【実施例】
【0023】
実施例1
リン含有ビスフェノール化合物A1(DMP)の合成
【化23】
【0024】
10.81g(0.05モル)の9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド(DOPO)、23.5g(0.25モル)のフェノール、6.81g(0.05モル)の4'−ヒドロキシアセトフェノンおよび0.432g(DOPOの重量に基づいては4重量%)のp−トルエンスルホン酸を、250mlの三つ口フラスコ反応器において混合して、予め室温で攪拌した。反応物を130℃で24時間攪拌し続けて、混合物を形成した後、混合物を室温まで冷却した。冷却した混合物から分離した粗生成物をエタノールで洗浄し、ろ過および乾燥を行い、白色の粉末を得た。この白色の粉末は、リン含有ビスフェノール化合物A1であった。
上記のリン含有ビスフェノール化合物A1は、収率が85%であり、融点が306℃であった。元素分析により測定されたC、H、O元素の値は、それぞれ、72.48%、4.65%および14.90%(理論値は、C:72.89%、H:4.65%、O:14.94%)であった。
【0025】
実施例2
リン含有ビスフェノール化合物A2の合成
【化24】
【0026】
10.81g(0.05モル)のDOPO、36g(0.25モル)の2−ナフトール、6.81g(0.05モル)の4'−ヒドロキシアセトフェノンおよび0.432g(DOPOの重量に基づいては4重量%)のp−トルエンスルホン酸を、250mlの三つ口フラスコ反応器において混合して、予め室温で攪拌した。反応物を130℃で24時間攪拌し続けて、混合物を形成した後、混合物を室温まで冷却した。冷却した混合物から分離した粗生成物をエタノールで洗浄し、ろ過および乾燥を行い、白色の粉末を得た。この白色の粉末は、リン含有ビスフェノール化合物A2であった。
上記のリン含有ビスフェノール化合物A2は、収率が85%であり、融点が317℃であった。元素分析により測定されたC、H、O元素の値は、それぞれ、75.54%、4.58%および13.56% (理論値は、C:75.31%、H:4.85%、O:13.38%)であった。
【0027】
実施例3
リン含有ビスフェノール化合物A3の合成
【化25】
【0028】
10.81g(0.05モル)のDOPO、36g(0.25モル)の2−ナフトール、9.01g(0.05モル)の6−アセチル−2−ナフトールおよび0.432g(DOPOの重量に基づいては4重量%)のp−トルエンスルホン酸を、250mlの三つ口フラスコ反応器において混合して、予め室温で攪拌した。反応物を130℃で24時間攪拌し続けて、混合物を形成した後、混合物を室温まで冷却した。冷却した混合物から分離した粗生成物をエタノールで洗浄し、ろ過および乾燥を行い、白色の粉末を得た。この白色の粉末は、リン含有ビスフェノール化合物A3であった。
上記のリン含有ビスフェノール化合物A3は、収率が80%であり、融点が338℃であった。元素分析により測定されたC、H、O元素の値は、それぞれ、77.69%、4.17%および12.25%(理論値は、C:77.26%、H:4.76%、O:12.11%)であった。
【0029】
実施例4
エステル置換されたリン含有ビスフェノール化合物B1の合成
【化26】
【0030】
428g(1モル)のDMP(リン含有ビスフェノール化合物A1)、303.9g(2.2モル)の炭酸カリウムおよび1000gのアセトンを、電気加熱ジャケット、温度調節器、電動撹拌機および撹拌棒、窒素ガス入口、熱電対、水冷式冷却器および供給漏斗(feed funnel)を備えた五つ口ガラス反応器に添加した。まず、50℃で、309.5g(2.2モル)のベンゾイルクロリドを1時間かけて反応器へ滴下し、4時間反応させた。その後、物質を室温まで冷却するとともに、反応器においては、エステル置換されたリン含有ビスフェノール化合物および付加反応により生成した副生成物である塩が沈殿した。反応により生成した副生成物である塩を除去するために、沈殿物を水で洗浄し、生成物をろ過により分離した。最後、生成物を120℃の温度で乾燥させ、得られた白色の粉末は、エステル置換されたリン含有ビスフェノール化合物B1であった。
