特許第6489570号(P6489570)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィの特許一覧

特許6489570干渉プロファイルを量子化するシステム及び方法
<>
  • 特許6489570-干渉プロファイルを量子化するシステム及び方法 図000008
  • 特許6489570-干渉プロファイルを量子化するシステム及び方法 図000009
  • 特許6489570-干渉プロファイルを量子化するシステム及び方法 図000010
  • 特許6489570-干渉プロファイルを量子化するシステム及び方法 図000011
  • 特許6489570-干渉プロファイルを量子化するシステム及び方法 図000012
  • 特許6489570-干渉プロファイルを量子化するシステム及び方法 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6489570
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】干渉プロファイルを量子化するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 17/345 20150101AFI20190318BHJP
   H04B 17/391 20150101ALI20190318BHJP
【FI】
   H04B17/345
   H04B17/391
【請求項の数】12
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-509627(P2018-509627)
(86)(22)【出願日】2016年12月27日
(65)【公表番号】特表2018-533243(P2018-533243A)
(43)【公表日】2018年11月8日
(86)【国際出願番号】JP2016089231
(87)【国際公開番号】WO2017122548
(87)【国際公開日】20170720
【審査請求日】2018年2月19日
(31)【優先権主張番号】16151135.7
(32)【優先日】2016年1月13日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503163527
【氏名又は名称】ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(72)【発明者】
【氏名】グレッセ、ニコラ
【審査官】 浦口 幸宏
(56)【参考文献】
【文献】 特表2015−517228(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第2866509(EP,A1)
【文献】 特表2015−529406(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/60
H04B 3/46− 3/493
H04B 7/24− 7/26
H04B 17/00−17/40
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動デバイスが取る進路に沿った無線電気通信システムの干渉プロファイルを量子化する方法であって、
前記移動デバイスによって、測定ウィンドウの間、前記進路に沿った前記無線電気通信システムにおける干渉に関連した測定を取得するステップと、
前記測定ウィンドウの連続した期間について、少なくとも、該期間内に行われた測定からの量子化された干渉関連値と、同じ量子化された干渉関連値を有する期間インデックス内に行われた測定の数を表す重みとを取得するために、前記移動デバイスによって、前記測定ウィンドウの間に行われた前記測定を処理するステップと、
前記移動デバイスによって、少なくとも前記重みを含むフィードバック情報を、前記無線電気通信システムを通じてサーバーに転送するステップと、
前記サーバーによって、前記フィードバック情報を受信するステップと、
前記サーバーによって、前記測定ウィンドウに対応する前記進路に沿った前記移動デバイスのロケーションを求めるステップと、
前記サーバーによって、前記フィードバック情報を、前記ロケーション及び干渉量子化値を含むマトリックスからなるデータベースのフォーマットに変換するステップと、
前記変換されたフィードバック情報を用いて前記データベースを更新するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記フィードバック情報は、各前記重みについて、前記期間インデックス及び量子化された干渉値を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フィードバック情報は、各前記重みについて、該重みに対応する重心座標を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記フィードバック情報を変換するステップは、前記期間を前記進路に沿った前記移動デバイスの前記ロケーションにマッピングする第1のマッピング関数と、前記重みを前記データベースに記憶される干渉関連値のフォーマットにマッピングする第2のマッピング関数とを用いて行われる、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記フィードバック情報を変換するステップは、前記第1および前記第2のマッピング関数の結果から、前記データベースと同じサイズを有する一時データベースを用いて更に行われ、これらのデータベースは、マトリックスの形態にあり、前記一時データベースの前記マトリックスは、前記マッピングされた前記重みを用いて更新される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記一時データベースは、正規化された一時データベースであり、該正規化された一時データベースの各列の和が1に等しくなるようになっている、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
