(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記多関節ロボットアームの一方端は、前記ベースに鉛直方向に延びる軸線回りに回転可能に支持されるように構成されており、前記多関節ロボットアームの他方端は、前記テーブルの長手方向において、前記テーブルの一方端の近傍を支持するように構成されており、
前記多関節ロボットアームは、少なくとも6の自由度で前記テーブルを移動させるように構成されている、請求項1〜10のいずれか1項に記載のロボット手術台。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されるような手術台では、可動式天板が水平方向に移動できる範囲が狭く、可動式天板の移動の自由度も低いという問題点がある。このため、このような手術台では、執刀医、助手、看護師および医療技師などの医療従事者が所望する様々な位置(患者受入位置、麻酔位置、手術位置、撮像位置など)に可動式天板を移動させることが困難であるとともに、可動式天板の移動の範囲の狭さに起因して、医療従事者が立つ位置に十分な空間を確保することが困難であり、手術がしにくい。
【0005】
このため、医療従事者からは、このような手術台よりも患者を載置した天板の移動範囲の広い手術台を提供してほしい、という要望があり、さらに、天板を回転させる場合に、天板(テーブル)の回転中心位置を変更することができる手術台を提供してほしい、という要望があった。
【0006】
この発明は、患者が載置されるテーブルの移動の範囲や自由度を大きくすることが可能で、かつ、テーブルの回転中心位置を変更することが可能なロボット手術台およびハイブリッド手術室システムを提供するとともに、テーブルの回転中心位置を変更することが可能なロボット手術台用操作装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1の局面によるロボット手術台は、患者を載置するためのテーブルと、
床に埋め込まれるか固定されるベースと、一方端
がベースに支持され、他方端がテーブルを支持する多関節ロボットアームと
、テーブル
を回転させる回転モードの設定指示を受け付けるモード設定指示受付部
、テーブルの移動指示を受け付ける移動指示受付部、
および、表示
部を含む操作装置と、を備え
、モード設定指示受付部が回転モードの設定指示を受け付けた場合に、
表示部は、回転中心位置を設定するための情報
を表示
するように構成されており
、回転中心位置を設定するための情報に基づいて回転中心位置が設定された状態で、移動指示受付部が移動指示を受け付けた場合に、
多関節ロボットアームは、設定された回転中心位置
でテーブルを
回転軸線回りに回転させるよう
に構成されている。
【0008】
この発明の第1の局面によるロボット手術台では、上記のように
、モード設定指示受付部が回転モードの設定指示を受け付けた場合に、
表示部を、回転中心位置を設定するための情報
を表示
するように構成する。そして
、回転中心位置を設定するための情報に基づいて回転中心位置が設定された状態で、移動指示受付部が移動指示を受け付けた場合に、
多関節ロボットアームを、設定された回転中心位置
でテーブルを
回転軸線回りに回転させるよう
に構成する。これにより、テーブルを回転させる場合に、テーブルの回転中心位置を変更することができる。その結果、患者の特定の部位を中心にテーブルを回転させることができ、たとえば、手術や撮像の対象部位を中心にテーブルを回転させることができる。また、テーブルの側部に取り付けられた固定具を中心にテーブルを回転させることができ、たとえば、固定具に呼吸器チューブなどのチューブ類を支持させている場合、チューブ類を引っ張らずにテーブルを回転させることができる
。また、一方端がベースに支持され、他方端がテーブルを支持する多関節ロボットアームを設ける。これにより、移動の自由度が大きい多関節ロボットアームによりテーブルを移動させることができるので、患者が載置されるテーブルの移動の範囲や自由度を大きくすることができる。これらの結果、患者が載置されるテーブルの移動の範囲や自由度を大きくすることができ、かつ、テーブルの回転中心位置を変更することができる。また、患者が載置されるテーブルの移動の範囲や自由度を大きくすることができるので、執刀医、助手、看護師および医療技師などの医療従事者が所望する様々な位置(患者受入位置、麻酔位置、手術位置、撮像位置など)にテーブルを移動させることができるとともに、テーブルの移動の範囲の狭さに起因して、医療従事者が立つ位置に十分な空間を確保することができないことを抑制し、手術をしやすくすることができる。
また、上記第1の局面によるロボット手術台において、好ましくは、回転中心位置を設定するための情報は、予め定められた複数の位置のうちのいずれかの位置を回転中心位置として設定するための情報、または、任意の位置を回転中心位置として設定するための情報である。このように構成すれば、予め定められた複数の位置のうちのいずれかの位置に回転中心位置を設定する場合には、予め定められた複数の位置のうちから回転中心位置を選ぶだけでよいので、回転中心位置の変更を簡単に行うことができる。また、任意の位置に回転中心位置を設定する場合には、回転中心位置を自由に選ぶことができるので、回転中心位置をより適切な位置に変更することができる。
【0009】
上記第1の局面によるロボット手術台において、好ましくは、回転中心位置を設定するための情報は、予め定められた複数の位置のうちのいずれかの位置
に回転中心位置を設定可能なように表示されたテーブルを示す図形情報、または
、任意の位置に回転中心位置を設定可能なように表示されたテーブルを示す図形情報である。このように構成すれば、テーブルを示す図形情報に基づいて、簡単かつ直感的に、回転中心位置を所望の位置に変更することができる。
【0010】
上記第1の局面によるロボット手術台において、好ましくは
、回転中心位置が設定された場合に、
表示部は、設定された回転モードのモード名と、設定された回転中心位置とを示す情報を、表示
するように構成されている。このように構成すれば、どの回転モードで、どの回転中心位置についてテーブルが回転されるかを、容易に把握することができる。
【0011】
上記第1の局面によるロボット手術台において、好ましくは、回転モードは、テーブルを水平面内で鉛直方向に延びる
回転軸線回りに回転させる平面回転モードと、テーブルの短手方向に平行に延びる
回転軸線回りにテーブルを回転させる縦転モードと、テーブルの長手方向に平行に延びる
回転軸線回りにテーブルを回転させる横転モードとのうちの少なくとも1つを含む。このように構成すれば、テーブルの平面回転、縦転または横転において、テーブルの回転中心位置を変更することができる。
【0012】
上記第1の局面によるロボット手術台において、好ましくは
、移動指示受付部が移動指示を受け付けている間、
多関節ロボットアームは、テーブル
を移動させ
るように構成されている。このように構成すれば、移動指示受付部が移動指示を受け付けている間でなければ、テーブルが移動(回転)されないので、意図せず移動指示受付部が操作された場合にも、意図せずテーブルが移動され続けることを防止することができる。また、意図してテーブルを移動する場合にも、単に移動指示受付部の操作を止めるだけで、テーブルの移動を停止させることができる。その結果、テーブルの移動途中でテーブルの移動を停止させたい場合に、簡単かつ迅速にテーブルの移動を停止させることができる。
【0013】
上記第1の局面によるロボット手術台において、好ましくは、移動指示受付部は、テーブルを移動させる方向毎に設けられた複数の方向指示受付部を有し
、モード設定指示受付部が回転モードの設定指示を受け付け、回転モードが設定された状態で、複数の方向指示受付部のうちの1つが操作されている間、
多関節ロボットアームは、設定された回転中心位置についてテーブルを回転させるよう
に構成されている。このように構成すれば、複数の方向指示受付部のうちのいずれかのボタンを操作するだけで、設定された回転中心位置についてテーブルを回転させることができるので、簡単な操作により、設定された回転中心位置についてテーブルを回転させることができる。また、方向指示受付部が操作されている間でなければ、テーブルが回転されないので、意図せずテーブルが回転され続けることを防止することができる。また、方向指示受付部を操作して設定された回転中心位置についてテーブルを回転させる場合であって、テーブルの回転途中でテーブルの回転を停止させたい場合に、簡単かつ迅速にテーブルの回転を停止させることができる。
【0014】
上記第1の局面によるロボット手術台において、好ましくは、移動指示受付部は、ジョイスティックを有し
、モード設定指示受付部が回転モードの設定指示を受け付け、回転モードが設定された状態で、ジョイスティックが操作されている間、
多関節ロボットアームは、設定された回転中心位置についてテーブルを回転させるよう
に構成されている。このように構成すれば、ジョイスティックを操作するだけで、設定された回転中心位置についてテーブルを回転させることができるので、簡単な操作により、設定された回転中心位置についてテーブルを回転させることができる。また、ジョイスティックが操作されている間でなければ、テーブルが回転されないので、意図せずテーブルが回転され続けることを防止することができる。また、ジョイスティックを操作して設定された回転中心位置についてテーブルを回転させる場合であって、テーブルの移動途中でテーブルの回転を停止させたい場合に、簡単かつ迅速にテーブルの回転を停止させることができる。