FT−IR分析により 、1700cm
-1における吸収ピークのカルボニル基は検出され、3300cm
-1における吸収ピークのOH基は検出されなかった。上記のエステル置換されたリン含有ビスフェノール化合物B1は、収率が88%であり、融点が180℃であった。
【0031】
実施例5
エステル置換されたリン含有ビスフェノール化合物B2の合成
【化27】
【0032】
428g(1モル)のDMP(リン含有ビスフェノール化合物A1)、 303.9g(2.2モル)の炭酸カリウムおよび1000gのアセトンを、電気加熱ジャケット、温度調節器、電動撹拌機および撹拌棒、窒素ガス入口、熱電対、水冷式冷却器および供給漏斗を備えた五つ口ガラス反応器に添加した。まず、50℃で、418g(2.2モル)のナフトイルクロリドを1時間かけて反応器へ滴下し、4時間反応させた。その後、物質を室温まで冷却するとともに、反応器においては、エステル置換されたリン含有ビスフェノール化合物および付加反応により生成した副生成物である塩が沈殿した。反応により生成した副生成物である塩を除去するために、沈殿物を水で洗浄し、生成物をろ過により分離した。最後、生成物を120℃の温度で乾燥させ、得られた白色の粉末は、エステル置換されたリン含有ビスフェノール化合物B2であった。
FT−IR分析により 、1700cm
-1における吸収ピークのカルボニル基は検出され、3300cm
-1における吸収ピークのOH基は検出されなかった。上記のエステル置換されたリン含有ビスフェノール化合物B2は、収率が85%であり、融点が180℃であった。
【0033】
実施例6
エステル置換されたリン含有ビスフェノール化合物B3の合成
【化28】
【0034】
428g(1モル)のDMP(リン含有ビスフェノール化合物A1)、 303.9g(2.2モル)の炭酸カリウムおよび1000gのアセトンを、電気加熱ジャケット、温度調節器、電動撹拌機および撹拌棒、窒素ガス入口、熱電対、水冷式冷却器および供給漏斗を備えた五つ口ガラス反応器に添加した。まず、50℃で、172.7g(2.2モル)のアセチルクロリドを1時間かけて反応器へ滴下し、4時間反応させた。その後、物質を室温まで冷却するとともに、反応器においては、エステル置換されたリン含有ビスフェノール化合物および付加反応により生成した副生成物である塩が沈殿した。反応により生成した副生成物である塩を除去するために、沈殿物を水で洗浄し、生成物をろ過により分離した。最後、生成物を120℃の温度で乾燥させ、得られた白色の粉末は、エステル置換されたリン含有ビスフェノール化合物B3であった。
FT−IR分析により 、1700cm
-1における吸収ピークのカルボニル基は検出され、3300cm
-1における吸収ピークのOH基は検出されなかった。上記のエステル置換されたリン含有ビスフェノール化合物B3は、収率が89%であり、融点が180℃であった。
【0035】
実施例7
エステル置換されたリン含有ビスフェノール化合物
B4の合成
【化29】
【0036】
428g(1モル)のDMP(リン含有ビスフェノール化合物A1)、497.7g(2.2モル)の安息香酸無水物および0.173gの1−メチルイミダゾールを、電気加熱ジャケット、温度調節器、電動撹拌機および撹拌棒、窒素ガス入口、熱電対、水冷式冷却器および供給漏斗を備えた五つ口ガラス反応器に添加した。まず、50℃で、497.7g(2.2モル)の安息香酸無水物を1時間かけて反応器へ滴下し、4時間反応させた。その後、物質を室温まで冷却するとともに、反応器においては、エステル置換されたリン含有ビスフェノール化合物および付加反応により生成した副生成物である塩が沈殿した。反応により生成した副生成物である塩を除去するために、沈殿物を水で洗浄し、生成物をろ過により分離した。最後、生成物を120℃の温度で乾燥させ、得られた白色の粉末は、エステル置換されたリン含有ビスフェノール化合物B