フィードバック情報が、各前記重みについて、該重みに対応する重心座標を更に含む場合、前記フィードバック情報を変換するステップは、前記データベースの前記マトリックスを前記重心によって規定されるボロノイ領域に重ね合わせることと、前記一時データベースにおけるクラスターの位置に関連したマスクを適用することとによって更に行われ、各マッピングされた前記重みは、前記一時データベースにおけるクラスターの位置に関連した前記マスクに従って前記一時データベースの前記マトリックスを更新することに用いられる、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記フィードバック情報を変換するステップは、前記一時データベースにおける前記マッピングされた前記重みに関連したマスクを適用することによって更に行われ、各マッピングされた前記重みは、前記量子化された干渉関連値に関連した前記マスクに従って前記一時データベースの前記マトリックスを更新することに用いられる、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
フィードバック情報が、各前記重みについて、該重みに対応する重心座標を更に含む場合、前記変換されたフィードバック情報を用いて前記データベースを更新するステップは、前記データベースの前記マトリックスを前記重心によって規定されるボロノイ領域に重ね合わせることと、前記データベースにおけるクラスターの位置に関連したマスクを適用することとによって行われ、各マッピングされた前記重みは、前記データベースにおけるクラスターの位置に関連した前記マスクに従って前記データベースの前記マトリックスを更新することに用いられる、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記変換されたフィードバック情報を用いて前記データベースを更新するステップは、前記データベースにおいて前記マッピングされた前記重みに関連したマスクを適用することによって行われ、各マッピングされた前記重みは、該マッピングされた前記重みに関連した前記マスクに従って前記データベースの前記マトリックスを更新することに用いられる、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記変換されたフィードバック情報を用いて前記データベースを更新するステップは、少なくとも、前記一時データベースの前記マトリックスのクラスターの前記列における前記マッピングされた前記重みの和と、前記クラスターの行における前記マッピングされた前記重みの和とによって重み付けられた前記クラスターにおける各マッピングされた前記重みを前記データベースの前記マトリックスにおける同じ位置を有する前記クラスターにマージすることによって行われる、請求項に記載の方法。
【請求項12】
移動デバイスが取る進路に沿った無線電気通信システムの干渉プロファイルを量子化するシステムであって、
測定ウィンドウの間、前記進路に沿った前記無線電気通信システムにおける干渉に関連した測定を取得する、移動デバイスに含まれる手段と、
前記測定ウィンドウの連続した期間について、少なくとも、該期間内に行われた測定からの量子化された干渉関連値と、同じ量子化された干渉関連値を有する期間インデックス内に行われた測定の数を表す重みとを取得するために、前記測定ウィンドウの間に行われた前記測定を処理する、前記移動デバイスに含まれる手段と、
少なくとも前記重みを含むフィードバック情報を、前記無線電気通信システムを通じてサーバーに転送する、前記移動デバイスに含まれる手段と、
前記サーバーによって、前記フィードバック情報を受信する、前記サーバーに含まれる手段と、
前記測定ウィンドウに対応する前記進路に沿った前記移動デバイスのロケーションを求める、前記サーバーに含まれる手段と、
前記フィードバック情報を、前記ロケーション及び干渉量子化値を含むマトリックスからなるデータベースのフォーマットに変換する、前記サーバーに含まれる手段と、
前記変換されたフィードバック情報を用いて前記データベースを更新する、前記サーバーに含まれる手段と、
を備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的には、移動デバイスが取る進路に沿った無線電気通信システムの干渉プロファイルを量子化する方法及びデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
コグニティブ無線は、動的にプログラミング及び構成することができるインテリジェント無線である。送受信機は、それらの近傍において最良の無線チャネルを用いるように設計されている。そのような無線送受信機は、無線スペクトルにおいて利用可能なチャネルを自動的に検出し、その後、それに応じて、1つのロケーションにおいて所与のスペクトル帯域内でより多くの同時並行の無線通信を可能にするようにそれらの送信パラメーター又は受信パラメーターを変更する。このプロセスは、動的スペクトル管理の形態である。
【0003】
コグニティブ無線の主要な原理は、送信のための最良のリソースを見つけるために、無線環境をサウンディングすることにある。これは、無線環境がサウンディングと送信期間との間に変化していない場合にのみ可能である。電気通信デバイスが移動すると、その無線環境は高速に変化し、これによって、コグニティブ無線手法を用いることが可能でなくなる。
【0004】
コグニティブ無線は、例えば、通信ベース列車制御(CBTC)システムのような移動システムに適用される。通信ベース列車制御システムは、列車と、交通管理及びインフラストラクチャ制御のための追跡機器との間に電気通信を利用する。CBTCシステムによって、従来のシグナリングシステムを用いるよりも正確に、列車の精密な位置を知ることができる。この結果、鉄道交通を管理する、より効率的で安全な方法が得られる。地下鉄及び他の鉄道システムは、安全性を維持しつつ又は安全性を更に改善しつつ、運転間隔を改善することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、移動デバイスが取る進路に沿った干渉の知識を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このために、本発明は、移動デバイスが取る進路に沿った無線電気通信システムの干渉プロファイルを量子化する方法であって、
前記移動デバイスによって、測定ウィンドウの間、前記進路に沿った前記無線電気通信システムにおける干渉に関連した測定を取得するステップと、
前記測定ウィンドウの連続した期間について、少なくとも、該期間内に行われた測定からの量子化された干渉関連値と、同じ量子化された干渉関連値を有する前記期間インデックス内に行われた測定の数を表す重みとを取得するために、前記移動デバイスによって、前記測定ウィンドウの間に行われた前記測定を処理するステップと、
前記移動デバイスによって、少なくとも前記重みを含むフィードバック情報を、前記無線電気通信システムを通じてサーバーに転送するステップと、
前記サーバーによって、前記フィードバック情報を受信するステップと、
