特許第6489310号(P6489310)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6489310
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】ダクト型空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/20 20060101AFI20190318BHJP
   F24F 13/22 20060101ALI20190318BHJP
【FI】
   F24F1/00 401D
   F24F1/00 361Z
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-106610(P2015-106610)
(22)【出願日】2015年5月26日
(65)【公開番号】特開2016-217680(P2016-217680A)
(43)【公開日】2016年12月22日
【審査請求日】2017年12月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】100083194
【弁理士】
【氏名又は名称】長尾 常明
(72)【発明者】
【氏名】辻 康雅
(72)【発明者】
【氏名】比嘉 保志
【審査官】 田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−011393(JP,A)
【文献】 特開平11−141909(JP,A)
【文献】 実開昭48−018742(JP,U)
【文献】 特開2005−155949(JP,A)
【文献】 特開2009−220761(JP,A)
【文献】 特開2011−208847(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/20
F24F 13/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天面と底面と左側面と右側面と前面と後面とを有する直方体形状で、前記後面に空気吸込口が設けられ、前記前面に空気吹出口が設けられた筐体と、該筐体の前記空気吸込口と前記空気吹出口とを結ぶ空気流通路における前記空気吸込口の側に配置された送風ファンと、上側熱交換器と下側熱交換器を接合先端部が前記空気吹出口の側を向くように側面視で<字形状に形成され前記空気流通路における前記空気吹出口の側に配置された熱交換器と、該熱交換器の下方に位置するように前記筐体の前記底面の内側に配置されたドレンパンと、を備えたダクト型空気調和機において、
前記筐体の前記天面の内側には、前記左側面から前記右側面に亘るように、下向きに突出する凸条体が設けられ、該凸条体の位置は前記上側熱交換器の上方で、且つ前記上側熱交換器の空気流通方向に対する中央よりも前記空気吹出口に寄った位置に対応する位置に設けられていることを特徴とするダクト型空気調和機。
【請求項2】
請求項1に記載のダクト型空気調和機において、
前記筐体の前記天面の内側で且つ該熱交換器の上方に位置するように、断熱材が配置され、該断熱材の下面に前記凸条体が設けられていることを特徴とするダクト型空気調和機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のダクト型空気調和機において、
前記凸条体は、板金製であることを特徴とするダクト型空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内の天井裏や壁面裏等に配置されるダクト型空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のダクト型空気調和機300として、例えば図5に示すように、室内天井板70と建屋天井壁80との間に、吊具B1、B2によって懸架されるものがある(例えば、特許文献1、2、3)。このダクト型空気調和機300は、中空の直方体で板金製の筐体10Cを備え、その筐体10Cの横方向の一方の端部には空気吸込口11が形成され、一方の端部と反対側の他方の端部には空気吹出口12が形成されている。そして、その空気吸込口11と空気吹出口12を結ぶ空気流通路13内において、空気吹出口12の側に熱交換器20Cが、空気吸込口11の側に送風ファン50が、それぞれ配置されている。
【0003】
空気吸込口11は、吸込ダクト90Aを介して天井板70に取り付けられた吸込グリル71に接続され、空気吹出口12は、吹出ダクト90Bを介して天井板70の吹出グリル72に接続されている。
【0004】
従来では、熱交換器は、その熱交換器が空気流通路13の空気流通方向に対して直交する方向に、つまり縦位置となるように配置されていたが、このようにすると、その熱交換器の高さ分だけ筐体10Cの内側に空間が必要となって、熱交換容量を大きくする際に筐体の大型化を招いていた。
