(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
塵埃を含む空気を吸い込む本体吸気口と吸引力を発生する電動送風機とを備える掃除機本体と、前記吸気口と前記電動送風機との間に着脱自在な集塵装置とを有し、該集塵装置は、外殻を形成する略円筒状の外筒と該外筒内に同心状に設けられる内筒とを有した電気掃除機において、
前記外筒内壁には、該外筒の中心軸に対して略垂直な方向に形成した塵埃舞い戻り防止面を備え、
前記内筒における最も径が大きい部分は、前記塵埃舞い戻り防止面よりも上に位置することを特徴とする電気掃除機。
塵埃を含む空気を吸い込む本体吸気口と吸引力を発生する電動送風機とを備える掃除機本体と、前記吸気口と前記電動送風機との間に着脱自在な集塵装置とを有し、該集塵装置は、外殻を形成する略円筒状の外筒と該外筒内に同心状に設けられる内筒とを有した電気掃除機において、
前記外筒内壁には、該外筒の中心軸に対して外側に形成した塵埃舞い戻り防止面を備え、
前記内筒における最も径が大きい部分は、前記塵埃舞い戻り防止面よりも上に位置する
前記外筒は、前記塵埃舞い戻り防止面から下方が略円錐状に拡大していく形状であることを特徴とする電気掃除機。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の代表的な実施形態例について、図面を適宜参照して詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態例に限定されるものではない。以下、
図1等に示すように、電気掃除機100をスティック型として使用する際のハンドル2の位置する方向を上方向、吸込口15の位置する方向を下方向とする。掃除機本体1でいえば、モータケース部7や蓄電池ケース部8がある方向を上方向、吸込口15のある方向を下方向とする。また、
図1等に示すように、電気掃除機100の伸縮パイプ5(パイプケース部4)の位置する側を前方向、集塵装置12の位置する方向を後方向とする。また、電気掃除機100において、前方向を正面としたときを基準として右方向、左方向を規定しており、
図1の紙面では左側を右方向、右側を左方向とする。なお、
図5等に示すように、電気掃除機100から吸口体3を取り外してハンディ型として使用する際の説明においても、掃除機本体1の吸込口15が位置する側を下方向、プリーツフィルタ130が位置する側を上方向、パイプケース部4が位置する側を前方向、集塵装置12が位置する側を後方向、紙面左側を右方向、右側を左方向として説明する。また、
図4等に示す充電台6や、
図9等に示す集塵装置12の上下左右前後は、
図1の上下左右前後と同様とする。
【0014】
まず、本発明の実施形態例の100の全体の構成について説明する。
【0015】
本実施形態における電気掃除機100は、
図1、
図2、
図5のようにハンドル2を伸縮パイプ5に対し回動していない状態での使用と、
図3、
図6〜
図8のようにハンドル2を伸縮パイプ5に対し回動した状態での使用と、の主に2つの状態で使用が可能である。
【0016】
図1は、本発明の実施形態例における収納時及び充電時の電気掃除機100を示す外観斜視図である。
図2は、本発明の実施形態において電気掃除機100をスティック型として使用する際の外観斜視図である。
図3は、本発明の実施形態においてハンドルを折り畳んだ状態の電気掃除機100の外観斜視図である。
<電気掃除機100>
図1に示す100は電気掃除機であり、6は充電台である。電気掃除機100は、掃除機本体1と、吸口体3と、集塵装置12と、を有している。吸口体3は、掃除機本体1の下部先端に着脱可能に設けられている。集塵装置12は、掃除機本体1の後部に着脱可能に設けられている。
【0017】
なお、本実施形態例の電気掃除機100は、充電台6にて蓄電池18に充電して電源として使用する充電式掃除機であるが、掃除機本体1に電源コードを備え、商用で用いられるAC式の電気掃除機として使用しても良い。
<掃除機本体1>
次に、本実施形態例における掃除機本体1の構成について説明する。
【0018】
掃除機本体1は、モータケース部7と蓄電池ケース部8とパイプケース部4と、導入管ケース部14と、を有するケース本体50と、ハンドル2と、を備える。
【0019】
モータケース部7は略円筒形状の部分である。蓄電池ケース部8は略箱形状の部分である。パイプケース部4は、略筒形状の部分である。モータケース部7には電動送風機17(
図7参照)を内包している。蓄電池ケース部8には蓄電池18(
図7参照)を内包している。パイプケース部4には伸縮パイプ5を内包することができる。導入管ケース部14には導入管160を内包している。
【0020】
掃除機本体1における各部の配置は、次の通りである。
【0021】
図1,2,5のようにハンドル2を回動しない状態で、掃除機本体1における上部にハンドル2、下部に吸込口15、吸込口15とハンドル2との間にパイプケース部4が位置している。パイプケース部4の後方上部にモータケース部7が位置している。パイプケース部4の後方上部でかつモータケース部7よりも後方に蓄電池ケース部8が位置している。導入管ケース部14は、パイプケース部4の右方向に位置している。
【0022】
また、掃除機本体1(パイプケース部4)の下部には吸口体着脱ボタン13を備えている。吸口体着脱ボタン13を押下することで、掃除機本体1から吸口体3の取り外しが可能となる。
【0023】
ハンドル2は、操作ボタン11aおよび11bを有し、ハンドル2の下部には上下方向に対し伸縮自在に設けられた伸縮パイプ5を有している。また、ハンドル2は、伸縮パイプ5に対し回動自在な機構(ハンドル支持軸24)を備える。伸縮パイプ5を縮め、ハンドル2を伸縮パイプ5に対し回動させることにより、吸口体3を掃除機本体1から取り外し掃除機本体1の上下方向をコンパクトにしハンディ型として使用可能となる。なお、吸口体3を装着し、ハンドル2を伸縮パイプ5に対し回動させコンパクトにした状態(
図3に示す状態)で使用しても構わない。
【0024】
また、吸口体3とは別に、応用吸口体30を付属しても良い。応用吸口体30は、吸込口15に装着して使用し、吸口体3が入らない狭い場所の清掃をすることができるように、応用吸口体30の先端は吸口体3の先端よりも小さい形状が望ましい。また、ハンディ型では届かない高い場所の清掃をするために、伸縮できる構造であることが望ましい。
【0025】
次に、本発明の実施形態例のハンドル2および伸縮パイプ5の構成について説明する。先述したように、ハンドル2には操作ボタン11aおよび11bを有し、操作ボタン11bを有しているため、
図3に示すようにハンドル2を略180゜回動させて前側(パイプケース部4)に固定し、ハンディ型として使用する際にも、操作ボタン11bが掃除機の表に出るため、容易に電源の入り切りが可能となる。
【0026】
ハンドル2の表面は、使用者が手で持ちやすいよう熱可塑性樹脂等の柔らかい素材で構成されていることが望ましい。また、使用者が清掃しているときに掃除機本体1が滑らないよう、ハンドル滑り止め形状等を設けることが望ましい。
