(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
有価もしくはセキュリティ製品(600)のセキュリティ標識(160)の製造方法であって、セキュリティ標識(160)は、少なくとも一つのパターン(150)によって形成され、及び次のプロセスステップ、すなわち
(a)着色剤を供した中間キャリア(200)を用意し、ここで、着色剤は、少なくとも一種の染料及び/または少なくとも一種の顔料、並びにポリマーでできたバインダーを含むステップ;
(b)着色剤の少なくとも一部を、中間キャリア(200)からポリマー層(300)の表面(310)上にそれぞれ転写し、この際、着色剤層(100)が各々のポリマー層(300)上に形成され、ここで、ポリマー層(300)は、それぞれ少なくとも一種の材料から製造され、この材料は、ポリカーボネート及びポリエチレンテレフタレートを含む群から選択されるステップ;及び
(c)各々着色剤層(100)が設けられた少なくとも一つのポリマー層(300)並びに少なくとも一つのカバー層(360)を一緒にしてスタック(350)とし、そうしてカバー層(360)が、着色剤層(100)を観察者に対して隠すようにするステップ;(d)少なくとも一つのポリマー層(300)と少なくとも一つのカバー層(360)とを接合して積層体とするステップ;及び
(e)積層体中にエネルギーを局所的に導入して、そうして、パターン(150)が形成されつつ、着色剤層(100)の少なくとも一部が観察者に認知可能となるステップ、
を含む、前記方法。
【発明の概要】
【0011】
それ故、本発明は、簡単で費用効果が高くかつ偽造及び改ざんに対して安全な有価もしくはセキュリティ書類を作成することができる方法を見出すという課題に基づくものである。それ故、この有価もしくはセキュリティ書類がそれらの品質に関して慣用の方法で製造された書類と同等であること及び製造コストに関して非常に有利であることが要求される。
【0012】
上記の課題は、本発明による、有価もしくはセキュリティ書類の製造のための方法、並びに有価もしくはセキュリティ製品の製造のための方法を用いて解消される。セキュリティ標識は、有価もしくはセキュリティ製品の構成要素、すなわち有価もしくはセキュリティ書類のまたはセキュリティ要素、すなわち例えば、模造、偽造または改ざんに対して保護すべき物品と組み合わされた要素の構成要素であることができ、例えばステッカー、ラベルまたは類似品の構成要素であることができる。
【0013】
本願の明細書及び特許請求の範囲において、「セキュリティもしくは有価製品」という用語を記載する時は、例えば、パスポート、身分証明書、運転免許証または他のID書類(特にIDカード)または通行許可証、車両登録証、車検証、ビザ、小切手、支払手段、特に紙幣、小切手保証カード、バンクカード、クレジットカードまたはキャッシュカード、デビッドカード、ヘルスカード、チップカード、社員証、信用証明書、会員証、ギフトカードもしくは商品券、運送状またはその他の信用証明書、制御文字、郵便切手、チケット、(遊戯用)代用貨幣、ステッカー(例えば製品保証のための)のことと解されたい。この書類は、例えばスマートカードであることができる。これらは、ISO7810に従うID1フォーマット、ID2フォーマット、ID3フォーマットまたは何らかの他のフォーマット、例えばパスポートのような物品などの小冊子の形で存在できる。セキュリティもしくは有価製品は、一般的に、熱の作用下及び高められた圧力下に見当合せされて互いに平面的に接合された複数の層からなる積層体である。これらの製品は、規格化された要求、例えばISO10373、ISO/IEC7810、ISO14443を満たすべきである。これらの製品層は、例えば、ラミネートに適したキャリア材料を含んでなる。
【0014】
本明細書及び特許請求の範囲において「ポリカーボネート」(PC)という用語を使用する時は、ホスゲンまたは他の炭酸誘導体と、縮合反応のための少なくとも二つのヒドロキシル基を含む二官能性反応剤(ジオール)との縮合生成物のことと解されたい。好ましくは、ジオールは、ビス(ヒドロキシフェニル)メタン誘導体、特にビスフェノールAを含む群から選択される。ビスフェノールAの代わりに、少なくとも二つのヒドロキシル基を有する他の二官能性反応剤、例えばゲミナル型(一つの原子に同種原子が二つ結合している)二置換ビス(ヒドロキシフェニル)シクロアルカンも使用できる。これらの物質は、例えばDE102007059747A1(特許文献5)に、インクジェット用印刷インキ用のバインダーとして記載されている。それ故、上記の文献は、その内容の全てが本願の開示内容に取り入れられる。
【0015】
本明細書及び特許請求の範囲において「ポリエチレンテレフタレート」という用語を使用する時は、テレフタル酸またはそれの誘導体と、縮合反応のための少なくとも二つのヒドロキシル基を含む二官能性反応剤(ジオール)、例えばエチレングリコールとの縮合生成物のことと解されたい。
【0016】
本願の明細書及び特許請求の範囲において「セキュリティ標識」という用語が記載される時は、本発明に従い、パターンによって生み出される、観察者に見える視覚的な印象のことと解されたい。セキュリティ標識は、有価もしくはセキュリティ書類の構成要素としてまたは(セキュリティ要素の)別個の製品の構成要素として製造できる。後者は、例えば書類に接着することができる。セキュリティ標識は、一般的に、書類表面の一部しか占めない。セキュリティ要素とは、本発明によれば、中でも好ましくは、書類の所有者の顔画像及び他の個別化、特に個人特定的な特徴のこととも解されたい。
【0017】
本願の明細書及び特許請求の範囲において、「パターン」という用語を使用する時は、ヒトの目に視覚的な印象を与える少なくとも一つの要素の任意の形の配置、好ましくは一つ以上の表面上の二次元の配置を意味することと解されたい。一つ以上の要素は、それ自体で閉じた表示、例えば画像、画像要素、文字列、特に英数字文字列、記号、紋章、線、式または類似物を与える。本発明の意味において、黒、白及び/または灰色も含んで一色に見える構造化されていない平面または複数の色を有する平面もパターンと解される。これらの平面は、例えばそれらの色によって情報を含んで、それから特徴を形成し得る。視覚的な印象を与える要素は、互いにコントラストをつけた平面領域によって認知することができ、この際、そのコントラストは、異なる色調、明度または異なる表面性質(光沢、粗さまたは類似の性質)によって生み出される。
【0018】
本願の明細書及び特許請求の範囲において、「パターン要素」という用語が記載される時は、パターンの構成要素(ピクセル)のことと解されたい。この際、パターン要素は互いに離れているかまたは変わり目無しで互いに入り組んだ状態で移り変わっていることができる。パターン要素は、パターンを形成するための最小の構造要素として役立つものであり、この際、全てのパターン要素がパターンを形成する。パターン要素を形成する材料は、透明、半透明または不透明であることができる。更に、これは規定の明度(吸収、散漫反射)を有することができ、すなわちこれは、例えば、黒色、灰色の色調または白色の色調を有することができ、及び/またはこれは(スペクトルの)色調を有し、そしてその色調においてこの場合も規定の明度を有することができる。パターン要素は、円形(点状)、矩形、正方形、六角形または更に別の形状、及び例えば1〜150μmのサイズ/直径を有することができる。マルチカラー色空間(例えば減色CMYK色空間、加色混合RGB色空間)において色値または色調の一つにそれぞれ帰属できる認知可能な表示の最小の要素であることができる。
【0019】
本明細書及び特許請求の範囲において、「ラスタ」または「ラスタ化」という用語が使用される時は、個々のパターン要素への画像の分解のことと解され、これらは、典型的には、規則的、例えば列状に並んで規則的に配列されているかまたは他の規則的な配置に配列されているか、あるいは不規則に配列されている。パターン要素は、例えば、ハニカム配列に配置されていることができるか、またはパターン要素が互い違いにずれた状態でもしくは互い違いにずれていない状態の列状配置で配置されていることができる。
【0020】
本発明の第一の観点によれば、上記の課題は、第一の方法形態において、有価もしくはセキュリティ製品のセキュリティ標識の本発明の製造方法によって解決される。該セキュリティ標識は、少なくとも一つのパターンによって形成される。セキュリティ標識の製造のためには、第一の方法形態は、以下に記載のプロセスステップを、好ましくは記載の順序で含み、この際、場合により、更なるプロセスステップを、以下のプロセスステップの幾つかの間で行うことができる。
【0021】
(a)先ず、着色剤を供した中間キャリアを用意する。この着色剤を供した中間キャリアは、着色剤を中間キャリアの上に少なくとも一回例えばラスタ化した状態で施用することによって、製造できる。この着色剤は、各々少なくとも一種の染料及び/または少なくとも一種の顔料を含む粒子と、並びにポリマー、好ましくはPC含有ポリマーでできたバインダーとを含む。
【0022】
(b)次いで、各々、場合によりラスタ化された着色剤の少なくとも一部を、中間キャリアから、ポリマー層の表面に転写し、この際、各々のポリマー層の表面上に着色剤層が形成される。この際、例えば、場合によってはラスタ状に配列されたパターン要素を各々のポリマー層上に形成し得る。着色剤の一部のみをポリマー層の表面に転写する場合には、これは好ましくは色分割によって行われる。例えば、中間キャリア上に形成された構造の全てをまたは一部のみをもポリマー層上に転写することができる。ポリマー層は、PC及びPETを含む群から選択される、各々少なくとも一種の材料から製造される。これは、ポリマー層が、追加的な更なる物質、例えば充填材、例えば顔料及び染料、及び/または他の添加剤、強化材、例えばガラス繊維、及び類似物を含むことを排除しない。
【0023】
(c)次いで、前記の少なくとも一種の染料及び/または前記の少なくとも一種の顔料を粒子から放出させて、各々のポリマー層の上にパターンを形成するために、エネルギーを、着色剤層の少なくとも一部に、例えばパターン要素の幾つかに、局所的に導入する。
【0024】
本発明の第二の観点によれば、上記第一の方法形態による上記の課題は、パターンを有する有価もしくはセキュリティ製品の製造のための本発明による方法によっても解決される。この方法は、以下に記載のプロセスステップを、好ましくは記載の順序で含み、この際、場合により、更なるプロセスステップを、以下のプロセスステップの幾つかの間で行うことができる。
【0025】
(a)先ず、着色剤を供した中間キャリアを用意する。この着色剤を供した中間キャリアは、着色剤を中間キャリアの上に少なくとも一回場合よりラスタ化して施用することによって、製造できる。この着色剤は、各々少なくとも一種の染料及び/または少なくとも一種の顔料を含む粒子と、並びにポリマー、好ましくはPC含有ポリマーでできたバインダーとを含む。
【0026】
(b)次いで、各々、好ましくはラスタ化された着色剤の少なくとも一部を、中間キャリアから、ポリマー層の表面に転写し、この際、各々のポリマー層の表面上に着色剤層が形成される。この際、例えば、場合によってはラスタ状に配列されたパターン要素が各々のポリマー層上に形成され得る。着色剤の部分的転写に関して、セキュリティ標識の製造方法のための場合と同様のことがこの方法形態にも該当する。ポリマー層は、PC及びPETを含む群から選択される、各々少なくとも一種の材料から製造される。
【0027】
(c)その後、着色剤層が設けられた少なくとも一つのポリマー層並びに更なるポリマー層を一緒にしてスタックとする。
【0028】
(d)その後、全てのポリマー層を接合して積層体とする。
【0029】
(e)次いで、前記の少なくとも一種の染料及び/または前記の少なくとも一種の顔料を粒子から放出させて、各々のポリマー層の上にパターンを形成するために、エネルギーを、着色剤層の少なくとも一部に、局所的に導入する。
【0030】
本発明の第三の観点によれば、上記の課題は、第二の方法形態において、有価もしくはセキュリティ製品のセキュリティ標識の本発明による製造方法によって解決され、この際、このセキュリティ標識は、少なくとも一つのパターンによって形成される。この第二の方法形態は、以下に記載のプロセスステップを、好ましくは記載の順序で含み、この際、場合により、更なるプロセスステップを、以下のプロセスステップの幾つかの間で行うことができる。
【0031】
(a)先ず、着色剤を供した中間キャリアを用意する。この着色剤を供した中間キャリアは、着色剤を中間キャリアの上に少なくとも一回場合よりラスタ化して施用することによって、製造できる。前記着床剤は、少なくとも一種の染料及び/または少なくとも一種の顔料、並びにポリマー製のバインダーを含む。
