(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記滅菌槽内で被滅菌物を滅菌中、前記判定手段は、滅菌工程開始から設定時間経過後の前記熱交換器に対する液体の出口温度と入口温度との温度差が設定値以上であるか否かにより、前記滅菌槽内の被滅菌物に対する蒸気浸透性の良否を判定する
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の工程試験装置。
前記通液部に対する液体の入口温度、出口温度および流量の内、出口温度の他、入口温度を設定温度に維持しない場合には入口温度も、また、流量を設定流量に維持しない場合には流量も、前記滅菌工程中、所定時間ごとに運転データ記憶手段に保存し、
この運転データ記憶手段に保存されたデータを、所定機器に出力可能とされた
ことを特徴とする請求項7〜11のいずれか1項に記載の蒸気滅菌装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の工程試験用具は、いずれも、滅菌槽内に配置して使用される。工程試験用具を滅菌槽内に配置するので、その分だけ、被滅菌物の収容空間が狭まるし、被滅菌物の出し入れの邪魔にもなる。また、滅菌槽内に配置された工程試験用具は、滅菌工程中、所定の開口部から内部へ蒸気が導入される以外に、滅菌槽内に満たされた蒸気により外部からも熱を受けるので、内部への蒸気浸透性評価に支障をきたすおそれもある。
【0006】
さらに、市販されている従来の工程試験用具は、専用インジケータを内部に収容して用いられ、その専用インジケータを滅菌の度に取り替える必要があり、費用を要する。また、専用インジケータを工程試験用具内にセットし、その工程試験用具を滅菌槽内に入れて使用するので、滅菌装置の一連の運転が完了するまで、被滅菌物に対する蒸気浸透性の良否を確認することができない。さらに、専用インジケータを工程試験用具内にセットし、その工程試験用具を滅菌槽内に入れて滅菌運転後、滅菌槽内から工程試験用具を取り出すと共に、その工程試験用具から専用インジケータを取り出して、その結果を保管管理する必要があり、運用に手間を要する。
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、滅菌槽内における被滅菌物の収容空間を狭めることなく、また被滅菌物に対する蒸気浸透性の良否を正確に知ることができ、さらに専用インジケータが不要で繰り返し使用できる、工程試験装置とこれを備えた蒸気滅菌装置を提供することにある。また、好ましくは、滅菌装置の運転完了を待たずに、被滅菌物に対する蒸気浸透性の良否を確認することができ、運用も容易な工程試験装置とこれを備えた蒸気滅菌装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、蒸気滅菌装置の滅菌槽外に設けられ、前記滅菌槽内と連通する中空部を有すると共に、その中空部内の流体と熱交換する液体の通液部を有する熱交換器と、前記通液部に対する液体の入口温度、出口温度および流量に基づき、前記滅菌槽内の被滅菌物に対する蒸気浸透性の良否を判定する判定手段とを備えることを特徴とする工程試験装置である。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、工程試験装置が滅菌槽外に設けられるので、滅菌槽内における被滅菌物の収容空間を狭めるおそれがないし、被滅菌物の出し入れを邪魔するおそれもない。また、工程試験装置が滅菌槽外に設けられるので、滅菌蒸気により外部から熱を受けるおそれがなく、被滅菌物に対する蒸気浸透性の良否を正確に知ることができる。その際、単に滅菌槽内と連通する中空部内の温度を検出するのではなく、中空部内の流体と通液部の通液とを熱交換させて、通液部に通される液体の熱伝達による温度変化に基づき、被滅菌物に対する蒸気浸透性の良否を判定するので、空気が混じった蒸気の熱伝達性を評価することもできる。さらに、専用インジケータが不要で繰り返し使用することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記通液部には、液体が設定流量で通され、前記判定手段は、前記通液部に対する液体の入口温度および出口温度に基づき、前記滅菌槽内の被滅菌物に対する蒸気浸透性の良否を判定することを特徴とする請求項1に記載の工程試験装置である。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、通液部に液体を設定流量で通すことで、通液部に対する液体の入口温度および出口温度に基づき、被滅菌物に対する蒸気浸透性の良否を確認することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、前記通液部には、液体が設定流量で通されると共に、その液体は、前記通液部の入口温度を設定温度に維持され、前記判定手段は、前記通液部に対する液体の出口温度に基づき、前記滅菌槽内の被滅菌物に対する蒸気浸透性の良否を判定することを特徴とする請求項1に記載の工程試験装置である。