特許第6489561号(P6489561)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6489561
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】コイル部品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01F 17/04 20060101AFI20190318BHJP
   H01F 17/00 20060101ALI20190318BHJP
   H01F 27/32 20060101ALI20190318BHJP
   H01F 41/04 20060101ALI20190318BHJP
【FI】
   H01F17/04 A
   H01F17/00 B
   H01F27/32 140
   H01F41/04 C
【請求項の数】25
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-200650(P2017-200650)
(22)【出願日】2017年10月16日
(65)【公開番号】特開2018-157185(P2018-157185A)
(43)【公開日】2018年10月4日
【審査請求日】2017年10月16日
(31)【優先権主張番号】10-2017-0033180
(32)【優先日】2017年3月16日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】リー、サン ジェ
(72)【発明者】
【氏名】セオ、ユン ソ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジェ ハ
(72)【発明者】
【氏名】チャ、ヒエ イオン
【審査官】 多田 幸司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−110425(JP,A)
【文献】 特開平07−142256(JP,A)
【文献】 特開2017−011185(JP,A)
【文献】 特開2016−197712(JP,A)
【文献】 特開2015−037189(JP,A)
【文献】 特開2015−032625(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/031913(WO,A1)
【文献】 特開平07−022251(JP,A)
【文献】 特開2002−124415(JP,A)
【文献】 実開昭62−080304(JP,U)
【文献】 特開2005−191408(JP,A)
【文献】 特開2014−107548(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 17/04
H01F 17/00
H01F 27/32
H01F 41/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性物質を含む本体部と、
前記本体部内に配置されたコイル部と、を含むコイル部品であって、
前記コイル部は、平面渦巻き状のパターンを有する第1コイルパターン層と、前記第1コイルパターン層の少なくとも一部を埋め込む絶縁層と、前記絶縁層上に配置され、平面渦巻き状のパターンを有する第2コイルパターン層と、を含み、
前記第1コイルパターン層は、前記絶縁層に埋め込まれ、一面が前記絶縁層の一面に露出し、前記第2コイルパターン層は、前記絶縁層の他面に突出形成され、
前記絶縁層は、前記第1コイルパターン層と前記第2コイルパターン層との間に配置されたコア材を含み、前記コア材より下部に配置された前記絶縁層の下部領域の厚さが前記コア材より上部に配置された前記絶縁層の上部領域の厚さよりも厚い、コイル部品。
【請求項2】
前記第1コイルパターン層は前記絶縁層の下部領域に埋め込まれ、
前記第2コイルパターン層は前記絶縁層の上部領域上に配置されている、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項3】
前記絶縁層は前記コア材としてガラス繊維を含む、請求項1又は2に記載のコイル部品。
【請求項4】
前記絶縁層は無機フィラーをさらに含む、請求項3に記載のコイル部品。
【請求項5】
前記コイル部は、前記第2コイルパターン層の上面及び側面を覆うとともに、前記第2コイルパターン層のパターンの間の空間を満たす絶縁膜をさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項6】
前記絶縁膜は、前記絶縁層の上面の少なくとも一部、前記絶縁層の下面、及び前記絶縁層の側面を覆う、請求項5に記載のコイル部品。
【請求項7】
前記第1コイルパターン層の下面は前記絶縁層の下面から露出しており、
前記第1コイルパターン層の露出している下面は前記絶縁膜により覆われる、請求項6に記載のコイル部品。
【請求項8】
前記第1コイルパターン層は、めっき層を含み、シード層は含まず、
前記第2コイルパターン層はシード層及びめっき層を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項9】
前記第1コイルパターン層の下面は前記絶縁層の下面と段差を有する、請求項8に記載のコイル部品。
【請求項10】
前記コイル部は、前記絶縁層の下部に配置された第1絶縁フィルムと、前記絶縁層と前記第2コイルパターン層との間に配置された第2絶縁フィルムと、をさらに含む、請求項1からのいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項11】
前記コイル部は、前記第2コイルパターン層の上面及び側面を覆うとともに、前記第2コイルパターン層のパターンの間の空間を満たす絶縁膜をさらに含む、請求項10に記載のコイル部品。
【請求項12】
前記絶縁膜は、前記第1絶縁フィルムの下面、前記絶縁層の側面、及び前記第2絶縁フィルムの上面の少なくとも一部を覆う、請求項11に記載のコイル部品。
【請求項13】
前記第1コイルパターン層の下面は前記絶縁層の下面から露出しており、
前記第1コイルパターン層の露出している下面は前記第1絶縁フィルムにより覆われる、請求項10から12のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項14】
