【氏名又は名称原語表記】Nederlandse Organisatie voor toegepast−natuurwetenschappelijk onderzoek TNO
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
担体(7)の製造プラットフォーム(2)を前記担体の輸送体(102)に対して前記堆積方向(6)に平行な方向(12)に変位させるよう構成された高さ調節手段(8)を更に備える、
請求項1に記載の製造ライン(11)。
有形物をハンドリングするための1個以上のハンドリングステーションを備え、前記第1及び第2の輸送体は、相互に対して可変な速度で、各前記ハンドリングステーションの間の前記コンベヤの軌道に沿って可動であることを特徴とする、
請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造ライン。
前記ハンドリングステーションは、新規の担体を前記コンベヤに入れるための入力ユニット(415)を備え、調節可能な高さ調節手段(8)は、異なる製品を準同時的に製造するために個別に制御される、
請求項9に記載の製造ライン。
製造原料を受けるための第1の製造プラットフォームを備える第1の担体が、前記第1の製造プラットフォームを堆積ヘッドに向けて導く軌道に沿って、コンベヤに対して移動しており、
前記第1の担体は、製造原料を受けるための第2の製造プラットフォームを備える第2の担体に対して移動しており、前記第2の担体は、前記第2の製造プラットフォームを堆積ヘッドに向けて導く軌道に沿って、前記コンベヤに対して可変な速度で可動であることを特徴とする、
有形物の層状製造のための方法。
【背景技術】
【0003】
層状製造は、有形の3次元製品が、互いに重なり合った層を連続的に付加することによって製造され、これらの層が、有形物の異なる高さの断面に対応する製造方法である。層状製品は、液体または粉末の均一な層を供給し、この液体または粉末が、製造される製品の断面に対応する所定の2次元パターンで固化することによって製造し得る。残りの、固化していない原料はその後除去される。これらの層は、たとえば印刷によって、所要の2次元パターンで直接堆積させることもできる。このような方法においては、パターンは、固化によってではなく、原料の堆積の間に既に決定されている。原料は、インクまたは粉末であってもよく、インクまたは粉末を、硬化し、焼結し、または、たとえば溶媒の蒸発などその他の方法で固化して、合着した製品が得られる。
【0004】
製品は、しばしば、垂直方向に移動可能な製造プラットフォームの上に作られる。しかし、製品が製造プラットフォームの下に懸垂する層状製造システムもある。このようなシステムの一例は、特許文献1に開示されている。典型的には、このようなシステムは、たとえば紫外線(UV)によって固化させることが可能な液体を有する皿を備える。皿の底の上に配置された製造プラットフォームは、プラットフォーム(または、先に固化した層)と皿の底との間に液体の薄膜を形成できるよう、上方に移動する。フィルムは所定のパターンで固化し、この固化の後、プラットフォームはさらに上方に移動する。これらのステップは、製品が完成するまで繰り返される。最後に、完成品はプラットフォームから取り除かれ、このプラットフォームは、次の製品を製造するために使用できる。
【0005】
有形の3次元製品の層状製造のための、他の公知の装置及び方法においては、出発原料として粉末が使用され、この粉末が、たとえば焼結によって固化される。このような方法は、特許文献2に開示されている。この公知の方法によれば、粉末の薄層が、垂直壁により区画されまた下方は製造プラットフォームにより区画された区域に供給される。この層は、製品の断面である所定の形状を有する合着した固体層へと焼結することによって固化される。続いて、固化した層を支持するプラットフォームが下方に移動し、新しい粉末層が供給される。これらのステップは、製品が完成するまで繰り返される。続いて、固化していない粉末部分と完成品とが除去され、次の製品が製造される。
【0006】
前述のシステムは共通して、垂直方向に移動可能な1個のプラットフォームを有する。このようなシステムは、1種類の原料から製品を製造するのに特に適している。このようなプラットフォーム上では、異なる形状を有するいくつかの製品を同時に作ることが可能である。このような方法の例は、特許文献3に開示されている。この公知の方法は、1種類の原料から作られる製品に限定されている。しかし、原理的には、粉末ベースのシステムも、各々の層が異なる原料から作られる製品を製造するのに適している。このようなシステムは、たとえば、特許文献4に開示されている。
【0007】
複数の製造プラットフォームを有する装置もある。このような装置の例は、特許文献5に開示されている。この装置は、異なる製造プラットフォームを備えており、異なる製品を準同時的に作ることができるので、1つの製造プラットフォームのみを有するシステムよりも高い柔軟性を提供する。
【0008】
層状製造によって有形物を製造するさらに他の手法は、3次元印刷である。3次元印刷において、インクは、連続層として供給され、または、製品の断面に対応する所定のパターンに供給される。3次元印刷は、ある面において、特に、インクが印刷ヘッドによって塗布される場合において、上記の手法より柔軟性がある。いくつかの原料を備える複合した製品を製造するため、異なる印刷ヘッドを用いて、異なる原料を供給することができる。さらに、印刷ヘッドは、製造処理の制御を向上させるために容易にオン及びオフを切り換えることができる。プリントヘッドを用いた層状製造のための製造ラインの一例は、特許文献6に開示されている。この公知の製造ラインは、層状製造によっていくつかの有形物を製造するために用いることができる。この製造ラインは、担体上に原料を堆積させるためのいくつかの印刷ヘッドを備え、これらのプリントヘッドは、1つの印刷ヘッドから別の印刷ヘッドへと担体を通過させるコンベヤ上に配置される。これらのヘッドは、運搬方向に沿って互いに列をなして配置されている。さらに、各々の印刷ヘッドの高さは、たとえば、異なる製造段階間における製品の高さ、すなわち、すでに堆積された層の数の増加を補償するために、コンベヤに対する関係で調節することができる。この製造ラインは、幾何学的形状が異なりまた原料の組成が異なるをいくつかの製品の製造を可能にする。製品の各々の層は、1個以上の印刷ヘッドによって作成され、相当なサイズの製品を製造するためには膨大な数の印刷ヘッドが用いられることとなる。
【0009】
また、特許文献7は、製造プラットフォーム上に層状に原料を堆積させるために1個以上のビルドステーションを用いることを開示している。
【0010】
特許文献8は、複数のビルドモジュールを利用する3次元印刷システムに関する。ビルドモジュールは、ビルド製品へと固化する粉末を受ける機能を行う。ダイバーターは、印刷された層を備えるビルドモジュールまたはビルドプレートを、ビルドシステムのコンベヤから隣接するコンベヤへと向ける。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、製品の迅速な製造を可能にする、有形物の付加的製造のための製造ラインを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記本発明の目的は、
第1及び第2の可動な担体であって、当該担体のそれぞれが、
当該担体を輸送するための輸送体と、
有形物を支持するための製造プラットフォームと、
を備える担体と、
製造原料を前記第1及び第2の製造プラットフォーム上で堆積方向に堆積するための1個以上の堆積ヘッドと、
前記第1及び第2の製造プラットフォームを、前記堆積ヘッドに向かって及び前記堆積ヘッドから離れて繰り返し運搬するコンベヤと、を備え、
前記第1及び第2の輸送体が、相互に対して可変な速度で、前記コンベヤの軌道に沿って可動であることを特徴とする、
有形物の層状製造のための製造ラインにより達成される。
【0014】
コンベヤに沿って互いに対して可動な2個の輸送体の利点は、製造プラットフォームを構成する2個の輸送体がある特定の瞬間に同じ速度で動く必要がないことである。速度が異なっていることの効果は、各製造プラットフォームの速度を、製造ラインの具体的な位置、または製造プラットフォーム上の製品が受けなければならない具体的な処理に適合させることができることである。この効果の利点は、製造ラインのいずれの製造プラットフォームにおいても、製造プラットフォームの速度が、最も遅い処理によって決定されることがないことである。たとえば、第1の製造プラットフォームが、層の堆積を可能にするために比較的遅く動く一方、第2の製造プラットフォームが、比較的速い速度で堆積ヘッドに戻るということができる。第2の製造プラットフォームは、第1の製造プラットフォームが動いている間に静止していてもよい。
