特許第6489546号(P6489546)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6489546
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】照光表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 13/18 20060101AFI20190318BHJP
【FI】
   G09F13/18 N
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-18747(P2015-18747)
(22)【出願日】2015年2月2日
(65)【公開番号】特開2016-142923(P2016-142923A)
(43)【公開日】2016年8月8日
【審査請求日】2017年11月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 弘樹
【審査官】 吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3181116(JP,U)
【文献】 特開2009−277452(JP,A)
【文献】 特開2013−173246(JP,A)
【文献】 特表2013−525836(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/130720(WO,A2)
【文献】 韓国公開特許第10−2013−0044032(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 13/18
F21S 2/00
G02B 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の表示パターンを照光表示する照光表示装置であって、
光源からの光が入光する端部に入光部を有する導光体と、前記導光体の表面に形成され前記所定の表示パターンが設けられたパターン層と、を備え、
前記パターン層は、透明なバインダに細かい繊維状の銀ナノワイヤが分散された銀ナノワイヤ膜を有し
前記パターン層は、前記導光体の前記端部から前記光が入光していない際には、視認されなく、前記導光体の前記端部から前記光が入光した際には、照光されて視認されることを特徴とする照光表示装置。
【請求項2】
前記導光体を複数有し、
複数の前記導光体の少なくとも2つには、それぞれに前記パターン層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の照光表示装置。
【請求項3】
前記少なくとも2つの導光体は、離間して対向するように配設されていることを特徴とする請求項2に記載の照光表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文字や記号や図形等の所定の表示パターンを照光表示する照光表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
商品広告や案内表示などに用いられ、夜間や照度が低い箇所でも所望の情報を正しく認識できるように、多様な文字や記号や図形等の表示パターンを照光表示する照光表示装置が多種開発されている。このような照光表示装置には、常に照光表示させている場合と必要なときにだけ照光表示させる場合とがあり、近年の表示に対する多様化に伴って、後者の場合の要望が高まってきた。特に、照光表示させないときには、表示パターンがユーザにより認識されないことが求められていた。
【0003】
そこで、このような照光表示装置に対して、液晶表示装置に用いられる導光板(バックライト)の技術の応用が考えられる。ここでの導光板は、冷陰極蛍光ランプ(CCFL、Cold Cathode Fluorescent Lamp)や発光ダイオード(LED、Light Emitting Diode)などの光源からの光を伝搬し、照光したい部分を光らせる機能を有している。このような導光板の従来例として、特許文献1(従来例1)では、光制御パターン814が一面に形成された導光板801が提案されている。図9は、従来例の導光板を説明する図であって、図9(a)は、従来例1の導光板801の平面図であり、図9(b)は、従来例1で引用されている従来例(従来例2)の導光板901の平面図及び側面図である。
【0004】
図9(a)に示す従来例1の導光板801は、側面に入光面813を有し、反射面812に多数の単位パターン840を不規則に、かつ、単位面積当たりの分布密度がほぼ均一になる配置で形成して構成されている。この単位パターン840は、円柱形の凹部、円錐形の凹部、円錐台形の凹部、ムーンカットパターン、印刷ドット等で作製されている。そして、導光板801内を伝搬してきた光を単位パターン840で散乱させ、反射面812とは反対側の発光面を光らせるようにしている。
【0005】