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、通液部に液体を設定流量で通すと共に、通液部に対する液体の入口温度を設定温度に維持することで、通液部に対する液体の出口温度に基づき、被滅菌物に対する蒸気浸透性の良否を確認することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、前記熱交換器は金属管を備え、この金属管の中空穴が前記中空部とされ、前記金属管は、一端部が前記滅菌槽に接続されて、前記中空穴が前記滅菌槽内と連通される一方、他端部が圧縮空気供給弁を介して圧縮空気供給源に接続されて、前記中空穴に圧縮空気を供給可能とされることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の工程試験装置である。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、金属管を用いて、熱交換器を容易に構成することができる。また、金属管の中空穴に圧縮空気を通すことで、熱交換器からの凝縮水の排出と、熱交換器の冷却とを図ることができる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、前記熱交換器は、軸線を上下方向へ沿って配置された内管と、これを取り囲むよう設けられた外管とを備え、前記内管は、下端部が前記滅菌槽に接続されて、内管の中空穴が前記滅菌槽内と連通される一方、上端部が圧縮空気供給弁を介して圧縮空気供給源に接続されて、内管の中空穴に圧縮空気を供給可能とされ、前記内管と前記外管との間の円筒状空間に、前記液体としての水が通されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の工程試験装置である。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、内管と外管との二重管を用いて、熱交換器を容易に構成することができる。また、内管の中空穴に圧縮空気を通すことで、熱交換器からの凝縮水の排出と、熱交換器の冷却とを図ることができる。その際、内管は、上下方向へ沿って配置され、上方から下方へ圧縮空気が通されるので、内管からの凝縮水の排出を容易に確実に行うことができる。その他、通液部に通す液体として水を用いることで、容易に安定して調達できると共に、万一の熱交換器の破損にも安全である。
【0018】
請求項6に記載の発明は、前記滅菌槽内で被滅菌物を滅菌中、前記判定手段は、滅菌工程開始から設定時間経過後の前記熱交換器に対する液体の出口温度と入口温度との温度差が設定値以上であるか否かにより、前記滅菌槽内の被滅菌物に対する蒸気浸透性の良否を判定することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の工程試験装置である。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、滅菌工程開始から設定時間経過後の通液部に対する液体の出入の温度差に基づき、容易に確実に、被滅菌物に対する蒸気浸透性の良否を確認することができる。しかも、滅菌装置の運転完了を待たずに、被滅菌物に対する蒸気浸透性の良否を確認することもできる。
【0020】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の工程試験装置を備えた蒸気滅菌装置であって、被滅菌物が収容されると共に前記工程試験装置が接続される滅菌槽と、この滅菌槽内の気体を外部へ吸引排出して前記滅菌槽内を減圧する減圧手段と、減圧された前記滅菌槽内へ外気を導入して前記滅菌槽内を復圧する復圧手段と、前記滅菌槽内へ蒸気を供給する給蒸手段と、前記滅菌槽内から蒸気の凝縮水を排出するドレン排出手段と、大気圧との差圧により前記滅菌槽内の気体を外部へ排出する排気手段と、前記滅菌槽内の圧力を検出する圧力センサと、前記滅菌槽内の温度を検出する温度センサと、これらセンサの検出信号に基づき前記各手段を制御して、前記滅菌槽内の空気を排除する前処理工程、前記滅菌槽内の被滅菌物を蒸気で滅菌する滅菌工程、前記滅菌槽内から蒸気を排出する排気工程、および前記滅菌槽内を減圧して被滅菌物を乾燥する乾燥工程を順次に実行する制御手段とを備え、前記滅菌工程において、前記工程試験装置の前記熱交換器に液体を通して、前記判定手段により前記滅菌槽内の被滅菌物に対する蒸気浸透性の良否を判定することを特徴とする蒸気滅菌装置である。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、上記各請求項に記載の発明の作用効果を奏する蒸気滅菌装置を実現することができる。特に、滅菌工程において、工程試験装置の熱交換器に液体を通して、被滅菌物に対する蒸気浸透性の良否を確認することができる。
