ラベルをガラス等の対象物に貼り付ける場合、対象物の一方側から画像が視認され、対象物の他方側から白色のトナー画像が視認される。すなわち、対象物の片側からしか画像を視認することができない。
【0006】
特許文献1に記載の転写ラベルを対象物の両面に貼り付けることで、対象物の両側から画像を視認することができる。しかし、対象物が店舗等の窓ガラスである場合、当該対象物の屋外側の面に貼り付けられる転写ラベルは、劣化しやすい。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、対象物の片側に貼り付けるだけで、対象物の両側から画像を視認することができる転写ラベル及びその製造方法と、粘着ラベル及びその製造方法とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る転写ラベルは、トナーで形成された第一画像層と、
トナーで形成された第二画像層と、
前記第一画像層と前記第二画像層との間にあるマスキング層と、
前記第二画像層の上に直接に設けられた糊層と、を含む。
【0009】
本発明に係る被貼付物は、透明又は半透明の対象物と、前記転写ラベルとが、前記転写ラベルの糊層で接着している。
【0010】
本発明に係る転写ラベルの製造方法は、離型基材の上にトナーを印刷することで第一画像層を設ける第一プリント工程と、前記第一画像層の上にマスキング層を設けるマスキング工程と、前記マスキング層の上にトナーを印刷することで第二画像層を設ける第二プリント工程と、前記第二画像層の上に直接に糊層を設ける糊層配置工程と、を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る転写ラベル及び粘着ラベルは、対象物の片側に貼り付けるだけで、対象物の両側から画像を視認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の第一実施形態に係る転写ラべルの一例を示す概略の断面図である。
図2図2A及びBは、同上の転写ラベルが貼り付けられた被貼付物の一例を示す概略の斜視図である。
図3図3A図3Eは、同上の転写ラベルの製造方法をの一例を示す概略の断面図である。
図4図4は、本発明の第二の実施形態に係る粘着ラベルの一例を示す概略の断面図である。
図5図5A及びBは、同上の粘着ラベルが貼り付けられた被貼付物の一例を示す斜視図である。
図6図6A図6Cは、同上の粘着ラベルの製造方法の一例を示す概略の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
【0014】
図1は、第一の実施形態に係る転写ラベル1の一例を示す。転写ラベル1は、トナーで形成された第一画像層13と、トナーで形成された第二画像層15と、第一画像層13と第二画像層15との間にあるマスキング層14と、第二画像層15の上にある糊層16とを含む。
【0015】
図1に示すように、転写ラベル1は、離型基材10を含んでもよく、保護層17を含んでもよい。
【0016】
第一画像層13は、トナーで形成された画像の層である。第一画像層13に含まれるトナーとして、レーザープリンター、複写機等で使用される一般的なトナーを使用することができる。第一画像層13の厚みは、3〜10μmの範囲内であることが好ましい。第一画像層13の厚みが3μm以上であることにより、第一画像層13の強度と発色性を確保することができる。第一画像層13の厚みが10μm以下であることにより、転写ラベル1を薄くすることができる。その結果、転写ラベル1を対象物に接着した際、転写ラベルの剥離を抑制することができる。第一画像層13の平面視の形状は、特に限定されない。
【0017】
第二画像層15は、第一画像層13と同様に、トナーで形成された画像の層である。第二画像層15に含まれるトナーとして、レーザープリンター、複写機等で使用される一般的なトナーを使用することができる。第二画像層15の厚みは、3〜10μmの範囲内であることが好ましい。第二画像層15の厚みが3μm以上であることにより、第二画像層15の強度と発色性を確保することができる。第二画像層15の厚みが10μm以下であることにより、転写ラベル1を薄くすることができる。その結果、転写ラベルを対象物に接着した際、転写ラベルの剥離を抑制することができる。第二画像層15の平面視の形状は、特に限定されない。