【0015】
これは、製造ラインが製品を製造するための製造プラットフォームを部分的にしか備えていない場合、たとえば、製造される製品の数が限られている場合における問題を解決する。具体的には、充填レベルが完全でない場合、製造ステーションは、次の製造プラットフォームを適時に補充されないことがある。
【0016】
製造ラインのひとつの実施形態では、製造ラインは、担体の製造プラットフォームを、当該担体の輸送体に対して前記堆積方向に平行な方向に変位させるよう構成された高さ調節手段を備える。
【0017】
製造プラットフォームを輸送体に対して堆積方向に平行な方向に変位させるよう構成された高さ調節手段の利点は、堆積ヘッドを固定位置に配置することができること、及び、製造プラットフォームが、堆積が行われる区域から除去されたとき、すなわち、堆積ヘッドから離れたとき、堆積ヘッドと製造プラットフォームとの間の距離を調節できることである。その効果は、堆積プラットフォームの高さが調節されている間に、堆積ヘッドを、異なる製造プラットフォーム上で別の製品を製造するために用いることができることである。これにより、有形物の層状製造の間に堆積ヘッドをより効率的に使用することが可能になる。
【0018】
製造ラインの他の実施形態では、担体の製造プラットフォームは、担体の輸送体に対し、堆積方向に垂直な平面内で可動である。このプラットフォームは、この平面内で、回転可能、可動、または、回転と移動の両方が可能であってもよい。このようにして輸送体に対して可動であるプラットフォームの利点は、たとえば堆積ヘッドに対してより良い位置決めを得るために、このプラットフォーム上の製品を、輸送体及びコンベヤに対して配向させることができることである。他の利点は、このプラットフォームが非正方形、たとえば長方形の形状を有する場合において、このプラットフォームを、他のプラットフォームに対してより効率的に位置決めできることである。
【0019】
製造ラインのさらに他の実施形態においては、コンベヤは、無端コンベヤである。無端コンベヤの利点は、使用時に、製造プラットフォームが一方向に移動するときに、この製造プラットフォームが同じ側から繰り返し堆積ヘッドに接近できることである。その効果は、これらのプラットフォームが堆積ヘッドに接近する順序を同じままにできること、及び、有端コンベヤの場合にあるような、コンベヤの端でプラットフォームの動きを逆転させる際に時間がロスされるということがないことである。無端コンベヤは、製造プラットフォームの高さを調節するための高さ調節手段と組み合わされてもよい。プラットフォームは、高さ調節可能であるか否かにかかわらす、堆積方向に垂直な平面内で可動であってもよいし、そうでなくてもよい。
【0020】
さらに他の実施形態では、コンベヤは、製造プラットフォームを異なる軌道に沿って搬送することを可能にするよう構成される。製造プラットフォームを異なる軌道に沿って搬送することにより、製造プラットフォームは、異なる軌道に沿って異なる作業ステーションを通過することができる。これにより、異なるプラットフォーム上で異なる製品を製造することができ、また、各々の製造プラットフォームに異なる層を堆積させることができる。その効果は、製造ラインが、同時に製造可能な製品に対して柔軟性を有することである。
【0021】
本発明のさらなる目的は、製品の迅速な製造を可能にする有形物の層状製造のための方法を提供することである。この目的は、
製造原料を受けるための第1の製造プラットフォームを備える第1の担体が、前記第1の製造プラットフォームを堆積ヘッドに向けて導く軌道に沿って、コンベヤに対し移動しており、
前記第1の担体は、製造原料を受けるための第2の製造プラットフォームを備える第2の担体に対して移動しており、前記第2の担体は、前記第2の製造プラットフォームを堆積ヘッドに向けて導く軌道に沿って、前記コンベヤに対して可変な速度で可動であることを特徴とする、
有形物の層状製造のための方法により達成される。
【0022】
両方のプラットフォームを堆積ヘッドに向けて導く軌道上にある第2の製造プラットフォームを備える第2の担体に対して移動する第1の製造プラットフォームを備える第1の担体の利点は、これらのプラットフォームが全処理の間同じ速度を有している必要がないことである。効果は、プラットフォーム上における特定の処理を可能にするために、一方のプラットフォームが他方のプラットフォームよりも低速に移動できることである。効果としては、たとえば、プラットフォーム上で処理が実行されていないときに、一方のプラットフォームが他方のプラットフォームより速く移動できるというものもある。製造プラットフォームの速度は、製品の製造処理の特定のステップに適合させることができるため、すべてのプラットフォームが同じ速度で動いている場合よりも、製造処理全体が高速となり得る。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、有形物の層状物質製造のための製造ラインの概略図を示す。製造ライン(1)は、少なくとも2個の可動な製造プラットフォームを備える。この第1(2)及び第2(3)の可動な製造プラットフォームは、有形物を運ぶのに適している。より具体的には、これらのプラットフォームは、層状製造によって製造された製品を運ぶのに適している。製造ラインはさらに、製造プラットフォーム上に製造原料の層を堆積するための堆積ヘッド(4)を備える。
【0025】
堆積ヘッドは、製品に作り上げられるべき原料(1又は複数)を堆積させるのに適していなければならない。換言すれば、堆積技術及び用いられる原料が調整されなければならない。原料供給装置または技術が層状製造に好適であるならば、適切な製造原料が見出されなければならない。同様に、特定の原料または原料のクラスが好適であるならば、適切な原料堆積装置または技術が見出されなければならない。適切な原料堆積装置は、層状製造に用いることができるインクに適したインクジェット印刷ヘッドであってもよい。このようなインクの例は、ポリマー溶液を備える溶剤系インクまたは硬化性樹脂を備えるインクである。電磁的放射、特に光により硬化可能な樹脂が有利である。多くの場合、紫外線によって硬化可能な樹脂が好ましい。それらは、通常の環境条件すなわち可視光の下で不必要に硬化することなく適用し得るからである。UV硬化性樹脂は、他のインクにあるような、溶媒の蒸発によるインクの固化すなわち乾燥によってノズルを詰まらせることがない、という利点を有する。さらに、UV硬化性インクは、しばしば、長い貯蔵寿命を有する。適切なインクは、液体ポリマー溶液または硬化性樹脂中に固体粒子が分散したものであってもよい。粒子は、溶媒が蒸発した後、または樹脂が硬化した後に、最終的に焼結され得る金属粒子であってもよい。加熱されると液体状態にあり、より低い温度で固体状態にある原料、たとえばワックスを使用することも可能である。このような原料を堆積するために、堆積ヘッドは、加熱手段、たとえば電気加熱ワイヤを備えていてもよい。
【0026】
堆積ヘッドは、製造プラットフォーム上に層状に原料を堆積させるように構成された任意のタイプの原料供給装置であり得る。堆積ヘッドは、たとえばスプレーガンまたはコーティングカーテンのような、原料の連続層を供給するタイプのものであってもよい。好ましくは、堆積ヘッドは、たとえばインクジェット印刷装置などの製造プラットフォームに、原料の液滴を供給する印刷ヘッドである。このような液滴供給装置は、液滴を時間的に連続的に射出する連続型インクジェット装置であってもよいし、ドロップオンデマンド装置であってもよい。堆積ヘッドは、粉体散布機であってもよい。堆積ヘッドは、製造プラットフォームの異なる場所に原料を堆積させることができるように移動することができる走査堆積ヘッドであってもよい。このような走査堆積装置は、好ましくは、コンベヤの速度よりも大幅に高い走査速度で、原料のビームを、製造プラットフォーム上の異なる位置に向けて導くことを可能にする。このような走査装置は、製造プラットフォームが動いている間に複雑なパターンを作ることを可能にする。堆積ヘッドは、典型的には、1マイクロメートル(μm)から1ミリメートル(mm)の間、より具体的には5マイクロメートルから500マイクロメートルの間、さらにより具体的には10マイクロメートルから200マイクロメートルの間の厚さの層を堆積させるのに適していてもよい。発明者らは、30マイクロメートルから80マイクロメートルの間の厚さの層を有利に堆積させた。しかしながら、本発明は、このような層の厚さに限定されない。たとえば、原子層堆積のような堆積技術によって、1マイクロメートル(μm)未満の層厚が実現可能である。このような薄い層厚では、巨視的な寸法を有する製品を得るために膨大な数の層を必要とすることになるので、このような薄層は特に、半完成品への層の追加または製品中または製品上の機能層として重要性を有する。層厚は1ミリメートル(mm)より大きくてもよいが、このような層から構成される製品は非常に粗い構造を有し、したがって通常は研磨などの追加の加工が必要となる。さらに、このような厚い層の固化は取扱困難であり得る。