【0022】
請求項8に記載の発明は、請求項4または請求項5に記載の工程試験装置を備えた蒸気滅菌装置であって、前記滅菌工程後の設定タイミングで、前記圧縮空気供給弁を開いて、前記熱交換器の前記中空部内に圧縮空気を通して、前記熱交換器からの凝縮水の排出と、前記熱交換器の冷却とを図ることを特徴とする請求項7に記載の蒸気滅菌装置である。
【0023】
請求項8に記載の発明によれば、滅菌工程後の設定タイミングにおいて、熱交換器の中空部内に圧縮空気を通して、熱交換器からの凝縮水の排出と、熱交換器の冷却とを図ることができる。
【0024】
請求項9に記載の発明は、請求項4に記載の工程試験装置を備えた蒸気滅菌装置であって、前記金属管の管径、長さおよび形状の内、いずれか一以上が異なる複数種の工程試験装置を備え、これら複数種の工程試験装置の内、いずれかの工程試験装置が前記滅菌槽に接続されることで、前記中空部からの空気排除と前記中空部への蒸気浸透とに対する抵抗性を変更可能とされたことを特徴とする請求項7または請求項8に記載の蒸気滅菌装置である。
【0025】
請求項9に記載の発明によれば、工程試験装置の熱交換器を構成する金属管の管径、長さおよび形状の内、いずれか一以上を変えることで、滅菌槽内と連通する中空部からの空気排除と中空部への蒸気浸透とに対する抵抗性を調節することができる。
【0026】
請求項10に記載の発明は、請求項5に記載の工程試験装置を備えた蒸気滅菌装置であって、前記内管の管径および長さの内、いずれか一以上が異なる複数種の工程試験装置を備え、これら複数種の工程試験装置の内、いずれかの工程試験装置が前記滅菌槽に接続されることで、前記中空部からの空気排除と前記中空部への蒸気浸透とに対する抵抗性を変更可能とされたことを特徴とする請求項7または請求項8に記載の蒸気滅菌装置である。
【0027】
請求項10に記載の発明によれば、工程試験装置の熱交換器を構成する内管の管径および長さの内、いずれか一以上を変えることで、滅菌槽内と連通する中空部からの空気排除と中空部への蒸気浸透とに対する抵抗性を調節することができる。
【0028】
請求項11に記載の発明は、前記熱交換器は、連通管を介して前記滅菌槽に接続され、前記金属管もしくは前記内管の構成を変更することに代えてまたはそれに加えて、前記連通管の管径、長さおよび形状の内、いずれか一以上が異なる複数種の連通管を備え、これら複数種の連通管の内、いずれの連通管を用いて前記熱交換器を前記滅菌槽に接続するかにより、前記中空部からの空気排除と前記中空部への蒸気浸透とに対する抵抗性を変更可能とされたことを特徴とする請求項9または請求項10に記載の蒸気滅菌装置である。
【0029】
請求項11に記載の発明によれば、熱交換器と滅菌槽とを接続する連通管の管径、長さおよび形状の内、いずれか一以上を変えることで、滅菌槽内と連通する中空部からの空気排除と中空部への蒸気浸透とに対する抵抗性を調節することができる。
【0030】
さらに、請求項12に記載の発明は、前記通液部に対する液体の入口温度、出口温度および流量の内、出口温度の他、入口温度を設定温度に維持しない場合には入口温度も、また、流量を設定流量に維持しない場合には流量も、前記滅菌工程中、所定時間ごとに運転データ記憶手段に保存し、この運転データ記憶手段に保存されたデータを、所定機器に出力可能とされたことを特徴とする請求項7〜11のいずれか1項に記載の蒸気滅菌装置である。
【0031】
請求項12に記載の発明によれば、通液部に対する液体の出口温度の他、所望により入口温度および流量を、滅菌工程中、所定時間ごとに運転データ記憶手段に保存しておき、必要に応じて所定機器に出力可能であるから、滅菌管理を容易に確実に行うことができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明の工程試験装置とこれを備えた蒸気滅菌装置によれば、滅菌槽内における被滅菌物の収容空間を狭めることなく、また被滅菌物に対する蒸気浸透性の良否を正確に知ることができ、さらに専用インジケータが不要で繰り返し使用できる。また、滅菌装置の運転完了を待たずに、被滅菌物に対する蒸気浸透性の良否を確認することができ、運用も容易な工程試験装置とこれを備えた蒸気滅菌装置を実現することもできる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0035】
図1は、本発明の一実施例の工程試験装置1とこれを備えた蒸気滅菌装置2を示す概略図であり、一部を断面にして示している。以下、まずは、蒸気滅菌装置2について説明し、その後、工程試験装置1について説明する。
【0036】