前記第1コイルパターン層及び前記第2コイルパターン層はそれぞれシード層及びめっき層を含む、請求項10から13のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項15】
支持層上に第1及び第2金属層が順に配置された基板を準備する段階と、
前記基板の第2金属層上に、平面渦巻き状のパターンを有する第1コイルパターン層を形成する段階と、
前記基板の第2金属層上に、前記第1コイルパターン層の少なくとも一部を埋め込む絶縁層を形成する段階と、
前記絶縁層上に、平面渦巻き状のパターンを有する第2コイルパターン層を形成する段階と、
前記第1及び第2金属層を分離する段階と、
前記第2金属層を除去する段階と、
前記第1コイルパターン層及び前記第2コイルパターン層、並びに前記絶縁層を磁性物質で囲む段階と、を含むコイル部品の製造方法であって、
前記絶縁層は、前記第1コイルパターン層と前記第2コイルパターン層との間に配置されたコア材を含み、前記コア材より下部に配置された前記絶縁層の下部領域の厚さが前記コア材より上部に配置された前記絶縁層の上部領域の厚さよりも厚く、
前記第1コイルパターン層は、一面が前記絶縁層の一面に露出し、前記第2コイルパターン層は、前記絶縁層の他面に突出形成される
コイル部品の製造方法。
【請求項16】
前記第1コイルパターン層は前記絶縁層の下部領域に埋め込まれ、
前記第2コイルパターン層は前記絶縁層の上部領域上に形成される、請求項15に記載のコイル部品の製造方法。
【請求項17】
平面渦巻き状のパターンを有する第1コイルパターン層と、
前記第1コイルパターン層が内部に埋め込まれ、前記平面渦巻き状のパターンと実質的に平行な面に拡張したコア材が内部に配置された絶縁層と、
平面渦巻き状のパターンを有し、前記絶縁層上に前記平面渦巻き状のパターンと実質的に平行に配置された第2コイルパターン層と、を含み、
前記コア材は、前記絶縁層内において前記第1コイルパターン層上に配置され、
前記コア材の下部の前記絶縁層の厚さは、前記コア材の上部の前記絶縁層の厚さよりも厚く、
前記第1コイルパターン層は、一面が前記絶縁層の一面に露出し、前記第2コイルパターン層は、前記絶縁層の他面に突出形成される
コイル部品。
【請求項18】
前記コア材は、前記コア材の上部及び下部に配置された絶縁樹脂よりも高い剛性を有する、請求項17に記載のコイル部品。
【請求項19】
前記コア材はガラス繊維を含む、請求項18に記載のコイル部品。
【請求項20】
前記第2コイルパターン層の上面及び側面上、前記第2コイルパターン層の巻線の間、前記絶縁層の上面及び側面上、及び前記絶縁層の下面から露出している前記第1コイルパターン層の下面上に配置された絶縁フィルムと、
磁性物質を含み、前記第1コイルパターン層、前記第2コイルパターン層、前記絶縁層、及び前記絶縁フィルムが内部に埋め込まれた磁性本体と、をさらに含む、請求項19に記載のコイル部品。
【請求項21】
絶縁樹脂、及び前記絶縁樹脂内に実質的に平行に埋め込まれたコア材を含む絶縁層と、
前記コア材の第1側上に配置され、平面渦巻き状のパターンを有し、前記絶縁樹脂が前記平面渦巻き状のパターンの巻線の間に拡張するように前記絶縁層内に埋め込まれた第1コイルパターン層と、
平面渦巻き状のパターンを有し、前記コア材の前記第1側の反対側である第2側上の前記絶縁層の表面上に配置された第2コイルパターン層と、を含み、
前記第1コイルパターン層は、一面が前記絶縁層の一面に露出し、前記第2コイルパターン層は、前記絶縁層の他面に突出形成され、
前記コア材の前記第1側に配置された前記絶縁層の下部領域の厚さが、前記コア材の前記第2側に配置された前記絶縁層の上部領域の厚さよりも厚い
コイル部品。
【請求項22】
前記第2コイルパターン層の表面上、前記第2コイルパターン層の巻線の間、前記絶縁層の表面上に配置され、前記絶縁層から露出している前記第1コイルパターン層と接触するように配置された絶縁フィルムをさらに含む、請求項21に記載のコイル部品。
【請求項23】
磁性物質を含み、前記第1コイルパターン層、前記第2コイルパターン層、前記絶縁層、及び前記絶縁フィルムが内部に埋め込まれるように前記絶縁フィルムの表面上に配置された磁性本体をさらに含む、請求項22に記載のコイル部品。
【請求項24】
前記コア材は、前記コア材の上部及び下部に配置された絶縁樹脂よりも高い剛性を有する、請求項21から23のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項25】
前記コア材はガラス繊維を含む、請求項21から24のいずれか一項に記載のコイル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル部品及びその製造方法に関するもので、例えば、パワーインダクター及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタルTV、携帯電話、ノート型パソコンなどのような電子機器の小型化及び薄型化に伴い、かかる電子機器に適用されるコイル部品においても小型化及び薄型化が要求されている。このような要求に応えるべく、様々な形態の巻線型、薄膜型、積層型などのコイル部品の研究開発が活発に行われている。
【0003】
一方、薄膜技術を適用するために用いられる支持部材は、剛性維持のために一定の厚さを有する必要がある。その結果、コイルを覆う磁性物質の厚さが減るしかないため、高透磁率(Ls)の実現に限界がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の様々な目的の一つは、小型化及び薄型化にもかかわらず、コイルを覆う磁性物質の厚さを十分に確保することができるとともに、優れた剛性を維持することができるコイル部品、及びそれを効果的に製造することができる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明により提案する様々な解決手段の一つは、内部に配置されたコア材を基準として上部領域と下部領域の厚さが異なる絶縁層を用いて、平面渦巻き状のパターンを有する複数のコイルパターン層を含むコイルを形成することである。
【0006】