4であった。
FT−IR分析により 、1700cm
-1における吸収ピークのカルボニル基は検出され、3300cm
-1における吸収ピークのOH基は検出されなかった。上記のエステル置換されたリン含有ビスフェノール化合物は、収率が79%であり、融点が180℃であった。
【0037】
実施例8
エステル置換されたリン含有ビスフェノール化合物B
5の合成
【化30】
【0038】
428g(1モル)のDMP(リン含有ビスフェノール化合物A1)、340g(2.2モル)の無水酢酸および0.173gの1−メチルイミダゾールを、電気加熱ジャケット、温度調節器、電動撹拌機および撹拌棒、窒素ガス入口、熱電対、水冷式冷却器および供給漏斗を備えた五つ口ガラス反応器に添加した。まず、50℃で、340g(2.2モル)の無水酢酸を1時間かけて反応器へ滴下し、4時間反応させた。その後、物質を室温まで冷却するとともに、反応器においては、エステル置換されたリン含有ビスフェノール化合物および付加反応により生成した副生成物である塩が沈殿した。反応により生成した副生成物である塩を除去するために、沈殿物を水で洗浄し、生成物をろ過により分離した。最後、生成物を120℃の温度で乾燥させ、得られた白色の粉末は、エステル置換されたリン含有ビスフェノール化合物B
5であった。
FT−IR分析により 、1700cm
-1における吸収ピークのカルボニル基は検出され、3300cm
-1における吸収ピークのOH基は検出されなかった。上記のエステル置換されたリン含有ビスフェノール化合物は、収率が81%であり、融点が180℃であった。
【0039】
実施例9〜31
以下の組成成分は、実施例9〜26に使用された。
【0040】
【表A】
【0041】
実施例9
リン含有エポキシ樹脂C1の合成
【化31】
【0042】
100gのエポキシ樹脂1および70gのエステル置換されたリン含有ビスフェノール化合物B1を、電気加熱ジャケット、温度調節器、電動撹拌機および撹拌棒、窒素ガス入口、熱電対、水冷式冷却器、供給漏斗を備えた五つ口ガラス反応器に入れた。反応器を130℃まで加熱し、窒素ガスを導入し、エポキシ樹脂1およびエステル置換されたリン含有ビスフェノール化合物B1が完全熔化してから、粗生成物を真空下で乾燥させた。窒素ガス導入と乾燥の工程を、二回以上繰り返し行った。反応器の温度が100℃から低下した際、0.8gの触媒Aを入れた。撹拌機を起動させ、樹脂と触媒を混合するとともに、窒素ガスを導入した。得られた混合物を170℃まで加熱し、反応物が徐々に放熱反応を行うことが確認された。反応物を170℃で2.5時間維持し、リン含有エポキシ樹脂(エポキシ樹脂C1)を得た。その当量は507.2g/当量であり、リン含有量の理論値は2.0wt%であった。それを均一にするために、生成物をメチルエチルケトン(MEK)に溶解して、固形成分含有量を70%に調整した。
【0043】
実施例10
リン含有エポキシ樹脂C2の合成
【化32】
【0044】
100gのエポキシ樹脂2および70gのエステル置換されたリン含有ビスフェノール化合物B1を、電気加熱ジャケット、温度調節器、電動撹拌機および撹拌棒、窒素ガス入口、熱電対、水冷式冷却器、供給漏斗を備えた五つ口ガラス反応器に入れた。反応器を130℃まで加熱し、窒素ガスを導入し、エポキシ樹脂2およびエステル置換されたリン含有ビスフェノール化合物B1が完全熔化してから、粗生成物を真空下で乾燥させた。窒素ガス導入と乾燥の工程を、二回以上繰り返し行った。反応器の温度が100℃から低下した際、0.8gの触媒Aを入れた。撹拌機を起動させ、樹脂と触媒を混合するとともに、窒素ガスを導入した。得られた混合物を170℃まで加熱し、反応物が徐々に放熱反応を行うことが確認された。反応物を170℃で2.5時間維持し、リン含有エポキシ樹脂(エポキシ樹脂C2)を得た。その当量は455.3g/当量であり、リン含有量の理論値は2.0wt%であった。それを均一にするために、生成物をメチルエチルケトン(MEK)に溶解して、固形成分含有量を70%に調整した。