本実施例の蒸気滅菌装置2は、被滅菌物(図示省略)が収容されると共に工程試験装置1が接続される滅菌槽3と、この滅菌槽3内の気体を外部へ吸引排出して滅菌槽3内を減圧する減圧手段4と、減圧された滅菌槽3内へ外気を導入して滅菌槽3内を復圧する復圧手段5と、滅菌槽3内へ蒸気を供給する給蒸手段6と、滅菌槽3内から蒸気の凝縮水を排出するドレン排出手段7と、大気圧との差圧により滅菌槽3内の気体を外部へ排出する排気手段8と、これら各手段4〜8を制御する第一制御手段(図示省略)とを備える。
【0037】
被滅菌物は、特に問わないが、典型的には医療器具である。被滅菌物は、所望により、滅菌バッグ、不織布または滅菌コンテナなどに収容されていてもよい。被滅菌物は、滅菌槽3内の棚に載せられるか、台車に載せられて台車ごと滅菌槽3内に収容される。
【0038】
滅菌槽3は、内部空間の減圧および加圧に耐える中空容器であり、典型的には略矩形の箱状に形成されている。本実施例の滅菌槽3は、被滅菌物を出し入れするための扉(図示省略)を正面(
図1の紙面に対し垂直手前側)に備える。但し、正面および背面にそれぞれ扉を備え、一方の扉を、滅菌槽3内に被滅菌物を入れるための搬入扉とし、他方の扉を、滅菌後に滅菌槽3外に被滅菌物を取り出すための搬出扉としてもよい。いずれにしても、扉を閉じることで、滅菌槽3の開口部を気密に閉じることができる。
【0039】
滅菌槽3内を外側から温めるために、本実施例では、滅菌槽3の外壁に蒸気ジャケット9が設けられる。具体的には、蒸気滅菌装置2は、内缶10と外缶11とを備え、内缶10にて滅菌槽3が構成され、内缶10と外缶11との隙間が蒸気ジャケット9とされる。本実施例では、蒸気ジャケット9は、滅菌槽3の上下左右の各壁体に連続的に設けられる。蒸気ジャケット9には、ジャケット給蒸路(図示省略)を介して蒸気が供給され、その蒸気の凝縮水は、ジャケットドレン排出路(図示省略)を介して外部へ排出される。蒸気ジャケット9内を所定圧力に維持するように、蒸気ジャケット9内への蒸気供給を制御することで、滅菌槽3内を外側から所定温度で加熱することができる。
【0040】
減圧手段4は、真空排気路12を介して、滅菌槽3内の気体を外部へ吸引排出する。滅菌槽3内からの真空排気路12には、真空弁13、水封式の真空ポンプ14および逆止弁15が順に設けられる。さらに、真空排気路12には、真空弁13と真空ポンプ14との間に、蒸気凝縮用の熱交換器が設けられてもよい。真空弁13を開くと共に真空ポンプ14を作動させることで、滅菌槽3内の気体を外部へ吸引排出して、滅菌槽3内を減圧することができる。
【0041】
復圧手段5は、減圧下の滅菌槽3内に、給気路16を介して外気を導入する。滅菌槽3内への給気路16には、エアフィルタ17、給気弁18および逆止弁19が順に設けられる。滅菌槽3内が減圧された状態で給気弁18を開くと、差圧により外気を滅菌槽3内へ導入して、滅菌槽3内を復圧することができる。
【0042】
給蒸手段6は、給蒸路20を介して、滅菌槽3内へ蒸気(典型的には飽和蒸気)を供給する。給蒸路20には、給蒸弁21が設けられている。給蒸弁21を開くことで、蒸気供給源(図示省略)からの蒸気を滅菌槽3内へ供給することができる。給蒸弁21の開閉または開度を調整して、滅菌槽3内への蒸気供給の有無または量を変更することができる。
【0043】
ドレン排出手段7は、ドレン排出路22を介して、滅菌槽3内から蒸気の凝縮水を排出する。滅菌槽3内からのドレン排出路22には、スチームトラップ23および逆止弁24が順に設けられる。給蒸手段6により滅菌槽3内へ蒸気を供給中、蒸気の凝縮水はドレン排出手段7により滅菌槽3外へ排出される。
【0044】
排気手段8は、加圧下の滅菌槽3内から、排気路25を介して気体を導出する。滅菌槽3内からの排気路25には、排気弁26および逆止弁27が順に設けられる。滅菌槽3内が加圧された状態で排気弁26を開くと、差圧により滅菌槽3内の気体を外部へ導出して、滅菌槽3内の圧力を下げることができる。なお、図示例では、排気路25は、上流側(滅菌槽3側)において、ドレン排出路22と共通管路とされている。
【0045】
滅菌槽3には、滅菌槽3内の圧力を検出する圧力センサ28と、滅菌槽3内の温度を検出する温度センサ29とが設けられる。圧力センサ28の設置位置は、特に問わないが、たとえば図示例のように、滅菌槽3の上方側部に設けられる。一方、温度センサ29は、滅菌に関する各種の規格に沿って、所定の位置に設けられる。図示例では、前記共通管路(ドレン排出路22と排気路25との共通管路)の内、滅菌槽3からの出口部に設けられる。
【0046】
第一制御手段は、前記各センサ28,29の検出信号や経過時間などに基づき、前記各手段4〜8を制御する第一制御器(図示省略)である。具体的には、真空弁13、真空ポンプ14、給気弁18、給蒸弁21、排気弁26、圧力センサ28および温度センサ29などは、第一制御器に接続される。そして、第一制御器は、後述するように、所定の手順(プログラム)に従い、滅菌槽3内の被滅菌物の滅菌を図る。
【0047】
