特許第6488745号(P6488745)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6488745
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】サンルーフ装置
(51)【国際特許分類】
   B60J 7/02 20060101AFI20190318BHJP
【FI】
   B60J7/02 B
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-24222(P2015-24222)
(22)【出願日】2015年2月10日
(65)【公開番号】特開2016-147525(P2016-147525A)
(43)【公開日】2016年8月18日
【審査請求日】2018年1月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】深見 清澄
(72)【発明者】
【氏名】井田 博之
(72)【発明者】
【氏名】西山 千年
(72)【発明者】
【氏名】内田 錦寿
【審査官】 上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−093471(JP,A)
【文献】 特開平02−179716(JP,A)
【文献】 実開昭60−006621(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のルーフに形成された開口を開閉するように適合される可動パネルと、
前記可動パネルの車両の高さ方向下方で前記開口の車両の幅方向各縁部に車両の前後方向に延びるように設けられ、車両の高さ方向に間隔をあけて車両の幅方向に互いに平行に延出する上側フランジ及び下側フランジ並びにそれら上側フランジ及び下側フランジの車両の幅方向外側端同士を車両の高さ方向に接続する接続壁を有するガイドレールと、
前記可動パネルの車両の幅方向各縁部に車両の前後方向に延びるように取着され、車両の幅方向外側に向かって延出して前記上側フランジ及び前記下側フランジ間に挟まれる延出片を有する遮蔽体とを備え、
前記遮蔽体は、
前記延出片に車両の高さ方向上方及び下方にそれぞれ突設され、前記上側フランジ及び前記下側フランジにそれぞれ当接可能な第1突条及び第2突条と、
前記延出片の車両の高さ方向上方で車両の幅方向外側に向かって延出して該延出片との間に前記上側フランジを挟む第2の延出片と、
前記第2の延出片に車両の高さ方向下方に突設され、前記上側フランジに当接可能な第3突条とを有した、サンルーフ装置。
【請求項2】
車両のルーフに形成された開口を開閉するように適合される可動パネルと、
前記可動パネルの車両の高さ方向下方で前記開口の車両の幅方向各縁部に車両の前後方向に延びるように設けられ、車両の幅方向内側に向かって延出するフランジを有するガイドレールと、
前記可動パネルの車両の幅方向各縁部に車両の前後方向に延びるように取着され、車両の高さ方向に間隔をあけて車両の幅方向に延出して前記フランジを挟む上側延出片及び下側延出片並びにそれら上側延出片及び下側延出片の車両の幅方向内側端同士を車両の高さ方向に接続する接続部を有する遮蔽体とを備え、
前記遮蔽体は、
前記上側延出片に車両の高さ方向下方に突設され、前記フランジに当接可能な上側突条と、
前記下側延出片に車両の高さ方向上方に突設され、前記フランジに当接可能な下側突条とを有した、サンルーフ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンルーフ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、サンルーフ装置としては、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。このサンルーフ装置は、車両のルーフに形成された開口を開閉する可動パネルの車両の幅方向各縁部に上端側が取り付けられ、開口の車両の幅方向各縁部に配置された長尺状のガイド部に下端側が摺動可能に係合された遮蔽体を有する。この遮蔽体は、サンルーフ装置の作動機構を車室内側から遮蔽するためのものである。遮蔽体は、可動パネルの開閉作動に伴ってガイド部を摺動しつつ可動パネルと共に移動する。