【0027】
精細な構造を有する製品を製造するためには、堆積処理の横方向分解能が高くなければならない。この横方向分解能は、とりわけ、堆積ヘッドのタイプによって決定される。原料が製造原料の連続層として堆積される実施形態では、この層は、局所的に供給される固化手段によって所要の形状に固化されなければならない。製造原料を、電磁的放射、たとえばUV光で固化させなければならない場合、この放射はいくつかの方法で局所的に提供することができる。たとえば、マスク、好ましくはプログラム可能なマスクを使用して、層の所定の部分に放射を施すことができる。マスクの代わりに、たとえば発光ダイオードまたはレーザーダイオードなど、個別にアドレス指定可能な光源を有するマトリックスを使用することができる。所要のパターンで光を供給する他の方法は、光を適切な方向に向ける走査レーザまたは移動ミラーである。得られる成形の分解能は、10マイクロメートル未満さらには1マイクロメートル未満であってもよい。しかし、特定の製品については、100または300マイクロメートルの分解能で十分であり得る。
【0028】
2次元構造が印刷処理によって決定される場合、分解能は100マイクロメートル未満、より具体的には10マイクロメートル未満であってもよい。複数の堆積ヘッドを備える製造ラインのすべての堆積ヘッドが同じ分解能を有する必要はないことは理解されよう。堆積ヘッドのタイプ、堆積される原料、及び製造される製品における堆積層の機能性は、他のパラメータと共に、どのような分解能が必要かつ実現可能であるかを決定する。
【0029】
印刷ヘッドを使用することは、製造原料を堆積するための好適な実施形態の1つであるので、ここでは堆積ヘッドという語を用いる。しかしながら、この語の使用は、本発明を特定の原料堆積装置または技術に限定する意図ではないことは理解されたい。堆積ヘッドは、製造プラットフォーム上、または先に堆積されプラットフォームによって運ばれた層上、または製造プラットフォームによって運ばれた基材もしくは他の物体もしくは製品上に原料を堆積させるのに適した任意の種類の装置である。また、特定の原料の薄層を適用するために使用できる技術である原子層堆積その他多くのものと共に含まれる。
【0030】
以下において、製造プラットフォーム上への原料の堆積またはプラットフォーム上への物体の配置について言及する場合は、製造プラットフォーム自体の上への、または製造プラットフォームによって運ばれた基材もしくは他の物体もしくは製品上への、または先に堆積された層上への、堆積及び配置を含む。
【0031】
製造プラットフォーム上で層状製造によって製造された製品に言及する場合、この製造プラットフォームが複数の製品を運ぶ状況も含まれることは理解されよう。単一の製造プラットフォーム上の製品は、同一の形状を有していてもよいし、異なる形状を有していてもよい。このような個別の製品は同一の製造プラットフォーム上に位置するので、それらはある種の類似性、特に、同様な層状構造を有することになる。製品の製造は、製造プラットフォーム上に製造原料の第1の層を堆積させることから始めてもよい。しかし、製造プラットフォームは、第1の層が堆積された基材または他の製品を運んでいてもよい。基材を使用することは、完成品を製造ラインから、特に製造プラットフォームから取り除くために有利であり得る。製造プラットフォーム上に堆積することに言及する場合、これには、基材上、製品上、またはプラットフォーム上の先に堆積された層上への堆積が含まれる。
【0032】
製造プラットフォーム上への堆積を可能にするために、各プラットフォーム及び堆積ヘッドは互いに対して可動である。この目的のため、製造ラインは、第1及び第2の製造プラットフォームを、堆積ヘッドに向かって、及び、堆積ヘッドから離れて、繰り返し搬送するコンベヤ(5)を備える。移動しているプラットフォームに言及する場合、これには、プラットフォームが輸送体またはコンベヤによって移動される状況が含まれる。堆積ヘッドは、堆積ヘッドが原料を堆積プラットフォーム上に堆積させることができるよう、コンベヤに対して配置される。第1のプラットフォームが堆積ヘッドから離れるように移動した後、このヘッドは、第2のプラットフォーム上に層を堆積させるために用いることができる。堆積ヘッドに近づきまた離れるプラットフォームの繰り返しの移動により、複数の層を互いの上に堆積させ、所望の製品を製造することができる。これらのプラットフォームは、堆積ヘッドに対して可動であることに加えて、互いに対して、コンベヤに沿って可動である。したがって、プラットフォームはコンベヤに対して可動である。この相対運動は、異なる手法で実現することができる。製造ラインは、たとえば、プラットフォームをコンベヤに機械的にロックしまたロック解除するための手段を備えていてもよい。プラットフォームが移動しているコンベヤからロック解除されたとき、このようなプラットフォームは静止して、プラットフォーム上の製品の特定のハンドリングを可能としてもよい。このような静止は、たとえば、プラットフォームから完成品を拾い上げるためにも有利であり得る。
【0033】
正確な製造のためには、原料が堆積される領域であるターゲット領域と堆積ヘッドとの間の距離は、原料の堆積の間、すべての層について同一であることが必要となり得る。第1の層の場合、ターゲット領域は、製造プラットフォームまたはプラットフォーム上に配置された任意のタイプの基材であってもよい。後続の層の場合、ターゲット領域は、先に堆積された層によって定義されることになり、先に堆積された層には、固化した層及び支持部が含まれていてもよい。ターゲット領域はまた、封入されるために挿入された物体であってもよく、この物体は、層状製造または他の方法によって製造されてもよい。堆積ヘッドとターゲット領域との間の距離を一定に保つために、製造ラインは、
図2を参照してここに論じるように、プラットフォームの高さを調節する手段を備えてもよい。プラットフォームの高さを、ここでは、製造ラインの使用中における製造の方向に平行な方向、すなわち、堆積方向(6)に平行な方向でのプラットフォームと輸送体との間の距離と定義する。通常、高さ調節を実現するための変位の方向は垂直方向となる。堆積ヘッドとターゲット領域との間の距離を変えることを可能にするため、
図2に示す担体の実施形態は、高さ調節手段(8)を備える。高さ調節手段は、製造プラットフォームをコンベヤ(5)及び輸送体に対して堆積方向に平行な方向(12)に変位させるため、製造プラットフォーム(2)と輸送体(102)との間に位置する。プラットフォームの高さは、たとえば、電動モータ、ウォームホイール、ステッピングモータ、圧電アクチュエータ、または空気圧によって調節されてもよい。製造プラットフォームの高さを調節した後、新しい層を、先に堆積した層の上に堆積させてもよい。層を堆積させ、これを堆積ヘッドから離して移動させ、プラットフォームをコンベヤに対して変位させ、層を同じ堆積ヘッドに再び供給する処理は、製品が完成するまで繰り返される。
【0034】
堆積ヘッドとターゲット領域との間の距離は、堆積ヘッドをコンベヤに対して変位させることによって調節することもできる。しかしながら、このような構造は、堆積ヘッドが非常に短時間内で、すなわち、製造プラットフォームを堆積から離れて移動させ、別のプラットフォームを、層の堆積ができる位置へと移動させるのにかかる時間内で、新しい位置に移動しなければならないという欠点を有している。この時間は通常、数ミリ秒しかない。プラットフォームを堆積ヘッドから離し、堆積ヘッドに再び戻って移動する時間は、これより大幅に長い。この移動を行う間のプラットフォームの速度が、たとえば、原料の層を堆積させる間の速度と比較して高くてもよいことを考慮しても、プラットフォームが堆積ヘッドに再び到着するまでには数秒の静止時間が生じ得る。これにより、コンベヤに対して製造プラットフォームの高さを調節するのに十分な時間が残る。