さらに、本実施例では、蒸気滅菌装置2は、タッチパネル(図示省略)の他、所望により操作ボタン(図示省略)などを備え、これらも第一制御器に接続される。タッチパネルは、ディスプレイの表面に入力パネルを配置して構成され、ディスプレイ上に各種表示を行うと共に、ディスプレイ上の表示ボタンが押されると入力パネルでそれを検知し、適宜画面表示を変えながら、各種の設定または操作を可能とする。タッチパネルの表示画面のデータや、蒸気滅菌装置2の動作用プログラムなどは、情報記憶部(図示省略)に記憶されている。この情報記憶部は、後述する運転データを記憶するための運転データ記憶部(運転データ記憶手段)として用いることもできる。
【0048】
蒸気滅菌装置2は、その運転内容を特に問わないが、典型的には、予熱工程、前処理工程、滅菌工程、排気工程および乾燥工程を順次に実行する。以下、各工程について説明する。なお、初期状態において、給気弁18および排気弁26は開かれる一方、これ以外の各弁13,21は閉じられており、真空ポンプ14は停止している。予熱工程の前または後には、滅菌槽3内に被滅菌物が収容され、滅菌槽3の扉は気密に閉じられる。その際、給気弁18および排気弁26も閉じられる。
【0049】
予熱工程では、滅菌槽3内を予熱する。具体的には、蒸気ジャケット9内に蒸気を供給し、蒸気ジャケット9内を所定圧力に維持することで、滅菌槽3内を所定温度に加熱して維持する。予熱工程の開始から所定時間経過後、前処理工程を開始するが、予熱工程の内容は、以降の各工程においても継続して実施される。
【0050】
前処理工程では、滅菌槽3内の空気を排除する。具体的には、減圧手段4により滅菌槽3内を減圧するが、その際、給蒸手段6による給蒸を伴ってもよい。また、減圧手段4により滅菌槽3内を一旦減圧後、給蒸手段6による給蒸と減圧手段4による減圧とを繰り返してもよいし、給蒸手段6による給蒸で大気圧を超える圧力まで滅菌槽3内を加圧する場合には、給蒸手段6による給蒸と排気手段8による排気とを繰り返してもよい。いずれにしても、滅菌槽3内からの空気排除を図った後、最終的には、給蒸手段6による給蒸で、滅菌槽3内を滅菌圧力まで昇圧する。そして、温度センサ29の検出温度が滅菌温度になると、次工程へ移行する。
【0051】
滅菌工程では、滅菌槽3内の被滅菌物を蒸気で滅菌する。具体的には、温度センサ29の検出温度が滅菌温度(典型的には135℃)を維持するように、給蒸手段6を制御して、滅菌時間保持することで、滅菌槽3内の被滅菌物を滅菌する。その後、給蒸手段6による給蒸を停止して、次工程へ移行する。
【0052】
排気工程では、加圧下の滅菌槽3内から蒸気を排出して、滅菌槽3内の圧力を大気圧近くまで下げる。具体的には、排気弁26を開けて、滅菌槽3外へ蒸気を導出した後、排気弁26を閉じる。
【0053】
乾燥工程では、滅菌槽3内の被滅菌物を乾燥させる。具体的には、減圧手段4により滅菌槽3内を乾燥圧力まで減圧して乾燥時間保持することで、滅菌槽3内の被滅菌物を真空乾燥させる。但し、乾燥工程では、減圧手段4による乾燥圧力までの減圧と、復圧手段5による大気圧近くまでの復圧とを、繰り返してもよい。被滅菌物の乾燥後には、減圧手段4を停止する一方、復圧手段5により滅菌槽3内を大気圧まで復圧して、一連の運転を終了する。
【0054】
次に、本実施例の工程試験装置1について説明する。本実施例の工程試験装置1は、滅菌槽3に接続される熱交換器30と、この熱交換器30に対する給排水手段31と、前記熱交換器30への圧縮空気供給手段32と、これら各手段31,32を制御すると共に滅菌槽3内の被滅菌物に対する蒸気浸透性の良否を判定する第二制御手段とを備える。
【0055】
熱交換器30は、滅菌槽3外に設けられ、連通管33を介して滅菌槽3内と連通する中空部34を有すると共に、その中空部34内の流体と熱交換する液体の通液部35を有する。通液部35に通される液体は、特に問わないが、典型的には水(常温水)である。以下、通液部35に通される液体は、水であるとして説明するが、その他の液体の場合も同様である。
【0056】
熱交換器30は、中空部34内の流体と通液部35内の通水とを混ぜることなく熱交換する。熱交換器30は、その構成を特に問わないが、たとえば、金属管(36)を備え、この金属管(36)の中空穴が前記中空部34とされると共に、金属管(36)はジャケット状の通液部35で覆われる。そして、金属管(36)は、一端部が連通管33を介して滅菌槽3に接続される一方、他端部が圧縮空気供給手段32に接続される。なお、金属管(36)の形状は、特に問わず、直管状の他、たとえばU字状またはコイル状などに屈曲されていてもよい。
【0057】
本実施例では、熱交換器30は、金属製の二重管から構成される。具体的には、熱交換器30は、軸線を上下方向へ沿って配置された内管36と、これを取り囲むよう設けられた外管37とを備える。内管36と外管37との間の隙間としての円筒状空間は、上下両端部において端壁にて閉じられることで、ジャケット状の通液部35を構成する。なお、熱交換器30および連通管33は、断熱材で覆われるのが好ましい。