また、図9(b)に示す従来例2の導光板901は、側面に入光面913を有し、反射面912に多数のV溝の単位パターン940を規則的に形成して構成されている。そして、従来例1と同様に、導光板901内を伝搬してきた光を単位パターン940で散乱させ、反射面912とは反対側の発光面915を光らせるようにしている。
【0006】
また、図示はしないが、導光板の反射面に二酸化チタン等の粉末が含有された光散乱性を有したパターン層を設け、このパターン層で光を散乱させ、発光面を光らせるようにしている導光板の技術も存在している(従来例3)。
【0007】
このようにして、従来例1及び従来例2の単位パターン(840、940)や従来例3のパターン層を設けることにより、照光表示させたいときに、光源を点灯し、発光面を光らせるようにする。そして、透光性の表示パターンを発光面側に設けることや単位パターン(840、940)及びパターン層そのものを表示パターンとして用いることで、ユーザにより表示パターンが照光表示されて認識されるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−84544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来例1や従来例2の導光板(801、901)の表面を加工する方法では、単位パターンがある程度の大きさを有するため、所望の表示パターンを明瞭に表示することが困難であった。しかも従来例1や従来例2では、照光表示させないとき(光源を点灯させないとき)でも、導光板への透過光や反射光で、単位パターン(840、940)がユーザにより視認されてしまうという課題があった。また、従来例3でも、当然のことながら、パターン層がユーザにより視認されてしまうという課題があった。
【0010】
本発明は、上述した課題を解決するもので、光源の非点灯時に視認されなく、光源の点灯時に所定の表示パターンを照光表示できる照光表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題を解決するために、本発明の照光表示装置は、所定の表示パターンを照光表示する照光表示装置であって、光源からの光が入光する端部に入光部を有する導光体と、前記導光体の表面に形成され前記所定の表示パターンが設けられたパターン層と、を備え、前記パターン層が透明なバインダに細かい繊維状の銀ナノワイヤが分散された銀ナノワイヤ膜を有し、前記パターン層が、前記導光体の前記端部から前記光が入光していない際には、視認されなく、前記導光体の前記端部から前記光が入光した際には、照光されて視認されることを特徴としている。
【0012】
これによれば、本発明の照光表示装置は、パターン層が非常に細い繊維状の銀ナノワイヤを有した銀ナノワイヤ膜となっているので、反射光や透過光がパターン層に入光したとしても、反射光や透過光が銀ナノワイヤに影響されることがない。このため、光源の非点灯時に導光体の端部から光が入光していない際には、ユーザによりパターン層が視認されることがない。一方、光源の点灯時に導光体の端部から光が入光した際には、導光体内を伝搬してきた光がパターン層の銀ナノワイヤにより散乱される。このため、パターン層が照光され、ユーザにより照光された所定の表示パターンとして視認されるようになる。これらのことにより、光源の非点灯時には、所定の表示パターンが視認されなく、光源の点灯時には、所定の表示パターンを照光表示することができる照光表示装置を提供できる。
【0013】
また、本発明の照光表示装置は、前記導光体を複数有し、複数の前記導光体の少なくとも2つには、それぞれに前記パターン層が形成されていることを特徴としている。
【0014】
これによれば、複数の導光体のそれぞれに所定の表示パターンを別々に割り当てることができる。このことにより、照光表示による表現をより豊かにすることができる。
【0015】
また、本発明の照光表示装置は、前記少なくとも2つの導光体が離間して対向するように配設されていることを特徴としている。
【0016】
これによれば、複数の導光体のそれぞれに、同じ所定の表示パターンを設け、同じ所定の表示パターンを重ね合わせて配置することができる。このため、それぞれの導光体に入光する光の色を変えることで、所定の表示パターンの表示色を変えることができる。しかも入光する光の色の組合せによって、表示色の色を増やすことができる。このことにより、照光表示による表現をより一層豊かにすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の照光表示装置は、パターン層が非常に細い繊維状の銀ナノワイヤを有した銀ナノワイヤ膜となっているので、反射光や透過光がパターン層に入光したとしても、反射光や透過光が銀ナノワイヤに影響されることがない。このため、光源の非点灯時に導光体の端部から光が入光していない際には、ユーザによりパターン層が視認されることがない。一方、光源の点灯時に導光体の端部から光が入光した際には、導光体内を伝搬してきた光がパターン層の銀ナノワイヤにより散乱される。このため、ユーザによりパターン層が照光された所定の表示パターンとして視認されるようになる。これらのことにより、光源の非点灯時には、所定の表示パターンが視認されなく、光源の点灯時には、所定の表示パターンを照光表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態の照光表示装置を説明する斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態の照光表示装置を説明する構成図であって、図1に示すZ1側から見た上面図である。