【0005】
そこで、図5に示されるように、熱交換器20Cを上側熱交換器21Cと下側熱交換器22Cに分けて構成し、その両者を、側面視で「<字形状」となるようにを組み合わせて形成し、その接合先端部20aが空気吹出口12の側を向くように配置することが行われた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−011393号公報
【特許文献2】特許第5587060号公報
【特許文献3】特開2007−292405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図5で説明したダクト型空気調和機は、筐体10Cの中の空気流通路13を空気吹出口12の方向に向かう空気流のうち、上側熱交換器21Cを通過する空気流が筐体10Cの天面板10C1の内面にぶつかる。これは、上側熱交換器21Cを形成する複数の板状のフィン同士が所定の間隔をあけて空気流の流通方向と直交する方向に配置されているため、そのフィンによって空気流が上方向にガイドされるからである。このため、冷房運転時には、その空気流中に含まれる冷却された水分が露となってその天面板10C1の内面に付着する。そして、最悪の場合はその露が空気流通路13を通過する空気流で剥ぎ取られて、空気吹出口12からダクト型空気調和機の300の外部に飛び出し、最終的には吹出グリル72から室内に吹き出されるおそれがあった。
【0008】
本発明の目的は、側面視で「<字形状」となるように形成された熱交換器を使用する場合であっても、筐体の天面の内面に付着した露が空気吹出口の方向に吹き出されることを防止したダクト型空気調和機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、天面と底面と左側面と右側面と前面と後面とを有する直方体形状で、前記後面に空気吸込口が設けられ、前記前面に空気吹出口が設けられた筐体と、該筐体の前記空気吸込口と前記空気吹出口とを結ぶ空気流通路における前記空気吸込口の側に配置された送風ファンと、上側熱交換器と下側熱交換器を接合先端部が前記空気吹出口の側を向くように側面視で<字形状に形成され前記空気流通路における前記空気吹出口の側に配置された熱交換器と、該熱交換器の下方に位置するように前記筐体の前記底面の内側に配置されたドレンパンと、を備えたダクト型空気調和機において、前記筐体の前記天面の内側には、前記左側面から前記右側面に亘るように、下向きに突出する凸条体が設けられ、該凸条体の位置は前記上側熱交換器の上方で、且つ前記上側熱交換器の空気流通方向に対する中央よりも前記空気吹出口に寄った位置に対応する位置に設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項2にかかる発明は、請求項1に記載のダクト型空気調和機において、前記筐体の前記天面の内側で且つ該熱交換器の上方に位置するように、断熱材が配置され、該断熱材の下面に前記凸条体が設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項3にかかる発明は、請求項1又は2に記載のダクト型空気調和機において、前記凸条体は、板金製であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、凸条体によって筐体の天面の下面や断熱材の下面に付着した露が吹出口方向に吹き出されることを阻止することができ、冷房運転であっても、室内に露が吹き出されることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施例のダクト型空気調和機の断面図である。
図2】本発明の第1の実施例の図1の左右を反転させたダクト型空気調和機の断面図である。
図3】本発明の第2の実施例のダクト型空気調和機の断面図である。
図4】本発明の第2の実施例の図3の左右を反転させたダクト型空気調和機の断面図である。
図5】従来のダクト型空気調和機の取付説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1の実施例>
図1図2に本発明の第1の実施例のダクト型空気調和機100を示す。10は板金製の筐体であり、熱交換器用の筐体10Aと送風ファン用の筐体10Bとを組み合わせて、天面を形成する天面板10A1と10B1、下面を形成する底面板10A2と10B2、右側面を形成する右側面板10A3と10B3、左側面を形成する左側面板10A4と10B4をそれぞれ有するよう直方体形状に構成され、後面には空気吸込口11が設けられ、前面には空気吹出口12が設けられている。
【0016】
熱交換器用の筐体10Aには、相対向するように空気吹出口12と空気流通口15が形成され、その内部には熱交換器20が配置されている。そして、その筐体10Aの天面板10A1の内面には断熱材30が配置され、底面板10A2の上面にはドレンパン40が配置されている。
