特許第6489614号(P6489614)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6489614開閉体自動閉鎖装置及び開閉体自動閉鎖方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6489614
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】開閉体自動閉鎖装置及び開閉体自動閉鎖方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/82 20060101AFI20190318BHJP
   E05F 15/72 20150101ALI20190318BHJP
   E06B 9/84 20060101ALI20190318BHJP
   E06B 9/17 20060101ALI20190318BHJP
   E05F 15/665 20150101ALI20190318BHJP
   E05F 15/42 20150101ALI20190318BHJP
【FI】
   E06B9/82 B
   E05F15/72
   E06B9/84 C
   E06B9/17 M
   E05F15/665
   E05F15/42
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-115259(P2015-115259)
(22)【出願日】2015年6月5日
(65)【公開番号】特開2017-2505(P2017-2505A)
(43)【公開日】2017年1月5日
【審査請求日】2018年5月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114166
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 浩三
(72)【発明者】
【氏名】宮本 顕
【審査官】 秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−242383(JP,A)
【文献】 特開2007−138396(JP,A)
【文献】 米国特許第6014307(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00−9/92
E05F 15/665
E05F 15/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部の周縁部に設けられた開閉体手段と、
火災発生時に防災盤手段から出力される防災信号の入力に応じて前記開閉体手段を自重降下動作させて前記開口部を閉鎖する自動閉鎖手段であって、前記防災信号の入力が無くなった場合でも前記開閉体手段の自重降下動作を維持する自動閉鎖手段と、
人為的に操作されることによって前記開閉体手段が自重降下しない状態に復帰させる復帰ボタン手段と、
前記復帰ボタン手段が操作された場合に、前記防災盤手段の状態を確認し、前記防災盤手段が初期状態にある時は前記復帰ボタン手段の操作に応じて前記開閉体手段が自重降下しない状態に復帰させ、前記防災盤手段が火災感知状態にある時は前記復帰ボタン手段の操作を無効にする制御手段と
を備えたことを特徴とする開閉体自動閉鎖装置。
【請求項2】
請求項1に記載の開閉体自動閉鎖装置において、
人為的に操作されることによって非常閉鎖信号を前記自動閉鎖手段に出力する手動閉鎖ボタン手段を備え、
自動閉鎖手段が、前記非常閉鎖信号又は前記防災信号の入力に応じて前記開閉体手段を移動させることを特徴とする開閉体自動閉鎖装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された開閉体自動閉鎖装置において、
前記開閉体手段の動作経路上で障害物を感知した場合に障害物感知信号を出力する障害物感知手段と、
前記障害物感知信号の入力に応じて閉動作中の前記開閉体手段に回避動作を行わせる障害物制御手段を備えたことを特徴とする開閉体自動閉鎖装置。
【請求項4】
火災発生時に防災盤手段から出力される防災信号の入力に応じて、開口部の周縁部に設けられた開閉体手段を、自重降下動作させ、前記防災信号の入力が無くなった場合でも前記開閉体手段の自重降下動作を維持する開閉体自動閉鎖方法において、
前記開閉体手段を開閉停操作可能な状態に復帰させる復帰ボタン手段が人為的に操作された場合に、前記防災盤手段の状態を確認し、前記防災盤手段が初期状態にある時は前記復帰ボタン手段の操作に応じて前記開閉体手段が自重降下しない状態に復帰させ、前記防災盤手段が火災感知状態にある時は前記復帰ボタン手段の操作を無効にすることを特徴とする開閉体自動閉鎖方法。
【請求項5】
請求項4に記載の開閉体自動閉鎖方法において、
前記防災信号以外に、人為的に操作された手動閉鎖ボタン手段から非常閉鎖信号が出力された場合、前記非常閉鎖信号の入力に応じても前記開閉体手段を移動させることを特徴とする開閉体自動閉鎖方法。
【請求項6】
請求項4又は5に記載された開閉体自動閉鎖方法において、