【0035】
製造プラットフォームが堆積ヘッドを通過する毎に、各層の堆積後における堆積ヘッドとターゲット領域との間の距離を、先に堆積した層の頂部と堆積ヘッドとの間の距離が同じとなるように調節することが好ましいことがあり得る。しかし、堆積ヘッドとターゲット領域との間の距離があまり重要でない場合、各通過の前にプラットフォームの高さを調節する必要はなく、各層の堆積後ではなく、数個の層、たとえば5個の層が堆積されたときにのみプラットフォームの高さを調節すれば十分であることがあり得る。各層の堆積後に高さが調節されない場合、堆積ヘッドからの原料の射出のタイミングは、以下の理由により調節を必要とすることがある。すなわち、原料は、堆積ヘッドによって射出された後、堆積領域に到達するまでにある程度の時間を必要とする。この時間中、製造プラットフォームが移動し、結果として、堆積ヘッドと堆積領域との間の距離が変化したとき、原料の液滴が堆積領域に到達する位置が変化する。製造ラインが2つ以上の堆積ヘッドを備える場合、または堆積ヘッドに加えて他のタイプの装置を備える場合、プラットフォームの高さは、製造プラットフォームがこのような他の堆積ヘッドまたは第2の装置に近づく前に調節されてもよい。このような調節は、下降である必要はなく、たとえば、装置がカッティングナイフまたは研磨装置であるので、上方向への移動であってもよい。
【0036】
堆積された層を硬化させるために、製造ラインがUV源(34)を含んでもよい。このようなUV源は、たとえばマスク、好ましくはプログラム可能なマスク、または発光ダイオードもしくはレーザダイオードのアレイによって、堆積領域にUV放射のパターンを提供してもよい。
【0037】
層の堆積後、または追加の層の堆積の前における製造プラットフォームの変位は、通常は下方である。しかし、たとえば、先に堆積された層の上に別のタイプの原料を堆積させなければならない場合には、堆積ヘッドと製造プラットフォームとの間の距離をより小さくする必要があることがある。このような場合、このプラットフォームは上方に変位してもよい。他の状況では、たとえば、後続の層が、同じ製造平面内の、先に堆積された層の原料が存在しない位置に堆積されるため、プラットフォームはまったく変位する必要がなくてもよい。先の層の空隙を充填しなければならない場合は別として、後続の層を先の層の中に堆積させ、このように先の層に別の原料を注入することもできる。
【0038】
複数の製造プラットフォームを備える製造ラインの好ましい実施形態では、すべてのプラットフォームの高さは、他のプラットフォームの高さとは独立して調節可能である。独立しているということは、プラットフォームの高さが、隣接するプラットフォームの高さと異なっていてもよいことだけでなく、隣接するプラットフォームの高さに関連する必要がないことをも意味する。後続のプラットフォームの高さは、隣接するプラットフォームの高さによって決まるのではなく、特定のプラットフォームで製造される製品によって決定される。このような独立して調節可能なプラットフォームの利点は、異なる製品を準同時的に製造するのに、大きな自由度を有することである。
【0039】
製造プラットフォームは輸送体上の固定位置にあってもよいが、輸送体に対して可動であれば有利である。上述したように、プラットフォームは、高さ調節手段によって堆積方向に平行な方向に可動である。製造プラットフォームは、この製造方向の移動に加えて、またはその代わりに、
図3を参照して説明するように、堆積方向に垂直な平面を可動であってもよい。
図3では、このような製造ラインの2つの実施形態が示されている。一方の実施形態(31)では、1個以上の製造プラットフォーム(2)が前記平面内で、したがって、堆積方向(6)に平行な線(33)の周りを、回転可能である。他方の実施形態(32)においては、製造ラインは、堆積方向(6)に垂直な平面内を可動な製造プラットフォームを備える。両方の実施形態は、このようなプラットフォーム上の製品の向きを、コンベヤ(5)、堆積ヘッド(4)及び最終作業ステーションに対して変えることができるという共通点を有する。さらに、プラットフォームの配向は、他のプラットフォームに対して変化させることができる。プラットフォームの配向の変化は、プラットフォームが長方形の、非正方形の形状を有する場合に特に重要である。このような長方形のプラットフォームを備える製造ラインでは、隣接するプラットフォームは、プラットフォーム(2、22)が長辺が互いに対向するように、またはプラットフォーム(23、24)の短辺が互いに対向するように配向されてもよい。プラットフォームの長辺が対向している場合、短辺が互いに対向している状況よりも、より多くの数のプラットフォームをコンベヤの特定の軌道に沿って配置することができる。プラットフォームは、たとえば、堆積ヘッドによる層の堆積を待っている間、または作業ステーションに入るのを待っている間に滞留しているとき、長辺が対向した状態で配置されてもよい。このような待ち行列の長さは、できるだけ短いことが好ましい。一方、幅、すなわち、搬送方向に垂直なプラットフォームの寸法は、印刷ヘッドによる層の堆積の間、できるだけ小さいことが好ましい。印刷ヘッドが、パターン化されているか否かを問わず、層の堆積のために使用される場合、プラットフォーム及び印刷ヘッドは、互いに対し、移動方向ないし搬送方向に移動していてもよい。製造中の製品の堆積層の移動方向の寸法は、印刷ヘッドのサイズによって決まるのではなく、プラットフォームの速度及びヘッドが製造原料を製造プラットフォーム上に射出する時間によって決定される。しかしながら、搬送方向に垂直な横方向の寸法は、印刷ヘッドの寸法またはその方向における印刷ヘッドの数によって制限される。したがって、プラットフォームを、短辺を前面にして、すなわち、長辺を移動方向に平行にして、印刷ヘッドに対して移動しているよう向けることが好適であり得る。堆積ヘッドが、原料の単一のジェット、または、製造される製品の全断面をまかなうのに十分ではない限られた数のジェットを射出する場合、プラットフォーム及びヘッドは、プラットフォーム上またはすでに堆積された層上に層を形成するため、互いに対して2方向に動く必要がある。このような移動は、プラットフォーム、堆積ヘッドまたはその両方を、コンベヤに対し、堆積方向に垂直な平面内で移動させることによって実現することができる。
【0040】
製造プラットフォームの速度は、時間的に可変であってもよく、軌道上におけるプラットフォームの位置に依存してもよい。このことを、
図4を参照して説明する。この図の上部は、コンベヤ(5)に沿って可動な9つの同一の製造プラットフォーム(2、401〜408)を備える製造ラインの実施形態を概略的に示す。製造ラインのこの実施形態は、堆積ヘッド(4)と、堆積された層を硬化するための硬化ステーション(34)とをさらに備える。製造ラインのこの実施形態は、担体のための入力ライン(415)と、完成品のための出力ライン(425)とをさらに備える。この図は、実際には、ある時点のスナップショットである。より具体的には、製造プラットフォーム(407)の1つが「D」で示す位置にあるときのスナップショットである。製造原料の層が製造プラットフォーム上に堆積された後、プラットフォームは堆積ヘッドから離れて硬化ステーションへ移動する。層が硬化した後、プラットフォームは堆積ヘッドに向かって移動し、別の層の製造原料の堆積を可能にする。この処理は、所望の製品が製造されるまで繰り返される。完成品は、拾い上げるべき製品が置かれている製造プラットフォームを備えた担体の移動を停止することによって、製造ラインから拾い上げることができる。製造ラインはまた、製造プラットフォームの移動中またはこのプラットフォームの静止中に、このプラットフォームから製品を拾い上げることが可能なピックアンドプレースロボットを備えていてもよい。
【0041】
図4の下部は、製造プラットフォームの速度の例を時間の関数として示す。コンベヤによって定義されたプラットフォームの軌道の異なる部分を、文字A、B、C及びDで示す。この実施形態の製造プラットフォームは、堆積方向に垂直な平面内、すなわち図面の平面内で回転することができる。この回転は、プラットフォームの移動中に行われることが望ましい。しかしながら、製造プラットフォームを停止し、プラットフォームが静止している間にプラットフォームを所望の位置に回転させることも可能である。