【0058】
内管36の上端部は、圧縮空気供給手段32に接続される。具体的には、内管36の上端部には、圧縮空気供給路38が接続される。一方、内管36の下端部は、連通管33を介して、滅菌槽3と接続される。これにより、内管36内と滅菌槽3内とが連通される。連通管33は、本実施例では、内管36と同一の内外径を有する管から構成される。その場合、連通管33と内管36とを連続的に、言い換えれば一つの部材として構成することもできる。但し、連通管33の内外径を、内管36の内外径と異ならせてもよい。
【0059】
外管37は、その内径が内管36の外径よりも大きな円管である。外管37は、典型的には、図示例のように、内管36と略同一長さの管から構成され、その中空穴に内管36が収容される。その際、内管36と外管37とは、上下両端面の高さを互いに略一致させると共に、軸線を一致させて配置される。そして、前述したとおり、内管36と外管37との間の円筒状空間は、上下において端壁にて閉塞されて通液部35とされる。
【0060】
給排水手段31は、通液部35に通水する。具体的には、通液部35には、給水路39と排水路40とが接続される。本実施例では、給水路39は、外管37の長手方向一端部(図示例では下端部)の周側壁に接続され、排水路40は、外管37の長手方向他端部(図示例では上端部)の周側壁に接続される。そして、通液部35への給水路39には、給水弁41と給水ポンプ42とが順に設けられ、通液部35からの排水路40には、排水弁43が設けられる。給水弁41および排水弁43を開けた状態で、給水ポンプ42を作動させると、給水路39からの水を、熱交換器30の通液部35を介して、排水路40へ流すことができる。
【0061】
通液部35に対する水の入口温度および出口温度を監視可能に、温度センサ44,45が設けられる。具体的には、給水路39の内、通液部35への入口部には、入口温度センサ44が設けられる一方、排水路40の内、通液部35からの出口部には、出口温度センサ45が設けられる。その他、給水路39または排水路40には、所望により、通水流量を監視する流量センサ(図示省略)が設けられる。
【0062】
圧縮空気供給手段32は、熱交換器30の前記中空部34(本実施例では内管36内)に、圧縮空気を供給する。具体的には、本実施例では、内管36の上端部には、圧縮空気供給路38が接続される。熱交換器30への圧縮空気供給路38には、圧縮空気供給弁46、エアフィルタ47および逆止弁48が順に設けられる。圧縮空気供給弁46を開くことで、圧縮空気供給源(図示省略)からの圧縮空気を、内管36内へ供給することができる。内管36内へ供給された圧縮空気は、連通管33を介して滅菌槽3内へ導出される。
【0063】
第二制御手段は、前記各センサ44,45の検出信号や経過時間などに基づき、前記各手段31,32を制御する第二制御器(図示省略)である。具体的には、給水弁41、給水ポンプ42、排水弁43、圧縮空気供給弁46、入口温度センサ44および出口温度センサ45などは、第二制御器に接続される。そして、第二制御器は、以下に述べるようにして、被滅菌物に対する蒸気浸透性の良否を判定する判定手段としても機能する。
【0064】
第二制御器には、第一制御器と同様、所望により、タッチパネル(図示省略)、操作ボタン(図示省略)、および情報記憶部(図示省略)にも接続される。そして、この情報記憶部は、後述する運転データを記憶するための運転データ記憶部(運転データ記憶手段)としても機能する。
【0065】
第二制御器は、蒸気滅菌装置2にて実行中の工程を把握可能に、第一制御器にも接続される。但し、これに代えて、第二制御器は、第一制御器と共通化してもよい。つまり、蒸気滅菌装置2の運転を制御するための第一制御器に、被滅菌物に対する蒸気浸透性の良否を判定する判定機能を持たせてもよい。以下、第一制御器と第二制御器とが共通の一つの制御器として構成された例について説明するが、第一制御器と第二制御器とに分けて構成されてもよい。その場合、第一制御器が、前述したように蒸気滅菌装置2の運転を制御し、第二制御器が、以下に述べる各処理を実行する。第一制御器と第二制御器とを分けて構成する場合、既存または既設の蒸気滅菌装置2に、本実施例の工程試験装置1を後付けで設置することも容易となる。
【0066】
以下、本実施例の工程試験装置1の使用方法について説明する。
【0067】
前述したように、蒸気滅菌装置2では、予熱工程、前処理工程、滅菌工程、排気工程および乾燥工程が順次に実行される。前処理工程では、滅菌槽3内からの空気排除がなされるが、これに伴い、滅菌槽3内と連通する熱交換器30の内管36内(言い換えれば中空部34内)からも空気排除がなされる。その後の滅菌工程では、滅菌槽3内へ蒸気が導入されるが、これに伴い、熱交換器30の内管36内へも蒸気が導入される。
【0068】