【0027】
図5に伸縮パイプ5を伸縮パイプ部4内に縮め収納し吸口体3を取り外した状態の掃除機掃除機1の斜視図、
図6にハンドル2を伸縮パイプ5に対し回動しパイプケース部4に固定した状態の掃除機本体1を右側から見た側面図を示す。
【0028】
ハンドル2は伸縮パイプ5の一端に設けられたハンドル支持軸24に回動自在に支持される。電気掃除機100をスティック型として使用する際は、ハンドル2を立てて(回動させず)伸縮パイプ5を延長し床面の清掃を行う。ハンドル支持軸24の内部の固定構造や回転機構についての詳細は省略するが、ハンドル支持軸24を押下することで、回転機構のロックが解除され、ハンドル2がハンドル支持軸24を中心に、前側(パイプケース部4側)に回動する。
【0029】
伸縮パイプ5は、掃除機本体1に設けられたパイプケース部4内に伸縮自在に支持される。伸縮パイプ5の伸縮およびロック機構についての詳細は省略するが、伸縮ボタン10を押下することで、伸縮パイプ5は上下方向に伸縮する。また、使用者が掃除機本体1を使用している際に、伸縮パイプ5が縮むことがないようにロック機構を備えている。なお、伸縮パイプ5の伸縮の長さは多段階に調節できるようにしても良い。
【0030】
このように、伸縮パイプ5の伸縮機構やハンドル2の回動機構により、電気掃除機100をハンディ型として使用する際は、使用者の任意で伸縮パイプ5を縮め、ハンドル2を折り畳み、形態を変更することができる。また、ハンディ型とすることで、収納する際は高さの低い場所に収納することができる。
【0031】
続いて、本発明の実施形態例の掃除機本体1をハンディ型として使用する際の状態について説明する。
【0032】
掃除機本体1の前側に設けたパイプケース部4には、ハンドルクランプバネ108によって上側に付勢されたハンドル固定クランプ101を備える。ハンドル固定クランプ101は、ハンドル2の端部に設けられた突起部(図示せず)と嵌合し、ハンドル2をパイプケース部4に固定することができる。ハンドル固定クランプ101を下方向にスライドすると、ハンドル固定クランプ101が突起部から外れ、ハンドル2を掃除機本体1から離れる方向に回動させることができる。
<先端ブラシ20>
掃除機本体1の先端部(下側)には、先端部に対して回動可能な先端ブラシ20を備える。先端ブラシ20は3方向に刷毛部を有している。また掃除機本体1の先端部の後側には刷毛部を有している。
図5に示すように先端ブラシ20を収納するために回動した場合は、先端ブラシ20の刷毛部は上方向を向き、掃除機本体1の先端部の刷毛部は前方向を向いた状態となる。
図8に示すように先端ブラシ20を用いるために回動した場合は、先端ブラシ20の刷毛部と掃除機本体1の先端部の刷毛部は共に前方向を向いた状態となり、両刷毛部を合わせて吸込口15の周囲を囲むように設けられることとなる。先端ブラシ20を用いるために回動させて両刷毛部を清掃面側にすることで清掃面との隙間を減らして吸込み性能を上げ、また清掃面を傷つけることなく掃除することができる。
<充電台6>
本実施形態例における充電台6の構成について説明する。
図4に充電台6の外観斜視図を示す。
【0033】
充電台6は、ベース部25、スタンド部26から構成され、スタンド部26はベース部25に対し着脱自在となっている。なお、ベース部25とスタンド部26は着脱自在でなくても良いが、収納性・梱包性を高めるため、着脱自在であることが望ましい。
【0034】
ベース部25は、略箱形状である。ベース部25は、後方に電源コードを備え、内部には充電基板(図示なし)を有する。ベース部25の内部には、おもり(図示なし)を備える。ベース部25の後方には、上方向に突出する略円筒形状の応用吸口体固定突起32を備える。応用吸口体固定突起32に、応用吸口体30を差し込み保管することができる。ベース部25は、吸口体3を載置する部分である。そのため、ベース部25の上面の面積は、吸口体3の面積よりも大きい方が望ましい。
【0035】
スタンド部26は、略箱形状の部分と、箱形状の部分の上に位置する略半円筒形状の部分とがある。スタンド部26の上面(スタンド部26の略半円筒形状の部分の上面)に突起形状の充電台端子部28がある。
【0036】
ベース部25における電源コードと充電基板と、スタンド部26の充電台端子部28と、は配線(図示なし)により導通している。配線は、ベース部25及びスタンド部26の内部に収容されている。
【0037】
突起形状の充電台端子部28は、後述する掃除機本体1の凹み形状の本体端子部9と嵌合することができる。このとき、充電台端子部28と本体端子部9とは導通した状態での嵌合固定となる。充電台6の電源コードが商用電源のコンセントに接続されている状態で、充電台端子部28と本体端子部9とが嵌合することで、蓄電池18へ充電することができる。なお、電源コードをコンセントに接続しない状態では、充電台6は、掃除機本体1を固定し収納する際の、収納スタンドとして使用することができる。ベース部25内部のおもりにより、掃除機本体1を固定した際に倒れにくいという効果を奏する。
<モータケース部7、蓄電池ケース部8>
次に、本発明の実施形態例のモータケース部7および蓄電池ケース部8の構成について
図7を用いて説明する。
図7は
図6に示したハンディ型の形態における中央断面図である。モータケース部7の中央には、電動送風機17が配置されている。ハンドル2をパイプケース部4に固定したハンディ型の形態において、モータケース部7や蓄電池ケース部8は、ハンドル2の後方に配置されている。また、モータケース部7の下方には後述する集塵装置12が取り付けられる。集塵装置12を取り付けた掃除機本体1全体の重心は、パイプケース部4に固定したハンドル2に近くなり、ハンディ型の形態でも持ちやすい配置となっている。なお、本実施形態では蓄電池ケース部8をモータケース部7の後方に配置したがこの限りでなく、蓄電池18は電動送風機17の周りを囲むように配置しても良いし、電動送風機17の周り左右両方に配置しても良い。また、蓄電池ケース部8の下方には、蓄電池18に充電するための本体端子部9を備え、先述した充電台6の充電台端子部28と嵌合し、導通することにより、蓄電池18へ充電ができる。
【0038】
電動送風機17の周囲には、電動送風機17を固定するための固定ケース109があり、掃除機本体1を制御する本体基板110は固定ケース109の上部に固定され、これらを覆う形でモータケース部7は形成されている。なお、蓄電池18の配置によっては、固定ケース109の前方や側方、下方に本体基板110を設けても良い。
【0039】
モータケース部7の上方には、本体LED111を備える。本体LED111は赤と緑の2色を点灯することができ、掃除機本体1の運転状態や蓄電池18の充電状態の表示ができる。本体LED111の色数は1色や2色以上でも良く、点灯や点滅との組み合わせによって、蓄電池18の充電完了状態、電気掃除機100の運転エラー状態の表示や、意匠として点灯または点滅しても良い。