【0015】
上記第1の局面によるロボット手術台において、好ましくは、操作装置は、移動指示受付部の操作を有効化するためのトリガー部を含み
、モード設定指示受付部が回転モードの設定指示を受け付け、回転モードが設定された状態で、トリガー部と移動指示受付部が操作されている間、
多関節ロボットアームは、設定された回転中心位置についてテーブルを回転させるよう
に構成されている。このように構成すれば、トリガー部と移動指示受付部との両方が操作されている間でなければ、テーブルが回転されないので、意図せず移動指示受付部が操作された場合に、意図せずテーブルが回転されることを防止することができる。
【0016】
上記第1の局面によるロボット手術台において、好ましくは、操作装置は、トリガー部を含み、多関節ロボットアームは、複数の関節を含み、複数の関節の各々は、モータと、電磁ブレーキとを有し、
多関節ロボットアームは、トリガー部が操作されていない場合、モータへの通電を遮断
し、電磁ブレーキを作動させ、トリガー部が操作されている
場合、モータに通電
し、電磁ブレーキを作動させないように構成されている。このように構成すれば、トリガー部が操作されている間でなければ、テーブルが移動されないので、意図せず移動指示受付部が操作された場合に、意図せずテーブルが移動されることを防止することができる。
【0017】
上記第1の局面によるロボット手術台において、好ましくは、多関節ロボットアームの一方端は、ベースに鉛直方向に延びる軸線回りに回転可能に支持されるように構成されており、多関節ロボットアームの他方端は、テーブルの長手方向において、テーブルの一方端の近傍を支持するように構成されており、多関節ロボットアームは、少なくとも6の自由度でテーブルを移動させるように構成されている。このように構成すれば、多関節ロボットアームが6未満の自由度でテーブルを移動させる場合に比べて、患者が載置されるテーブルの移動の範囲や自由度を大きくすることができる。また、多関節ロボットアームが6以上の自由度でテーブルを移動させることにより、テーブルを容易に所望の位置に移動させることができる。
【0018】
上記第1の局面によるロボット手術台において、好ましくは、テーブルは、X線透過部と、テーブルの長手方向においてテーブルの一方端の近傍に配置され、X線透過部を支持する支持部とを含み、多関節ロボットアームの他方端は、支持部を支持するように構成されている。このように構成すれば、多関節ロボットアームがX線透過部の周りに極力配置されないようにすることができるので、X線透過部の周りにX線撮像装置を配置するのに十分な空間を確保することができる。
【0019】
この発明の第2の局面によるハイブリッド手術室システムは、第1の局面によるロボット手術台と、患者のX線投影画像を取得するためのX線撮像装置、および、患者の磁気共鳴画像を取得するための磁気共鳴イメージング装置のうちの少なくともいずれか一方と、を備える。
【0020】
この発明の第2の局面によるハイブリッド手術室システムでは、上記第1の局面によるロボット手術台を備える。これにより、第2の局面によるハイブリッド手術室システムにおいても、患者が載置されるテーブルの移動の範囲や自由度を大きくすることができ、かつ、テーブルの回転中心位置を変更することができる。
【0021】
この発明の第3の局面によるロボット手術台用操作装置は、患者を載置するためのテーブルと、
床に埋め込まれるか固定されるベースと、一方端がベースに支持され、他方端がテーブルを支持する多関節ロボットアームと
、を備えたロボット手術台をユーザが操作するための操作装置であって
、テーブル
を回転させる回転モードの設定指示を受け付けるモード設定指示受付部と
、テーブルの移動指示を受け付ける移動指示部と
、モード設定指示受付部が回転モードの設定指示を受け付けた場合に
、回転中心位置を設定するための情報
を表示
するように構成され
た表示部と、を備えている。
【0022】
この発明の第3の局面によるロボット手術台用操作装置では、上記のように
、表示部を、モード設定指示受付部が回転モードの設定指示を受け付けた場合に
、回転中心位置を設定するための情報
を表示
するように構成する。これにより、ロボット手術台においてテーブルを回転させる場合に、第3の局面によるロボット手術台用操作装置の操作に基づいて、テーブルの回転中心位置を変更することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、患者が載置されるテーブルの移動の範囲や自由度を大きくすることができる。また、テーブルの回転中心位置を変更することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
[第1実施形態]
(ロボット手術台の構成)
図1〜
図14を参照して、本実施形態によるロボット手術台100の構成について説明する。
【0027】
図1に示すように、ロボット手術台100は、手術室200に設けられている。手術室200には、患者10のX線投影画像を取得するためのX線撮像装置300が設けられている。手術室200は、ハイブリッド手術室である。つまり、手術室200には、ロボット手術台100と、X線撮像装置300とを備えるハイブリッド手術室システム201が設けられている。また、手術室200には、手術に関する情報を表示するための表示部400が設けられている。表示部400は、たとえばアーム(図示せず)により懸架されており、手術室200内を移動可能に構成されている。
【0028】
ロボット手術台100は、たとえば、外科や内科などにおいて、手術を行うための手術台として用いられる。ロボット手術台100は、患者10を載置するための載置位置にテーブル1を移動させることが可能なように構成されている。また、ロボット手術台100は、テーブル1に患者10を載置した状態でテーブル1を移動させることにより、患者受入位置、麻酔位置、手術位置、検査位置、処置位置、X線撮像位置、患者受渡位置などに患者10を移動させることが可能なように構成されている。また、ロボット手術台100は、テーブル1に患者10を載置した状態でテーブル1を傾けることにより、患者10を傾けることが可能なように構成されている。
【0029】
ロボット手術台100は、患者10を載置するためのテーブル1と、多関節ロボットアーム2と、ロボット用制御部3と、操作装置4と、操作装置5と、を備えている。
【0030】
テーブル1は、
図1および
図2に示すように、略矩形形状の平板状に形成されている。また、テーブル1の上面は、略平坦に形成されている。なお、テーブル1は、鉛直方向(Z方向)に延びる軸線回りに回転可能であるが、ここでは、テーブル1の長手方向に沿った水平方向をX方向とし、テーブル1の短手方向に沿った水平方向をY方向とする。つまり、X方向およびY方向は、テーブル1を基準とした方向を示している。
【0031】
テーブル1は、X線透過部11と、X線透過部11を支持する支持部12とを含んでいる。
【0032】
テーブル1のX線透過部11には、患者10が載置される。X線透過部11は、テーブル1において、X1方向側に配置されている。X線透過部11は、略矩形形状に形成されている。X線透過部11は、X線を透過しやすい材料により形成されている。X線透過部11は、たとえば、カーボン材料(グラファイト)により形成されている。X線透過部11は、たとえば、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)により形成されている。これにより、X線透過部11に患者10を載置した状態で、X線を用いて患者10を撮像することが可能である。
【0033】
テーブル1の支持部12は、多関節ロボットアーム2に接続されている。支持部12は、テーブル1において、X2方向側に配置されている。支持部12は、略矩形形状に形成されている。支持部12は、X線透過部11を支持している。支持部12は、X線透過部11を形成する材料よりもX線の透過率が小さい材料により形成されている。支持部12は、たとえば、金属により形成されている。支持部12は、たとえば、鉄材やアルミニウム材により形成されている。
【0034】
テーブル1は、多関節ロボットアーム2により、移動されるように構成されている。具体的には、テーブル1は、水平方向のX方向、X方向と直交する水平方向のY方向、並びに、X方向およびY方向に直交し、鉛直方向であるZ方向に移動可能に構成されている。また、テーブル1は、X方向に延びる軸線回りに回動(ロール)可能に構成されている。また、テーブル1は、Y方向に延びる軸線回りに回動(ピッチ)可能に構成されている。また、テーブル1は、Z方向に延びる軸線回りに回動(ヨー)可能に構成されている。
【0035】
多関節ロボットアーム2は、テーブル1を移動させるように構成されている。多関節ロボットアーム2は、一方端が床に固定されたベース21に支持されるとともに、他方端がテーブル1を支持するように構成されている。具体的には、多関節ロボットアーム2の一方端は、鉛直方向(Z方向)に延びるベース回動軸線(回動軸線A1)回りに回動可能にベース21に支持されるように構成されている。ベース21は、床に埋設されて固定された基礎である。ベース21は、平面視(Z方向に見て)において、テーブル1の移動範囲の略中央近傍に設けられている。また、多関節ロボットアーム2の他方端は、テーブル1の長手方向(X方向)において、テーブル1の一方端の近傍を支持するように構成されている。具体的には、多関節ロボットアーム2の他方端は、テーブル1の長手方向においてテーブル1の一方端の近傍に配置された支持部12を支持するように構成されている。