【0018】
マスキング層14は、第一画像層13と第二画像層15との間に設けられる透明でない層である。マスキング層14は、トナー層、顔料箔、インク層のいずれかであることが好ましい。マスキング層14の厚みは3〜15μmの範囲内であることが好ましい。マスキング層14の厚みが3μm以上であることにより、マスキング層14の強度と隠蔽性を確保することができる。マスキング層14の厚みが15μm以下であることにより、転写ラベル1を薄くすることができる。その結果、転写ラベル1を対象物に接着した際、転写ラベルの剥離を抑制することができる。マスキング層14の平面視の形状は、第一画像層13又は第二画像層15と同じであってもよく、大きくてもよい。
【0019】
マスキング層14の色は、特に限定されない。マスキング層14は、単色であってもよく、多色であってもよい。マスキング層14は模様、画像等を有していてもよい。例えば、マスキング層14が白色である場合、第一画像層13及び第二画像層15の発色性を特に向上させることができる。例えば、マスキング層14が銀色である場合、第一画像層13及び第二画像層15を金属調に見せることができる。第一画像層13又は第二画像層15が白色の文字を含む場合、例えば、マスキング層14が黒色であってもよい。多様な色のマスキング層を使うことで、第一画像層及び第二画像層に視覚的な変化を付与することができる。これにより、意匠性に富む転写ラベル1を作成することができる。
【0020】
マスキング層14は、第一画像層13及び第二画像層15と接着していることが好ましい。この場合、マスキング層14から第一画像層13及び第二画像層15が剥離することを抑制することができる。マスキング層14と第一画像層13とは、第一画像層13のトナーの融解によって、接着され得る。マスキング層14と第二画像層15とは、第二画像層15のトナーの融解によって、接着され得る。マスキング層14がトナー層である場合、第一画像層13のトナーとマスキング層14のトナーとが接着し、第二画像層15のトナーとマスキング層14のトナーとが接着し得る。
【0021】
糊層16は粘着性を有する透明な層である。糊層16は、転写ラベルに使用される一般的な糊料で形成することができる。糊層16は、例えば、水溶性糊、有機溶剤系の糊、水性糊等で形成することができる。水溶性糊は、例えば、アクリル酸エステル系の水溶性糊である。糊層16の厚みは、5〜15μmの範囲内であることが好ましい。糊層16の厚みが5μm以上であることにより、貼り付けられた転写ラベル1の剥離を抑制することができる。糊層16の厚みが15μm以下であることにより、転写ラベル1を薄くすることができる。
【0022】
離型基材10は、第一画像層13の下にある。離型基材10は、第一画像層13を構成する際の基板であり、さらに転写ラベル1を対象物に貼りつけた後に容易に剥がすことができる。離型基材10の第一画像層13と接する面は離型性を有する。離型基材10は、例えば、一般的な転写ラベルに用いられる離型フィルムである。離型基材10は透明又は半透明であることが好ましい。この場合、転写ラベル1の使用前において、離型基材10を介して第一画像層13を視認することができる。図1に示すように、離型基材10は、ベース基材11と離型層12とから構成されてもよい。この場合、第一画像層13は、離型層12と接着される。例えば、ベース基材11は透明又は半透明なフィルムであり、離型層12はシリコンなどの高分子で形成された離型性を有する層である。
【0023】
図1に示すように、転写ラベル1は保護層17を含んでいてもよい。保護層17は糊層16の上にある。保護層17は、未使用の転写ラベル1の糊層16が外部に晒されることを抑制することができる。保護層17は、例えば一般的な転写シートに用いられる保護シートである。保護層17は離型性を有する基材であることが好ましい。
