(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態(貸出量を考慮してトナーの残量情報の補正を行う基本構成例)
2.変形例
変形例1(複数の装着位置間での消耗品の位置交換時には補正を行わない例)
変形例2(複数の画像形成装置間での消耗品の位置交換時には補正を行わない例)
3.その他の変形例
【0012】
<1.実施の形態>
[概略構成]
図1は、本発明の一実施の形態に係る画像形成装置(画像形成装置5)の外観構成例を模式的に斜視図で表したものである。この画像形成装置5は、例えば
図1中の矢印で示したように、1または複数の消耗品(この例では1つの消耗品4)が着脱可能に構成されており、印刷機能を有する画像形成装置(プリンタ)として機能するものである。
【0013】
画像形成装置5は、装置本体としての情報処理装置1と、この情報処理装置1における筺体10内の所定位置に取り付け可能な消耗品4とを備えている。なお、本発明の一実施の形態に係る情報処理プログラム(画像形成装置5に適用される情報処理プログラム)は、本発明の一実施の形態に係る情報処理装置(情報処理装置1)において具現化されるため、以下、併せて説明する。
【0014】
図2は、消耗品4の断面構成例を模式的に表したものである。この消耗品4は、トナーカートリッジ(TC)2と、イメージドラムユニット(ID)3と、の2つの部材(消耗品部材)により構成されている。これらのトナーカートリッジ2とイメージドラムユニット3とは、互いに着脱可能(分離可能)な構成となっており、独立して個別に交換することが可能となっている。すなわち、この消耗品4は、いわゆる「分離型消耗品」となっている。したがって、このような消耗品4を使用することで、トナーカートリッジ2とイメージドラムユニット3とが一体化された構造のもの(いわゆる「一体型消耗品」)と比べ、画像形成装置5の運用コストが低く抑えられるようになっている。
【0015】
ここで、トナーカートリッジ2は本発明における「現像剤容器」の一具体例に対応し、イメージドラムユニット3は本発明における「現像剤像形成ユニット」の一具体例に対応する。
【0016】
トナーカートリッジ2は、その内部に画像形成用のトナー20が格納(収容)された容器である。このトナー20は、本発明における「現像剤」の一具体例に対応している。なお、このトナーカートリッジ2における詳細なブロック構成例については、後述する(
図3)。
【0017】
イメージドラムユニット3は、トナーカートリッジ2から供給されたトナー20を用いて媒体(印刷用紙等)にトナー像(現像剤像)を形成するユニット(画像形成ユニット)である。このイメージドラムユニット3は、そのようなトナー像を形成するための機構として、例えば
図2に示したように、感光ドラム30a(像担持体)、帯電ローラ30b(帯電部材)、現像ローラ30c(現像剤担持体)、供給ローラ30d(現像剤供給部材)およびクリーニング部材30eを有している。
【0018】
感光ドラム30aは、静電潜像を表面(表層部分)に担持する部材であり、感光体(例えば有機系感光体)を用いて構成されている。帯電ローラ30bは、感光ドラム30aの表面を帯電させる部材であり、感光ドラム30aの表面(周面)に接するように配置されている。現像ローラ30cは、静電潜像を現像するトナー20を表面に担持する部材であり、感光ドラム30aの表面に接するように配置されている。供給ローラ30dは、トナー20を現像ローラ30cに対して供給するための部材であり、現像ローラ30cの表面に接するように配置されている。クリーニング部材30eは、トナー像が媒体上に転写された後に感光ドラム30aの表面に残留するトナー20(残留トナー)を、この表面から掻き取って取り除く(クリーニングする)ための部材である。
【0019】
[ブロック構成]
図3は、画像形成装置5における各部材(情報処理装置1および消耗品4)のブロック構成例を模式的に表したものである。なお、消耗品4におけるトナーカートリッジ2およびイメージドラムユニット3はそれぞれ、詳細は後述するが、固有の識別情報(後述する消耗品識別情報621,631)を保持(記憶)するようになっている。
【0020】
(情報処理装置1)
情報処理装置1は、CPU(Central Processing Unit)11、送受信処理部12、ROM(Read Only Memory)13、RAM(Random Access Memory)14、印刷機構部15、印刷制御部16および操作/表示部17を有している。
【0021】
CPU11は、情報処理装置1全体における各種の演算処理や制御処理等を行うための処理部である。
【0022】
送受信処理部12は、消耗品4におけるトナーカートリッジ2およびイメージドラムユニット3との間で、個別に通信(後述する各種情報の送受信処理)を行う部分である。この通信としては、
図3中に示したように、例えば、金属面による接触を利用した通信、あるいは、無線による非接触通信が挙げられる。なお、この送受信処理部12は、本発明における「送受信処理部」の一具体例に対応している。
【0023】
ROM13は、消耗品識別情報読出部131、消耗品識別情報比較部132および消耗品識別情報管理部133を有している。
【0024】
消耗品識別情報読出部131は、送受信処理部12を介して、トナーカートリッジ2またはイメージドラムユニット3から各々の識別情報(後述する消耗品識別情報621または消耗品識別情報631)を読み出す(取得する)部分である。
【0025】
消耗品識別情報比較部132は、消耗品識別情報読出部131において読み出したイメージドラムユニット3の消耗品識別情報(後述する消耗品識別情報631)を利用して、このイメージドラムユニット3の交換の有無等を検出する部分である。この消耗品識別情報比較部132は、本発明における「交換検出部」の一具体例に対応する。なお、消耗品識別情報比較部132の詳細動作例(上記した交換の検出手法の詳細等)については、後述する。
【0026】
消耗品識別情報管理部133は、トナーカートリッジ2およびイメージドラムユニット3に保持されている消耗品利用実績の情報の参照および更新処理を行う部分である。また、特に本実施の形態では、消耗品識別情報管理部133は、送受信処理部12によってトナーカートリッジ2から取得された、トナー20の残量情報(後述する残量情報72)の補正を行う機能を有している。このような消耗品識別情報管理部133は、本発明における「補正部」の一具体例に対応している。なお、消耗品識別情報管理部133の詳細動作例(上記した補正手法の詳細等)については、後述する。