図4に示す例では、プラットフォームの速度は、硬化ステップ(C)の間が最も低い。ここでは、速度は1m/sに選択されている。堆積(A)と硬化(C)との間の軌道(B)と、硬化(C)と次の層の堆積(A)との間の軌道(D)とにおいて、速度は最も高く、3m/sである。原料の堆積(A)の間、プラットフォームは2m/sという中間的な速度を有する。堆積と硬化との間で、プラットフォームの向きを変えることが好ましい場合がある。これは、たとえば、硬化ステーションの前で待機している列の長さを減少させるために行ってもよく、または別の理由で行ってもよい。
図4において、プラットフォームのうち3個(403、406、408)は、長方形のプラットフォームの短辺が移動方向(2、401、402、407)にある位置と、プラットフォームの長辺が移動方向にある位置(404、405)との間で回転している。
【0042】
製造ラインのコンベヤは、有端でもよいし、無端でもよい。有端であるか無端であるかにかかわらず、このようなコンベヤは、製造処理中に製造プラットフォームが水平に維持されるように、すなわち、製造プラットフォームが重力に垂直な平面内に延在するように、製造プラットフォームを運ぶよう構成されていることが望ましい。このことは、製造プラットフォームが、軌道のある部分に沿って、重力に平行な方向に移動することを排除するものではない。製造プラットフォームを水平に保つことの利点は、粉体さらには液体も、粉体が製品の固体層に融着することなく、あるいは液体が固化する前に落下することなく、コンベヤ上に堆積され得ることである。
【0043】
原料が軌道の湾曲部分で飛散するのを避けるために、製造ラインは、このような湾曲部分において製造プラットフォームを調節する手段を備えていてもよい。コンベヤは、たとえば、バンクを有する湾曲部を備えていてもよく、または、プラットフォームが、実際に存在する軸または仮想的な軸の周りを回転可能な、旋回する製造プラットフォームであってもよい。しかしながら、プラットフォームは、遠心力がかかったとき製造プラットフォームを自動的に傾けることを可能にする担体に懸垂されていてもよい。このような担体(100)の断面を
図11に示す。担体は、コンベヤ(5)に沿って、断面に垂直な方向に可動である。担体のこの実施形態によれば、製造プラットフォーム(2)はアーム(105)に搭載され、このアームは、輸送体(102)に対して軸(120)を中心に旋回することができる。プラットフォームの高さは、高さ調節手段(8)、たとえばアクチュエータによって、アームに対して調節することができる。図面に垂直な方向に移動する担体が、右または左に回転しているとき、製造プラットフォーム上の遠心力によってアームが軸を中心に回転し、製造プラットフォームが傾く。このような傾斜は、プラットフォーム上の原料がプラットフォームから飛散することを防止してもよい。この担体の実施形態は、
図11の右図に示すように、1個以上のバンクを有する湾曲部を備えるコンベヤと組み合わされていてもよい。ここに、湾曲部が傾いていることを示すため、重力の方向を矢印(160)によって示す。前述のように、バンクを有する湾曲部は、担体の他の実施形態、特に、高さ調節手段(8)が輸送体に固定されている実施形態と組み合わせることもできる。
【0044】
コンベヤが有端であるとき、製造プラットフォームの相対的な動き及び堆積ヘッドは、先に堆積された層の上に後続の層を堆積させるため、所定の瞬間に切り換えられなければならない。これを、
図3を参照して説明する。
図3に示される製造ラインの実施形態が、図面を超えて延在する有端コンベヤ(5)を備えるとした場合、右側の2つのプラットフォーム(2、22)は、堆積ヘッド(4)を通過しながら左側に移動してもよい。すべてのプラットフォームが左側に着くと、これらは、追加の層の堆積のために右側に戻って移動しなければならないこととなる。このような処理には時間がかかり、また、堆積ヘッドに到着する異なるプラットフォームの順序は、それぞれ方向を変えた後は逆になることが理解されよう。もちろん、プラットフォームは、原料を堆積することなく右に戻されてもよいが、プラットフォームがこのような堆積ラインにおいて、左に移動しているときにのみ原料を堆積させるのは効率的ではない。このような理由及び他の理由から、製造プラットフォームを堆積ヘッドに向かって、また堆積ヘッドから離れるように運ぶためのコンベヤとして、無端コンベヤが望ましく、この無端コンベヤは、たとえば、
図4に示すようなディスクまたは無端ベルトであってもよい。
【0045】
図5に示す実施形態の無端コンベヤを備える製造ラインは、こようなコンベヤによって定義された軌道に沿って一方向に動く各製造プラットフォームが、外部の定点を数回通過するので、多数の製造プラットフォームを運搬するのに特に適している。これにより、層の堆積などの処理を、特別な手法を必要とすることなく、特定のプラットフォーム上で繰り返し実行することが可能になる。無端コンベヤが使用されている場合、たった1つの原料で作られた製品については、製品を作るには1つの堆積ヘッドで十分であり得る。これにより、製造ラインは、特許文献6に開示されているような、多くの印刷ヘッドまたは膨大ともいうべき数の印刷ヘッドすなわち層あたり少なくとも1個の印刷ヘッドが必要とされるシステムに比べて、大幅に安価かつ簡素になる。
【0046】
無端コンベヤ上のプラットフォームは、たとえば時計方向に移動することができ、このように移動している間、プラットフォームの各々は、堆積ヘッド(4)を繰り返し通過し、プラットフォーム(2、202)の順序は、少なくとも、
図5に示すようにすべてのプラットフォームが単一の軌道を追従するときは、常に同じとなる。プラットフォームは、しばらくの間、コンベヤからロック及びロック解除されてもよい。移動しているコンベヤにプラットフォームがロックされているとき、プラットフォームはコンベヤと同じ速度で移動する。一方、プラットフォームが移動しているコンベヤからロック解除されているとき、プラットフォームは静止していてもよい。このような状況では、ロックされたプラットフォームとロック解除されたプラットフォームは、移動しているコンベヤの速度で相対的に移動する。しかしながら、一般的には、このようなロック及びロック解除は好ましくなく、プラットフォームを備える担体の速度は、もっぱら、コンベヤに対して移動する輸送体(102、103)によって決定されるべきである。輸送体は、それぞれの担体ひいては製造プラットフォームを、コンベヤに沿って、または少なくともコンベヤの一部に沿って、製造ラインの他のプラットフォームの速度と必ずしも同一でない速度で移動させることを可能とする。ローリングホイール上の電気的担体や、浮上して磁場によって動く担体を備える有端コンベヤを備える製造ラインのように、異なるタイプの担体を応用してもよい。実際のところ、いかなるタイプの担体であっても、担体がコンベヤの軌道に追従するのに適している限り要求は満たす。多くの応用では、無端コンベヤ上のプラットフォームは、上述の理由により、一方向すなわち常に同じ方向に移動する。しかしながら、プラットフォームは移動方向を逆転させてもよい。具体的なケースでは、2つの製造プラットフォームが反対方向に移動することさえあってもよい。もちろん、これは短い時間に限られ、そうでないとプラットフォームが互いに衝突したり、あるいはコンベヤ上の他のプラットフォームと衝突したりするであろう。製造プラットフォームは輸送体に対して固定位置に配置されてもよいが、前述のように、輸送体に対して可動であることが好ましく、具体的には、製造プラットフォームの高さを調節できることが好ましい。
【0047】
無端コンベヤベルトは、利用可能なスペースを最適に使用できる幾何学的形状に構成することができ、堆積、ツーリング、加熱装置などのあらゆるタイプの装置に沿って、あるいはこれらに通過させて、製品を搬送することを可能とする。コンベヤによって定義されたプラットフォームの軌道が、回転するディスクやコンベヤベルトの一部の場合のように湾曲しているとき、軌道の長さは、内側の湾曲部(204)と外側の湾曲部(205)とで差がある。原料の堆積を調節することによってこの差を補償することは困難であり得る。このような理由から、望ましくは、コンベヤベルトは、
図4、
図6及び
図7に示すように、その軌道に直線部分を備えていてもよい。
【0048】
上述の製造ラインの様々な実施形態は、有形物をハンドリングするための1個以上のハンドリングステーションを備えていてもよい。ハンドリングは、製造原料の層の堆積および付加的に行う層の硬化だけでなく、製品に対して実行される任意の作業のことと定義される。有形物の層状製造のための製造ライン(200)の実施形態を
図7に示す。この図は、コンベヤの周りに、ハンドリングステーションを含む多くの異なるタイプの機器及び装置を配置できることを示すものである。