【0024】
図1に示す転写ラベル1は離型基材10及び保護層17を含むが、転写ラベル1の構成は、図1に示すものに限定されない。例えば、転写ラベル1は、保護層17を含んでいなくてもよい。例えば、転写ラベル1は、離型基材10を含んでいなくてもよい。
【0025】
図2A〜Bは、転写ラベル1が貼り付けられた被貼付物2を示す。被貼付物2において、透明又は半透明の対象物20と、転写ラベル1とが、転写ラベル1の糊層16で接着されている。図2A〜Bにおいて、転写ラベル1は、対象物20と糊層16で接着された後、離型基材10が剥離されている。すなわち、図2A〜Bにおける転写ラベル1は、糊層16から、第二画像層15、マスキング層14、第一画像層13の順で構成されている。
【0026】
図2Aで示されるように、被貼付物2を、対象物20の転写ラベル1が貼り付けられた側から見ると、第一画像層13が見える。図2Bで示されるように、被貼付物2を、対象物20の転写ラベル1が貼り付けられていない側からみると、第二画像層15が見える。すなわち、被貼付物2では、転写ラベル1が対象物20の片側のみに貼り付けられているにも関わらず、対象物20の両側から画像を視認することができる。
【0027】
図3A図3Eは、第一の実施形態の転写ラベル1の製造方法の一例を示す。
【0028】
この製造方法は、離型基材10の上にトナーを印刷することで第一画像層13を設ける第一プリント工程と、第一画像層13の上にマスキング層14を設けるマスキング工程と、マスキング層14の上にトナーを印刷することで第二画像層15を設ける第二プリント工程と、第二画像層15の上に糊層16を設ける糊層配置工程と、を含む。この製造方法は、第二画像層15を構成した後、加熱及び加圧を行う加熱加圧工程を含んでいてもよい。この製造方法は、糊層16の上に保護層17を設ける保護工程を含んでもよい。
【0029】
図3Aに示すように、第一プリント工程では、離型基材10の上にトナーを印刷することにより、第一画像層13を設ける。第一の実施形態では、離型基材10に含まれる離型層12の上にトナーが印刷される。トナーを印刷する方法は特に限定されない。印刷装置として、例えば、レーザープリンター、複写機等を使用することができる。印刷装置は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、ホワイト、金色、銀色等の色のトナー及び透明のクリアトナー等を印刷可能であることが好ましい。印刷装置は、例えば、リコー(株)製、沖データ(株)製、又は富士ゼロックス(株)製の五色機プリンターであってもよい。第一プリント工程において、離型層12の上にトナーを配置した後、加熱及び加圧を行ってもよい。この場合、第一画像層13を安定化させることができる。加熱及び加圧の方法として、印刷装置に含まれる定着ロールを使用することができる。
【0030】
図3Bに示すように、マスキング工程では、第一画像層13の上にマスキング層14を設ける。
【0031】
マスキング層14がトナー画像である場合、例えば、第一画像層13の上にトナーを印刷することにより、マスキング層14を形成することができる。トナーの色は特に限定されない。トナーを印刷する方法は特に限定されない。例えば、第一画像層13の形成に使用した印刷装置を使用することができる。マスキング工程において、第一画像層13の上にトナーを配置した後、加熱及び加圧を行ってもよい。この場合、マスキング層14を安定化させることができると共に、第一画像層13とマスキング層14とを接着させることができる。
【0032】
マスキング層14が顔料箔である場合、例えば、第一画像層13の上に顔料箔を貼り付けることにより、マスキング層14を形成することができる。顔料箔の色は特に限定されない。顔料箔を貼り付ける方法は特に限定されない。例えば、加熱及び加圧を行うため、市販のラミネーターやアイロンを使用してもよい。
【0033】