前記サーバーによって、前記測定ウィンドウに対応する前記進路に沿った前記移動デバイスの前記ロケーションを求めるステップと、
前記サーバーによって、前記フィードバック情報を、ロケーション及び干渉量子化値を含むマトリックスからなるデータベースのフォーマットに変換するステップと、
前記変換されたフィードバック情報を用いて前記データベースを更新するステップと、
を含むことを特徴とする、方法に関する。
【0007】
本発明は、また、移動デバイスが取る進路に沿った無線電気通信システムの干渉プロファイルを量子化するシステムであって、
測定ウィンドウの間、前記進路に沿った前記無線電気通信システムにおける干渉に関連した測定を取得する、移動デバイスに含まれる手段と、
前記測定ウィンドウの連続した期間について、少なくとも、該期間内に行われた測定からの量子化された干渉関連値と、同じ量子化された干渉関連値を有する前記期間インデックス内に行われた測定の数を表す重みとを取得するために、前記測定ウィンドウの間に行われた前記測定を処理する、前記移動デバイスに含まれる手段と、
少なくとも前記重みを含むフィードバック情報を、前記無線電気通信システムを通じてサーバーに転送する、前記移動デバイスに含まれる手段と、
前記サーバーによって、前記フィードバック情報を受信する、前記サーバーに含まれる手段と、
前記測定ウィンドウに対応する前記進路に沿った前記移動デバイスの前記ロケーションを求める、前記サーバーに含まれる手段と、
前記フィードバック情報を、ロケーション及び干渉量子化値を含むマトリックスからなるデータベースのフォーマットに変換する、前記サーバーに含まれる手段と、
前記変換されたフィードバック情報を用いて前記データベースを更新する、前記サーバーに含まれる手段と、
を備えることを特徴とする、システムに関する。
【0008】
したがって、各移動デバイスが移動した後のフィードバック情報からデータベースを更新することによって、位置ベースコグニティブ無線システムを効率的に適用することができ、本発明は、測定のフォーマットをデータベースのフォーマットに変換することを可能にする。
【0009】
特定の特徴によれば、前記フィードバック情報は、各重みについて、期間インデックス及び量子化された干渉値を更に含む。
【0010】
したがって、フィードバックは、移動デバイスにおいて行われたより多くの測定を圧縮したものである。
【0011】
特定の特徴によれば、前記フィードバック情報は、各重みについて、該重みに対応する重心座標を更に含む。
【0012】
したがって、重みごとの移動デバイスの位置が直接取得される。
【0013】
特定の特徴によれば、前記フィードバック情報を変換するステップは、前記期間を前記進路に沿った前記移動デバイスのロケーションにマッピングする第1のマッピング関数と、重みを前記データベースに記憶される干渉関連値のフォーマットにマッピングする第2のマッピング関数とを用いて行われる。
【0014】
したがって、圧縮されたフィードバックを用いた場合であっても、変換後にデータベースを容易に更新することができる。
【0015】
特定の特徴によれば、前記フィードバック情報を変換するステップは、前記マッピング関数の前記結果から、前記データベースと同じサイズを有する一時データベースを用いて更に行われ、これらのデータベースは、マトリックスの形態にあり、前記一時データベースの前記マトリックスは、前記マッピングされた重みを用いて更新される。
【0016】
したがって、データベースの以前のものとマージする前に、一時データベースに対して正規化等の操作を実行することができ、これによって、一時データベースを時間に沿って正規化された状態に維持することが可能になる。
【0017】
特定の特徴によれば、前記一時データベースは、正規化された一時データベースであり、該正規化された一時データベースの各列の和が1に等しくなるようになっている。
【0018】
したがって、干渉を表す情報のヒストグラムを計算することができ、データベースにおいて量子化された位置ごとに更新することができる。
【0019】
特定の特徴によれば、フィードバック情報が、各重みについて、該重みに対応する重心座標を更に含む場合、前記フィードバック情報を変換するステップは、前記データベースの前記マトリックスを前記重心によって規定されるボロノイ領域に重ね合わせることと、前記一時データベースにおけるクラスターの位置に関連したマスクを適用することとによって更に行われ、各マッピングされた重みは、前記一時データベースにおけるクラスターの位置に関連した前記マスクに従って前記一時データベースの前記マトリックスを更新することに用いられる。
【0020】
したがって、用いられているフィードバックフォーマットはよりコンパクトではあるが、このマスクによって、一時データベースがフィードバックフォーマットであるかのように、一時データベースのより良好な再構築が可能になる。
【0021】
特定の特徴によれば、前記フィードバック情報を変換するステップは、前記一時データベースにおける前記マッピングされた重みに関連したマスクを適用することによって更に行われ、各マッピングされた重みは、前記量子化された干渉関連値に関連した前記マスクに従って前記一時データベースの前記マトリックスを更新することに用いられる。
【0022】
したがって、無線チャネルフェージングの統計的特性をデータベースのより良好な再構築に考慮することができる。
【0023】
特定の特徴によれば、前記変換されたフィードバック情報を用いて前記データベースを更新するステップは、少なくとも、前記一時データベースの前記マトリックスのクラスターの前記列における前記マッピングされた重みの和と、前記クラスターの前記行における前記マッピングされた重みの和とによって重み付けられた前記クラスターにおける各マッピングされた重み値を、前記データベースの前記マトリックスにおいて同じ位置を有する前記クラスターにマージすることによって行われる。
【0024】
したがって、データベースの更新は、これまでに収集された大量の測定を記憶することなくオンザフライで行われる。
【0025】
特定の特徴によれば、フィードバック情報が、各重みについて、該重みに対応する重心座標を更に含む場合、前記変換されたフィードバック情報を用いて前記データベースを更新するステップは、前記データベースの前記マトリックスを前記重心によって規定されるボロノイ領域に重ね合わせることと、前記データベースにおけるクラスターの位置に関連したマスクを適用することとによって行われ、各マッピングされた重みは、前記データベースにおけるクラスターの位置に関連した前記マスクに従って前記データベースの前記マトリックスを更新することに用いられる。
