(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)通知システムの構成:
(2)監視対象経路取得処理:
(3)通知処理:
(4)他の実施形態:
【0012】
(1)通知システムの構成:
図1は、本発明の一実施形態である通知システム10の構成を示すブロック図である。本実施形態にかかる通知システム10は、CPU、RAM、ROM等を備える制御部20と、記録媒体30と通信部40とを備えており、制御部20は、当該ROMや記録媒体30に記録されたプログラムを実行することができる。通信部40は、車両Cおよび携帯端末Sと無線通信を行うための装置である。すなわち、制御部20は、通信部40を制御することにより、任意のタイミングで車両Cや携帯端末Sと通信を行って、任意の情報を授受することができる。
【0013】
本実施形態において、通知システム10と通信可能な車両C、携帯端末Sは複数存在する。また、車両Cはナビゲーションシステム200を備えており、ナビゲーションシステム200は、経路案内処理を実行することができる。すなわち、ナビゲーションシステム200は、利用者から指示された出発地から目的地までの経路を取得し、当該経路に沿って車両Cを誘導するための案内を行う。
【0014】
さらに、ナビゲーションシステム200は、既定のタイミングで通知システム10と通信を行って、車両Cが移動した移動経路に関する履歴情報(プローブ情報)を通知システム10に送信する機能を有している。すなわち、ナビゲーションシステム200は、車両Cの時刻毎の位置の履歴を取得して保持し、所定の送信タイミングで通知システム10に対して送信する。なお、本実施形態において、ナビゲーションシステム200から送信される履歴情報には、利用者を示すID(ナビゲーションシステム毎のIDや利用者毎のID等)が含まれている。
【0015】
さらに、ナビゲーションシステム200は、通知システム10が出力した通知をナビゲーションシステム200が備える表示部に表示させることができる。携帯端末Sは、携帯可能なコンピュータであり、各種のアプリケーションプログラムを実行することができる。本実施形態において携帯端末Sは、通知システム10が出力した通知を携帯端末Sが備える表示部に表示させるアプリケーションプログラムを実行することができる。
【0016】
以上のように、車両Cおよび携帯端末Sと通信可能な通知システム10において、通知システム10は、利用者が所定の到着時刻までに到着することを意図しながら日常の生活をおくっている目的地を推定し、当該目的地への到着が遅れないように通知を行う機能を有している。このために、ROMまたは記録媒体30には通知プログラム21が記録されており、制御部20は、当該通知プログラム21を実行することによって、当該通知を行うことができる。
【0017】
通知プログラム21は、履歴情報取得部21aと監視対象経路取得部21bと所要時間監視部21cと通知部21dとを備えている。履歴情報取得部21aは、移動体(本実施形態においては車両C)の移動経路と移動体の目的地に対する到着時刻を複数の移動経路について取得する機能を制御部20に実現させるプログラムモジュールである。すなわち、制御部20は、通信部40を介して、既定のタイミングでナビゲーションシステム200が送信する履歴情報を取得し、記録媒体30に保存する(履歴情報30a)。本実施形態において、履歴情報30aは車両Cの時刻毎の位置の履歴を示しているため、制御部20は、車両Cの移動開始地点を出発地、移動か終了地点を目的地と見なすことができ、車両が当該目的地に存在した時刻により、目的地への到着時刻を取得することができる。
【0018】
監視対象経路取得部21bは、到着時刻のばらつきが所定の判断基準よりも小さい目的地への移動経路を監視対象経路として取得する機能を制御部20に実現させるプログラムモジュールである。すなわち、目的地への到着時刻のばらつきが小さい場合、利用者が当該目的地に対して特定の時刻に到着するように意図していると推定される。そこで、制御部20は、履歴情報30aから出発地および目的地が同一の経路を候補経路として抽出し、候補経路毎に、目的地への到着時刻がばらついているか否かを、例えば、標準偏差等に基づいて判定する。そして、到着時刻のばらつきが小さい(標準偏差が閾値以下等)目的地への候補経路を監視対象経路として取得する。監視対象経路が取得されると、当該監視対象経路を示す監視対象経路情報30bが記録媒体30に記録される。
【0019】