例えば、本発明によるコイル部品は、磁性物質を含む本体部と、上記本体部内に配置されたコイル部と、を含むコイル部品であって、上記コイル部は、平面渦巻き状のパターンを有する第1コイルパターン層と、上記第1コイルパターン層の少なくとも一部を埋め込む絶縁層と、上記絶縁層上に配置され、平面渦巻き状のパターンを有する第2コイルパターン層と、を含み、上記絶縁層は、上記第1コイルパターン層と上記第2コイルパターン層との間に配置されたコア材を含み、上記コア材より下部に配置された上記絶縁層の下部領域の厚さが上記コア材より上部に配置された上記絶縁層の上部領域の厚さよりも厚ければよい。
【0007】
例えば、本発明によるコイル部品の製造方法は、支持層上に第1及び第2金属層が順に配置された基板を準備する段階と、上記基板の第2金属層上に、平面渦巻き状のパターンを有する第1コイルパターン層を形成する段階と、上記基板の第2金属層上に、上記第1コイルパターン層の少なくとも一部を埋め込む絶縁層を形成する段階と、上記絶縁層上に、平面渦巻き状のパターンを有する第2コイルパターン層を形成する段階と、上記第1及び第2金属層を分離する段階と、上記第2金属層を除去する段階と、上記第1及び第2コイルパターン層並びに上記絶縁層を磁性物質で囲む段階と、を含むコイル部品の製造方法であって、上記絶縁層は、上記第1コイルパターン層と上記第2コイルパターン層との間に配置されたコア材を含み、上記コア材より下部に配置された上記絶縁層の下部領域の厚さが上記コア材より上部に配置された上記絶縁層の上部領域の厚さよりも厚ければよい。
【0008】
例えば、本発明によるコイル部品は、平面渦巻き状のパターンを有する第1コイルパターン層と、上記第1コイルパターン層が内部に埋め込まれ、上記平面渦巻き状のパターンと実質的に平行な面に拡張したコア材が内部に配置された絶縁層と、平面渦巻き状のパターンを有し、上記絶縁層上に上記平面渦巻き状のパターンと実質的に平行に配置された第2コイルパターン層と、を含むことができる。
【0009】
例えば、本発明によるコイル部品は、絶縁樹脂、及び上記絶縁樹脂内に実質的に平行に埋め込まれたコア材を含む絶縁層と、上記コア材の第1側上に配置され、平面渦巻き状のパターンを有し、上記絶縁樹脂が上記平面渦巻き状のパターンの巻線の間に拡張するように上記絶縁層内に埋め込まれた第1コイルパターン層と、平面渦巻き状のパターンを有し、上記コア材の上記第1側の反対側である第2側上の上記絶縁層の表面上に配置された第2コイルパターン層と、を含むことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の様々な効果の一効果は、小型化及び薄型化にもかかわらず、コイルを覆う磁性物質の厚さを十分に確保することができるとともに、優れた剛性を維持することができるコイル部品、及びその製造方法を提供できることである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】電子機器に適用される様々なコイル部品の例を概略的に示す。
図2】コイル部品の一例を示す概略的な斜視図である。
図3図2のコイル部品の概略的なI−I'面の切断断面図である。
図4図3のコイル部品の絶縁層の概略的な拡大断面図である。
図5a図3のコイル部品の概略的な一製造例を示す。
図5b図3のコイル部品の概略的な一製造例を示す。
図5c図3のコイル部品の概略的な一製造例を示す。
図6】コイル部品の他の一例を示す概略的な斜視図である。
図7図6のコイル部品の概略的なI−I'面の切断断面図である。
図8図7のコイル部品の絶縁層の概略的な拡大断面図である。
図9a図7のコイル部品の概略的な一製造例を示す。
図9b図7のコイル部品の概略的な一製造例を示す。
図9c図7のコイル部品の概略的な一製造例を示す。
図10】従来の薄膜技術を適用したコイル部品の一例を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)されることがある。
【0013】
電子機器
図1は電子機器に適用される様々なコイル部品の例を概略的に示す。
【0014】
図面を参照すると、電子機器には種々の電子部品が用いられることが分かる。例えば、アプリケーションプロセッサー(Application Processor)を中心として、DC/DC、コミュニケーションプロセッサー(comm. processor)、WLAN BT/WiFi FM GPS NFC、PMIC、電池、SMBC、LCD AMOLED、オーディオコーデック(Audio Codec)、USB2.0/3.0 HDMI(登録商標)、CAMなどが用いられることができる。この際、このような電子部品の間には、ノイズを除去するなどの目的で、種々のコイル部品がその用途に応じて適宜適用されることができる。例えば、パワーインダクター(Power Inductor)1、高周波インダクター(HF Inductor)2、通常のビーズ(General Bead)3、高周波用ビーズ(GHz Bead)4、コモンモードフィルター(Common Mode Filter)5などが挙げられる。
【0015】
具体的に、パワーインダクター1は、電気を磁場形態で蓄えて出力電圧を維持し、電源を安定させる用途などに用いられることができる。また、高周波インダクター2は、インピーダンスをマッチングして必要な周波数を確保したり、ノイズ及び交流成分を遮断したりするなどの用途に用いられることができる。また、通常のビーズ3は、電源及び信号ラインのノイズを除去したり、高周波リップルを除去したりするなどの用途に用いられることができる。また、高周波用ビーズ4は、オーディオに関する信号ライン及び電源ラインの高周波ノイズを除去するなどの用途に用いられることができる。また、コモンモードフィルター5は、ディファレンシャルモードでは電流を通過させ、コモンモードノイズのみを除去するなどの用途に用いられることができる。
【0016】
電子機器は、代表的にスマートフォン(Smart Phone)であることができるが、これに限定されるものではなく、例えば、携帯情報端末(personal digital assistant)、デジタルビデオカメラ(digital video camera)、デジタルスチルカメラ(digital still camera)、ネットワークシステム(network system)、コンピューター(computer)、モニター(monitor)、テレビジョン(television)、ビデオゲーム(video game)、スマートウォッチ(smart watch)であってもよい。これらの他にも、通常の技術者に公知の他の様々な電子機器などであってもよいことは言うまでもない。
