(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
機体フレーム(1)の前側に穀稈を収穫する刈取前処理装置(3)を設け、該刈取前処理装置(3)の後側左部に収穫された穀稈を脱穀・選別処理する脱穀装置(4)を設け、前記刈取前処理装置(3)の後側右部に操縦者が搭乗する操縦部(5)を設け、該操縦部(5)の下側にエンジンを搭載するエンジンルーム(6)を設け、該エンジンルーム(6)の後側に脱穀・選別処理された穀粒を貯留するグレンタンク(7)を設けたコンバインにおいて、
前記操縦部(5)を覆うキャビン(40)の後壁に、前記操縦部(5)に備えられた空調装置を冷却する冷却ファン(42)を設け、
前記操縦部(5)の後部に設けられた左右方向に延在する操縦席フレーム(50)と脱穀装置(4)の右壁(4B)の上部に設けられた前後方向に延在する脱穀装置フレーム(63)を浄化装置フレーム(20)で連結し、
該浄化装置フレーム(20)の上面に、前記エンジンから排出される排気ガス中の不純物を浄化する排気浄化装置(12)と窒素酸化物を浄化する尿素浄化装置(14)を並設し、
前記排気浄化装置(12)及び前記尿素浄化装置(14)の長手方向を機体の前後方向に設け、前記尿素浄化装置(14)を排気浄化装置(12)の右側に設け、
前記尿素浄化装置(14)を冷却ファン(42)の後側に臨ませ、
背面視において、前記排気浄化装置(12)を冷却ファン(42)の外周部よりも左側に設け、前記尿素浄化装置(14)の上部を冷却ファン(42)の下部の外周部よりも上側に設けたことを特徴とするコンバイン。
前記排気浄化装置(12)の上側に、前記排気浄化装置(12)の上部を覆うカバー(45)を設け、該カバー(45)の前部(45A)を前下がりに傾斜させ、側面視において前記前部(45A)の前端部を冷却ファン(40)の上下方向の中心部近傍に臨ませた請求項1記載のコンバイン。
前記カバー(45)の左部(45B)を左下がりに傾斜させ、前記カバー(45)の右部(45C)を右下がりに傾斜させて、前記カバー(45)を屋根形状に形成した請求項2記載のコンバイン。
前記尿素浄化装置(14)に供給される尿素水を圧送する供給装置(18)を、前記脱穀装置(4)の右壁(4B)における2番物を揚穀する2番処理装置(47)の下側に設けた請求項1〜4のいずれか1項に記載のコンバイン。
前記浄化装置フレーム(20)を前後方向に所定の間隔を隔てて左右方向に延在する左右フレーム(A)と、左右方向に所定の間隔を隔てて前後方向に延在する前後フレーム(B)で形成し、該左右フレーム(A)を前側から順に第1左右フレーム(21)と、第2左右フレーム(22)と、第3左右フレーム(23)で形成し、前記前後フレーム(B)を左側から順に第1前後フレーム(24)と、第2前後フレーム(25)で形成し、前記第1左右フレーム(21)と、第2左右フレーム(22)と、第3左右フレーム(23)のそれぞれの左部を第1前後フレーム(24)に連結し、前記第1左右フレーム(21)の右部と第2左右フレーム(22)の右側の中間部を第2前後フレーム(25)に連結し、前記第1左右フレーム(21)と、第2左右フレーム(22)と、第3左右フレーム(23)と、前記第1前後フレーム(24)と、第2前後フレーム(25)のそれぞれの下部を略同一水平面に設けた請求項1〜6のいずれか1項に記載のコンバイン。
前記第2左右フレーム(22)の左部と第3左右フレーム(23)の左部を前後方向に延在する第1補強フレーム(26)で連結し、前記第2左右フレーム(22)の右部と第3左右フレーム(23)の右部を前後方向に延在する第2補強フレーム(27)で連結した請求項7記載のコンバイン。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の技術では、冷却ファンの外周部よりも左下側に排気浄化装置を設けているために、冷却ファンで排気された空気によって、排気浄化装置を冷却することもできず、また、排気浄化装置の上部に堆積した粉塵を除去することもできないという問題があった。
【0005】
特許文献1の技術では、排気浄化装置を構成する尿素浄化装置が過熱され、窒素酸化物の浄化性能が低下する問題があった。
【0006】