【0026】
したがって、フィードバックフォーマットはコンパクトであり、データベースの計算に用いられるメモリはより少なくなっているが、このマスクによって、データベースを構築するために全ての測定が転送及び記憶されるかのように、データベースのより良好な再構築が可能になる。
【0027】
特定の特徴によれば、前記変換されたフィードバック情報を用いて前記データベースを更新するステップは、前記データベースにおいて前記マッピングされた重みに関連したマスクを適用することによって行われ、各マッピングされた重みは、該マッピングされた重みに関連した前記マスクに従って前記データベースの前記マトリックスを更新することに用いられる。
【0028】
したがって、無線フェージングチャネル又はパスロスの特性を考慮したマスクを、データベースのより良好な更新に考慮することができる。
【0029】
特定の特徴によれば、前記変換されたフィードバック情報を用いて前記データベースを更新するステップは、少なくとも、前記一時データベースの前記マトリックスのクラスターの前記列における前記マッピングされた重みの和と、前記クラスターの前記行における前記マッピングされた重みの和とによって重み付けられた前記クラスターにおける各マッピングされた重みを前記データベースの前記マトリックスにおける同じ位置を有する前記クラスターにマージすることによって行われる。
【0030】
したがって、データベースは、更新することができ、これまでどおりに、当該データベースに関連付けられた各量子化された位置の干渉値のヒストグラムを表すことができる。
【0031】
本発明の特性は、例示の実施形態の以下の説明を読むことから更に明らかになり、その説明は添付の図面を参照しながら行われる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】線路網に適用される無線電気通信システムの干渉プロファイル量子化のシステムのアーキテクチャの一例を表す図である。
図2】列車に備えられる測定収集デバイスのアーキテクチャの一例を表す図である。
図3】本発明が実施されるサーバーのアーキテクチャの一例を表す図である。
図4】本発明による測定収集デバイスによって実行されるアルゴリズムの一例を表す図である。
図5a】本発明によるサーバーによって実行されるアルゴリズムの第1の例を表す図である。
図5b】本発明によるサーバーによって実行されるアルゴリズムの第2の例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、線路網に適用される無線電気通信システムの干渉プロファイル量子化のシステムのアーキテクチャの一例を表す図である。
【0034】
システムは、サーバーServを備え、サーバーServは、無線電気通信システムを通じて列車と通信する、線路RLに沿った複数の沿線無線ユニットWRUに接続されている。
【0035】
列車TRのような移動デバイスが移動すると、その無線環境は高速に変化し、これによって、コグニティブ無線手法を実施することが困難になる。
【0036】
本発明によれば、移動デバイスTRは、測定収集デバイスMEを備える。
【0037】
沿線無線ユニットによってカバーされるエリアには、幾つかの干渉体が存在する。干渉体が線路及び/又は沿線無線ユニットに近いほど、その干渉体が沿線無線ユニットの列車無線通信性能に与える影響は大きくなる。
【0038】
干渉体は一定である場合もあるし、時間内に変動する場合もある。
【0039】
列車は、周期的又は非周期的な測定を行い、それらの測定を沿線無線ユニットWRUにフィードバックし、沿線無線ユニットWRUはこのフィードバックをサーバーServに転送するものと仮定する。サーバーServは、各沿線無線ユニットWRUによってカバーされるエリア内の干渉のフィンガープリントデータベースを構築し、列車が前進することができる位置の領域は線路に限られているので、列車がエリアのうちの1つに入るごとにこのデータベースを更新する。
【0040】
このデータベースはクラスターに分解される。干渉のデータベースに記憶されるクラスターのサイズは、クラスター内の各位置における干渉の記述の精度と、雑音に対する干渉記述のロバスト性と、データベースを更新するのに必要とされる交通の量との間のトレードオフを構成する。
【0041】
さらに、無線環境は変化するので、各クラスターにおける無線環境の変化に従ってデータベースを更新しなければならない。1つのクラスターデータベースのロバスト性は、測定の数とともに改善し、この測定の数は、移動デバイスの速度又は各クラスター内の移動の数に従って変動する可能性がある。
【0042】
データベースは、干渉レベルSINR、干渉の特性関数のような干渉情報のランダム分布を表す。データベースは、小さなコンパクト空間領域にクラスター化される(clusterized)所与のカバレッジエリアについて規定される。例えば、線路の場合、クラスターは、線路の区画(segment)である。クラスターごとに、干渉に関連した確率変数の分布が、離散形式、すなわちヒストグラムの形態で記憶される。
【0043】
列車TRでは、測定ウィンドウが規定される。この測定ウィンドウの間、列車は、幾つかの時間インデックスにおいて、例えばミリ秒毎において行われる全ての測定を収集し、干渉レベルに関連した確率変数の確率密度関数の離散推定値を構築する。この確率密度関数の離散推定値は、時間次元及び測定値次元の2次元で規定される。確率密度関数の離散推定値の各クラスターは、時間/測定値の平面の領域に属する測定数のサンプル(the number of measurements samples)を含む。次に、この確率密度関数の離散推定値は、サーバーServにフィードバックされる。確率密度関数の離散推定値を規定するデータの量、及びこの離散推定値のフィードバックの平均周期は、フィードバックトラフィックのオーバーヘッドを規定する。
【0044】
本発明によれば、
−移動デバイスは、測定ウィンドウの間、進路に沿った無線電気通信システムにおける干渉に関連した測定を取得し、
−移動デバイスは、測定ウィンドウの連続した期間について、少なくとも、その期間内に行われた測定からの量子化された干渉関連値と、同じ量子化された干渉関連値を有する期間インデックス内に行われた測定の数を表す重みとを取得するために、測定ウィンドウの間に行われた測定を処理し、
−移動デバイスは、少なくとも上記重みを含むフィードバック情報を、無線電気通信システムを通じてサーバーに転送し、
−サーバーは、フィードバック情報を受信し、