【0032】
(b)次いで、各々、場合によりラスタ化された着色剤の少なくとも一部を、中間キャリアから、ポリマー層の表面に転写し、この際、各々のポリマー層の表面上に着色剤層が形成される。この際、例えば、ラスタ状に配列されたパターン要素が各々のポリマー層上に形成される。着色剤の部分的転写に関して、第一の方法形態によるセキュリティ標識の製造方法のための場合と同様のことが該当する。ポリマー層は、PC及びPETを含む群から選択される、各々少なくとも一種の材料から製造される。ポリマー層の構成成分に関しては、第一の方法形態によるセキュリティ標識の製造方法のための場合と同様のことが該当する。
【0033】
(c)次いで、各々着色剤層が設けられた少なくとも一つのポリマー層並びに少なくとも一つのカバー層を一緒にしてスタックとし、そうしてカバー層は、着色剤層を観察者に対して隠すようになる。
【0034】
(d)その後、少なくとも一つのポリマー層及び少なくとも一つのカバー層を接合して積層体とする。
【0035】
(e)次いで、局所的なエネルギーを積層体中に導入することにより、着色剤層の少なくとも一部が観察者から認知できるようになる。このためには、活性化すべき接着剤層が存在する積層体中の位置に対してエネルギーを向ける。それによって、着色剤層が、カバー層の下で部分的に見えるようになる。
【0036】
本発明によれば、第二の方法形態においては、パターンを有する有価もしくはセキュリティ製品の製造方法も提供される。この方法は、上記のプロセスステップを含む。
【0037】
着色剤層の少なくとも一部にエネルギーを導入することによって、目視で認知可能なコントラストが、エネルギーが導入されたところの有価もしくはセキュリティ製品の第一の箇所と、エネルギーが導入されていないところの第二の箇所との間に生じる。このためには、有価もしくはセキュリティ製品の、エネルギーが当てられていない箇所は、視覚認知可能な標識を持たない。その代わりに、セキュリティ標識は、エネルギー導入の前に、均一で平面的な視覚認知可能な着色を有することもでき、これは、少なくとも一つの材料層に、例えば染料、インキまたは顔料を含む粒子を均一平面的に施用することによって達成可能である。次いで、局所的なエネルギー導入によって、光学的な印象も局所的に変化して、パターンが本発明に従い認知可能となる。それによって、コントラストに基づいて、文字列、図形、ロゴ、コード及び他の特徴を含む任意のパターンを生むことができる。このコントラストは、最初は色の印象が無く、そしてエネルギー導入によって局所的な色が現れるようになるか、あるいは処理されていない箇所の第一の色と、処理された箇所の第二の色との間にコントラストが生じることにその本質があり得る。例えば、粒子中に含まれるインキまたは顔料は、最初は認知できないかまたは弱くしか認知できない。エネルギー導入によって、例えば粒子に含まれる染料及び/または顔料が、例えば融解によって放出される。この放出は、ヒトの目で認知することができる。その代わりに、粒子へのエネルギー導入は、他の仕方でも、例えば粒子中に存在する干渉を生み出す鏡面の乱れによっても、視覚認知可能なコントラストをもたらし得る。
【0038】
本発明による方法の前記の二つの形態を用いて、一方では、非常に高いセキュリティ水準がもたらされる。というのも、化学的/物質的に互いに相溶性の材料(着色剤及びポリマー層)が使用されることにより、偽造または改ざんが困難になるからである。なぜならば、それによって、互いに隣接するポリマー層の結合が、着色剤でパターンが形成されている領域においても維持されるからである。これは、相溶性が、互いに隣接した表面の非常に高い接着強度を保証するからである。この相溶性は、パターン要素の形成に使用される着色剤のバインダーだけでなく、パターン要素が上に設けられるポリマー層も、互いに相溶性の材料から製造されることにより、これらが互いに強い相互作用を形成することによって達成される。このためには、これらの材料が、同じまたは類似の化学的性質を有する。本発明によれば、バインダーは、好ましくはポリマーからなるかまたはポリマーを含み、そしてポリマー層がPC及び/またはPETからなるかまたはPC及び/またはPETを含む。バインダー及びポリマー層に各々使用されるPCの場合には、相溶性は、使用した物質の大きな化学的類似性から生ずる。PETの場合は、着色剤との材料のペアリングは、例えばPETを含むバインダーと行うのが好ましい。有利には、芳香族ジオール、特に好ましくはビス(ヒドロキシフェニル)メタン誘導体及び一つの原子に同種原子が二つ結合している二置換ビス(ヒドロキシフェニル)シクロアルカンを含む群からのジオールを用いて形成されたPCが使用され、この際、この好ましい選択は、ポリマー層の材料にも、着色剤層を形成するためのバインダーについても当てはまる。
【0039】
本発明による製造方法の更なる利点の一つは、それの高い費用効果にある。というのも、先ず着色剤層を中間キャリア上に用意し、次いで着色剤層を、この中間キャリアからポリマー層に転写するからである。このような方法は、典型的には、(直接)転写印刷法、昇華印刷法、拡散転写法、再転写法として知られている。それ故、本発明による方法は、多数のセキュリティ標識の製造にも適している(大量生産適合性)。
【0040】
更に、第一の方法形態では染料及び/または顔料を含む粒子が、及び第二の方法形態では、内部の着側剤層を覆う少なくとも一つのカバー層が使用されることにより、着色剤層によって形成されるパターンが、更なる処理をせずに、観察者から認知できない(または少なくとも殆ど認知できない)ために、着色剤層の少なくとも一部にエネルギーを局所的に導入することによって、パターンを、後からでも、書類に内側に形成することができる。第一の方法形態では、この局所的なエネルギーの供給は、粒子中に含まれる染料及び/または粒子中に含まれる顔料を放出させて、処理された箇所における着色剤層を見えるようにするかまたはそれまでとは異なる色の状態に変えるために、粒子を破壊するために役立つ。最初のケースでは、粒子は裸眼では見えないために、着色剤層も裸眼では見えない。後者のケースでは、着色剤層は例えば白色であることができ、そしてその破壊時に、染料及び/または顔料の色を取ることができる。第二のプロセス形態では、エネルギー供給は、着色剤層の上のカバー層を局所的に破壊して、その下にある領域の着色剤層を外から認識できるようにするのに役立つ。例えば、カバー層は前記の領域の着色剤層と一緒に融解することができ、そうして着色剤が外側にしみ通り、それによって、当該領域の着色剤層の位置及び色に応じて局所的な着色が生じる。着色剤層が書類内部に配置されることによって、それにより形成されたセキュリティ標識は、偽造または改ざんに対して格別に安全となる。第一の方法形態でも第二の方法形態でも、着色剤の染料または顔料は、隣接したポリマー層の材料中に侵入し、そしてそれによって強力な色の印象を発揮する。
【0041】
第一の方法形態では、着色剤層の形成のために、染料、インキまたは顔料を含む有色の粒子が使用される。例えば、有色の粒子は、コア/シェル型の有色粒子の形で形成することができる。染料、インキまたは顔料を放出するためには、有色粒子を、任意の方法で傷つけるかまたは破壊することができる。例えば、有色粒子に熱エネルギーを供することができ、それによって有色粒子が融解するかまたは少なくともそれのシェルが融解する。その代わりにまたは追加的に、有色粒子が破裂することもできる。更に、有色粒子のシェルは、例えばシェルの熱的除去またはシェルの化学的な部分的な溶解または完全な溶解によって、選択的にも除去できる(除皮、除覆)。第一の実施例では、破裂性有色粒子は、例えば液状の染料または(液状の)インキを内部空間(コア)中に含む。第二の実施例では、コアは、(固形の)顔料または固形の染料によって形成することができる。この場合、コアの顔料または染料を含む有色粒子は、エネルギーの作用によって融解させることができる。コアと一緒に、シェルも追加的に融解し得るか、またはコアのみが融解する。第三の実施例では、コア/シェル型有色粒子のシェルのみが損傷を受けるかまたは破壊され、コアは乱されない。シェルは、熱的または化学的方法で損傷を与えるかまたは破壊することができる。有色粒子への熱的作用は、好ましくは、有色粒子へのエネルギーの直接的作用によって直接行われる。色粒子への化学的作用は、化学物質、好ましくは化学的溶剤の放出によって作動させることができる。その時、この化学物質は、シェルに損傷を与えるかまたはシェルを破壊することができる。この化学物質は、有色粒子のシェルの溶剤を含みそして入射されたエネルギーを吸収する他の(隣接する)粒子、例えばカプセル中に含まれていることができる。それ故、有色粒子は、コアと、そのコアを囲むシェルによって形成されていることができる。更に、有色粒子を多孔性の粒子、例えばゼオライト粒子によって形成することも可能であり、これは、シェルによって囲まれるかまたはシェルによって囲まれていない。この場合は、着色剤は、固形の状態の多孔性着色粒子の孔中に含まれていることができ、そしてそれの放出のためには液化することができる。多孔性有色粒子がシェルによって囲まれる場合は、これは放出のために除去される。
【0042】
コア/シェル型粒子の製造のためには、カプセル化すべき染料またはインキを、最小の液滴が形成するように、例えばそれらが不溶性の液体中に液滴状に分散させるか、あるいは懸濁液が生じるように、固形の粒子を液体中に分散する。例えば、顔料はグラニュールとして存在し、そしてこれをシェル材料、例えばTiO
2、または金属、例えばAl、またはポリマーで覆う。染料粒子の製造のためには、液状の染料またはインキを、最小の液滴が形成するように、例えば、それらが不溶性の液体中に懸濁させることができる。これらの液滴または固体粒子は、例えば、適当な湿潤剤または乳化剤を用いて安定化することができる。例えば着色剤をカプセル化するための、シェルで覆われた粒子の製造方法は、EP0505648A1(特許文献6)に提示されており、その開示内容は、全てが本願の開示内容に取り入れられる。その後、先ず、一種以上の疎水性液体及び/または疎水性固形物質を自己分散性の樹脂と混合することによって形成された有機相を用意し、そしてこの混合物に水性相を加えて、樹脂がその中で0.1μmまでの粒径を有する分散液を形成し、そして疎水性液体及び/または疎水性固体を被覆するようにすることによって、疎水性材料を樹脂で被覆する。固形物を被覆すべき場合には、先ずこれを、例えば粉砕して、所望の粒度に変える。一例では、疎水性液体(メチルエチルケトン)中で、固形の染料(シアニンブルー)を樹脂(末端イソシアネート基を持つポリウレタン樹脂)で分散する。次いで、アミンの水溶液をこの分散液と混合しそして加熱する。疎水性液体を除去することによって、被覆された有色粒子の水性分散液が生じる。TiO
2でカプセル化するための方法は、ヴュルツブルクのHolger Strohmの論文である「Fluessigphasenabscheidung von Titandioxid auf Polymerlatex−Templaten」、Bayerische Julius−Maximilians−Universitaet Wurrzburg,2005(非特許文献1)に記載されている。この文献の開示内容は、全てが本願明細書に取り込まれる。この文献によれば、先ずラテックス粒子を高分子電解質で官能化する。次いで、ラテックス粒子を(NH
4)
2[TiF
6]及びH
3BO
3/HClの溶液と接触させることによって、その上にTiO
2粒子を堆積させる。純粋な無機中空球体を生成するために、次いで、TiO
2層を空気雰囲気でか焼するか、または化学的な方法でトルエンを用いてテンプレートコアを溶解することによって、ラテックス粒子を除去する。このようにしていわゆるナノコンテナが生成し、これは、幾つかの用途、例えば医薬有効物質のトランスポーター、有効物質の自己回復方法及び類似の用途について既に記載されている。更に、製造方法は、Skirtach et al, 「Laser−Induced Release of Encapsulated Materials Inside Living Cells」,Angew.Chem.Int.Ed.,2006,45,4612−4617(非特許文献2)及びAngelatos et al.,「Light−Responsive Polyelectrolyte/Gold Nanoparticle Microcapsules」,J.Phys.Chem.B,2005,109,3071−3076(非特許文献3)からも提示されている。それから、これらの文献も、内容の全てが本願の開示内容に取り込まれる。
【0043】