図2Bは、ある候補経路(第1候補経路と呼ぶ)の到着時刻の分布を実線によって模式的に示し、他の候補経路(第2候補経路と呼ぶ)の到着時刻の分布を破線によって模式的に示している。
図2Bに示す第1候補経路と第2候補経路との到着時刻の分布を比較すると、第1候補経路の方がばらつきが少なく、第2候補経路の方がばらつきが多い。このような場合、第1候補経路に対して利用者は意図的に特定の到着時刻に到着しようとしていると推定することができる。そこで、本実施形態において制御部20は、到着時刻のばらつきに基づいて監視対象経路を取得する。
【0020】
所要時間監視部21cは、監視対象経路の所要時間が基準の時間に対して変化したか否かを監視する機能を制御部20に実現させるプログラムモジュールである。本実施形態において、制御部20は、履歴情報30aを参照し、監視対象経路上を移動した複数の移動体の移動履歴から現況交通情報を生成する。当該現況交通情報は、監視対象経路の出発地から目的地までの所要時間を示す情報であり、制御部20は、目的地の時刻と出発地の時刻との差分によって算出する。制御部20は、所定の期間毎に現況交通情報を生成し、所要時間情報30cとして記録媒体30に記録する。
【0021】
さらに、制御部20は、現況交通情報が生成されてから所定期間(例えば、1時間)が経過した場合、当該現況交通情報と過去に取得された現況交通情報とに基づいて統計交通情報を生成する。すなわち、記録媒体30には、現在時刻が属する日より前に現況交通情報として取得された情報が記録されているため、現在時刻が属する日における現況交通情報と、当該現在時刻が属する日より前に取得された現況交通情報との平均により、統計交通情報を生成する。生成された統計交通情報は、現在時刻における統計交通情報として所要時間情報30cとして記録される。
【0022】
そして、制御部20は、統計交通情報を基準の時間とし、現況交通情報と比較することにより、監視対象経路の所要時間が基準の時間に対して変化したか否かを監視する。すなわち、制御部20は、過去の統計と現況とを比較することにより、監視対象経路の所要時間が非日常的な所要時間になっているか否かを監視する。
【0023】
なお、変化の有無は、種々の手法で特定可能であり、例えば、制御部20が、現在時刻以前の所定期間(例えば、1時間)における現況交通情報としての所要時間を、同一時間帯の統計交通情報が示す所要時間と比較し、差分が基準を超えた場合に所要時間が基準の時間に対して変化したと見なす構成を採用可能である。
【0024】
通知部21dは、所要時間が基準の時間に対して変化した場合、移動体の利用者に所要時間の変化の発生を通知する機能を制御部20に実現させるプログラムモジュールである。すなわち、制御部20は、監視対象経路の所要時間が日常的な所要時間に対して変化した場合に、通信部40を介してナビゲーションシステム200または携帯端末Sに通知を表示させるための情報を送信する。この結果、ナビゲーションシステム200または携帯端末Sの表示部に監視対象経路の所要時間が変化したことを示す通知が表示される。当該通知により、利用者が所要時間の変化に対する対策を行うことができる。
【0025】
以上の構成において、到着時刻のばらつきが小さい目的地への移動経路を監視対象経路としているため、利用者が到着時刻を意識しながら利用している移動経路、すなわち、監視することが利用者にとって有用である経路を監視することができる。また、以上の構成においては、所要時間が変化した場合に利用者に通知するため、利用者が通常の時刻に出発し、監視対象経路上を通常の移動時間で移動した場合に、到着時刻に間に合わなくなる可能性がある場合に、利用者に通知することができる。従って、利用者が意識している到着時刻に間に合わなくなる可能性がある場合に利用者に通知することができる。
【0026】
(2)監視対象経路取得処理:
次に上述の構成における監視対象経路取得処理を詳細に説明する。
図2Aは、当該監視対象経路取得処理を示すフローチャートである。監視対象経路取得処理は、制御部20が、履歴情報取得部21aの処理によって履歴情報30aを記録媒体30に記録する処理を実行している状況において、予め決められた期間毎に実施される。また、本実施形態において、監視対象経路取得処理は、履歴情報30aが示す利用者毎に実行される。従って、本実施形態において、監視対象経路は、1利用者につき、1個特定され得る。
【0027】