−サーバーは、測定ウィンドウに対応する進路に沿った移動デバイスのロケーションを求め、
−サーバーは、フィードバック情報を、ロケーション及び干渉量子化値を含むマトリックスからなるデータベースのフォーマットに変換し、
−サーバーは、この変換されたフィードバック情報を用いてデータベースを更新する。
【0045】
図2は、列車に備えられる測定収集デバイスのアーキテクチャの一例を表す図である。
【0046】
測定収集デバイスMEは、例えば、バス201によって互いに接続された構成要素と、図4に開示するようなプログラムによって制御されるプロセッサ200とに基づくアーキテクチャを有する。
【0047】
バス201は、プロセッサ200を、リードオンリーメモリROM202、ランダムアクセスメモリRAM203、及び無線インターフェース205にリンクする。
【0048】
メモリ203は、図4に開示されているようなアルゴリズムに関連するプログラムの変数及び命令を受信するように意図されたレジスタを含む。
【0049】
プロセッサ200は、無線インターフェース205を通じて、干渉に関する測定を受信する。無線インターフェース205は、測定収集デバイスMEとワイヤレス無線ユニットWRUとの間のデータの転送を可能にする。WRUは、受信データをサーバーServに転送するとともに、必要に応じて、サーバーServから受信されたデータを測定収集デバイスに転送する。
【0050】
リードオンリーメモリ、又は場合によっては、フラッシュメモリ202は、図4に開示されているような、測定収集デバイスMEが電源オンされているときの、ランダムアクセスメモリ203に対するアルゴリズムに関連するプログラムの命令を含む。
【0051】
測定収集デバイスMEは、PC(パーソナルコンピュータ)、DSP(デジタル信号プロセッサ)若しくはマイクロコントローラ等のプログラム可能なコンピューティングマシンによって、1組の命令若しくはプログラムの実行によってソフトウェアにおいて実施することができるか、又はそうでない場合、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)若しくはASIC(特定用途向け集積回路)等のマシン若しくは専用コンポーネントによってハードウェアにおいて実施することができる。
【0052】
換言すれば、測定収集デバイスMEは、図4に開示されているようなアルゴリズムに関連したプログラムを測定収集デバイスMEに実行させる、回路、又は回路を含むデバイスを備える。
【0053】
図3は、サーバーServのアーキテクチャの一例を表している。
【0054】
サーバーServは、例えば、バス301によって互いに接続された構成要素と、図5a又は図5bに開示するようなプログラムによって制御されるプロセッサ300とに基づくアーキテクチャを有する。
【0055】
バス301は、プロセッサ300を、リードオンリーメモリROM302、ランダムアクセスメモリRAM303、及びネットワークインターフェース306にリンクする。
【0056】
メモリ303は、図5a又は図5bに開示されているようなアルゴリズムに関連するプログラムの変数及び命令を受信するように意図されたレジスタを含む。
【0057】
プロセッサ300は、ネットワークインターフェース306を通じて、ワイヤレス無線ユニットによって転送されたフィードバック情報を測定収集デバイスMEから受信する。
【0058】
リードオンリーメモリ、又は場合によっては、フラッシュメモリ302は、図5a又は図5bに開示されているような、サーバーServが電源オンされているときの、ランダムアクセスメモリ303に対するアルゴリズムに関連するプログラムの命令を含む。
【0059】
サーバーServは、PC(パーソナルコンピュータ)、DSP(デジタル信号プロセッサ)若しくはマイクロコントローラ等のプログラム可能なコンピューティングマシンによって、1組の命令若しくはプログラムの実行によってソフトウェアにおいて実施することができるか、又はそうでない場合、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)若しくはASIC(特定用途向け集積回路)等のマシン若しくは専用コンポーネントによってハードウェアにおいて実施することができる。
【0060】
換言すれば、サーバーServは、図5に開示されているようなアルゴリズムに関連したプログラムをサーバーServに実行させる、回路、又は回路を含むデバイスを備える。
【0061】
図4は、本発明による測定収集デバイスによって実行されるアルゴリズムの一例を表す図である。
【0062】
本アルゴリズムは、プロセッサ200によって実行される一例において開示される。
【0063】
ステップS400において、プロセッサ200は、新たな測定ウィンドウを開始する時刻であるか否かを確認する。例えば、測定ウィンドウは、毎分実行され、10秒の継続時間を有する。
【0064】
新たな測定ウィンドウを開始する時刻である場合、プロセッサ200はステップS401に移動する。そうでない場合、プロセッサ200はステップS400に戻る。
【0065】
ステップS401において、プロセッサ200は、干渉に関連した測定を無線インターフェースから取得する。
【0066】
例えば、干渉に関連した測定は、1ミリ秒毎に行われる。
【0067】
次のステップS402において、プロセッサ200は、測定ウィンドウを中断しなければならないか否かを確認する。
【0068】
測定ウィンドウを中断しなければならない場合、プロセッサ200はステップS401に戻る。そうでない場合、プロセッサ200はステップS403に移動する。
【0069】
ステップS403において、プロセッサ200は、測定ウィンドウの間に行われた測定を処理する。
【0070】
例えば、プロセッサ200は、点が一様な時間間隔にある場合に複数の測定が行われる期間インデックスtと、dB単位の干渉電力、dB単位のSINRのような量子化された干渉関連値zと、例えば、同じ量子化された干渉関連値zを有する期間インデックスt内に行われた測定の数のような重みwとを含む三重項値(t,z,w)の集合体のヒストグラムを形成する。
【0071】
例えば、期間及び量子化は一定である。
【0072】
例えば、期間及び/又は量子化は可変である。その場合、時間の各クラスターについて計算されるヒストグラムは、異なるダイナミクスを有する。換言すれば、ヒストグラムは、通常のものではなく、量子化器に関連付けられたときに重心とも呼ばれるビン(bins)の中心のようなヒストグラム定義が、k平均アルゴリズム等のベクトル量子化器を用いることによって計算される。
【0073】