代替的に、液状染料またはインキあるいは融解した着色剤を、多孔性粒子の孔中に取り入れることによって、多孔性粒子に液状染料またはインキを負荷(浸漬)することもできる。あるいは、多孔性のもしくは非多孔性の粒子を、液状染料またはインキまたは融解した着色剤でコーティングすることができる。次いで粒子をシェルで覆う。
【0044】
多孔性粒子としては、例えばゼオライトなどの無機材料、またはポリウレタンベースの微細発泡体などの有機材料、または多孔性ナノ粒子または無機マイクロコンテナが考慮される。更に、多孔性材料は噴霧熱分解法によっても製造できる。これに関しては、M.Hampden−Smith,T.Kodas,S.Haubrich,M.Oljaca,R.Einhorn,D.Williams,「Novel Particulate Production Processes to Create Unique Security Materials」,Proc.SPIE 6075,Optical Security and Counterfeit Deterrence Techniques VI,60750K(February 09,2006);doi:10.1117/12.641883(非特許文献4)が参照される。それ故、この刊行物の開示内容は、少なくともそこに記載の製造方法に関してその内容の全てが本願に取り込まれる。
【0045】
コア/シェル型粒子(中でも中空ガラス粒子)の更なる製造方法は、D.G.Shchukin,H.Moehwald,「Self−Repairing Coatings Containing Active Nanoreservoirs」,www.small−journal.com(small),2007,3,Nr.6,926−943,Wiley−VCH Verlag,Weinheim(非特許文献5)に提示されている。それ故、この刊行物の開示内容は、少なくともそこに記載の製造方法に関してその内容の全てが本願に取り込まれる。
【0046】
コア/シェル型粒子の代わりに、有色粒子はOVI顔料によっても形成でき(OVI: optically variable ink(光学可変インキ))、この際、視覚認知可能な標識は、それに含まれる干渉層によって生じる。この粒子は、大概は、金属で薄く覆われた小雲母板によって形成される。
【0047】
本発明の他の好ましい発展形態の一つでは、着色剤層は、パターン要素の形で形成される。このパターン要素は有利にはラスタの形で配列され、それによってこのパターン要素は、レーザービームを用いて的確に確認することができる。
【0048】
有色粒子は、好ましくは、マイクロメータ範囲またはサブマイクロメータ範囲の大きさを有し、すなわち本質的に球形または立方体形または直方体形の粒子の場合にはその直径または主対角線がナノメータまたはマイクロメータ範囲にあり、好ましくは0.05〜500μm、更に好ましくは0.1〜100μm、最も好ましくは0.5〜50μmである。しかし、有色粒子は、小板状の形態または針状の形態を有することもできる。この場合にも、それの厚さまたは針の直径は、マイクロメータ範囲にあり、好ましくは0.05〜500μm、更に好ましくは0.1〜100μm、最も好ましくは0.5〜50μmの範囲である。長手の伸びにおける寸法、すなわち小板の平面または針の長さと並行な寸法は、好ましくは0.5μm〜500μm、好ましくは1〜100μm、非常に特に好ましくは5〜50μmである。
【0049】
本発明の更に別の好ましい発展形態の一つでは、場合により着色剤を含む粒子は、着色料またはインキに含まれている。すなわちこの着色料またはインキは、印刷方法または他の方法で中間キャリア上に印刷し、そしてそこからポリマー層上に転写するのに適している。PC及び/またはPET層上での印刷のためには、PCまたはPETと化学的に適合しており、そしてこれらのポリマーに対する親和性または付着性を示すものであれば、基本的に全ての当業者に通例の着色料またはインキが使用可能である。これは、例えばPCポリマー層用のPCベースのバインダーを用いてうまくいく。これには、例えば、溶剤の気化を介して乾燥する溶剤ベースの着色料またはインキだけでなく、例えば網状化、公差結合、重合などによって溶剤が化学的に反応するような系も挙げられる。
【0050】
好ましいのは、A)0.1〜30重量%の、PC誘導体を含むバインダー、B)30〜99.9重量%の、好ましくは有機系の溶剤または溶剤混合物、C)乾質ベースで0〜10重量%の、少なくとも一種の染料及び/または少なくとも一種の顔料、D)0〜10重量%の、機能性材料または複数種の機能性材料の混合物、E)0〜30重量%の添加剤及び/または助剤、またはこのような物質の混合物を含み、この際、成分A)〜E)の合計は常に100重量%である調合物、並びに印刷用インキまたは印刷用着色料としてのそれの使用である。PC誘導体は、PC原材料と適合性が高く、特にビスフェノールAをベースとするPCと適合性が高い。加えて、使用されるPCP誘導体は、温度安定性が高く、そして200℃またはそれ以上までのラミネートに典型的な温度において変色を示さない。個々のケースでは、PC誘導体は、次に記載の式(I)の官能性カーボネート構造単位を含むことができる:
【0052】
式中、R
1及びR
2は、互いに独立して、水素、ハロゲン、好ましくは塩素もしくは臭素、C
1〜C
8アルキル、C
5〜C
6シクロアルキル、C
6〜C
10アリール、好ましくはフェニル、及びC
7〜C
12アラルキル、好ましくはフェニル−C
1〜C
4アルキル、特にベンジルであり;mは4〜7の整数、好ましくは4または5であり;R
3及びR
4は、各Xについて個別に選択可能であり、互いに独立して水素またはC
1〜C
6アルキルであり;Xは炭素を意味し、そしてnは20超の整数を意味し、但し、少なくとも一つの原子Xにおいて、R
3及びR
4は同時にアルキルを意味する。1〜2個の原子Xにおいて、特に一つだけの原子Xにおいて、R
3及びR
4が同時にアルキルであることが好ましい。R
3及びR
4は特にメチルであることができる。ジフェニル置換C原子(C1)に対してα位のX原子は、ジアルキル置換されていないことができる。C1に対してβ位のX原子はアルキルで二置換されていることができる。mは好ましくは4または5である。PC誘導体は、例えば、4,4’−(3,3,5−トリメチルシクロヘキサン−1,1−ジイル)ジフェノール、4,4’−(3,3−ジメチルシクロヘキサン−1,1−ジイル)ジフェノール、または4,4’−(2,4,4−トリメチルシクロペンタン−1,1−ジイル)ジフェノールなどのモノマーをベースとして形成することができる。このようなPC誘導体は、例えば、DE−A3832396(特許文献7)に従い、式(Ia)のジフェノールから製造することができる。前記文献の開示内容は、その全てが本願の開示内容に取り込まれる。式(Ia)の一種のジフェノールをホモポリカーボネートの形成の下に、または式(Ia)の複数種のジフェノールをコポリカーボネートの形成の下に使用することができる(残基、基及びパラメータの意味は式Iと同様)。
【0054】
更に、式(Ia)のジフェノールは、他のジフェノール、例えば式(Ib)HO−Z−OHの他のジフェノールとの混合物としても、高分子量で熱可塑性及び芳香族PC誘導体の製造に使用することができる。
【0055】
式(Ib)の適した他のジフェノールは、Zが、C原子数6〜30の芳香族残基であり、この芳香族残基は、一つまたは複数の芳香族核を含むことができ、置換されていることができ、及び脂肪族残基、または式(Ia)のものとは異なる環状脂肪族残基、またはヘテロ原子を橋掛け員として含むことができる。式(Ib)のジフェノールの例は、ヒドロキノン、レゾルシノン、ジヒドロキシジフェニル、
ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン、ビス(ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホキシド、α,α’−ビス(ヒドロキシフェニル)ジイソプロピルベンゼン、並びにそれらの核アルキル化及び核ハロゲン化化合物である。これらのジフェノール及び他の好適なジフェノールは、例えば、US−A3,028,365(特許文献8)、US−A2,999,835(特許文献9)、US−A3,148,172(特許文献10)、US−A3,275,601(特許文献11)、US−A2,991,273(特許文献12)、US−A3,271,367(特許文献13)、US−A3,062,781(特許文献14)、US−A2,970,131(特許文献15)、US−A2,999,846(特許文献16)、DE−A1570703(特許文献17)、DE−A2063050(特許文献18)、DE−A2063052(特許文献19)、DE−A2211956(特許文献20)、FR−A1561518(特許文献21)、及びH.Schnell, Chemistry and Physics of Polycarbonates,Interscience Publishers,New York 1964(非特許文献6)に記載されている。それらの開示内容は、全て本願の開示内容に取り込まれる。好ましい他のジフェノールは、例えば:4,4’−ジヒドロキシジフェニル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキサン、α,α−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロパン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−プロパン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−メタン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロパン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−スルホン、2,4−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキサン、α,α−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)−プロパン及び2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−プロパンである。式(Ib)の特に好ましいジフェノールは、例えば、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、及び1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンである。特に、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが好ましい。上記の他のジフェノールは単独でもまたは混合物としても使用することができる。式(Ia)のジフェノールと場合により一緒に使用される式(Ib)の他のジフェノールとのモル比は、100モル%(Ia):0モル%(Ib)と2モル%(Ia):98モル%(Ib)との間、好ましくは100モル%(Ia):0モル%(Ib)と10モル%(Ia):90モル%(Ib)との間、特に100モル%(Ia):0モル%(Ib)と30モル%(Ia):70モル%(Ib)との間であるのがよい。場合により他のジフェノールと組み合わせて式(Ia)のジフェノールからできている高分子量PC誘導体は、既知のPC製造方法に従い製造することができる。この際、異なるジフェノールを、ランダム状に、またはブロック状に互いに結合することができる。使用されるPC誘導体はそれ自体既知のように分岐していることができる。分岐が望ましい場合には、これは既知の方法で少量の、好ましくは(使用するジフェノールを基準に)0.05〜2.0モル%の三官能性以上の化合物、特に三つ以上のフェノール性ヒドロキシル基を持つ化合物を縮合導入することによって達成することができる。三つ以上のフェノール性ヒドロキシル基を有する幾つかの分岐剤は、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン−2,4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ベンゼン、1,1,1−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−エタン、トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−フェニルメタン、2,2−ビス−[4,4−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキシル]−プロパン、2,4−ビス−(4−ヒドロキシフェニル−イソプロピル)−フェノール、2,6−ビス−(2−ヒドロキシ−5−メチル−ベンジル)−4−メチルフェノール、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−プロパン、ヘキサ[4−(4−ヒドロキシフェニル−イソプロピル)フェニル]オルトテレフタル酸エステル、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)メタン、テトラ[4−(4−ヒドロキシフェニル−イソプロピル)フェノキシ]メタン及び1,4−ビス−[4’,4’’−ジヒドロキシトリフェニル)−メチル]−ベンゼンである。それ以外の三官能性化合物の幾つかは、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、トリメシン酸、塩化シアヌル及び3,3−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロインドールである。PC誘導体の分子量のそれ自体既知の調節のための連鎖停止剤としては、通例の濃度の単官能性化合物が役立つ。適当な化合物は、例えばフェノール、tert−ブチルフェノール類または他のアルキル置換フェノール類である。分子量の調節のためには、特に少量の式(Ic)のフェノールが適している:
【0057】
式中、Rは分岐状C
8−及び/またはC
9−アルキル基を示す。好ましくは、アルキル基Rにおいて、CH
3プロトンの割合は47%と89%の間であり、CH及びCH
2プロトンの割合は53%と11%の間であり;同様に好ましくは、RはOH基に対するo−及び/またはp−位にあり、そして特に好ましくはオルトの割合の上限は20%である。連鎖停止剤は、一般的に、使用されたジフェノールを基準に0.5〜10モル%、好ましくは1.5〜8モル%の量で使用される。PC誘導体は、好ましくは相境界挙動(H.Schnell,Chemistry and Physics of Polycarbonates,Polymer Reviews,Vol.IX,Seite 33ff.,Interscience Publ.1964(非特許文献7)参照)に従いそれ自体既知の方法で製造できる。この場合、式(Ia)のジフェノールは水性アルカリ性相中に溶解する。他のジフェノールを用いたコポリカーボネートの製造のためには、式(Ia)のジフェノールと他のジフェノール、例えば式(Ib)のジフェノールとの混合物を使用する。分子量の調節のためには、連鎖停止剤、例えば式(Ic)の連鎖停止剤を添加できる。次いで、不活性で好ましくはPC溶解性の有機相の存在下に、相境界縮合方法に従ってホスゲンと反応させる。反応温度は0℃〜40℃の範囲である。場合により一緒に使用される分岐剤(好ましくは0.05〜2.0モル%)は、ジフェノールと一緒に水性アルカリ性相中に仕込むか、またはホスゲン化の前に有機溶剤中に溶解させた状態で加えることができる。式(Ia)のジフェノール及び場合により他のジフェノール(Ib)の他に、それらのモノ−及び/またはビス−クロロ炭酸エステルを一緒に使用することもでき、この際、これらは有機溶剤中に溶解して加えられる。この際、連鎖停止剤及び分岐剤の量は、式(Ia)及び場合により式(Ib)に相当するジフェノレート残部のモル量に依存し;クロロ炭酸エステルを一緒に使用する場合は、ホスゲン量は、既知のように対応して減少させることができる。連鎖停止剤並びに場合により分岐剤及びクロロ炭酸エステルのための適当な有機溶剤は、例えば、メチレンクロライド、クロロベンゼン、並びに特にメチレンクロライドとクロロベンゼンとの混合物である。場合によっては、使用する連鎖停止剤及び分岐剤は同じ溶剤中に溶解することができる。相境界重縮合のための有機相としては、例えばメチレンクロライド、クロロベンゼン、並びにメチレンクロライドとクロロベンゼンとの混合物が役立つ。水性アルカリ性相としては、例えばNaOH溶液が役立つ。相境界法に従うPC誘導体の製造は、通例のように、触媒、例えば第三級アミン、特に第三級脂肪族アミン、例えばトリブチルアミンまたはトリエチルアミンで触媒することができ; これらの触媒は、使用したジフェノールのモル数に対して0.05〜10モル%の量で使用できる。触媒は、ホスゲン化の開始前に、またはホスゲン化の最中またはその後でも加えることができる。PC誘導体は、均一相として既知の方法に従い、いわゆる「ピリジン法」に従い、並びに例えばホスゲンの変わりにジフェニルカーボネートを用いた既知の溶融エステル交換法に従い製造することができる。PC誘導体は線状または分岐状であることができ、これらは式(Ia)のジフェノールをベースとしたホモポリカーボネートまたはコポリカーボネートである。他のジフェノール、特に式(Ib)のジフェノールとの任意の組成によって、PC特性を有利に変えることができる。このようなコポリカーボネートでは、式(Ia)のジフェノールは、ジフェノール単位100モル%の総量をベースに、100モル%〜2モル%の量、好ましくは100モル%〜10モル%の量、特に100モル%〜30モル%の量でPC誘導体に含まれる。PC誘導体はコポリマーであることができ、これは、特に、式(Ib)、好ましくはビスフェノールAをベースとするモノマー単位M1、並びにゲミナル型二置換ジヒドロキシジフェニルシクロアルカン、好ましくは4,4’−(3,3,5−トリメチルシクロヘキサン−1,2−ジイル)ジフェノールをベースとするモノマー単位M2を含み、特にこれらからなり、この際、モル比M2/M1は、好ましくは0.3超、特に0.4超、例えば0.5超である。PC誘導体が、少なくとも10,000、好ましくは20,000〜300,000の平均分子量(重量平均)有することが好ましい。
【0058】
基本的に、成分Bは本質的に有機系または水系であることができる。ここで、本質的に水系とは、成分Bの20重量%までが有機溶剤であることができることを意味する。本質的に有機系とは、成分B)中に5重量%までの水が存在し得ることを意味する。好ましくは、成分Bは、液状脂肪族、環状脂肪族及び/または芳香族炭化水素、液状有機エステル及び/またはこのような物質の混合物を含むか、またはこれらからなる。使用される有機溶剤は、好ましくはハロゲン不含の有機溶剤である。特に、メシチレン、1,2,4−トリメチルベンゼン、クメン及びソルベントナフサ、トルエン、キシレンなどの脂肪族、環状脂肪族、芳香族炭化水素;メチルアセテート、エチルアセテート、ブチルアセテート、メトキシプロピルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネートなどの(有機)エステルが考慮される。好ましいものは、メシチレン、1,2,4−トリメチルベンゼン、クメン及びソルベントナフサ、トルエン、キシレン、酢酸メチルエステル、酢酸エチルエステル、メトキシプロピルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネートである。非常に特に好ましいものは、メシチレン(1,3,5−トリメチルベンゼン)、1,2,4−トリメチルベンゼン、クメン(2−フェニルプロパン)、ソルベントナフサ及びエチル−3−エトキシプロピオネートである。好適な溶剤混合物は、例えば、L1)0〜10重量%、好ましくは1〜5重量%、特に2〜3重量%のメシチレン、L2)10〜50重量%、好ましくは25〜50重量%、特に30〜40重量%の1−メトキシ−2−プロパノールアセテート、L3)0〜20重量%、好ましくは1〜20重量%、特に7〜15重量%の1,2,4−トリメチルベンゼン、L4)10〜50重量%、好ましくは25〜50重量%、特に30〜40重量%のエチル−3−エトキシプロピオネート、L5)0〜10重量%、好ましくは0.01〜2重量%、特に0.05〜0.5重量%のクメン、及びL6)0〜80重量%、好ましくは1〜40重量%、特に15〜25重量%のソルベントナフサを含み、ここで成分L1〜L6の合計は常に100重量%である。
【0059】
成分Cとしては、第一の方法形態では、粒子中にまたは粒子上に含まれる染料及び/または顔料、特にコア/シェル型粒子中に含まれる染料及び/または顔料が、そして第二の方法形態では、フリーの染料及び/または顔料(粒子中に含まれていない)が使用される。基本的に両方の形態において、任意の染料または任意の顔料が考慮される。染料及び顔料とは、全ての着色性の物質を指す。染料についての概説は、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,Electronic Release 2007,Wiley Verlag,Kapitel 「Dyes,General Survey」(非特許文献8)に記載されており; 有機並びに無機顔料について概説は、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,Electronic Release 2007,Wiley Verlag,Kapitel 「Pigments, Organic」または「Pigments, Inorganic」(非特許文献9)に記載されている)。染料は、成分Bの溶剤中に、可溶であるかまたは(安定に)分散可能もしくは懸濁可能であるべきである。更に、着色剤が160℃以上の温度で5分間超の時間、安定していること、特に色が安定していることが有利である。着色剤が加工条件下に所定の及び再現可能な色の変化を起こし、それに応じて選択されることも可能である。顔料は、温度安定性、光安定性及び耐候性の他に、特に非常に微細な粒度分布で存在していなければならない。インクジェット印刷では、これは、プラクティスでは粒度は1.0μmを超えるべきではないことを意味する。というのも、そうでないと、その結果として印刷ヘッドが閉塞するからである。一般的に、ナノスケールの固形顔料及び溶解した染料が有用であると判明した。染料及び顔料は、カチオン性、アニオン性または中性でもあることができる。インクジェット印刷に使用可能な染料及び顔料について単に例として挙げれば次のものがある:ブリリアントブラックC.I.No.28440、クロモゲンブラックC.I.No.14645、ダイレクトディープブラックE C.I.No.30235、ファーストブラックソルトB C.I.No.37245、ファーストブラックソルトK C.I.No.37190、スーダンブラックHB C.I.26150、ナフトールブラックC.I.No.20470、Bayscript(登録商標)ブラック液状、C.I.ベーシックブラック11、C.I.ベーシックブルー154、Cartasol(登録商標)テュルキースK−ZL液状、Cartasol(登録商標)テュルキースK−RL液状(C.I.ベーシックブルー140)、CartasolブルーK5R液状。更に、例えば商業的に入手可能な染料であるHostafine(登録商標)ブラック TS液状(Clariant GmbH Deutschlandが販売)、Bayscript(登録商標)ブラック液状(C.I.−混合物、Bayer AG Deutschlandが販売)、Cartasol(登録商標)ブラックMG液状(C.I.ベーシックブラック11、Clariant GmbH Deutschlandの商標)、Flexonylschwarz(登録商標)PR 100(E C.I.No.30235、Hoechst AGが販売)、Rhodamin B、Cartasol(登録商標)オレンジK3 GL、Cartasol(登録商標)Gelb K4 GL、Cartasol(登録商標)K GL、またはCartasol(登録商標)レッドK−3Bも好適である。更に、可溶性染料として、アントラキノン染料、アゾ染料、キノフタロン染料、クマリン染料、メチン染料、ペリノン染料、及び/またはピラゾール染料、例えばMacrolex(登録商標)の名称で入手可能な染料を使用できる。更に別の適当な染料及び顔料は、中でも、文献Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,Electronic Release 2007,Wiley Verlag,Kapitel 「Colorants Used in Ink Jet Inks」(非特許文献10)に記載されている。 溶解性の良好な染料は、印刷層のマトリックスまたはバインダー中への最適な統合をもたらす。染料及び顔料は、直接添加してもよいし、または他のバインダーと一緒に染料と顔料の混合物であるペーストとして添加し得る。この追加的なバインダーは、調合物の他の成分と化学的に適合性のものであるべきである。成分Bとしてこのようなペーストを使用する場合は、その量の記載は、ペーストの他の成分は除いた染料または顔料の量である。ペーストのその他の成分は、成分Eに包含される。スケールカラーのシアン−マゼンタ−イエロー及び好ましくは加えて(カーボンブラック)ブラックにおけるいわゆる有彩色顔料の使用の場合は、フルトーンカラー画像が可能である。
【0060】
