(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被圧縮気体を圧縮して圧縮気体を生成する圧縮機本体と,前記圧縮機本体が生成した圧縮気体を冷却するアフタクーラと,前記アフタクーラで冷却した後の圧縮気体からドレンを分離して捕集するドレンセパレータを構成機器に含み,前記構成機器を防音箱内に収容した圧縮機において,
前記防音箱を,前記防音箱の底部を成すフレームと,前記フレーム上を覆うボンネットにより形成し,
前記フレームに,前記構成機器から漏出したオイル及び/又は燃料を溜めて機外への漏出を防止する,有底の箱形に形成された防油堰を形成し,
前記ドレンセパレータで捕集したドレンを回収するドレンタンクを,前記防音箱内に配置すると共に,
前記ドレンタンクに,該ドレンタンク内に回収されたドレンが所定量を超えたときオーバーフローさせる出口を設け,前記出口を介して排出されたドレンを前記防油堰内の空間に導入可能とし,
前記ドレンタンクに,前記ドレンセパレータと連通される入口を設けると共に,圧縮機に対する装着時,前記入口及び前記出口部分を除き,前記ドレンタンクを密閉したことを特徴とする圧縮機におけるアフタクーラドレン回収部。
【背景技術】
【0002】
空気などの被圧縮気体を圧縮して圧縮気体を生成する圧縮機は,空気作業機等に対する圧縮気体の供給源として種々の場面で使用されている。
【0003】
このような圧縮機の一例として,油冷式のスクリュ圧縮機を例に挙げて説明すると,この油冷式のスクリュ圧縮機では,圧縮機本体の圧縮作用空間を潤滑,密封及び冷却するための冷却油を圧縮作用空間内に導入する構成を採用しており,圧縮機本体は,冷却油との気液混合流体として圧縮気体を吐出する。
【0004】
そのため,圧縮機本体が冷却油と共に吐出した圧縮気体は,セパレータレシーバタンクに導入され,このセパレータレシーバタンク内で冷却油の一次分離が行われた後,更にオイルセパレータによって圧縮気体中に含まれる油分が二次分離され,その後,消費側に供給される。
【0005】
このような圧縮機において,消費側に乾燥した圧縮気体を供給することが要求される場合,オイルセパレータを通過した後の圧縮気体を,更にアフタクーラに導入して冷却することで,圧縮気体中に含まれる水蒸気を凝縮させ,凝集させた水蒸気をドレンセパレータでドレンとして分離し捕集することにより,水分が除去されて乾燥した圧縮気体を消費側に供給することができるようにしている。
【0006】
このドレンセパレータの下部には,ホース等によって構成されたドレン配管が接続されており,このドレン配管を機外に延長することで,ドレンセパレータで捕集したドレンを,圧縮気体の圧力によって機外に排出する構成が一般的に採用されている。
【0007】
しかし,ドレンセパレータで捕集されたドレンには,オイルセパレータで取り切れなかった冷却油についてもドレンと共に回収されるため,ドレン配管を介してドレンを直接,機外に排出して地面等に吸収させると,ドレンに含まれる冷却油等によって圧縮機の設置場所周辺が汚染されるという問題がある。
【0008】
このようなアフタクーラドレンの排出に伴う汚染を防止するために,ドレン配管を介して機外に排出されたドレンを貯溜タンク内に回収することで,アフタクーラドレンの排出に伴う汚染を防止できるようにした圧縮機も提案されている(特許文献1の
図1,[0020]欄他参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前掲の特許文献1として紹介した圧縮機では,ドレン配管によってアフタクーラドレンを機外に排出しているものの,排出されたドレンを貯溜タンクに回収する構成を採用しているため,貯溜タンク内に回収されたドレンが適切に廃棄されることで圧縮機の周辺環境がドレンによって汚染されることを防止できる。
【0011】
しかし,貯溜タンク内に回収できるドレンの量には制限があることから,貯溜タンク内に溜まったドレンは,これを定期的に廃棄する必要があると共に,これを怠ると,ドレンが貯溜タンクから溢れ出して周囲を汚染するおそれがある。
【0012】
特に,被圧縮気体の湿度が高い場合には予想を超えて多量のドレンが発生する場合があり,また,特許文献1に記載されている構成では,上向きに開口した貯溜タンクを機外に配置してドレンを回収する構成を採用していることから(特許文献1の
図1,[0020]欄),貯溜タンク内にはドレン以外に雨水等も溜まるようになっており,予想を超えて短時間で貯溜タンクが一杯となってしまいドレンが溢れ出てしまう場合もある等,オペレータが注意を払っていたとしても,ドレンの漏出を完全には防止し得ない。