例えば、プロセッサ200は、規則的でない(non-regular:通常のものでない)量子化セルに関連付けられた重心のコードブックを求めるk平均アルゴリズムを適用する。
【0074】
したがって、三重項(t,z,w)は、k平均アルゴリズムによって直接与えられる。このアルゴリズムにおいて、座標t(k)、z(k)は、量子化セルの重心座標であり、w(k)は、重心の量子化セルの重みであり、kは、フィードバック三重項(t,z,w)のインデックスであり、ここで、k=1〜Kである。重心の計算はオンラインで行われる。量子化セルの重みは、測定が有するこのセルの重心との距離メトリックが、他のいずれの重心との距離メトリックよりも近いときにインクリメントされる。通常、ユークリッド距離が用いられる。
【0075】
次のステップS404において、プロセッサ200は、形成されたヒストグラムの三重項を、無線インターフェース205を通じてワイヤレス無線ユニットWRUに転送することを命令し、ワイヤレス無線ユニットWRUは、これらの形成された三重項をサーバーServに転送する。例えば、期間及び量子化が一定である場合、この転送は、重みwしか含まない。期間及び量子化が一定でない場合、値の三重項が転送される。
【0076】
図5aは、本発明によるサーバーによって実行されるアルゴリズムの第1の例を表す図である。
【0077】
本アルゴリズムは、プロセッサ300によって実行される一例において開示される。
【0078】
ステップS500において、プロセッサ300は、測定収集デバイスMEによって形成されたヒストグラムの三重項、又は、期間及び量子化が一定である場合には重みwを、ネットワークインターフェース306を通じて受信する。
【0079】
次のステップS501において、プロセッサ300は、測定収集デバイスMEが備えられている列車の軌道を取得する。
【0080】
サーバーServに格納されているデータベースは、干渉情報のランダム分布に関する離散値を収集したものを含む。このデータベースは、例えば、少なくとも1つのマトリックスDBの形態にあり、各マトリックスは、システムによってカバーされる領域に関連している。このマトリックスは、例えば、(I*J)マトリックスである。クラスターに記憶された各値DB(i,j)は、位置x(i)及び値y(j)に関連付けられている。ここで、xは、領域内の列車の可能な位置を量子化した位置のベクトルであり、yは、干渉関連値の範囲を量子化した値のベクトルである。測定収集デバイスMEによって形成されたヒストグラムの、データベースのヒストグラムに対応するフォーマットへの変換は、ヒストグラムフォーマットに依存する。
【0081】
次のステップS502において、プロセッサ300は、受信されたヒストグラム、又は、期間及び量子化が一定である場合には受信された重みwを処理する。
【0082】
プロセッサ300は、データベースにおける、換言すれば、データベースのマトリックスのクラスターにおける、各三重項又は各重みに対応する単数又は複数の位置を求める。
【0083】
プロセッサ300は、列車の軌道に対応するとともに、期間インデックスを線路RLに沿った位置にマッピングすることを可能にするマッピング関数TP()を用いる。
【0084】
値(t(k),z(k),w(k))を有する所与のフィードバックインデックスkについて、プロセッサ300は、|TP(t(k))−x(i’(k))|が最小化されるようなインデックスi’(k)を見つける。
【0085】
したがって、i’(k)は、測定ウィンドウ内の時刻t(k)における第kの測定の測定収集デバイスMEの位置に対応するデータベースにおける位置の行インデックスである。
【0086】
プロセッサ300は、データベースに記憶された値を量子化された干渉関連値zにマッピングすることを可能にするマッピング関数ML()を更に用いる。マッピング関数ML()は、好ましくは全単射である。例えば、dB単位のSINRレベルをフィードバックし、これを順次記憶することができる。
【0087】
次に、値(t(k),z(k),w(k))を有する所与のフィードバックインデックスkについて、|ML(z(k))−y(j’(k))|が最小化されるような列インデックスj’(k)を見つけることができる。したがって、j’(k)は、第kの量子化された干渉関連値zを、干渉情報のランダム分布に関する値であって、データベースフォーマットに従って量子化された値に変換することに対応するデータベースにおける列インデックスである。
【0088】
プロセッサ300は、データベースDBと同じサイズを有し、最初に0値を用いて初期化される一時データベースDBTを更に用いる。
【0089】
より正確に言えば、プロセッサ300は、受信した、量子化された干渉関連値zを変換し、一時データベースDBTのクラスターを満たす。
【0090】
プロセッサ300は、各クラスター値DBT(i’(k),j’(k))をw(k)だけインクリメントする。
【0091】
k平均アルゴリズムが、規則的でない量子化クラスターに関連付けられた重心のコードブックを求める測定収集デバイスMEによって用いられる場合、プロセッサ300は、一時データベースDBTのマトリックスのクラスタリンググリッド、又は、一時データベースDBT及びデータベースDBが同じサイズを有するのでデータベースDBのマトリックスのクラスタリンググリッドを、重心によって規定されるボロノイ領域に重ね合わせる。
【0092】
データベースDBのクラスターを有する受信ヒストグラムの直接量子化は、幾つかの測定をそれらの重心を介して誤った位置x(i’(k))及び値y(j’(k))に関連付ける場合がある。
【0093】
プロセッサ300は、その場合、変換プロセスにおいてマスクを適用する。すなわち、各クラスター値DBT(i’(k),j’(k))をw(k)によって設定するだけでなく、全てのクラスター値DBT(i,j)をw(k)*M(i,j,TP(t(k)),ML(z(k)))値だけインクリメントすることによってマスクを適用する。ここで、iは、1〜Iまで変化し、jは1〜Jまで変化する。例えば、重心(x(i),y(j))が、距離メトリック、例えば、ユークリッド距離によると、点(TP(t(k)),ML(z(k)))の最も近いものである場合には、M(i,j,TP(t(k)),ML(z(k)))=1であり、そうでない場合には、M(i,j,TP(t(k)),ML(z(k)))=0である。別の選択肢では、M(i,j,TP(t(k)),ML(z(k)))=1/aである。ここで、aは、全てのi及びjについてのM(i,j,TP(t(k)),ML(z(k)))値の和である。
【0094】