第一の方法形態で使用するために粒子中に染料及び/または顔料を組み入れるためには、これは、例えば二酸化チタンと一緒に適当な剤中に分散させ、そうして染料及び/または顔料が二酸化チタン粒子上/中に堆積し、そしてそれと共にマイクロ粒子を形成する。代替的に、染料及び/または顔料は、脂質と一緒に適当な液状媒体中に分散させることができ、そうすることで脂質が、染料及び/または顔料が中に入ったミセルを形成する。有色粒子を製造するための方法は、上述した。
【0061】
成分Dは、技術的な補助手段の使用の下にヒトの目によって直接確認されるか、または適当な検出機の使用によって確認される物質を含む。ここで、有価及びセキュリティ書類の保護に使用される、当業者に周知の材料(van Renesse, Optical document security,3rd Ed.,Artech House,2005(非特許文献11)も参照されたい)が意味される。これには、発光物質(染料または顔料、有機系または無機系)、例えば光発光体、電子発光体、アンチストークス発光体、蛍光体、更に磁化可能で光音響的にアドレス可能なもしくは圧電性の材料、並びに金属粒子、磁性粒子、熱変色性粒子、電子変色性粒子、並びに他の物質が挙げられる。更に、ラマン活性もしくはラマン増強性材料、並びにいわゆるバーコード材料も使用できる。またここで、成分Cの品質の意味で、成分B中への溶解性、または顔料着色された系では<1μmの粒度、並びに>160℃の温度に対する温度安定性、及び更に光安定性及び耐候性が好ましい基準として該当する。機能性材料は直接加えることができるか、またはペースト、すなわち次いで成分Eの構成分を形成する更なるバインダーとのまたは成分Aの使用されたバインダーとの混合物を介して添加することができる。
【0062】
成分Eは、インクジェット印刷用のインキの場合には、通常装備される物質、例えば消泡剤、調整剤(Stellmittel)、湿潤剤、界面活性剤、流動剤、乾燥剤、触媒、(光)安定剤、防腐剤、殺生物剤、界面活性剤、粘度調整のための有機ポリマー、緩衝系などを包含する。調整剤としては、当業者には通例の電解質(Stellsalz)が挙げられる。これの例は酢酸ナトリウムである。殺生物剤としては、インキに使用される全ての慣用の防腐剤が考慮される。これの例は、Proxel(登録商標)GXL及びParmetol(登録商標)A26である。界面活性剤としては、インキに使用される全ての慣用の界面活性剤が考慮される。好ましいものは、両性もしくは非イオン性界面活性剤である。しかし、自明ではあるが、染料または顔料の特性を変化させない特定の陰イオン性もしくは陽イオン性界面活性剤の使用も可能である。適当な界面活性剤の例は、ベタイン類、エトキシル化ジオールなどである。例は、Surfynol(登録商標)及びTergitol(登録商標)の製品シリーズである。界面活性剤の量は、特にインクジェット印刷に使用する場合には、例えば、インキの表面張力が、25℃で測定して10〜60mN/m、好ましくは20〜45mN/mとなるように選択される。pH値を2.5〜8.5の範囲、特に5〜8の範囲に安定化する緩衝系を備えることができる。適当な緩衝系は、酢酸リチウム、ホウ酸塩系緩衝剤、トリエタノールアミン、または酢酸/酢酸ナトリウムである。緩衝系は、特に本質的に水性の成分Bの場合に考慮される。インキの粘度を調節するためには、(場合により水溶性の)ポリマーを備えることができる。ここでは、慣用のインキ調合物に適した全てのポリマーが考慮される。例は、水溶性デンプン、特に平均分子量が3,000〜7,000の水溶性デンプン、ポリビニルピロリドン、特に平均分子量が25,000〜250,000のポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、特に平均分子量が10,000〜20,000のポリビニルアルコール、キサンタンガム、カルボキシ−メチルセルロース、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー、特に平均分子量が1,000〜8,000のエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマーである。最後に挙げたブロックコポリマーの例は、Pluronic(登録商標)の製品シリーズである。殺生物剤の割合は、インキの総量を基準にして、0〜0.5重量%、好ましくは0.1〜0.3重量%の範囲であることができる。界面活性剤の割合は、インキの総量を基準にして、0〜0.2重量%の範囲であることができる。調整剤の割合は、インキの総量を基準にして、0〜1重量%、好ましくは0.1〜0.5重量%であることができる。助剤には、その他の成分、例えば酢酸、ギ酸もしくはn−メチルピロリドン、または使用される染料溶液もしくはペーストからの他のポリマーも挙げられる。成分Eとして適した物資に関しては、加えて、Ullmann’s Encyclopedia of Chemical Industry,Electronic Release 2007,Wiley Verlag,Kapitel 「Paints and Coatings」, Sektion 「Paint Additives」(非特許文献12)が参照される。
【0063】
場合により中間キャリア上にラスタ化される着色剤の施用のためには、好ましくは、フィルムの形態の中間キャリアの耐熱性キャリア材料が使用され、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリアミドまたはポリイミド、好ましくはポリエチレンテレフタレート製のキャリア材料が使用される。キャリアは、着色剤が一次的に施用されるキャリアの側に追加的な剥離層、例えば架橋されたアクリルポリマーでできた剥離層を有することができる。更に、加熱及び圧力要素が付着することを防ぐために、キャリアには、その反対側に保護層、例えばシリコーンでできた保護層を形成することができる。キャリア材料は、リボンの形態、特に回転するテープの形で形成することができる。基本的に、回転するリボンの代わりに、キャリア材料及び剥離層材料でできたコーティングが被覆されたドラムまたは平坦なフィルムもしくはプレートも考えられ得る。このリボンまたはドラムは、着色剤の施用(プロセスステップ(a))及びその後の、ポリマーフィルム上への転写(プロセスステップ(b))を連続して行うことができるようにするために、回転式に有利に形成することができる。このように着色剤が供された中間キャリアは、転写印刷用の慣用の装置中で、着色剤キャリアとして、特にインキリボンとして使用することができる。
【0064】
着色剤を場合によってはラスタ化された形態で中間キャリア上に施用するためには、ラスタ化パターンも生成可能な任意のコーティング方法、特に印刷方法を使用できる。例えば、中間キャリアは、ドクターブレード法、ロールコーティング法、スプレー法、キャスティング法、ディスペンサー法、転写印刷法または他の印刷法、例えばオフセット印刷方法でコーティングすることができる。基本的には、デジタル印刷法、特にノン・インパクト印刷法も使用することができる。なぜならば、デジタル印刷法は、選択されるモチーフに関して非常に大きな柔軟性を持ち、この際、モチーフはこの場合、既に中間キャリア上に形成されていることが好ましい。それ故、着色剤は、本発明の更に別の好ましい発展形態の一つでは、特にインキジェット印刷法(インクジェット法)または乾式複写印刷法を用いて中間キャリア上に施すことができる。上述のインキ組成物は、特にインキジェット印刷に適している。他の方法が使用される場合は、着色剤の個々の成分の比率はコーティング技術に適合される。乾式複写印刷法の場合には、着色剤はトナーの形で用意される。
【0065】
着色剤は、二次元的な配列で中間キャリア上に施され(上記両方法形態のプロセスステップ(a)の用意のため)、そこで、着色剤は最後にポリマー層上に転写されるものであるが、ポリマー層上に原物と左右が合っているパターンを形成できるようにするために中間キャリア上には鏡面反転の配置が選択される。
【0066】
例えば多色パターンを形成するために、多色着色剤層、例えば異なるタイプのパターン要素または異なる着色剤層領域をポリマー層の表面上に生成する用に複数種の着色剤を使用する場合には、あるいは同じまたは異なるポリマー層の異なる表面に複数のパターンを形成すべき場合には、場合によりラスタ化された着色剤を有する構造を、相前後して複数回中間キャリア上に形成し、その後、それぞれポリマー層上に転写することができる。着色剤を中間キャリアからポリマーフィルム上に転写した後、更に他のポリマーフィルムのために新たに着色剤を中間キャリア上に施す前に、中間キャリアを再び洗浄することができる。代替的に、着色剤でコーティングされた中間キャリアのまだ利用されていない領域が使用される。
【0067】
中間キャリア上の生成すべきパターンのラスタ化された像の生成とは、形成すべき着色剤層領域に相当しかつ互いに離れている、好ましくは互いに間隔を開けて配置されている個々の構造要素が、生成されることを意味する。
【0068】
これの代わりに、着色剤層は、ラスタ化されていない状態でも中間キャリア上に生成することができる。
【0069】
更に、着色剤層は、中間キャリア上に、パターン化されていない平面的な均一な形態(ラスタ化されているかもしくはラスタ化されていない)で形成することができる。この場合、着色剤層全体をまたはそれの一部のみをポリマー表面に転写できる。一部は、例えば、それに適したプレッシャダイを用いて追加的な熱の作用下に転写される。そのような装置は、慣用の熱印刷ヘッドに相当する。着色剤層全体が中間キャリアからポリマー表面上に転写される場合には、パターンの形成は後で活性化の時に起こる。
【0070】
それの代わりに、例えば情報を表すパターンを既に中間キャリア上に形成し、その後、ポリマー層の表面上に転写することもできる。しかし、各々の色がまだ現れないので、このパターンは、本発明に従い、後になってから初めて認識できるようにされる。
【0071】
着色剤が場合によりラスタ化された配列で中間キャリア上に施された後に、これをポリマー層と接触させる。好ましくは、中間層及びポリマー層は互いに対して押し付け合わせる。着色剤の転写のためには、ポリマー層の面全体を同時に中間キャリアと接触させることができるか、あるいは中間層の個々の部分を、ポリマー層の対応する部分と相前後して接触させることができる。このプロセスステップでは、最後にポリマー層上に形成すべきパターンを既に生成することができる。中間キャリアからポリマーフィルムに着色剤を転写するためには、中間キャリアとポリマーフィルムとからなる一次的な複合体に圧力及び熱をかけ、この際、ただしこの圧力と温度は、上記の第一の方法形態に従う染料及び/または顔料を含むコア/シェル型粒子がダメージを受ける程に高いものであってはならない。
【0072】
着色剤層は、ポリマー層の片方の表面に設けることができるか、あるいは各々一つの着色剤層を、ポリマー層の両表面上にまたは有価もしくはセキュリティ製品のために企図された複数のポリマー層上の各々の片面及び/または両面に設けることができる。このためには、ポリマー層への着色剤の二つの転写工程の間に、着色剤を場合によってはラスタ化して中間キャリア上に施用することによって中間キャリアに各々再び着色剤を負荷するか、あるいは着色剤を負荷した中間キャリアの新たな領域を利用する。
【0073】
ポリマー層上の着色剤層は、各々の同一のパターン要素マトリックスによって形成することができる。あるいは、例えば配列及び/またはパターン要素の種類、例えば色が異なっているそれぞれ異なるタイプのマトリックスを形成することができる。例えば、エネルギーの導入時に赤色に見える第一のパターン要素を第一の表面に、エネルギーの導入時に緑色に見える第二のパターン要素を第二の表面に、そしてエネルギーの導入時に青色に見える第三のパターン要素を第三の表面上に形成することができる。この場合、これらの表面の少なくとも二つは、同じポリマー層の互いに相対する表面であることができる。第一のパターン要素で形成された第一のパターン、第二のパターン要素で形成された第二のパターン、及び第三のパターン要素で形成された第三のパターンは、それぞれ同じ全体パターンの分解板、例えば人物の顔画像の分解板であることができ、そしてパターン全体が生成されるように見当合せされて互いに重なり合せて形成され得る。これらの分解板はいずれも、全体的な印刷像によって記録された情報の部分情報を含む。そのため、複数のパターンを、互いに並行でかつ互いに間隔をあけた異なるパターン平面において有価もしくはセキュリティ書類中に形成することができる。
【0074】