【0003】
具体的には、ガイド部(第2ガイド溝)は、車両の幅方向内側に開口する略コの字状の一定断面を有して車両の前後方向に延在しており、車両の幅方向内側に向かって互いに平行に延出する上下一対の上壁部及び下壁部を有する。一方、遮蔽体(サイドガーニッシュ)の下端部には、車両の幅方向外側に向かって延出して上壁部及び下壁部間に挟まれる下端片部が形成されている。この下端片部も車両の前後方向に延在している。遮蔽体は、上壁部及び下壁部間に挟まれた下端片部を摺動させつつ車両の前後方向に移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−93471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1では、取付姿勢や部品精度ばらつきなどで、上壁部又は下壁部と下端片部との間に車両の高さ方向の隙が発生することがある。従って、摺動時に遮蔽体の下端側(下端片部)が車両の幅方向に傾くなどしてガイド部に片当たりで干渉すると、摺動抵抗が増減して異音を発生するおそれがある。
【0006】
一方、上壁部又は下壁部と下端片部との間に隙が発生しないようにそれらを車両の高さ方向に密接させることも考えられるが、部品精度ばらつきなどで車両の高さ方向に過大ラップしてしまうと、摺動抵抗が過大になるという別の問題が生じてしまう。
【0007】
本発明の目的は、摺動抵抗の増減に伴う異音の発生を抑制することができるサンルーフ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するサンルーフ装置は、車両のルーフに形成された開口を開閉するように適合される可動パネルと、前記可動パネルの車両の高さ方向下方で前記開口の車両の幅方向各縁部に車両の前後方向に延びるように設けられ、車両の高さ方向に間隔をあけて車両の幅方向に互いに平行に延出する上側フランジ及び下側フランジ並びにそれら上側フランジ及び下側フランジの車両の幅方向外側端同士を車両の高さ方向に接続する接続壁を有するガイドレールと、前記可動パネルの車両の幅方向各縁部に車両の前後方向に延びるように取着され、車両の幅方向外側に向かって延出して前記上側フランジ及び前記下側フランジ間に挟まれる延出片を有する遮蔽体とを備え、前記遮蔽体は、前記延出片に車両の高さ方向上方及び下方にそれぞれ突設され、前記上側フランジ及び前記下側フランジにそれぞれ当接可能な第1突条及び第2突条と、前記延出片の車両の高さ方向上方で車両の幅方向外側に向かって延出して該延出片との間に前記上側フランジを挟む第2の延出片と、前記第2の延出片に車両の高さ方向下方に突設され、前記上側フランジに当接可能な第3突条とを有する。
【0009】
この構成によれば、前記可動パネルの車両の幅方向各縁部に取着された前記遮蔽体は、前記上側フランジよりも車両の幅方向内側で前記可動パネル及び前記ガイドレール間を覆う。そして、前記可動パネルが開閉作動すると、前記遮蔽体は、前記上側フランジ及び前記下側フランジ間に挟まれた前記延出片を車両の前後方向に移動させつつ一体で移動する。このとき、前記遮蔽体は、基本的に前記第1突条及び前記第2突条が前記上側フランジ及び前記下側フランジにそれぞれ線当たりで当接することで、即ち前記上側フランジ及び前記下側フランジとの接触部位がそれぞれ限定されていることで、摺動時の姿勢をより安定化することができる。また、前記遮蔽体は、例えば取付姿勢や部品精度ばらつきなどで車両の幅方向に傾いたとしても、前記第1突条及び前記第2突条のいずれか一方が前記上側フランジ又は前記下側フランジにより確実に当接し続けることで、摺動抵抗の増減を抑えることができ、これに伴う異音の発生を抑えることができる。