【0017】
コイル部品
以下では、本発明のコイル部品を説明するにあたり、便宜上、インダクター(Inductor)、具体的には、パワーインダクターの構造を例として説明するが、上述の他の様々な用途のコイル部品にも本発明のコイル部品が適用可能であることは言うまでもない。
【0018】
一方、以下で用いる側部は、便宜上、第1方向又は第2方向に向かう方向を意味するものとして用い、上部は、便宜上、第3方向に向かう方向を意味するものとして用い、下部は、便宜上、第3方向の反対方向に向かう方向として用いた。尚、側部、上部、又は下部に位置するということは、対象構成要素が、基準となる構成要素と該当方向に直接接触するだけでなく、該当方向に位置し、直接接触していない場合も含む概念として用いた。但し、これは説明の便宜のために方向を定義したものであって、特許請求の範囲がこのような方向についての記載により特に限定されるものではないことは言うまでもない。
【0019】
図2はコイル部品の一例を示す概略的な斜視図である。
【0020】
図3図2のコイル部品の概略的なI−I'面の切断断面図である。
【0021】
図4図3のコイル部品の絶縁層の概略的な拡大断面図である。
【0022】
図面を参照すると、一例によるコイル部品100Aは、磁性物質を含む本体部10と、本体部10内に配置されたコイル部20と、本体部10上に配置された電極部30と、を含む。コイル部20は、平面渦巻き状のパターンを有する第1コイルパターン層21と、第1コイルパターン層21の少なくとも一部を埋め込む絶縁層25と、絶縁層25上に配置され、平面渦巻き状のパターンを有する第2コイルパターン層22と、を必須構成として含む。この際、絶縁層25は、絶縁樹脂25aの他にもコア材25bを含み、コア材25bを基準として、絶縁層25の下部領域の厚さt2が、絶縁層25の上部領域の厚さt1よりも厚い。第1コイルパターン層21はこのような絶縁層25の下部領域に埋め込まれており、第2コイルパターン層22は絶縁層25の上部領域上に配置される。
【0023】
一方、近年、携帯機器の機能の多様化によって消費電力が増加しており、携帯機器内の電池の使用時間を増加させるために、PMICの周辺に、損失が少なく且つ効率の高い受動部品が採用されている。中でも、効率が高いため、製品サイズを減少させながらも電池の容量を増加させることができる小型、そしてロープロファイルのパワーインダクターが好まれている。パワーインダクターの小型化及び高効率化の開発方向に伴い、チップのサイズは益々小さくなっており、制限された体積内で高容量を実現するためには、コイルを囲む磁性体の体積や透磁率を高めることが、高容量を実現するにおいて大きい利点となる。
【0024】
パワーインダクターとして有用に用いられている薄膜パワーインダクターは、通常、CCL(Copper Clad Laminate)という、樹脂層の両面に銅箔を張った積層板を用い、かかるCCLを中心として上下が互いに対称を成す構造でコイルを実現している。但し、CCLを用いる場合、コイルを形成するための回路を構成し、めっき工程を完了すると、磁性体で圧着してチップを製作する。この際、CCLの厚さにより、チップの制限された体積内で磁性体が充填される量は既に決まっているため、一定量以上の効率改善が難しいのが現実である。もしCCLの厚さを減少させる場合は、資材の剛性が低下して基板工程の水平ラインを正常に用いることが困難であり得る。例えば、資材が反ってロールに巻き込まれ破損する恐れがあり、工程間の移動時にも製品損傷のリスクが大きくなり得る。
【0025】
これに対し、一例によるコイル部品100Aは、従来の薄膜パワーインダクターと異なって、コイルを形成するための支持部材を用いない。その代わり、一例によるコイル部品100Aは、コア材25bを含む絶縁層25を用いる。この際、絶縁層25は、コア材25bを基準として、絶縁層25の下部領域の厚さt2が絶縁層25の上部領域の厚さt1よりも厚い。このような絶縁層25で第1コイルパターン層21の少なくとも一部を埋め込む。また、第1コイルパターン層21上に第2コイルパターン層22を形成する。第1コイルパターン層21は絶縁層25の下部領域に埋め込まれ、第2コイルパターン層22は絶縁層25の上部領域上に配置される。このように配置されたコイル部20は、コイル部20の自体の厚さを最小化することができるため、コイル部20を囲む本体部10の磁性物質が占める体積を最大限に確保することができる。その結果、高容量を容易に実現することができる。特に、絶縁層25は、CCLと類似に、絶縁樹脂25aだけでなくコア材25bを含んでおり、このコア材25bが、第1コイルパターン層21と第2コイルパターン層22との間でコイル部20の剛性を維持させるため、反りなどの問題も改善することができる。
【0026】
以下では、図面を参照して一例によるコイル部品100Aの構成要素についてより詳細に説明する。
【0027】
本体部10は、コイル部品100Aの外観を成し、第1方向に対向する第1面及び第2面と、第2方向に対向する第3面及び第4面と、第3方向に対向する第5面及び第6面と、を含む。本体部10は、このように六面体形状であることができるが、これに限定されるものではない。本体部10は磁性物質を含む。本体部10に含まれた磁性物質は、コイル部20の上部及び下部を覆うとともに、コイル部20の中心部に形成されたコア15を満たす。磁性物質により、コイル特性を向上させることができる。
【0028】
磁性物質としては、磁性の性質を有するものであれば特に限定されず、例えば、純鉄粉末、Fe−Si系合金粉末、Fe−Si−Al系合金粉末、Fe−Ni系合金粉末、Fe−Ni−Mo系合金粉末、Fe−Ni−Mo−Cu系合金粉末、Fe−Co系合金粉末、Fe−Ni−Co系合金粉末、Fe−Cr系合金粉末、Fe−Cr−Si系合金粉末、Fe−Ni−Cr系合金粉末、又はFe−Cr−Al系合金粉末などのFe合金類、Fe系非晶質、Co系非晶質などの非晶質合金類、Mg−Zn系フェライト、Mn−Zn系フェライト、Mn−Mg系フェライト、Cu−Zn系フェライト、Mg−Mn−Sr系フェライト、Ni−Zn系フェライトなどのスピネル型フェライト類、Ba−Zn系フェライト、Ba−Mg系フェライト、Ba−Ni系フェライト、Ba−Co系フェライト、Ba−Ni−Co系フェライトなどの六方晶型フェライト類、Y系フェライトなどのガーネット型フェライト類が挙げられる。