そこで、本発明の主たる課題は、冷却ファンで排気された空気を尿素浄化装置の周囲に流通させて冷却し、尿素浄化装置の窒素酸化物の浄化性能の低下を防止することができるコンバインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決した本発明は次のとおりである。
すなわち、請求項1記載の発明は、 機体フレーム(1)の前側に穀稈を収穫する刈取前処理装置(3)を設け、該刈取前処理装置(3)の後側左部に収穫された穀稈を脱穀・選別処理する脱穀装置(4)を設け、前記刈取前処理装置(3)の後側右部に操縦者が搭乗する操縦部(5)を設け、該操縦部(5)の下側にエンジンを搭載するエンジンルーム(6)を設け、該エンジンルーム(6)の後側に脱穀・選別処理された穀粒を貯留するグレンタンク(7)を設けたコンバインにおいて、
前記操縦部(5)を覆うキャビン(40)の後壁に、前記操縦部(5)に備えられた空調装置を冷却する冷却ファン(42)を設け、前記操縦部(5)の後部に設けられた左右方向に延在する操縦席フレーム(50)と脱穀装置(4)の右壁(4B)の上部に設けられた前後方向に延在する脱穀装置フレーム(63)を浄化装置フレーム(20)で連結し、該浄化装置フレーム(20)の上面に、前記エンジンから排出される排気ガス中の不純物を浄化する排気浄化装置(12)と窒素酸化物を浄化する尿素浄化装置(14)を並設し、
前記排気浄化装置(12)及び前記尿素浄化装置(14)の長手方向を機体の前後方向に設け、前記尿素浄化装置(14)を排気浄化装置(12)の右側に設け、前記尿素浄化装置(14)を冷却ファン(42)の後側に臨ませ
、背面視において、前記排気浄化装置(12)を冷却ファン(42)の外周部よりも左側に設け、前記尿素浄化装置(14)の上部を冷却ファン(42)の下部の外周部よりも上側に設けたことを特徴とするコンバインである。
【0008】
【0009】
請求項
2記載の発明は、前記排気浄化装置(12)の上側に、前記排気浄化装置(12)の上部を覆うカバー(45)を設け、該カバー(45)の前部(45A)を前下がりに傾斜させ、側面視において前記前部(45A)の前端部を冷却ファン(40)の上下方向の中心部近傍に臨ませた請求項
1記載のコンバインである。
【0010】
請求項
3記載の発明は、前記カバー(45)の左部(45B)を左下がりに傾斜させ、前記カバー(45)の右部(45C)を右下がりに傾斜させて、前記カバー(45)を屋根形状に形成した請求項
2記載のコンバインである。
【0011】
請求項
4記載の発明は、前記右部(45C)の右下り傾斜を、前記左部(45B)の左下り傾斜よりも急勾配に形成した請求項
3記載のコンバインである。
【0012】
請求項
5記載の発明は、前記尿素浄化装置(14)に供給される尿素水を圧送する供給装置(18)を、前記脱穀装置(4)の右壁(4B)における2番物を揚穀する2番処理装置(47)の下側に設けた請求項
1〜4のいずれか1項に記載のコンバインである。
【0013】
請求項
6記載の発明は、前記供給装置(18)を、前記脱穀装置(4)の右壁(4B)における唐箕(48)の吸気口に臨ませて設けた請求項
5記載のコンバインである。
【0014】
請求項
7記載の発明は、前記浄化装置フレーム(20)を前後方向に所定の間隔を隔てて左右方向に延在する左右フレーム(A)と、左右方向に所定の間隔を隔てて前後方向に延在する前後フレーム(B)で形成し、該左右フレーム(A)を前側から順に第1左右フレーム(21)と、第2左右フレーム(22)と、第3左右フレーム(23)で形成し、前記前後フレーム(B)を左側から順に第1前後フレーム(24)と、第2前後フレーム(25)で形成し、前記第1左右フレーム(21)と、第2左右フレーム(22)と、第3左右フレーム(23)のそれぞれの左部を第1前後フレーム(24)に連結し、前記第1左右フレーム(21)の右部と第2左右フレーム(22)の右側の中間部を第2前後フレーム(25)に連結し、前記
第1左右フレーム(21)と、第2左右フレーム(22)と、第3左右フレーム(23)と、前記第1前後フレーム(24)と、第2前後フレーム(25)のそれぞれの下部を略同一水平面に設けた請求項
1〜6のいずれか1項に記載のコンバインである。