【0027】
RAM14は、データの読み書きが可能な各種の揮発性メモリからなり、消耗品識別情報格納部141を有している。この消耗品識別情報格納部141は、送受信処理部12によって取得されたトナーカートリッジ2およびイメージドラムユニット3の識別情報(現在装着されている消耗品4の識別情報)をそれぞれ、随時格納する部分である。なお、消耗品識別情報格納部141は、本発明における「識別情報格納部」の一具体例に対応する。
【0028】
印刷機構部15は、消耗品4を利用して媒体に印刷(画像形成)を行う際に用いられる機構部である。このような印刷機構部15は、例えば、給紙トレイ、紙送り機構、印刷ヘッド等が挙げられる。
【0029】
印刷制御部16は、媒体に対する印刷動作(画像形成動作)を制御する部分である。具体的には、印刷制御部16は、上記した印刷機構部15や消耗品4等の動作を制御するようになっている。
【0030】
操作/表示部17は、画像形成装置5のユーザ(利用者)による各種の操作(画像形成装置5の設定を行うための操作等)を受け付けたり、画像形成装置5の動作状態や設定状態等の情報を外部へ出力(表示)したりする動作を行う部分である。特に本実施の形態では、操作/表示部17は、上記したトナー20の残量情報(後述する残量情報72)を外部へ表示する機能(例えば、トナー20の残量を百分率(%)表示する機能等)を有している。このような操作/表示部17は、例えば
図1中に示したように、情報処理装置1の筺体10上に取り付けられており、各種方式によるタッチパネル等を用いて構成されている。このようなタッチパネルとしては、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等を用いたタッチパネルが挙げられる。なお、この操作/表示部17は、本発明における「情報出力部」の一具体例に対応している。
【0031】
(消耗品4)
消耗品4におけるトナーカートリッジ2は、消耗品タグ21、現像剤制御部22および現像剤格納部23を有している。このうちの消耗品タグ21は、データの読み書きが可能な揮発性メモリであるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)211と、送受信処理部212と、識別情報制御部213と、利用実績制御部214とを有している。また、EEPROM211は、消耗品識別情報格納部2112および消耗品利用実績格納部2113を有している。
【0032】
消耗品4におけるイメージドラムユニット3は、上記したトナーカートリッジ2と同様に、消耗品タグ31、現像剤制御部32および現像剤格納部33を有している。このうちの消耗品タグ31は、上記した消耗品タグ21と同様に、消耗品識別情報格納部3112および消耗品利用実績格納部3113を含むEEPROM311と、送受信処理部312と、識別情報制御部313と、利用実績制御部314とを有している。
【0033】
現像剤格納部23は、前述した画像形成用のトナー20を格納する部分である。現像剤格納部33は、トナーカートリッジ2から供給されたトナー20等を格納する部分である。
【0034】
現像剤制御部22,32はそれぞれ、現像剤格納部23,33に格納されているトナー20等を制御する部分である。
【0035】
消耗品識別情報格納部2112,3112はそれぞれ、トナーカートリッジ2およびイメージドラムユニット3に固有の識別情報(後述する消耗品識別情報621,631)を格納する部分である。
【0036】
消耗品利用実績格納部2113は、現像剤格納部23内のトナー20を利用した実績の情報(後述するトナー20の残量情報72等)を管理(格納)する部分である。消耗品利用実績格納部3113は、現像剤制御部32の動作実績の情報を管理(格納)する部分である。
【0037】
送受信処理部212,312はそれぞれ、情報処理装置(前述した送受信処理部12)との間で、個別に通信(各種情報の送受信処理)を行う部分である。このような通信は、前述したような接触あるいは非接触によるものとなっている。
【0038】
識別情報制御部213,313はそれぞれ、消耗品識別情報格納部2112,3112に格納されている識別情報(後述する消耗品識別情報621,631)を、情報処理装置1との間でやり取りをする(送受信する)部分である。
【0039】
利用実績制御部214,314はそれぞれ、消耗品利用実績格納部2113,3113に格納されている情報(上記した利用実績や動作実績の情報)を参照したり、それらの情報の更新処理を行ったりする部分である。
【0040】
[格納情報の構成]
図4および
図5はそれぞれ、画像形成装置5(情報処理装置1、トナーカートリッジ2またはイメージドラムユニット3)の内部に格納(保持)されている情報の一例を模式的に表したものである。
【0041】
具体的には、
図4(A)は、トナーカートリッジ2における前述した消耗品識別情報格納部2112に格納されている情報の一例を表したものである。
図4(B)は、イメージドラムユニット3における前述した消耗品識別情報格納部3112に格納されている情報の一例を表したものである。
図4(C)は、情報処理装置1における前述した消耗品識別情報格納部141に格納されている情報の一例を表したものである。
【0042】
図4(A)に示したように、消耗品識別情報格納部2112には、そのトナーカートリッジ2に固有の識別情報(一意に特定する番号)である消耗品識別情報621と、その消耗品の種別622を示す情報と、が格納されている。具体的には、この例では、消耗品識別情報621として「aa:bb:cc:dd:00:01」という番号が格納されていると共に、消耗品の種別622として、トナーカートリッジ2を示す番号である「0」が格納されている。
【0043】
図4(B)に示したように、消耗品識別情報格納部3112には、上記した消耗品識別情報格納部2112と同様に、そのイメージドラムユニット3に固有の識別情報である消耗品識別情報631と、その消耗品の種別632を示す情報と、が格納されている。具体的には、この例では、消耗品識別情報631として「aa:bb:cc:dd:01:01」という番号が格納されていると共に、消耗品の種別632として、イメージドラムユニット3を示す番号である「1」が格納されている。