マスキング層14がインク層である場合、例えば、第一画像層13の上にインクを塗布することにより、マスキング層14を形成することができる。インクの色は特に限定されない。インクを塗布する方法は特に限定されない。例えば、第一画像層13の上にインクジェットプリンターを用いてインクを塗布してもよく、第一画像層13の上に、刷毛、筆等でインクを塗布してもよい。
【0034】
図3Cに示すように、第二プリント工程では、マスキング層14の上にトナーを印刷することにより、第二画像層15を設ける。トナーを印刷する方法は特に限定されない。トナーを印刷するための印刷装置として、例えば、第一画像層13の形成に使用した印刷装置を
使用することができる。第二プリント工程において、マスキング層14の上にトナーを配置した後、加熱及び加圧を行ってもよい。この場合、第二画像層15を安定化させることができると共に、第二画像層15とマスキング層14とを融着させることができる。すなわち、マスキング層14と、第一画像層13及び第二画像層15とを接着させることができる。
【0035】
第一の実施形態の転写ラベル1の製造方法では、更に、第二プリント工程の後に第一画像層13、マスキング層14及び第二画像層15を、加熱及び加圧してもよい(加熱加圧工程)。これにより、第二画像層15とマスキング層14と第一画像層13とが強固に接着され得る。この場合、転写ラベル1の強度を向上させることができると共に、マスキング層14からの第一画像層13及び第二画像層15の剥離を抑制することができる。加熱加圧工程では、第二画像層15の上に耐熱性を有する離型シート(耐熱離型シート)を設けた状態で、加熱及び加圧することが好ましい。加熱温度が120〜130℃の範囲内であることが好ましく、加熱及び加圧速度が1.5〜2.3cm/sの範囲内であることが好ましい。この場合、第一画像層13及び第二画像層15を、マスキング層14に強固に接着させることができる。加熱及び加圧は、例えば、市販のラミネーターやアイロンによって行うことができる。加熱及び加圧した後には、第一画像層13、マスキング層14、第二画像層15を静置して冷却することが好ましい。これにより、第一画像層13及び第二画像層15をより安定化させることができる。静置する間、耐熱離型シートを第二画像層15から剥がさない方がよい。
【0036】
図3Dに示すように、糊層配置工程では、第二画像層15の上に糊層16を設ける。糊層16を設ける方法は特に限定されない。例えば、糊層16の材料として水溶性糊料を使用する場合には、第二画像層15の上に水溶性糊料を塗布することにより、糊層16を形成することができる。これにより、離型基材10、第一画像層13、マスキング層14、第二画像層15、及び糊層16を含む転写ラベル1が形成される。
【0037】
図3Eに示すように、糊層16の上に保護層17を設けてもよい(保護工程)。保護工程では、例えば、糊層16の上に保護層17が貼り付けられる。
【0038】
上記の転写ラベル1の製造方法では、第一画像層13及び第二画像層15がトナーの印刷によって形成されているため、転写ラベル1を高い精度で、短時間に、容易に製造することができる。
【0039】
特に、マスキング層14がトナー層である場合には、第一画像層13、マスキング層14、及び第二画像層15の全てをトナーの印刷によって、形成することができる。この場合、転写ラベル1を特に短時間に、特に容易に製造することができる。
【0040】
また、図2Aに示すように、被貼付物2を対象物20の転写ラベル1が貼り付けられた側から見る場合、第一画像層13の裏面131が視認される。裏面131は、第一画像層13を印刷で形成した際に下方に配置される面であり、通常は視認されない面である。第一の実施形態において、第一画像層13はトナーの印刷で形成されるため、裏面131の画像を鮮明にすることができる。
【0041】
図4は、第二の実施形態に係る粘着ラベル3の一例を示す。粘着ラベル3は、トナーを含む第一画像層33と、トナーを含む第二画像層35と、第一画像層33と第二画像層35との間にあるマスキング層34と、第一画像層33の下にある粘着基材30とを含む。
【0042】
図4に示すように、粘着ラベル3は、保護層36を含んでもよい。
