(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記床版の下面よりも下方の位置であって、かつ、前記床版支持桁の略鉛直方向下方の位置に配置されていて、前記床版支持桁を少なくとも前記床版を介して間接的に支持する支持部材をさらに備え、
前記支持部材は、前記橋梁の橋軸直角方向部材に支持されていることを特徴とする請求項1に記載の床版支持構造。
前記支持部材は、前記橋梁の前記橋軸直角方向部材の略鉛直方向上方に位置するように前記橋軸直角方向部材に取り付けられていることを特徴とする請求項2に記載の床版支持構造。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0029】
(第1実施形態)
図1および
図2は、本発明の第1実施形態に係る床版支持構造10を模式的に示す橋軸方向から見た鉛直断面図であり、
図3は、
図2のIII−III線断面図である。なお、
図1は、床版支持構造10を橋梁80に取り付けた後の状況を模式的に示す図であり、
図2は、床版支持構造10を橋梁80に取り付けた後、横断面方向(橋軸直角方向)に約半断面の既設床版84Bを撤去した後の状況を模式的に示す図である。
【0030】
本第1実施形態に係る床版支持構造10を設置する橋梁80は、4つの主桁82と、主桁82によって下方から支持される既設床版84と、隣り合う主桁82同士の間に略橋軸直角方向に配置されて両端部を主桁82に取り付けられている既設横桁(橋軸直角方向部材)86と、を備えている。
【0031】
本第1実施形態に係る床版支持構造10は、主桁82による既設床版84の支持を補強して、橋梁80の既設床版84の支持状態の安全性を高め、横断面方向(橋軸直角方向)に約半断面の既設床版84(84B)を撤去した後でも、残された既設床版84(84A)を安全に供用できるようにする。床版支持構造10自身は、既設横桁86を介して主桁82に支持されている。
【0032】
図1に示すように、本第1実施形態に係る床版支持構造10を橋梁80に設置して橋梁80の既設床版84の支持を補強した後、
図2に示すように、既設床版84の横断面方向(橋軸直角方向)の断面のうちの約半分の断面に相当する既設床版84(84B)を撤去する工事を行うものとして、以下説明する。
【0033】
本第1実施形態に係る床版支持構造10は、床版支持桁12と、吊り部材14と、支持部材16と、防護柵18と、を有してなる。
【0034】
床版支持桁12は、橋梁80の既設床版84の橋軸直角方向の中央部付近の上方に(既設床版84の上面に敷設された舗装84Xの橋軸直角方向の中央部付近の上面に)、その長手方向が略橋軸方向となるように配置されている。
【0035】
床版支持桁12は、橋梁80の橋面上(既設床版84の舗装84Xの上面)に配置されるため、設置および撤去を容易に行うことができる。
【0036】
床版支持桁12は、既設床版84を、吊り部材14を介して上方から吊り上げて支持する(
図3参照)。床版支持桁12は、既設床版84を上方から吊り上げて支持するのに十分な断面力伝達能力および剛性を有していれば、その材質や形状は特には限定されないが、具体的には例えば、鋼板からビルドアップして製作された鋼材や形鋼を用いることができる。鋼板からビルドアップして製作された鋼材や形鋼を床版支持桁12に用いる場合、その断面形状も特には限定されないが、例えば断面がH形のものを用いることができる。
【0037】
本第1実施形態に係る床版支持構造10で用いる床版支持桁12は、断面がH形であり、ウェブ12Aと、上フランジ12Bと、下フランジ12Cと、縦リブ12Dと、を有してなる。
【0038】
また、床版支持桁12は、1つの部材のみで形成されていなくてもよく、想定される断面力の伝達を十分になすことができ、かつ、必要な剛性も確保できるのであれば、複数の部材を溶接や機械的な接合により連結させたものであってもよい。