【0040】
また、
図6に示すように、モータケース部7の側面(本実施形態例における右側面)には、排気口106を備え、内部には排気フィルタ(図示せず)を備える。本実施形態例において、使用者が右利きを想定しているため、排気口106を掃除機本体1の右側に設けることで、排気が直接使用者に当たることを防いでいる。なお、左側に排気口106を設けて、使用者が左利きの場合に対応しても良いし、片側のみでなく左右両側に設け排気の風量を分散することで、排気が直接使用者に当たる量を抑制しても良い。排気口106は、掃除機本体1の長手方向に対し、略平行に沿う格子形状になっていることが望ましい。使用者がハンディ型として使用している際、直接使用者に電動送風機17の排気が当たらないという効果を奏する。また、ハンディ型として使用する場合は、床面などに掃除機本体1を一時的に置くこともあるが、誤って掃除機本体1の前方から水等の液体をこぼしてしまった場合でも、モータケース部7内部に液体が侵入することを防ぎ、電動送風機17や蓄電池18の故障を防止することができる。
【0041】
モータケース部7の下方には、電動送風機17と集塵装置12とを連通する吸込部113が設けられ、端面はモータケース部7と集塵装置12との気密を保持するための気密面112を有する。吸込部113の通気流路内には保護カバー115を備え、保護カバー115の上流側に保護フィルタ(図示せず)を設ける。保護フィルタは、集塵装置12を取り外した状態で誤って運転したときなどに、塵埃が電動送風機17の内部へ侵入することを防止する。また、保護フィルタは汚れたときに清掃できるよう、着脱自在で、水洗いできる素材で構成されていることが望ましい。保護フィルタは一部に切欠きを設けており、切欠きを保護カバー115に設けた突起部(図示せず)に貫通させることで保護フィルタは固定される。保護カバー115は使用者の指が電動送風機に触れないよう、指などが入らない大きさの穴で構成された格子状であることが望ましい。
【0042】
電動送風機17の上流側には、ゴムなど弾性体シール部材で構成された防振気密ゴム116を備え、防振気密ゴム116は保護カバー115外周の平坦面と密着することにより、気密を確保することができる。また、防振気密ゴム116は、固定ケース109内に電動送風機17と共に固定されるため、電動送風機17の駆動により発生する回転振動を吸収する役割も果たしている。
<集塵装置着脱機構>
次に、本発明の実施形態の集塵装置着脱機構(Dロックボタン119)の構成について説明する。
【0043】
パイプケース部4には、集塵装置12を固定するための集塵装置固定突起117を備え、モータケース部7には、集塵装置12を固定する集塵装置固定穴118を備える。集塵装置12には、Dロックボタンバネ120によって付勢されたDロックボタン119を備える。集塵装置固定突起117を集塵装置12底面の窪み部159に差し込み、集塵装置固定突起117を起点に前方(パイプケース部4側)に回動させて、Dロックボタン119を集塵装置固定穴118に引っ掛けることにより、集塵装置12が掃除機本体1に取り付けられる。
【0044】
集塵装置12を外す際は、Dロックボタン119を下方にスライドさせることで集塵装置固定穴118から外し、集塵装置12の取り付け時とは逆方向に回動させることにより、集塵装置固定突起117から外すことができる。
【0045】
続いて、本発明の実施形態の集塵装置12の構成について説明する。
<集塵装置12>
集塵装置12は、吸口体3または吸込口15から吸込んだ塵埃を含む空気を、塵埃と空気とに分離し、塵埃を集める機能をもつ。
【0046】
図9に掃除機本体1(パイプケース部4)前方から見た集塵装置12の正面図、
図10に
図11に示す集塵装置12の分解図、
図11に
図9に示す集塵装置12のA−A断面図を示す。
【0047】
集塵装置12は概ね、外筒128、内筒129、捕塵フィルタ130、捕塵フィルタ130を収納するフィルタケース131、上蓋132及び底蓋133で形成されている。内筒129とフィルタケース131は一体化した構成となっており、内筒129上部にフィルタケース131を備えている。外筒128は上下が開口した筒体であり、外筒128下部には底蓋133を備え、外筒128上部の開口部からは内筒129と一体化したフィルタケース131を挿入する。そして、フィルタケース131に捕塵フィルタ130を収め、上蓋132を外筒129上部と締結し一体化することで集塵装置12が形成される。このとき、内筒129は外筒128と略同心円状になるように装着されている。外筒128に内筒129を装着すると、外筒128と内筒129との間に塵埃の分離・収容のための空間を有する。外筒128と内筒129とで形成される空間のうち、上部は塵埃分離部134、下部は塵埃収容部135となる。塵埃分離部134は、塵埃を運んだ空気から塵埃を分離する空間であり、塵埃収容部135は、塵埃を集めて収容する空間である。
<内筒129>
内筒129について、
図12、
図13、及び
図14を用いて説明する。
図12は内筒129の正面図、
図13は内筒129の分解図、
図14は
図12におけるB−B断面図である。
【0048】
内筒129は、上側が吸気部129cを備えた上部円筒129a、下側は上部円筒129aよりも直径が大きい下部円筒129bで構成されている。上部円筒の129a側面には吸気部129cを備え、格子状の枠体(支骨)によって形成されている。本実施形態例では上下方向の枠体(支骨)としているが、格子状でも構わない。吸気部129cは、外周面にメッシュ部材136が掛け渡されており、メッシュ部材136は被覆またはインサート成型などによって枠体(支骨)に保持されている。吸気部129cにメッシュ部材136を設けることで、上部円筒129aはフィルタ機能を有し、内筒129内部への微細な塵埃の流入を抑制する。本実施形態例では、メッシュ部材136は、ポリエステルを使用しているが、金属(例えば、ステンレス)でも良く、枠体(支骨)ではなく小径の貫通孔(金型で成型可能なφ2mm程度の孔)を複数設けた吸気部129cでも構わない。貫通孔は、枠体(支骨)にメッシュ部材136を掛け渡した場合と違い、強度やメッシュ部材136の破れに対し有効であり、二次成形が不要といった利点がある。しかし、貫通孔の径は、メッシュ部材136の目開きよりも大きくなるため、内筒129の内部への微細な塵埃の流入を防ぐために成形機を考慮しつつ可能な限り微小孔とするのが好ましい。
【0049】