前記開閉体手段の動作経路上で障害物を感知した場合に障害物感知手段から出力された障害物感知信号の入力に応じて閉動作中の前記開閉体手段に回避動作を行わせることを特徴とする開閉体自動閉鎖方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状、スラット状又はパネル状のカーテンなどの開閉体を用いて建物内部の通路やホール空間などを自動的に閉鎖する開閉体自動閉鎖装置及び開閉体自動閉鎖方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、床面積の大きいビル等の構築・構造物内部の通路やホール空間などには、火災発生時の延焼や煙の拡散を防止するために火災発生と同時に自動的に閉じるシート状又はシャッター状の防火カーテンなどの遮蔽部材を用いて、柱、壁、床などと共に3次元的に囲まれた空間、すなわち防火区画や防煙機能を形成するように動作する防火シャッター装置が備え付けられている。このようなシャッター装置には、火災以外の災害発生時や閉店時などに防火・防煙・防水・防風・防犯などのために開口部を仕切るために繰り出されるものもある。
【0003】
図1は、このような防火区画を形成する従来の防火シャッター装置の概略構成を示す図である。防火シャッター装置10等の防災用開閉体装置は、火災時に発生する煙や熱を感知することによって、防災盤12から出力される防災信号BS(例えば直流24V信号)の入力に対応して、開閉機1に連結されたブレーキ2を解放させる自動閉鎖装置4を有している。なお、この防災信号BSの電圧値は24Vでない場合もあり、適宜その電圧値は決められている。自動閉鎖装置4は、連動中継器3を介して供給される商用電源9又は連動中継器3に内蔵される予備電源(蓄電池)からの電力によって動作する。
【0004】
連動中継器3に内蔵される予備電源によって、火災発生時に防火シャッター装置10に対する商用電源の供給がなくとも、入力される防災信号BSに基づきブレーキ2を解放でき、巻取り状態にある防火構造の防火シャッターカーテン5を自重で下降させ自動的に開口部を閉鎖することができるようになっている。また、非常時には、電気式手動閉鎖装置8(非常用シャッター閉鎖ボタン)を操作することによって、防火シャッターカーテン5を自重で降下させることもできる。
【0005】
図2は、図1の連動中継器3の概略構成を示す図である。図2に示すように、連動中継器3は、電源回路31、充電装置32、予備電源(蓄電池)33、電源切り替え装置34及び制御回路35から構成される。電源回路31は、商用電源9を直流24V信号に変換し、電源切り替え装置34を介して制御回路35に直流電圧を供給すると共に充電装置32に電力を供給する。充電装置32は、電源回路31からの電力を用いて予備電源(蓄電池)33を充電する。予備電源(蓄電池)33は、リチウムイオン充電池やその他のバッテリー(充電式以外にも乾電池のように使い切るタイプの電源も含む)などから構成され、電源切り替え装置34を介して直流電圧を制御回路35に供給する。電源切り替え装置34は、電源回路31又は予備電源33のいずれか一方の電源を選択的に切り替えて制御回路35に供給するものである。
【0006】
通常は、商用電源9から電力が供給されているので、電源回路31からの直流電圧を制御回路35に供給しているが、火災発生時などの非常時において、商用電源9からの電力供給が停止した場合などには、予備電源33からの直流電圧を制御回路35に供給するように動作する。なお、図1及び図2では、連動中継器3以外への商用電源の接続関係については図示を省略してある。
【0007】
このように、連動中継器3に内蔵される予備電源33によって、火災発生時に防火シャッター装置10に対する商用電源の供給がなくとも、防災盤12から制御回路35に入力される防災信号BSに基づき作動信号(直流24V信号)を出力し、自動閉鎖装置4を作動させてブレーキ2を解放することによって、巻取り状態にある防火構造の防火シャッターカーテン5を自重で下降させ自動的に開口部を閉鎖することができるようになっている。また、非常時には、電気式手動閉鎖装置8(非常用シャッター閉鎖ボタン)を操作することによって、同じく制御回路35から作動信号(直流24V信号)を出力し、自動閉鎖装置4を作動させてブレーキ2を解放し、防火シャッターカーテン5を自重で降下させることができる。
【0008】
この防火シャッター装置10には、開閉中に障害物への接触を検出する障害物感知装置が設けられている。障害物感知制御装置は、図示のように防火シャッターカーテン5の下端の座板上に設けられた送信機6と、防火シャッターカーテン5の収納ボックス内に設けられた受信機7とによって構成される。送信機6は、座板に対する障害物の接触で座板スイッチ(マイクロスイッチ)が作動した場合に、その感知信号を受信機7に有線又は無線方式で送信する。このとき、自動閉鎖装置4は、この感知信号を受信機から入力し、その入力に応じて防火シャッターカーテン5の閉動作を停止制御するようになっている。従って、火災発生時に防火シャッターカーテン5が自重下降している際に座板が障害物に接触した場合に、防火シャッターカーテン5の自重下降が停止するようになっている。
【0009】
図3は、図1及び図2の電気式手動閉鎖装置の一例を示す図であり、電気式手動閉鎖装置の蓋が開いた状態を示す図である。電気式手動閉鎖装置8は、金属製の筐体81と蓋82から構成される。蓋82には筐体81の内部に設けられた非常用シャッター閉鎖ボタン83が外部から見えるように構成された樹脂製の透明パネル(押し破りキャップ)84が設けられている。なお、図示していないが、蓋82には防犯用の鍵が設けられており、非常時には透明パネル84を押し破ることで、蓋82を閉じていても非常用シャッター閉鎖ボタン83のみ操作できるようにしている。この樹脂製の透明パネル84は、非常時に手などによって押し破られやすいように構成されている。非常用シャッター閉鎖ボタン83は、赤色の押ボタンで構成される。