【0036】
多関節ロボットアーム2は、平面視において(Z1方向側から見て)、テーブル1の下方(Z2方向側)に全体が隠れる姿勢で配置可能に構成されている。たとえば、多関節ロボットアーム2は、テーブル1が手術位置に位置している場合に、テーブル1の下方の空間である収容空間内に収容されるように構成されている。つまり、多関節ロボットアーム2は、テーブル1に載置された患者10に対して手術や処置を行う位置にテーブル1を移動させた場合に、折り畳まれて、平面視において(Z1方向側から見て)、テーブル1の下方に完全に隠れる姿勢で配置可能に構成されている。また、折り畳まれた姿勢の多関節ロボットアーム2は、テーブル1の長手方向と平行な方向における長さがテーブル1の長手方向におけるテーブル1の長さの1/2以下になるように構成されている。
【0037】
多関節ロボットアーム2は、水平多関節アセンブリ22と、垂直多関節アセンブリ23と、ピッチ回動機構24とを備えている。水平多関節アセンブリ22は、水平関節221、222および223を含んでいる。垂直多関節アセンブリ23は、垂直関節231、232および233を含んでいる。なお、水平関節221〜223および垂直関節231〜233は、特許請求の範囲の「関節」の一例である。
【0038】
多関節ロボットアーム2は、7の自由度によりテーブル1を移動させるように構成されている。具体的には、多関節ロボットアーム2は、水平多関節アセンブリ22により、鉛直方向に延びる回動軸線A1回りの回動、鉛直方向に延びる回動軸線A2回りの回動、および、鉛直方向に延びる回動軸線A3回りの回動の3の自由度を有している。また、多関節ロボットアーム2は、垂直多関節アセンブリ23により、水平方向に延びる回動軸線B1回りの回動、水平方向に延びる回動軸線B2回りの回動、および、水平方向に延びる回動軸線B3回りの回動の3の自由度を有している。また、多関節ロボットアーム2は、ピッチ回動機構24により、テーブル1をテーブル1の短手方向(Y方向)に延びる回動軸線回りにピッチ回動させる1の自由度を有している。
【0039】
図3に示すように、多関節ロボットアーム2の各関節(水平関節221〜223および垂直関節231〜233)は、それぞれ、モータ25と、エンコーダ26と、電磁ブレーキ27と、減速機(図示せず)とを含んでいる。モータ25は、各関節により、テーブル1を回動させるための駆動源である。モータ25は、サーボモータを含んでいる。また、モータ25は、ロボット用制御部3の制御により駆動されるように構成されている。エンコーダ26は、モータ25の回転量を計測するように構成されている。また、エンコーダ26は、モータ25の回転量の計測結果をロボット用制御部3に送信するように構成されている。ロボット用制御部3は、エンコーダ26の計測結果に基づいて、テーブル1の位置情報と、テーブル1の姿勢情報と、多関節ロボットアーム2の姿勢情報とを取得するように構成されている。電磁ブレーキ27は、モータ25による回転を制動するための無励磁作動型の電磁ブレーキである。つまり、電磁ブレーキ27は、モータ25への通電がオンされた場合に、モータ25の制動を解除し、モータ25への通電がオフされた場合に、モータ25を制動するように構成されている。電磁ブレーキ27は、モータ25に内蔵された電磁ブレーキであってもよいし、モータ25に外付けされた電磁ブレーキであってもよい。
【0040】
また、多関節ロボットアーム2は、少なくとも1つの水平関節(221、222および223のうち少なくとも1つ)により、テーブル1を、鉛直方向(Z方向)に延びる軸線回りにヨー回動させるように構成されている。また、多関節ロボットアーム2は、少なくとも1つの垂直関節(231、232および233のうち少なくとも1つ)により、テーブル1を、長手方向(X方向)に延びる軸線回りにロール回動させるように構成されている。また、多関節ロボットアーム2は、ピッチ回動機構24により、テーブル1を、短手方向(Y方向)に延びる軸線回りにピッチ回動させるように構成されている。
【0041】
ロボット用制御部3は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)3aと、ハードディスクやフラッシュメモリなどの記憶部3bとを含む制御回路である。ロボット用制御部3は、ベース21内に配置され、多関節ロボットアーム2によるテーブル1の移動を制御するように構成されている。具体的には、ロボット用制御部3は、医療従事者(ユーザ)による操作に基づいて、多関節ロボットアーム2の動きを制御して、テーブル1を移動させるように構成されている。
【0042】
操作装置4および操作装置5は、
図3〜
図5に示すように、テーブル1を移動させるための医療従事者(ユーザ)による操作を受け付けるように構成されている。操作装置4および5は、それぞれ、テーブル1に対する操作を受け付けることが可能である。操作装置4は、主に、テーブル1に取り付けられた状態で用いられる操作装置である。操作装置5は、主に、テーブル1から離れた位置で用いられる操作装置である。操作装置4および5は、テーブル1の支持部12の側面に設けられた係合部(図示せず)に係合することにより、テーブル1に着脱可能に取り付けられるように構成されている。操作装置4および5は、それぞれ、有線通信可能なようにロボット用制御部3に接続されている。
【0043】
操作装置4は、
図3および
図4に示すように、操作用制御部41と、表示部42と、移動指示受付部43と、トリガー部44と、登録指示受付部45と、モード設定指示受付部46と、移動速度切換部47とを含んでいる。操作装置5は、
図3および
図5に示すように、操作用制御部51と、表示部52と、移動指示受付部53と、トリガー部54と、登録指示受付部55と、モード設定指示受付部56と、移動速度切換部57とを含んでいる。
【0044】
操作用制御部41(51)は、医療従事者(ユーザ)による操作に基づいて、操作装置4(5)の各部を制御するように構成されている。たとえば、操作用制御部41(51)は、医療従事者(ユーザ)による操作に基づいて、表示部42(52)に表示させる画像を制御するように構成されている。また、操作用制御部41(51)は、医療従事者(ユーザ)による操作を示す操作情報を、ロボット用制御部3に送信するように構成されている。ロボット用制御部3は、受信した操作情報に基づいて、テーブル1を多関節ロボットアーム2により移動させる制御を行うように構成されている。
【0045】
表示部42(52)は、テーブル1の状態、操作装置4(5)に対する操作の状態、操作画面などを表示するように構成されている。表示部42(52)は、液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイを含む。また、手術室200では、ロボット手術台100のロボット用制御部3と操作用制御部41(51)と表示部400(
図1参照)とは、互いに通信可能に接続されており、表示部400は、テーブル1の状態、操作装置4(5)に対する操作の状態、操作画面などを表示可能に構成されている。表示部400は、たとえば、操作装置4(5)の表示部42(52)に表示された画像を表示可能に構成されている。これにより、手術室200において、複数の医療従事者がロボット手術台100の操作状態を一度に確認することが可能である。また、表示部400は、タッチパネル式の入力兼表示部とすることができ、画面を操作することにより、テーブル1を移動させるための医療従事者(ユーザ)による操作を受け付けるように構成されていてもよい。
【0046】
移動指示受付部43(53)は、医療従事者(ユーザ)によるテーブル1の移動指示を受け付けるように構成されている。操作装置4では、移動指示受付部43は、ジョイスティック43aを有している。ジョイスティック43aは、倒されることにより操作されるように構成されている。また、ジョイスティック43aは、倒された方向および倒された角度に応じたテーブル1を移動させる操作を受け付けるように構成されている。操作装置5では、移動指示受付部53は、テーブル1を移動させる方向毎に設けられた複数(8つ)の方向指示受付部53aを有している。つまり、方向指示受付部53aは、8方向分設けられている。また、方向指示受付部53aは、押下されることにより、テーブル1を移動させる操作を受け付けるように構成されている。なお、8つの方向指示受付部53aは、内部に備えた発光ダイオードからなる光源により点灯可能に構成されている。
【0047】
トリガー部44(54)は、移動指示受付部43(53)の操作を有効化するために設けられている。具体的には、トリガー部44(54)は、操作されることにより、モータ25への通電をオンにする機能を有している。ロボット用制御部3は、トリガー部44(54)が操作されている間、モータ25に通電する制御を行うように構成されている。これにより、トリガー部44(54)を操作すれば、電磁ブレーキ27によるモータ25の制動が解除される。この結果、トリガー部44(54)が操作されている間だけ、移動指示受付部43(53)の操作が有効化されて、テーブル1を移動させることが可能になる。また、ロボット手術台100では、トリガー部44(54)の操作が解除されると、モータ25への通電がオフになる。ロボット用制御部3は、トリガー部44(54)が操作されていない場合、モータ25への通電を遮断することにより、電磁ブレーキ27を作動させるように構成されている。これにより、トリガー部44(54)の操作を解除すれば、電磁ブレーキ27によりモータ25が制動される。この結果、トリガー部44(54)が操作されていない場合には、移動指示受付部43(53)の操作が無効化されて、テーブル1を移動させることができなくなる。