上部円筒129aの上側には先述したようにフィルタケース131を備えている。フィルタケース131は略円筒状であり、上部円筒129aと同心円状に設けている。フィルタケース131上部は開口し、下部は略中心部に上部円筒129aの内部空間と連通した開口部131aを備えている。本実施形態例では、上部円筒129aとフィルタケース131を一体に形成しているが、着脱可能な構造にしても構わない。また、フィルタケース131下部にはパッキング137を設けており、後述する外筒128のフィルタケース受け部128aにフィルタケース131を収めた際に外筒128と、フィルタケース131との気密を保持した状態で接する。本実施形態例では、フィルタケース131に備えたパッキング137は、リング状のゴム部材をフィルタケース131下部の窪み部に装着した構造(取り外し可能な構造)としているが、集塵装置12を洗浄する際にパッキング137を取り外す場合も考えられ、パッキング137の装着を忘れることを防止するため、フィルタケース131とパッキング137を一体で成形(二次成形)しても構わない。
【0050】
内筒129の下部円筒129bは上部円筒129aと同心円状に設けており、略円筒状で上面が閉塞している。言い換えると、底面が開口し空間138を有した形状である。そして、下部円筒129bの空間138に、内包するように下部円筒129bの形状をオフセットした傘部139を設け、傘部139内部の空間139aには、上面から下方に凸になるような筒体140を設けている。筒体140は、傘部139と同心円状に設けており、底面140aが閉塞し略半球状となっており、底面140aに向かって先細りになるような略円錐形状である。筒体140を先細りになるような略円錐形状にすることで、後述する外筒128下部の先太りの略円錐部と合わせて拡大する容器形状となるため、ごみ捨ての際にごみが落下しやすくなる。この筒体140は、集塵容積を拡大するために略円錐部の径を小さくしても構わない。
【0051】
前述したように、傘部139を下部円筒129bに内包し、上下方向に摺動する摺動機構を設けることにより、ごみ捨て時に塵埃を排出し易くなる。傘部139は、吸引時などのごみ捨て時以外は下部円筒129b内に収まっており、ごみ捨て時に下方へ摺動することで、集塵装置12内の塵埃を押し出す。
【0052】
摺動機構は、次の通りである。傘部139内の略中央に有底円筒状のバネケース141を設け、バネケース141にはバネ座141a及びバネ軸141bを備える。従って、バネケース141の外周は筒体140で覆った構造となっている。そして、下部円筒129bにバネケース141に入れ子状となるピストン部142を備えている。バネ軸141bにはストッパー143を固定できるようにネジ144で締結する構造となっており、バネケース141に上方からバネ145を挿入し、下部円筒129bと一体になった入れ子状のピストン部142を装着した後、ストッパー143をバネ軸141bにネジ144等で締結する。このような構造により、傘部139の摺動機構が構成される。ストッパー143は下部円筒129bの上面に備えたストッパー受け部129dまで摺動する。よって、前述したように摺動距離は下部円筒129bの空間138の高さ未満であり、ストッパー143の高さは摺動距離と略同等となっている。本実施形態例では、バネケース141を別部品で形成しており、傘部139は取り外し可能となっている。傘部139とバネケース141の固定は双方に備えたロック機構(図示せず)によって行い、傘部139を回転させることで着脱を行う。また、バネケース141の側面には切欠部141cを設けており、切欠部141cにはピストン部142に設けた突出部(図示せず)が嵌合し、傘部139の着脱の際の回り止めとなっている。このような傘部139着脱構造を設けることで、下部円筒129b内に塵埃が進入した場合でも、傘部139を取り外すことで塵埃の除去が可能となる。また、内筒129を洗う際にも、分解できることで水分を除去しやすく、手入れが容易になる。本実施形態例では、傘部139とバネケース141を別部品としているが、傘部139とバネケース141を一体で成形しても構わない。その際は、筒体140を別部品にすることで金型での成形が可能となる。
【0053】
このような摺動機構において、バネ145が自然長に近い状態が、傘部139が最も飛び出した状態である。傘部139の上下の摺動距離は、先述したように下部円筒129bの空間138の高さ未満としている。言い換えると、傘部139の上面139cは、下部円筒129bの底面129eを越えないようにしている。これは、ごみ捨て時の下部円筒129bの底面129eと傘部139の上面139cとの間に隙間を極力小さくすることで、底面129eと上面139cとの間への塵埃の挟まりを抑制するためである。また、傘部139は、下部円筒129b内の空間138を容易に摺動できる必要最小限のギャップを設けている。また、傘部139は塵埃収容部135内にあるため、傘部139外周と下部円筒129bとのギャップ(隙間)が小さすぎると隙間に塵埃が噛み込み、摺動しにくくなることも考えられる。本実施形態例では、塵埃の噛み込みを考慮したギャップを設け、傘部139の外周に複数のリブ139bを設けることで、ギャップを大きくしたことによる摺動時のガタつきを低減している。更に、傘部139は段差部139dを設けており、段差部139dと下部円筒129bの底面129eが合わさった状態(傘部139が下部円筒129bの空間138に収まった状態)で、下部円筒129bと傘部139との隙間がなくなる。これにより、塵埃吸引時の下部円筒129bと傘部139内との隙間への塵埃の入り込みを抑制している。また、傘部139の底部には、鍔部146を設けており、この鍔部146によって塵埃収容部135から塵埃分離部134への塵埃の戻りを抑制している。また、塵埃は鍔部146以下に堆積するため、塵埃が鍔部146を超える前を塵埃排出のタイミングとすると良い。
<上蓋132>
先述したように、内筒129は外筒128内に収まり、外筒129と内筒128とを固定することで、一体化した集塵装置12となる。外筒128と内筒129との固定は上蓋132で行う。上蓋132は
図10及び
図11に示したように、上下が開口した略筒体であり、後述する外筒128の上部に備えるフィルタケース受け部128aを覆うように、フィルタケース受け部128aの外径よりも一回り大きい。フィルタケース受け部128aに上蓋132を被せた状態から、回転させることで上蓋132とフィルタケース受け部128aを固定する構造を備えている。フィルタケース受け部128aには所定の位置のみで上蓋132を被せるように、上蓋132内面に切欠部とフィルタケース受け部128aに突起部を備えている(図示せず)。切欠部と突起部を合わせた状態で上蓋132を外筒128側へ押し付け、上蓋132を回転させると、突起部が切欠部空間に入り上蓋132と外筒128を固定することができる。
【0054】
また、上蓋132には先述したDロックボタン119を備え、掃除機本体1との固定を行う。
<捕塵フィルタ130>
捕塵フィルタ130は、
図10及び