【0043】
第一画像層33は、トナーで形成された画像の層である。第一画像層33に含まれるトナーは、第一の実施形態の転写ラベル1における第一画像層13に含まれるトナーと同じである。第一画像層33の厚みは、3〜10μmの範囲内であることが好ましい。第一画像層33の厚みが3μm以上であることにより、第一画像層33の強度と発色性を確保することができる。第一画像層33の厚みが10μm以下であることにより、粘着ラベル3を薄くすることができる。その結果、粘着ラベル3を対象物に接着した後の粘着ラベル3の剥離を抑制することができる。第一画像層33の平面視の形状は、特に限定されない。
【0044】
第二画像層35は、第一画像層33と同様に、トナーで形成された画像の層である。第二画像層35に含まれるトナーは、第一の実施形態の転写ラベル1における第二画像層15に含まれるトナーと同じである。第二画像層35の厚みは、3〜10μmの範囲内であることが好ましい。第二画像層35の厚みが3μm以上であることにより、第二画像層35の強度と発色性を確保することができる。第二画像層35の厚みが10μm以下であることにより、粘着ラベル3を薄くすることができる。その結果、粘着ラベル3を対象物に接着した後の粘着ラベル3の剥離を抑制することができる。第二画像層35の平面視の形状は、特に限定されない。
【0045】
マスキング層34は、第一画像層33と第二画像層35との間に設けられる透明でない層である。マスキング層34は、第一の実施形態の転写ラベル1におけるマスキング層14と同じ材料で形成される。すなわち、マスキング層34は、トナー層、顔料箔、インク層のいずれかであることが好ましい。マスキング層34の厚みは3〜15μmの範囲内であることが好ましい。マスキング層34の厚みが3μm以上であることにより、マスキング層34の強度と発色性を確保することができる。マスキング層34の厚みが15μm以下であることにより、粘着ラベル3を薄くすることができる。その結果、粘着ラベル3を対象物に接着した後の粘着ラベル3の剥離を抑制することができる。マスキング層34の平面視の形状は、第一画像層33又は第二画像層35の面積と同じであってもよく、大きくてもよい。
【0046】
マスキング層34は、第一画像層33及び第二画像層35と接着していることが好ましい。この場合、マスキング層34から第一画像層33及び第二画像層35が剥離することを抑制することができる。マスキング層34と第一画像層33とは、第一画像層33のトナーの融解によって、接着され得る。マスキング層34と第二画像層35とは、第二画像層35のトナーの融解によって、接着され得る。マスキング層34がトナー層である場合、第一画像層33のトナーとマスキング層34のトナーとが接着し、第二画像層35のトナーとマスキング層34のトナーとが接着し得る。
【0047】
粘着基材30は、透明であり、第一画像層33の下にある。粘着基材30によって、粘着ラベル3を対象物に接着することができる。粘着基材30は、例えば、一般的な粘着ラベルに用いられる粘着基材である。粘着基材30の第一画像層33とは反対側の面は粘着性を有する。図4に示すように、粘着基材30は、ベース基材32と粘着層31とから構成されてもよい。この場合、第一画像層33は、ベース基材32と接着される。例えば、ベース基材32は透明なフィルムであり、粘着層31は粘着性を有する層である。粘着層31の材料は特に限定されない。
【0048】
図4に示すように、粘着ラベル3は保護層36を含んでいてもよい。保護層36は粘着基材31の下にある。保護層36は、未使用の粘着ラベル3の粘着基材30が外部に晒されることを抑制することができる。保護層36は、例えば一般的な粘着ラベルに用いられる保護シートである。保護層36は離型性を有する基材であることが好ましい。
【0049】
図4に示す粘着ラベル3は保護層36を含むが、粘着ラベル3の構成は、図4に示すものに限定されない。例えば、粘着ラベル3は、保護層36を含んでいなくてもよい。
【0050】