【0048】
操作装置4では、トリガー部44は、ジョイスティック43aの先端に設けられている。操作装置4では、トリガー部44が押下されることにより、ジョイスティック43aの操作が有効化される。また、トリガー部44の押下が解除された状態では、ジョイスティック43aの操作が無効化される。操作装置5では、トリガー部54は、方向指示受付部53aが設けられた表面とは反対の表面側に設けられている。操作装置5では、トリガー部54が押下されることにより、方向指示受付部53aの操作が有効化される。また、トリガー部54の押下が解除された状態では、方向指示受付部53aの操作が無効化される。
【0049】
登録指示受付部45(55)は、ユーザによるテーブル1の移動先の位置である登録位置の登録指示と設定指示とを受け付けるように構成されている。登録指示受付部45(55)は、複数(3つ)の登録指示受付ボタン45a(55a)を有している。登録指示受付部45(55)は、登録指示受付ボタン45a(55a)毎に、登録位置の登録指示と設定指示とを受け付けるように構成されている。つまり、ロボット手術台100では、互いに異なる複数の登録位置を登録することが可能である。登録指示受付部45(55)は、登録指示受付ボタン45a(55a)が押下されることにより、登録位置の登録操作または設定操作を受け付けるように構成されている。
【0050】
ロボット用制御部3は、登録指示受付部45(55)が登録指示を受け付けた場合に、登録位置として、登録時点の現在位置における、テーブル1の位置、テーブル1の姿勢および多関節ロボットアーム2の姿勢を記憶部3bに記憶させるように構成されている。また、ロボット用制御部3は、登録指示受付部45(55)が設定指示を受け付けた場合に、登録位置をテーブル1の移動先に設定するように構成されている。そして、ロボット用制御部3は、登録位置がテーブル1の移動先に設定された状態で、移動指示受付部43(53)が移動指示を受け付けた場合に、記憶部3bに記憶された、テーブル1の位置、テーブル1の姿勢および多関節ロボットアーム2の姿勢で、登録位置にテーブル1が配置されるように、多関節ロボットアーム2の動きを制御するように構成されている。
【0051】
モード設定指示受付部46(56)は、ユーザによるテーブル1を回転軸線回りに回転させる回転モードの設定指示を受け付けるように構成されている。回転モードは、
図6〜
図8に示すように、テーブル1を水平面内で鉛直方向(Z方向)に延びる軸線回りに回転させる平面回転モードと、テーブル1の短手方向(Y方向)に平行に延びる軸線回りにテーブル1を回動させる縦転モードと、テーブル1の長手方向(X方向)に平行に延びる軸線回りにテーブル1を回動させる横転モードと、を含む。平面回動モードでは、医療従事者(ユーザ)の操作に基づいて、テーブル1がヨー回動される。縦転モードでは、医療従事者(ユーザ)の操作に基づいて、テーブル1がピッチ回動される。横転モードでは、医療従事者(ユーザ)の操作に基づいて、テーブル1がロール回動される。なお、
図6〜
図8は、各モードが設定されている場合に、表示部42(52)および表示部400に表示される画像を示している。モード設定指示受付部46(56)は、平面回転モードの設定指示を受け付ける平面回転モード受付ボタン46a(56a)、縦転モードの設定指示を受け付ける縦転モード受付ボタン46b(56b)および横転モードの設定指示を受け付ける横転モード受付ボタン46c(56c)を含んでいる。
【0052】
ここで、第1実施形態では、操作用制御部41(51)は、モード設定指示受付部46(56)が回転モードの設定指示を受け付けた場合に、予め定められた複数の位置のうちのいずれかの位置に回転中心位置Cを設定するための情報を操作装置4(5)の表示部42(52)および表示部400に表示させる制御を行うように構成されている。そして、ロボット用制御部3は、回転中心位置Cが設定された状態で、移動指示受付部43(53)が移動指示を受け付けた場合に、設定された回転中心位置Cについてテーブル1を回転させるように、多関節ロボットアーム2の動きを制御するように構成されている。
【0053】
具体的には、操作用制御部41(51)は、モード設定指示受付部46(56)が回転モードの設定指示を受け付けた場合に、予め定められた複数の位置のうちのいずれかの位置に回転中心位置Cを設定可能なように、表示部42(52)および表示部400にテーブル1を示す図形情報(イラスト)、患者10を示す図形情報(イラスト)および予め定められた複数の位置を示す図形情報(イラスト)を表示させる制御を行うように構成されている。また、操作用制御部41(51)は、回転中心位置Cが設定された場合に、設定された回転モードのモード名と、設定された回転中心位置Cとを示す情報を、操作装置4(5)の表示部42(52)および表示部400に表示させる制御を行うように構成されている。また、操作用制御部41(51)は、回転中心位置Cが設定された場合に、設定された回転中心位置Cを視覚的に識別可能なように、操作装置4(5)の表示部42(52)および表示部400に表示させる制御を行うように構成されている。操作用制御部41(51)は、たとえば、予め定められた複数の位置のうち回転中心位置Cとして設定された位置と、設定されていない位置とを、互いに異なる色で、操作装置4(5)の表示部42(52)および表示部400に表示させる制御を行うように構成されている。
【0054】
図6に示すように、平面回転モード受付ボタン46a(56a)により設定された平面回転モードでは、位置C1と、位置C2と、位置C3との3つの位置が、回転中心位置Cとして設定可能な位置として予め定められている。
図6では、位置C3が回転中心位置Cとして設定された例を示している。この状態で平面回転モード受付ボタン46a(56a)を押し下げると、位置C2が回転中心位置Cとして設定された状態に切り替わる。再度平面回転モード受付ボタン46a(56a)を押し下げると、位置C1が回転中心位置Cとして設定された状態に切り替わる。つまり、平面回転モード受付ボタン46a(56a)が押下される毎に、回転中心位置Cとして設定される位置が切り替わる。位置C1は、テーブル1の長手方向(X方向)の一方端部の近傍において、鉛直方向に延びる軸線Ya(
図9参照)回りにテーブル1を回転させるために設定される位置である。言い換えると、位置C1は、患者10の頭部側において、鉛直方向に延びる軸線Ya回りにテーブル1を回転させるために設定される位置である。位置C2は、テーブル1の長手方向の他方端部の近傍において、鉛直方向に延びる軸線Yb(
図9参照)回りにテーブル1を回転させるために設定される位置である。言い換えると、位置C2は、患者10の足部側において、鉛直方向に延びる軸線Yb回りにテーブル1を回転させるために設定される位置である。位置C3は、テーブル1の長手方向の位置C1と位置C2との間の中央の近傍において、鉛直方向に延びる軸線Yc(
図9参照)回りにテーブル1を回転させるために設定される位置である。言い換えると、位置C3は、患者10の胴部の近傍において、鉛直方向に延びる軸線Yc回りにテーブル1を回転させるために設定される位置である。なお、平面回転モードが設定されると、操作用制御部51は、8つの方向指示受付部53aのうち左右の2つの方向指示受付部53aの操作を有効化し、他の6つの方向指示受付部53aの操作を無効化する。また、操作用制御部51は、操作が有効化された左右2つの方向指示受付部53aの光源を点灯し、左右2つの方向指示受付部53aが操作可能であることをユーザに通知するように構成されている。
【0055】
図7に示すように、縦転モード受付ボタン46b(56b)により設定された縦転モードでは、位置C4と、位置C5と、位置C6との3つの位置が、回転中心位置Cとして設定可能な位置として予め定められている。
図7では、位置C6が回転中心位置Cとして設定された例を示している。この状態で縦転モード受付ボタン46b(56b)を押し下げると、位置C4が回転中心位置Cとして設定された状態に切り替わる。再度縦転モード受付ボタン46b(56b)を押し下げると、位置C5が回転中心位置Cとして設定された状態に切り替わる。つまり、縦転モード受付ボタン46b(56b)が押下される毎に、回転中心位置Cとして設定される位置が切り替わる。位置C4は、テーブル1のX線透過部11の長手方向(X方向)の一方端部の近傍において、短手方向(Y方向)に延びる軸線Pa(
図10参照)回りにテーブル1を回転させるために設定される位置である。言い換えると、位置C4は、患者10の頭部側において、短手方向に延びる軸線Pa回りにテーブル1を回転させるために設定される位置である。位置C5は、テーブル1のX線透過部11の長手方向の他方端部の近傍において、短手方向に延びる軸線Pb(
図10参照)回りにテーブル1を回転させるために設定される位置である。言い換えると、位置C5は、患者10の足部側において、短手方向に延びる軸線Pb回りにテーブル1を回転させるために設定される位置である。位置C6は、テーブル1のX線透過部11の長手方向の位置C4と位置C5との間の中央の近傍において、短手方向に延びる軸線Pc(