図11に示したように、枠体と、枠体内にプリーツ状に折られたフィルタ部材147とで形成される。捕塵フィルタ130のフィルタ面は略水平方向であるのが望ましい。これは、フィルタ部材147に付着した細塵に重力作用方向の力が働くことで、塵埃を落としやすくするためである。また、フィルタ部材147をプリーツ状に折ることで、フィルタ面積が大きくなるため、フィルタ部材147による圧力損失を低減することができる。フィルタ部147材は、例えば高密度のHEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)である。HEPAフィルタとは、定格風量で粒径が0.3μmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率をもち、かつ初期圧力損失が245Pa以下の性能を持つエアフィルタである。捕塵フィルタ130は使用者が水洗いできることが望ましい。また、捕塵フィルタ130の前部にスポンジフィルタ(図示せず)を設けても良い。スポンジフィルタは、捕塵フィルタ130の枠体を前側に延長し、枠体にはめ込めるようすることが望ましい。また、スポンジフィルタは使用者が水洗いできることが望ましい。これによって、捕塵フィルタ130が塵埃によって直接汚れにくくなり、お手入れ性が向上する。
【0055】
捕塵フィルタ130は、内筒129上部に備えたフィルタケース131に収まる。従って、捕塵フィルタ130は前述した上蓋132とフィルタケース131との間に位置する。内筒129のメッシュ部材136を通過した空気すべてが捕塵フィルタ130を通過するためには、上蓋132とフィルタケース131との間に捕塵フィルタ130を圧接する必要がある。よって、捕塵フィルタ130には、上蓋132とフィルタケース131との気密を保持するためのパッキング148を外周に備えている。パッキング148は、捕塵フィルタ130の外周に設けた鍔状の鍔部130aの上下面にゴム部材等で成形されている。フィルタケース131に捕塵フィルタ130を装着すると、パッキング148の下面側とフィルタケース131上部のフランジ部131aとが接する。上蓋132の上部には気密面132aを設けており、前述したように上蓋132を捕塵フィルタ130上方から被せると、パッキング148の上面側と気密面132bが接し、上蓋132を固定する動作により、上蓋132とフィルタケース131との間に捕塵フィルタ130が圧接される。このとき、先述したようにフィルタケース131下部に設けたパッキング137と外筒128との間も気密が保持できるように圧接される。
【0056】
さらに捕塵フィルタ130の上面にも気密保持のためのパッキング130bを備えている。このパッキング130bは上蓋132の天面よりも上方に出るように設けている。集塵装置12を掃除機本体1に装着した際に、このパッキング130bにより掃除機本体1と集塵装置12との気密を保持する。
<外筒128>
外筒128について、
図15乃至
図18を用いて説明する。
図15は外筒128の底蓋133を開いた状態の正面図、
図16は外筒128の底蓋133を開いた状態の右側面図、
図17は
図16におけるC−C断面図、
図21は
図19におけるD−D断面図である。
【0057】
外筒128は、上下が開口した略筒体で、上部にフィルタケース131を内包するようにフィルタケース131の外径よりも一回り大きいフィルタケース受け部128aを設けている。フィルタケース受け部128aには、外側と内側に突出したフランジ部128bを備えている。フランジ部128bの外側は、先述した上蓋132の底面が接し、フランジ部128bの外径は上蓋132の外径と略同等となっている。また、フィルタ受け部128aには、詳細は省略するが、切欠部を一箇所設けており、フィルタケース132の外周に設けた突起部を避ける大きさに切り欠いている。よって、この切欠部とフィルタケース132の突起部の位置を合わせることで外筒128に挿入する内筒129の位置決めを行なう。フィルタ受け部128aの高さは、先述した内筒129の摺動距離よりも高くしている。これは、後述する底蓋133を閉じた状態で内筒129を装着する際に(傘部139が突出した状態で)、フィルタケース131がフィルタケース受け部128a内に収まる高さであり、フィルタケース131がこの高さを超えると、内筒129が安定せず装着が難しくなる。フランジ部128bの内径は、フィルタケース131下部に備えるパッキング137の外径よりも小さく、フィルタケース131を固定した際、フランジ部128bの上部にパッキング137が圧接し、気密を保持する。
【0058】
フィルタケース受け部128aの対面側(外筒128下部)の開口には、底蓋133を開閉可能に設ける。底蓋133形状についての詳細は後述する。
【0059】
外筒128の側面には、流入口149および蓋ロック機構150を備えている。流入口149は、
図18のD−D断面図に示すように、中心線(イ)と並行になる面(ロ)に設けており、流入口外壁面149aは、外筒128の外径よりも外側にあり、外筒128と略接線で繋がるように形成されている。流入口149の開口は略四角形状である。従って、流入口外壁面149aは、中心線(ハ)と並行になっていない。言い換えると、流入口149は外筒128の外径より外に出ている。これは、外筒128と同心軸上に備えた内筒129と流入口149が、流入口149の面から見てオーバーラップしないようにするためである。流入口149の面から内筒129が臨める場合、流入した塵埃を含む空気が内筒129に衝突し、塵埃の分離性能が低下する。また、内筒129の側面はメッシュ部材136を掛け渡したフィルタ構造となっているため、メッシュ部材136に塵埃が貼り付くなどの不具合が発生し、吸引力が低下する恐れもある。また、本実施形態例のような流入口149配置は、圧力損失や騒音の低減にも有効である。本実施形態例と同じ開口面積の流入口149を外筒128の外径内に収めると、流入口149から内筒129が臨めるため、前述した不具合が発生する。従って、流入口149の幅方向を小さくする必要があり、流速が増加し圧力損失や騒音の増加となる。圧力損失や騒音が増加しないためには、流入口149のアスペクト比を変えて、上下方向に長い流入口149にして開口面積を確保することも考えられるが、流入口149の開口を上下方向に長くすると外筒128の上下方向が長くなるため、集塵装置12が大きくなる。本実施形態例は、スティック型・ハンディ型両用の掃除機であり、コンパクトな掃除機本体1が望まれ、集塵装置12においてもコンパクト化が必要である。従って、本実施形態例の集塵装置12により、掃除機本体1をコンパクト化した電気掃除機100を提供することができる。
【0060】
また、先述したように、流入口149は
図18のD−D断面図に示す中心線(イ)と並行になる面(ロ面)に開口を設けている。その上、流入口149の開口を有する面(ロ面)は、外筒128の外径よりも内側(中心線(イ)側)に位置している。外筒128には後述する導入管160が流体的に連結するため、流入口149の面(ロ面)を外筒128の最大外径よりも小さくなる面(ロ面)にすることで、導入管160を含めた掃除機本体1の前後高さを小さくすることができる。言い換えると、導入管160を外筒128の中心軸(ハ)の同一線上に設けずオフセットさせることで、掃除機本体1をコンパクト化した電気掃除機100を提供することができる。
【0061】