【0045】
実施例11
リン含有エポキシ樹脂C3の合成
【化33】
【0046】
100gのエポキシ樹脂3および70gのエステル置換されたリン含有ビスフェノール化合物B1を、電気加熱ジャケット、温度調節器、電動撹拌機および撹拌棒、窒素ガス入口、熱電対、水冷式冷却器、供給漏斗を備えた五つ口ガラス反応器に入れた。反応器を130℃まで加熱し、窒素ガスを導入し、エポキシ樹脂3およびエステル置換されたリン含有ビスフェノール化合物B1が完全熔化してから、粗生成物を真空下で乾燥させた。窒素ガス導入と乾燥の工程を、二回以上繰り返し行った。反応器の温度が100℃から低下した際、0.8gの触媒Aを入れた。撹拌機を起動させ、樹脂と触媒を混合するとともに、窒素ガスを導入した。得られた混合物を170℃まで加熱し、反応物が徐々に放熱反応を行うことが確認された。反応物を170℃で2.5時間維持し、リン含有エポキシ樹脂(エポキシ樹脂C3)を得た。その当量は545.2g/当量であり、リン含有量の理論値は2.0wt%であった。それを均一にするために、生成物をメチルエチルケトン(MEK)に溶解して、固形成分含有量を70%に調整した。
【0047】
実施例12
リン含有エポキシ樹脂C4の合成
【化34】
【0048】
100gのエポキシ樹脂4および70gのエステル置換されたリン含有ビスフェノール化合物B1を、電気加熱ジャケット、温度調節器、電動撹拌機および撹拌棒、窒素ガス入口、熱電対、水冷式冷却器、供給漏斗を備えた五つ口ガラス反応器に入れた。反応器を130℃まで加熱し、窒素ガスを導入し、エポキシ樹脂4およびエステル置換されたリン含有ビスフェノール化合物B1が完全熔化してから、粗生成物を真空下で乾燥させた。窒素ガス導入と乾燥の工程を、二回以上繰り返し行った。反応器の温度が100℃から低下した際、0.8gの触媒Aを入れた。撹拌機を起動させ、樹脂と触媒を混合するとともに、窒素ガスを導入した。得られた混合物を170℃まで加熱し、反応物が徐々に放熱反応を行うことが確認された。反応物を170℃で2.5時間維持し、リン含有エポキシ樹脂(エポキシ樹脂C4)を得た。その当量は870g/当量であり、リン含有量の理論値は2.0wt%であった。それを均一にするために、生成物をメチルエチルケトン(MEK)に溶解して、固形成分含有量を70%に調整した。
【0049】
実施例13
リン含有エポキシ樹脂C5の合成
【化35】
【0050】
100gのエポキシ樹脂1および91gのエステル置換されたリン含有ビスフェノール化合物B2を、電気加熱ジャケット、温度調節器、電動撹拌機および撹拌棒、窒素ガス入口、熱電対、水冷式冷却器、供給漏斗を備えた五つ口ガラス反応器に入れた。反応器を130℃まで加熱し、窒素ガスを導入し、エポキシ樹脂1およびエステル置換されたリン含有ビスフェノール化合物B2が完全熔化してから、粗生成物を真空下で乾燥させた。窒素ガス導入と乾燥の工程を、二回以上繰り返し行った。反応器の温度が100℃から低下した際、0.9gの触媒Aを入れた。撹拌機を起動させ、樹脂と触媒を混合するとともに、窒素ガスを導入した。得られた混合物を170℃まで加熱し、反応物が徐々に放熱反応を行うことが確認された。反応物を170℃で2.5時間維持し、リン含有エポキシ樹脂(エポキシ樹脂C5)を得た。その当量は617.8g/当量であり、リン含有量の理論値は2.0wt%であった。それを均一にするために、生成物をメチルエチルケトン(MEK)に溶解して、固形成分含有量を70%に調整した。
【0051】
実施例14
リン含有エポキシ樹脂C6の合成
【化36】
【0052】