図3】本発明の第1実施形態の照光表示装置を説明する構成図であって、図2に示すIII−III線における断面図である。
図4】本発明の第1実施形態の照光表示装置に係わるパターン層の形成方法を説明する工程図である。
図5】本発明の第2実施形態の照光表示装置を説明する分解斜視図である。
図6】本発明の第2実施形態の照光表示装置を説明する斜視図である。
図7】本発明の第2実施形態の照光表示装置を説明する図であって、図7(a)は、図6に示すZ1側から見た上面図であり、図7(b)は、図6に示すX1側から見た側面図である。
図8】本発明の第2実施形態の照光表示装置を説明する図であって、図7(a)に示すVIII−VIII線における断面図である。
図9】従来例の導光板を説明する図であって、図9(a)は、従来例1の導光板の平面図であり、図9(b)は、従来例1で引用されている従来例(従来例2)の導光板の平面図及び側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0020】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態の照光表示装置101を説明する斜視図である。図2は、本発明の第1実施形態の照光表示装置101を説明する構成図であって、図1に示すZ1側から見た上面図である。図3は、本発明の第1実施形態の照光表示装置101を説明する構成図であって、図2に示すIII−III線における断面図である。
【0021】
本発明の第1実施形態の照光表示装置101は、図1及び図2に示すような外観を呈し、図3に示すように、端部に入光部L1nを有する導光体L1と、導光体L1の表面に形成されたパターン層5と、を備えて構成されている。他に、本発明の第1実施形態では、照光表示装置101は、図1ないし図3に示すように、導光体L1の入光部L1nに対向して配設された光源LE1と、導光体L1を収容するケースK17と、光源LE1及び外部機器との接続を可能にするコネクタCNを搭載する配線基板19と、を有している。そして、照光表示装置101は、光源LE1が点灯された際に、パターン層5に描かれた所定の表示パターンを照光表示するように構成されている。なお、図1及び図2には、パターン層5における具体的な所定の表示パターンを図示していないが、文字や記号や図形等の表示パターンが設けられている。また、図3の断面図では、パターン層5において、表示パターン(図中に示すPT)の有る部分と無い部分を示している。
【0022】
先ず、照光表示装置101の導光体L1は、透光性を有した硼ケイ酸系のガラスからなり、図1ないし図3に示すように、シート状で矩形状を有しており、その外周がケースK17で囲まれている。また、図3に示すように、導光体L1の端部には、光源LE1からの光が入光する入光部L1nを有しており、光源LE1が点灯された際に、入光部L1nから入光した光源LE1の光は、導光体L1の上面L1u或いは下面L1dと空気層との境界部で反射を繰り返して、導光体L1の内部を伝搬する。
【0023】
次に、照光表示装置101のパターン層5は、図1ないし図3に示すように、導光体L1の表面(図3では上面L1u)に形成されており、透明なバインダに銀ナノワイヤが分散された銀ナノワイヤ膜がパターン状になって構成されている。このパターン層5は、銀ナノワイヤを有した銀ナノワイヤ膜なので、反射光や透過光がパターン層5の銀ナノワイヤ膜に入光したとしても、反射光や透過光が銀ナノワイヤに影響されることがない。このため、光源LE1の非点灯時に導光体L1の端部から光が入光していない際には、ユーザによりパターン層5が視認されることがない。
【0024】
一方、光源LE1の点灯時に導光体L1の端部から光が入光した際には、導光体L1内を伝搬してきた光が銀ナノワイヤ膜の銀ナノワイヤにより散乱される。このため、銀ナノワイヤ膜で構成されたパターン層5が照光され、ユーザにより照光された所定の表示パターンとして視認されるようになる。
【0025】
ここで、パターン層5の形成方法について、簡単に説明する。図4は、パターン層5の形成方法を説明する工程図であり、図4(a)は、パターニング工程P1の途中の状態を示し、図4(b)は、パターニング工程P1終了後の状態を示し、図4(c)は、膜形成工程P2終了後の状態を示し、図4(d)は、剥離工程P3終了後の状態を示している。
【0026】