【0017】
送風ファン用の筐体10Bには、空気吸込口11と相対向するように空気流通口14が形成され、内部に送風ファン50が配置されている。
【0018】
筐体10Aと筐体10Bは、空気流通口14と空気流通口15が連通して、筐体10の内部に空気吸込口11と空気吹出口12を結ぶ空気流通路13が形成されるように組み立てられる。
【0019】
熱交換器20は、上側熱交換器21の下端部を下側熱交換器22の先端部の上面に重ねることで、側面視で「<字形状」に組み立てられている。そして、上側熱交換器21の下端部と下側熱交換器22の上端部が突き合わされた接合先端部20aが、空気吹出口12を向くように、筐体10B内に配置されている。
【0020】
断熱材30の下面31には、下向きの凸条体32が、空気吹出口12の方向に向かう空気流の流れの方向と直交する方向、つまり筐体10Aの右側面板10A3の側から左側面板10A4の側までの領域に亘って、一体的に形成されている。その凸条体32が形成される位置は、図1図2で示したように、上側熱交換器21の空気流方向に対する中央よりも空気吹出口12の側に寄った位置の上方である。
【0021】
送風ファン50には、図示しないモータによって回転駆動される羽根車52をファンケース51内に備えたシロッコファンが用いられ、空気吸込口11から空気を吸い込んで空気流通口14,15を介して熱交換器20の方向に吹き出す。
【0022】
さて、熱交換器20に冷媒を流通させて送風ファン50を駆動すると、空気吸込口11から吸い込まれた空気が、空気流通口14,15を経由して上部熱交換器21と下側熱交換器22を通過する際に、その冷媒と熱交換される。
【0023】
このとき、上部熱交換器21に吸い込まれた空気は、前記したようにその上部熱交換器21のフィン(このフィンは図1における上部熱交換器21の長手方向に直交する方向に配置されている)にガイドされて、断熱材30の下面31の方向に吹き出されてそこにぶつかる。このため、冷房運転のときは、空気流に含まれていた水分が露となってその下面31に付着することがあり、その付着した露が空気流によって空気吹出口12の方向に押し出されることがある。
【0024】
しかし、本実施例では、断熱材30に形成された凸条体32によって、空気吹出口12の方向に露が吹き出されることが防止される。この露は、冷房運転中の温度制御によって送風ファン50の風量が少なくなったりあるいは送風が停止した際に、上側熱交換器21に落下し、さらに下側熱交換器22に落下し、終局的にはドレンパン40に集められる。
【0025】
なお、下側熱交換器22に吸い込まれた空気は、その下側熱交換器22のフィンにガイドされて下方向に吹き付けられるが、ドレンパン40に当たるので、その空気に含まれていた水分による露は、ドレンパン40に集められ、空気吹出口12の方向に押し出されることはない。
【0026】
以上から、本実施例によれば、断熱材30の下面31に下向きの設けた凸条体32によって、断熱材30の下面に付着した露が吹出口方向12に吹き出されることを阻止することができ、室内に露が吹き出される事態を防止できる。
【0027】
<第2の実施例>
図3図4に第2の実施例のダクト型空気調和機200を示す。上記した第1の実施例では露が吹き出されることを阻止する凸条体32を断熱材30に一体的に構成したが、本実施例では、別部材の例えば板金製のL字形状の単体の凸条体60を形成し、その凸条体60を、断熱材30の下面31を上方向に押し付けた状態で、熱交換器用の筐体10Aの右側面板10A3から左側面板10A4に架け渡して固定する。
【0028】
凸条体32,60を設けると、それらが流通する風に対して抵抗となるので風量が減少する。しかし、下方向への突出高さXが異なる凸条体60を複数用意して、その着脱を自在にしておけば、露の吹出防止効果と風量減少の関係を調整して適切な状態を得ることができる。なお、ダクト型空気調和機に断熱材30が使用されていない場合は、その凸条体60を筐体10Aの天面板10A1の内面に取り付ければよい。
【符号の説明】
【0029】
10:筐体
10A:熱交換器用の筐体、10A1:天面板、10A2:底面板、10A3:右側面板、10A4:左側面板
10B:送風ファン用の筐体、10B1:天面板、10B2:底面板、10B3:右側面板、10B4:左側面板
10C:筐体、10C1:天面板
11:空気吸込口、12:空気吹出口、13:空気流通路、14,15:空気流通口
20,20C:熱交換器、20a:接合先端部
21,21C:上側熱交換器
22,22C:下側熱交換器
30:断熱材、31:下面、32:凸条体
40:ドレンパン
50:送風ファン、51:ファンケース、52:羽根車
60:凸条体
70:室内天井板、71:吸込グリル、72:吹出グリル
80:建屋天井壁
90A:吸込ダクト
90B:吹出ダクト
100,200,300:ダクト型空気調和機
図1
図2
図3
図4
図5