【0044】
図4(C)に示したように、消耗品識別情報格納部141には、上記した消耗品識別情報格納部2112,3112と同様に、消耗品識別情報611と消耗品の種別612を示す情報と、が格納されている。具体的には、この例では、消耗品識別情報格納部2112から読み出した(取得した)情報(
図4(A)に示した各情報)と、消耗品識別情報格納部3112から読み出した情報(
図4(B)に示した各情報)とが、消耗品識別情報611および消耗品の種別612を示す情報として格納されるようになっている。
【0045】
なお、これらの消耗品識別情報611,621,631はそれぞれ、本発明における「識別情報」の一具体例に対応している。
【0046】
図5(A)は、トナーカートリッジ2における前述した消耗品利用実績格納部2113に格納されている情報の一例を表したものである。
図5(B)は、イメージドラムユニット3における前述した消耗品利用実績格納部3113に格納されている情報の一例を表したものである。
【0047】
図5(A)に示したように、消耗品利用実績格納部2113には、トナー20の残量情報72が格納されている。具体的には、この例では、残量情報72として、トナー20の使用量721(単位:dots)と、トナーカートリッジ2における初期状態(未使用状態)でのトナー20の充填量722(単位:dots)と、後述するトナー20の貸出量723(単位:dots)と、が含まれている。なお、この貸出量723は、本発明における「初期移動現像剤量」の一具体例に対応している。この
図5(A)に示した例では、使用量721=「79,200(dots)」、充填量722=「792,000(dots)」であるため、充填量722のうちの10%が使用量721となっており、トナー20の残量=90%に相当する。
【0048】
また、
図5(B)に示したように、消耗品利用実績格納部3113には、イメージドラムユニット3がトナー20を使用してトナー像を定着させた回数である定着回数731(単位:Counts)と、このイメージドラムユニット3において定着可能な限界回数である定着限界回数732(単位:Counts)と、が格納されている。この
図5(B)に示した例では、定着回数731=「3,000(Counts)」、定着限界回数732=「30,000(Counts)」であるため、イメージドラムユニット3における寿命の残量=90%に相当する。
【0049】
[作用・効果]
(A.基本動作)
この画像形成装置5では、いわゆる「分離型消耗品」としての消耗品4が情報処理装置1に取り付けられた状態で、以下のようにして画像形成動作(印刷動作)が行われる。すなわち、まず、その消耗品4におけるトナーカートリッジ2から供給されたトナー20を用いて、その消耗品4におけるイメージドラムユニット3によって、媒体上にトナー像が形成される。このとき、情報処理装置1では、印刷機構部15によって媒体が搬送され、印刷制御部16によってトナー像の形成等の印刷動作が制御される。そして、この媒体上に形成されたトナー像に対して、印刷機構部15による定着動作がなされる。このようにして、画像形成装置5において媒体に対する画像形成動作が行われる。
【0050】
(B.残量情報の補正動作)
ところで、このような「分離型消耗品」である消耗品4では、トナーカートリッジ2およびイメージドラムユニット3が個別に交換可能であることから、トナーカートリッジ2から新品(未使用状態)のイメージドラムユニット3に対して、初期に装着したときにトナー20の移動(落下)が生じる。つまり、画像形成装置5において全く印刷動作を行っていない(1枚も印刷をしていない)状態であっても、トナーカートリッジ2内のトナー20が目減りした状態となる。このような初期装着時の移動によるトナー20の減少分(初期装着時に移動したトナー量)を、以下、「貸出量」(初期移動現像剤量)と称する。
【0051】
このような貸出量の存在により、従来の手法では、イメージドラムユニット3を更に交換した際に、以下説明するように、印刷の際に使用したトナー量から論理的に算出したトナー使用量と、物理的に消費された実際のトナー使用量との間に、差異が生じる場合がある。そのようなトナー使用量の差異が生じると、トナー20の残量情報を正確に管理することが困難となってしまう。
【0052】
図6は、比較例1および実施の形態に係るトナー20の残量情報72の管理方法の一例について、時系列に沿って模式的に表したものである。
【0053】
まず、
図6(A)に示したように、消耗品4におけるトナーカートリッジ2およびイメージドラムユニット3がいずれも未使用状態の場合、この消耗品4が画像形成装置5に未装着の状態では、以下のようになっている。すなわち、トナーカートリッジ2では、トナー20が最大充填(満載)された状態(残量=100%の状態)となっている。一方、イメージドラムユニット3には、少量の初期トナー30が格納されているとともに、空き領域が設けられている。なお、この空き領域は、輸送時等に初期トナー30が外部へ漏れ出したりするのを防止するために設けられている。
【0054】
そして、例えば
図6(B)に示したように、この未使用状態の消耗品4(トナーカートリッジ2およびイメージドラムユニット3)が画像形成装置5に装着されると、上記したように、トナーカートリッジ2からイメージドラムユニット3に対し、前述した初期装着時のトナー20の移動が生じる。つまり、イメージドラムユニット3内の上記した空き領域に対し、初期装着による少量のトナー20の移動が生じる。このようにして、初期装着時のトナー20の移動量(前述した貸出量723)によって、イメージドラムユニット3内の空き領域が充填されることとなる。
【0055】
ここで、この時点では、画像形成装置5において全く印刷動作を行っていない状態であっても、上記したように、トナーカートリッジ2内のトナー20が目減りした状態となる。このため、この目減りしたトナーカートリッジ2内のトナー20の量のみからトナー20の残量を算出した場合、ユーザにとっては、残量情報72の振る舞い(操作/表示部17上での情報表示)が不正確であると感じてしまうことになる。したがって、この
図6(B)に示した例では、トナーカートリッジ2内に実際に残っているトナー20の量と、このトナーカートリッジ2からイメージドラムユニット3内に移動したトナー20の貸出量723との合算分をトナー20の残量とし、残量=100%が維持されるようにしている。