前記可動パネルが開閉作動すると、前記遮蔽体は、前記延出片との間に前記上側フランジを挟む前記第2の延出片を車両の前後方向に移動させつつ一体で移動する。このとき、前記遮蔽体は、基本的に前記第3突条が更に前記上側フランジに線当たりで当接することで、摺動時の姿勢をいっそう安定化することができる。また、前記遮蔽体は、例えば取付姿勢や部品精度ばらつきなどで車両の幅方向に傾いたとしても、前記第1突条〜前記第3突条のいずれか二つが前記上側フランジ又は前記下側フランジにより確実に当接し続けることで、摺動抵抗の増減をより抑えることができ、これに伴う異音の発生をより抑えることができる。
【0010】
上記課題を解決するサンルーフ装置は、車両のルーフに形成された開口を開閉するように適合される可動パネルと、前記可動パネルの車両の高さ方向下方で前記開口の車両の幅方向各縁部に車両の前後方向に延びるように設けられ、車両の幅方向内側に向かって延出するフランジを有するガイドレールと、前記可動パネルの車両の幅方向各縁部に車両の前後方向に延びるように取着され、車両の高さ方向に間隔をあけて車両の幅方向に延出して前記フランジを挟む上側延出片及び下側延出片並びにそれら上側延出片及び下側延出片の車両の幅方向内側端同士を車両の高さ方向に接続する接続部を有する遮蔽体とを備え、前記遮蔽体は、前記上側延出片に車両の高さ方向下方に突設され、前記フランジに当接可能な上側突条と、前記下側延出片に車両の高さ方向上方に突設され、前記フランジに当接可能な下側突条とを有する。
【0011】
この構成によれば、前記可動パネルの車両の幅方向各縁部に取着された前記遮蔽体は、前記フランジよりも車両の幅方向内側で前記可動パネル及び前記ガイドレール間を覆う。そして、前記可動パネルが開閉作動すると、前記遮蔽体は、前記フランジを挟む前記上側延出片及び前記下側延出片を車両の前後方向に移動させつつ一体で移動する。このとき、前記遮蔽体は、基本的に前記上側突条及び前記下側突条が共に前記フランジに線当たりで当接することで、即ち前記フランジとの接触部位が共に限定されていることで、摺動時の姿勢をより安定化することができる。また、前記遮蔽体は、例えば取付姿勢や部品精度ばらつきなどで車両の幅方向に傾いたとしても、前記上側突条及び前記下側突条のいずれか一方が前記フランジにより確実に当接し続けることで、摺動抵抗の増減を抑えることができ、これに伴う異音の発生を抑えることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、摺動抵抗の増減に伴う異音の発生を抑制できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施形態を斜め下方から見た斜視図。
図2図1の2−2線に沿った断面図。
図3図2の拡大図。
図4】(a)〜(f)は、同実施形態の作用を示す断面図。
図5】変形形態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、サンルーフ装置の一実施形態について説明する。なお、以下では、車両の前後方向を「前後方向」といい、車両の高さ方向上方及び下方をそれぞれ「上方」及び「下方」という。また、車室内方に向かう車両の幅方向内側を「車内側」といい、車室外方に向かう車両の幅方向外側を「車外側」という。
【0017】
図1に示すように、自動車などの車両のルーフ10には、略四角形の開口10aが形成されるとともに、サンルーフ装置11が搭載される。このサンルーフ装置11は、前後方向に移動して開口10aを開閉する、例えばガラス板からなる略四角形の可動パネル12を備える。また、サンルーフ装置11は、開口10aの車両の幅方向両縁部にそれぞれ配置された一対のガイドレール13を備える。各ガイドレール13は、例えばアルミニウム合金の押出材からなり、長手方向に一定断面を有して前後方向に延在する。
【0018】
すなわち、図2に示すように、ガイドレール13は、上方に開口する断面略C字状の第1ガイド部14を有する。また、ガイドレール13は、第1ガイド部14の車内側端上部に接続された第2ガイド部15を有する。図3に示すように、この第2ガイド部15は、車両の高さ方向に間隔をあけて第1ガイド部14よりも車内側に互いに平行に延出する上側フランジ15a及び下側フランジ15b並びにそれら上側フランジ15a及び下側フランジ15bの車外側端同士を車両の高さ方向に接続する接続壁15cを有して車内側に開口する断面略コの字形状を呈する。