監視対象経路取得処理が開始されると、制御部20は、監視対象経路取得部21bの処理により、記録媒体30に記録された履歴情報30aから候補経路を取得する(ステップS100)。すなわち、制御部20は、履歴情報30aを参照し、出発地から目的地までの複数個の経路についての情報を比較し、出発地が同一の地点(所定の距離以内の地点)であり、目的地が同一の地点である経路についての情報を抽出する。抽出された情報が示す経路が複数個である(出発地および目的地が共通であるが道路区間が異なる経路が存在する)場合、制御部20は、通過回数が最も多い経路を特定し、候補経路として取得する。
【0028】
次に、制御部20は、監視対象経路取得部21bの処理により、候補経路毎に到着時刻のばらつきを取得する(ステップS105)。すなわち、制御部20は、履歴情報30aを参照し、候補経路毎の目的地への到着時刻を取得する。そして、当該到着時刻のばらつきを評価する指標(標準偏差等)を算出する。次に、制御部20は、監視対象経路取得部21bの処理により、ばらつきが所定の判断基準よりも小さい候補経路を監視対象経路に設定する(ステップS110)。すなわち、制御部20は、到着時刻のばらつきを評価する指標に基づいてばらつきが所定の判断基準より小さいか否かを判定し、ばらつきが所定の判断基準より小さい候補経路を監視対象経路とする。
【0029】
(3)通知処理:
次に上述の構成における通知処理を詳細に説明する。
図2Cは、当該通知処理を示すフローチャートである。当該通知処理は、制御部20によって所定の期間毎に実行される。通知処理において、制御部20は、所要時間監視部21cの処理により、現況交通情報および統計交通情報を取得する(ステップS200)。すなわち、制御部20は、履歴情報30aを参照し、ステップS110で設定された利用者毎の監視対象経路のそれぞれについて、監視対象経路上を移動した複数の移動体の移動履歴を取得する。そして、制御部20は、当該移動履歴に基づいて、監視対象経路の目的地に移動体が存在した時刻と出発地に移動体が存在した時刻との差分を取得し、監視対象経路の現況交通情報を生成して所要時間情報30cとして記録媒体30に記録する。さらに、制御部20は、現在時刻以前の所定期間(例えば、1時間)において取得された現況交通情報を、比較対象として取得する。
【0030】
なお、制御部20は、現況交通情報が生成されてから所定期間が経過した場合、当該現況交通情報に基づいて統計交通情報を生成し、所要時間情報30cとして記録している。そこで、制御部20は、現在時刻以前の所定期間の統計交通情報を比較対象として取得する。
【0031】
次に、制御部20は、所要時間監視部21cの処理により、現況および統計の所要時間の推移を比較する(ステップS205)。すなわち、ステップS200において比較対象として取得された現況交通情報は、現在における監視対象経路の所要時間を所定期間にわたって示している。従って、当該現況交通情報は、現況における所要時間の所定期間にわたる推移を示している。一方、ステップS200において比較対象として取得された統計交通情報は、日常的な監視対象経路の所要時間を所定期間にわたって示している。そこで、制御部20は、両者の差分(差分の累計等)を取得することによって、現在の所要時間の推移と日常的な所要時間の推移とを比較する。
【0032】
そして、制御部20は、所要時間監視部21cの処理により、所要時間の推移が変化したか否かを判定する(ステップS210)。すなわち、制御部20は、ステップS205で取得された所要時間の推移の差分が基準を超えた場合に所要時間の推移が変化したと判定する。
【0033】
ステップS210において、所要時間の推移が変化したと判定されない場合、制御部20は、監視対象経路の所要時間が基準の時間に対して変化していないと見なして、ステップS200以降の処理を繰り返す。一方、ステップS210において、所要時間の推移が変化したと判定された場合、制御部20は、通知部21dの処理により、利用者が移動中であるか否かを判定する(ステップS215)。本実施形態においては、
図2Aに示す監視対象経路取得処理が利用者毎に実施されることにより、監視対象経路が利用者毎に設定されているため、制御部20は、ステップS210において、所要時間の推移が変化したと判定された監視対象経路について、その利用者を特定する。そして、制御部20は、当該利用者についての履歴情報30aが通信部40を介して継続的に取得されている場合に、当該利用者が移動中であると判定する。
【0034】