【0049】
図7に示す製造ラインは、異なる堆積ヘッド、すなわち、第1のタイプの硬化性樹脂を印刷するための第1のインクジェットプリンタ(701)と、第2のタイプの硬化性樹脂を印刷するための第2のインクジェットプリンタ(702)と、たとえば錫のような金属を堆積させるための射出装置(703)とを備える。また、この製造ラインは、樹脂を硬化させるためのUVランプ(707)、樹脂を硬化させるためのLEDアレイ(708)、及び/または、金属からなる層を焼結するための加熱装置(709)を備える。さらに、この製造ラインは、いくつかのハンドリングステーションを備えていてもよく、これは、出力ステーション、たとえば、製造プラットフォーム(705)から製品を拾い上げるためのピッキングロボット(704)や、入力ステーション、たとえば、物体を製造プラットフォーム上に配置するための配置ガイド(706)や、原料を、たとえば切断することにより除去するための層除去装置(711)や、製造プラットフォームをコンベヤ上の所定の高さに変位させるための高さ調節ステーション(713)を含んでいてもよい。コンベヤの軌道に沿って、第1及び第2の輸送体を互いに可変の速度で移動させることにより、コンベヤに新しい担体を入れることができ、同時に、ハンドリングステーションでの遅延を回避して、製造ステーションへの、後続の製造プラットフォームの補充が間に合うようにすることができる。このようにして、異なる製品を準同時的に製造することができ、待ち時間を短縮することができる。
【0050】
製造ラインは、さらに、製造プラットフォーム上の製品の高さを測定するための高さ測定ステーション(710)と、製造処理を制御する制御ユニット(712)と、ツーリングを施されその一方でコンベヤから除去された製品を交換するためのピックアンドプレースユニット(714)を備える。製造ラインは、処理ステーション(716)内の製品を処理するための第2のコンベヤ(715)をさらに備えてもよい。このような処理は、たとえば表面処理であってもよい。表面処理の例は、たとえばエッチングまたは研磨のような機械的ツーリングによる、原料の除去である。表面処理は、たとえば塗装、熱による蒸発、電気化学的堆積または原子層堆積による、原料の添加であってもよい。処理は、たとえばコンピュータチップ及び発光ダイオードなど、電子部品の追加または挿入を行うことを含んでいてもよい。また、光起電性セル、MEMS装置または射出成形部品のような、層状製造以外の技術によって好適に製造できる製品の挿入を含んでいてもよい。製品は、ロボット(704)によって第2のコンベヤ上に置かれ、プラットフォーム(705)上に置かれるために第2のコンベヤから拾い上げられることができる。しかし、第1及び第2のコンベヤは、プラットフォームが第1のコンベヤから第2のコンベヤへと導かれるように配置されていてもよい。この装置はさらに、プラットフォーム、基材または製品に取り付けられたコードを自動的に読み取るための読取器(717)を備えていてもよい。読取器は、バーコードまたはQRコードのようなコードを読み取るのに適した光学式読取器であってもよい。しかしながら、それはまた、たとえばRFIDタグからの情報を読み取るのに適した無線読取器であってもよく、または、磁化可能な帯の中の情報を読み取るための磁気読取器であってもよい。読取器は、情報を制御ユニットに送ってもよく、この制御ユニットは、プラットフォーム及びプラットフォーム上に置かれた製品に関する情報を保存するためのソフトウェアプログラムを備えていてもよい。このようなソフトウェアプログラムは、製品またはプラットフォームに関して実行されるべき後続の処理ステップについて決定を行ってもよい。
【0051】
層状製造の処理は、たとえば厚さすなわち製品の高さなどについて、誤差の累積をもたらし得る。このような理由及び他の理由、たとえば視覚的外観のため、すでに堆積された層又は製品から、たとえば切断、フライス加工、穿孔又は研磨、特にレーザー研磨によって、原料を除去しなければならないことがある。このような除去は、製造ラインの外側で、すなわちコンベヤから離れて行われる。しかし特に、たとえば製造プラットフォーム上の交換や製造プラットフォームの垂直方向の変位からくる不完全性のために高さの調節が必要な場合は、原料の除去は、製品が製造プラットフォーム上にある間に行ってもよく、あるいは、行われなければならない。
【0052】
層状製造によって製造された製品を他の物と組み合わせて、複合製品を得てもよい。このような他の物体は、電気的、光学的、磁気的または機械的な機能的装置であってもよい。このような機能的装置の例は、コンピュータチップ、発光ダイオード、レンズ系、アクチュエータ、圧電素子、スピーカー、マイクロフォン、及び電池である。このような機能的物体は、層状製造が完了した後に製品と接合されてもよい。しかしながら、特に、対象物を封入するか、または他の方法で製品と一体化しなければならない場合、対象物は層状製造の間に配置されなければならない。このため、製造プラットフォーム上に対象物を置くことによって、製造ラインの外で作られたこの対象物を、層状製造された製品に接合することが必要とされてもよい。対象物は、層状の堆積を開始する前にプラットフォーム上に直接に配置されてもよい。対象物は、1個以上の層が堆積された後に配置されてもよい。対象物は、すべての層が堆積された後に配置されてもよい。
【0053】
コンベヤに対する製造プラットフォームの高さは調節可能であることが望ましい。これは上述のように、輸送体に対して製造プラットフォームを変位させる手段によって実現されてもよい。しかしながら、製造は、
図9を参照して説明するように、調節可能な高さ調節装置を備える高さ調節ステーション(713)によって、コンベヤに沿った1個以上の固定位置で調節されてもよい。水平面内に配置されたコンベヤに特に適するこのような高さ調節装置の実施形態の概略を
図9に示す。
図9Aは装置の一部の上面図であり、
図9Bはその側面図である。
図9は、コンベヤ(5)によって、またはコンベヤ(5)上で、搬送方向(901)に可動な4個のプラットフォーム(911、912、913、914)を示す。以下の説明では、1個のプラットフォーム(911)及びその高さ調節手段のみに言及するが、この説明は、他のプラットフォーム及びその高さ調節手段にも関するものである。しかし、これは同一のまたはほぼ同一の担体を有することが望ましいものの、そうである必要はない。プラットフォーム(911)は、コンベヤ(5)に対して可動な輸送体(951)上に置かれる。コンベヤは、たとえば、輸送体を支持し、担体が車輪または他の手段(961)によってコンベヤに対して移動することを可能にするための、2個の平行なガイドレールを備えていてもよい。輸送体のうち製造プラットフォームを支持する部分は、搬送方向(901)に移動しながら、コンベヤに対して上方(904)に押し上げることができる。
図9はさらに、傾斜路(921)を示しており、この傾斜路は、製造ラインのフレーム、地面または床(981)に固定されていてもよい。傾斜路は、たとえば、電動機またはアクチュエータ(971)によって垂直方向(903)に調節できることが好ましい。担体の基部は、傾斜路の傾斜に追従するときに担体の基部を上方に移動させることを可能とするホイール(941)を備える。ホイールは、ほとんど摩擦を伴わずに動くことができるため望ましいものの、他のガイド手段でも要求を満たし得る。この実施形態では、傾斜は移動方向に沿って上方に向かっていなければならない。コンベヤを両方向、すなわち矢印(901)の方向及び反対方向に移動させることを可能とするため、傾斜路を線(910)について対称としてもよいことは理解されよう。傾斜路は、担体の大きな垂直変位に用いられることが望ましい。したがって傾斜路は、堆積ヘッドまたはツーリング装置がプラットフォームを比較的大きな垂直距離で移動させることを必要とするような、装置内の位置に配置される。高さの調節は、電磁的手段、たとえば、輸送体に固定された磁石と、地面または床に対する輸送体の高さを規定するリニアモータとの組み合わせによって行われてもよい。一般的には、担体は、担体の基部に対して垂直方向(902)にプラットフォームを正確に移動させるためのアクチュエータ(931)を備える。
【0054】
すべての担体が同様の構成であってもよいものの、ここで説明するように、ホイール(941)の位置はすべての担体について同じではないことが望ましい。傾斜路は、プラットフォームを比較的大きな垂直距離、たとえば数センチメートルまでの距離にわたって変位させるのに特に適している。担体の搬送速度が大きく、隣接する担体間の距離が小さい場合、隣接する2つの担体を異なる高さに移動するのは、非常に大きな加速を必要とするため、非常に困難である。この問題を解決するために、製造ラインは、