【0039】
吊り部材14は、軸部14Aと、頭部14Bと、当て鋼材14Cと、ナット14Dを有してなり、既設床版84を吊り上げるように床版支持桁12に連結する。頭部14Bは軸部14Aよりも径が大きくなっている。当て鋼材14Cとして用いることができる鋼材の形状は特には限定されず、具体的には例えば、鋼板を用いることができ、あるいは、山形鋼等の形鋼等を用いることもできる。
【0040】
床版支持桁12の下フランジ12Cおよび既設床版84には、孔の位置が一致するように、鉛直方向にそれぞれ貫通孔が所定のピッチ(例えば1000mmのピッチ)で複数設けられている。既設床版84に設けられたこれらの複数の貫通孔は、床版支持桁12を配置する位置に合わせて、略橋軸方向に一列に配置されている。そして、床版支持桁12の下フランジ12Cおよび既設床版84にそれぞれ設けた前記複数の貫通孔に吊り部材14の軸部14Aをそれぞれ挿通させて、頭部14Bが床版支持桁12の下フランジ12Cに引っ掛かって係止するように、吊り部材14が複数配置されている。吊り部材14がこのように配置された状態で、吊り部材14の軸部14Aは、その下端部が既設床版84の下面よりも下方に突出するような長さを有しており、既設床版84の下面よりも下方に突出した軸部14Aの下端部の外周面はねじが切られている。当て鋼材14Cには吊り部材14の軸部14Aが挿通できる大きさの貫通孔が設けられており、この貫通孔に軸部14Aの下端部を挿通させて、当て鋼材14Cを既設床版84の下面に当てがい、その状態でねじが切られた軸部14Aの下端部をナット14Dで螺合している。
【0041】
このような連結状態で、床版支持桁12は、既設床版84を、吊り部材14を介して上方から吊り上げて支持している。
【0042】
支持部材16は、床版支持桁12を下方から支持する部材であり、既設床版84の下面よりも下方の位置であって、かつ、床版支持桁12の略鉛直方向下方の位置に配置されていて、床版支持桁12を既設床版84を介して間接的に下方から支持している。
【0043】
さらに具体的には、支持部材16は、
図1および
図2に示すように、既設横桁86の上面に取り付けられて既設横桁86によって支持されていて、既設床版84の下面と既設横桁86の上面との間に挟まれるように配置されている。そして、支持部材16は、床版支持桁12の略鉛直方向下方の既設床版84の下面に反力を加えて、既設床版84を介して間接的に下方から床版支持桁12を支持している。
【0044】
支持部材16は、床版支持桁12の重量および既設床版84A上を通行する車両の活荷重によってもたらされる荷重の増分を支持するのに十分な耐力および剛性があれば、その材質や形状は特には限定されないが、具体的には例えば、鋼板からビルドアップして製作された鋼材や形鋼を用いることができる。
【0045】
また、支持部材16は、既設床版84の下面と既設横桁86の上面との間に挟まれるように配置されていればよく、従来用いられていた増設縦桁のように橋軸方向に長い部材を用いる必要はなく、支持部材16の水平断面(支持部材16を水平面で切断したときの断面)の大きさは、橋軸方向の幅が既設横桁86の橋軸方向の幅程度あればよく、橋軸直角方向の幅が床版支持桁12の橋軸直角方向の幅程度あればよい。したがって、既設床版84が上方に存在していても、支持部材16を、既設床版84の下面と既設横桁86の上面との間に挟まれるように配置することは容易である。
【0046】
なお、本第1実施形態に係る床版支持構造10を構成する部材のうち、既設床版84よりも下方に配置する部材は支持部材16だけであり、かつ、支持部材16は、従来用いられていた橋軸方向に長い増設縦桁と比べて大きさがはるかに小さい。このため、本第1実施形態に係る床版支持構造10を橋梁80に設置する際の施工性は、部材長の大きい増設縦桁を既設床版84よりも下方に配置する必要のあった従来工法と比べて、施工性が格段に向上している。