図10参照)回りにテーブル1を回転させるために設定される位置である。言い換えると、位置C6は、患者10の胴部の近傍において、短手方向に延びる軸線Pc回りにテーブル1を回転させるために設定される位置である。なお、縦転モードが設定されると、操作用制御部51は、8つの方向指示受付部53aのうち左右の2つの方向指示受付部53aの操作を有効化し、他の6つの方向指示受付部53aの操作を無効化する。また、操作用制御部51は、操作が有効化された左右2つの方向指示受付部53aの光源を点灯し、左右2つの方向指示受付部53aが操作可能であることをユーザに通知するように構成されている。
【0056】
図8に示すように、横転モード受付ボタン46c(56c)により設定された横転モードでは、位置C7と、位置C8と、位置C9との3つの位置が、回転中心位置Cとして設定可能な位置として予め定められている。
図8では、位置C9が回転中心位置Cとして設定された例を示している。この状態で横転モード受付ボタン46c(56c)を押し下げると、位置C7が回転中心位置Cとして設定された状態に切り替わる。再度横転モード受付ボタン46c(56c)を押し下げると、位置C8が回転中心位置Cとして設定された状態に切り替わる。つまり、横転モード受付ボタン46c(56c)が押下される毎に、回転中心位置Cとして設定される位置が切り替わる。位置C7は、テーブル1のX線透過部11の短手方向(Y方向)の一方端部の近傍において、長手方向に延びる軸線Ra(
図11参照)回りにテーブル1を回転させるために設定される位置である。言い換えると、位置C7は、患者10の左右方向の左側において、長手方向に延びる軸線Ra回りにテーブル1を回転させるために設定される位置である。位置C8は、テーブル1のX線透過部11の短手方向の他方端部の近傍において、長手方向に延びる軸線Rb(
図11参照)回りにテーブル1を回転させるために設定される位置である。言い換えると、位置C8は、患者10の左右方向の右側において、長手方向に延びる軸線Rb回りにテーブル1を回転させるために設定される位置である。位置C9は、テーブル1のX線透過部11の短手方向の位置C7と位置C8との間の中央の近傍において、長手方向に延びる軸線Rc(
図11参照)回りにテーブル1を回転させるために設定される位置である。言い換えると、位置C9は、患者10の左右方向の中央の近傍において、長手方向に延びる軸線Rc回りにテーブル1を回転させるために設定される位置である。なお、横転モードが設定されると、操作用制御部51は、移動指示受付部53の8つの方向指示受付部53aのうち左右の2つの方向指示受付部53aの操作を有効化し、他の6つの方向指示受付部53aの操作を無効化する。また、操作用制御部51は、操作が有効化された左右2つの方向指示受付部53aの光源を点灯し、左右2つの方向指示受付部53aが操作可能であることをユーザに通知するように構成されている。
【0057】
また、表示部42(52)、および、表示部400をタッチパネルとして構成した場合は、操作装置4(5)の表示部42(52)、または、表示部400の画面を操作することにより回転中心位置Cの設定指示を行うことが可能である。
【0058】
また、ロボット用制御部3は、回転中心位置Cについての回転方向が設定された状態で、移動指示受付部43(53)が移動指示を受け付けた場合に、設定された回転中心位置Cについて、移動指示された回転方向にテーブル1を回転させるように、多関節ロボットアーム2の動きを制御するように構成されている。
【0059】
また、
図12〜
図14に示すように、操作用制御部41(51)は、回転中心位置Cについてテーブル1が回転される場合に、テーブル1の回転状態を示す図形情報(イラスト)と、設定された回転中心位置Cを示す図形情報(イラスト)と、テーブル1の回転方向を示す図形情報(イラスト)とを、操作装置4(5)の表示部42(52)および表示部400に表示させる制御を行うように構成されている。つまり、操作用制御部41(51)は、回転中心位置Cについてテーブル1が回転されている場合に、テーブル1の回転状態と、回転中心位置Cと、回転方向とを視覚的に識別可能なように、操作装置4(5)の表示部42(52)および表示部400に表示させる制御を行うように構成されている。操作用制御部41(51)は、たとえば、移動中のテーブル1の回転方向と、その逆の回転方向とを、互いに異なる色で、操作装置4(5)の表示部42(52)および表示部400に表示させる制御を行うように構成されている。なお、
図12〜
図14は、各モードが設定されている場合に、表示部42(52)および表示部400に表示される画像を示している。また、
図12では、反時計回りの回転方向にテーブル1が移動される例を示し、
図13および
図14では、時計回りの回転方向にテーブル1が移動される例を示している。
【0060】
また、第1実施形態では、ロボット用制御部3は、移動指示受付部43(53)が移動指示を受け付けている間、テーブル1を多関節ロボットアーム2により移動させる制御を行うように構成されている。
【0061】
具体的には、操作装置4が医療従事者(ユーザ)による操作を受け付けている場合には、ロボット用制御部3は、モード設定指示受付部46(56)が回転モードの設定指示を受け付け、回転モードが設定された状態で、ジョイスティック43aが操作されている間、設定された回転中心位置Cについてテーブル1を回転させるように、多関節ロボットアーム2の動きを制御するように構成されている。つまり、操作装置4が医療従事者(ユーザ)による操作を受け付けている場合には、ジョイスティック43aが操作されている間だけ、テーブル1が設定された回転中心位置Cについて回転される。
【0062】
また、操作装置5が医療従事者(ユーザ)による操作を受け付けている場合には、ロボット用制御部3は、モード設定指示受付部46(56)が回転モードの設定指示を受け付け、回転モードが設定された状態で、操作が有効化された左右の2つの方向指示受付部53aのうちの1つが操作されている間、設定された回転中心位置Cについてテーブル1を回転させるように、多関節ロボットアーム2の動きを制御するように構成されている。つまり、操作装置5が医療従事者(ユーザ)による操作を受け付けている場合には、方向指示受付部53aが操作されている間だけ、テーブル1が設定された回転中心位置Cについて回転される。
【0063】
また、操作装置4および5のいずれが医療従事者(ユーザ)による操作を受け付けている場合にも、ロボット用制御部3は、モード設定指示受付部46(56)が回転モードの設定指示を受け付け、回転モードが設定された状態で、トリガー部44(54)と移動指示受付部43(53)とが同時に操作されている間、設定された回転中心位置Cについてテーブル1を回転させるように、多関節ロボットアーム2の動きを制御するように構成されている。つまり、操作装置4が医療従事者(ユーザ)による操作を受け付けている場合、トリガー部44が押下される操作とジョイスティック43aが倒される操作とが同時に行われている間だけ、テーブル1が設定された回転中心位置Cについて回転される。また、操作装置5が医療従事者(ユーザ)による操作を受け付けている場合、トリガー部54が押下される操作と方向指示受付部53aが押下される操作とが同時に行われている間だけ、テーブル1が設定された回転中心位置Cについて回転される。
【0064】
また、モード設定指示受付部46(56)は、ユーザによるテーブル1を直線的に移動させる直線移動モードの設定指示を受け付けるように構成されている。直線移動モードは、テーブル1を水平面内で直線的に移動させる平面移動モードと、テーブル1を上下動させる昇降モードとを含んでいる。モード設定指示受付部46(56)は、平面移動モードの設定指示を受け付ける平面移動モード受付ボタン46d(56d)および昇降モードの設定指示を受け付ける昇降モード受付ボタン46e(56e)を含んでいる。平面移動モード受付ボタン46d(56d)を押し下げることにより設定された平面移動モードでは、医療従事者(ユーザ)の操作に基づいて、テーブル1が水平方向に直線的に移動される。平面移動モードが設定されると、操作用制御部51は、8つの方向指示受付部53aの操作を有効化する。また、操作用制御部51は、8つの方向指示受付部53aの光源を点灯し、8つの方向指示受付部53aが操作可能であることをユーザに通知するように構成されている。昇降モード受付ボタン46d(56d)を押し下げることにより設定された昇降モードでは、医療従事者(ユーザ)の操作に基づいて、テーブル1が鉛直方向(Z方向)に直線的に移動される。昇降モードが設定されると、操作用制御部51は、8つの方向指示受付部53aのうち上下2つの方向指示受付部53aの操作を有効化し、他の6つの方向指示受付部53aの操作を無効化する。また、操作用制御部51は、操作が有効化された上下2つの方向指示受付部53aの光源を点灯し、上下2つの方向指示受付部53aが操作可能であることをユーザに通知するように構成されている。ロボット手術台100では、モード設定指示受付部46(56)により動作モードが選択された状態で、トリガー部44(54)および移動指示受付部43(53)が操作されることにより、テーブル1が移動される。
【0065】
移動速度切換部47(57)は、ユーザによるテーブル1の移動速度の変更指示を受け付けるように構成されている。また、移動速度切換部47(57)は、押下されることにより、テーブル1の移動速度を変更する操作を受け付けるように構成されている。ロボット手術台100は、移動速度切換部47(57)が押下される毎に、テーブル1の移動速度を段階的に切り換えるように構成されている。たとえば、テーブル1の移動速度は、3段階の移動速度に切り換え可能である。