【0019】
なお、図2に示すように、第1ガイド部14には、可動パネル12の車両の幅方向各縁部に連係された適宜の摺動部材(図示略)が前後方向に摺動自在に支持される。可動パネル12は、摺動部材が第1ガイド部14に沿って前後方向に移動することで開閉作動する。具体的には、可動パネル12は、全閉状態において摺動部材が車両の前方に移動することで、その前部を中心に後部が上動する方向に回動するチルトアップ作動をする。あるいは、可動パネル12は、全閉状態において摺動部材が車両の後方に移動することで、その前部を中心に後部が下動する方向に回動するチルトダウン作動をするとともに、摺動部材が車両の後方に更に移動することで、チルトダウン状態のまま全開状態まで開作動する(いわゆるインナースライディング式)。
【0020】
可動パネル12の車両の幅方向各縁部及び第2ガイド部15間には、遮蔽体としてのガーニッシュ20が介装されている。このガーニッシュ20は、例えば樹脂の押出材からなり、長手方向に一定断面を有して前後方向に延在する。ガーニッシュ20の上端部は、車外側に開口する断面略コの字状の取付部21を形成する。一方、可動パネル12の車両の幅方向各縁部には、例えば金属板からなる取付パネル16が接合されている。この取付パネル16の車内側端部は、可動パネル12に対して下方に変位して取付片16aを形成する。ガーニッシュ20は、取付部21で取付片16aを挟持することで可動パネル12に固定される。
【0021】
ガーニッシュ20の下端部は、車外側に開口する断面略コの字状の係合部22を形成する。図3に示すように、この係合部22は、車両の高さ方向に間隔をあけて車両の幅方向に互いに略平行に延出して上側フランジ15aを挟む延出片としての下側延出片22a及び第2の延出片としての上側延出片22b並びにそれら下側延出片22a及び上側延出片22bの車内側端同士を車両の高さ方向に接続する接続部22cを有する。なお、下側延出片22aは、上側フランジ15a及び下側フランジ15bに挟まれてもいる。そして、上側延出片22bの先端部には、第2ガイド部15よりも車外側で接続壁15cの上端よりも下方に突出する断面略三角形の抜け止め部22dが形成されている。この抜け止め部22dが前後方向に延在することはいうまでもない。
【0022】
また、ガーニッシュ20の下端部は、下側延出片22aの車外側端から上方に突設されて上側フランジ15aの下面に当接可能な断面略三角形の第1突条23を有するとともに、下側延出片22aの車内側端から下方に突設されて下側フランジ15bの上面に当接可能な断面略三角形の第2突条24を有する。さらに、ガーニッシュ20の下端部は、上側延出片22bの車外側端部から下方に突設されて上側フランジ15aの上面に当接可能な断面略半円形の第3突条25を有する。第1〜第3突条23〜25は、車両の幅方向における位置が互いに異なるように配置されている。これら第1〜第3突条23〜25が前後方向に延在することはいうまでもない。ガーニッシュ20は、基本的に第1突条23及び第2突条24がそれぞれ上側フランジ15a及び下側フランジ15bに当接する状態でそれらに下側延出片22aが挟まれ、第3突条25が上側フランジ15aに当接する状態で下側延出片22a及び上側延出片22bにより上側フランジ15aを挟む。そして、ガーニッシュ20は、このような状態で第2ガイド部15に前後方向に摺動自在に支持される。
【0023】
図2に示すように、取付部21及び係合部22の車内側端同士は、車両の高さ方向に伸縮自在な蛇腹部26を介して連結されている。この蛇腹部26は、可動パネル12のチルトアップ動作に追従して伸長し、可動パネル12のチルトダウン動作に追従して縮退する。そして、サンルーフ装置11のガーニッシュ20よりも車外側の部位(第1ガイド部14やこれを摺動する摺動部材等)がガーニッシュ20によって車室内側から遮蔽される。
【0024】
次に、本実施形態の作用について説明する。