パターン層5の形成方法は、先ず、ポジ型で感光性のレジストインクを用い、コータ等を利用して、図4(a)に示すように、このレジストインクを導光体L1の全面に塗布し、レジストインクを乾燥してレジスト膜R1を形成する。次に、フォトマスクを用いて、レジスト膜R1を露光、現像して、図4(b)に示すように、所定の表示パターンとなる開口R1kを有するレジスト膜R1を形成して、パターニング工程P1を終了する。なお、レジストインクとして、ネガ型を用いても良いが、その際には、フォトマスクの光透過領域を変更して、同じ開口R1kを有する表示パターンとする必要がある。また、パターン層5は銀ナノワイヤインクをスクリーン印刷などで塗布して形成してもかまわない。
【0027】
次に、銀ナノワイヤ膜AG2を形成する膜形成工程P2を行う。この膜形成工程P2は、先ず、銀ナノワイヤがバインダ中に分散されたインク(例えば星光PMC(株)製)を準備し、コータ等を利用して、このインクを所定のパターンが形成された導光体L1上の全面に塗布する。このインクは、銀ナノワイヤ、水溶性のバインダ及び水溶液から構成されている。そして、乾燥を行い溶媒である水溶液を蒸発させて、図4(c)に示すように、バインダに銀ナノワイヤが分散された銀ナノワイヤ膜AG2を形成する。なお、この銀ナノワイヤは、容易に入手が可能であり、また、銀ナノワイヤを用いて形成した銀ナノワイヤ膜AG2は、高い導電性を有し不可視性に優れている。
【0028】
最後に、レジスト膜R1を剥離する剥離工程P3を行う。この剥離工程P3は、レジスト膜R1を溶解する剥離液を準備し、この剥離液にレジスト膜R1及び銀ナノワイヤ膜AG2が形成された導光体L1を浸漬するか、導光体L1の表面に剥離液を滴下するかのいずれかを行う。これにより、レジスト膜R1は、レジスト膜R1上に形成された銀ナノワイヤ膜AG2とともに除去される。以上のようにして、図4(d)に示すように、所定の表示パターン(図4(d)に示すPT)を有するパターン層5が導光体L1上に形成される。
【0029】
次に、照光表示装置101の光源LE1は、側面発光方式のLED(Light Emitting Diode)を好適に用いており、図2及び図3に示すように、配線基板19に搭載され、入光部L1nと対向する位置に配置されているとともに、入光部L1nに光を入光できる向きに発光面LE1pを向けて配置されている。なお、光源LE1には、コネクタCNを介して、外部から電力が供給される。
【0030】
次に、照光表示装置101のケースK17は、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)等の合成樹脂材料を用い、図1に示すように、導光体L1を収容できるような矩形の筒状形状をしている。また、ケースK17は、図3に示すように、上下(図3に示すZ方向)面に開放された窓部K17wを有しており、特に、図1及び図2に示すように、パターン層5がこの窓部K17wから露出している。
【0031】
最後に、照光表示装置101の配線基板19は、一般に知られているプリント配線板(PWB、Printed Wiring Board)を用いており、光源LE1及びコネクタCNが搭載されている。また、配線基板19は、導光体L1と光源LE1とがほぼ同一の高さになるように配設され、ケースK17に固定されている。
【0032】
以上のように構成された本発明の第1実施形態の照光表示装置101における、効果について、以下に記述する。
【0033】
本発明の第1実施形態の照光表示装置101は、導光体L1の表面に形成されたパターン層5が非常に細い繊維状の銀ナノワイヤを有した銀ナノワイヤ膜となっている。このため、反射光や透過光がパターン層5に入光したとしても、反射光や透過光が銀ナノワイヤに影響されることがないので、光源LE1の非点灯時に導光体L1の端部から光が入光していない際には、ユーザによりパターン層5が視認されることがない。一方、光源LE1の点灯時に導光体L1の端部から光が入光した際には、導光体L1内を伝搬してきた光がパターン層5の銀ナノワイヤにより散乱される。このため、パターン層5が照光され、ユーザにより照光された所定の表示パターンとして視認されるようになる。これらのことにより、光源LE1の非点灯時には、所定の表示パターンが視認されなく、光源LE1の点灯時には、所定の表示パターンを照光表示することができる照光表示装置101を提供できる。
【0034】
[第2実施形態]
図5は、本発明の第2実施形態の照光表示装置102を説明する分解斜視図である。図6は、本発明の第2実施形態の照光表示装置102を説明する斜視図である。図7は、本発明の第2実施形態の照光表示装置102を説明する図であって、図7(a)は、図6に示すZ1側から見た上面図であり、図7(b)は、図6に示すX1側から見た側面図である。図8は、本発明の第2実施形態の照光表示装置102を説明する図であって、図7(a)に示すVIII−VIII線における断面図である。また、第2実施形態の照光表示装置102は、第1実施形態に対し、主に導光体L1を2つ(第1導光体L11、第2導光体L21)備えている構成が異なる。なお、第1実施形態と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0035】