【0066】
(X線撮像装置の構成)
図1を参照して、X線撮像装置300の構成について説明する。
【0067】
図1に示すように、X線撮像装置300は、ロボット手術台100のテーブル1に載置された患者10のX線投影画像を取得可能に構成されている。X線撮像装置300は、X線照射部301と、X線検出部302と、Cアーム303とを含んでいる。X線照射部301およびX線検出部302は、Cアーム303により支持されている。X線照射部301およびX線検出部302は、Cアーム303の移動に伴って移動され、X線を用いて患者10を撮像する際に、患者10を挟み込むように対向して配置される。たとえば、X線照射部301およびX線検出部302のうち一方がテーブル1の上方の空間に配置され、他方がテーブル1の下方の空間に配置される。また、X線を用いて患者10を撮像する際には、X線照射部301およびX線検出部302を支持するCアーム303の一部もテーブル1の上方および下方の空間に配置される。
【0068】
X線照射部301は、X線検出部302と対向するように配置されている。また、X線照射部301は、X線検出部302に向けてX線を照射可能に構成されている。X線検出部302は、X線照射部301から照射されたX線を検出するように構成されている。X線検出部302は、FPD(Flat Panel Detector)を含んでいる。X線検出部302は、検出したX線を電気信号に変換し、画像処理部(図示せず)に送信するように構成されている。
【0069】
Cアーム303は、一方端にX線照射部301が接続され、他方端にX線検出部302が接続されている。Cアーム303は、略C字形状を有している。これにより、X線を用いて患者10を撮像する際に、テーブル1や患者10を挟み込む位置で、X線照射部301およびX線検出部302を支持することが可能である。Cアーム303は、テーブル1に対して相対移動可能に構成されている。具体的には、Cアーム303は、水平方向、鉛直方向に移動可能であるとともに、水平方向に延びる回動軸線および鉛直方向に延びる回動軸線を中心に回動可能に構成されている。これにより、X線照射部301およびX線検出部302を、テーブル1に載置された患者10に対して所望の位置に配置することが可能である。Cアーム303は、医療従事者(ユーザ)による操作に基づいて、駆動部(図示せず)により、移動されるように構成されている。また、Cアーム303は、医療従事者(ユーザ)が手動で移動させることが可能なように構成されている。また、X線撮像装置300と表示部400とは、互いに通信可能に接続されており、表示部400は、X線撮像装置300により取得したX線透視画像、および、X線撮像装置300により取得したX線撮像画像を表示可能に構成されている。
【0070】
(回転中心位置設定処理)
次に、
図15を参照して、本実施形態のロボット手術台100による回転中心位置設定処理をフローチャートに基づいて説明する。
【0071】
図15に示すように、まず、ステップS1では、モード設定指示受付部46(56)により、医療従事者(ユーザ)による回転モードの設定指示が受け付けられる。
【0072】
次に、ステップS2では、平面回転モードと、縦転モードと、横転モードと、のうちから選ばれた回転モードが設定される。
【0073】
次に、ステップS3では、平面回転モードと、縦転モードと、横転モードと、のうちから選ばれた回転モードにおいて、予め定められた複数の位置のうちのいずれかの位置に回転中心位置Cを設定可能なように表示部42(52)および表示部400に表示させる制御が操作用制御部41(51)により行われる。
【0074】
次に、ステップS4では、医療従事者(ユーザ)の操作に基づいて、予め定められた複数の位置から選ばれた位置が、回転中心位置Cとして設定される。
【0075】
(回転処理)
次に、
図16を参照して、本実施形態のロボット手術台100による回転処理をフローチャートに基づいて説明する。
【0076】
図16に示すように、まず、ステップS11では、操作装置4(5)のトリガー部44(54)と、移動指示受付部43(53)とが同時に操作されているか否かが判断される。
【0077】
ステップS11において、トリガー部44(54)と、移動指示受付部43(53)とが同時に操作されていないと判断される場合には、ステップS11の処理を繰り返す。
【0078】
ステップS11において、トリガー部44(54)が操作されていない場合には、多関節ロボットアーム2の各関節(水平関節221〜223および垂直関節231〜233)のモータ25への通電がオフであるため、電磁ブレーキ27により、各関節のモータ25が制動されて、テーブル1は、回転しない。また、ステップS11において、トリガー部44(54)が操作されているが移動指示受付部43(53)が操作されていない場合には、移動指示受付部43(53)が医療従事者(ユーザ)による移動指示を受け付けていないため、モータ25が駆動されず、テーブル1は、回転しない。つまり、トリガー部44(54)と、移動指示受付部43(53)とが同時に操作されている間だけ、設定された回転中心位置Cについてテーブル1が回転される。
【0079】
また、ステップS11において、トリガー部44(54)と、移動指示受付部43(53)とが同時に操作されていると判断される場合には、ステップS12に進む。
【0080】
そして、ステップS12では、回転中心位置設定処理において設定された回転中心位置Cについてテーブル1を回転させるように、多関節ロボットアーム2の動きがロボット用制御部3により制御される。
【0081】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0082】
第1実施形態では、上記のように、操作用制御部41(51)を、モード設定指示受付部46(56)が回転モードの設定指示を受け付けた場合に、予め定められた複数の位置のうちのいずれかの位置に回転中心位置Cを設定するための情報を表示部42(52)に表示させる制御を行うように構成する。そして、ロボット用制御部3を、回転中心位置Cが設定された状態で、移動指示受付部43(53)が移動指示を受け付けた場合に、設定された回転中心位置Cについてテーブル1を回転させるように、多関節ロボットアーム2の動きを制御するように構成する。これにより、テーブル1を回転させる場合に、テーブル1の回転中心位置Cを変更することができる。その結果、患者10の特定の部位を中心にテーブルを回転させることができ、たとえば、手術や撮像の対象部位を中心にテーブル1を回転させることができる。また、予め定められた複数の位置のうちから回転中心位置Cを選ぶだけでよいので、回転中心位置Cの変更を簡単に行うことができる。また、一方端がベース21に支持され、他方端がテーブル1を支持する多関節ロボットアーム2を設ける。これにより、移動の自由度が大きい多関節ロボットアーム2によりテーブル1を移動させることができるので、患者10が載置されるテーブル1の移動の範囲や自由度を大きくすることができる。これらの結果、患者10が載置されるテーブル1の移動の範囲や自由度を大きくすることができ、かつ、テーブル1の回転中心位置Cを変更することができる。また、患者10が載置されるテーブル1の移動の範囲や自由度を大きくすることができるので、執刀医、助手、看護師および医療技師などの医療従事者が所望する様々な位置(患者10受入位置、麻酔位置、手術位置、撮像位置など)にテーブル1を移動させることができるとともに、テーブル1の移動の範囲の狭さに起因して、医療従事者が立つ位置に十分な空間を確保することができないことを抑制し、手術をしやすくすることができる。
【0083】
また、第1実施形態では、上記のように、操作用制御部41(51)を、モード設定指示受付部46(56)が回転モードの設定指示を受け付けた場合に、予め定められた複数の位置のうちのいずれかの位置に回転中心位置Cを設定可能なように、表示部42(52)にテーブル1を示す図形情報を表示させる制御を行うように構成する。これにより、テーブル1を示す図形情報に基づいて、簡単かつ直感的に、回転中心位置Cを所望の位置に変更することができる。
【0084】
また、第1実施形態では、上記のように、操作用制御部41(51)を、回転中心位置Cが設定された場合に、設定された回転モードのモード名と、設定された回転中心位置Cとを示す情報を、表示部42(52)に表示させる制御を行うように構成する。これにより、どの回転モードで、どの回転中心位置Cについてテーブル1が回転されるかを、容易に把握することができる。
【0085】
また、第1実施形態では、上記のように、回転モードは、テーブル1を水平面内で鉛直方向に延びる軸線回りに回転させる平面回転モードと、テーブル1の短手方向に平行に延びる軸線回りにテーブル1を回転させる縦転モードと、テーブル1の長手方向に平行に延びる軸線回りにテーブル1を回転させる横転モードとを含んでいる。これにより、テーブル1の平面回転、縦転または横転において、テーブル1の回転中心位置Cを変更することができる。
【0086】
また、第1実施形態では、上記のように、ロボット用制御部3を、移動指示受付部43(53)が移動指示を受け付けている間、テーブル1を多関節ロボットアーム2により移動させる制御を行うように構成する。これにより、移動指示受付部43(53)が移動指示を受け付けている間でなければ、テーブル1が移動(回転)されないので、意図せず移動指示受付部43(53)が操作された場合にも、意図せずテーブル1が移動され続けることを防止することができる。また、意図してテーブル1を移動する場合にも、単に移動指示受付部43(53)の操作を止めるだけで、テーブル1の移動を停止させることができる。その結果、テーブル1の移動途中でテーブル1の移動を停止させたい場合に、簡単かつ迅速にテーブル1の移動を停止させることができる。