ステップS215において、利用者が移動中であると判定された場合、制御部20は、ナビゲーションシステム200に対して通知を行う(ステップS220)。すなわち、制御部20は、通信部40を介してナビゲーションシステム200に対して、監視対象経路の所要時間が変化したことを示す情報を送信する。この結果、ナビゲーションシステム200は、監視対象経路の所要時間が変化したことを示す情報を利用者に通知する。利用者が移動している場合、利用者は当該ナビゲーションシステム200による通知を視認できる状態にあると推定されるため、ナビゲーションシステム200によって通知が行われることにより、利用者は高い確率で当該通知を視認することができる。従って、利用者は、移動過程において、通常の経路を変更するなどの対策をとることができる。
【0035】
一方、ステップS215において、利用者が移動中であると判定されない場合、制御部20は、携帯端末Sに対して通知を行う(ステップS225)。すなわち、制御部20は、通信部40を介して携帯端末Sに対して、監視対象経路の所要時間が変化したことを示す情報を送信する。この結果、携帯端末Sは、監視対象経路の所要時間が変化したことを示す情報を利用者に通知する。移動体が移動していない場合、ナビゲーションシステム200における通知を利用者が受け取れないと推定される。一方、携帯端末Sであれば、利用者が携帯している、または、通知が行われた場合に視認できる状態であることが期待される。従って、制御部20が携帯端末Sに通知を行うことにより、利用者が監視対象経路に沿った移動を開始する前であっても、監視対象経路に沿った移動の過程で経由地に立ち寄っている最中であっても、高い確率で利用者に対して通知を認識させることができる。
【0036】
(4)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、種々の実施形態を採用可能である。例えば、通知システムを構成する各手段は、上述の実施形態のように、1個の装置で実現されてもよいし、2個以上の装置に分かれて存在していても良い。後者としては、例えば、履歴情報取得部21aにおける処理や、監視対象経路取得部21bの処理等がナビゲーションシステム200や携帯端末Sで実行される構成を採用可能である。むろん、
図1に記載された制御部以外の制御部が各手段の一部を実行する構成であってもよい。
【0037】
さらに、車両Cは自動車に限定されず、自転車等であってもよい。むろん、ナビゲーションシステム200は、車両Cに搭載された装置であってもよいし、可搬型の装置であってもよい。
【0038】
さらに、監視対象経路は、利用者毎に定義されなくても良い。例えば、複数の車両Cから取得された履歴情報30aにおいて出発地と目的地とが共通の経路が複数個存在するのであれば、制御部20が、当該複数個の経路について目的地への到着時刻のばらつきを解析することで監視対象経路を取得する構成としても良い。
【0039】
履歴情報取得手段は、移動体の移動経路と移動体の目的地に対する到着時刻を複数の移動経路について取得することができればよい。すなわち、履歴情報取得手段は、目的地毎の到着時刻のばらつきを解析し、到着時刻のばらつきが小さいと評価された移動経路を監視対象経路として特定するための情報を取得することができればよい。移動経路は、移動経路を移動する際の所要時間を監視できるように定義されていれば良く、経路を構成する道路区間によって移動経路が特定されても良いし、経路上の複数個の地点(例えば、出発地および目的地)によって移動経路が特定されても良い。
【0040】
監視対象経路取得手段は、到着時刻のばらつきが所定の判断基準よりも小さい目的地への移動経路を監視対象経路として取得することができればよい。すなわち、監視対象経路取得手段は、利用者が、特定の時刻に目的地に到着するように意図した結果、目的地への到着時刻が特定の範囲に集中して分布しているような状況において、当該状況が発生していることを、特着時刻のばらつきによって判定することができればよい。ばらつきについての所定の判断基準は、到着時刻が特定の範囲に集中して分布しているか否かを判断する基準であれば良く、例えば、到着時刻のヒストグラムについての標準偏差や分散等に閾値を設定することによって判断基準とみなすような構成等が挙げられる。
【0041】
所要時間監視手段は、監視対象経路の所要時間が基準の時間に対して変化したか否かを監視することができればよい。所要時間の監視は種々の情報に基づいて実行可能である。例えば、所要時間監視手段が、監視対象経路上を移動した複数の移動体の移動履歴(速度や時刻毎の位置の履歴等)を取得することにより、監視対象経路の所要時間を計算し、基準の時間に対する変化を監視しても良いし、監視対象経路上の渋滞度に基づいて基準の時間に対する変化を監視しても良い。