別の例では、独立したマスクが、位置及び値の次元において適用される。この独立したマスクは、データベースDBがデシベル単位で表された干渉情報に関するものであるときは、M(i,j,TP(t(k)),ML(z(k)))=Mp(i,TP(t(k)))+Mv(j,ML(z(k)))となるようになっており、データベースDBが線形領域における干渉情報に関するものであるときは、M(i,j,TP(t(k)),ML(z(k)))=Mp(i,TP(t(k)))*Mv(j,ML(z(k)))となるようになっている。
【0095】
Mp()は、一時データベースDBTにおける位置に関連したマスクであり、Mvは、一時データベースDBTにおける重みに適用されるマスクである。
【0096】
ここで、受信される量子化された干渉関連値が、フェージングが発生するシステムにおいてdB単位で表されている場合、dB単位のこのフェージングの分布は非対称であることに留意しなければならない。
【0097】
平均電力Pi(dB)を有する干渉が受信された場合、dB単位のフェージングの分布に従った測定は、Pi dBだけシフトされる。
【0098】
例えば、−20dB減衰された測定は、0dBにある測定よりも起こる可能性は低く、クラスタリング計算におけるその重みはより低くなるべきである。クラスターを構築するためのメトリックは、その場合、フェージングの確率密度関数に関連付けられる。
【0099】
この場合、Mv(j,ML(z(k)))=pv(|ML(z(k)))−y(j)|)を選ぶことができる。ここで、pvは、dB単位のフェージングの確率密度関数であり、例えば、以下の式となる。
【数1】
【0100】
同様に、位置の次元におけるマスクは、一般的なパスロスモデルに従うことができ、これによって、Mp(i,TP(t(k)))=pp(|TP(t(k))−x(i)|)及び以下の式が得られる。
【数2】
ここで、α及びβは、環境に従って調節することができるパラメーターである。
【0101】
別の例では、パラメーターα(i)及びβ(i)は、線路に沿ったロケーションにも依存し、これによって、Mp(i,TP(t(k)))=pp(i,|TP(t(k))−x(i)|)及び以下の式が得られる。
【数3】
【0102】
次のステップS503において、プロセッサ300は、一時データベースDBTをデータベースDBにマージする。
【0103】
換言すれば、本発明は、第kの測定に関連したデータベースDBTに記憶された位置及び値に関連付けられたデータベースDBのクラスターを突き止め、データベースDBの同じクラスターに含まれる測定の一時データベースDBTのクラスターに含まれる重みをともに組み合わせる。
【0104】
プロセッサ300は、例えば、確率密度関数の離散推定値の加重平均を用いることによって、一時データベースDBTをデータベースDBとマージする。まず、プロセッサ300は、N(i)を、データベースDBの第i行の重みの和として定義する。
【0105】
データベースマトリックスDB及び一時データベースDBTの各行iについて、プロセッサ300は以下の計算を実行する:
−一時データベースの第i行の重みDBT(i,j)の和としてN’(i)を計算し、
−各行iについて、値DB(i,j)を(DB(i,j)*N(i)+DBT(i,j))/(N(i)+N’(i))に設定し、
−N(i)をN(i)+N’(i)に更新する;
代替的に、プロセッサ300は以下の計算を実行する:
−一時データベースDBTを、その第i行の和が1に等しくなるような正規化一時データベースNDBTに正規化し、
−各行iについて、値DB(i,j)を(DB(i,j)*N(i)+NDBT(i,j))/(N(i)+1)に設定し、
−N(i)をN(i)+1に更新する;
代替的に、プロセッサ300は以下の計算を実行する:
−一時データベースDBTを、その第j列の和が1に等しくなるような正規化一時データベースNDBTに正規化し、
−各行iについて、値DB(i,j)をDB(i,j)+μ*(NDBT(i,j)−DBT(i,j))に設定する(ここで、μ<1)。
【0106】
図5bは、本発明によるサーバーによって実行されるアルゴリズムの第2の例を表す図である。
【0107】
ステップS550において、プロセッサ300は、測定収集デバイスMEによって形成されたヒストグラム、又は、期間及び量子化が一定である場合には重みwを、ネットワークインターフェース306を通じて受信する。
【0108】
次のステップS551において、プロセッサ300は、測定収集デバイスMEが備えられている列車の列車軌道を取得する。
【0109】
サーバーServに格納されているデータベースは、干渉情報のランダム分布に関する離散値を収集したものを含む。このデータベースは、例えば、少なくとも1つのマトリックスDBの形態にあり、各マトリックスは、システムによってカバーされる領域に関連している。このマトリックスは、例えば、(I*J)マトリックスである。記憶された各値DB(i,j)は、位置x(i)及び値y(j)に関連付けられている。ここで、xは、領域内の列車の可能な位置を量子化した位置のベクトルであり、yは、干渉関連値の範囲を量子化した値のベクトルである。測定収集デバイスMEによって形成されたヒストグラムの、データベースのヒストグラムに対応するフォーマットへの変換は、ヒストグラムフォーマットに依存する。
【0110】
次のステップS552において、プロセッサ300は、受信されたヒストグラム、又は、期間及び量子化が一定である場合には受信された重みwを処理する。
【0111】
プロセッサ300は、データベースにおける、換言すれば、データベースのマトリックスのクラスターにおける、各三重項又は各重みに対応する単数又は複数の位置を求める。
【0112】
プロセッサ300は、列車の軌道に対応するとともに、期間インデックスを線路RLに沿った位置にマッピングすることを可能にするマッピング関数TP()を用いる。
【0113】
値(t(k),z(k),w(k))を有する所与のフィードバックインデックスkについて、プロセッサ300は、|TP(t(k))−x(i’(k))|が最小化されるようなインデックスi’(k)を見つける。
【0114】
したがって、i’(k)は、測定ウィンドウ内の時刻t(k)における第kの測定の測定収集デバイスMEの位置に対応するデータベースにおける位置の行インデックスである。
【0115】
プロセッサ300は、データベースに記憶された値を量子化された干渉関連値zにマッピングすることを可能にするマッピング関数ML()を更に用いる。マッピング関数ML()は、好ましくは全単射である。例えば、dB単位のSINRレベルをフィードバックし、これを順次(in linear)記憶することができる。