図5A〜Bは、粘着ラベル3が貼り付けられた被貼付物4を示す。被貼付物4において、透明又は半透明の対象物40と、粘着ラベル3とが、粘着ラベル3の粘着基材30で接着されている。図5A〜Bにおいて、粘着ラベル3は保護層36を含まない。
【0051】
図5Aで示されるように、被貼付物4を、対象物40の粘着ラベル3が貼り付けられた側から見ると、第二画像層35が見える。図5Bで示されるように、被貼付物4を、対象物40の粘着ラベル3が貼り付けられていない側からみると、第一画像層33が見える。すなわち、被貼付物4では、粘着ラベル3が対象物40の片側のみに貼り付けられているにも関わらず、対象物40の両側から画像を視認することができる。
【0052】
図6A図6Cは、第二の実施形態の粘着ラベル3の製造方法の一例を示す。
【0053】
この製造方法は、粘着基材30の上にトナーを印刷することで第一画像層33を設ける第一プリント工程と、第一画像層33の上にマスキング層34を設けるマスキング工程と、マスキング層34の上にトナーを印刷することで第二画像層35を設ける第二プリント工程とを含む。この製造方法は、粘着ラベル3に加熱及び加圧を行う加熱加圧工程を含んでいてもよい。
【0054】
図6Aに示すように、第一プリント工程では、粘着基材30の上にトナーを印刷することにより、第一画像層33が設けられる。第二の実施形態では、粘着基材30に含まれるベース基材32の上にトナーが印刷される。トナーを印刷する方法は特に限定されない。印刷装置として、第一の実施形態の転写ラベル1の製造方法における第一画像層13の形成に使用した印刷装置を使用することができる。第一プリント工程において、ベース基材32の上にトナーを配置した後、加熱及び加圧を行ってもよい。この場合、第一画像層33を安定化させることができると共に、粘着基材30と第一画像層33とを強固に接着することができる。加熱及び加圧の方法として、印刷装置に含まれる定着ロールを使用することができる。第一プリント工程では、図6Aに示すように、粘着基材30の下に保護層36が設けられていてもよい。すなわち、保護層36が設けられた粘着基材30の上に、第一画像層33を設けてもよい。
【0055】
図6Bに示すように、マスキング工程では、第一画像層33の上にマスキング層34を設ける。
【0056】
マスキング層34がトナー層である場合、例えば、第一画像層33の上にトナーを印刷することにより、マスキング層34を形成することができる。トナーの色は特に限定されない。トナーを印刷する方法は特に限定されない。例えば、第一画像層33の形成に使用した印刷装置を使用することができる。マスキング工程において、第一画像層33の上にトナーを配置した後、加熱及び加圧を加熱を行ってもよい。この場合、マスキング層34を安定化させることができると共に、第一画像層33とマスキング層34とを接着させることができる。
【0057】
マスキング層34が顔料箔である場合、例えば、第一画像層33の上に顔料箔を貼り付けることにより、マスキング層34を形成することができる。顔料箔の色は特に限定されない。顔料箔を貼り付ける方法は特に限定されない。例えば、加熱及び加圧を行うため、市販のラミネーターやアイロンを使用してもよい。
【0058】
マスキング層34がインク層である場合、例えば、第一画像層33の上にインクを塗布することにより、マスキング層34を形成することができる。インクの色は特に限定されない。インクを塗布する方法は特に限定されない。例えば、第一画像層33の上にインクジェットプリンターを用いてインクを塗布してもよく、第一画像層33の上に、刷毛、筆等でインクを塗布してもよい。
【0059】
図6Cに示すように、第二プリント工程では、マスキング層34の上にトナーを印刷することにより、第二画像層35を設ける。トナーを印刷する方法は特に限定されない。トナーを印刷するための印刷装置として、例えば、第一画像層33の形成に使用した印刷装置を使用することができる。第二プリント工程において、マスキング層34の上にトナーを配置した後、加熱及び加圧を行っ