前記各工程の内、少なくとも滅菌工程中、給排水手段31により熱交換器30の通液部35に通水する。たとえば、滅菌工程の開始に伴い、給水弁41および排水弁43を開けると共に、給水ポンプ42を作動させて、熱交換器30の通液部35に通水する。これにより、中空部34内の流体と通液部35の通水とが熱交換され、通液部35の出口側水温は、入口側水温よりも高くなる。つまり、内管36内の蒸気は、凝縮熱伝達により内管36外の水を加温して昇温させる。そして、凝縮熱伝達による伝熱量ひいては水の温度上昇値は、内管36内の残留空気量が少ないほど、また蒸気量が多いほど大きいため、各温度センサ44,45の検出温度に基づき、滅菌槽3内の被滅菌物に対する蒸気浸透性の良否を判定できることになる。
【0069】
すなわち、通液部35に対する水の入口温度、出口温度および流量に基づき、滅菌槽3内の被滅菌物に対する蒸気浸透性の良否を判定することができる。具体的には、制御器は、入口温度センサ44、出口温度センサ45および流量センサの検出信号に基づき、熱交換器において通水が加温される熱量を把握できるから、その熱量が設定値を超えるか否かで、内管36内からの空気排除と内管36内への蒸気浸透の良否、ひいては滅菌槽3内の被滅菌物に対する蒸気浸透性の良否を判定することができる。
【0070】
ここで、通液部35に設定流量で水を通す場合、通液部35に対する水の入口温度および出口温度に基づき、滅菌槽3内の被滅菌物に対する蒸気浸透性の良否を判定することもできる。たとえば、給水ポンプ42を定流量ポンプから構成して、通液部35への通水流量を設定流量に維持できる場合、制御器は、入口温度センサ44および出口温度センサ45の検出信号に基づき、滅菌槽3内の被滅菌物に対する蒸気浸透性の良否を判定することができる。この際、滅菌工程開始から設定時間経過後の熱交換器30に対する水の出口温度と入口温度との温度差が設定値以上であるか否かにより、滅菌槽3内の被滅菌物に対する蒸気浸透性の良否を判定することもできる。つまり、温度差が設定値以上であれば、被滅菌物に対する所期の蒸気浸透がなされたと判定でき、温度差が設定値未満であれば、被滅菌物に対する所期の蒸気浸透がなされていないおそれがあると判定できる。
【0071】
さらに、通液部35に設定流量で水を通すと共に、通液部35の入口水温を設定温度に維持できる場合、通液部35に対する水の出口温度に基づき、滅菌槽3内の被滅菌物に対する蒸気浸透性の良否を判定することもできる。たとえば、給水ポンプ42を定流量ポンプから構成して、通液部35への通水流量を設定流量に維持でき、しかも、通液部35への給水温度を設定温度に維持できる場合、制御器は、出口温度センサ45の検出信号に基づき、滅菌槽3内の被滅菌物に対する蒸気浸透性の良否を判定することができる。この際、滅菌工程開始から設定時間経過後の熱交換器30に対する水の出口温度が設定値以上であるか否かにより、滅菌槽3内の被滅菌物に対する蒸気浸透性の良否を判定することもできる。つまり、出口温度が設定値以上であれば、被滅菌物に対する所期の蒸気浸透がなされたと判定でき、出口温度が設定値未満であれば、被滅菌物に対する所期の蒸気浸透がなされていないおそれがあると判定できる。
【0072】
いずれにしても、遅くとも、滅菌工程の終了時までには、被滅菌物に対する蒸気浸透性の良否を判定することができ、所望により、その結果を出力機器(たとえば蒸気滅菌装置2または工程試験装置1に設けられたタッチパネル)に出力することができる。従って、被滅菌物に対する蒸気浸透性の良否の判定結果を知るのに、必ずしも運転完了まで待つ必要がない。そして、被滅菌物に対する所期の蒸気浸透がなされていないおそれがある場合、その旨、出力機器(たとえばタッチパネル)に出力して異常を報知する。あるいは、これに代えてまたはこれに加えて、蒸気滅菌装置2の運転を中止してもよい。
【0073】
滅菌工程後には、設定タイミングにおいて、圧縮空気供給手段32により、熱交換器30の内管36内に圧縮空気を通して、熱交換器30からの凝縮水の排出と、熱交換器30の冷却とを図るのが好ましい。たとえば、滅菌工程直後、または蒸気滅菌装置2の運転完了後(一連の工程終了後)、圧縮空気供給弁46を開いて、熱交換器30の内管36内に圧縮空気を通して、熱交換器30からの凝縮水の排出と、熱交換器30の冷却とを図る。これにより、次回の運転に備えることができる。
【0074】
但し、乾燥工程において熱交換器30も加熱され得ることを考慮して、熱交換器30への圧縮空気の供給は、蒸気滅菌装置2の運転完了後に行うのが好ましい。また、熱交換器30内の凝縮水を滅菌槽3内へ排出する場合、その凝縮水が滅菌槽3内の被滅菌物に当たらないように、滅菌槽3内への出口部に適宜のバッフル板を設けるか、滅菌槽3外へ被滅菌物を取り出した後に、熱交換器30に圧縮空気を供給するのが好ましい。なお、乾燥工程において熱交換器30に通水しない場合、乾燥工程終了後の適宜のタイミングで熱交換器30に一旦通水することで、熱交換器30内の比較的高温の水を捨てて、次回の運転に備えるのが好ましい。
【0075】