【0010】
電気式手動閉鎖装置8の筐体81の内部には、防火シャッターカーテン5の開閉停を制御する開ボタン85、閉ボタン86、停ボタン87が設けられている。また、防災信号BSが入力された連動中継器3、自動閉鎖装置4を、防災信号BSが入力される前の状態にリセットするための復帰ボタン88が非常用シャッター閉鎖ボタン83の上側に設けられている。
このような防火シャッター装置に関するものとしては、例えば、特許文献1に記載されたものがある。
【特許文献1】特開2007−138396号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
復帰ボタン88が設けられるのは、防災信号BSが入力されて自動閉鎖状態となったシャッター装置の制御状態を人の状況判断で人為的にリセットさせるためである。従って、従来の防火シャッター装置において、火災時に誰かが誤った判断で(例えばシャッターの自動閉鎖が火災報知の誤報によるものと勘違いして)復帰ボタン88を操作してしまうと、自動閉鎖装置4がリセットしてしまい、火災中であったとしても、防災信号が継続していない場合には、その後防火シャッターが閉鎖しない可能性がある。
【0012】
本発明の目的は、防火シャッターが自動閉鎖状態にある場合は、復帰ボタンが操作されたとしても、その復帰処理を回避し、自動閉鎖を継続することのできる開閉体自動閉鎖装置及び開閉体自動閉鎖方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の開閉体自動閉鎖装置の第1の特徴は、開口部の周縁部に設けられた開閉体手段と、火災発生時に防災盤手段から出力される防災信号の入力に応じて前記開閉体手段を自重降下動作させて前記開口部を閉鎖する自動閉鎖手段であって、前記防災信号の入力が無くなった場合でも前記開閉体手段の自重降下動作を維持する自動閉鎖手段と、人為的に操作されることによって前記開閉体手段が自重降下しない状態に復帰させる復帰ボタン手段と、前記復帰ボタン手段が操作された場合に、前記防災盤手段の状態を確認し、前記防災盤手段が初期状態にある時は前記復帰ボタン手段の操作に応じて前記開閉体手段が自重降下しない状態に復帰させ、前記防災盤手段が火災感知状態にある時は前記復帰ボタン手段の操作を無効にする制御手段とを備えたことにある。
開閉体手段は、ビル、住宅、工場、倉庫等の建物などの構造物における、出入口や窓部、あるいは内部の通路や空間などの開口部などを開閉移動するものや閉移動だけする防火シャッターカーテンなどの開閉部材や閉部材で構成され、災害発生時や閉店時などに防火・防煙・防水・防風・防犯などのために開口部を仕切るために繰り出される。開閉体手段が、例えば防火区画形成用の防火・防煙シャッターカーテンの場合には、建物などの開口部の周縁部の一つである上部に収納され、まぐさなどを通過して防火シャッターカーテンが下降し、開口部を閉鎖する。これ以外にも開閉体手段が開口部の側部に収納され横引き方式で開閉移動したり、開口部の下部に収納され上昇方式で開閉移動したりすることもある。また、開閉体手段には、閉鎖によって開口部を全閉できるものも全閉できないものも含む。
防火シャッターカーテンの閉鎖中に、復帰ボタン手段が操作されてしまうと、自動閉鎖手段は復帰処理を実行してしまい、火災中であったとしても、防災信号が継続的に出力されていない場合には、その後防火シャッターカーテンが閉鎖しない可能性がある。そこで、この発明では、復帰ボタン手段が操作された場合に、防災盤手段の状態を確認し、防災盤手段が初期状態にある時は復帰ボタン手段の操作に応じて開閉体手段を開閉停操作可能な状態に復帰させる復帰処理を実行し、防災盤手段が火災感知状態にある時は復帰ボタン手段の操作を無効にするようにした。これによって、防災盤手段が火災感知状態にあって、防火シャッターカーテンが自動閉鎖すべき状態にある場合は、復帰ボタン手段が操作されたとしても、その復帰処理を回避し、自動閉鎖を継続することができる。
【0014】
本発明の開閉体自動閉鎖装置の第2の特徴は、前記第1の特徴に記載の開閉体自動閉鎖装置において、人為的に操作されることによって非常閉鎖信号を前記自動閉鎖手段に出力する手動閉鎖ボタン手段を備え、自動閉鎖手段が、前記非常閉鎖信号又は前記防災信号の入力に応じて前記開閉体手段を移動させることにある。
手動閉鎖ボタン手段は、例えば、筐体内に設けられた非常用シャッター閉鎖ボタンなどのような操作子であり、人為的に操作されることによって非常閉鎖信号を自動閉鎖手段に出力するものである。通常、筐体の一部には、押し破り可能な透明パネルが設けられているので、この透明パネルを押し破ることによって人為的に操作され、それに応じて非常閉鎖信号を出力する。自動閉鎖手段は、この非常閉鎖信号又は上述の防災信号を入力することによって、防火シャッターカーテンを移動させて、開口部を閉鎖する。非常閉鎖信号の入力によって、防火シャッターカーテンが自動閉鎖を開始した場合でも、復帰ボタン手段が操作されたときには、防災盤手段の状態を確認し、その状態に応じて復帰処理の実行し、又は無効とする。これによって、手動閉鎖ボタン手段の操作に応じて自動閉鎖が開始した場合でも、火災発生時においては復帰ボタン手段が誤操作されてもそれを有効に防止することが可能となる。