【0042】
所要時間の、基準の時間に対する変化は、種々の態様によって定義することができる。例えば、所要時間監視手段が、現在時刻以前の所定期間(例えば、1時間)における所要時間を基準の時間(例えば、同一時間帯の過去の所要時間)と比較し、差分が基準を超えた場合に所要時間が基準の時間に対して変化したと見なす構成を採用可能である。また、所要時間監視手段が、当日の所要時間の平均値と過去の所要時間の平均値を比較する構成や、当日の所要時間の推移を当日のより長期の所要時間の推移(または平均)と比較する構成等であっても良い。
【0043】
さらに、所要時間監視手段が、監視対象経路を目的地まで移動した場合に到達する時刻を推定し、当該時刻が、履歴情報が示す到着時刻のばらつきの範囲外となった場合に、所要時間が基準の時間に対して変化したと判定する構成であっても良い。なお、所要時間の基準の時間に対する変化は、長期化、短期化のいずれであっても良い。前者であれば到着時刻に遅れないように利用者に通知をすることができ、後者であれば過度に早い時刻に到着しないように利用者に通知をすることができる。
【0044】
通知手段は、所要時間が基準の時間に対して変化した場合、移動体の利用者に所要時間の変化の発生を通知することができればよい。すなわち、利用者に対する当該通知により、利用者が所要時間の変化に対する対策を行うことができるように構成されていれば良い。通知は、利用者が対策を行うことができるような通知であるため、到着時刻より前、すなわち、利用者が監視対象経路に沿った移動を開始する前、または、監視対象経路上を移動している過程で行われることが好ましい。
【0045】
通知の構成例として、移動体が移動中でなければ、通知手段が、移動体の利用者が使用する携帯端末に対して所要時間の変化の発生を通知する構成としても良い。すなわち、移動体に関する通知の対象は種々の端末、例えば、移動体が備えるナビゲーション端末や携帯端末が想定されるが、移動体が移動していない場合、ナビゲーション端末における通知を利用者が受け取れないと推定される。一方、携帯端末であれば、利用者が携帯している、または、通知が行われた場合に視認できる状態であることが期待される。
【0046】
従って、携帯端末に通知が行われれば、利用者が監視対象経路に沿った移動を開始する前であっても、監視対象経路に沿った移動の過程で経由地に立ち寄っている最中であっても、高い確率で利用者に対して通知を認識させることができる。そこで、移動体が移動中でなければ、通知手段が携帯端末に対して通知を行うことで、高い確率で利用者に対して通知を認識させることができる。むろん、携帯端末においては、通知を利用者に認識可能に出力する(例えば、画像の表示や音声の出力等)。
【0047】
なお、移動体が移動中である場合、移動体が備えるナビゲーション端末が通知対象となっても良いし、利用者が使用する携帯端末が通知対象となっても良い。また、移動体が移動中であるか否かは、種々の手法で特定可能である。例えば、移動体が移動する場合には、当該移動の履歴を通知システムに所定のタイミングで送信する構成を採用すれば、通知システムは、当該履歴が送信されていない場合に移動体が移動中でないと判定することができる。
【0048】
さらに、到着時刻のばらつきを判定するための所定の判断基準は、固定的な基準であっても良いし、変動しても良い。後者の例として、監視対象経路取得手段が、目的地の属性に応じて所定の判断基準を変化させる構成としても良い。この構成は、
図1に示す構成と同様の構成で実現可能であり、制御部20が
図2Aに示す処理を実行し、ステップS105において履歴情報30aを参照して履歴情報30aとして記録された目的地の属性を特定する。そして、制御部20は、目的地の属性に予め対応づけられた判断基準を取得し、当該判断基準に基づいて候補経路のばらつきを評価する。この構成によれば、ある属性の目的地については到着時刻が特定のばらつきである場合に監視対象経路となるが、他の属性の目的地については同等のばらつきであっても監視対象経路とならないなどの状況が発生し得る。
【0049】
すなわち、目的地の属性が異なれば、到着時刻を遵守すべき程度が異なる。例えば、目的地が勤務地である場合と、遊戯施設である場合とを比較すると、通常は、前者の方が後者よりも到着時刻を守るべき必要性が高い。従って、目的地の属性に応じて監視対象経路とすべきばらつきの判断基準を変化させれば、目的地の属性に応じて監視対象経路を設定することが可能になる。