【0029】
磁性物質は、金属磁性体粉末及びバインダー樹脂を含むものであることができる。金属磁性体粉末は、鉄(Fe)、クロム(Cr)、及び/又はシリコン(Si)を主成分として含み、例えば、鉄(Fe)−ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、鉄(Fe)−クロム(Cr)−シリコン(Si)などを含むことができるが、これに限定されるものではない。バインダー樹脂は、エポキシ(epoxy)、ポリイミド(polyimide)、液晶ポリマー(Liquid Crystal Polymer)などを単独で又は混合して含むことができるが、これに限定されるものではない。金属磁性体粉末は、複数の平均粒径を有する金属磁性体粉末が充填されたものであることができる。この場合、互いに異なる平均粒径を有する金属磁性体粉末を用いて本体部を形成することで、本体部の空き空間を最小限にして満たすことができるため、充填率を高めることができ、結果として、コイル特性を向上させることができる。
【0030】
コイル部20は、コイル部品100Aの特性を発現するためのものであって、コイル部品100Aは、コイル部20のコイルから発現される特性により電子機器内で様々な機能を担うことができる。例えば、コイル部品100Aは上述のようにパワーインダクターであることができ、この場合、コイルは、電気を磁場形態で蓄えて出力電圧を維持し、電源を安定させる役割などを果たすことができる。コイル部20は、上述の第1コイルパターン層21、絶縁層25、及び第2コイルパターン層22の他にも、絶縁層25を貫通して第1コイルパターン層21と第2コイルパターン層22を電気的に連結するビア23と、第2コイルパターン層22の上面及び側面を覆うとともに、第2コイルパターン層のパターンの間の空間を満たす絶縁膜27と、をさらに含むことができる。
【0031】
第1コイルパターン層21は、複数のターン数を有する平面渦巻き状のパターンを有する。第1コイルパターン層21のパターンは、公知の導電性物質、例えば、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、スズ(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、チタン(Ti)、又はこれらの合金などで形成されることができる。第1コイルパターン層21は、めっき層を含み、シード層は含まない。第1コイルパターン層21のシード層は、工程過程でエッチングにより除去されることができる。すなわち、第1コイルパターン層21はめっき層のみからなることができる。めっき層は単層又は多層であることができる。第1コイルパターン層21の下面は、絶縁層25の下面と段差を有することができる。すなわち、第1コイルパターン層21の下面が、絶縁層25の下面を基準として上部にリセスされることができる。第1コイルパターン層21の下面は絶縁層25の下面から露出しており、露出している第1コイルパターン層21の下面は絶縁膜27により覆われることができる。第1コイルパターン層21のパターンの断面形状は図面に示したものに限定されず、めっき方法によって様々な形態に変わり得ることは言うまでもない。
【0032】
第2コイルパターン層22も、複数のターン数を有する平面渦巻き状のパターンを有する。第2コイルパターン層22のパターンも、公知の導電性物質、例えば、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、スズ(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、チタン(Ti)、又はこれらの合金などで形成されることができる。第2コイルパターン層22はシード層22a及びめっき層22bを含む。シード層22a及びめっき層22bは、それぞれ単層又は多層であることができる。シード層22a及びめっき層22bは、それぞれ上述の導電性物質を含み、制限されない一例として、両方とも銅(Cu)を含むことができるが、これに限定されるものではない。シード層22a及びめっき層22bは、製造工程によって、その境界が明確であり得る。第2コイルパターン層22の上面及び側面は絶縁膜27により覆われることができる。また、第2コイルパターン層22のパターンの間の空間は絶縁膜27で満たされることができる。第2コイルパターン層22のパターンの断面形状は図面に示したものに限定されず、めっき方法によって様々な形態に変わり得ることは言うまでもない。
【0033】
ビア23は、絶縁層25を貫通して第1コイルパターン層21と第2コイルパターン層22を電気的に連結することができる。ビア23も、公知の導電性物質、例えば、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、スズ(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、チタン(Ti)、又はこれらの合金などで形成されることができる。ビア23の形状は特に限定されず、円柱状、テーパー状など、公知の全ての形状が適用可能である。ビア23は、第2コイルパターン層22の形成時にともに形成されることができ、その結果、第2コイルパターン層22と一体化することができるが、これに限定されるものではない。ビア23も、シード層及びめっき層を含む多層で構成されることができる。
【0034】