本発明の第2実施形態の照光表示装置102は、図6及び図7に示すような平板状の外観を呈し、図5及び図8に示すように、端部に入光部L1nを有する第1導光体L11と、第1導光体L11の表面に形成されたパターン層15と、第1導光体L11の下方(図5に示すZ2方向)に配置された第2導光体L21と、第2導光体L21の表面に形成されたパターン層25と、を備えて構成される。他に、本発明の第2実施形態では、照光表示装置102は、第1導光体L11の入光部L1nに対向して配設された第1光源LE11と、第2導光体L21の入光部L1nに対向して配設された第2光源LE21と、第1導光体L11の上方(図5に示すZ1方向)に配置されたカバーフィルムCF3と、第1導光体L11が載置されるスペーサSP4と、第2導光体L21の下方に配置された反射層RF6と、第1導光体L11及び第2導光体L21等を収容するケースK27と、第1光源LE11及び第2光源LE21をそれぞれ搭載する2つの配線基板29と、を備えている。そして、第1光源LE11及び第2光源LE21が点灯された際に、パターン層15及びパターン層25に描かれた所定の表示パターンを照光表示するように構成されている。なお、図5には、パターン層15及びパターン層25における具体的な所定の表示パターンを図示していないが、文字や記号や図形等の表示パターンが設けられている。また、図8の断面図では、パターン層15及びパターン層25において、表示パターン(図中に示すPT)の有る部分と無い部分を示している。
【0036】
先ず、照光表示装置102の導光体L1は、図5及び図8に示すように、第1導光体L11と第2導光体L21と、複数有しており、図8に示すように、2つの導光体L1(第1導光体L11及び第2導光体L21)が離間して対向するように配設されている。
【0037】
また、第1導光体L11及び第2導光体L21は、透光性を有したポリカーボネート(PC、polycarbonate)等の合成樹脂からなり、図5に示すように、シート状で矩形状を有している。また、図5及び図8に示すように、第1導光体L11及び第2導光体L21のそれぞれの端部には、第1光源LE11及び第2光源LE21からの光が入光する入光部L1nを有している。そして、第1導光体L11では、第1光源LE11が点灯された際に、入光部L1nから入光した光は、第1導光体L11の上面L1u或いは下面L1dと空気層との境界部で反射を繰り返して、第1導光体L11の内部を伝搬する。同様にして、第2導光体L21でも、第2光源LE21が点灯された際に、入光部L1nから入光した光は、第2導光体L21の上面L1u或いは下面L1dと空気層との境界部で反射を繰り返して、第2導光体L21の内部を伝搬する。
【0038】
次に、照光表示装置102のパターン層15は、図5及び図8に示すように、第1導光体L11の表面(図8では上面L1u)に形成されており、透明なバインダに銀ナノワイヤが分散された銀ナノワイヤ膜がパターン状になって構成されている。また、照光表示装置102のパターン層25も同様に、第2導光体L21の表面(図8では上面L1u)に形成されており、透明なバインダに銀ナノワイヤが分散された銀ナノワイヤ膜がパターン状になって構成されている。このパターン層15及びパターン層25は、銀ナノワイヤを有した銀ナノワイヤ膜なので、反射光や透過光がパターン層15及びパターン層25の銀ナノワイヤ膜に入光したとしても、反射光や透過光が銀ナノワイヤに影響されることがない。このため、第1光源LE11及び第2光源LE21の非点灯時に、それぞれの導光体L1(第1導光体L11及び第2導光体L21)の端部から光が入光していない際には、ユーザによりパターン層15及びパターン層25が視認されることがない。
【0039】
一方、第1光源LE11及び第2光源LE21の点灯時に、それぞれの導光体L1(第1導光体L11及び第2導光体L21)の端部から光が入光した際には、それぞれの導光体L1(第1導光体L11及び第2導光体L21)内を伝搬してきた光が銀ナノワイヤ膜の銀ナノワイヤにより散乱される。このため、銀ナノワイヤ膜で構成されたパターン層15及びパターン層25が照光され、ユーザにより、照光された所定の表示パターンとして、それぞれ視認されるようになる。
【0040】
特に、本発明の第2実施形態の照光表示装置102では、導光体L1を2つ(第1導光体L11及び第2導光体L21)有しているので、2つの導光体L1のそれぞれに所定の表示パターンを別々に割り当てることができる。例えば、第1光源LE11と第2光源LE21の発光色を変えて、違う色に照光された所定の表示パターンをユーザに視認させることができる。例えば、第1光源LE11と第2光源LE21の点灯のタイミングを違えることで、それぞれの所定の表示パターンを別々に時間をずらしてユーザに認識させることもできる。これらを組み合わせることもできる。このように、本発明の第2実施形態の照光表示装置102は、照光表示による表現をより豊かにすることができる。
【0041】