図9Aに示すように、複数の傾斜路を並列に備えていてもよい。ここでは、傾斜路の数(921、922、923)は3であるものの、より多数の傾斜路、たとえば5個が望ましい場合もあり、より少数、たとえば2個で要求を満たし得る場合もあることは理解されよう。後続のプラットフォーム(911、912、913、914)の車輪(941、942、943、944)は、車輪が互いに一列に並んでいないが平行な軌道に追従するように配置されている。これにより、車輪が異なる平行な傾斜路を追従することが可能になる。したがって、ホイール(941)は傾斜路(921)に追従し、ホイール(942)は傾斜路(922)に追従し、ホイール(943)は傾斜路(943)に追従するものであり、ホイール(944)は、傾斜路(922)に追従したものである。傾斜路の高さは他とは独立して調節できるので、隣接する輸送体の高さを、したがってプラットフォームの高さを、異なる高さとすることができる。
図9の実施形態では、各第3のプラットフォーム(912、914)は同じ傾斜路(922)を使用する。搬送方向(901)での車輪の距離に対する傾斜路の長さ、搬送速度、及び担体の高さの調節の必要によっては、より多くの傾斜路が望ましい場合がある。具体的には、5個の傾斜路及びこれに対応する5個の車輪の垂直位置を備える実施形態が有利であり得る。上述した、いくつかの傾斜路を備える装置の実施形態は、隣接するプラットフォーム上に異なる製品を製造する際に大きな自由度を提供する。
【0055】
図9Bに示す実施形態は、傾斜路と、傾斜路を垂直方向に調節するための手段(971)とを備える。このような調節手段を備える他の実施形態では、傾斜路(921)は、
図10に示すように平坦であってもよい。このような実施形態では、床(981)に対する輸送体(951)の高さは、垂直調節手段(971)によって決定される。このような実施形態の利点は、輸送体の垂直方向の加速度を製造サイクルの間に適応させることができ、
図9Bの実施形態の場合のように傾斜路の形状によってあらかじめ規定されるということがないことである。
【0056】
図7に示す製造ラインは、製造された製品を製造プラットフォームから拾い上げるピッキングロボット(704)を備える。ピッキングロボットは、プラットフォームが、できる限り低速で動いている間に、製品を拾い上げることが可能であることが望ましい。これは、たとえば、ピッキングロボットを、ピッキング時間中、コンベヤに平行に、製造プラットフォームと同じ速度で動かすことによって実現可能である。当業者であれば、異なるタイプのピッキングロボットに精通しているであろう。ピッキングロボットは、製造プラットフォーム上に製品を配置するのに適していてもよいが、製造ラインが、製品を配置するように構成された配置ガイド(906)を備えていてもよい。このような製品は、あらかじめ製造された積層製品であってもよく、または特定の機械的、電気的、または光学的機能を有する装置であってもよい。
【0057】
製造ラインは、製造原料の層を硬化させて、製造されるべき製品の断面に対応するパターンを有する固化して合着した層を得るための硬化装置を備えていてもよい。このような硬化装置は、電磁的放射、たとえば紫外線を供給する装置であってもよい。このようなUV源は、たとえば、発光ダイオードのような小さなUV源のアレイまたは走査レーザを用いて、所定のパターンでUV放射を供給できることが望ましい。しかし、製造ラインのいくつかの実施形態では、硬化装置は、層の全領域にわたって多かれ少なかれ均質な硬化条件を提供してもよい。このような均質な光源、たとえばUVランプまたは赤外線ランプは、予備的に硬化された層が硬化した後に適用することができる。これは、層が2種類の原料、すなわち硬化性原料と、これらの条件下で硬化しない支持材とから構成されている場合にも応用可能である。
【0058】
付加的な製造の間、層は互いの上に堆積する。このことは、厚さの誤差の蓄積をもたらし得る。また、プラットフォーム上で半完成品を拾い上げて置き換えると、誤差が発生し得る。このこと及びその他の理由により、製品の高さを調節できる可能性があることが有利であり得る。ある製造段階における高さが低すぎる場合、追加の層を堆積させることができる。しかし、製品が高すぎる場合は、幾分かの原料を除去しなければならない。このような除去を可能にするために、製造ラインは、既に製造された製品から原料を除去するための層除去装置(711)を備えていてもよい。このような層除去装置は、固化した原料の薄片を除去するように調節されたナイフを備える切断ユニットであってもよい。コンベヤに対して固定位置に配置され得るナイフに対して、製造ラインがプラットフォームひいては製品の高速移動を可能にするという事実のため、速度は、典型的には、最大毎秒数メートルにまで達することが可能であり、切削を有利に行うことができる。このような切断ユニットの実施形態を
図8に示す。この切断ユニット(800)は、ナイフの位置決めを可能にするステージ(822、823)によって装置に取り付けられたナイフ(821)を備える。ステージは、プラットフォーム(2)に対してナイフの高さを調節するためにナイフを垂直方向に動かすように構成されている。ナイフは、ナイフの刃先(826)とプラットフォームとの間の面内角度(825)を変化させるために、垂直軸(824)に沿って回転させることできることが望ましい。
【0059】
本発明は、製造ライン及びその要素の特定の寸法または技術仕様に限定されない。製造プラットフォームは、典型的には400mm×200mm未満、より具体的には200mm×200mm未満、または100×200mm未満、またはさらにより具体的には100mm×50mm未満の矩形領域を有していてもよい。本発明者らは、50mm×75mmの製造領域を望ましいとした。しかしながら、堆積領域は、400mm×200mmより大きくてもよい。製造プラットフォームは長方形である必要はなく、たとえば楕円形、あるいはより具体的には、
図5に示すように円形であってもよい。長方形のプラットフォームの利点は、空間を最適化して使用できることである。プラットフォーム領域は、製造される製品の底面の特定の形状に適合されてもよい。製造プラットフォームの数は限定されず、実際には、製造される異なる製品の数、製品の寸法、製造ラインの最大寸法またはその他の基準を考慮に入れて選択される。このような他の基準の1つは、プラットフォームの速度の違いを考慮して、プラットフォーム間に必要とされる距離であってもよい。製造プラットフォームの典型的な数は、300から10の間、具体的には200から50の間、さらにより具体的には150から75の間である。発明者らは、担体間に大きな速度の差がなくコンベヤが長さ6mの無端コンベヤという場合について、100が望ましいとした。製造プラットフォームの速度の差が大きく、またはプラットフォームがしばらくの間停止してもよい製造ラインでは、プラットフォームの数がより少なくてもよい。プラットフォームの数は、偶数であっても奇数であってもよい。基本的に、コンベヤがプラットフォームによって完全に占められるのでない限り、プラットフォームの数に上限はない。相当な数の製造プラットフォームを備えていれば、特に製造ラインを有利に利用できることは理解されよう。しかしながら、製造ラインは、堆積ヘッドに繰り返し露出し、担体を停止させることを要せずに製造ラインから製品を拾い上げるという利点を得るために、限られた数の9個以下の製造プラットフォームを有するものとしてもよい。担体の速度は、典型的には、とりわけ堆積ヘッドのタイプに応じて、10m/sから1m/sの間、たとえば2m/sまたは4m/sであってもよい。しかしながら、特定の実施形態では、10m/sよりも速い速度が実現可能であると考えられ、一方では、他の実施形態については、1m/sよりも低い速度、さらには0.5m/sが適していてもよい。ドロップオンデマンド堆積ヘッドを備える製造ラインでは、プラットフォームは、製造原料上の堆積中は、堆積ヘッドに対してたとえば、1.5m/s以下の速度を有していてもよい。
【0060】