絶縁層25は絶縁樹脂25a及びコア材25bを含む。絶縁樹脂25aは、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂やポリイミドなどの熱可塑性樹脂であることができるが、これに限定されるものではない。コア材25bは、ガラス繊維(Glass Fabric)などの剛性の維持が可能な繊維物質であることができるが、これに限定されるものではない。コア材25bによりコイル部20の剛性を維持することができ、その結果、工程過程における反りを最大限に抑えることができる。絶縁層25は、コア材25bを基準として、絶縁層25の下部領域の厚さt2が絶縁層25の上部領域の厚さt1よりも厚い。したがって、第1コイルパターン層21が絶縁層25の下部領域に容易に埋め込まれることができ、コイル部20の厚さを最小化することができる。絶縁層25は、絶縁樹脂25a及びコア材25bの他にも無機フィラー25cをさらに含むことができる。無機フィラー25cにより、熱膨張係数などの制御が可能である。このような絶縁層25としては、例えば、非対称構造のプリプレグ(Unbalanced PPG)などを用いることができる。絶縁層25の上面の少なくとも一部、側面、及び下面は、絶縁膜27により覆われることができる。
【0035】
絶縁膜27は、第2コイルパターン層22の上面及び側面を覆うとともに、第2コイルパターン層22のパターンの間の空間を満たすことができる。また、絶縁膜27は、絶縁層25の上面の少なくとも一部、側面、及び下面を覆うことができる。また、絶縁膜27は、第1コイルパターン層21の下面を覆うことができる。この際、絶縁膜27は、第1コイルパターン層21の下面のリセス領域を満たすことができる。絶縁膜27は、絶縁コーティングに用いられることができる公知の絶縁物質からなることができる。
【0036】
電極部30は、コイル部品100Aを電子機器に実装する際に、コイル部品100Aを電子機器と電気的に連結させる役割を果たす。電極部30は、本体部10上において互いに離隔して配置された第1電極31及び第2電極32を含む。第1及び第2電極31、32はそれぞれ、本体部10の第1方向に互いに対向する第1及び第2面を覆い、且つ本体部10の第1及び第2面と連結された第3面から第6面に延びることができる。第1及び第2電極31、32はそれぞれ、本体部10の第1及び第2面においてコイル部20の第1及び第2引き出し端子(符号不図示)と電気的に連結されることができる。但し、第1及び第2電極31、32の配置形態がこれに限定されるものではない。
【0037】
第1及び第2電極31、32は、例えば、伝導性樹脂層と、伝導性樹脂層上に形成された導体層と、を含むことができる。伝導性樹脂層は、銅(Cu)、ニッケル(Ni)及び銀(Ag)からなる群から選択される何れか1つ以上の導電性金属と熱硬化性樹脂を含むことができる。導体層は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)及びスズ(Sn)からなる群から選択される何れか1つ以上を含むことができ、例えば、ニッケル(Ni)層とスズ(Sn)層が順に形成されたものであることができる。但し、これに限定されるものではない。
【0038】
図5aから図5cは図3のコイル部品の概略的な一製造例を示す。
【0039】
図5aを参照すると、先ず、支持層211上に第1及び第2金属層212、213が順に配置された基板210を準備する。第1及び第2金属層212、213は、支持層211の一面にのみ配置されてもよく、支持層211の両面ともに配置されてもよい。支持層211は、絶縁樹脂、ガラス繊維、及び無機フィラーなどを含むことができ、第1及び第2金属層212、213はそれぞれ銅箔であることができるが、これに限定されるものではない。第1及び第2金属層212、213は、容易に剥離されるように粘着物質によって付着されたものであることができる。第1金属層212は第2金属層213に比べて厚さが厚ければよい。このような支持層211は、通常のDCF(Detach Core Film)であることができ、例えば、CCLのシードCuとキャリアーCuが互いに反対となって支持層上に付着されている形態であることができる。
【0040】
次に、基板210の第2金属層213上に、平面渦巻き状のパターンを有する第1コイルパターン層21を形成する。第1コイルパターン層21は、第2金属層213をシード層として用いて、公知のめっき技術、例えば、MSAP(Modified Semi−Additive Process)などにより形成することができる。めっき方式は、等方性めっき、異方性めっきの何れでもよいが、めっき厚さ偏差の点で等方性めっきが有利である。
【0041】
次に、基板210の第2金属層213上に、第1コイルパターン層21の少なくとも一部を埋め込む絶縁層25を形成する。絶縁層25は、上述のように非対称構造のプリプレグであることができる。このような非対称構造のプリプレグを、厚さt2が厚い下部領域に第1コイルパターン層21が埋め込まれるように基板210の第2金属層213上に積層する方法により、絶縁層25を形成することができる。積層には、公知の方法を用いることができる。一方、絶縁層25の上面には第3金属層223が形成されていることができる。第3金属層223は銅箔であることができるが、これに限定されるものではない。
【0042】
図5bを参照すると、次に、絶縁層25上に平面渦巻き状のパターンを有する第2コイルパターン層22を形成する。第2コイルパターン層22は、第3金属層223をシード層として用いて、公知のめっき技術、例えば、MSAP(Modified Semi−Additive Process)などにより形成することができる。めっき方式は同様に、等方性めっき、異方性めっきの何れであってもよいが、めっき厚さ偏差の点で等方性めっきが有利である。一方、第2コイルパターン層22を形成する時に、ビア23も形成することができる。
【0043】
次に、第1金属層212及び第2金属層213を分離する。このような分離により、コイル部20を構成する第1コイルパターン層21、第2コイルパターン層22、ビア23、及び絶縁層25が基板210から剥離される。剥離の後には、絶縁層25及び第1コイルパターン層21の下面に配置された第2金属層213、及び絶縁層25の上面に配置された第3金属層223を公知のエッチングにより除去する。エッチングの結果、第1コイルパターン層21はシード層のない構造を有するようになり、第2コイルパターン層22は第3金属層223の一部がシード層として残っている構造を有するようになる。このようなエッチングの結果として、第1コイルパターン層21の下面は絶縁層25の下面と段差を有することができる。一方、必要に応じて、剥離の前に、別に第3金属層223をエッチングにより除去してもよい。
【0044】