可動パネル12の車両の幅方向各縁部に取着されたガーニッシュ20は、上側フランジ15aよりも車内側で可動パネル12及びガイドレール13間を覆う。そして、可動パネル12が開閉作動すると、ガーニッシュ20は、第2ガイド部15を摺動しつつ一体で移動する。つまり、可動パネル12の開閉作動に伴って取付部21が移動すると、蛇腹部26を介して係合部22が第2ガイド部15に沿って移動する。
【0025】
図3に示すように、ガーニッシュ20は、基本的に第1突条23及び第2突条24がそれぞれ上側フランジ15a及び下側フランジ15bに当接する状態でそれらに下側延出片22aが挟まれ、第3突条25が上側フランジ15aに当接する状態で下側延出片22a及び上側延出片22bにより上側フランジ15aを挟む。そして、移動時のガーニッシュ20は、基本的に第1突条23及び第2突条24が上側フランジ15a及び下側フランジ15bにそれぞれ線当たりで当接するとともに、第3突条25が上側フランジ15aに線当たりで当接する。つまり、移動時のガーニッシュ20は、基本的に上側フランジ15a及び下側フランジ15bとの接触部位がそれぞれ限定されることで、即ち上側フランジ15a及び下側フランジ15bによる3箇所での支持になることで、摺動時の姿勢がより安定化される。
【0026】
図4(a)に示すように、ガーニッシュ20は、上側フランジ15a及び下側フランジ15bの車両の高さ方向の離間距離が公差上の最大値であったとしても、第1〜第3突条23〜25の突出長が公差上の最大値であれば、同様に上側フランジ15a及び下側フランジ15bによる3箇所での支持になるように設定されている。あるいは、図4(b)に示すように、上側フランジ15a及び下側フランジ15bの車両の高さ方向の離間距離が公差上の最小値であったとしても、第1〜第3突条23〜25の突出長が公差上の最大値であれば、同様に上側フランジ15a及び下側フランジ15bによる3箇所での支持になるように設定されている。なお、図4(a)、(b)では、便宜的に第2ガイド部15及びガーニッシュ20の接触部位を○印で囲んでいる。図4(c)〜(f)でも同様である。
【0027】
また、図4(c)に示すように、上側フランジ15a及び下側フランジ15bの車両の高さ方向の離間距離が公差上の最大値であるとともに第1〜第3突条23〜25の突出長が公差上の最小値であるとする。この場合、ガーニッシュ20が車外側に傾く押付け姿勢になると、第2突条24及び第3突条25が下側フランジ15b及び上側フランジ15aにそれぞれ線当たりで当接して2箇所での支持になる。
【0028】
さらに、図4(d)に示すように、上側フランジ15a及び下側フランジ15bの車両の高さ方向の離間距離が公差上の最小値であるとともに第1〜第3突条23〜25の突出長が公差上の最小値であるとする。この場合であっても、ガーニッシュ20が車外側に傾く押付け姿勢になると、第2突条24及び第3突条25が下側フランジ15b及び上側フランジ15aにそれぞれ線当たりで当接して2箇所での支持になる。
【0029】
また、図4(e)に示すように、ガーニッシュ20は、上側フランジ15a及び下側フランジ15bの車両の高さ方向の離間距離が公差上の最大値であるとともに第1〜第3突条23〜25の突出長が公差上の最小値であるとする。この場合、ガーニッシュ20が車内側に傾く押上げ姿勢になると、第1突条23及び第2突条24が上側フランジ15a及び下側フランジ15bにそれぞれ線当たりで当接して2箇所での支持になる。
【0030】
さらに、図4(f)に示すように、上側フランジ15a及び下側フランジ15bの車両の高さ方向の離間距離が公差上の最小値であるとともに第1〜第3突条23〜25の突出長が公差上の最小値であるとする。この場合であっても、ガーニッシュ20が車内側に傾く押上げ姿勢になると、車内側に傾く押上げ姿勢で第1突条23及び第2突条24が上側フランジ15a及び下側フランジ15bにそれぞれ線当たりで当接して2箇所での支持になる。