【0047】
防護柵18は、
図2に示すように、既設床版84の左側の約半断面である既設床版84Bを撤去した後、残った右側の約半断面である既設床版84Aを供用する際、通行する車両の安全を確保するために設置する防護柵である。
【0048】
防護柵18を床版支持桁12の上面に取り付けた状態で現場に搬入して設置することにより、床版支持桁12と防護柵18とを同時に設置することができるので、必要な工程を少なくすることができる。また、
図1〜
図3に示すように、防護柵18を床版支持桁12の上面に取り付けた場合には、橋梁80の橋軸直角方向の橋面上のスペースを広く確保することができる。
【0049】
なお、床版支持桁12は防護柵としての機能も有しているので、床版支持桁12の防護柵としての機能のみで、通行する車両の安全を確保できるのであれば、防護柵18は設けなくてもよい。
【0050】
以上、本第1実施形態に係る床版支持構造10を構成する各部材について説明したが、本第1実施形態に係る床版支持構造10を構成する各部材は、橋梁80の床版取替え工事が終了するまでの一時的な期間のみ用いる仮設部材とすることを想定している。しかしながら、要求される供用条件や設計条件等を満たして安全性が確認できれば、恒久的に使用することも可能である。
【0051】
なお、橋梁80の主桁82の数は4つであったが、本第1実施形態に係る床版支持構造10を適用可能な橋梁の主桁の数は特には限定されず、偶数ではなく奇数であってもよい。
図4および
図5は、主桁83の数が5つである橋梁81に、本第1実施形態に係る床版支持構造10を適用した場合を模式的に示す橋軸方向から見た鉛直断面図である。
【0052】
また、本第1実施形態に係る床版支持構造10を適用する橋梁の既設床版の鉛直切断面(橋軸方向に平行な鉛直切断面)の位置は、本第1実施形態に係る床版支持構造10を適用する橋梁に応じて適宜に定めればよい。
図1および
図2では、橋梁80の既設床版84の鉛直切断面(橋軸方向に平行な鉛直切断面)を橋軸直角方向の中央部よりもやや左側に設け、
図4および
図5では、橋梁81の既設床版85の鉛直切断面(橋軸方向に平行な鉛直切断面)を橋軸直角方向の中央部に設けている。
【0053】
符号85Aは既設床版85の右側半分であり、符号85Bは既設床版85の左側半分であり、符号85Xは既設床版85の上面に敷設された舗装であり、符号87は既設横桁である。
【0054】
(第1実施形態の効果)
本第1実施形態に係る床版支持構造10の主たる部材である床版支持桁12は、橋梁80の橋面上(既設床版84の舗装84Xの上面)に配置されるため、設置および撤去を容易に行うことができる。
【0055】
また、本第1実施形態に係る床版支持構造10を構成する部材のうち、既設床版84よりも下方に配置する部材は支持部材16だけであり、かつ、支持部材16は、従来用いられていた部材長の大きい増設縦桁と比べて大きさがはるかに小さい。このため、本第1実施形態に係る床版支持構造10を橋梁80に設置する際の施工性は、従来工法(既設床版84よりも下方に部材長の大きい増設縦桁を配置する必要のあった従来工法)と比べて、施工性が格段に向上している。
【0056】
また、防護柵18を床版支持桁12に取り付けた状態で現場に搬入して設置することにより、床版支持桁12と防護柵18とを同時に設置することができるので、必要な工程を少なくすることができる。
【0057】
したがって、本第1実施形態に係る床版支持構造10を橋梁80に設置する際の施工性は、従来工法と比べて格段に向上している。
【0058】
また、防護柵18を床版支持桁12の上面に取り付けた場合には、橋梁80の橋軸直角方向の橋面上のスペースを広く確保することができる。
【0059】
(第2実施形態)
図6および