また、本実施形態例では、流入口149は右側に設けているが、左側に設けても良く、流入した空気の旋回方向が反対方向になるが塵埃の分離性能などへの影響を考慮する必要はない。
【0062】
本実施形態例の外筒128は、
図17のC−C断面に示すように、上方は円筒状の形状である。また、図中の破線190で囲んでいるように、略中央部から集塵装置12の中心軸に対して略垂直方向外側に略水平に塵埃舞い戻り防止面151が設けられ、塵埃舞い戻り防止面151から下方が略円錐状に拡大していく形状である。塵埃舞い戻り防止面151は、外筒128上部円筒状の内周面から約2.5mm外径側へ拡大されている。外筒128に内筒129を装着した状態において、内筒129の傘部139の下面は外筒128上方の円筒内にあり、内筒129の傘部139の下面(鍔部146以下)に塵埃が堆積する。よって、塵埃舞い戻り防止面151によって、下方の塵埃収容部135に堆積した塵埃や、塵埃収容部135から戻る空気に含まれる塵埃が外筒128内面に沿って舞い戻ることを防止する。これにより、内筒128側面のメッシュ部材136への塵埃の貼り付きや、メッシュ部材136からの微細な塵埃の吹き抜けを抑制することができるため、吸引力の低下を抑えた集塵装置12を有する電気掃除機100を提供することができる。
【0063】
また、塵埃舞い戻り防止面151を設け、塵埃舞い戻り防止面151から下方を略円錐状とすることで外筒128の容積を拡大し、より多くの塵埃を堆積できる。本実施形態例では集塵装置12の中心軸を鉛直方向にした状態で約8度傾斜している。
【0064】
また、
図17の破線190で囲んだ部分は、
図19に示す断面図ように、塵埃舞い戻り防止面151の下方略垂直方向に円環状リブ152を設けても良い。この円環状リブ152は、上方の円筒部を延伸して略円錐状の内側に突出しており、より塵埃が外筒128内壁に沿って舞い戻ることを防止することが可能である。
【0065】
さらに、
図17の破線190で囲んだ部分は、
図20に示す断面図ように、上方は円筒状の形状であり、略中央部から集塵装置12の中心軸に対する垂直方向よりも上方に傾斜した塵埃舞い戻り防止面151が設けられ、塵埃舞い戻り防止面151から下方が略円錐状に拡大していく形状でも良い。このような傾斜した塵埃舞い戻り防止面151を設けることで、内筒129側面のメッシュ部材136への塵埃の貼り付きや、メッシュ部材136からの微細な塵埃の吹き抜けを抑制することができるため、吸引力の低下を抑えた集塵装置12を有する電気掃除機100を提供することができる。
【0066】
また、本実施形態例の電気掃除機100は、スティック型・ハンディ型両用の構造であり、ハンディ型の状態では、掃除機本体1の体勢が様々で、集塵装置12の上部(捕塵フィルタ130側)が下向きになる場合がある。その際、前述したような塵埃舞い戻り防止面151を設けることで塵埃収容部135から塵埃分離部134への塵埃の戻りの抑制に有効である。
【0067】
本実施形態例では、スティック型・ハンディ型両用の電気掃除機100の集塵装置12について述べたが、床移動タイプのサイクロン掃除機においても、前述したような塵埃舞い戻り防止面151を設けることで、塵埃収容部135から塵埃分離部134への塵埃の戻りを抑制することができるため、微細塵埃の吹抜けや塵埃の圧縮に効果がある。
<蓋ロック機構150>
外筒128側面に備えた蓋ロック機構150は、蓋ロックカバー153、ボタン154、バネ(図示せず)で構成されている。詳細は省略するが、ボタン154はバネで付勢されており、ボタン154を押すことで、ボタン154と一体になった爪部155が回動し、底蓋133に設けた掛かり部156からボタン154の爪部155が外れ、底蓋133が開く。爪部155および掛かり部156には、互いに斜面を形成しており(図示せず)、底蓋133を閉める動作で斜面同士が接触し、さらに底蓋133を押し上げることで、ボタン154が回転力を得てバネが縮み、爪部155は掛かり部156を乗り越え再び底蓋133が閉じられる。
<底蓋133>
底蓋133は深さをもった皿状で、上面の外周にはパッキング157を備えており、底蓋133を閉じた際、外筒128底部との気密を保持できる。底蓋133は皿状にすることで強度を増している。また、外周の一部には先述した外筒128と底蓋133を係止する掛かり部156を、対面には回転軸158aを備えたヒンジ部158を備えている。
【0068】
底蓋133の底面(裏側面)には、掃除機本体1のパイプケース部4側に窪み部159を備えており、掃除機本体1の集塵装置固定突起117と底蓋133底面の窪み部159が嵌合する形状となっている。先述したように、掃除機本体1に集塵装置12を装着する際は、底蓋133底面の窪み部159を掃除機本体1の集塵装置固定突起117に嵌合させて、突起部を起点に集塵装置12を掃除機本体1側へ押し付ける。そして、先述した上蓋132上部のDロックボタン119により、集塵装置12は掃除機本体1と一体になる。従って、集塵装置12を掃除機本体1に装着すると、蓋ロック機構150は掃除機本体1側に隠れる。これは、蓋ロック機構150を反対側(外側)に設けた場合、掃除の際に蓋ロック機構150を解除する恐れがあり誤動作を防止するためである。たとえば、スティック型の状態でソファーやベッドの下を掃除するときなど、掃除機本体1を床面に対して水平に近づける場合があるが、このとき、蓋ロック機構150を後方に設けた場合は、床面と接触して蓋ロック機構150が解除される可能性がある。蓋ロック機構150とヒンジ部158の位置はこの限りでなく、掃除機本体1に対し左右に設けても構わない。左右に設けることで、先述した誤動作を防止することができるとともに、ヒンジ部158の突出が無くなるため、掃除機本体1の前後方向の高さを小さくでき、コンパクト化が可能となる。
【0069】
また、皿状の底蓋133は中央が突出し、中央には突出した部分から凹みとなる窪み部170を備えている。また、窪み部170は、先述した筒体140の底面140aの球形状の球半径よりも大きくしており、窪み部170の深さは、底蓋133が開状態(外筒128の底面に対して垂直状態)で窪み部170に水平面ができないようにしている。また、窪み部170は極力浅くしており、ごみ排出の際に窪み部170に塵埃が残らないようにしている。
【0070】
本実施形態例では、窪み部170を別体で形成しており、底蓋133開閉での筒体140との摩擦による部材の磨耗を低減するようにPOM(ポリオキシメチレン)などの材料を用いているが、一体で成形しても構わない。
【0071】
以上のような外筒128および内筒129の構造において、外筒128に内筒129を装着することで、内筒129に設けた摺動機構は、外筒128下部に設けた底蓋133の開閉によって行われる。底蓋133を開けた状態は傘部139が下方に突出しており、底蓋133を閉じるとバネ145が縮み、傘部139が下部円筒129b内に収まる。従って、ごみ捨て時に底蓋133の蓋ロック機構150を解除すると、傘部139が下向きに飛び出し塵埃を押し出す。
<ごみ捨て時の動作>