【0031】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、可動パネル12の車両の幅方向各縁部に取着されたガーニッシュ20は、上側フランジ15aよりも車内側で可動パネル12及びガイドレール13間を覆う。そして、可動パネル12が開閉作動すると、ガーニッシュ20は、上側フランジ15a及び下側フランジ15b間に挟まれた下側延出片22aを車両の前後方向に移動させつつ一体で移動する。このとき、ガーニッシュ20は、基本的に第1突条23及び第2突条24が上側フランジ15a及び下側フランジ15bにそれぞれ線当たりで当接することで、即ち上側フランジ15a及び下側フランジ15bとの接触部位がそれぞれ限定されていることで、摺動時の姿勢をより安定化することができる。また、ガーニッシュ20は、例えば取付姿勢や部品精度ばらつきなどで車両の幅方向に傾いたとしても、第1突条23及び第2突条24のいずれか一方が上側フランジ15a又は下側フランジ15bにより確実に当接し続けることで、摺動抵抗の増減を抑えることができ、これに伴う異音の発生を抑えることができる。あるいは、ガーニッシュ20の摺動をより安定化することができる。
【0032】
(2)本実施形態では、可動パネル12が開閉作動すると、ガーニッシュ20は、下側延出片22aとの間に上側フランジ15aを挟む上側延出片22bを前後方向に移動させつつ一体で移動する。このとき、ガーニッシュ20は、基本的に第3突条25が更に上側フランジ15aに線当たりで当接することで、摺動時の姿勢をいっそう安定化することができる。また、ガーニッシュ20は、例えば取付姿勢や部品精度ばらつきなどで車両の幅方向に傾いたとしても、第1〜第3突条23〜25のいずれか二つが上側フランジ15a又は下側フランジ15bにより確実に当接し続けることで、摺動抵抗の増減をより抑えることができ、これに伴う異音の発生をより抑えることができる。
【0033】
(3)本実施形態では、抜け止め部22dにより、ガーニッシュ20がガイドレール13(第2ガイド部15)に対して車両の幅方向に抜け止めされることで、該ガーニッシュ20がガイドレール13から車両の幅方向に脱落することを抑制できる。
【0034】
(4)本実施形態では、前後方向に延在する第1〜第3突条23〜25であることで、それらをガーニッシュ20の押出成形に合わせて同時に形成することができる。
(5)本実施形態では、上側フランジ15a及び下側フランジ15bと係合部22との接触部位が第1〜第3突条23〜25に限定されていることで、それらの接触面積が低減される分、摺動抵抗を低減することができる。
【0035】
(6)本実施形態では、下側延出片22aに設けた第1及び第2突条23,24での摺動に、上側延出片22bに設けた第3突条25での摺動が加わることで、例えば第1及び第2突条23,24のみでの摺動に比べて第2ガイド部15(ガイドレール13)の製品ばらつきによる摺動抵抗の変動幅を抑えることができる。
【0036】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
図5に示すように、下側フランジ15bが省略されるとともに、上側フランジ15aと同様のフランジ31が車内側に向かって延出するガイドレール30であってもよい。この場合、可動パネル12が開閉作動すると、ガーニッシュ20は、フランジ31を挟む下側延出片22a及び上側延出片22bを車両の前後方向に移動させつつ一体で移動する。このとき、ガーニッシュ20は、基本的に上側突条としての第3突条25及び下側突条としての第1突条23が共にフランジ31に線当たりで当接することで、即ち該フランジ31との接触部位が共に限定されていることで、摺動時の姿勢をより安定化することができる。また、ガーニッシュ20は、例えば取付姿勢や部品精度ばらつきなどで車両の幅方向に傾いたとしても、第3突条25及び第1突条23のいずれか一方がフランジ31により確実に当接し続けることで、摺動抵抗の増減を抑えることができ、これに伴う異音の発生を抑えることができる。なお、第2突条24は省略してもよい。
【0037】
・前記実施形態において、上側延出片22b及び第3突条25を省略してもよい。