てもよい。この場合、第二画像層35を安定化させることができると共に、第二画像層35とマスキング層34とを融着させることができる。すなわち、マスキング層34と、第一画像層33及び第二画像層35とを接着させることができる。
【0060】
加熱加圧工程では、粘着ラベル3を加熱及び加圧する。これにより、マスキング層34と第一画像層33とが強固に接着され、マスキング層34と第二画像層35とが強固に接着される。この場合、粘着ラベル3の強度を向上させることができると共に、マスキング層34からの第一画像層33及び第二画像層35の剥離を抑制することができる。加熱加圧工程では、第二画像層35の上に耐熱性を有する離型シートを設けた状態で、粘着ラベル3を加熱及び加圧することが好ましい。加熱温度が120〜130℃の範囲内であることが好ましく、加熱及び加圧速度が1.5〜2.3cm/sの範囲内であることが好ましい。この場合、第一画像層33及び第二画像層35を、マスキング層34に強固に接着させることができる。加熱及び加圧は、例えば、市販のラミネーター、アイロン等によって行うことができる。加熱及び加圧した後には、第一画像層33、マスキング層34、第二画像層35を静置して冷却することが好ましい。これにより、第一画像層33及び第二画像層35をより安定化させることができる。静置する間、耐熱性を有する離型シートを第二画像層35から剥がさない方がよい。
【0061】
上記の粘着ラベル3の製造方法では、第一画像層33及び第二画像層35がトナーの印刷によって形成されているため、粘着ラベル3を高い精度で、短時間に、容易に製造することができる。
【0062】
特に、マスキング層34がトナー層である場合には、第一画像層33、マスキング層34、及び第二画像層35の全てをトナーの印刷によって、形成することができる。この場合、粘着ラベル3を特に短時間に、特に容易に製造することができる。
【0063】
また、図5Bに示すように、被貼付物4を対象物40の粘着ラベル3が貼り付けられていない側からみる場合には、第一画像層33の裏面331が視認される。裏面331は、第一画像層33を印刷で形成した際に下方に配置される面であり、通常は視認されない面である。第二の実施形態では、第一画像層33をトナーの印刷によって形成することにより、裏面331の画像を鮮明にすることができる。
【実施例】
【0064】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
【0065】
<実施例1−1> ・離型基材の準備 まず、離型基材として、市販されている転写ラベル用の離型基材を用意した。この離型基材は、透明なPET製のシートであり、表面にシリコン製の離型層を有していた。
【0066】
・第一プリント工程 次に、離型基材の離型層の上に、印刷装置によってトナーを印刷することにより、第一画像層を形成した。印刷装置として、株式会社沖データ製の商品名MICROLINE VINCI C941dnを使用した。
【0067】
・マスキング工程 次に、第一画像層の上に、第一プリント工程で使用した印刷装置によって白色のトナーを印刷することにより、マスキング層を形成した。マスキング層の面積は、第一画像層の面積と同じであった。
【0068】
・第二プリント工程 次に、マスキング層の上に、第一プリント工程及び第二プリント工程で使用した印刷装置によってトナーを印刷することにより、第二画像層を形成した。第二画像層の面積は、第一画像層及びマスキング層と同じであった。
【0069】
・加熱加圧工程 次に、第二画像層の上に耐熱性の離型シートを配置した後、市販のラミネーターにより、第一画像層、マスキング層及び第二画像層を、加熱及び加圧した。加熱温度は125℃、加熱速度は2.3cm/sに設定した。加熱及び加圧した後、数分の間、第一画像層、マスキング層及び第二画像層を静置した。静置の後、耐熱性の離型シートを取除いた。
【0070】
・糊層配置工程 次に、第二画像層の上に、アクリル酸エステル系水溶性糊を塗布することにより、糊層を形成した。
【0071】
・保護工程 次に、糊層の上に、市販の保護シートを配置して、保護層を形成した。
【0072】