以上のような外筒128、内筒129、ごみ排出の摺動機構において、ごみ捨て時の動作を
図21、及び
図22を用いて説明する。
図21は、底蓋133を閉じた状態の
図11に示すE−E断面図、
図22は
図21でごみを排出した後(底蓋133を開いた状態)を示す。
【0072】
底蓋133は、集塵装置12側面に設けた蓋ロック機構150のボタン154を押すことで解除される。底蓋133は蓋ロック機構150の反対側にヒンジ部158を備え、ヒンジ部158の回転軸158aを軸に回転し、底蓋133が略垂直(底蓋133の上面が垂直)状態になる。
【0073】
底蓋133が開くと同時に、バネ145によって傘部139及び筒体140が下向きに飛び出す。これにより、傘部139は、底蓋133が閉じた状態よりも底蓋133が開いた状態の方が、外筒128の下面の開口寄りの位置となる。この傘部139の摺動により、捕集した塵埃を下方に押し出す。
【0074】
ごみ捨て後、底蓋133を閉じる際、下方に飛び出した筒体140の底面140aと、底蓋133の中央に設けた窪み部170が接触し、傘部139及び筒体140は上方へ押される。筒体140の底面140aと窪み部170は球状に接するため、底蓋133を閉じる動作で底蓋133の角度が変わっても、筒体140の底面140aと窪み部170との接触面積を一定に保つことができ、また、曲面同士を接触させることで常に垂直方向に力が加わるため、傘部139は下部円筒129b内にスムーズに収まる。底蓋133に窪み部170を設けず平面で接触させる場合は力が加わる方向が平面に対し垂直になるため傘部139が垂直に戻り難く、底蓋133が閉め難くなる。そして、底蓋133を略水平状態まで閉じると、掛かり部156が爪部155と接触し、底蓋133に設けたパッキング157で気密を保持した状態でロックされる。
【0075】
また、このように集塵装置12の下方から塵埃を排出する機構を備えることは、本実施形態例のような集塵装置12上方に本体端子部9を備える電気掃除機100(充電式電気掃除機)に有効であり、集塵装置12上方(上蓋132側)に塵埃が付着することを抑制できるため、本体端子部9への塵埃の付着を防止でき安全である。
【0076】
次に、集塵装置12の上流側である、集塵装置12に塵埃を含む空気を導く導入管160の形状および構造、空気の流れについて説明する。
<導入管160>
本実施形態例のスティック型・ハンディ型両用の電気掃除機100は、掃除機本体1の先端部の吸込口15から、集塵装置12(外筒128)の流入口149へ至る流路である導入管160を備えている。
図23は、
図5に示す掃除機本体1に集塵装置12を装着した状態から各部品を省き、導入管160と集塵装置12のみで示したものである。
図24は、
図23の正面図、
図25は
図24に示すF−F断面図である。
【0077】
導入管160は、上下が開口し、下方に前述した吸込口15、上方に集塵装置12(外筒128)の流入口149へと流体的に繋がる導入管出口161を備えている。下方の吸込口15には吸口体3等が接続される。
【0078】
また、導入管160は集塵装置12の側面に設けている。
図24に示す集塵装置12の中心軸(ニ)は、掃除機本体1の中心軸(図示せず)と上方から見て同一線上(略平行)である。また、先述したように、集塵装置12は掃除機本体1の後方に取り付けられる。導入管160の直線部(直線配管160a)の中心軸(ホ)は、集塵装置12の中心軸(ニ)と略平行である。導入管160の直線配管160aは、外筒128の流入口149から、外筒128の底部までの長さがあり、底蓋133を避けるように、底蓋133の中央に向かう方向に屈曲した後、更に下方へ向かって延伸した直線配管160bを設けている。直線配管160bの中心軸(へ)は、集塵装置12の中心軸(ニ)と上方から見て同一線上に位置している。言い換えると、導入管160は、直線配管160aの中心軸と吸込口102のある直線配管160bの中心軸(ヘ軸)は略平行で、両直線配管を斜め下方に繋いだ配管形状である。両直線配管を斜め下方に繋ぐ斜め配管160cの傾斜角度は吸込口15の位置によって異なるが、吸込口15の位置(範囲)は集塵装置12底面内(底蓋133外径内)に位置するような形状としている。また、導入管160は掃除機本体1の導入管ケース部14内に収まっており、導入管ケース部14は、前方から見てパイプケース部4の左側に膨らんだ形状となる(
図1に示す右側)。
【0079】
集塵装置12の流入口149と接続する導入管出口161には、パッキング162を備えており、集塵装置12を掃除機本体1に装着すると、パッキング162と流入口149は圧接され気密を保持する。パッキング162はゴム製の部材や、通気性のないスポンジ状の部材やエラストマー材などを用い、導入管出口161と一体になるような成形(二次成形)や、導入管出口161と導入管ケース部14との間に挟みこむように固定するなどし、導入管出口161とパッキング162の気密は保持される構造となっている。また、パッキング162は、導入管出口161ではなく、集塵装置12の流入口149に設けても構わないが、集塵装置12を水洗い可能とした際、パッキング162が別部品の場合はパッキング162の付け忘れなどが発生する恐れがあるため、前述したように導入管出口161に設ける方が好ましい。
【0080】
本実施形態例のように、導入管160を屈曲させたことによる塵埃を含む空気の流れを
図24、
図25および
図26に示している。図中に示す170は塵埃、空気の流れは矢印Aで示す。吸込口15から吸い込んだ空気は、導入管160の形状に沿って矢印Aのように流れる。このとき、空気よりも密度が大きく重量のある塵埃170は、斜め配管160cにより、慣性力180で直線配管160aの内壁面右側に押しやられ、内壁面右側に沿って集塵装置12に搬送される。直線配管160aの内壁面右側は、外筒128に設けた流入口149の内壁面右側と繋がるため、外筒128の内壁面に略接線方向に繋がる。従って、直線配管160aの内壁面右側に沿って搬送された塵埃170は、塵埃分離部134の外径側である内筒129の外周から最も離れた外筒128内壁面付近を旋回するため遠心分離性能が向上する。また、
図25または
図26に示した吸込口15側(下方)から見た図より、直線配管160aは、吸込口15を有する直線配管160bよりも前方に位置するため、先述した流れと同様に、塵埃170は慣性力180で直線配管160aの内壁面前側へ搬送されるため、塵埃170は外筒128に備える流入口149の上方から搬送される。これにより、流入口149の高さ方向を有効に使うことができるため、塵埃分離部134の高さを有効に使える。塵埃分離部134は、高いほど(上下方向に長いほど)塵埃の遠心分離性能が高まる。よって、本実施形態例のような屈曲した導入管160にすることで、塵埃分離部134の高さを抑えつつ(コンパクト化しつつ)遠心分離性能を確保した集塵装置12を有する電気掃除機100を提供することができる。
【0081】