図7は、本発明の第2実施形態に係る床版支持構造20を模式的に示す橋軸方向から見た鉛直断面図であり、
図8は、
図7のVIII−VIII線断面図である。なお、
図6は、床版支持構造20を橋梁90に取り付けた後の状況を模式的に示す図であり、
図7は、床版支持構造20を橋梁90に取り付けた後、横断面方向(橋軸直角方向)に約半断面の既設床版94Bを撤去した後の状況を模式的に示す図である。
【0060】
本発明の第2実施形態に係る床版支持構造20を設置する橋梁90は、4つの主桁92と、主桁92によって下方から支持される既設床版94と、隣り合う主桁92同士の間に略橋軸直角方向に配置されて両端部を主桁92に取り付けられている既設対傾構(橋軸直角方向部材)96と、を備えている。
【0061】
しかしながら、中央部(橋軸直角方向の中央部)の既設対傾構(図示せず)では、床版支持構造20を橋梁90に取り付けた後に加わる荷重を支持できないか、あるいは、中央部(橋軸直角方向の中央部)に対傾構がもともと設置されていないため、本第2実施形態では、橋梁90の中央部の既設対傾構を新設横桁22に交換、あるいは、既設対傾構96の間に新設横桁22を新たに取り付け、その後に床版支持構造20を橋梁90に設置している。
【0062】
中央部の既設対傾構を新設横桁22に交換または既設対傾構96の間に新設横桁22を新たに取り付けている点以外は、本第2実施形態に係る床版支持構造20は第1実施形態に係る床版支持構造10と同様であるので、本発明の第2実施形態に係る床版支持構造20の説明において、第1実施形態に係る床版支持構造10の部材と対応する部材については同一の符号を付し説明は省略する。
【0063】
本第2実施形態に係る床版支持構造20は、主桁92による既設床版94の支持を補強して、橋梁90の既設床版94の支持状態の安全性を高め、横断面方向(橋軸直角方向)に約半断面の既設床版94(94B)を撤去した後でも、残された既設床版94(94A)を安全に供用できるようにする。床版支持構造20自身は、新設横桁22を介して主桁92に支持されている。
【0064】
図6に示すように、本第2実施形態に係る床版支持構造20を橋梁90に設置して橋梁90の既設床版94の支持を補強した後、
図7に示すように、既設床版94の横断面方向(橋軸直角方向)の断面のうちの約半分の断面に相当する既設床版94(94B)を撤去する工事を行う。
【0065】
なお、符号94Xは、既設床版94の上面に敷設された舗装である。
【0066】
(第2実施形態の効果)
本第2実施形態に係る床版支持構造20においては、橋梁90の中央部(橋軸直角方向の中央部)の既設対傾構を新設横桁22に交換、あるいは、既設対傾構96の間に新設横桁22を新たに取り付け、その後に床版支持構造20を橋梁90に設置しているので、橋梁90の中央部の既設対傾構を新設横桁22に交換、あるいは、既設対傾構96の間に新設横桁22を新たに取り付ける必要がある点で、第1実施形態に係る床版支持構造10と比べて施工性が劣るが、新設横桁22以外に既設床版94よりも下方に配置する部材は支持部材16だけであり、かつ、支持部材16は、従来用いられていた部材長の大きい増設縦桁と比べて大きさがはるかに小さい。このため、本第2実施形態に係る床版支持構造20を橋梁90に設置する際の施工性は、従来工法と比べて向上している。
【0067】
また、防護柵18についての効果は、第1実施形態に係る床版支持構造10と同様である。
【0068】
(第3実施形態)