【0013】
なお,ドレンセパレータによって捕集されたドレンは,圧縮機本体によって生成された圧縮気体の圧力によってドレン配管を介して貯溜タンク内に排出されることから,ドレン配管を機外に延設した従来の圧縮機の構成にあっては,圧縮機の作動中,ドレン配管を介して放気される圧縮気体が放気音を発生し続けるため,この放気音が騒音となる。
【0014】
そこで本発明は,上記従来技術における欠点を解消するために成されたものであり,ドレンセパレータで捕集したアフタクーラドレンを機外に排出することなく,回収する構成を採用すると共に,回収したドレンの廃棄を怠った場合であっても,ドレンを機外に漏出させる心配がなく,従って圧縮機の設置場所やその周囲を汚染することを確実に防止でき,しかも,騒音となるドレン回収時の放気音についても低減することができる圧縮機のアフタクーラドレン回収部を提供することにより,環境に対するより一層の配慮がされた圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
以下に,課題を解決するための手段を,発明を実施するための形態で使用する符号と共に記載する。この符号は,特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態の記載との対応を明らかにするためのものであり,言うまでもなく,本願発明の技術的範囲の解釈に制限的に用いられるものではない。
【0016】
上記目的を達成するために,本発明の圧縮機におけるアフタクーラドレンの回収部は,
被圧縮気体を圧縮して圧縮気体を生成する圧縮機本体5と,前記圧縮機本体5が生成した圧縮気体を冷却するアフタクーラ40と,前記アフタクーラ40で冷却した後の圧縮気体からドレンを分離して捕集するドレンセパレータ41を構成機器に含み,前記構成機器を防音箱10内に収容した圧縮機において,
前記防音箱10を,前記防音箱10の底部を成すフレーム20と,前記フレーム20上を覆うボンネット30により形成し,かつ,
前記フレーム20に,前記構成機器から漏出したオイル及び/又は燃料を溜めて機外への漏出を防止する,有底の箱形に形成された防油堰(オイルフェンスないしオイルパン)を形成し,
前記ドレンセパレータ41で捕集したドレンを回収するドレンタンク50を,前記防音箱10内に配置すると共に,
前記ドレンタンク50に,該ドレンタンク50内に回収されたドレンが所定量を超えたときオーバーフローさせる出口52を設け,前記出口52を介して排出されたドレンを前記防油堰内の空間Sに導入可能とし
,
前記ドレンタンク50に,前記ドレンセパレータ41と連通される入口51を設け,前記入口51及び前記出口52部分を除き,前記ドレンタンク50を密閉したことを特徴とする(請求項1)。
【発明の効果】
【0018】
以上で説明した本発明の構成により,本発明のアフタクーラドレン回収部を備えた圧縮機1では,以下の顕著な効果を得ることができた。
【0019】
ドレンセパレータ41で捕集したドレンを,防音箱10内に配置されたドレンタンク50内に回収すると共に,ドレンタンク50内のドレン量が所定量を超えたとき,ドレンタンク50に設けた出口52を介してオーバーフローしたドレンを防油堰内の空間Sに回収するように構成したことで,ドレンタンク50内に回収されたドレンの廃棄を忘れる等して容量を超えるドレンがドレンタンク50内に導入された場合であっても,ドレンが機外に漏出する心配がなく,圧縮機の設置場所をドレンで汚染することを防止できた。
【0020】
しかも,ドレンを回収するタンク(貯溜タンク)を機外に配置していた特許文献1に記載の構成とは異なり,本発明ではドレンタンク50を防音箱10内に配置していることから,ドレンと共に放出される圧縮機体の放気音を防音箱10によって遮蔽して機外に漏出し難くすることで,放気に伴う騒音についても低減することが可能であると共に,ドレンタンク50として上部が開放した構造のものを使用した場合であっても雨水等が溜まってドレンタンク50が溢れることを防止できた。
【0021】
圧縮機1に対するドレンタンク50の装着時,ドレンタンク50を入口51と出口52部分を除き密閉した構造としたことで,ドレンタンク50内に回収されたドレンは,出口52以外から排出されることがなく,例えば,ドレンタンク50内にドレンが溜まった状態で圧縮機1をクレーンにより吊り下げ,あるいはトラックによる運搬,移動等を行った場合のように,圧縮機が傾き,あるいは揺れた場合等であっても,ドレンタンク50内に回収されたドレンが機外に漏れ出ることを防止できた。