【0087】
また、第1実施形態では、上記のように、移動指示受付部43(53)は、テーブル1を移動させる方向毎に設けられた複数の方向指示受付部53aを有している。そして、ロボット用制御部3を、モード設定指示受付部46(56)が回転モードの設定指示を受け付け、回転モードが設定された状態で、複数の方向指示受付部53aのうちの1つが操作されている間、設定された回転中心位置Cについてテーブル1を回転させるように、多関節ロボットアーム2の動きを制御するように構成する。これにより、複数の方向指示受付部53aのうちのいずれかのボタンを操作するだけで、設定された回転中心位置Cについてテーブル1を回転させることができるので、簡単な操作により、設定された回転中心位置Cについてテーブル1を回転させることができる。また、方向指示受付部53aが操作されている間でなければ、テーブル1が回転されないので、意図せずテーブル1が回転され続けることを防止することができる。また、方向指示受付部53aを操作して設定された回転中心位置Cについてテーブル1を回転させる場合であって、テーブル1の回転途中でテーブル1の回転を停止させたい場合に、簡単かつ迅速にテーブル1の回転を停止させることができる。
【0088】
また、第1実施形態では、上記のように、移動指示受付部43(53)は、ジョイスティック43aを有している。そして、ロボット用制御部3を、モード設定指示受付部46(56)が回転モードの設定指示を受け付け、回転モードが設定された状態で、ジョイスティック43aが操作されている間、設定された回転中心位置Cについてテーブル1を回転させるように、多関節ロボットアーム2の動きを制御するように構成する。これにより、ジョイスティック43aを操作するだけで、設定された回転中心位置Cについてテーブル1を回転させることができるので、簡単な操作により、設定された回転中心位置Cについてテーブル1を回転させることができる。また、ジョイスティック43aが操作されている間でなければ、テーブル1が回転されないので、意図せずテーブル1が回転され続けることを防止することができる。また、ジョイスティック43aを操作して設定された回転中心位置Cについてテーブル1を回転させる場合であって、テーブル1の移動途中でテーブル1の回転を停止させたい場合に、簡単かつ迅速にテーブル1の回転を停止させることができる。
【0089】
また、第1実施形態では、上記のように、操作装置4(5)は、移動指示受付部43(53)の操作を有効化するためのトリガー部44(54)を含んでいる。そして、ロボット用制御部3を、モード設定指示受付部46(56)が回転モードの設定指示を受け付け、回転モードが設定された状態で、トリガー部44(54)と移動指示受付部43(53)が操作されている間、設定された回転中心位置Cについてテーブル1を回転させるように、多関節ロボットアーム2の動きを制御するように構成する。これにより、トリガー部44(54)と移動指示受付部43(53)との両方が操作されている間でなければ、テーブル1が回転されないので、意図せず移動指示受付部43(53)が操作された場合に、意図せずテーブル1が回転されることを防止することができる。
【0090】
また、第1実施形態では、上記のように、操作装置4(5)は、トリガー部44(54)を含んでいる。そして、多関節ロボットアーム2は、複数の関節(水平関節221〜223および垂直関節231〜233)を含んでいる。そして、複数の関節の各々は、モータ25と、無励磁作動型の電磁ブレーキ27とを有している。そして、ロボット用制御部3を、トリガー部44(54)が操作されていない場合、モータ25への通電を遮断することにより、電磁ブレーキ27を作動させ、トリガー部44(54)が操作されている間、モータ25に通電する制御を行うように構成する。これにより、トリガー部44(54)が操作されている間でなければ、テーブル1が移動されないので、意図せず移動指示受付部43(53)が操作された場合に、意図せずテーブル1が移動されることを防止することができる。
【0091】
また、第1実施形態では、上記のように、多関節ロボットアーム2の一方端を、ベース21に鉛直方向に延びる軸線回りに回転可能に支持されるように構成する。そして、多関節ロボットアーム2の他方端を、テーブル1の長手方向において、テーブル1の一方端の近傍を支持するように構成する。そして、多関節ロボットアーム2を、7の自由度でテーブル1を移動させるように構成する。これにより、多関節ロボットアーム2が6未満の自由度でテーブル1を移動させる場合に比べて、患者10が載置されるテーブル1の移動の範囲や自由度を大きくすることができる。また、多関節ロボットアーム2が7の自由度でテーブル1を移動させることにより、テーブル1を容易に所望の位置に移動させることができる。
【0092】
また、第1実施形態では、上記のように、テーブル1は、X線透過部11と、テーブル1の長手方向においてテーブル1の一方端の近傍に配置され、X線透過部11を支持する支持部12とを含んでいる。そして、多関節ロボットアーム2の他方端を、支持部12を支持するように構成する。これにより、多関節ロボットアーム2がX線透過部11の周りに極力配置されないようにすることができるので、X線透過部11の周りにX線撮像装置300を配置するのに十分な空間を確保することができる。
【0093】
[第2実施形態]
次に、
図1、
図3および
図17〜
図19を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、予め定められた複数の位置のうちのいずれかの位置に回転中心位置を設定した上記第1実施形態とは異なり、任意の位置に回転中心位置を設定する例について説明する。なお、上記第1実施形態と同一の構成については、図中において同じ符号を付して図示し、その説明を省略する。
【0094】
(ロボット手術台の構成)
本発明の第2実施形態によるロボット手術台500は、
図1に示すように、ロボット用制御部503と、操作装置504と、操作装置505とを備える点で、上記第1実施形態のロボット手術台100と相違する。操作装置504は、
図3に示すように、操作用制御部541を含む点と表示部542を含む点とで、上記第1実施形態の操作装置4と相違する。操作装置505は、操作用制御部551を含む点と表示部552を含む点とで、上記第1実施形態の操作装置5と相違する。つまり、第2実施形態のハイブリッド手術室システム201aは、ロボット手術台500と、X線撮像装置300とを備える。
【0095】
第2実施形態では、操作用制御部541(551)は、
図17〜
図19に示すように、モード設定指示受付部46(56)が回転モードの設定指示を受け付けた場合に、任意の位置に回転中心位置Cを設定するための情報を、操作装置504(505)の表示部542(552)および表示部400に表示させる制御を行うように構成されている。そして、ロボット用制御部503は、回転中心位置Cが設定された状態で、移動指示受付部43(53)が移動指示を受け付けた場合に、設定された回転中心位置Cについてテーブル1を回転させるように、多関節ロボットアーム2の動きを制御するように構成されている。表示部542および表示部552は、いずれもタッチパネル式の入力部兼表示部である。また、表示部400もタッチパネル式の入力部兼表示部である。
【0096】
具体的には、操作用制御部541(551)は、モード設定指示受付部46(56)が回転モードの設定指示を受け付けた場合に、任意の位置に回転中心位置Cを設定可能なように、表示部542(552)および表示部400にテーブル1およびテーブル1の周辺を示す図形情報(イラスト)を表示させる制御を行うように構成されている。操作用制御部541(551)は、テーブル1およびテーブル1の周辺を含む回転中心位置設定領域Rを、表示部542(552)および表示部400に表示させる制御を行うように構成されている。
【0097】
また、操作用制御部541(551)は、回転中心位置Cが設定された場合に、設定された回転モードのモード名と、設定された回転中心位置Cとを示す情報を、操作装置504(505)の表示部542(552)および表示部400に表示させる制御を行うように構成されている。また、操作用制御部541(551)は、回転中心位置Cが設定された場合に、設定された回転中心位置Cを視覚的に識別可能なように、操作装置504(505)の表示部542(552)および表示部400に表示させる制御を行うように構成されている。操作用制御部541(551)は、たとえば、回転中心位置Cとして設定された位置を、背景色とは異なる色で、操作装置504(505)の表示部542(552)および表示部400に表示させる制御を行うように構成されている。
【0098】
図17に示すように、平面回転モードでは、平面視における(Z方向から見た場合における)テーブル1およびテーブル1の周辺を含む回転中心位置設定領域R内の任意の位置を、タッチペンを用いて指定することにより、回転中心位置Cを設定可能である。
図18に示すように、縦転モードでは、短手方向(Y方向)から見た場合におけるテーブル1およびテーブル1の周辺を含む回転中心位置設定領域R内の任意の位置を、タッチペンを用いて指定することにより、回転中心位置Cを設定可能である。