【0056】
なお、その後、例えば
図6(C)に示したように、画像形成装置5において実際の印刷動作が行われると、その印刷動作の際に消費したトナー20の量(使用量721)の分、トナー20の残量が減少することになる。つまり、
図6(B)に示したトナー20の残量から使用量721を差し引いた値が、
図6(C)におけるトナー20の残量となる。
【0057】
ここで、トナーカートリッジ2はそのまま装着された状態(使用し続ける場合)で、イメージドラムユニット3のみを新品に交換するケースを考える。
【0058】
このケースでは、例えば
図6(D)に示した比較例1のように、新品のイメージドラムユニット3ではやはり上記した空き領域が存在することから、この時点(新品に交換した時点)で、上記した貸出量723に相当するトナー20が物理的に消失してしまうことになる。
【0059】
そこで本実施の形態の画像形成装置5(情報処理装置1)では、例えば
図6(E)に示したように、このような貸出量723に相当するトナー20を考慮したうえで、トナー20の残量情報72の管理(残量情報72の補正)を行うようにしている。具体的には、例えば
図6(C),
図6(E)に示したように、情報処理装置1内の消耗品利用実績管理部133は、消耗品識別情報比較部132によってイメージドラムユニット3の交換が検出された場合、貸出量723を使用量721に加算することにより、残量情報72の補正を行う。つまり、元のイメージドラムユニット3の初期装着時に供給された、貸出量723に相当するトナー20については、イメージドラムユニット3の交換によって物理的に消失することから、この時点で貸出量723を使用済みとみなす補正を行うようにしている。
【0060】
このような残量情報72の補正が行われることで、本実施の形態では、イメージドラムユニット3が交換された後でも、元のイメージドラムユニット3に格納されていた貸出量723を考慮した残量情報72の管理ができるようになる。
【0061】
なお、その後は例えば
図6(F)に示したように、このようなイメージドラムユニット3の交換によって、トナーカートリッジ2から交換後のイメージドラムユニット3に対し、初期装着によるトナー20の移動(貸出)が再び生じることになる。このときの貸出量723については、次回のイメージドラムユニット3の交換の際などに使用できるように、残量情報72の一部として管理されるようになっている。
【0062】
(C.詳細な処理動作)
続いて、
図7および
図8を参照して、このような補正動作の際の画像形成装置5(情報処理装置1、トナーカートリッジ2およびイメージドラムユニット3)における詳細な処理動作例について説明する。
図7は、情報処理装置1の動作例を流れ図で表したものであり、
図8は、消耗品4(トナーカートリッジ2またはイメージドラムユニット3)の動作例を流れ図で表したものである。
【0063】
(C−1.情報処理装置1の動作例)
最初に、
図7に示したように、情報処理装置1は以下のようにして動作する。すなわち、情報処理装置1が起動すると、まず、消耗品識別情報読出部131は、送受信処理部12を介して、トナーカートリッジ2およびイメージドラムユニット3(消耗品識別情報格納部2112,3112)から、それらの消耗品識別情報621,631をそれぞれ読み出す(ステップS11)。このようにして読み出された(取得された)消耗品識別情報621,631はそれぞれ、消耗品識別情報611として消耗品識別情報格納部141内に格納される。
【0064】
次いで、消耗品識別情報比較部132は、このようにして取得されたイメージドラムユニット3の消耗品識別情報631を利用して、このイメージドラムユニット3が交換されたか否か(交換の有無)を検出する(ステップS12)。具体的には、消耗品識別情報比較部132は、イメージドラムユニット3から取得された消耗品識別情報631と、消耗品識別情報格納部141に格納されていた、イメージドラムユニット3についての消耗品識別情報611とを比較することによって、イメージドラムユニット3の交換の有無を検知する。
【0065】
より具体的には、消耗品識別情報631とイメージドラムユニット3についての消耗品識別情報611とが同一である場合には、消耗品識別情報比較部132は、イメージドラムユニット3が交換されていないと判断する(ステップS12:N)。なお、このようにしてイメージドラムユニット3が交換されていないと判断された場合、再びこのステップS12の処理に戻ることになる。
【0066】
一方、消耗品識別情報631とイメージドラムユニット3についての消耗品識別情報611とが異なる(同一ではない)場合には、消耗品識別情報比較部132は、イメージドラムユニット3が交換されたと判断する(ステップS12:Y)。なお、このようにしてイメージドラムユニット3が交換されたと判断された場合、以下のステップS13の処理へと進むことになる。
【0067】
すなわち、次に、消耗品利用実績管理部133は、送受信処理部12を介して、トナーカートリッジ2(消耗品利用実績格納部2113)から、その利用実績の情報(残量情報72)を読み出す(ステップS13)。続いて、この消耗品利用実績管理部133は、そのようにして取得した残量情報72に、貸出量723の情報が記録されているのか否か(元のイメージドラムユニット3に対する貸出量723が「0」であったのか否か)を判定する(ステップS14)。
【0068】
ここで、貸出量723の情報が記録されていない(元のイメージドラムユニット3に対する貸出量723が「0」であった)と判定された場合(ステップS14:N)、以下のようになる。すなわち、消耗品利用実績管理部133は、残量情報72において貸出量723(規定量)を記録する処理(残量情報72の更新処理)を行う(ステップS17)。これにより、今回のイメージドラムユニット3の交換に伴って発生する貸出量723が、送受信処理部12を介してトナーカートリッジ2内の消耗品利用実績格納部2113に格納され、管理されることになる。なお、この場合、以上で
図7に示した一連の処理が終了となる。
【0069】