【0015】
本発明の開閉体自動閉鎖装置の第3の特徴は、前記第1又は第2の特徴に記載の開閉体自動閉鎖装置において、前記開閉体手段の動作経路上で障害物を感知した場合に障害物感知信号を出力する障害物感知手段と、前記障害物感知信号の入力に応じて閉動作中の前記開閉体手段に回避動作を行わせる障害物制御手段を備えたことにある。
開閉体手段である防火シャッターカーテンには、一例として開閉中に障害物などへの接触を検出する障害物感知手段がその閉鎖側先端部の座板上に設けられており、障害物の感知状態に応じて障害物制御手段が防火シャッターカーテンにその回避動作を行わせるように構成されている。ここでの回避動作には、防火シャッターカーテンの移動を停止させたり、停止までには到らずに移動速度を抑制したり、感知した状態から防火シャッターカーテンを逆に移動させたりする場合を含む。また、障害物感知手段には、閉鎖側先端部の座板などに設けられる接触式のものやエリアセンサなどのように非接触式にて感知するものを含む。従って、自動閉鎖時に防火シャッターカーテンが移動している際に座板が障害物に接触した場合等に、防火シャッターカーテンは回避動作を行う。
【0016】
本発明の開閉体自動閉鎖方法の第1の特徴は、火災発生時に防災盤手段から出力される防災信号の入力に応じて、開口部の周縁部に設けられた開閉体手段を、自重降下動作させ、前記防災信号の入力が無くなった場合でも前記開閉体手段の自重降下動作を維持する開閉体自動閉鎖方法において、
前記開閉体手段を開閉停操作可能な状態に復帰させる復帰ボタン手段が人為的に操作された場合に、前記防災盤手段の状態を確認し、前記防災盤手段が初期状態にある時は前記復帰ボタン手段の操作に応じて前記開閉体手段が自重降下しない状態に復帰させ、前記防災盤手段が火災感知状態にある時は前記復帰ボタン手段の操作を無効にすることにある。
これは、前記開閉体自動閉鎖装置の第1の特徴に対応した開閉体自動閉鎖方法の発明である。
【0017】
本発明の開閉体自動閉鎖方法の第2の特徴は、前記第1の特徴に記載の開閉体自動閉鎖方法において、前記防災信号以外に、人為的に操作された手動閉鎖ボタン手段から非常閉鎖信号が出力された場合、前記非常閉鎖信号の入力に応じても前記開閉体手段を移動させることにある。
これは、前記開閉体自動閉鎖装置の第2の特徴に対応した開閉体自動閉鎖方法の発明である。
【0018】
本発明の開閉体自動閉鎖方法の第3の特徴は、前記第1又は第2の特徴に記載の開閉体自動閉鎖方法において、前記開閉体手段の動作経路上で障害物を感知した場合に障害物感知手段から出力された障害物感知信号の入力に応じて閉動作中の前記開閉体手段に回避動作を行わせることにある。
これは、前記開閉体自動閉鎖装置の第3の特徴に対応した開閉体自動閉鎖方法の発明である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の防火シャッター装置によれば、防火シャッターが自動閉鎖状態にある場合は、復帰ボタンが操作されたとしても、その復帰処理を回避し、自動閉鎖を継続することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】防火区画を形成する従来の防火シャッター装置の概略構成を示す図である。
図2図1の連動中継器の概略構成を示す図である。
図3図1及び図2の電気式手動閉鎖装置の一例を示す図であり、電気式手動閉鎖装置の蓋が開いた状態を示す図である。
図4】本発明に係る開閉体装置である防火シャッター装置の概略構成を示す図である。
図5図4の防火シャッター装置の連動中継器の概略構成を示す図である。
図6図4及び図5の防災用開閉体装置の動作の一例を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面に従って本発明に係る開閉体装置の一例として防火シャッター装置について説明する。
図4は、本発明に係る開閉体装置である防火シャッター装置の概略構成を示す図である。この防火シャッター装置は、通常は開閉機1が基本的に防火シャッターカーテン5を巻き取った開放状態にある。この開放状態は、自重閉鎖(自重降下)しないようにブレーキ2で機械的に保持されることによって維持されている。自動閉鎖装置4は、火災発生時に感知器11(煙感知器、炎感知器など)から出力される感知信号を入力した防災盤12から出力される防災信号BS、又は電気式手動閉鎖装置8(非常用シャッター閉鎖ボタン83)の操作信号に応じて、ブレーキ2による開放状態の保持を解除し、防火シャッターカーテン5を自重で自然降下させることによって、開口部を閉鎖し、所定の防火区画を形成するようになっている。
【0022】
連動中継器30に対して防災信号BSを出力する防災盤12は、設置環境などにより複数の感知器11が設けられても良いが、複数の内一つ以上の感知器11などが感知した場合に複数の感知信号の数に対応した防災信号BSが連動中継器30に入力されるようにしてもよいし、複数の内一つ以上の感知器11などが感知した場合に単一の防災信号BSが連動中継器30に入力されるようにしても良い。
【0023】
開閉機1は、防火シャッターカーテン5を防火シャッター装置の通常時の制御において電動で開放、閉鎖するための駆動モータである。開閉機1は、通常時に図示しない通常時の制御用の開閉機制御回路によってブレーキ2と共に制御される。なお、通常時に防火シャッターカーテン5を開閉させる必要がない場合には、図示のような駆動源である開閉機1とブレーキ2とで構成しなくても、ブレーキ2のみで構成するようにしても良い。