図19に示すように、横転モードでは、長手方向(X方向)から見た場合におけるテーブル1およびテーブル1の周辺を含む回転中心位置設定領域R内の任意の位置を、タッチペンを用いて指定することにより、回転中心位置Cを設定可能である。なお、
図17〜
図19は、各モードが設定されている場合に、表示部542(552)および表示部400に表示される画像を示している。
図17に示された回転中心位置Cは、チューブ類を固定する固定具におけるチューブ類の支持位置である。
図18に示された回転中心位置Cは、患者10の頭部の上部表面位置である。
図19に示された回転中心位置Cは、患者10の頭部の上部表面位置である。
【0099】
また、操作用制御部541(551)は、ユーザによる回転中心位置Cの設定指示を受け付けた場合に、テーブル1およびテーブル1の周辺を含む回転中心位置設定領域Rのうちから選ばれた任意の位置を、回転中心位置Cとして設定するように構成されている。
【0100】
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0101】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0102】
第2実施形態では、上記のように、操作用制御部541(551)を、モード設定指示受付部46(56)が回転モードの設定指示を受け付けた場合に、任意の位置に回転中心位置Cを設定するための情報を、表示部542(552)に表示させる制御を行うように構成する。そして、ロボット用制御部503を、回転中心位置Cが設定された状態で、移動指示受付部43(53)が移動指示を受け付けた場合に、設定された回転中心位置Cについてテーブル1を回転させるように、多関節ロボットアーム2の動きを制御するように構成する。これにより、テーブル1を回転させる場合に、テーブル1の回転中心位置Cを変更することができる。その結果、たとえば、患者10の頭部の特定の位置を中心にテーブル1を回転させることができたり、テーブル1の側部に取り付けられた固定具に呼吸器チューブなどのチューブ類を支持させている場合、固定具のチューブ類の支持位置を中心にテーブル1を回転させることでチューブ類を引っ張らずにテーブル1を回転させることができる。また、任意の位置に回転中心位置Cを設定することにより、回転中心位置Cを自由に選ぶことができるので、回転中心位置Cをより適切な位置に変更することができる。
【0103】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0104】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0105】
たとえば、上記第1および第2実施形態では、ハイブリッド手術室にX線撮像装置が設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ハイブリッド手術室に患者の磁気共鳴画像を取得するための磁気共鳴イメージング装置が設けられていてもよい。また、ハイブリッド手術室に、X線撮像装置および磁気共鳴イメージング装置の両方が設けられていてもよい。
【0106】
また、上記第1および第2実施形態では、ロボット手術台をハイブリッド手術室に設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ロボット手術台をハイブリッド手術室以外の手術室に設けてもよい。
【0107】
また、上記第1および第2実施形態では、ロボット手術台に2つの操作装置を設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ロボット手術台に1つの操作装置を設けてもよいし、3つ以上の操作装置を設けてもよい。
【0108】
また、上記第1および第2実施形態では、操作装置がロボット用制御部に有線通信可能なように接続されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、操作装置が制御部に無線通信可能なように接続されてもよい。
【0109】
また、上記第1および第2実施形態では、回転モードが、平面回転モードと、縦転モードと、横転モードとを含む例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、回転モードが、平面回転モードと、縦転モードと、横転モードとの全部を含んでいなくてもよいし、平面回転モードと、縦転モードと、横転モードと以外の回転モードを含んでいてもよい。
【0110】
また、上記第1実施形態では、平面回転モードと、縦転モードと、横転モードとにおいて、それぞれ、3つの位置が回転中心位置として設定可能な位置として予め定められている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、2つまたは4つ以上の位置が回転中心位置として設定可能な位置として予め定められていてもよい。
【0111】
また、上記第1および第2実施形態では、操作装置の表示部だけでなく、手術室内に設けられた表示部にも、回転中心位置を設定可能なように情報を表示させる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、操作装置の表示部に表示されていれば、手術室に設けられた表示部に、回転中心位置を設定可能なように情報を表示させなくてもよい。
【0112】
また、上記第1および第2実施形態では、8方向分だけ方向指示受付部を設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、方向指示受付部は、8方向以外の複数方向分だけ設けられてもよい。
【0113】
また、上記第1および第2実施形態では、登録指示受付部が3つの登録指示受付ボタンを有する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、登録指示受付部が2つ以下の登録指示受付ボタンを有していてもよいし、4つ以上の登録指示受付ボタンを有していてもよい。
【0114】
また、上記第1および第2実施形態では、操作装置の表示部に加えて、手術室内に設けられた表示部に、テーブルの状態、操作装置に対する操作の状態、操作画面などを表示する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、
図20に示す変形例のように、手術室外に設けられた表示部に、テーブルの状態、操作装置に対する操作の状態、操作画面などを表示してもよい。具体的には、
図20に示すように、手術室200外に設けられ、手術室200が設けられた病院内のLAN(ローカルエリアネットワーク)に接続された表示部600にテーブルの状態などを表示してもよい。表示部600は、たとえば、ナースステーションに設けられている。また、手術室200外に、手術の進捗を管理するための手術進捗管理装置700が設けられている場合には、手術進捗管理装置700の表示部701にテーブルの状態などを表示してもよい。手術進捗管理装置700の表示部701は、たとえば、手術室200に隣接するコントロールセンターに設けられている。また、病院内のLANには、ホストコンピュータ800や、病院関係者が所有する携帯端末などの外部装置900などが接続されていてもよい。
【0115】
また、上記第1および第2実施形態では、水平多関節アセンブリが3つの水平関節を有する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、水平多関節アセンブリが2つの水平関節を有していてもよいし、4つ以上の水平関節を有していてもよい。
【0116】
また、上記第1および第2実施形態では、垂直多関節アセンブリが3つの垂直関節を有する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、垂直多関節アセンブリが2つの垂直関節を有していてもよいし、4つ以上の垂直関節を有していてもよい。
【0117】
また、上記第1および第2実施形態では、多関節ロボットアームに、3つ連続して水平関節を設けるとともに、3つ連続して垂直関節を設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば、多関節ロボットアームとして、互いに隣接する関節の回動軸が直交する部分を複数有する垂直多関節ロボットを用いてもよい。
【0118】
また、上記第1および第2実施形態では、多関節ロボットアームが7の自由度を有する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、多関節ロボットアームが6以下の自由度を有していてもよいし、8以上の自由度を有していてもよいが、6以上の自由度を有していることが好ましい。
【0119】
また、上記第1および第2実施形態では、ベースが床に埋設されて固定されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ベースが床の上に固定されていてもよい。
【0120】
また、上記第1および第2実施形態では、ロボット用制御部がベース内に配置されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ロボット用制御部をケーシング内に入れられた制御ボックスとし、たとえば、制御ボックスを手術室内の任意の位置に配置するようにしてもよく、また、制御ボックスを手術室に隣接するコントロールセンターに配置するようにしてもよい。