一方、貸出量723の情報が記録されている(元のイメージドラムユニット3に対する貸出量723が「0」ではなかった)と判定された場合(ステップS14:N)、以下のようになる。すなわち、消耗品利用実績管理部133は、上記した手法(使用量721に対してその貸出量723を加算する処理)によって、残量情報72の補正を行う(ステップS15)。そして、消耗品利用実績管理部133は、新たな(交換後の)イメージドラムユニット3に対して発生する貸出量723(規定量)を、新たな貸出量723として記録する処理(残量情報72の更新処理)を行う(ステップS16)。これにより、今回のイメージドラムユニット3の交換に伴って発生する新たな貸出量723が、送受信処理部12を介してトナーカートリッジ2内の消耗品利用実績格納部2113に格納され、管理されることになる。以上で、
図7に示した一連の処理が終了となる。
【0070】
(C−2.消耗品4の動作例)
また、
図8に示したように、消耗品4(トナーカートリッジ2またはイメージドラムユニット3)は、以下のようにして動作する。すなわち、まず、送受信処理部212,312は、情報処理装置1側からの情報アクセス要求が有るのか否かを判定する(ステップS20)。ここで、情報処理装置1側からの情報アクセス要求が無いと判定された場合(ステップS20:N)、再びステップS20へと戻ることになる。
【0071】
一方、情報処理装置1側からの情報アクセス要求が有ったと判定された場合(ステップS20:Y)、次に送受信処理部212,312は、その情報アクセス要求が、消耗品識別情報621,631の読出要求であるのか否かを判定する(ステップS21)。ここで、消耗品識別情報621,631の読出要求であると判定された場合(ステップS21:Y)、次に識別情報制御部213,313は、消耗品識別情報格納部2112,3112に格納されている消耗品識別情報621,631を読み出す(ステップS22)。そして、識別情報制御部213,313は、このようにして読み出した消耗品識別情報621,631を、送受信処理部212,312を経由して情報処理装置1側へと送信する(ステップS23)。この場合、以上で
図8に示した一連の処理が終了となる。
【0072】
一方、ステップS21において、消耗品識別情報621,631の読出要求ではないと判定された場合(ステップS21:N)、次に送受信処理部212,312は、その情報アクセス要求が、利用実績の情報の読出要求であるのか否かを判定する(ステップS24)。ここで、利用実績の情報の読出要求であると判定された場合(ステップS24:Y)、次に利用実績制御部214,314は、消耗品利用実績格納部2113,3113に格納されている利用実績の情報を読み出す(ステップS25)。具体的には、利用実績制御部214は、消耗品利用実績格納部2113に格納されている残量情報72を読み出す一方、利用実績制御部314は、消耗品利用実績格納部3113に格納されている、定着回数731および定着限界回数732の各情報を読み出す。続いて、利用実績制御部214,314は、このようにして読み出した利用実績の情報を、送受信処理部212,312を経由して情報処理装置1側へと送信する(ステップS26)。この場合、以上で
図8に示した一連の処理が終了となる。
【0073】
一方、ステップS24において、利用実績の情報の読出要求でもないと判定された場合(ステップS24:N)、次に送受信処理部212,312は、その情報アクセス要求が、利用実績の情報の更新要求であるのか否かを判定する(ステップS27)。ここで、利用実績の情報の更新要求であると判定された場合(ステップS27:Y)、次に利用実績制御部214,314は、消耗品利用実績格納部2113,3113に格納されている、上記した利用実績の情報(残量情報72、あるいは、定着回数731および定着限界回数732の各情報)の更新処理を行う(ステップS28)。そして、利用実績制御部214,314は、このような利用実績の情報の更新完了通知を、送受信処理部212,312を経由して情報処理装置1側へと送信する(ステップS29)。この場合、以上で
図8に示した一連の処理が終了となる。
【0074】
なお、ステップS27において、利用実績の情報の更新要求でもないと判定された場合(ステップS27:N)、以上で
図8に示した一連の処理が終了となる。
【0075】
以上のように本実施の形態では、情報処理装置1において、イメージドラムユニット3の交換が検出された場合には、貸出量723(初期移動現像剤量)を使用量721に加算することによってトナー20の残量情報72の補正を行うようにしたので、以下のようになる。すなわち、このような残量情報72の補正によって、イメージドラムユニット3が交換された後でも、元のイメージドラムユニット3に格納されていた貸出量723を考慮した、残量情報72の管理ができるようになる。よって、トナーカートリッジ2とイメージドラムユニット3とが互いに着脱可能な構成の消耗品4(いわゆる「分離型消耗品」)を使用する場合において、トナー20の残量情報72をより正確に管理することが可能となる。
【0076】
<2.変形例>
続いて、上記実施の形態の変形例(変形例1,2)について説明する。これらの変形例1,2に係る画像形成装置もまた、実施の形態と同様に、印刷機能を有する画像形成装置(プリンタ)として機能するものである。以下の変形例1,2ではそれぞれ、所定の場合には、実施の形態で説明した残量情報72の補正を実行しないようにすることで、残量情報72の管理の更なる正確化を実現するようにしている。なお、実施の形態における構成要素と同一のものには同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0077】
[変形例1]
(構成)
図9は、変形例1に係る画像形成装置(画像形成装置5A)のブロック構成例を模式的に表したものである。本変形例の画像形成装置5Aでは、
図9に示したように、複数の消耗品(この例では2つの消耗品4a,4b)が、後述する複数の装着位置に対して個別に着脱可能となっている。この画像形成装置5Aは、装置本体としての情報処理装置1Aと、この情報処理装置1A内の所定位置(後述する複数の装着位置)に取り付け可能な2つの消耗品4a,4bとを備えている。なお、本変形例に係る情報処理プログラム(画像形成装置5Aに適用される情報処理プログラム)は、本変形例に係る情報処理装置(情報処理装置1A)において具現化されるため、以下、併せて説明する。
【0078】
情報処理装置1Aは、実施の形態で説明した情報処理装置1において、消耗品識別情報格納部141の代わりに消耗品識別情報格納部141Aを設けるようにしたものに対応し、他の構成は基本的に同様となっている。