【0024】
防災盤12は、建物に設置され、同じく建物内に配設された煙感知器、炎感知器などの感知器11などから感知信号の入力があった場合、防火シャッター装置を含む防災設備に防災信号BS(直流信号24V)を出力するものである。本実施の形態における防火シャッター装置では、防災信号BSを連動中継器30の制御回路35に入力するようにしている。連動中継器30は、防災盤12から防災信号BSの入力があると、防火シャッター装置を通常時用の制御から非常時用の制御に切替える。非常時用制御では自動閉鎖装置4に直流24V信号を継続的に出力する。連動中継器30は、商用電源が停電していなければ、商用電源9を使用して直流24V信号を出力するが、停電時などには内蔵されている予備電源33(蓄電池などのバッテリー)からの電力によって直流24V信号を出力する。なお、非常時用の制御に切替えることは、通常時の制御を無効にして非常時の制御を開始するようにしてもよいし、通常時の制御を有効にしたまま非常時の制御を開始するようにしても良い。
【0025】
自動閉鎖装置4は、連動中継器30を介して供給される商用電源9又は連動中継器30に内蔵される予備電源(蓄電池)33からの電力(直流24V信号)に応じて動作する。また、自動閉鎖装置4は、連動中継器30に内蔵されている予備電源33によって、火災発生時に防火シャッター装置10に対する商用電源の供給がなくとも、防災盤12から入力される防災信号BSに基づきブレーキ2を解放し、巻取り状態にある防火構造の防火シャッターカーテン5を自重で下降させ自動的に開口部を閉鎖することができるようになっている。自動閉鎖装置4がブレーキを解放しているか否かは、無電圧信号で連動中継器30の制御回路35にフィードバックされる。さらに、自動閉鎖装置4は、非常時には、電気式手動閉鎖装置8(非常用シャッター閉鎖ボタン83)の操作に応じて、防火シャッターカーテン5を自重で降下させることによって、開口部を閉鎖し、所定の防火区画を形成するようになっている。
【0026】
電気式手動閉鎖装置8は、防災盤12から防災信号BSの入力がなくても、防火シャッター装置を非常時用の制御に切替える操作入力手段である非常用シャッター閉鎖ボタン83(作動ボタン)を備えるものである。電気式手動閉鎖装置8は、図3に示したものと同様に、開閉機1の開閉停に対応した入力スイッチ(押しボタンスイッチ)と、非常用シャッター閉鎖ボタン83(作動ボタン)、復帰ボタン88及び電池試験ボタン89などを備え、さらに電池試験結果を表示したり、予備電源の状態を表示したり、コード断線状態を表示したりする種々の表示手段を備えている。
【0027】
電気式手動閉鎖装置8は、樹脂製の透明パネル(押し破りキャップ)に覆われ、非常時にこの樹脂製の透明パネルを押し込むことによって、操作可能に構成された非常用シャッター閉鎖ボタン83(作動ボタン)を備えている。
【0028】
この防火シャッター装置10には、開閉中に障害物への接触を検出する障害物感知制御装置が設けられている。障害物感知制御装置は、図示のように防火シャッターカーテン5の下端の座板上に設けられた座板スイッチ61と、防火シャッターカーテン5の収納ボックス内に設けられた障害物感知制御装置13と、これらの間を電気的に接続する信号コードとによって構成される。座板スイッチ61は、防火シャッターカーテン5の座板に取り付けてあり、この座板が人や物などの障害物に接触することによって接点の閉じるマイクロスイッチを内蔵しており、この接点が閉じた場合にそれを感知信号として障害物感知制御装置13に信号コードを介して有線方式で送信する。信号コードは、座板スイッチ61の感知信号を障害物感知制御装置13に伝送するケーブルである。このケーブルは、コードリールや移動式プーリー等により収納したりガイドしたりすることによって、防火シャッターカーテン5の開閉を阻害する撓みを生じないようにしている。
【0029】
障害物感知制御装置13は、通常時は商用電源により動作し、座板スイッチ61からの感知信号の入力に応じて開閉機1の動作を制御し、さらに少なくとも火災発生時など非常時には、座板スイッチ61からの障害物感知信号を自動閉鎖装置4へスルー出力するものである。自動閉鎖装置4は、この障害物感知制御装置13からの障害物感知信号の入力に応じて防火シャッターカーテン5の閉動作を停止してその回避動作を行うようになっている。従って、火災発生時に防火シャッターカーテン5が自重下降している際に座板などが障害物に接触し、座板スイッチ61から感知信号が検出された場合に、防火シャッターカーテン5の自重下降を停止してその回避動作を行うようになっている。
【0030】
障害物感知制御装置13は、通常時用の制御において、防火シャッターカーテン5が下降中に障害物感知信号を入力した場合、図示しない開閉機制御盤と連携して、防火シャッターカーテン5の下降動作を停止し、一定時間だけ上昇させるという制御を行う。一方、障害物感知制御装置13は、火災発生時などのように非常時用の制御において自動閉鎖装置4が起動して、防火シャッターカーテン5が下降中に、障害物感知信号を入力した場合には、その障害物感知信号を自動閉鎖装置4にスルー出力し、自動閉鎖装置4は、その障害物信号の入力に応じてブレーキ2の解放状態を戻して、一旦、防火シャッターカーテン5を停止させるという制御を行う。