【0015】
請求項
8記載の発明は、前記第2左右フレーム(22)の左部と第3左右フレーム(23)の左部を前後方向に延在する第1補強フレーム(26)で連結し、前記第2左右フレーム(22)の右部と第3左右フレーム(23)の右部を前後方向に延在する第2補強フレーム(27)で連結した請求項
7記載のコンバインである。
【0016】
【0017】
【発明の効果】
【0018】
請求項1記載の発明によれば、操縦部(5)を覆うキャビン(40)の後壁に、操縦部(5)に備えられた空調装置を冷却する冷却ファン(42)を設け、操縦部(5)の後部に設けられた左右方向に延在する操縦席フレーム(50)と脱穀装置(4)の右壁(4B)の上部に設けられた前後方向に延在する脱穀装置フレーム(63)を浄化装置フレーム(20)で連結し、浄化装置フレーム(20)の上面に、エンジンから排出される排気ガス中の不純物を浄化する排気浄化装置(12)と窒素酸化物を浄化する尿素浄化装置(14)を並設し、
排気浄化装置(12)及び尿素浄化装置(14)の長手方向を機体の前後方向に設け、尿素浄化装置(14)を排気浄化装置(12)の右側に設け、尿素浄化装置(14)を冷却ファン(42)の後側に臨ませ
、背面視において、排気浄化装置(12)を冷却ファン(42)の外周部よりも左側に設け、尿素浄化装置(14)の上部を冷却ファン42の下部の外周部よりも上側に設けたので、冷却ファン(42)で排気された空気によって尿素浄化装置(14)が冷却され、尿素浄化装置(14)が過度に高温になることを防止して、窒素酸化物を効率良く浄化することができる。
【0019】
また、冷却ファン(42)で排気された空気によって尿素浄化装置(14)をより冷却することができる。
さらに、冷却ファン(42)によって排気された空気が、尿素浄化装置(14)の上部に接触し尿素浄化装置(14)が過度に高温になることを防止して
窒素酸化物を効率良く浄化することができる。一方、冷却ファン(42)によって排気された空気は、排気浄化装置(12)に直接的には接触しないので、排気浄化装置(12)は冷却されることなく排気ガス中の不純物を効率良く浄化することができる。
【0020】
請求項
2記載の発明によれば、請求項
1記載の発明による効果に加えて、排気浄化装置(12)の上側に、排気浄化装置(12)の上部を覆うカバー(45)を設け、カバー(45)の前部(45A)を前下がりに傾斜させ、側面視において前部(45A)の前端部を冷却ファン(40)の上下方向の中心部近傍に臨ませたので、カバー(45)の上側に冷却ファン(42)で排気された空気を案内して、カバー(45)に堆積した粉塵を除去することができる。
【0021】
請求項
3記載の発明によれば、請求項
2記載の発明による効果に加えて、カバー(45)の左部(45B)を左下がりに傾斜させ、カバー(45)の右部(45C)を右下がりに傾斜させて、カバー(45)を屋根形状に形成したので、カバー(45)に粉塵が堆積するのを防止することができる。
【0022】
請求項
4記載の発明によれば、請求項
3記載の発明による効果に加えて、右部(45C)の右下り傾斜を、左部(45B)の左下り傾斜よりも急勾配に形成したので、右部(45C)に堆積した粉塵を右側に落下させ、冷却ファン(42)で排気された空気によっての落下した粉塵を外部に排出することができる。
【0023】
請求項
5記載の発明によれば、請求項
1〜4のいずれか1項に記載の発明による効果に加えて、尿素浄化装置(14)に供給される尿素水を圧送する供給装置(18)を、脱穀装置(4)の右壁(4B)における2番物を揚穀する2番処理装置(47)の下側に設けたので、供給装置(18)に雨水が接触するのを防止して供給装置(18)の早期劣化を防止することができる。
【0024】
請求項
6記載の発明によれば、請求項
5記載の発明による効果に加えて、供給装置(18)を、脱穀装置(4)の右壁(4B)における唐箕(48)の吸気口に臨ませて設けたので、供給装置18に粉塵が堆積するのを防止して供給装置(18)の早期劣化をより防止することができる。
【0025】
請求項
7記載の発明によれば、請求項