【0050】
さらに、目的地が移動体の利用者に設定されたか否かに応じて、監視対象経路取得手段が、所定の判断基準を変化させる構成を採用してもよい。すなわち、経路探索の目的地として利用者が設定した地点は利用者が明確な意図をもって訪問した地点であり、利用者が目的地として設定しなかった地点と比較して到着時刻を遵守すべき程度が高い場合が多い。そこで、目的地が移動体の利用者に設定されたか否かに応じて所定の判断基準を変化させる(例えば、目的地が利用者に設定された場合、設定されない場合よりも小さいばらつきとする)構成とすれば、到着時刻を遵守すべき程度に応じて監視対象経路を設定することができる。この構成は、
図1に示す構成と同様の構成で実現可能であり、この構成において、利用者に設定されたか否かを示す情報が目的地に対応づけられた状態で履歴情報30aに記録される。そして、制御部20が
図2Aに示す処理を実行し、ステップS105において履歴情報30aを参照して履歴情報30aとして記録された目的地が利用者に設定された目的地であるか否かを特定する。さらに、制御部20は、利用者に設定された目的地と設定されていない目的地とで異なる判断基準を取得し、当該判断基準に基づいて候補経路のばらつきを評価する。
【0051】
さらに、監視対象経路取得手段が、移動体の利用者の属性に応じて所定の判断基準を変化させる構成を採用してもよい。すなわち、利用者の属性が異なると、到着時刻を遵守する傾向が異なる場合がある。例えば、利用者の年齢や性別等によって、到着時刻を遵守する傾向が異なる場合がある。従って、移動体の利用者の属性に応じて所定の判断基準を変化させる構成とすれば、到着時刻を遵守する傾向に応じて監視対象経路を設定することが可能になる。なお、移動体の利用者の属性は、利用者自身の属性(年齢等)であっても良いし、利用者が利用する移動体(車両の車種等)であっても良い。この構成は、
図1に示す構成と同様の構成で実現可能であり、この構成において、利用者の属性を示す情報が移動履歴に対応づけられた状態で履歴情報30aに記録される。そして、制御部20が
図2Aに示す処理を実行し、ステップS105において履歴情報30aを参照して移動履歴毎の利用者の属性を特定する。さらに、制御部20は、利用者の属性毎に予め決められた判断基準を取得し、当該判断基準に基づいて候補経路のばらつきを評価する。
【0052】
前記監視対象経路取得手段は、移動体の利用者の嗜好タイプに応じて所定の判断基準を変化させる構成を採用してもよい。ここで、利用者の嗜好タイプは、利用者が移動体を利用して移動する際に現れる嗜好であり、利用者の行動に影響を与える。嗜好タイプは、種々の態様で定義可能であり、例えば、せっかちや、おっとり等の性格によって定義しても良いし、移動体の移動履歴(平均速度や加速度、経路の道路種別等)の特徴が類似する利用者が同一の嗜好タイプに分類されるように定義しても良い。嗜好タイプは、例えば、利用者自身の指定等によって予め利用者毎に定義されても良いし、利用者の移動履歴の解析(例えば、因子分析やクラスター分析等)によって定義されても良い。この構成は、
図1に示す構成と同様の構成で実現可能であり、この構成において、利用者の嗜好タイプを示す情報が移動履歴に対応づけられた状態で履歴情報30aに記録される。そして、制御部20が
図2Aに示す処理を実行し、ステップS105において履歴情報30aを参照して移動履歴毎の利用者の嗜好タイプを特定する。さらに、制御部20は、利用者の嗜好タイプ毎に予め決められた判断基準を取得し、当該判断基準に基づいて候補経路のばらつきを評価する。
【0053】
さらに、本発明のように、到着時刻のばらつきが所定の判断基準よりも小さい目的地への移動経路を監視対象経路として取得し、監視対象経路の所要時間が基準の時間に対して変化したか否かを監視する手法は、プログラムや方法としても適用可能である。また、以上のようなシステム、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合や、複数の装置によって実現される場合が想定可能であり、各種の態様を含むものである。例えば、以上のような手段を備えたサーバーや方法、プログラムを提供することが可能である。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、システムを制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。