【0031】
図5は、図4の防火シャッター装置の連動中継器の概略構成を示す図である。連動中継器30は、外部からの商用電源(AC100[V]やAC200[V]等)9の供給を受けると共にこの商用電源9とは別系統の電力供給源となるバッテリーなどの予備電源33を内蔵している。従って、連動中継器30は、非常時に商用電源9の供給を受けることができなくても予備電源33又は防災盤12の予備電源によって自動閉鎖装置4を動作させることができる。
【0032】
図5に示すように、連動中継器30は、電源回路31、充電装置32、予備電源(蓄電池)33、電源切り替え装置34及び制御回路35から構成される。電源回路31は、商用電源9を直流24V信号に変換し、電源切り替え装置34を介して制御回路35に直流電圧を供給すると共に充電装置32に電力を供給する。充電装置32は、電源回路31からの電力を用いて予備電源(蓄電池)33を充電する。予備電源(蓄電池)33は、リチウムイオン充電池やその他のバッテリー(充電式以外にも乾電池のように使い切るタイプの電源も含む)などから構成され、電源切り替え装置34を介して直流電圧を制御回路35に供給する。
【0033】
電源切り替え装置34は、電源回路31又は予備電源33のいずれか一方の電源を選択的に切り替えて制御回路35に接続するものである。なお、充電式の電源を、乾電池などのように使い切るタイプの電源に置き換えても良く、この場合は充電を行なわないので、充電装置は無効にするか、不要となる。また、この場合は、非常時や保守点検時など以外に使用しないのであれば、商用電源からの電力供給はなくても良い。
【0034】
通常は、商用電源9からの電力が供給されているので、電源回路31からの直流電圧を制御回路35に供給しているが、火災発生時などの非常時に商用電源9からの電力供給が停止した場合などには、予備電源33からの直流電圧を制御回路35に供給するように動作する。すなわち、連動中継器30に内蔵される予備電源33は、火災発生時に防火シャッター装置10に対して何らかの不具合や障害によって商用電源の供給が行われない場合でも、制御回路35に電力を供給することができるものである。
【0035】
制御回路35は、感知器11の感知信号に応じて動作する防災盤12からから入力される防災信号BSに基づき作動信号(直流24V信号)を自動閉鎖装置4へ出力し、ブレーキ2を解放する。すなわち、制御回路35は、商用電源9又は予備電源33から電力の供給を受けることができるので、感知器11から制御回路35に入力される防災信号BSに基づき作動信号(直流24V信号)を自動閉鎖装置4へ出力し、ブレーキ2を解放することによって、巻取り状態にある防火構造の防火シャッターカーテン5を自重で下降させ自動的に開口部を閉鎖する。
【0036】
同様に、制御回路35は、電気式手動閉鎖装置8の非常用シャッター閉鎖ボタン83の操作信号の入力に基づき作動信号(直流24V信号)を自動閉鎖装置4へ出力し、ブレーキ2を解放する。作動信号は復帰スイッチの操作信号が入力されるまで連続的に出力が継続される。また、この実施の形態では、制御回路35は、電気式手動閉鎖装置8からの復帰ボタン88の操作信号の入力に基づき、防災盤確認信号を防災盤12に出力する。
【0037】
防災盤確認信号を入力した防災盤12は、火災を感知していないか、又は火災を感知したあとにリセットされた初期状態にある時は、初期状態である旨を示す初期状態信号を制御回路35に出力し、火災感知状態にある時はその旨を示す感知状態信号を制御回路35に出力する。
【0038】
制御回路35は、防災盤12から初期状態信号を入力した場合は、自動閉鎖装置4に対してブレーキ2を解放状態から戻すように指示する信号を出力し、ブレーキ2が解放状態から戻ったことを示す自動閉鎖装置4からのフィードバック信号が制御回路35で受信でき次第、自動閉鎖装置4への作動信号(直流24V信号)の出力を停止(OFF)すると共に制御回路35の動作をリセットし、感知状態信号を入力した場合は、復帰ボタン88の操作信号の入力を無効とし、制御回路35は作動信号の出力を停止(OFF)せず、防火シャッターカーテン5の自重下降処理を続行させる。連動中継器30および自動閉鎖装置4は、防災信号BSまたは電気式手動閉鎖装置8からの非常用シャッター閉鎖ボタン83の操作信号の入力前の状態に復帰するため、以降は通常時用の制御となる。
【0039】
また、感知器11が火災を感知すると、防災盤12へ感知器11から感知信号が出力され、防災盤12は、これに対応して連動中継器30に防災信号BSを出力する。この防災信号BSは、約10秒程度の単発信号の場合が多い。しかしながら、連動中継器30の制御回路35からは、連続的な作動信号(直流24V信号)が自動閉鎖装置4に出力され続けるので、巻取り状態にある防火構造の防火シャッターカーテン5が自重で下降し、自動的に開口部を閉鎖することができる。
【0040】
一方、電気式手動閉鎖装置8(非常用シャッター閉鎖ボタン83)が操作され、操作信号が連動中継器30の制御回路35に出力されると、連動中継器30の制御回路35から連続的に作動信号(直流24V信号)が自動閉鎖装置4に出力され、巻取り状態にある防火構造の防火シャッターカーテン5が自重で下降し、自動的に開口部を閉鎖することができる。
【0041】