【0079】
この消耗品識別情報格納部141Aは、例えば
図10に示したように、実施の形態で説明した、種別612(トナーカートリッジ2およびイメージドラムユニット3)ごとの消耗品識別情報611をそれぞれ、画像形成装置5Aにおける複数の装着位置と対応付けて格納するようになっている。具体的には、この例では、種別612ごとの消耗品識別情報611がそれぞれ、画像形成装置5Aにおける複数の装着位置を示す情報(装着位置613)と対応付けて格納されている。つまり、この例では、画像形成装置5Aにおける複数の装着位置として、「A」,「B」の2つが存在していることが分かる。そして、この例では、消耗品識別情報621として「aa:bb:cc:dd:00:01」,「aa:bb:cc:dd:01:01」という番号がそれぞれ付与されている、トナーカートリッジ2およびイメージドラムユニット3からなる消耗品4は、装着位置「A」に装着されていることが分かる。一方、消耗品識別情報621として「aa:bb:cc:dd:00:02」,「aa:bb:cc:dd:01:02」という番号がそれぞれ付与されている、トナーカートリッジ2およびイメージドラムユニット3からなる消耗品4は、装着位置「B」に装着されていることが分かる。
【0080】
図9に示した消耗品4a,4bはそれぞれ、実施の形態で説明した消耗品4と同じ構成となっている。すなわち、これらの消耗品4a,4bもまた、互いに着脱可能(独立して交換可能)に構成されたトナーカートリッジ2およびイメージドラムユニット3を有しており、いわゆる「分離型消耗品」となっている。
【0081】
(作用・効果)
次いで、
図11および
図12を参照して、本変形例に係るトナー20の残量情報72の管理方法について、比較例2と比較しつつ説明する。
図11および
図12はそれぞれ、比較例2および本変形例に係る残量情報72の管理方法の一例について、時系列に沿って模式的に表したものである。
【0082】
最初に、
図11に示した比較例2では、以下のようになっている。すなわち、まず
図11(A),
図11(B)に示したように、前述した
図6(A),
図6(B)の場合と同様に、未使用状態の2つの消耗品4a,4bがそれぞれ、画像形成装置5における装着位置「A」,「B」にそれぞれ装着されたものとする。この場合も、各消耗品4a,4b内において、イメージドラムユニット3内の空き領域に対し、トナーカートリッジ2から初期装着によるトナー20の移動が生じ(貸出量723)、この空き領域が充填されることになる。
【0083】
ここで、例えば
図11(C)に示したように、2つの装着位置「A」,「B」間で消耗品4a,4bの装着位置を入れ替えた場合(誤って不正位置に装着した場合等)、この比較例2では、以下のようになる。すなわち、例えば実施の形態で説明した処理によって、情報処理装置1側においてイメージドラムユニット3が交換されたと判断されてしまうと、例えば実施の形態で説明した残量情報72の補正が意図せずに実行され、その結果、残量情報72で示されるトナー20の残量が減少してしまうことになる。具体的には、例えば
図11(C)に示したように、
図11(B)に示した貸出量723が使用量721に加算される補正がなされる結果、トナー20の残量の減少してしまう。そしてこの場合、例えば
図11(D)に示したように、その後に2つの消耗品4a,4bの装着位置を元の位置に戻した場合(正常位置に装着し直した場合)でも、上記した補正後の残量情報72が保持されるため、トナー20の残量が減少したままとなってしまう。
【0084】
そこで、本変形例の画像形成装置5A(情報処理装置1A)では、このような意図しない残量情報72の補正が実行されないよう、以下のようにして処理を行う。すなわち、詳細は後述するが、消耗品識別情報比較部132は、消耗品識別情報格納部141Aに格納されている、種別612ごとの消耗品識別情報611と装着位置613の情報との対応付けを利用して、複数の装着位置「A」,「B」間での消耗品4a,4bの位置入替に起因して消耗品識別情報が異なっているのか否かを更に検知する。そして、消耗品利用実績管理部133は、このようにして消耗品識別情報比較部132によって、複数の装着位置「A」,「B」間での消耗品4a,4bの位置入替に起因して消耗品識別情報が異なっていると検知された場合には、実施の形態で説明した残量情報72の補正を実行しないようになっている。
【0085】
これにより本変形例では、例えば
図12(
図12(C),
図12(D))示したように、
図11(
図11(C),
図11(D))に示した比較例2とは異なり、以下のようになる。すなわち、2つの装着位置「A」,「B」間で消耗品4a,4bの装着位置を入れ替えた場合(誤って不正位置に装着した場合等)であっても、意図しない残量情報72の補正が実行されないようになる。
【0086】
ここで
図13は、本変形例に係る情報処理装置1Aの動作例を流れ図で表したものである。なお、消耗品4a,4b(トナーカートリッジ2またはイメージドラムユニット3)の動作例はそれぞれ、実施の形態で説明した消耗品4の動作例(
図8)と同様であるため、その説明を省略する。
【0087】
この
図13に示した情報処理装置1Aの動作例は、
図7に示した実施の形態における情報処理装置1の動作例において、前述したステップS12およびステップS14の間に(ステップS13の代わりに)、以下説明するステップS31,S32をそれぞれ設けるようにしたものに対応し、他の動作例は同様となっている。
【0088】
ここで、このステップS31では、以下のようにして処理を行う。すなわち、消耗品識別情報631とイメージドラムユニット3についての消耗品識別情報611とが異なると判断された場合(ステップS12:Y)に、消耗品識別情報比較部132は、イメージドラムユニット3が交換されたものとすぐには判断せず、次に以下の判断を更に行う。これにより、イメージドラムユニット3の交換の有無が最終的に判断されるようになっている。
【0089】
具体的には、上記したように、この消耗品識別情報比較部132は、消耗品識別情報格納部141Aに格納されている、種別612ごとの消耗品識別情報611と装着位置613の情報との対応付けを利用して、上記した装着位置の入れ替えが生じているのか否かを判断する(ステップS31)。すなわち、消耗品識別情報比較部132は、複数の装着位置「A」,「B」間での消耗品4a,4bの位置入替に起因して、ステップS12において消耗品識別情報631,611が互いに異なっているのか否かを更に検知する。そして、このような装着位置の入れ替えに起因して消耗品識別情報631,611が互いに異なっている(イメージドラムユニット3が交換されたわけではない)と検知された場合(ステップS31:Y)、