本発明の更に別の好ましい発展形態の一つでは、異なる染料及び/または顔料によって異なる少なくとも二つのタイプのパターン要素を、規則的な配列で少なくとも一つのポリマー層の表面上に形成することができる。パターン要素は、その後、両方の本発明による方法形態のプロセスステップ(b)において、ラスタ配列においてポリマー層(複数可)上に転写でき、それらのパターン要素では、例えばCMYK色空間の色において異なる色が均一に分布している。そのためには、異なるタイプの全てのパターン要素を最初に一緒に中間キャリア上に施用した場合には、中間キャリアからポリマー層の表面への一つだけの転写工程を行うことができる。あるいは、一つのタイプのパターン要素をそれぞれ相前後して中間キャリア上に形成し、次いでこれらをそれぞれ中間キャリアからポリマー層の表面に転写することによって、複数回の転写工程が行われる。
【0075】
一つのラスタ配列では、異なるタイプのパターン要素を決まった順序で交互に入れ替えることができる。例えば、並びに沿って、各々シアン色パターン要素、マゼンタ色パターン要素、イエロー色パターン要素及び黒色パターン要素が交互に入れ替わっている、パターン要素の平面的な、特にハニカム状の配列を形成できる。フリーの染料または顔料(粒子中に統合されていない)で形成されるパターン要素は、裸眼で観察した時に、構造(パターン)の無い暗い(黒褐色)の面を与える。粒子中に統合された染料及び/または顔料で形成されたパターン要素は、粒子の構造によって定められた色の印象を与える。先ず、それらの特有の色をもってこの方法形態において個々のパターン要素を活性化することによって、所望のパターンが生じる。そのためには、所望の色の印象を、場合により複数のパターン要素と各々一つの所定の色との色混合との結果として、得るために、エネルギーを所定のパターン要素中にパターンによって定めされる所定の色の箇所に局所的に導入する。
【0076】
着色剤層で形成されたパターンまたは全面がコーティングされた面は、ポリマー層の表面全体を、またはポリマー層上の一領域において部分的にのみ、またはポリマー層全体を覆うことができる。
【0077】
着色剤層をポリマー層上に設けた後、これは、更に別のポリマー層を用いて本発明による有価もしくはセキュリティ製品に二次加工される。このためには、慣用のラミネート方法を使用することができる。代替的に、有価もしくはセキュリティ製品は、対応するポリマー材料を有色粒子と一緒に押し出すことによって製造することができる。この方法では、有色粒子は、好ましくは有価もしくはセキュリティ製品の内部に配置され、そして活性化されるまで、完全にもしくは少なくとも主として不可視の状態でそこに統合された状態でそのままに維持される。
【0078】
着色剤をポリマー層(複数可)上に転写した後は、観察者にはなおもパターンは確認できない。なぜならば、染料及び/または顔料は、第一の方法形態では、粒子中/上に存在するからである。これは、高い光散乱能によって例えば白色、緑色または明るく着色されて現れる。それによって、パターンを示さない本質的に均一な面が生じる。第二の方法形態の場合は、着色剤層は、有価もしくはセキュリティ表面の内部にカバー層によって隠されている。
【0079】
パターンを認識できるように(活性化するように)するためには、これに適したエネルギー源を用いて追加的に局所的なエネルギー、例えば熱エネルギー、電磁放射線を用いたエネルギー及び/または機械的エネルギーを着色剤層に及ぼす。この際、着色剤層が活性化され、そして染料及び/または顔料がポリマー材料中に拡散する。例えば、着色剤層の個々の領域に的確にエネルギーをあてることができるようにするためには、すなわち隣接する着色剤層領域にエネルギーをあてないようにするためには、エネルギー源は集束可能なように設計されているべきである。エネルギー導入のための電磁放射線の利点の一つは、これが空間解像的に使用できる点である。更に別の利点の一つは、これらがエネルギー(波長、周波数)を介して更なる情報を含み、これを、所望のパターンの所定の色を確認しそしてそれに関して活性化を特異的に制御するのに使用できる点にある。それ故、異なるタイプの着色剤層領域の選択的活性化を、例えば各々の着色剤の染料及び/または顔料に対して電磁放射線の波長を適合させることによって達成することができる。それにより、異なるタイプの着色剤層領域を的確に「開ける」(活性化)ことができる。更に、染料及び/または顔料、またはこれらの物質を含む粒子は、追加的に、電磁放射線を吸収する増感剤を含むことができる。それによって、着色剤層領域の吸収を、有利に、入射する電磁放射線に的確に合わせることができ、しかもこの際、それのスペクトル感受性に関して、特別な要求を染料及び/または顔料の材料に課す必要もない。非常に特に好ましくは、本発明の発展形態の一つでは、レーザーを使用することができ、これは例えば放射線吸収によって局所的に熱を供給し、これが全ての着色剤層領域のまたは一つのタイプの着色剤層領域のみの局所的な温度上昇をもたらす。それの代わりにまたは追加的に、例えば追加的に局所的に熱を供給する熱印刷ヘッドを用いて、着色剤層領域に対して局所的に機械的な圧力をかけることもできる。上記の方法に対して代替的にまたは追加的に、超音波、例えば超音波発振器(ソノトロード)を用いても、エネルギーを着色剤層領域に導入することができる。染料または顔料粒子の場合(第一の方法形態)は、これらは選択的に破壊され、そうしてそこに含まれる染料及び/またはそこに含まれる顔料が放出され、それによって所望の色が活性化の箇所で生じる。第二の方法形態では、カバー層のカバーが少なくとも融解、破壊及び/または穿孔され、そうしてその下に存在する着色剤層領域が、例えばカバーとの局所的な融合によって、見えるようになる。このためには、カバー層は、例えばTiO
2から形成することができる。TiO
2粒子の大きさは、かろうじて不透明な層が存在する程に小さいことが好ましく、すなわち、TiO
2粒子の粒径は、可視光の波長の半分より大きく(太陽光の最大で約500nm、すなわち250nm超)、より良好には500nm超、最も好ましくは1μm超であるべきである。放出の際には、染料または顔料はポリマー層中にも到達する。というのも、導入されたエネルギーはこのプロセスを促進するからである。この放出によって、着色剤層も融解し、そうして、染料または顔料が、カバー層に対してz方向に下からその中に拡散して、この際に着色されるばかりでなく、ポリマー層中にも拡散する。この行程は、関与する着色剤層領域の発色及び可視化(活性化)をもたらす。エネルギーは、例えば個別にパターン要素に導入することができる。
【0080】
第二の方法形態において着色剤層を最初は隠すようにできるために、その上にある(例えばポリマー層に隣接する)カバー層は不透明である。これは、白色、灰色及び黒色を含む任意の色を有することができる。これは白色であることが好ましい。なぜならば、それによって、カバー層の残りの面に対する形成したパターンの非常に良好なコントストが生じるからである。カバー層はそれ自体不透明であることができ、すなわちカバー層の材料、特にポリマーは、適切な染料及び/または顔料によって不透明にしてよい。あるいは、カバー層は、同様に適当な染料及び/または顔料によって必要な不透明性を有する少なくとも一つの不透明な層を有する。この層は、スタック中で、着色剤層を有する少なくとも一つのポリマー層と一緒に、好ましくは着色剤層に隣接している。というのも、これは、カバー中にエネルギーが導入される際に、着色剤とカバーとの結合をもたらすからである。カバーは、セキュリティもしくは有価製品の面全体をまたはそれの一部のみを、すなわち特に、着色剤層によって占められている面に相当する部分のみを覆うことができる。
【0081】
エネルギーの導入によって、認識可能なパターンが形成される。着色剤層が有価もしくはセキュリティ製品の内部に存在する場合には、エネルギー源と着色剤との間の直接的な接触を必要としない方法(非接触的方法)を用いて、エネルギーを着色剤層中に導入することが非常に特に好ましい。例えば、電磁放射線を用いたエネルギーの導入が特に適している。それ故、個々の着色剤層領域中にエネルギーを局所的に導入することを可能にするためには、レーザー放射線を使用することが有利であり得る。着色剤層またはそれに隣接する材料中の吸収をもたらす任意のレーザー放射線が適しており、例えばIR放射線を発するレーザー、例えばNd:YAGレーザー(基本波長または周波数逓倍:1064nm、532nm、355nm、266nm)またはCO
2レーザー(10.6μm)のレーザー放射線が適している。可視のスペクトル範囲の放射線発生のためには、ガスレーザー、例えばアルゴン及びクリプトンイオンレーザー、またはダイオードレーザーが使用可能である。UVスペクトル範囲では、エキシマレーザー(例えばF
2:157nm、ArF:193nm、KrF:248nm、XeCl:308nm、XeF:351nm)が使用可能である。上記のレーザーは、エネルギーの的確な導入のために集束される。
【0082】
非接触式方法を用いた場合には、特に、本発明による方法を用いて製造可能なセキュリティ標識の他に、本質的に全ての他のセキュリティ標識を既に含む書類未完成品を加工することが可能である。好ましくは、パターンは書類未完成品内部に存在する。一方では、それによって、製造方法が明らかに簡素化される、というのも、例えば、書類、例えば身分証明書の未完成品の個人特定化を、書類を発行する場所で行うことができ、まだ個人特定化されていない書類を、発行所に輸送する時に失われないように相当なセキュリティ措置を設ける必要がない。更に、着色剤層の内部配置によって、パターンが簡単には偽造または改ざんできな
くなることが保証される。なぜならば、そのためには、追加的に内部にあるパターンを獲得する必要があるが、これはパターンを裸出させないと困難であるからである。
【0083】
例えばパターン要素(ピクセル)を所望の色で的確に活性化するためには、エネルギー源の非常に正確な位置決めが必要である。個々のパターン要素は、交互に入れ替わる異なる色のパターン要素のマトリックスが存在する時は正確には前もっては分からないため、パターン要素の位置を互いに相対的に確定するために、例えば先ずは調整を行うことができる。そのためには、少なくとも二つのパターン要素の位置をパターン中に確定することができる。調整のためには、例えば、少なくとも二つのパターン要素中に各々エネルギーを導入し、そして活性化されたパターン要素の色及び位置を光学的な手段で確定する。次いで、この色のマークを用いて、パターンの全ての他のパターン要素についてそれが何であるかと及びその位置を導き出すことができる。次いで、この情報から、エネルギーを導入するためのパターンを求めることができ、それに従い、パターン要素が有色の点に変換される。
【0084】
着色剤層が上に形成されているポリマー層の表面を活性化の後に裸出する場合には、エネルギーが導入されておらず、それ故固定されていない着色剤層領域は、各々のポリマー層の少なくとも一つの表面から後で再び除去することができる。それによって、パターンのより良好なコントラスト、及びそれ故、向上したパターン品質が達成される。
【0085】
着色剤層が上に形成されているポリマー層の表面を活性化の後に裸出しない場合には、活性化の後に行われる更なるプロセスステップにおいて、未変化の有色粒子、すなわちパターンの形成に関与してない有色粒子を、これが長期安定性であるべきでない場合には固定することができる。それによって、一度形成したパターンが、さらなる変化に対して安定化される。上記の固定は、例えば、有価もしくはセキュリティ製品に電磁放射線を照射することによって起こすことができ、これは、活性化に使用された電磁放射線とは異なる光子エネルギー(波長)を有し、そして先に生成された視覚的に認知可能な色の印象を変化させることはない。このためには、例えば、有色粒子が中に存在するマトリックスを、未変化の有色粒子からなる着色剤がもうそれ以上発生しないように化学的に変化させることができる。上記の化学的変化の方法の一つは、マトリックスを化学的に架橋することである。そのためには、マトリックスが、架橋可能な化合物を含む。その代わりに、パターンを形成していない着色剤を退色させることができる。
【0086】
少なくとも一つのポリマー層上に本発明による方法を用いて製造されたパターンは、更に、モチーフの一部の形で形成することができ、その残りの部分は、慣用の方法で生成される。例えば、慣用の方法で生成したモチーフ部分(例えばモチーフの面半分)を、ポリマー層を組み合わせそして結合する前に既に生成し、他方で、本発明に従い製造したモチーフ部分を、ポリマー層を組み合わせ結合してから初めて、後からの活性化によって可視とすることが可能である。それによって、完成した有価もしくはセキュリティ書類に企図されたモチーフ、例えば紋章が、未完成の書類中に最初は部分的にのみ存在し、そして書類を発行する場所で初めて、残りのモチーフを供することが可能となる。
【0087】