更に、本発明の第2実施形態の照光表示装置102では、2つの導光体L1(第1導光体L11及び第2導光体L21)が離間して対向するように配設されているので、2つの導光体L1のそれぞれに、同じ所定の表示パターン設け、この同じ所定の表示パターンを重ね合わせて配置することができる。このため、それぞれの導光体L1に入光する光の色を変えることで、所定の表示パターンの表示色を変えることができる。しかも入光する光の色の組合せによって、表示色の色を増やすことができる。このことにより、照光表示による表現をより一層豊かにすることができる。
【0042】
なお、パターン層15及びパターン層25の形成方法は、第1実施形態で記述した形成方法と同様なので、説明を省略する。
【0043】
次に、照光表示装置102の第1光源LE11及び第2光源LE21は、第1実施形態と同様に、側面発光方式のLEDを好適に用いており、図8に示すように、それぞれの配線基板29(29A、29B)に搭載され、入光部L1nと対向する位置に配置されているとともに、入光部L1nに光を入光できる向きに発光面LE1pを向けて配置されている。このように、第1導光体L11の入光部L1nと第1光源LE11の発光面LE1pとを対向配置させるため、本発明の第2実施形態では、図8に示すように、高さ調整用部材のスペーサSP4を用い、スペーサSP4の上に配線基板29Aを載置するようにしている。また、第2導光体L21と配線基板29BとをケースK27に収容することにより、第2導光体L21の入光部L1nと第2光源LE21の発光面LE1pとを対向配置させるようにもしている。なお、第1光源LE11及び第2光源LE21には、コネクタCNを介して、外部から電力が供給される。
【0044】
次に、照光表示装置102のスペーサSP4は、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)等の合成樹脂材料を用い、図5に示すように、板状で矩形状を有しており、中央部分には、矩形状の開口部SP4kが形成されている。そして、照光表示装置102が組み立てられた際には、このスペーサSP4は、前述した高さ調整の機能を有するとともに、図8に示すように、この開口部SP4kに第2導光体L21を収容する。また、このスペーサSP4は、第1導光体L11と第2導光体L21とを離間させている機能も有している。
【0045】
また、スペーサSP4の下方(図8に示すZ2方向)には、配線基板29Bが配設されて、スペーサSP4の開口部SP4kに第2光源LE21が収容されるようになる。そして、同じ開口部SP4kに収容された第2導光体L21と第2光源LE21とがほぼ同一の高さになるように、配線基板29BがケースK27上に載置されて配設される。なお、照光表示装置102が組み立てられた際には、スペーサSP4は、図示していない両面テープ等の接着層で、ケースK27に固定されている。
【0046】
次に、照光表示装置102のカバーフィルムCF3は、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の透明のフィルム材料を用い、図6及び図7に示すように、ケースK27の外形サイズに合わせた矩形状の形状をしている。そして、カバーフィルムCF3は、照光表示装置102の上面側(図6に示すZ1側)を覆うようにして配設され、図示していない両面テープ等の接着層で、ケースK27に固定されている。ユーザは、このカバーフィルムCF3を透して、第1導光体L11及び第2導光体L21所定の表示パターンを視認する。
【0047】
次に、照光表示装置102の反射層RF6は、矩形状で白色のフィルム基材を用いており、図8に示すように、第2導光体L21の下方に配置されるとともに、ケースK27に載置されて、スペーサSP4の開口部SP4kに収容されるようになる。この反射層RF6は、第2導光体L21側からの光を拡散反射して、第2導光体L21側に光を再び戻すようにしている。なお、反射層RF6は、図示していない両面テープ等の接着層で、ケースK27に固定されている。
【0048】
次に、照光表示装置102のケースK27は、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)等の合成樹脂材料を用い、図5に示すように、ベースとなる基体K27kと、基体K27kの三方の端部から延設された側壁K27sと、基体K27kの残りの一方の端部から長手方向(図5に示すY1方向)に延設された基部K27bと、から形成されている。そして、ケースK27は、第1導光体L11、第2導光体L21、スペーサSP4及び反射層RF6を収容するとともに、第2光源LE21及びコネクタCNが搭載された配線基板29Bを基部K27bに載置し、スペーサSP4を基体K27kに載置し、カバーフィルムCF3を側壁K27sの天面に載置している。
【0049】