また、導入管160に屈曲部を設けることは、掃除機本体1のコンパクト化にも繋がる。例えば、スティック型の形態においてソファーやベッドの下を掃除する際、掃除機本体1を床面に近づけて、上下が狭い隙間に吸口体3を入れるような動作となる。このとき、例えば、特開2002−85297号公報のように導入管160が真っ直ぐに延びた形状では、集塵装置12が床に当たってしまうため、導入管160を長くしなければ掃除機本体1を床面に近づけることができない。従って、導入管160を本実施形態例のように屈曲させることで掃除機本体1の前後長さを短くすることができ、コンパクトな電気掃除機100を提供することができる。掃除機本体1の前後長さを短くする方法として、集塵装置12の径を小さくすることで導入管160を長くし過ぎずに床面に近づけることが可能だが、集塵装置12の径を小さくすると、塵埃の分離性能、集塵量の低下、圧力損失までもが悪化する恐れがある。本実施形態例のように導入管160を屈曲させることで、塵埃の分離性能を高め、集塵量が多く、また圧力損失が低い集塵装置12にすることができ、且つコンパクトな電気掃除機100を提供することができる。
【0082】
また、導入管160が真っ直ぐに延びた形状でも、本実施形態例の電気掃除機100と違い、集塵装置12を掃除機本体1の前方(パイプケース部4の後方前方)に備えることで、先述した掃除機本体1を床面に近づけて、狭い隙間に吸口3体を入れるような動作が可能となる(特開2004−24887号公報参照)。しかし、集塵装置12を掃除機本体1の前方に備えると、集塵装置12の流入口149が後方を向くため、掃除機本体1を床面に近づけての掃除や、ハンディ型の状態で掃除機本体1の体勢が集塵装置12の上部(捕塵フィルタ130側)が下向きになる掃除で、運転を停止した際、導入管160内に塵埃が残留する恐れがある。これを解決するために、流入口149に逆止弁を設けることも考えられるが、逆止弁による圧力損失の増加や逆止弁に塵埃が挟まるなどの恐れもある。従って、本実施形態例のように、集塵装置12を掃除機本体1の後方に設け、導入管160を屈曲させることで、様々な掃除体勢においても、流入口149側に塵埃が残留し難くいため、逆止弁などを設けることによる圧力損失の増加や、逆止弁への塵埃の挟まりなどを抑制し、且つコンパクトな電気掃除機100を提供することができる。
【0083】
また、先述したように、掃除機本体1を前方から見ると導入管ケース部14は、パイプケース部4の左側に膨らんだ形状(
図1等ではパイプケース部の右側)となっている。
図27に、
図6に示す掃除機本体1のG−G断面図を示す。図に示すように、集塵装置12と掃除機本体1の中心軸は略平行(同一線上)にあるが、導入管160の直線配管160aの軸は、両軸の同一線上にはない。このように、導入管160を掃除機本体1(集塵装置12)から左右方向にずらし左右非対称(アシンメトリー)の配置にすることで、掃除機本体1が使用者の体に当たり難くできる。
図29,
図30に電気掃除機100を前方から見た図を示す。
図29は伸縮パイプ5を伸ばし、ハンドル2を回動しない状態の電気掃除機100である。
図30は、伸縮パイプ5を縮め、ハンドル2を回動した状態の電気掃除機100である。また、ケース本体50における導入管ケース部14を導入管160形状に沿った形状にすることで、ケース本体50の軽量化による掃除機本体1の軽量化を実現する。これにより掃除機本体1の外観も左右対称としたものに比べて小さくすることができる。言い換えると、掃除機本体1を前方から見るとケース本体50が導入管ケース部14の分だけ左側に膨らんでおり、ケース本体50は左右非対称(アシンメトリー)の形状である。つまり、電気掃除機100全体としても左右非対称(アシンメトリー)の形状である。
【0084】
更に、本実施形態例のように前方向から見て左側に導入管160を配置した場合は、掃除機本体1の左側の出っ張りが少ないため右利きの使用者が使いやすく、右側に導入管160を配置した場合は、左利きの使用者が使いやすくなる。右側・左側の切り替えは、外筒128と導入管160と導入管ケース部14とを交換するだけで良いため、少ない部品交換でユニバーサルデザインを実現する電気掃除機100を提供することができる。
<ごみ吸引時の空気の流れ>
以上のような、外筒128、内筒129、捕塵フィルタ130、上蓋132、底蓋133を組み合わせた集塵装置12を掃除機本体1に装着した状態での空気の流れを、
図28を用いて説明する。
図28はハンディ型の状態での空気の流れを示しているが、スティック型の状態でも同様であるためスティック型での空気の流れは省略する。
【0085】
ハンドル2に設けられた操作ボタン11bにより使用者が運転を開始すると、電動送風機17が駆動し空気を吸い込む。吸い込んだ空気は、導入管160の吸込口15から導入管出口161を経て、流入口149より集塵装置12内に流入する(流れ200)。このとき、導入管160の屈曲部により、塵埃は導入管160の内壁面左側に押しやられながら集塵装置12内に、外筒128の略接線方向から搬送される。流入した塵埃を含む空気は、旋回流となり、塵埃に遠心力が働き、塵埃と空気は分離される(流れ201)。つまり、塵埃分離部134にて、塵埃と空気とは分離される。分離された空気の多くは上部円筒129aに設けた吸気口129cより内筒129の内部に流入する(流れ202)。そして、空気は捕塵フィルタ130を通過し、上蓋132の上部開口を経て、電動送風機17へ至る(流れ203)。このとき、吸気口129cのメッシュ部材136を通過した微細な塵埃は、捕塵フィルタ130で捕集される。
【0086】
一方、遠心力で分離された塵埃は、重力と一部の空気流により外筒128と下部円筒129bとの間を通り、塵埃収容部135内に搬送される。このとき、塵埃には遠心力が働いているため、塵埃収容部135内で旋回する(流れ204)。そして、掃除機の使用を続けると、徐々に塵埃が堆積し塵埃収容部135が満杯になった状態でごみ捨てのタイミングとなる。塵埃収容部135内に流入した空気は、筒体140、傘部139の空間139a形状に沿って、下部円筒129bの外周付近から上部円筒129a側へ流れる(流れ205)。この空気の流れによる、塵埃の上部円筒129a側への戻りを抑制するためには傘部139の深さが必要である。本実施形態例では、下部円筒129bに塵埃を押し出す摺動機構を設けているため、傘部139には十分な深さを設けている。また、外筒128のテーパ部上端に設けた塵埃舞い戻り防止面151により、さらに塵埃の上部円筒129a側への戻りを抑制している。
【0087】
塵埃収容部135に塵埃が満杯になったらごみ捨てを行うが、ごみ排出機構は前述した通りであり、吸引した塵埃の量が少ない場合でも、傘部139の摺動機構、及び外筒128の略円錐形状により、塵埃の排出は可能である。
【0088】
以上、本実施形態例に示したようなスティック型としてもハンディ型としても利用可能で、吸引力を維持できるサイクロン式の集塵装置を備えた電気掃除機によれば、小型軽量と吸引力の強さを両立した使い勝手の良い電気掃除機を提供することができる。