有価もしくはセキュリティ製品は、好ましくは、着色剤層を設けたポリマー層、着色剤層が上に存在していない更に別のポリマー層、更に、第二の方法形態の場合には、カバー層、並びに最後に場合によっては、外面保護コーティングまたは保護フィルムから製造される。保護コーティングまたは保護フィルムは、損傷(引っ掻き傷)に対して外面を保護するため及びその他の外面に装備されたセキュリティ標識を、改ざんから保護するために製品の内部に収納するのに役立つ。更に、外面には、回折フィルムを設けることもできる。有価もしくはセキュリティ製品は、書類素材から、特にラミネーションによって製造できる。PC及び/またはPET層の他に、製品は、他の材料でできた層、例えば他のポリマーまたは紙または厚紙でできた層を含むこともできる。好ましくは、当該書類は、3〜12枚、好ましくは4〜10枚のフィルムから製造され、この際、個々のフィルムは、同じ材料でできていてもよいし、または異なる材料からできていてもよい。典型的には、PCのラミネートは、熱間/冷間ラミネートプレス機中で、第一ステップでは170〜200℃及び50〜600N/cm
2の圧力下に、第二ステップではおおよそ室温に冷却し及び同じ圧力下に製造される。PETのラミネートは、より高い温度で、例えば220℃で行われる。そのポリマーフィルムは、典型的には25〜150μm、好ましくは50〜100μmの厚さを有する。その代わりに、有価もしくはセキュリティ製品は、ラミネーションとは異なる他の方法で、例えば押出しによって製造することもできる。
【0088】
有価もしくはセキュリティ製品は、本発明による方法を用いて製造可能なセキュリティ標識の他に、個別化されているかまたは個別化されていない少なくとも一つの更なるセキュリティ標識を有することができる。更に別のセキュリティ標識としては、着色繊維、組みひも飾り、透かし、エンボス、セキュリティスレッド、マイクロプリント、角度可変の図、ホログラム、光学可変性顔料、発光インキ、透過光レジスタマーク及び類似物が考慮される。更に、該書類は、電子的な部品、例えばアンテナ及びRFIDマイクロチップを備えたRFID回路、電子的表示素子、LED、タッチセンシティブセンサー及び類似物も有することができる。上記電子部品は、例えば、書類の二つの不透明な層の間に、隠した状態で配置することができる。
【0089】
本発明を、以下の図面に基づいて例示的に説明するが、記載の例は、単に例示的な特徴を有するものであり、記載の発明の範囲を減縮するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0091】
これらの図面では、同じ参照番号は、同じ機能を持つ要素または同じ要素を示す。
【0092】
図1に示した身元証明カード600の実施形態は、それぞれ、このカードに通常のフォーマット、例えばISO/IEC7810に従うフォーマットID1を有する。このカードは、PC及び/またはPETでできていることができそしてカードの個々の層を形成する、複数のポリマーフィルムから積層体として製造されていることができる。これらの層のいくつかは、顔料で不透明に着色されていてよく、それによって、カードは、例えば内側にある電子的装置を隠す。以下には、説明を簡単にするために、カードが基材としての一つのポリマーフィルムから形成されていることを前提とする。カードは、表側面601と裏側面(図示せず)を有する。これは、例えば800μmの厚さを有することができる。カードは、複数のセキュリティ標識、例えばそのカードが帰属する人物の顔画像610、更に、例えば人物のデータがプレーンテキストで記載されているデータフィールド620、並びに図示されていない更なるセキュリティ標識を含むことができる。
【0093】
更に、カード600は、本発明による方法で活性化されたセキュリティ標識160を含む。この場合、他の方法で形成された任意の標識の代表として、カード保有者の顔画像150の複製がパターンの形で再現されている。他の表示は、任意の他のパターンによって形成することができる。これの代わりに、顔画像610は、本発明の方法において活性化されたセキュリティ標識によって形成することもできる。この場合、更に他のフィールド160は予定されないだろう。
【0094】
図2に図式的に示されるレーザー活性化装置は、書類未完成品600中に、例えばパターン要素110(
図3C)からなる多色パターン150を生成するのに適している。このために、該装置は、三つのレーザー2’、2’’及び2’’’、三つの主鏡3’、3’’及び3’’’、副鏡4、更に結像光学系(図示せず)、制御デバイス5及びコンピュータ6を備える。
【0095】
コンピュータ6には、例えば入力データ、例えば画像データが記録されており、これからハーフトーン画像を形成することができる。このハーフトーン画像から、次いで制御デバイス5のプログラミングのための生データが生成される。ここで制御デバイスは副鏡4を制御して、レーザービームが、活性化すべき書類未完成品600の表面に導かれるようにする。更に、制御デバイスは、レーザー2’、2’’、2’’’を、またはそれぞれ、これらのレーザーに付属するモジュレータ(図示せず)も制御する。これらのモジュレータを用いて、レーザービームLの強度を個別に調節することができる。制御デバイスから渡されたデータを用いて、パターン150のパターン要素110を書類未加工品中に生成するために該装置を制御することができる。有色のパターン要素を生成するためには、レーザーから発せられたレーザービームは、主鏡3’、3’’、3’’’を通過し、次いで副鏡4にあたり、そしてそこから書類未完成品の方に転向される。レーザービームは、例えば、列をなして書類表面上に導くことができ、この際、ビームの強度は、調節によって、書類表面上の一カ所に形成するべき所望のビーム強度にそれぞれ調整される。レーザービームは、例えば、非常に小さいビーム直径を得るために表面上に集束することができる。
【0096】
レーザービームLが、書類未完成品中で着色剤層100上にあたることによって(
図3D)、パターン150が、レーザーを用いた書類未完成品600の活性化によって生成される。これは、レーザービームの作用によって活性化され、そうして例えば、そこに含まれる着色剤が放出され、そして観察者に認知可能となる。活性化の前は、シェルが着色剤を十分に遮蔽することによって、着色剤は例えば有色粒子中に隠されている。
【0097】
図3には、第一の方法形態における本発明による方法が、図解的に再現されている。
【0098】
この方法を用いて、異なるタイプ(すなわち異なる色を有する)A、B、C、Dの規則的に配置されたパターン要素110の形の着色剤層100が、印刷領域120において、ポリマー層としての商業的に入手できるPCフィルム300、例えばビスフェノールAをベースとするフィルム300の表面310上に施用される(
図3C)。
【0099】
第一のステップでは、着色剤が中間キャリア200上にラスタ状に施用される(
図3A)。中間キャリアは、剥離層が上に設けられているPETでできたフィルムである。着色剤は、各々染料が粒子中に統合された状態で含まれている印刷インキである(第一の方法形態)。これは、例えば、二酸化チタン粒子中に含まれる染料である。この場合、四種の染料、すなわち黄色、赤色、緑色及び青色の染料を選択し、これらを用いて着色剤を、そしてこれらの着色剤を用いて対応するパターン要素タイプA、B、C、Dを形成する。これらの粒子状染料を、バインダーとして例えばPC誘導体、好ましくはゲミナル型二置換ビス(ヒドロキシフェニル)シクロアルカンをベースとするPC誘導体を含む染料調合物中に分散する。追加的に、バインダー用の溶剤、及び印刷インキに通常添加される更に別の添加剤が含まれる。
【0100】
これらの印刷インキを、例えば、四種の印刷インキのうちのそれぞれ一つに四つの印刷ヘッド410(インキA)、420(インキB)、430(インキC)、440(インキD)を備えたインクジェット印刷機400を用いて、中間キャリア200に印刷し、この際、PCフィルム300の表面310上に形成するべきパターン要素110の大きさ及び配列の構造が形成される。パターン要素の大きさは例えば30μmである。このためには、PCフィルム上に形成するべきパターン要素、すなわち四種のパターン要素タイプA、B、C、Dの全てに相当する構造全体を、中間キャリア上に原物と左右が逆の配列で生成する。例えば、ラスタが形成され、それから、例えば
図6に示すようなパターン要素配列を生成できる。
【0101】
印刷インキ構造が供された中間キャリア200の表面210を、PCフィルム300の表面310上に押しつけることによって、中間キャリアの表面上に生成された構造は、PCフィルムの上記表面に転写され、この際、着色剤層100は、パターン要素配列の形態で形成される(
図3C)。このために、PCフィルムを、押圧ロール220を用いて中間キャリアリボンに対して押しつける(
図3B)。それによって、ポリマーフィルム表面上に、四種の異なる着色剤A、B、C、Dを有するパターン要素のラスタ配列が生じる。パターン要素110は、二酸化チタンの使用の故に白色ないし灰色であり、認識可能な着色を示さない。それ故、パターン要素が存在する印刷領域120は、パターン要素の大きさが小さいため、観察者には薄い灰色に見える。
【0102】
このようにして着色剤層100が印刷されたPCフィルム300は、次いで、更に別のポリマーフィルム320、330、340、例えば同様にPCフィルムと一緒にしてスタック350とする。この際、PCフィルム300の印刷された表面310は、スタック内部に配置される(
図3D)。次いで、このスタックを、慣用の熱間/冷間ラミネーションプロセスにおいて二次加工して積層体とし、これは、然るべき仕上げの後に有価もしくはセキュリティ書類600となる。個々の層の一体型の複合体が生じる、すなわち元の表面は、ラミネーションの後にはもはや分からない。着色剤層100は、ラミネーションにおいて維持される、すなわち染料はそれから拡散されない。今や内部にある印刷領域120も同様に薄い灰色または白色に見える。
【0103】
続くプロセスステップにおいて、パターン要素110を、集束されたレーザービームLで処理する(プロセスステップ(c))。このために、パターン要素が存在するパターン面上にレーザービームを集束しそしてレーザービームが印刷領域120にわたって動かされる装置が使用される。このために、レーザービームのための転向ユニット4が存在する(
図2)。このレーザーは、例えばNd:YAGレーザーである。的確なレーザー処理によって、染料が放出されることで個々のパターン要素が活性化される。これは、隣接するポリマー層300、320中に拡散し、そしてそこで局所的に、材料の強い着色を発達させる。この場合には、全てのパターン要素が活性化された(
図3D)。
【0104】
上記の例に対する代替法では、PCフィルム300を他のポリマー層と一緒にしラミネートするのではなく、別個に二次加工する。それによって、着色剤層100が、パターン要素110の形で、PCフィルムの表面310に残る(
図3D’)。引き続くプロセスステップでは、パターン要素の一部のみ、すなわちタイプB(赤)及びタイプD(青)のパターン要素のみが活性化される。このためにも、上記レーザー装置が役立つ。黄色のパターン要素(A)及び緑色のパターン要素(C)は活性化されていない状態で残る。引き続きステップでは、活性化されていないパターン要素が表面から除去される(
図3E’)。このためには、接着フィルムを表面に押しつけて(図示せず)、活性化されていないパターン要素をそれに付着したままにする。印刷領域120は、赤色と青色の混合色として、それ故紫色として見える。
【0105】
第二の方法形態によれば、更に別の例では、再び着色剤層100が、パターン要素110の形でPCフィルム300上に形成される(
図4A)。しかし、このためには、例えば、フリーの染料(粒子中/上に負荷されていない)を含む印刷インキが使用される。この場合も、黄色、赤色、緑色、青色の染料を含む四種の印刷インキが使用される。パターン要素は、第一の例に相当する大きさを有し及び第一の例に相当する配列でPCフィルムの表面310上に形成される。このパターン要素で形成された印刷領域120は、観察者には暗褐色に見える。この場合も、印刷インキは、バインダーとしてPC誘導体を、例えばゲミナル型二置換ビス(ヒドロキシフェニル)シクロアルカンをベースとするPC誘導体と、このバインダーのための溶剤、並びに印刷インキに通常添加される更に別の添加剤を含む。第一のステップでは、先ず第一の例のようにパターン要素に相当する構造を、中間キャリア200上に形成し、そして次いで印刷インキが、この構造を中間キャリア表面210からPCフィルム300の表面310上に転写する(
図3A、3Bに相当)。上記の構造は、パターンによってまたは全面的な着色剤層によって形成することができる。
【0106】