・前記実施形態において、第1〜第3突条23〜25のいずれか二つ以上は、車両の幅方向における位置が互いに一致するように配置されていてもよい。
【0038】
・前記実施形態において、ガーニッシュ20は、摩擦係数の小さい樹脂製であることが好ましい。あるいは、第1〜第3突条23〜25(係合部22)に低摩擦材料を塗布してもよい。
【0039】
・前記実施形態において、ガーニッシュ20は、押出成形以外で成形してもよい。この場合、第1〜第3突条23〜25の少なくとも一つは、ガーニッシュ20の全長に亘って前後方向に延在していなくてもよい。
【0040】
・前記実施形態において、ガーニッシュ20は、取付部21、係合部22及び蛇腹部26のいずれかを押出成形で成形して、残りをアウトソート成形などで成形してもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
【0041】
(イ)上記サンルーフ装置において、前記遮蔽体は、前記上側延出片の車両の幅方向先端部に車両の高さ方向下方に突設され、前記ガイドレールに対して前記遮蔽体を車両の幅方向に抜け止めする抜け止め部を有した、サンルーフ装置。
【0042】
この構成によれば、前記遮蔽体が前記ガイドレールから車両の幅方向に脱落することを抑制できる。
(ロ)車両のルーフに形成された開口を開閉するように適合される可動パネルと、
前記可動パネルの車両の高さ方向下方で前記開口の車両の幅方向各縁部に車両の前後方向に延びるように設けられ、車両の高さ方向に間隔をあけて車両の幅方向に互いに平行に延出する上側フランジ及び下側フランジ並びにそれら上側フランジ及び下側フランジの車両の幅方向外側端同士を車両の高さ方向に接続する接続壁を有するガイドレールと、
前記可動パネルの車両の幅方向各縁部に車両の前後方向に延びるように取着され、車両の高さ方向に間隔をあけて車両の幅方向に延出して前記上側フランジを挟む上側延出片及び下側延出片並びにそれら上側延出片及び下側延出片の車両の幅方向内側端同士を車両の高さ方向に接続する接続部を有し、前記上側フランジ及び前記下側フランジ間に前記下側延出片が挟まれる遮蔽体とを備え、
前記遮蔽体は、
前記下側延出片に車両の高さ方向上方及び下方にそれぞれ突設され、前記上側フランジ及び前記下側フランジにそれぞれ当接可能な第1突条及び第2突条と、
前記上側延出片に車両の高さ方向下方に突設され、前記上側フランジに当接可能な第3突条とを有した、サンルーフ装置。
【0043】
この構成によれば、例前記可動パネルの車両の幅方向各縁部に取着された前記遮蔽体は、前記上側フランジよりも車両の幅方向内側で前記可動パネル及び前記ガイドレール間を覆う。そして、前記可動パネルが開閉作動すると、前記遮蔽体は、前記上側フランジ及び前記下側フランジ間に挟まれた前記下側延出片を車両の前後方向に移動させ、該下側延出片との間で前記上側フランジを挟む前記上側延出片を車両の前後方向に移動させつつ一体で移動する。このとき、前記遮蔽体は、基本的に前記第1突条及び前記第2突条が前記上側フランジ及び前記下側フランジにそれぞれ線当たりで当接するとともに前記第3突条が前記上側フランジに線当たりで当接することで、即ち前記上側フランジ及び前記下側フランジとの接触部位がそれぞれ限定されていることで、摺動時の姿勢をより安定化することができる。また、前記遮蔽体は、例えば取付姿勢や部品精度ばらつきなどで車両の幅方向に傾いたとしても、前記第1〜第3突条のいずれか二つが前記上側フランジ又は前記下側フランジにより確実に当接し続けることで、摺動抵抗の増減を抑えることができ、これに伴う異音の発生を抑えることができる。
【符号の説明】
【0044】
10…ルーフ、10a…開口、11…サンルーフ装置、12…可動パネル、13,30…ガイドレール、15a…上側フランジ、15b…下側フランジ、15c…接続壁、20…ガーニッシュ(遮蔽体)、22a…下側延出片(延出片)、22b…上側延出片(第2の延出片)、22c…接続部、22d…抜け止め部、23…第1突条(下側突条)、24…第2突条、25…第3突条(上側突条)、31…フランジ。
図1
図2
図3
図4
図5