上記の工程によって、離型基材と、第一画像層と、マスキング層と、第二画像層と、糊層と、保護層とを備える転写ラベルが得られた。
【0073】
<実施例1−2> マスキング工程において、第一画像層に顔料箔を貼りつけてマスキング層を形成したこと以外は、実施例1−1と同様にして転写ラベルを製造した。
【0074】
<実施例1−3> マスキング工程において、第一画像層にインクを塗布してマスキング層を形成したこと以外は、実施例1−1と同様にして転写ラベルを製造した。
【0075】
<転写ラベルの評価> 実施例1−1〜実施例1−3の転写ラベルから、保護層を取除くことにより糊層を露出させ、糊層と透明な対象物とを接着した。更に転写ラベルから離型基材を取除いた。これにより、透明な対象物の上に、第一画像層、マスキング層、第二画像層が設けられた被貼付物が得られた。被貼付物の転写ラベルが貼り付けられた側からは第一画像層を見ることができた。また、被貼付物の転写ラベルが貼り付けられていない側からは第二画像層を見ることができた。すなわち、透明な対象物の片側にのみ転写ラベルが貼り付けられているにも関わらず、透明な対象物の両側から画像を視認することができた。
【0076】
<実施例2−1> ・粘着基材の準備 まず、粘着基材として、市販されている粘着ラベル用の粘着フィルムを用意した。この粘着フィルムは、保護フィルム(保護層)の上に設けられていた。また粘着フィルムは、透明フィルムと粘着層とを備えていた。
【0077】
・第一プリント工程 次に、粘着基材の透明フィルムの上に、印刷装置によってトナーを印刷することにより、第一画像層を形成した。印刷装置として、株式会社沖データ製の商品名MICROLINE VINCI C941dnを使用した。
【0078】
・マスキング工程 次に、第一画像層の上に、第一プリント工程で使用した印刷装置によって白色のトナーを印刷することにより、マスキング層を形成した。マスキング層の面積は、第一画像層の面積と同じであった。
【0079】
・第二プリント工程 次に、マスキング層の上に、第一プリント工程及び第二プリント工程で使用した印刷装置によってトナーを印刷することにより、第二画像層を形成した。第二画像層の面積は、第一画像層及びマスキング層と同じであった。
【0080】
・加熱加圧工程 次に、第二画像層の上に耐熱性のシートを配置した後、市販のラミネーターにより、第一画像層、マスキング層及び第二画像層を、加熱及び加圧した。加熱及び加圧した後、数分の間、第一画像層、マスキング層及び第二画像層を静置した。静置の後、耐熱性のシートを取除いた。
【0081】
上記の工程によって、保護層と、粘着基材と、第一画像層と、マスキング層と、第二画像層とを備える粘着ラベルが得られた。
【0082】
<実施例2−2> マスキング工程において、第一画像層に顔料箔を貼りつけてマスキング層を形成したこと以外は、実施例2−1と同様にして転写ラベルを製造した。
【0083】
<実施例2−3> マスキング工程において、第一画像層にインクを塗布してマスキング層を形成したこと以外は、実施例2−1と同様にして転写ラベルを製造した。
【0084】
<粘着ラベルの評価> 実施例2−1〜実施例2−3の転写ラベルから保護層を取除くことにより粘着層を露出させ、粘着層と透明な対象物とを接着した。これにより、透明な対象物の上に、粘着基材、第一画像層、マスキング層、第二画像層が設けられた被貼付物が得られた。被貼付物の粘着ラベルが貼り付けられた側からは第二画像層を見ることができた。また、被貼付物の粘着ラベルが貼り付けられていない側からは第一画像層を見ることができた。すなわち、透明な対象物の片側にのみ粘着ラベルが貼り付けられているにも関わらず、透明な対象物の両側から画像を視認することができた。
【符号の説明】
【0085】
1 転写ラベル 10 離型基材 13 第一画像層 14 マスキング層 15 第二画像層 16 糊層 17 保護層 2 被貼付物 20 対象物 3 粘着ラべル 30 粘着基材 33 第一画像層 34 マスキング層 35 第二画像層 36 保護層 4 被貼付物 40 対象物
図1
図2
図3
図4
図5
図6