次いで、このPCフィルム300を、更に別のポリマーフィルム320、330、340、例えば同様にPCフィルムと一緒にしてスタック350とする(
図4A)。着色剤層100を有する、PCフィルム300の表面310の上には、追加的に、カバーフィルム360の形のカバー層が存在し、これは、表面361の上にカバー層362を有し、これは例えば二酸化チタンによって白色で不透明である。このカバー層は、例えばオフセット印刷法を用いて、白色の印刷層によって形成される。従って、このパターン要素が設けられた、PCフィルム300の表面310は、PCフィルムとカバーフィルム360との間に、内部に配置される。次いで、このスタックは、慣用の熱間/冷間ラミネートプロセスにおいて二次加工して積層体とする。個々の層の一体型の複合体が生じる、すなわち元の表面は、ラミネーションの後にはもはや分からない。パターン要素はラミネートの際に維持される。この今や内部にある印刷領域120は、カバーの故に可視ではない。この箇所では書類は白色に見える。
【0107】
その後のプロセスステップでは、カバー層362を、個々のパターン要素110に対して、集束したレーザービームLで処理する。このために、上述のレーザー処理装置が使用される。的確なレーザー処理によって、カバー層が局所的に融解される。局所的な温度上昇によって、その下にあるパターン要素中の染料が、隣接するPCフィルム300中に並びにカバーフィルム360中にz方向に拡散し、そしてそこで材料の強い着色を局所的に発達させる。この場合は、色A(黄)及びC(緑)のパターン要素だけが活性化された(
図4B)。それによって、変化した色の印象が印刷領域120に生じる。この印刷領域は、黄色のパターン要素と緑色のパターン要素との混合によって淡緑色の色合いに見える。
【0108】
タイプA及びCのパターン要素110の例えばストリップ状の活性化によって、淡緑色のストリップの他に白色のストリップが形成され得る。対応する方法で、他のパターンも生成し得る。
【0109】
積層体の試験された層間剥離についての上記の全ての例に従う試験において、印刷領域が、隣接するポリマー材料に対して、ポリマー層間と同様の高い付着強度を有することが明らかになる。
【0110】
更に別の例において、着色剤層100を供するべきポリマー層のための材料としてPETを用いた第一及び第二の例を繰り返す。同じ結果、特に積層体の試験された層間剥離についても同じ結果が得られる。
【0111】
図5には、パターン要素110の的確な活性化のためのエネルギー源の位置決めのための方法を図示する。
【0112】
図5Aは、PCフィルム300の表面310上のパターン要素110の形の着色剤層100を、それらのそれぞれの色を符号化して示す。印刷領域120には、四種のパターン要素、すなわち黄色(A)、赤色(B)、緑色(C)及び青色(D)のパターン要素が存在する。これらのパターン要素は、正方形の配列において印刷領域120に体系的に配置されており:それぞれ二つのパターン要素タイプA及びBまたはC及びDは、相次いで続く二つのタイプのパターン要素配列のうちの一つで形成されている。第一の行では、黄色のパターン要素A及び赤色のパターン要素Bと、第二の行では、緑色のパターン要素C及び青色のパターンDがそれぞれ互いに交互して配置されている。これらの第一及び第二の行は、同様に互いに交互している。
【0113】
当然、パターン要素110は、それらの活性化の前にはそれらの色をまだ示さない。例えば、着色剤は二酸化チタン粒子中に埋蔵されていることができ、そうしてパターン要素は白色または灰色に見える。所定のパターン要素または少なくとも所定のタイプのパターン要素を的確に活性化するためには、それらのタイプを決定するために、パターン要素を個別に試験的に活性化する。
図5Bの例では、左上の黄色のパターン要素(A)と、右下の青色のパターン要素(D)が活性化、それ故可視化された。この決定から、パターン要素タイプの相互の配置についての知識に基づいて、各々のタイプの全てのパターン要素の絶対的な位置を推論でき、そうしてこの検定後に、所定のパターン要素の的確な活性化が可能になる。というのも、黄色のパターン要素(A)の右側と左側に赤色のパターン要素(B)が、そして黄色のパターン要素の下と上には、緑色のパターン要素(C)が、そして赤色のパターン要素の下と上には青色のパターン要素(D)が存在することは既知であるからである。
【0114】
PCフィルム300の表面310上に互いに違いにずれている行の状態に配置された着色剤層100のパターン要素110の的確な部分的な活性化を
図6に示す。この場合、第一の行には、黄色のパターン要素(A)及び赤色のパターン要素(B)が、そして第一の列とは互い違いにずれているその下にある第二の行では、緑色のパターン要素(C)及び青色のパターン要素(D)が存在する。それより下の更なる行は、第一及び第二の行の繰り返しである。
【0115】
上方の印刷領域130では赤色のパターン要素110(B)の、及び下方の印刷領域140では黄色のパターン要素(A)の的確な活性化によって、印刷領域120は上方の領域では赤色に、下方の領域では黄色に見える。これらの両方のストリップは、パターン150であり、これは、情報を、例えば、パターンが設けられた書類の符号化された値を表し得る。同様にして、当然ながら、他の、特に複雑なパターン、例えば人物の顔画像を、例えば対応するパターン要素の部分的活性化によって展開することもできる。応じて、このようなパターンは、有価もしくはセキュリティ書類600について個別化されていることもでき、そして例えば人物の顔画像を複製できる。
【0116】
本発明の上述の説明は、パターンの生成を様々なやり方で達成できることを示している。第一の代替法では、パターンは、着色剤が中間キャリアに転写される時には既に生成される。この場合、好ましくは、着色剤全てが、中間キャリアからポリマー層に転写され、そして次いでポリマー層上でも好ましくは完全に活性化される。第二の代替法では、パターンは、パターンに相当する中間キャリア上の着色剤領域をポリマー層上に部分転写することによって初めて形成される。この場合、中間キャリアは、好ましくは全面が着色剤でコーティングされる。パターンの形でポリマー層上に形成された着色剤層は次いで好ましくは完全に活性化される。第三の代替法では、パターンは、選択的活性化によってポリマー層上に初めて生成される。このために、先ず、着色剤を好ましくは全面で中間キャリア上に、その後、この場合も好ましくは全面で中間キャリアからポリマー層上に転写する。
本願は特許請求の範囲に記載の発明に係るものであるが、本願の開示は以下も包含する:
1.
有価もしくはセキュリティ製品(600)のセキュリティ標識(160)の製造方法であって、セキュリティ標識(160)は、少なくとも一つのパターン(150)によって形成され、及び次のプロセスステップ、すなわち
(a)着色剤を供した中間キャリア(200)を用意し、ここで、着色剤は、それぞれ、少なくとも一種の染料及び/または少なくとも一種の顔料を含む粒子、及びポリマーでできたバインダーを含むステップ;
(b)着色剤の少なくとも一部を、中間キャリア(200)からポリマー層(300)の表面(310)上にそれぞれ転写し、この際、着色剤層(100)が各々のポリマー層(300)上に形成され、ここで、ポリマー層(300)は、それぞれ少なくとも一種の材料から製造され、この材料は、ポリカーボネート及びポリエチレンテレフタレートを含む群から選択されるステップ;及び
(c)少なくとも一種の染料及び/または少なくとも一種の顔料を粒子から放出させて、各々のポリマー層(300)の上にパターン(150)を形成するために、エネルギーを、着色剤層(100)の少なくとも一部に、局所的に導入するステップ、
を含む、前記方法。
2.
有価もしくはセキュリティ製品(600)のセキュリティ標識(160)の製造方法であって、セキュリティ標識(160)は、少なくとも一つのパターン(150)によって形成され、及び次のプロセスステップ、すなわち
(a)着色剤を供した中間キャリア(200)を用意し、ここで、着色剤は、少なくとも一種の染料及び/または少なくとも一種の顔料、並びにポリマーでできたバインダーを含むステップ;
(b)着色剤の少なくとも一部を、中間キャリア(200)からポリマー層(300)の表面(310)上にそれぞれ転写し、この際、着色剤層(100)が各々のポリマー層(300)上に形成され、ここで、ポリマー層(300)は、それぞれ少なくとも一種の材料から製造され、この材料は、ポリカーボネート及びポリエチレンテレフタレートを含む群から選択されるステップ;及び
(c)各々着色剤層(100)が設けられた少なくとも一つのポリマー層(300)並びに少なくとも一つのカバー層(360)を一緒にしてスタック(350)とし、そうしてカバー層(360)が、着色剤層(100)を観察者に対して隠すようにするステップ;(d)少なくとも一つのポリマー層(300)と少なくとも一つのカバー層(360)とを接合して積層体とするステップ;及び
(e)積層体中にエネルギーを局所的に導入して、そうして、パターン(150)が形成されつつ、着色剤層(100)の少なくとも一部が観察者に認知可能となるステップ、
を含む、前記方法。
3.
上記1または2に記載の、有価もしくはセキュリティ製品(600)のセキュリティ標識(160)を製造する方法であって、着色剤層(100)が、ラスタ状に配置されたパターン要素(110)の形で形成されることを特徴とする、前記方法。
4.
上記1〜3のいずれか一つに記載の、有価もしくはセキュリティ製品(600)のセキュリティ標識(160)を製造する方法であって、ポリカーボネートが、ビス(ヒドロキシフェニル)−メタン−誘導体を含む群からのジオールを用いて形成されることを特徴とする、前記方法。
5.
上記1〜4のいずれか一つに記載の、有価もしくはセキュリティ製品(600)のセキュリティ標識(160)を製造する方法であって、異なる染料及び/または顔料によって異なっている少なくとも二種の着色剤が、規則的なまたは不規則的な配列で、少なくとも一つのポリマー層(300)上に転写されることを特徴とする、前記方法。
6.
上記1〜5のいずれか一つに記載の、有価もしくはセキュリティ製品(600)のセキュリティ標識(160)を製造する方法であって、着色剤が印刷用着色料または印刷インキであることを特徴とする、前記方法。
7.
上記1〜6のいずれか一つに記載の、有価もしくはセキュリティ製品(600)のセキュリティ標識(160)を製造する方法であって、着色剤が、インクジェット印刷法によって中間キャリア(200)上に施用されることを特徴とする、上記方法。
8.
上記1〜7のいずれか一つに記載の、有価もしくはセキュリティ製品(600)のセキュリティ標識(160)の製造方法であって、着色剤層(100)が、着色剤層(100)が設けられた少なくとも一つのポリマー層(300)と、並びに場合によっては更に別のポリマー層(320、330、340、360)とによって形成されたポリマーボディの内部に存在することを特徴とする、前記方法。
9.
上記1〜8のいずれか一つに記載の、有価もしくはセキュリティ製品(600)のセキュリティ標識(160)を製造する方法であって、エネルギーが、レーザー放射線(L)を用いて局所的に導入されることを特徴とする、前記方法。
10.
パターン(150)を備えた有価もしくはセキュリティ製品(600)を製造する方法であって、次のプロセスステップ:
(a)着色剤を供した中間キャリア(200)を用意し、ここで、着色剤は、それぞれ、少なくとも一種の染料及び/または少なくとも一種の顔料を含む粒子、並びにポリマーでできたバインダーを含むステップ;
(b)着色剤の少なくとも一部を、中間キャリア(200)からポリマー層(300)の表面(310)上にそれぞれ転写し、この際、着色剤層(100)が各々のポリマー層(300)上に形成され、ここで、ポリマー層(300)は、それぞれ少なくとも一種の材料から製造され、この材料は、ポリカーボネート及びポリエチレンテレフタレートを含む群から選択されるステップ;
(c)着色剤層(100)を設けた少なくとも一つのポリマー層(300)並びに更に別のポリマー層(320、330、340、360)を一緒にしてスタック(350)とするステップ;
(d)全てのポリマー層(300、320、330、340、360)を接合して積層体とするステップ;及び
(e)少なくとも一種の染料及び/または少なくとも一種の顔料を粒子から放出させて、少なくとも一つのポリマー層(300)の上にパターン(150)を形成するために、エネルギーを、着色剤層(100)の少なくとも一部に、局所的に導入するステップ、
を含む、前記方法。
11.
上記10に記載の、有価もしくはセキュリティ製品(600)を製造する方法であって、着色剤層(100)が、ラスタ状に配置されたパターン要素(110)の形で形成されることを特徴とする、前記方法。