1〜6のいずれか1項に記載の発明による効果に加えて、浄化装置フレーム(20)を前後方向に所定の間隔を隔てて左右方向に延在する左右フレーム(A)と、左右方向に所定の間隔を隔てて前後方向に延在する前後フレーム(B)で形成し、左右フレーム(A)を前側から順に第1左右フレーム(21)と、第2左右フレーム(22)と、第3左右フレーム(23)で形成し、前後フレーム(B)を左側から順に第1前後フレーム(24)と、第2前後フレーム(25)で形成し、第1左右フレーム(21)と、第2左右フレーム(22)と、第3左右フレーム(23)のそれぞれの左部を第1前後フレーム(24)に連結し、第1左右フレーム(21)の右部と第2左右フレーム(22)の右側の中間部を第2前後フレーム(25)に連結し、
第1左右フレーム(21)と、第2左右フレーム(22)と、第3左右フレーム(23)と、第1前後フレーム(24)と、第2前後フレーム(25)のそれぞれの下部を略同一水平面に設けたので、エンジンルーム(6)に浄化装置フレーム(20)の下部の延出を抑制して、エンジンルーム(6)内の配置空間を大きく形成することができる。
【0026】
請求項
8記載の発明によれば、請求項
7記載の発明による効果に加えて、第2左右フレーム(22)の左部と第3左右フレーム(23)の左部を前後方向に延在する第1補強フレーム(26)で連結し、第2左右フレーム(22)の右部と第3左右フレーム(23)の右部を前後方向に延在する第2補強フレーム(27)で連結したので、浄化装置フレーム(20)の変形を防止することができる。
【0027】
【0028】
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明について図面を参照しつつ説明する。なお、操縦者から見て、前方を前側、後方を後側、右手側を右側、左手側を左側として便宜的に方向を示して説明する。
【0031】
図1,2に示すように、汎用コンバインは、機体フレーム1の下側に土壌面を走行する左右一対のクローラからなる走行装置2が設けられ、機体フレーム1の前側に圃場の穀稈を収穫する刈取前処理装置3が設けられ、刈取前処理装置3の後側左部に収穫された穀稈を脱穀・選別処理する脱穀装置4が設けられ、刈取前処理装置3の後側右部に操縦者が搭乗する操縦部5が設けられている。
【0032】
操縦部5の下部には、エンジンを内装するエンジンルーム6が設けられ、操縦部5の後側には、脱穀・選別処理された穀粒を貯留するグレンタンク7が設けられ、グレンタンク7の後側には、穀粒を外部に排出する排出筒8が設けられている。排出筒8は、グレンタンク7の後下部に連通されて上下方向に延在する縦排出筒と、縦排出筒の上部に連通されて前後方向に延在する横排出筒から形成されている。また、脱穀装置4の下部とグレンタンク7の上部は、脱穀装置4からグレンタンク7に穀粒を搬送する揚穀装置9によって連通されている。
【0033】
刈取前処理装置3は、圃場の穀稈を起立させながら後側に搬送する搬送装置3Aと、搬送装置3Aの後下部に搬送された穀稈の株元を切断する刈刃装置3Bと、搬送装置3Aの後側に搬送された穀稈を左側に寄せ集めるオーガ装置3Cと、寄せ集められた穀稈を脱穀装置4に搬送するフィーダハウス3Dから構成されている。
【0034】
フィーダハウス3Dの左壁には、刈取前処理装置3内に配設された油圧ホースと機体フレーム1内に配設された油圧ホースを接続する継ぎ手(図示省略)が設けられ、フィーダハウス3Dの右壁には、搬送装置3Aを昇降させるシリンダの駆動状態を維持するロックバルブ(図示省略)が設けられている。これにより、圃場の穀稈に応じて刈取前処理装置3を簡易に交換することができる。
【0035】
図3〜5に示すように、脱穀装置4の扱胴の上側に設けられた扱胴カバー60は、脱穀装置4の左壁4Aの上部に設けられた前後方向に延在する支軸61に回転自在に支持されている。これにより、扱胴カバー60を支軸61を中心に回動させて扱胴の上側に大きな空間を形成することにより扱胴等のメンテナンスを容易に行うことができる。また、扱胴カバー60の右下部に設けられた右側に向かって延在する延在部62は、扱胴装置4の右壁4Bの上部に設けられた前後方向に向かって延在する脱穀装置フレーム63に着脱自在に固定されている。
【0036】