【0116】
次に、値(t(k),z(k),w(k))を有する所与のフィードバックインデックスkについて、|ML(z(k))−y(j’(k))|が最小化されるような列インデックスj’(k)を見つけることができる。したがって、j’(k)は、第kの量子化された干渉関連値zを、干渉情報のランダム分布に関する値であって、データベースフォーマットに従って量子化された値に変換することに対応するデータベースにおける列インデックスである。
【0117】
プロセッサ300は、データベースDBと同じサイズを有し、最初に0値を用いて初期化される一時データベースDBTを更に用いる。
【0118】
より正確に言えば、プロセッサ300は、受信した、量子化された干渉関連値zを変換し、一時データベースDBTのクラスターを満たす。
【0119】
プロセッサ300は、各クラスター値DBT(i’(k),j’(k))をw(k)だけインクリメントする。
【0120】
次のステップS503において、プロセッサ300は、一時データベースDBTをデータベースDBにマージする。
【0121】
換言すれば、本発明は、第kの測定に関連したデータベースDBTに記憶された位置及び値に関連付けられたデータベースDBのクラスターを突き止め、データベースDBの同じクラスターに含まれる測定の一時データベースDBTのクラスターに含まれる重みをともに組み合わせる。
【0122】
プロセッサ300は、例えば、確率密度関数の離散推定値の加重平均を用いることによって、一時データベースDBTをデータベースDBとマージする。まず、プロセッサ300は、N(i)を、データベースDBの第i行の重みの和として定義する。
【0123】
データベースマトリックスDB及び一時データベースDBTの各行iについて、プロセッサ300は以下の計算を実行する:
−一時データベースの第i行の重みDBT(i,j)の和としてN’(i)を計算し、
−各行iについて、値DB(i,j)を(DB(i,j)*N(i)+DBT(i,j))/(N(i)+N’(i))に設定し、
−N(i)をN(i)+N’(i)に更新する。
【0124】
代替的に、プロセッサ300は以下の計算を実行する:
−一時データベースDBTを、その第i行の和が1に等しくなるような正規化一時データベースNDBTに正規化し、
−各行iについて、値DB(i,j)を(DB(i,j)*N(i)+NDBT(i,j))/(N(i)+1)に設定し、
−N(i)をN(i)+1に更新する。
【0125】
代替的に、プロセッサ300は以下の計算を実行する:
−一時データベースDBTを、その第i行の和が1に等しくなるような正規化一時データベースNDBTに正規化し、
−各行iについて、値DB(i,j)をDB(i,j)+μ*(NDBT(i,j)−DBT(i,j))に設定する(ここで、μ<1)。
【0126】
k平均アルゴリズムが、規則的でない量子化クラスターに関連付けられた重心のコードブックを求める測定収集デバイスMEによって用いられる場合、プロセッサ300は、データベースDBのマトリックスのクラスターを、重心によって規定されるボロノイ領域に重ね合わせる。
【0127】
データベースDBを有する受信ヒストグラムの直接量子化は、幾つかの測定をそれらの重心を介して誤った位置x(i)及び値y(j)に関連付ける場合がある。
【0128】
プロセッサ300は、その場合、マージプロセスにおいてマスクを適用する。すなわち、DBT(i,j)を用いて値DB(i,j)を更新するだけでなく、全てのクラスター値DB(i,j)をDBT(i’’,j’’)*M’’(i’’,i,j’’,j)値だけインクリメントすることによってマスクを適用する。ここで、i’’及びj’’は、一時データベースDBTのインデックスを示す。例えば、重心(x(i),y(j))が、距離メトリック、例えば、ユークリッド距離によると、点(x(i’),y(j’))の最も近いものである場合には、M’’(i’’,i,j’’,j)=1であり、そうでない場合には、M’’(i’’,i,j’’,j)=0である。別の選択肢では、M’’(i’’,i,j’’,j)=1/aである。ここで、aは、全てのi’’及びj’’についてのM’’(i’’,i,j’’,j)値の和である。
【0129】
別の例では、独立したマスクが、位置及び値の次元において適用される。この独立したマスクは、データベースDBがデシベル単位で表された干渉情報に関するものであるときは、M’’(i’’,i,j’’,j)=Mp’’(i’’,i)+Mv’’(j’’,j)となるようになっており、データベースDBが線形領域における干渉情報に関するものであるときは、M’’(i’’,i,j’’,j)=Mp’’(i’’,i)×Mv’’(j’’,j)となるようになっている。
【0130】
Mp’’()は、一時データベースDBTにおける位置に関連したマスクであり、Mvは、一時データベースDBTにおける重みに適用されるマスクである。
【0131】
ここで、受信される量子化された干渉関連値が、フェージングが発生するシステムにおいてdB単位で表されている場合、dB単位のこのフェージングの分布は非対称であることに留意しなければならない。
【0132】
平均電力Pi(dB)を有する干渉が受信された場合、dB単位のフェージングの分布に従った測定は、Pi dBだけシフトされる。
【0133】
例えば、−20dB減衰された測定は、0dBにある測定よりも起こる可能性は低く、クラスタリング計算におけるその重みはより低くなるべきである。クラスターを構築するためのメトリックは、その場合、フェージングの確率密度関数に関連付けられる。
【0134】
この場合、Mv’’(j’’,j)=pv(|y(j’’)−y(j)|)を選ぶことができる。ここで、pvは、dB単位のフェージングの確率密度関数であり、例えば、以下の式となる。
【数4】
【0135】
同様に、位置の次元におけるマスクは、一般的なパスロスモデルに従うことができ、これによって、Mp’’(i’’,i)=pp(|x(i’’)−x(i)|)及び以下の式が得られる。
【数5】
ここで、α及びβは、環境に従って調節することができるパラメーターである。
【0136】
別の例では、パラメーターα(i)及びβ(i)は、線路に沿ったロケーションにも依存し、これによって、Mp’’(i’’,i)=pp(i,|x(i’’)−x(i)|)及び以下の式が得られる。
【数6】
【0137】
当然のことながら、本発明の範囲から逸脱することなく、上述した本発明の実施形態に対して多くの変更を行うことができる。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b