図5cを参照すると、次に、絶縁層25の中心部を貫通するコア15を形成する。コア15は、レーザードリル及び/又は機械的ドリルなどを用いて形成することができる。一方、一連の過程が大型サイズの絶縁層25で進行された場合であれば、必要に応じて、絶縁層25を所望のサイズにダイシング及び研磨することもできる。コア15を形成した後には、公知の絶縁コーティングにより絶縁膜27を形成する。絶縁膜27は、第2コイルパターン層22の上面及び側面を覆うとともに、第2コイルパターン層22のパターンの間の空間を満たすことができる。また、絶縁膜27は、絶縁層25の上面の少なくとも一部、側面、及び下面を覆うことができる。また、絶縁膜27は、第1コイルパターン層21の下面を覆うことができる。この際、絶縁膜27は、第1コイルパターン層21の下面のリセス領域を満たすことができる。一連の過程を経て、コイル部20が形成される。
【0045】
次に、コイル部20を磁性物質で囲んで本体部10を形成する。本体部10は、金属磁性体粉末及びバインダー樹脂を含む磁性体シートをコイル部20の上部及び下部に積層及び圧着する方法により形成することができるが、これに限定されるものではない。本体部10を形成した後に、本体部10上に電極部30を形成する。電極部30は、本体部10上に伝導性樹脂層と導体層を順に形成する方法により形成することができる。但し、これに限定されるものではない。
【0046】
一方、一例によるコイル部品の製造工程は、必ずしも説明した順序に限定されるものではなく、必要に応じて、後で説明した段階を先に行い、前に説明した段階を後続工程として行うこともできる。
【0047】
図6はコイル部品の他の一例を示す概略的な斜視図である。
【0048】
図7図6のコイル部品の概略的なI−I'面の切断断面図である。
【0049】
図8図7のコイル部品の絶縁層の概略的な拡大断面図である。
【0050】
図面を参照すると、他の一例によるコイル部品100Bは、コイル部20が、絶縁層25の下部に配置された第1絶縁フィルム24と、絶縁層25と第2コイルパターン層22との間に配置された第2絶縁フィルム26と、をさらに含む。第1絶縁フィルム24及び第2絶縁フィルム26の導入により、第1コイルパターン層21及び第2コイルパターン層22をSAP工法(Semi Additive Process)により形成することができる。この場合、コイルパターン間のピッチを狭くすることができるため、超小型化及び超薄型化する場合にもコイルのターン数を増やすことができる。第1絶縁フィルム24及び第2絶縁フィルム26はそれぞれ絶縁樹脂からなる公知の絶縁フィルムであることができ、制限されない一例として、それぞれ絶縁樹脂及び無機フィラーを含むABF(Ajinomoto Build−up Film)であることができるが、これに限定されるものではない。絶縁フィルム24、26のプライマー金属層224、226(図9a及び図9bに図示)が配置された表面には、公知の薬品で表面処理されて表面粗さが形成されることができ、この場合、優れた接続力を有することができる。
【0051】
一方、第1絶縁フィルム24及び第2絶縁フィルム26が導入された場合、絶縁膜27は、第1絶縁フィルム24の下面、絶縁層25の側面、及び第2絶縁フィルム26の上面の少なくとも一部を覆うことができる。また、上記第1コイルパターン層の下面は上記絶縁層の下面から露出しており、上記第1コイルパターン層の露出している下面は上記第1絶縁フィルム24により覆われることができる。この際、第1コイルパターン層21の下面と絶縁層25の下面は、略同一レベルにあることができる。
【0052】
また、第1絶縁フィルム24及び第2絶縁フィルム26が導入された場合、第2コイルパターン層22だけでなく、第1コイルパターン層21も、シード層21a及びめっき層21bを含むことができる。すなわち、第1コイルパターン層21及び第2コイルパターン層22の形成はSAP工法により行うことができ、SAP工法を用いるため、第1コイルパターン層21及び第2コイルパターン層22の形成時に、第1絶縁フィルム24及び第2絶縁フィルム26上にはそれぞれプライマー銅箔を付着し、それらをシード層として用いる。一方、それぞれのプライマー銅箔をシード層として第1コイルパターン層21及び第2コイルパターン層22を形成した後には、プライマー銅箔をエッチングにより除去する。この際、エッチング後のそれぞれの第1コイルパターン層21及び第2コイルパターン層22の下側には、プライマー銅箔がシード層21a、22aとして残るようになる。
【0053】
その他の説明は上述の一例によるコイル部品100Aにおける説明と実質的に同一であるため、詳細な説明は省略する。
【0054】
図9aから図9cは図7のコイル部品の概略的な一製造例を示す。
【0055】
図9aを参照すると、先ず、支持層211上に第1及び第2金属層212、213が順に配置された基板210を準備する。基板210の第2金属層213上には第1絶縁フィルム24を積層する。第1及び第2金属層212、213並びに第1絶縁フィルム24は支持層211の一面にのみ配置されてもよく、支持層211の両面ともに配置されてもよい。支持層211は通常のDCFであることができ、第1絶縁フィルム24はABFであることができるが、必ずしもこれに限定されるものではない。第1絶縁フィルム24上には、公知のプライマー銅箔などの第1プライマー金属層224を配置する。
【0056】
次に、基板210の第2金属層213上の第1絶縁フィルム24上に、平面渦巻き状のパターンを有する第1コイルパターン層21を形成する。第1コイルパターン層21は、第1絶縁フィルム24上に付着した第1プライマー金属層224をシード層として用いて、公知のめっき技術、例えば、SAP(Semi−Additive Process)などにより形成することができる。めっき方式は、等方性めっき、異方性めっきの何れであってもよいが、めっき厚さ偏差の点で等方性めっきが有利である。第1コイルパターン層21を形成した後には、第1プライマー金属層224をエッチングにより除去する。エッチング後の第1コイルパターン層21はシード層21a及びめっき層21bを含む。
【0057】