100gのエポキシ樹脂1および50gのエステル置換されたリン含有ビスフェノール化合物B3を、電気加熱ジャケット、温度調節器、電動撹拌機および撹拌棒、窒素ガス入口、熱電対、水冷式冷却器、供給漏斗を備えた五つ口ガラス反応器に入れた。反応器を130℃まで加熱し、窒素ガスを導入し、エポキシ樹脂1およびエステル置換されたリン含有ビスフェノール化合物B3が完全熔化してから、粗生成物を真空下で乾燥させた。窒素ガス導入と乾燥の工程を、二回以上繰り返し行った。反応器の温度が100℃から低下した際、0.8gの触媒Aを入れた。撹拌機を起動させ、樹脂と触媒を混合するとともに、窒素ガスを導入した。得られた混合物を170℃まで加熱し、反応物が徐々に放熱反応を行うことが確認された。反応物を170℃で2.5時間維持し、リン含有エポキシ樹脂(エポキシ樹脂C6)を得た。その当量は414.8g/当量であり、リン含有量の理論値は2.0wt%であった。それを均一にするために、生成物をメチルエチルケトン(MEK)に溶解して、固形成分含有量を70%に調整した。
【0053】
実施例15
リン含有エポキシ樹脂C7の合成
【化37】
【0054】
100gのエポキシ樹脂1および39gのエステル置換されたリン含有ビスフェノール化合物A1(DMP)を、電気加熱ジャケット、温度調節器、電動撹拌機および撹拌棒、窒素ガス入口、熱電対、水冷式冷却器、供給漏斗を備えた五つ口ガラス反応器に入れた。反応器を130℃まで加熱し、窒素ガスを導入し、エポキシ樹脂1およびエステル置換されたリン含有ビスフェノール化合物A1が完全熔化してから、粗生成物を真空下で乾燥させた。窒素ガス導入と乾燥の工程を、二回以上繰り返し行った。反応器の温度が100℃から低下した際、0.7gの触媒Aを入れた。撹拌機を起動させ、樹脂と触媒を混合するとともに、窒素ガスを導入した。得られた混合物を170℃まで加熱し、反応物が徐々に放熱反応を行うことが確認された。反応物を170℃で2.5時間維持し、リン含有エポキシ樹脂(エポキシ樹脂C7)を得た。その当量は370.9g/当量であり、リン含有量の理論値は2.0wt%であった。それを均一にするために、生成物をメチルエチルケトン(MEK)に溶解して、固形成分含有量を70%に調整した。
【0055】
実施例16
リン含有エポキシ樹脂C8の合成
【化38】
【0056】
100gのエポキシ樹脂2および39gのエステル置換されたリン含有ビスフェノール化合物A1(DMP)を、電気加熱ジャケット、温度調節器、電動撹拌機および撹拌棒、窒素ガス入口、熱電対、水冷式冷却器、供給漏斗を備えた五つ口ガラス反応器に入れた。反応器を130℃まで加熱し、窒素ガスを導入し、エポキシ樹脂2およびエステル置換されたリン含有ビスフェノール化合物A1が完全熔化してから、粗生成物を真空下で乾燥させた。窒素ガス導入と乾燥の工程を、二回以上繰り返し行った。反応器の温度が100℃から低下した際、0.7gの触媒Aを入れた。撹拌機を起動させ、樹脂と触媒を混合するとともに、窒素ガスを導入した。得られた混合物を170℃まで加熱し、反応物が徐々に放熱反応を行うことが確認された。反応物を170℃で2.5時間維持し、リン含有エポキシ樹脂(エポキシ樹脂C8)を得た。その当量は336.6g/当量であり、リン含有量の理論値は2.0wt%であった。それを均一にするために、生成物をメチルエチルケトン(MEK)に溶解して、固形成分含有量を70%に調整した。
【0057】
実施例17
リン含有エポキシ樹脂C9の合成
【化39】
【0058】
100gのエポキシ樹脂3および39gのエステル置換されたリン含有ビスフェノール化合物A1(DMP)を、電気加熱ジャケット、温度調節器、電動撹拌機および撹拌棒、窒素ガス入口、熱電対、水冷式冷却器、供給漏斗を備えた五つ口ガラス反応器に入れた。反応器を130℃まで加熱し、窒素ガスを導入し、エポキシ樹脂3およびエステル置換されたリン含有ビスフェノール化合物A1が完全熔化してから、粗生成物を真空下で乾燥させた。窒素ガス導入と乾燥の工程を、二回以上繰り返し行った。反応器の温度が100℃から低下した際、0.7gの触媒Aを入れた。撹拌機を起動させ、樹脂と触媒を混合するとともに、窒素ガスを導入した。得られた混合物を170℃まで加熱し、反応物が徐々に放熱反応を行うことが確認された。反応物を170℃で2.5時間維持し、リン含有エポキシ樹脂(エポキシ樹脂C9)を得た。その当量は395.6g/当量であり、リン含有量の理論値は2.0wt%であった。それを均一にするために、生成物をメチルエチルケトン(MEK)に溶解して、固形成分含有量を70%に調整した。