このとき電気式手動閉鎖装置8(非常用シャッター閉鎖ボタン83)が予備電源33から電力の供給を受けて動作している場合には、予備電源33の電気容量の残量が少ない場合やなくなっている場合には、電気式手動閉鎖装置8(非常用シャッター閉鎖ボタン83)を操作しても防火シャッターカーテン5を自重で下降させることができなくなるので、電気式手動閉鎖装置8に隣接した位置に予備電源33の電気容量の残量を表示し、その残量を容易に確認でき、適切にメンテナンスができるように残量表示装置等を設けるようにすることが好ましい。
【0042】
感知器11から火災信号が発生した場合又は電気式手動閉鎖装置8(非常用シャッター閉鎖ボタン83)が操作された場合は、防火シャッターカーテン5が閉鎖動作中、すなわち、防火シャッターカーテン5が降下中となるので、この間に、障害物感知制御装置が障害物を感知すると、座板スイッチ61から自動閉鎖装置4に対して障害物感知信号が入力するので、自動閉鎖装置4は自動的にブレーキ2の解放状態を戻してブレーキがかかって防火シャッターカーテン5の降下を停止する。障害物が取り除かれると、今度は座板スイッチ61から自動閉鎖装置4に対して感知オフを示す信号が入力するので、自動閉鎖装置4は再度動作し、ブレーキ2が解放されて防火シャッターカーテン5は自重で下降を開始するようになり、防火シャッターカーテン5によって開口部が全閉されることによって自重降下は停止する。
【0043】
このとき、ブレーキ2の動作及び解除は作動信号(直流24V)の電力を用いて行われる。なお、タイマーを設けるなどして、障害物が取り除かれて座板スイッチ61がオフに戻ってから、自動閉鎖装置4へ感知オフ信号が入力されるまでに所定時間設けるようにしたり、または、自動閉鎖装置4に感知オフ信号が入力されてから、自動閉鎖装置4が再度作動するまでに所定時間を設けるようにしたりして、障害物が取り除かれてから自動閉鎖装置4が再度作動し、ブレーキ2が開放されて防火シャッターカーテン5が自重で下降を開始するまでの所定の時間差を設けるようにしても良い。
【0044】
図6は、図4及び図5の防災用開閉体装置の動作の一例を示すフローチャート図である。
ステップS61では、感知器11からの感知信号を受信したか否か、又は電気式手動閉鎖装置8(非常用シャッター閉鎖ボタン83)が操作(オン)されたか否かの判定を行い、受信したり又は操作(オン)された(yes)場合は次のステップS62に進み、受信していなかったり、操作されていない(no)場合は、その信号を受信するまで又は操作されるまで、ステップS61の判定処理を繰り返す。火災を感知しない通常時の制御としてステップS61の判定処理を繰り返している間は、同様に通常時の制御として図示しない開閉機制御回路への開ボタン85、閉ボタン86、停ボタン87からの操作信号により電動開閉をすることができる。
【0045】
ステップS62では、感知器11から感知信号を受信した場合、又は電気式手動閉鎖装置8(非常用シャッター閉鎖ボタン83)が操作(オン)された場合に該当するので、自動閉鎖装置4はブレーキ2を解放する処理を実行する。
ステップS63では、ステップS62のブレーキ2の解放処理によって防火シャッターカーテン5がその自重によって降下を開始する。
【0046】
ステップS64では、電気式手動閉鎖装置8の復帰ボタン88が操作され、その操作信号が入力したか否かの判定を行い、入力した(yes)場合は次のステップS65に進み、入力していない(no)場合は、ステップS67にジャンプする。
ステップS65では、制御回路35から防災盤12へ防災盤確認信号を送信し、防災盤12からの初期状態信号又は感知状態信号に基づいては、防災盤12が火災を感知していないか、又は火災を感知したあとにリセットされた状態すなわち初期状態にあるか否かを判定し、初期状態にある(yes)場合は次のステップS66に進み、初期状態でない(no)場合、すなわち火災感知状態にある場合は、ステップS67に進む。
【0047】
ステップS66では、ステップS65の判定で、防災盤12が火災を感知していないか、又は火災を感知したあとにリセットされた状態にあると判定されたので、連動中継器30から自動閉鎖装置4への作動信号(直流24V信号)の出力を停止(OFF)すると共に制御回路35の動作をリセットし、リターンする。
ステップS67では、防火シャッターカーテン5の下端の座板に何らかの障害物が接触し、それが座板内に内蔵された座板スイッチ61で感知されたか否かを判定し、感知された(yes)場合はステップS69に進み、感知されない(no)場合はステップS68に進む。
【0048】
ステップS68では、防火シャッターカーテン5の降下動作を続行させ、ステップS64にリターンする。なお、防火シャッターカーテン5が降下して床面等に接触し、全閉状態になると、さらなる閉鎖はできないので、この場合には降下続行ではなく床面等に当接して停止した状態でS64にリターンする。一方、マイクロスイッチから障害物検出信号が出力され、ステップS67でyesと判定された場合にはステップS69に進む。
【0049】
ステップS69では、ステップS67でyesと判定されたということは、防火シャッターカーテン5の下降動作途中で、座板が何らかの障害物に接触したことを意味するので、防火シャッターカーテン5の降下を停止させる。ここでの停止はブレーキングをかけることであり、ステップS62のブレーキ解放が行なわれるまでその停止状態(回避動作)を維持することになる。
【0050】