操縦部5の後下部には、操縦席を支持する左右方向に向かって延在する操縦席フレーム50が設けられている。操縦席フレーム50の左部は、上下方向に向かって延在する連結部材51を介して、機体フレーム1の前部中間部位に設けられた逆U字形状の左側フレーム52に連結されている。また、操縦席フレーム50の右部は、上下方向に向かって延在する連結部材53を介して、機体フレーム1の前部右部位に設けられた逆U字形状の右側フレーム54に連結されている。なお、右側フレーム54の内周部には、エンジンルーム6の右部に配置されるラジエータ(図示省略)が設けられている。
【0037】
エンジンルーム6に内装されたエンジン(図示省略)の排気口には、エンジンで燃焼された排気ガスを外部に排気する排気管10が接続されている。
【0038】
<第1浄化装置>
排気管10には、第1浄化装置が接続されている。第1浄化装置は、排気ガス中の不純物を浄化する排気浄化装置(DPF)12と排気浄化装置12から排気される排気ガス中の窒素酸化物を浄化する尿素浄化装置(SCR)14等から形成され、排気浄化装置12と尿素浄化装置14の長手方向を機体の前後方向に向けて配置している。なお、排気浄化装置12には、上流側の酸化触媒(DOC)と下流側のパティキュレートフィルタ(DPF)が内装されている。
【0039】
エンジンの排気口と排気浄化装置12の吸気口は、可撓性の排気管11で接続され、排気浄化装置12の排気口と尿素浄化装置14の吸気口は、可撓性の排気管13で接続され、尿素浄化装置14の排気口には可撓性の排気管15が接続されている。また、排気管13の後部には、排気管13を介して尿素浄化装置14に尿素水を噴射する弁である噴射装置17が接続され、噴射装置17には、可撓性の接続管を介して尿素水を圧送するポンプである供給装置18が接続され、供給装置18には可撓性の接続管を介して尿素水を貯留する尿素水タンク(図示省略)が接続されている。
【0040】
排気管15は、尿素浄化装置14の排気口から上側に向かって延在して切欠き部Sの上側傾斜壁32の近傍に至った後、左側に向かって略90度屈曲して揚穀装置9の前側を左側に向かって延在した後、後側に向かって略90度屈曲して揚穀装置9の左側を通って後側に向かって延在している。これにより、支軸61を中心として扱胴カバー60を容易に回動させることができる。また、排気管15は、揚穀装置9の前部に設けられたステー(図示省略)を介して揚穀装置9に着脱自在に固定されている。これにより、排気管15を所定の姿勢で容易に維持すことができる。
【0041】
排気浄化装置12と尿素浄化装置14は、取付プレート16を介して浄化装置フレーム20に固定される。なお、正面視において、排気浄化装置12は、取付プレート16の左部に固定され、尿素浄化装置14は、取付プレート16の右部に尿素浄化装置14に並設して固定されている。
【0042】
図7〜9に示すように、操縦部5のキャビン40の後壁の右部には、エンジンに供給される空気内の不純物を除去するプレクリーナ41が設けられ、キャビン40の後壁の幅方向の中央部には、キャビン40内に設けられた空調設備で暖められた冷却媒体を冷却するコンデンサの周辺の空気を後方に排気する冷却ファン42が設けられている。
【0043】
平面視において、駆動時に表面温度が略550℃に上昇する排気浄化装置12は、冷却ファン42よりも左側に設けられ、駆動時に表面温度が略350℃に上昇する尿素浄化装置14は、冷却ファン42の後側に設けられ、尿素浄化装置14の右部は、冷却ファン42の外周部よりも右側に設けられている。また、背面視において、排気浄化装置12は、冷却ファン42よりも左側に設けられ、尿素浄化装置14は、冷却ファン42の後側に設けられ、尿素浄化装置14の上部は、冷却ファン42の外周部よりも上側に設けられている。これにより、冷却ファン42によって排気された空気が、尿素浄化装置14の右上部に接触し尿素浄化装置14が過度に高温になることを防止して窒素酸化物を効率良く浄化することができる。一方、冷却ファン42によって排気された空気は、排気浄化装置12に直接的には接触しないので、排気浄化装置12は冷却されることなく排気ガス中の不純物を効率良く浄化することができる。
【0044】