最後に、照光表示装置102の配線基板29(29A、29B)は、一般に知られているフレキシブルプリント配線板(FPC、Flexible printed circuits)を好適に用いており、前述したように、第1光源LE11及び第2光源LE21に対応して、2つ設けられている。そして、この配線基板29A及び配線基板29Bには、第1光源LE11及びコネクタCNと、第2光源LE21及びコネクタCNと、がそれぞれに搭載されている。また、第1光源LE11が搭載された配線基板29Aは、第1導光体L11と第1光源LE11とがほぼ同一の高さになるように配設され、スペーサSP4に固定されている。また、第2光源LE21が搭載された配線基板29Bは、第2導光体L21と第2光源LE21とがほぼ同一の高さになるように配設され、ケースK27の基部K27bに固定されている。なお、配線基板29A及び配線基板29Bの固定は、図示していない両面テープ等の接着層を用いている。
【0050】
以上のように構成された本発明の第2実施形態の照光表示装置102における、効果について、以下に纏めて記述する。
【0051】
本発明の第2実施形態の照光表示装置102は、導光体L1(第1導光体L11及び第2導光体L21)の表面に形成されたパターン層(15、25)が非常に細い繊維状の銀ナノワイヤを有した銀ナノワイヤ膜となっている。このため、反射光や透過光がパターン層(15、25)に入光したとしても、反射光や透過光が銀ナノワイヤに影響されることがないので、第1光源LE11及び第2光源LE21の非点灯時に導光体L1の端部から光が入光していない際には、ユーザによりパターン層(15、25)が視認されることがない。一方、第1光源LE11及び第2光源LE21の点灯時に導光体L1の端部から光が入光した際には、導光体L1内を伝搬してきた光がパターン層(15、25)の銀ナノワイヤにより散乱される。このため、パターン層(15、25)が照光され、ユーザにより照光された所定の表示パターンとしてそれぞれ視認されるようになる。これらのことにより、第1光源LE11及び第2光源LE21の非点灯時には、所定の表示パターンが視認されなく、第1光源LE11及び第2光源LE21の点灯時には、所定の表示パターンを照光表示することができる照光表示装置102を提供できる。
【0052】
また、パターン層(15、25)が形成されている導光体L1として、第1導光体L11及び第2導光体L21と、2つ有しているので、2つの導光体L1のそれぞれに所定の表示パターンを別々に割り当てることができる。このことにより、違う色での照光表示やタイミングをずらした照光表示等、照光表示による表現をより豊かにすることができる。
【0053】
また、2つの導光体L1(第1導光体L11及び第2導光体L21)が離間して対向するように配設されているので、2つの導光体L1のそれぞれに、同じ所定の表示パターン設け、この同じ所定の表示パターンを重ね合わせて配置することができる。このため、それぞれの導光体L1に入光する光の色を変えることで、所定の表示パターンの表示色を変えることができる。しかも入光する光の色の組合せによって、表示色の色を増やすことができる。このことにより、照光表示による表現をより一層豊かにすることができる。
【0054】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば次のように変形して実施することができ、これらの実施形態も本発明の技術的範囲に属する。
【0055】
<変形例1>
上記第1実施形態では、導光体L1としてガラスを用いたが、これに限るものではなく、ポリカーボネートやウレタン等の透光性の合成樹脂を用いても良い。
【0056】
<変形例2>
上記第2実施形態では、第1導光体L11と第2導光体L21とが離間して対向するように構成したが、第1導光体L11と第2導光体L21を横に並べて構成しても良い。また、それらを組み合わせた構成でも良い。
【0057】
<変形例3>
上記第2実施形態では、導光体L1としてポリカーボネート等の合成樹脂を用いたが、これに限るものではなく、第1実施形態のように、ガラスを用いても良い。
【0058】
<変形例4>
上記第2実施形態では、導光体L1を2つ用いたが、3つ以上用いた構成でも良い。特に、3つ以上用いた場合には、それぞれの導光体L1の光源色に、R(Red)、G(Green)及びB(Blue)を用いると、所定の表示パターンをフルカラー表示にすることができ、照光表示による表現をより一層益々豊かにすることができる。
【0059】
<変形例5>
上記実施形態では、パターン層5、パターン層15及びパターン層25が導光体L1の上面L1uに形成されていたが、これに限るものではなく、導光体L1の下面L1dに形成されていても良いし、或いは上面L1uと下面L1dとに位置をずらして形成されていても良い。
【0060】
本発明は上記実施の形態に限定されず、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0061】
L1 導光体
L11 第1導光体
L21 第2導光体
L1n 入光部
5、15、25 パターン層
101、122 照光表示装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9