第1実施形態に係る床版支持構造10は、橋梁80の既設床版84を支持する構造であったが、本発明の第3実施形態に係る床版支持構造30は、新設床版32を支持する構造であり、この点が第1実施形態に係る床版支持構造10と異なる。それ以外の点は、本第3実施形態に係る床版支持構造30は第1実施形態に係る床版支持構造10と同様であるので、本第3実施形態に係る床版支持構造30の説明において、第1実施形態に係る床版支持構造10の部材と対応する部材については同一の符号を付し説明は省略する。なお、本第3実施形態に係る床版支持構造30を設置する橋梁は、第1実施形態に係る床版支持構造10を設置した橋梁80と同一の橋梁であり、橋梁80における同一対象の部位は第1実施形態の説明の際に付した符号と同一の符号を原則として付して説明する。
【0069】
図9〜
図11は、本発明の第3実施形態に係る床版支持構造30を設置する各工程の状況を模式的に示す橋軸方向から見た鉛直断面図であり、
図12は、
図11のXII−XII線断面図である。なお、
図9は、橋梁80の既設床版84の右側約半分の既設床版84Dを撤去する前の状況を模式的に示す図であり、
図10は、橋梁80の既設床版84の右側約半分の既設床版84Dを撤去した後の状況を模式的に示す図であり、
図11および
図12は、橋梁80の残った既設床版84(84C)の右側に新設床版32を設置している状況を模式的に示す図である。
【0070】
また、
図13は、橋軸方向に隣り合う新設床版32同士の連結状況を模式的に示す側面図であり、
図14は、新設床版32を設置した後、橋梁80の既設床版84の左側約半分の既設床版84Cを撤去した後の状況を模式的に示す鉛直断面図である。
【0071】
本第3実施形態に係る床版支持構造30の説明においては、橋梁80の既設床版84の左側約半分の既設床版84Cを供用させたまま、橋梁80の既設床版84の右側約半分の既設床版84Dを撤去し、その後に、新設床版32を設置する施工を行うことを前提とする。また、本第3実施形態においては、橋梁80の既設床版84の右側約半分の既設床版84Dを撤去した後、橋梁80の既設床版84の左側約半分の既設床版84Cは補強を行わなくても安全に供用を続けることができるものとする。
【0072】
橋梁80の既設床版84の左側約半分の既設床版84Cを供用させたまま、橋梁80の既設床版84の右側約半分の既設床版84Dを撤去する場合、
図9に示すように、橋梁80の橋面上の橋軸直角方向の中央部よりもやや左側寄りに仮設防護柵34を設置する。
【0073】
そして、
図10に示すように、橋梁80の既設床版84の右側約半分の既設床版84Dを撤去する。既設床版84Dを撤去した後、支持部材16を既設横桁86の上面に取り付ける。
【0074】
次に、クレーン等で新設床版32を吊り上げて、橋梁80の残った既設床版84(84C)の右側に新設床版32を設置する。新設床版32には予め工場で、床版支持桁12および防護柵18を取り付けておく(防護柵18は床版支持桁12の上面に取り付ける。)。このようにすることで、現場での作業を少なくすることができる。新設床版32の右側端部に設ける地覆36および高欄38は予め工場で設置しておいてもよいが、新設床版32と合わせた重量が大きくなりすぎるようであれば、地覆36および高欄38は現場で設けるようにする。
【0075】
新設床版32の橋軸方向の両端部には継ぎ手部材40(
図12参照)が橋軸直角方向に所定の間隔で設けられている。そして、新設床版32を橋軸方向に隣り合うように配置すると、橋軸方向に隣り合う新設床版32の継ぎ手部材40は橋軸直角方向に交互に配置されるようになっており、継ぎ手部材40が橋軸直角方向に交互に配置された部位に間詰めコンクリートを打設して継ぎ手部42を設け、橋軸方向に隣り合う新設床版32同士を一体化させる。
【0076】
また、橋軸方向に隣り合う床版支持桁12同士の間には、床版支持桁12と同様の断面形状を持つ床版支持桁用連結部材44を配置し、
図13に示すように、床版支持桁12と床版支持桁用連結部材44とを連結板46を介して連結させ、これにより橋軸方向に隣り合う床版支持桁12同士を連結させる。
【0077】
また、橋軸方向に隣り合う防護柵18同士の間には、防護柵用連結部材48を必要に応じて配置して、橋軸方向に隣り合う防護柵18同士を連結させる。