製品が完成した後は、これを製造プラットフォームから除去する必要がある。この除去は、たとえば、プラットフォームから製品を拾い上げることによって、または、製品が上に製造された基材をプラットフォームから移動することによって実現されてもよい。製造プラットフォームから製品が除去された後、このプラットフォームは第2の製品の製造に利用可能となる。空の製造プラットフォームの高さは、通常、第2の製品の第1の層を堆積させるための堆積ヘッドと製造プラットフォームとの間に適切な距離が提供されるように、調節される必要がある。このプラットフォームは、高さを調節する前、調節後または調節中のいずれかで、第2の製品の第1の層を受けるため、堆積ヘッドに向かって移動する。第2の製品は、前の製品と同じであってもよいものの、各層ごとに層の形状及び組成を決定することができるので、同じでなくてもよい。ここでは第2という語を用いているものの、この語はその文字通りの語義に解釈されるべきではない。実際には、第2の製品は、任意の後続の製品であってもよい。
【0061】
図6を参照して説明するように、製造ラインのコンベヤは、製造プラットフォームを異なる軌道に沿って搬送できるように構成することができる。このような実施形態は、たとえば、複数の製品について、コンベヤの異なる分岐部により定義された異なる軌道に沿って、比較的長時間を要する処理を同時または準同時的に行うことができるため、プラットフォーム間の速度の変動を最小化する上で好適である。
図6に示す製造ラインの実施形態のコンベヤ(5)は、2個の分岐部を備える。第1の分岐部(605)は硬化ユニット(34)を備えてもよく、第2の分岐部(615)は高さ測定ステーション(710)を備えてもよい。輸送体またはコンベヤのいずれかは、コンベヤの第1の分岐部の方またはコンベヤの第2の分岐部の方にプラットフォームを向ける手段を備える。産業用輸送システムの当業者には、このような切り替えを実現する方法は周知である。製造ラインは追加的な分岐部によって拡張することができ、この分岐部は、無端の分岐部として構成されている必要はない。製造ラインは、たとえば、担体用の入力ラインと、完成品用の出力ラインとを備えていてもよい。同じ装置をそれぞれ含む複数の分岐部が、複数の製品を同時に処理するために適用されてもよい。分岐部は、異なる装置を備えていてもよい。
【0062】
上述した製造ラインのすべての実施形態は、異なる処理ステップを制御するための処理ユニットを備えていてもよい。このような処理ユニットは、異なる担体の速度、及び各担体が追従すべき軌道を調整するために用いることができる。処理ユニットはまた、各製造プラットフォーム上でどの処理ステップが実行されるべきかについての情報を提供してもよい。処理ユニットは、堆積すべき層またはこのような層を硬化させるための照射パターンの記述を含む、製造される製品のデジタル記述を備えていてもよい。
【0063】
本発明はまた、第1の製造プラットフォームを備える第1の担体が、製造プラットフォームを堆積ヘッドに向けて導く軌道に沿って移動し、第2の製造プラットフォームを備える第2の担体が、コンベヤに沿って異なる速度で移動する、有形物の層状製造のための方法に関する。この方法の実施形態を、
図4を参照して説明する。この方法の実行中のある瞬間に、第1の製造プラットフォーム(2)は「A」で示すコンベヤの位置にあり、第2の製造プラットフォーム(407)は「D」で示す位置にあってもよい。このような瞬間に、ここでは2m/sとしている第1の製造プラットフォームの速度は、ここでは3m/sとしている第2の製造プラットフォームの速度より低くてもよい。第2の製造プラットフォームの速度がより高いことにより、このプラットフォームは、軌道が長いにもかかわらず、堆積ヘッド(4)へと適時に到達することが可能となる。
【0064】
図6を参照して説明するように、有形物の層状製造のための方法の他の実施形態では、2個の担体が異なる軌道に沿って移動する。この実施形態では、製造原料の層が、製造プラットフォーム(602)上、「A」で示される位置で、堆積ヘッド(4)により堆積される。堆積後、このプラットフォームは「B」で示される位置に移動する。この位置を通過した後、この製造プラットフォームは、硬化ユニット(34)に沿ってこの製造プラットフォームを導く第1の軌道(605)、または、高さ測定ステーション(710)に沿ってこの製造プラットフォームを導く第2の軌道のいずれかに追従することができる。硬化ユニットまたは高さ測定ステーションのいずれかを通過した後、プラットフォームは「D」で示される位置を経由して堆積ヘッドに向かって移動する。
【0065】
2つの異なる軌跡を使用して、プラットフォームの順序を変更することができる。たとえば、第1の軌道に追従する第1のプラットフォーム(608)が、第1の軌道に追従する第2のプラットフォーム(607)よりも遅く移動する場合、第2のプラットフォームは、この第2のプラットフォームが位置Bを後から出発した場合であっても、第1のプラットフォームを追い越して位置Dに先に到達してもよい。この方法は、2個より多い軌道や、このような軌道に沿った異なるタイプのステーションに対して応用できることは理解されよう。
【0066】
(付記)
(付記1)
第1(7)及び第2(9)の可動な担体であって、当該担体のそれぞれが、
当該担体を輸送するための輸送体(102、103)と、
有形物を支持するための製造プラットフォーム(2、3)と、
を備える担体と、
製造原料を第1及び第2の製造プラットフォーム上で堆積方向(6)に堆積するための1個以上の堆積ヘッド(4)と、
前記第1及び第2の製造プラットフォームを、前記堆積ヘッドに向かって及び前記堆積ヘッドから離れて繰り返し運搬するコンベヤ(5)と、を備え、
第1及び第2の輸送体が、相互に対して可変な速度で、前記コンベヤの軌道に沿って可動である、
ことを特徴とする有形物の層状製造のための製造ライン(1)。
【0067】
(付記2)
担体(7)の製造プラットフォーム(2)を前記担体の輸送体(102)に対して前記堆積方向(6)に平行な方向(12)に変位させるよう構成された高さ調節手段(8)を更に備える、
付記1に記載の製造ライン(11)。
【0068】
(付記3)
担体(7)の製造プラットフォーム(2)は、前記担体の輸送体(102)に対し、前記堆積方向(6)に垂直な面内で可動である、
付記1又は2に記載の製造ライン(31、32)。
【0069】
(付記4)
前記製造プラットフォームは前記面内で回転可能である、
付記3に記載の製造ライン(31)。
【0070】
(付記5)
前記製造プラットフォームは前記面内で可動である、
付記3又4に記載の製造ライン(32)。
【0071】
(付記6)
各々の担体は、前記輸送体(102)に対して軸(120)の周りに旋回可能であるアーム(105)上に搭載された製造プラットフォーム(2)を備える、
付記1〜5のいずれか1つに記載の製造ライン。
【0072】
(付記7)
前記コンベヤは、無端コンベヤである、
付記1〜6のいずれか1つに記載の製造ライン。
【0073】
(付記8)
前記コンベヤは、バンクを有する湾曲部を備える、
付記1〜7のいずれか1つに記載の製造ライン。
【0074】
(付記9)
有形物をハンドリングするための1個以上のハンドリングステーションを備え、前記第1及び第2の輸送体は、相互に対して可変な速度で、各前記ハンドリングステーションの間の前記コンベヤの軌道に沿って可動であることを特徴とする、
付記1〜8のいずれか1つに記載の製造ライン。
【0075】
(付記10)
前記ハンドリングステーションは、製造された製品から原料を製造プラットフォーム上で除去するための切断ユニット(121)を備える、
付記9に記載の製造ライン。
【0076】
(付記11)
前記ハンドリングステーションは、新規の担体を前記コンベヤに入れるための入力ユニット(415)を備え、調節可能な高さ調節手段(8)は、異なる製品を準同時的に製造するために個別に制御される、
付記9に記載の製造ライン。
【0077】
(付記12)
前記ハンドリングステーションは、製品の処理工程を制御するための読取部(217)及び処理ユニット(212)を備える、
付記9に記載の製造ライン。
【0078】
(付記13)
前記コンベヤは、前記製造プラットフォームを複数の軌道に沿って運搬可能に構成されている、
付記1〜12のいずれか1つに記載の製造ライン。
【0079】
(付記14)
製造原料を受けるための第1の製造プラットフォームを備える第1の担体が、前記第1の製造プラットフォームを堆積ヘッドに向けて導く軌道に沿って、コンベヤに対して移動しており、
前記第1の担体は、製造原料を受けるための第2の製造プラットフォームを備える第2の担体に対して移動しており、前記第2の担体は、前記第2の製造プラットフォームを堆積ヘッドに向けて導く軌道に沿って、前記コンベヤに対して可変な速度で可動であることを特徴とする、
有形物の層状製造のための方法。
【0080】
(付記15)
前記第1の担体の軌道は、前記第2の担体の軌道と異なる、
付記14に記載の方法。