ステップS6Aでは、座板内に内蔵された座板スイッチ61から障害物検出信号が継続的に感知されなくなるまで、このステップS6Aの判定を繰り返し、感知されなくなった時点で、ステップS62にリターンし、ブレーキを解放し、自重降下を再開させる。この実施の形態では、障害物検出信号が継続的に感知されている限りは、このステップS6Aを抜けることができないようなフローについて示してある。
【0051】
なお、上述の実施の形態では、障害物検出信号が感知されなくなった時点で、ステップS62にリターンするようにしているが、降下を優先させる利用態様の場合には、感知状態のままでも、所定時間経過によってステップS62にリターンし、降下を再開させるようにしてもよいし、場合によっては所定距離だけ又は所定時間だけ降下させるようにしてもよい。なお、障害物検出信号が感知されなくなった後、所定時間経過してからステップS62にリターンし、降下を再開させるようにしても良い。また、このステップS6Aのループ中でステップS64と同様に復帰ボタンの入力の判定を実行し、復帰ボタンが操作された場合には、防災盤初期状態であれば、制御回路をリセットするようにしてもよい。
【0052】
また、上述の実施の形態では、開閉部材である防火シャッターカーテンが下降しながら繰り出されて閉鎖する防火シャッター装置を例に説明したが、これ以外にも開閉部材が横引き方式で繰り出されたり、上昇方式で繰り出されたり、あるいは水平方式で繰り出されたりするものであっても同様に適用することができる。横引き方式や上昇方式や水平方式で繰り出される開閉部材の自然閉鎖には、自重による自然閉鎖に代えて、ばね力を利用した自然閉鎖としてもよい。
また、火災には適さないものもあるが、開閉体としては、例えば、シャッター装置、ブラインド装置、ロールスクリーン装置、垂れ幕装置、ドア、止水板などでも防災の種類に応じて適切な装置を選択すればよい。開閉体装置をシャッター装置とした場合、開閉体手段である開閉部材は、防火シャッターカーテンであり、その構成は、多数の短冊状のスラット材からなるスラットカーテン、多数のパイプ材をリンク材などで連結させてなるパイプグリルカーテン、一枚状あるいは多数連結されたパネル材からなるパネルカーテン、ネット材からなるネットカーテン、合成樹脂あるいは布繊維製のシート材からなるシートカーテン、あるいはこれらの複合部材などからなる複合カーテンなどによるものである。
さらに、開閉体手段である開閉部材の材質は、使用目的に応じたものであれば、どのようなものでもよい。具体的には、金属製、木製、プラスチック製、布製、これらの複合されたものなどで構成することができる。なお、防火目的で設置される開閉体装置の場合、少なくとも開閉体手段である開閉部材の材質は、耐火性を有しているものが好ましい。
【0053】
上述の実施の形態では、座板スイッチのように障害物に当接することによって障害物を検出するものを例に説明したが、これ以外にテープスイッチや非当接にて障害物を検出可能なものでもよい。例えば、非当接にて障害物を検出するものとして、開閉部材の両側に赤外光の発光素子と受光素子を設け、赤外光が遮断された場合に障害物を検出するようなものなどがある。また、障害物検出手段は、開口部周辺を含む開口部に存在する障害物を検出するものである。
なお、上述の実施の形態では、電気式手動閉鎖装置8(非常用シャッター閉鎖ボタン83)は予備電源33から出力の供給を受けて動作する場合について説明したが、電気式手動閉鎖装置8(非常用シャッター閉鎖ボタン83)を動作させるための専用の予備電源を予備電源33とは別途設けてもよい。
【0054】
上述の実施の形態では、防災信号BSは、防災盤から出力される場合について説明したが、感知器や非常ボタンなどから直接出力されるようにしても良い。また、この防災信号BSは、直流24V信号などの有電圧信号であっても良いし、無電圧の信号であっても良い。連動中継器30は、自動閉鎖装置以外にも、必要に応じて障害物感知制御装置13などに電力を供給するようにしても良い。
防災盤の感知状態にかかわらずに敢えて強制的に復帰操作をする必要があることが想定される場合には、この実施の形態における復帰ボタン88よりもアクセス性の低い位置(例えばメーカーのサービスエンジニアのみがアクセス可能な連動制御盤の回路基板上)に、従来式の防災盤の感知状態に連動しない復帰ボタンを併設することも可能である。
図4にて、説明の便宜上、連動中継器を防火シャッター装置とは別体にして表示しているが、障害物感知装置13等のように防火シャッター装置に内蔵させてもよい。また、連動中継器30、障害物感知制御装置13、自動閉鎖装置4、ブレーキ2、手動閉鎖措置8、図示しない開閉機制御回路は、それぞれ別々の装置であってもよいし、統合してひとつの装置の中の構成要素としてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1…開閉機
10…防火シャッター装置
11…感知器
12…防災盤
13…障害物感知制御装置
2…ブレーキ
3,30…連動中継器
31…電源回路
32…充電装置
33…予備電源
34…電源切り替え装置
35…制御回路
4…自動閉鎖装置
5…防火シャッターカーテン
6…送信機
61…座板スイッチ
7…受信機
8…電気式手動閉鎖装置
81…筐体
82…蓋
83…非常用シャッター閉鎖ボタン
84…透明パネル
85…開ボタン
86…閉ボタン
87…停ボタン
88…復帰ボタン
89…電池試験ボタン
9…商用電源
図1
図2
図3
図4
図5
図6