【0059】
実施例9〜17の組成物のエポキシ当量(EEW、Epoxy Equivalent Weight)、粘度は、下記測試法で測定された。
エポキシ当量(EEW):エポキシ樹脂をASTM D1652の方法で測定した。
固形成分:リン含有エポキシ樹脂を含有するサンプル1gを取り、150℃のオーブンに60分間置いた後、得られた非揮発性組成成分の重量%を測定した。
【0060】
試験の結果は、表1に示す。
【0061】
【表1】
【0062】
実施例18〜31
ガラス繊維を前記実施例9〜17のリン含有エポキシ樹脂(リン含有エポキシ樹脂C1〜C9)に含浸させ、160℃で乾燥し、プリプレグを作成した。プリプレグ5枚を畳んで、その頂部および底部に35μmの銅箔シートを置く、 温度210℃、圧力25kg/cm
2で積層して、リン含有エポキシ樹脂とガラス繊維織物との積層体を形成した。各積層体の物性は、下記の方法により分析された。
誘電率(Dk)と誘電正接(Df)は、IPC−TM−650−2.5.5.9により測定された。
剥離強度(1オンス(oz)銅)は、IPC−TM−650−2.4.8の方法により測定された。
ガラス転移温度(Tg)は、IPC−TM−650−2.4.25により、示差走査熱量測定計(DSC)を用いて測定された(走査速度:20℃/min)。
熱膨張係数(CTE、ppm/K)は、IPC−TM−650−2.4.24により、TMA(熱機械分析)を用いて測定された(α1はTg前のCTE値であり、α2はTg後のCTE値である)。
熱分解温度(Td、5%重量減少)は、IPC−TM−650−2.3.40により、熱重分析儀(TGA)を用いて測定された(走査速度:10℃/min)。
吸水性(重量%)は、試料を100℃の沸騰水に2時間置いて、重量増加率(rof)を測定した。
耐熱性(S−288)は、JIS−C−6481により、積層体を288℃のはんだ槽に浸入し、その層間剥離時間を測定した。
難燃性は、UL94により測定された。
【0063】
【表C】
【0064】
実施例18〜31の組成物は、表2と表2(a)の通りである。また、測定の結果は、表3および表3(a)に示す。
【0065】
【表2】
【0066】
【表2(a)】
【0067】
【表3】
【0068】
【表3(a)】
【0069】
上記のデータによれば、本発明の組成物が優れた難燃性および熱安定性を提供することを示す。また、上記の比較に基づいて,本発明の組成物は、比較例に比べて、より良好な耐水性および誘電特性を提供する。
【0070】
上記の実施例は例示的説明するものであり、本発明を限定するものではない。本技術分野に習熟した者であれば、本発明の主旨および範疇を逸脱しない範囲で、上記の実施例を修正または変更することができる。そのため、本発明の保護される権利範囲は、添付の特許請求の範囲で定義され、本発明の効果および実施目的に影響を及ぼさない限り、この公開されている技術的内容に含まれるものとすべし。
【0071】
また、本明細書に用いられる用語である「含む」、「有する」および「含有する」の意義は、閉鎖形式の記載ではなく、開放形式の記載である。用語「前記」および「当該」は、複数または単数を含むものとして理解されるべし。「少なくとも1種」は1個または複数個を示し、各組成成分およびそれらの混合/組み合せを表す。すべての範囲および本願で公開されている値は、包含的、且つ、合併することが可能である。例えば、本願の前記のいずれかの数値または点が本願に記載されている範囲に入る場合は、その点またはその数値を下限値または上限値として、サブレンジなどを推知することができる。