次に、基板210の第2金属層213上の第1絶縁フィルム24上に、第1コイルパターン層21の少なくとも一部を埋め込む絶縁層25を形成する。絶縁層25は、上述のように非対称構造のプリプレグであることができる。積層には、公知の方法を用いることができる。絶縁層25上には第2絶縁フィルム26を積層する。第2絶縁フィルム26上には、公知のプライマー銅箔などの第2プライマー金属層226を配置する。
【0058】
図9bを参照すると、次に、絶縁層25上の第2絶縁フィルム26上に、平面渦巻き状のパターンを有する第2コイルパターン層22を形成する。第2コイルパターン層22は、第2プライマー金属層226をシード層として用いて、公知のめっき技術、例えば、SAP(Semi−Additive Process)などにより形成することができる。めっき方式は同様に、等方性めっき、異方性めっきの何れであってもよいが、めっき厚さ偏差の点で等方性めっきが有利である。一方、これとともにビア23も形成することができる。
【0059】
次に、第1金属層212及び第2金属層213を分離する。このような分離により、コイル部20を構成する第1コイルパターン層21、第2コイルパターン層22、ビア23、第1絶縁フィルム24、絶縁層25、及び第2絶縁フィルム26が基板210から剥離される。剥離の後には、第1絶縁フィルム24の下面に配置された第2金属層213、及び第2絶縁フィルム26の上面に配置された第2プライマー金属層226をエッチングにより除去する。エッチング後の第2コイルパターン層22はシード層22a及びめっき層22bを含む。必要に応じて、第2プライマー金属層226のエッチングは分離前に別に行ってもよい。
【0060】
図9cを参照すると、次に、絶縁層25、第1絶縁フィルム24、及び第2絶縁フィルム26の中心部を貫通するコア15を形成する。コア15は、レーザードリル及び/又は機械的ドリルなどを用いて形成することができる。一方、一連の過程が大型サイズの絶縁層25で進行された場合であれば、必要に応じて、絶縁層25を所望のサイズにダイシング及び研磨することもできる。コア15を形成した後には、公知の絶縁コーティングにより絶縁膜27を形成する。一連の過程を経て、コイル部20が形成される。絶縁膜27は、第2コイルパターン層22の上面及び側面を覆うとともに、第2コイルパターン層22のパターンの間の空間を満たすことができる。また、絶縁膜27は、絶縁層25の上面の少なくとも一部、側面、及び下面を覆うことができる。また、絶縁膜27は、第1絶縁フィルム24の下面、絶縁層25の側面、及び第2絶縁フィルム26の上面の少なくとも一部を覆うことができる。また、上記第1コイルパターン層の下面は上記絶縁層の下面から露出しており、上記第1コイルパターン層の露出している下面は上記第1絶縁フィルム24により覆われることができる。
【0061】
次に、コイル部20を磁性物質で囲んで本体部10を形成する。本体部10は、金属磁性体粉末及びバインダー樹脂を含む磁性体シートをコイル部20の上部及び下部に積層及び圧着する方法により形成することができるが、これに限定されるものではない。本体部10を形成した後には、本体部10上に電極部30を形成する。電極部30は、本体部10上に伝導性樹脂層と導体層を順に形成する方法により形成することができる。但し、これに限定されるものではない。
【0062】
一方、一例によるコイル部品の製造工程は必ずしも上述の手順に限定されるものではなく、必要に応じて、後で説明した段階を先に行い、前に説明した段階を後続工程として行ってもよい。
【0063】
その他の説明は、上述の一例によるコイル部品100Aの製造方法における説明と実質的に同一であるため、詳細な説明は省略する。
【0064】
図10は従来の薄膜技術を適用したコイル部品の一例を概略的に示す。
【0065】
図面を参照すると、従来の薄膜技術を適用したコイル部品は、例えば、支持部材325の両面に、異方性めっき技術により平面渦巻き状のパターン321a、321b、321c、322a、322b、322c及び貫通ビア(符号不図示)を形成した後、それらを磁性物質で埋め込んで本体310を形成し、本体310の外部にパターン321a、321b、321c、322a、322b、322cと電気的に連結される外部電極331、332を形成することで製造することができる。ところが、上述のように、従来の薄膜技術を適用したコイル部品は、支持部材325の厚さhが相当厚いため、パターン321a、321b、321c、322a、322b、322cの上部及び下部に配置された磁性物質の厚さhに制約があり、その結果、高容量の実現に限界があった。
【0066】
一方、本発明において「電気的に連結される」というのは、物理的に連結された場合と、連結されていない場合をともに含む概念である。また、第1、第2などの表現は、一つの構成要素と他の構成要素を区分するために用いられるもので、該当する構成要素の順序及び/又は重要度などを限定しない。場合によっては、本発明の範囲を外れずに、第1構成要素は第2構成要素と命名されることもでき、類似して第2構成要素は第1構成要素と命名されることもできる。
【0067】
また、本発明で用いられた一例という表現は、互いに同一の実施例を意味せず、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されるものである。しかし、上記提示された一例は、他の一例の特徴と結合して実現されることを排除しない。例えば、特定の一例で説明された事項が他の一例で説明されていなくても、他の一例でその事項と反対であるか矛盾する説明がない限り、他の一例に関連する説明であると理解されることができる。
【0068】
なお、本発明で用いられた用語は、一例を説明するために説明されたものであるだけで、本発明を限定しようとする意図ではない。このとき、単数の表現は文脈上明確に異なる意味でない限り、複数を含む。
【符号の説明】
【0069】
1 パワーインダクター
2 高周波インダクター
3 通常のビーズ
4 高周波用ビーズ
5 コモンモードフィルター
100A、100B コイル部品
10 本体部
15 コア
20 コイル部
21、22 コイルパターン層
21a、22a シード層
22a、22b めっき層
23 ビア
24、26 絶縁フィルム
25 絶縁層
27 絶縁膜
30 電極部
31、32 電極
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図5c
図6
図7
図8
図9a
図9b
図9c
図10