排気浄化装置12と尿素浄化装置14の上側には、カバー45が設けられている。平面視において、排気浄化装置12は、カバー45の下側に設けられ、尿素浄化装置14は、カバー45よりも右側に偏移した位置に設けられ、尿素浄化装置14の左部がカバー45の右端部よりも左側に設けられている。これにより、排藁等の粉塵が排気浄化装置12に接触するのを防止することができる。
【0045】
背面視において、カバー45は、略山形形状に形成され、カバー45の左部45Bは、左側に向かって緩やかな下り傾斜に形成され、カバー45の右部45Cは、右側に向かって左部よりも急勾配な下り傾斜に形成されている。これにより、粉塵が、カバー45上に堆積するのを防止することができる。なお、カバー45の右部45Cから尿素浄化装置14に落下した粉塵は、冷却ファン42によって排気された空気で吹き飛ばされて除去される。
【0046】
左側面視において、カバー45の前部45Aは、前側に向かって急勾配な下り傾斜に形成され、カバー45の前端部は、冷却ファン42の上下方向の中心部に臨んでいる。これにより、冷却ファン42によって排気された空気の一部をカバー45の上側に導くことができ、粉塵が、カバー45上に堆積するのを効率良く防止することができ、また、カバー45が過度に高温になるのを防止することができる。
【0047】
尿素水を噴射する噴射装置17に尿素水を圧送する供給装置18は、脱穀装置4の右壁4Bにおける2番揚穀装置47の下側に設けられている。これにより、雨水が供給装置18に接触するのを防止して、供給装置18の早期劣化を防止することができる。また、
図12に示すように、供給装置18を脱穀装置4の右壁4Bにおける2番揚穀装置47の下側で、且つ、唐箕48の空気口の近傍に設けるのが好ましい。これにより、雨水が供給装置18に接触するのを防止し、且つ、粉塵が、供給装置18に堆積するのを防止して、供給装置18の早期劣化をより防止することができる。
【0048】
図6に示すように、浄化装置フレーム20は、左右方向に向かって延在する左右フレーム(請求項における「第1左右フレーム」)21と、左右フレーム21の後側に設けられた左右方向に向かって延在する左右フレーム(請求項における「第2左右フレーム」)22と、左右フレーム22の後側に設けられた左右方向に向かって延在する左右フレーム(請求項における「第3左右フレーム」)23と、前後方向に向かって延在する前後フレーム(請求項における「第1前後フレーム」)24と、前後フレーム24の右側に設けられた前後方向に向かって延在する前後フレーム(請求項における「第2前後フレーム」)25から形成されている。また、左右フレーム21の右部の後側と前後フレーム25の前部の左部はプレート21Bで連結され、左右フレーム22の前部における前後フレーム25の左側にはプレート22Aが設けられている。なお、左右フレーム21と、左右フレーム22と、左右フレーム23を総称して左右フレームAと言い、前後フレーム24と、前後フレーム25を総称して前後フレームBと言う。
【0049】
左右フレーム21の左部の後面と、左右フレーム22の左部の左面と、左右フレーム23の左部の左面は、それぞれ前後フレーム24に連結されている。左右フレーム21の右部の後面と、左右フレーム22の右部中央部位の前面は、それぞれ前後フレーム25に連結されている。また、左右フレーム21の下面と、左右フレーム22の下面と、左右フレーム23の下面と、前後フレーム24の下面と、前後フレーム25の下面は、上下方向において同一位置に設けられている。これにより、エンジンルーム6に設けられた浄化装置フレーム20の下部の出張りを小さくして、エンジンルーム6に大きな空間を形成することができる。
【0050】
左右フレーム22の左部の後面と、左右フレーム23の左部の前面は、前後方向に向かって延在する補強フレーム(請求項における「第1補強フレーム」)26に連結され、左右フレーム22の右部の後面と、左右フレーム23の右部の前面は、前後方向に向かって延在する補強フレーム(請求項における「第2補強フレーム」)27に連結されている。また、左右フレーム22の下面と、左右フレーム23の下面と、補強フレーム26の下面と、補強フレーム27の下面は、上下方向において同一位置に設けられている。これにより、浄化装置フレーム20の変形を防止して、エンジンルーム6に設けられた浄化装置フレーム20の下部の出張りをより小さくして、エンジンルーム6により大きな空間を形成することができる。