図13に示した一連の処理が終了となる。すなわち、ステップS14〜S17の処理(残量情報72の補正等)が実行されずに終了となる。
【0090】
一方、ステップS31において、上記した装着位置の入れ替えに起因して消耗品識別情報631,611が互いに異なっているのではない(イメージドラムユニット3が交換された)と検知された場合(ステップS31:N)、以下のようになる。すなわち、
図6に示したステップS13と基本的には同様にして、消耗品利用実績管理部133は、新たなイメージドラムユニット3の装着位置と同じ装着位置に装着されたトナーカートリッジ2から、その利用実績の情報(残量情報72)を読み出す(ステップS32)。なお、その後は、前述したステップS14へと進むことになる。
【0091】
以上のように本変形例では、2つの装着位置「A」,「B」間での消耗品4a,4bの装着位置の入れ替えが検知された場合には、実施の形態で説明した残量情報72の補正を実行しないようにしたので、残量情報72の管理の更なる正確化を実現することが可能となる。
【0092】
[変形例2]
(構成)
図14は、変形例2に係る画像形成装置(画像形成装置5(あるいは画像形成装置5A),5B)のブロック構成例を、模式的に表したものである。本変形例の画像形成装置5(5A),5Bはそれぞれ、1または複数の消耗品(この例では1つの消耗品4B)が着脱可能に構成されている。
【0093】
画像形成装置5(5A)は、実施の形態または変形例で説明したように、装置本体としての情報処理装置1(あるいは情報処理装置1A)と、この情報処理装置1(1A)内の所定位置に取り付け可能な消耗品4Bとを備えている。同様に、画像形成装置5Bは、装置本体としての情報処理装置1Bと、この情報処理装置1B内の所定位置に取り付け可能な消耗品4Bとを備えている。なお、この画像形成装置5Bは、本発明における「他の画像形成装置」の一具体例に対応している。
【0094】
換言すると、本変形例では、消耗品4Bが、情報処理装置1(1A)と情報処理装置1Bとの双方に取り付けすることが可能となっている。つまり、画像形成装置5(5A)と画像形成装置5Bとの間で、消耗品4Bの装着対象を入れ替えるといった、着脱態様が可能となっている。
【0095】
なお、本変形例に係る情報処理プログラム(画像形成装置5(5A),5B)に適用される情報処理プログラム)は、本変形例に係る情報処理装置(情報処理装置1(1A),1B)において具現化されるため、以下、併せて説明する。
【0096】
情報処理装置1Bは、実施の形態で説明した情報処理装置1と同じ構成となっている。
【0097】
消耗品4Bは、
図14に示したように、互いに着脱可能(独立して交換可能)に構成されたトナーカートリッジ2Bおよびイメージドラムユニット3を有しており、いわゆる「分離型消耗品」となっている。すなわち、この消耗品4Bは、実施の形態で説明した消耗品4において、トナーカートリッジ2の代わりにトナーカートリッジ2Bを設けるようにしたものに対応し、他の構成は同様となっている。
【0098】
このトナーカートリッジ2Bは、
図14に示したように、実施の形態で説明したトナーカートリッジ2において、消耗品利用実績格納部2113の代わりに消耗品利用実績格納部2113Bを設けるようにしたものに対応し、他の構成は同様となっている。
【0099】
この消耗品利用実績格納部2113Bは、例えば
図15に示したように、
図5(A)において説明した残量情報72(使用量721、充填量722および貸出量723の各情報)に加え、接続先ID識別情報724を更に格納するようになっている。この接続先ID格納情報724は、この消耗品利用実績格納部2113Bを有するトナーカートリッジ2と接続されている(消耗品4内で組となっている)イメージドラムユニット3についての、消耗品識別情報631に対応する情報である。つまり、この例では、このトナーカートリッジ2と接続されているイメージドラムユニット724の消耗品識別情報631(「aa:bb:cc:dd:01:01」)が、接続先ID格納情報724として消耗品利用実績格納部2113Bに格納されている。なお、この接続先ID識別情報724は、本発明における「接続先識別情報」の一具体例に対応している。
【0100】
(作用・効果)
次いで、
図16および
図17を参照して、本変形例に係るトナー20の残量情報72の管理方法について、比較例3と比較しつつ説明する。
図16および
図17はそれぞれ、比較例3および本変形例に係る残量情報72の管理方法の一例について、時系列に沿って模式的に表したものである。
【0101】
最初に、
図16に示した比較例3では、以下のようになっている。すなわち、まず
図16(A),
図16(B)に示したように、前述した
図6(A),
図6(B)の場合と同様に、未使用状態の消耗品4が、画像形成装置5(5A)に装着されたものとする。この場合も、消耗品4内において、イメージドラムユニット3内の空き領域に対し、トナーカートリッジ2から初期装着によるトナー20の移動が生じ(貸出量723)、この空き領域が充填されることになる。
【0102】
ここで、例えば
図16(C)に示したように、2つの画像形成装置5(5A),5Bの間(2つの情報処理装置1(1A),1Bの間)で消耗品4の装着位置(装着対象)を入れ替えた場合(別装置へ装着した場合)、この比較例3では、以下のようになる。すなわち、例えば実施の形態で説明した処理によって、情報処理装置1(1A),1B側においてイメージドラムユニット3が交換されたと判断されてしまうと、例えば実施の形態で説明した残量情報72の補正が意図せずに実行され、その結果、残量情報72で示されるトナー20の残量が減少してしまうことになる。具体的には、例えば
図16(C)に示したように、
図16(B)に示した貸出量723が使用量721に加算される補正がなされる結果、トナー20の残量の減少してしまう。そしてこの場合、例えば
図16(D)に示したように、その後に消耗品4の装着位置を元の装置に戻した場合(元の装置に装着し直した場合)でも、上記した補正後の残量情報72が保持されるため、トナー20の残量が減少したままとなってしまう。