【0078】
橋梁80の残った既設床版84(84C)の右側に新設床版32を設置して、
図13および
図14に示すように床版支持桁12が支持部材16によって支持された状態になれば、第1実施形態と同様の床版支持構造30が完成する。橋梁80に新設床版32を設置した後、新設床版32の上面に舗装32Xを敷設すれば、新設床版32の車線の供用を開始することができる。
【0079】
なお、新設床版32を設置した後、橋梁80の左側約半分の既設床版84Cも新設床版に交換することを想定して、
図14では橋梁80の左側約半分の既設床版84Cを破線で描いている。
【0080】
(第4実施形態)
第2実施形態に係る床版支持構造20は、橋梁90の既設床版94を支持する構造であったが、本発明の第4実施形態に係る床版支持構造50は、新設床版32を支持する構造であり、この点が第2実施形態に係る床版支持構造20と異なる。それ以外の点は、本第4実施形態に係る床版支持構造50は第2実施形態に係る床版支持構造20と同様であるので、本第4実施形態に係る床版支持構造50の説明において、第2実施形態に係る床版支持構造20の部材と対応する部材については同一の符号を付し説明は省略する。なお、本第4実施形態に係る床版支持構造50を設置する橋梁は、第2実施形態に係る床版支持構造20を設置した橋梁90と同一の橋梁であり、橋梁90における同一対象の部位は第2実施形態の説明の際に付した符号と同一の符号を原則として付して説明する。
【0081】
図15〜
図17は、本発明の第4実施形態に係る床版支持構造50を設置する各工程の状況を模式的に示す橋軸方向から見た鉛直断面図であり、
図18は、
図17のXVIII−XVIII線断面図である。なお、
図15は、橋梁90の既設床版94の右側約半分の既設床版94Dを撤去する前の状況を示す図であり、
図16は、橋梁90の既設床版94の右側約半分の既設床版94Dを撤去した後の状況を示す図であり、
図17および
図18は、橋梁90の残った既設床版94(94C)の右側に新設床版32を設置している状況を示す図である。
【0082】
また、
図19は、橋軸方向に隣り合う新設床版32同士の連結状況を模式的に示す側面図であり、
図20は、新設床版32を設置した後、橋梁90の既設床版94の左側約半分の既設床版94Cを撤去した後の状況を模式的に示す鉛直断面図である。
【0083】
本発明の第4実施形態に係る床版支持構造50を設置する橋梁90は、4つの主桁92と、主桁92によって下方から支持される既設床版94と、隣り合う主桁92同士の間に略橋軸直角方向に配置されて両端部を主桁92に取り付けられている既設対傾構(橋軸直角方向部材)96と、を備えている。
【0084】
しかしながら、中央部(橋軸直角方向の中央部)の既設対傾構(図示せず)では、床版支持構造50を橋梁90に取り付けた後に加わる荷重を支持できないか、あるいは、中央部(橋軸直角方向の中央部)に対傾構がもともと設置されていないため、本第4実施形態では、橋梁90の中央部の既設対傾構を新設横桁22に交換、あるいは、既設対傾構96の間に新設横桁22を新たに取り付け、その後に床版支持構造50を橋梁90に設置している。
【0085】
本第4実施形態に係る床版支持構造50の説明においては、橋梁90の既設床版94の左側約半分の既設床版94Cを供用させたまま、橋梁90の既設床版94の右側約半分の既設床版94Dを撤去し、その後に、新設床版32を設置する施工を行うことを前提とする。また、本第4実施形態においては、橋梁90の既設床版94の右側約半分の既設床版94Dを撤去した後、橋梁90の既設床版94の左側約半分の既設床版94Cは補強を行わなくても安全に供用を続けることができるものとする。
【0086】
橋梁90の既設床版94の左側約半分の既設床版94Cを供用させたまま、橋梁90の既設床版94の右側約半分の既設床版94Dを撤去する場合、