【0051】
補強フレーム26の上面と補強フレーム27の上面には、取付プレート16の固定時に使用する開口部が形成されている。また、前後フレーム25の延長線上に位置する左右フレーム22の後面と左右フレーム23の前面は、補強フレーム28に連結するのが好ましい。これにより、浄化装置フレーム20の変形をさらに防止することができる。
【0052】
左右フレーム21の前面には、浄化装置フレーム20を操縦席フレーム50の上面に連結する左右一対の前側ステー21Aが設けられている。前後フレーム24の後部の左面には、浄化装置フレーム20を脱穀装置4の脱穀装置フレーム60の上面に連結する左側ステー24Aが設けられている。これにより、操縦席フレーム50と脱穀装置フレーム60に、浄化装置フレーム20を強固に連結して固定することができる。また、左側ステー24Aの中心部の下面は、上下方向に向かって延在する連結部材55を介して機体フレーム1に連結されている。これにより、浄化装置フレーム20の変形をさらに防止することができる。
【0053】
浄化装置フレーム20に固定された排気浄化装置12と尿素浄化装置14は、脱穀装置4の扱胴カバー60と上下方向において略同一位置に設けられている。
【0054】
尿素浄化装置14に対向するグレンタンク7の左壁7Aの前部には、前側と左側に開口部を有する切欠き部Sが形成されている。これにより、排気浄化装置12と尿素浄化装置14を左右方向に並設して脱穀装置4とグレンタンク7の間に設けることができる。
【0055】
グレンタンク7の左壁7Aにおける揚穀装置9よりも前側に位置する前部は、正面視において、上側垂直壁31と、上側垂直壁31の下端部から右側に向かって下り傾斜する上側傾斜壁32と、上側傾斜壁32の下端部から下側に向かって延在する中間垂直壁33と、中間垂直壁(請求項における「垂直壁」)33の下端部から左側に向かって下り傾斜する下側傾斜壁34と、下側傾斜壁34の下端部から下側に向かって延在する下側垂直壁35で形成されている。なお、切欠き部Sは、上側傾斜壁32と、中間垂直壁33と、下側傾斜壁34で区画された空間を言う。
【0056】
上側傾斜壁32は、水平面に対して右側に向かって略45度の下り傾斜角度に形成され、中間垂直壁33は、排出筒8に穀粒を搬送する前後方向に延在する搬送螺旋の上側に形成され、下側傾斜壁34は、水平面に対して左側に向かって略30度の下り傾斜角度に形成されている。これにより、揚穀装置9によってグレンタンク7に搬送された穀粒を効率良く搬送螺旋に落下させることができる。
【0057】
<第2浄化装置>
次に、排気管10に接続された第2浄化装置について説明する。なお、第1浄化装置と同一部品には、同一符号を付して説明を省略する。
【0058】
図10〜12に示すように、第2浄化装置は、排気浄化装置12と尿素浄化装置14等から形成され、排気浄化装置12と尿素浄化装置14の長手方向を機体の前後方向に直交する幅方向に向けて配置している。
【0059】
排気管15は、尿素浄化装置14の排気口から上側に向かって延在して切欠き部Sの上側傾斜壁32の近傍に至った後、後側に向かって略90度屈曲して後側に向かって延在した後に、左側に向かって略90度屈曲して揚穀装置9の前側を左側に向かって延在している。これにより、支軸61を中心として扱胴カバー60を容易に回動させることができる。また、排気管15は、揚穀装置9の前部に設けられたステー(図示省略)を介して揚穀装置9に着脱自在に固定されている。これにより、排気管15を所定の姿勢で容易に維持すことができる。
【0060】
排気浄化装置12と尿素浄化装置14は、取付プレート16を介して浄化装置フレーム20に固定される。なお、平面視において、尿素浄化装置14は、取付プレート16の前部に固定され、排気浄化装置12は、取付プレート16の後部に尿素浄化装置14に並設して固定されている。
【0061】