【0103】
そこで、本変形例の画像形成装置5(5A),5B(情報処理装置1(1A),1B)では、このような意図しない残量情報72の補正が実行されないよう、以下のようにして処理を行う。すなわち、詳細は後述するが、消耗品識別情報比較部132は、トナーカートリッジ2内の消耗品利用実績格納部2113Bから取得した接続先ID識別情報724を利用して、2つの画像形成装置5(5A),5Bの間での消耗品4の位置入替に起因して消耗品識別情報が異なっているのか否かを更に検知する。そして、消耗品利用実績管理部133は、このようにして消耗品識別情報比較部132によって、2つの画像形成装置5(5A),5Bの間での消耗品4の位置入替に起因して消耗品識別情報が異なっていると検知された場合には、実施の形態で説明した残量情報72の補正を実行しないようになっている。
【0104】
これにより本変形例では、例えば
図17(
図17(C),
図17(D))示したように、
図16(
図16(C),
図16(D))に示した比較例3とは異なり、以下のようになる。すなわち、2つの画像形成装置5(5A),5Bの間で消耗品4の装着位置を入れ替えた場合(これらの装置間で同じ消耗品4を使い回した場合等)であっても、意図しない残量情報72の補正が実行されないようになる。
【0105】
ここで
図18は、本変形例に係る情報処理装置1(1A),1Bの動作例を流れ図で表したものである。なお、消耗品4B(トナーカートリッジ2Bまたはイメージドラムユニット3)の動作例はそれぞれ、実施の形態で説明した消耗品4の動作例(
図8)と同様であるため、その説明を省略する。
【0106】
この
図18に示した情報処理装置1(1A),1Bの動作例は、
図7に示した実施の形態における情報処理装置1の動作例において、前述したステップS13およびステップS14の間に、以下説明するステップS41を設けるようにしたものに対応し、他の動作例は同様となっている。
【0107】
ここで、このステップS41では、以下のようにして処理を行う。すなわち、消耗品識別情報631とイメージドラムユニット3についての消耗品識別情報611とが異なると判断された場合(ステップS12:Y)に、消耗品識別情報比較部132は、イメージドラムユニット3が交換されたものとすぐには判断せず、次に以下の判断を更に行う。これにより、イメージドラムユニット3の交換の有無が最終的に判断されるようになっている。
【0108】
具体的には、このとき消耗品識別情報比較部132は、ステップS13においてトナーカートリッジ2内の消耗品利用実績格納部2113Bから取得した接続先ID識別情報724を利用して、上記した装着位置の入れ替えが生じているのか否かを判断する。すなわち、消耗品識別情報比較部132は、2つの画像形成装置5(5A),5Bの間での消耗品4の位置入替に起因して、ステップS12において消耗品識別情報631,611が互いに異なっているのか否かを更に検知する。より具体的には、このとき消耗品識別情報比較部132は、消耗品識別情報格納部141に格納されていた、イメージドラムユニット3についての消耗品識別情報611が、取得した接続先ID識別情報724と一致する(同じである)のか否かを判定する(ステップS41)。
【0109】
そして、このような装着位置の入れ替えに起因して消耗品識別情報631,611が互いに異なっている(イメージドラムユニット3が交換されたわけではない)と検知された場合(ステップS41:Y)、
図18に示した一連の処理が終了となる。すなわち、ステップS14〜S17の処理(残量情報72の補正等)が実行されずに終了となる。
【0110】
一方、このステップS41において、上記した装着位置の入れ替えに起因して消耗品識別情報631,611が互いに異なっているのではない(イメージドラムユニット3が交換された)と検知された場合(ステップS41:N)、以下のようになる。すなわち、その後は、前述したステップS14へと進むことになる。
【0111】
以上のように本変形例では、2つの画像形成装置5(5A),5Bの間での消耗品4の装着位置の入れ替えが検知された場合には、実施の形態で説明した残量情報72の補正を実行しないようにしたので、残量情報72の管理の更なる正確化を実現することが可能となる。
【0112】
<3.その他の変形例>
以上、実施の形態および変形例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等に限定されず、種々の変形が可能である。
【0113】
例えば、上記実施の形態等では、情報処理装置1,1A,1B、消耗品4,4a,4b,4Bおよび画像形成装置5,5A,5Bの構成例を具体的に挙げて説明したが、これらの構成例は、上記実施の形態等で挙げたものには限られない。
【0114】
また、上記実施の形態等では、情報処理装置1,1A,1B、消耗品4,4a,4b,4Bおよび画像形成装置5,5A,5Bに格納されている各種情報の構成例を具体的に挙げて説明したが、これらの構成例も、上記実施の形態等で挙げたものには限られない。
【0115】
更に、上記実施の形態等では、情報処理装置1,1A,1B、消耗品4,4a,4b,4Bおよび画像形成装置5,5A,5Bの動作例(トナー20の残量情報の補正動作例等)を具体的に挙げて説明したが、これには限られず、他の手法を用いてもよい。
【0116】
また、上記実施の形態等で説明した一連の処理は、ハードウェア(回路)で行われるようにしてもよいし、ソフトウェア(プログラム)で行われるようにしてもよい。ソフトウェアで行われるようにした場合、そのソフトウェアは、各機能をコンピュータにより実行させるためのプログラム群で構成される。各プログラムは、例えば、上記コンピュータに予め組み込まれて用いられてもよいし、ネットワークや記録媒体から上記コンピュータにインストールして用いられてもよい。
【0117】
更に、上記実施の形態等では、本発明における「画像形成装置」の一具体例として、印刷機能を有する画像形成装置(プリンタ)について説明したが、これには限られない。すなわち、そのような印刷機能を有する画像形成装置に加え、例えば、スキャン機能やファックス機能を有する画像形成装置(コピー機やファクシミリ)や、それらの機能を複合的に有する画像形成装置(複合機)においても、本発明を適用することが可能である。