以上に説明したとおり、本実施例の工程試験装置1とこれを備えた蒸気滅菌装置2によれば、工程試験装置1(特に本体部としての熱交換器30)が滅菌槽3外に設けられるので、滅菌槽3内における被滅菌物の収容空間を狭めるおそれがないし、被滅菌物の出し入れを邪魔するおそれもない。また、工程試験装置1が滅菌槽3外に設けられるので、滅菌蒸気により外部から熱を受けるおそれがなく、被滅菌物に対する蒸気浸透性の良否を正確に知ることができる。その際、単に滅菌槽3内と連通する中空部34内の温度を検出するのではなく、中空部34内の流体と通液部35の通水とを熱交換させて、通液部35に通される水の熱伝達による温度上昇に基づき、被滅菌物に対する蒸気浸透性の良否を判定するので、空気が混じった蒸気の熱伝達性を評価することもできる。さらに、専用インジケータが不要で繰り返し使用することができる。
【0076】
ところで、制御器(第一制御器または第二制御器)は、次のようにして、滅菌管理を実施可能なことが好ましい。すなわち、通液部35に対する水の入口温度、出口温度および流量の内、出口温度の他、入口温度を設定温度に維持しない場合には入口温度も、また、流量を設定流量に維持しない場合には流量も、少なくとも滅菌工程中、所定時間ごとに運転データ記憶部に保存し、この運転データ記憶部に保存されたデータを、所定機器に出力可能とするのがよい。
【0077】
たとえば、給水ポンプ42が定流量ポンプで構成される場合、入口温度センサ44と出口温度センサ45の各検出温度を、所定時間ごとに(たとえば数秒間隔で)、運転データ記憶部に保存する。その際、運転ごとに、運転日時、滅菌条件(滅菌圧力、滅菌温度、滅菌時間)などの各種設定値の他、実際の運転中の所定時間ごとの滅菌槽3内の圧力や温度なども保存するのが好ましい。そして、これらデータを、必要に応じて、たとえば運転日時に基づき運転データ記憶部から取得して、タッチパネルなどに出力可能とする。これにより、過去の履歴の確認が可能となり、滅菌管理を容易に確実に行うことができる。
【0078】
また、工程試験装置1は、特に熱交換器30の箇所を変更可能としてもよい。すなわち、前記金属管(36)の管径、長さおよび形状の内、いずれか一以上が異なる複数種の工程試験装置1を備え、これら複数種の工程試験装置1の内、いずれかの工程試験装置1が滅菌槽3に接続されることで、中空部34からの空気排除と中空部34への蒸気浸透とに対する抵抗性を変更可能としてもよい。たとえば、
図1のように、熱交換器30が直管状の内管36と外管37とから構成される場合、内管36の管径(内径および/または外径)および長さの内、いずれか一以上が異なる複数種の工程試験装置1を備え、これら複数種の工程試験装置1の内、いずれかの工程試験装置1が滅菌槽3に接続されることで、中空部34からの空気排除と中空部34への蒸気浸透とに対する抵抗性を変更可能としてもよい。この際、各工程試験装置1は、一部構成を互いに共用してもよい。たとえば、給排水手段31および圧縮空気供給手段32の他、所望により連通管33については、共通のものを使用して、熱交換器30のみを取替可能としてもよい。
【0079】
また、同様に、熱交換器30に代えてまたはこれに加えて、連通管33を変更可能としてもよい。すなわち、連通管33の管径(特に内径)、長さおよび形状の内、いずれか一以上が異なる複数種の連通管33の内、いずれの連通管33を用いて熱交換器30を滅菌槽3に接続するかにより、中空部34からの空気排除と中空部34への蒸気浸透とに対する抵抗性を変更可能としてもよい。この場合も、連通管33を変更する際、連通管33の箇所のみを取り替えてもよいし、他の一部または全部の構成と共に取り替えてもよい。
【0080】
本発明の工程試験装置1とこれを備えた蒸気滅菌装置2は、前記実施例の構成(制御を含む)に限らず適宜変更可能である。特に、熱交換器30と判定手段とを備え、熱交換器30は、蒸気滅菌装置2の滅菌槽3外に設けられ、滅菌槽3内と連通する中空部34を有すると共に、その中空部34内の流体と熱交換する液体の通液部35を有し、判定手段は、通液部35に対する液体の入口温度、出口温度および流量に基づき、滅菌槽3内の被滅菌物に対する蒸気浸透性の良否を判定するのであれば、その他の構造は適宜に変更可能である。たとえば、前記実施例では、工程試験装置1に圧縮空気供給手段32を設置したが、場合により、その設置を省略してもよい。
【0081】
また、熱交換器30の構成、つまり中空部34や通液部35の形状や姿勢等は、前記実施例の構成に限定されない。たとえば、通液部35は、前記実施例では中空部34を取り囲むジャケット状としたが、中空部34を取り囲むコイル状としたり、中空部34内に配置されるコイル状としたりしてもよい。
【0082】
また、前記実施例において、熱交換器30と滅菌槽3とを接続する連通管33には、所望により開閉弁を設けてもよい。その場合、たとえば乾燥工程において、開閉弁を閉じておくことで、滅菌槽3内から熱交換器30への伝熱を防止できる。