図15に示すように、橋梁90の橋面上の橋軸直角方向の中央部よりもやや左側寄りに仮設防護柵34を設置する。
【0087】
そして、
図16に示すように、橋梁90の既設床版94の右側約半分の既設床版94Dを撤去する。既設床版94Dを撤去した後、支持部材16を新設横桁22の上面に取り付ける。
【0088】
次に、クレーン等で新設床版32を吊り上げて、橋梁90の残った既設床版94(94C)の右側に新設床版32を設置する。新設床版32には予め工場で、床版支持桁12および防護柵18を取り付けておく(防護柵18は床版支持桁12の上面に取り付ける。)。このようにすることで、現場での作業を少なくすることができる。新設床版32の右側端部に設ける地覆36および高欄38は予め工場で設置しておいてもよいが、新設床版32と合わせた重量が大きくなりすぎるようであれば、地覆36および高欄38は現場で設けるようにする。
【0089】
新設床版32の橋軸方向の両端部には継ぎ手部材40(
図18参照)が橋軸直角方向に所定の間隔で設けられている。そして、新設床版32を橋軸方向に隣り合うように配置すると、橋軸方向に隣り合う新設床版32の継ぎ手部材40は橋軸直角方向に交互に配置されるようになっており、継ぎ手部材40が橋軸直角方向に交互に配置された部位に間詰めコンクリートを打設して継ぎ手部42を設け、橋軸方向に隣り合う新設床版32同士を一体化させる。
【0090】
また、橋軸方向に隣り合う床版支持桁12同士の間には、床版支持桁12と同様の断面形状を持つ床版支持桁用連結部材44を配置し、
図19に示すように、床版支持桁12と床版支持桁用連結部材44とを連結板46を介して連結させ、これにより橋軸方向に隣り合う床版支持桁12同士を連結させる。
【0091】
また、橋軸方向に隣り合う防護柵18同士の間には、防護柵用連結部材48を必要に応じて配置して、橋軸方向に隣り合う防護柵18同士を連結させる。
【0092】
橋梁90の残った既設床版94(94C)の右側に新設床版32を設置して、
図19および
図20に示すように床版支持桁12が支持部材16によって支持された状態になれば、第2実施形態と同様の床版支持構造50が完成する。橋梁90に新設床版32を設置した後、新設床版32の上面に舗装32Xを敷設すれば、新設床版32の車線の供用を開始することができる。
【0093】
なお、新設床版32を設置した後、橋梁90の左側約半分の既設床版94Cも新設床版に交換することを想定して、
図20では橋梁90の左側約半分の既設床版94Cを破線で描いている。
【0094】
(第1〜第4実施形態に共通する補足事項)
以上説明した第1〜第4実施形態において設けた吊り部材14は、既設床版84または新設床版32に鉛直方向に設けられた貫通孔を挿通するように配置されているが、安全が確認できれば、既設床版84または新設床版32に鉛直方向に設ける孔を貫通孔にせず、上方のみ開口した鉛直方向の孔にして、吊り部材14に替えてあと施工アンカーを用いてもよい。また、安全が確認できれば、用いるあと施工アンカーの種類は特には限定されず、例えば、金属系アンカーや接着系アンカーを用いることができる。
【0095】
また、支持部材16は、第1〜第4実施形態において、既設横桁86または新設横桁22の上面に取り付けるようにしたが、既設横桁86または新設横桁22から上方への支持力を十分に受けられるのであれば、支持部材16は、既設横桁86または新設横桁22の上面に取り付けられていなくてもよい。
【0096】
また、防護柵18は、第1〜第4実施形態のいずれにおいても床版支持桁12の上面に取り付けられているが、防護柵は必ずしも床版支持桁12と一体化させなくてもよく、例えば
図21(橋梁80を橋軸方向から見た鉛直断面図)に示す防護柵19のように、床版支持桁12と分離させた構造としてもよい。