平面視において、冷却ファン42の後側に尿素浄化装置14が設けられ、尿素浄化装置14の後側に排気浄化装置12が設けられている。尿素浄化装置14は、冷却ファン42の左右方向の中心よりも左側に偏移して設けられ、尿素浄化装置14の吸気口が形成された上流側の部位の左端部は、キャビン40の左壁の後側に設けられ、尿素浄化装置14の排気口が形成された下流側の部位の右端部は、冷却ファン42の左右方向の中心よりも左側に設けられている。
【0062】
排気浄化装置12は、冷却ファン42の左右方向の中心よりも左側に偏移して設けられ、排気浄化装置12の吸気口が形成された上流側の部位の左端部は、キャビン40の左壁の後側に設けられ、排気浄化装置12の排気口が形成された下流側の部位の右端部は、冷却ファン42の左右方向の中心の後側に設けられている。
【0063】
左側面視において、尿素浄化装置14は、排気浄化装置12よりも下側に設けられている。尿素浄化装置14の上部は、冷却ファン42の外周部の下端部よりも上側に設けられている。また、排気浄化装置12の上部は、冷却ファン42の外周部の下端部よりも上側に設けられ、排気浄化装置12の上端部は、冷却ファン42の上下方向に中心部に設けられている。
【0064】
これにより、冷却ファン42によって排気された空気が、尿素浄化装置14の排気口が形成された下流側の部位に接触して尿素浄化装置14が過度に高温になることを防止することができる。また、冷却ファン42によって排気された空気は、排気浄化装置12の排気口が形成された下流側の部位に接触して排気浄化装置12が過度に高温になることを防止することができる。
【0065】
平面視において、尿素浄化装置14の吸気口が形成された上流側の部位と排気浄化装置12の吸気口が形成された上流側の部位は、カバー45で覆われ、尿素浄化装置14の排気口が形成された下流側の部位と排気浄化装置12の排気口が形成された下流側の部位は、カバー45で覆われていない。これにより、粉塵が、排気浄化装置12において表面温度が最も高温になる上流側の部位に接触するのを防止することができる。また、カバー45から尿素浄化装置14の排気口が形成された下流側の部位に落下した粉塵や、カバー45から排気浄化装置12の排気口が形成された下流側の部位に落下した粉塵は、冷却ファン42によって排気された空気によって吹き飛ばされて除去される。
【0066】
<燃料タンク>
次に、エンジンに供給される燃料を貯留する燃料タンク65について説明する。
図5,13に示すように、機体フレーム1は、左右方向に所定の間隔を隔てて前後方向に延在する4本の前後フレーム67A〜67Dが並設されている。また、前後フレーム67A〜67Dの後端部は、左右方向に延在する左右フレーム68で連結されている。より具体的には、左右フレーム68の左端部は、前後フレーム67Aの右面に固定され、左右フレーム68の右端部は、前後フレーム67Dの左面に固定され、左右フレーム68の左側部の下面は、前後フレーム67Bの上面に固定され、左右フレーム68の右側部の下面は、前後フレーム67Cの上面に固定されている。
【0067】
背面視において、機体フレーム1の左部に脱穀装置4が設けられ、脱穀装置4の左壁4Aは、機体フレーム1の左端部に設けられた前後フレーム67Aに位置し、脱穀装置4の右壁4Bは、機体フレーム1の左右方向の中央部に設けられた前後フレーム67B,67Cの間に位置している。また、機体フレーム1の左部には、グレンタンク7が設けられ、グレンタンク7の左壁7Aは、機体フレーム1の左右方向の中央部に設けられた前後フレーム67B,67Cの間に位置し、グレンタンク7の底壁7Bは、左壁7Aの下端部から右側に向かって下り傾斜している。
【0068】
背面視において、燃料タンク65は、左右方向に長辺を設けた略長方形形状に形成されている。燃料タンク65の左端部は、前後フレーム67Aと前後フレーム67Bの間に位置し、燃料タンク65の右端部は、前後フレーム67Bと前後フレーム67Cの間に位置し、燃料タンク65の中心部は、前後フレーム67B上に位置している。これにより、燃料タンク65を前後フレーム67Bを中心として時計方向に回動させて、燃料タンク65の右側部から順に前後フレーム67Bと前後フレーム67Cの間から外部に取外すことができる。
【0069】
燃料タンク65の中心部よりも右側部には下側に向かって張出した膨張部65Aが形成されている。これにより、多量の燃料を燃料タンク65に貯留することができる。