【0022】
しかも,上記構成のドレンタンク50を採用することで,ドレンセパレータ41を介してドレンと共に放出された圧縮気体は,ドレンタンク50内で一旦体積膨張した後,出口52を介して前記防油堰内の空間Sに放出されることとなるため,ドレンタンクが放気音を低減させる消音器(膨張室)の役割を果たすことで,圧縮気体の放気に伴う騒音をより一層低減することができた。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に,添付図面を参照しながら本発明のアフタクーラドレン回収部を備えた圧縮機の構成について説明する。
【0025】
図1は,本発明のアフタクーラドレン回収部を備えた圧縮機の正面透視図であり,
図1に示した圧縮機1は,フレーム20とボンネット30によって構成された防音箱10内に必要な機器を収容した,防音型のエンジン駆動型圧縮機1として構成されている。
【0026】
防音箱10を構成する前述のフレーム20は,圧縮機1の構成機器を搭載するための基台としての機能と,構成機器より漏出したオイルや燃料が機外に漏出することを防止する防油堰(一般には,オイルフェンスあるいはオイルパンと呼ばれる場合もある)としての機能を備えたもので,図示の実施形態にあっては,有底の箱型に形成された下フレーム21上に,平面視矩形の枠状に組み合わせたチャネル材によって構成された上フレーム25を載置固定してフレーム20を形成している。
【0027】
前述の下フレーム21は,フレーム20に主として防油堰としての機能を付与するもので,一例として
図5に示すように,平面視矩形状の底板211と,前記底板211上より立ち上げた4枚の側壁212〜215によって形成されており,底板211と4枚の側壁212〜215によって囲まれた空間S内に漏出したオイルや燃料を貯めることができる防油堰として構成されている。
【0028】
図示の実施形態にあっては,この防油堰の空間S内にエンジン3に供給する燃料を貯溜した燃料タンク4を収容することで,燃料タンク4より燃料が漏出した場合であってもこの防油堰外に燃料が漏出することを防止できると共に,防音箱10内に別途燃料タンク4を収容するためのスペースの確保を不要とすることで,圧縮機1の小型化を図っている。
【0029】
図示の例では,側壁212,213,214を,底板211長手方向の2辺と幅方向の1辺より立ち上げると共に,底板211の残りの幅方向の1辺211aに対し所定の長さ内側に入った位置より側壁215を立ち上げて,底板211と側壁212〜215によって囲まれた空間Sを,漏出したオイルや燃料を貯める防油堰として構成すると共に,側壁215と底板211の前記一辺211a間に形成された空間に,後述するドレンタンク50を収容する,ドレンタンク収容部27を形成している。
【0030】
前述の上フレーム25は,フレーム20に主として構成機器を搭載する基台としての機能を付与するもので,本実施形態にあっては,断面コ字状の4本のチャネル材を,前記コ字が内向きに開口するように枠状に組み立てて上フレーム25を形成し,この上フレーム25を,下フレームの側壁212〜215上に載置すると共にボルト等で着脱可能に固定して,下フレーム21の側壁212〜215を上方に延長し,この上フレーム25上に,圧縮機の構成機器中,エンジン3,圧縮機本体5,レシーバタンク7,オイルセパレータ9,ラジエータ6,エンジンの排気系統8,アフタクーラ40,ドレンセパレータ41等の構成機器を搭載可能としている。
【0031】
本実施形態にあっては,前述した上フレーム25上に床板251が設けられており,エンジン3の搭載位置の下部における床板251に開口252を形成することで,床板251上に形成された空間と,床板251の下方に形成された空間Sとを連通して,エンジン3等の搭載機器より漏出したオイルや燃料を防油堰内の空間Sに導入可能としている。
【0032】
このようにフレーム20を上フレーム25と下フレーム21の組合せによって構成することで,上フレーム25のみで構成機器を載置する基台としての機能を発揮させることが可能で,上フレーム25と下フレーム21を固定するボルトを取り外した状態で,上フレーム25を,上フレーム25上に搭載されている機器やボンネット30と共にクレーンで吊り上げる等することで,下フレーム21より容易に切り離すことが可能となり,このようにして下フレーム21の切り離しを可能とすることで,下フレーム21内に形成された空間Sを露出させて,空間S内の掃除や燃料タンクの点検等のメンテナンス作業を容易にしている。
【0033】
防音箱10内に形成された空間のうち,前述したフレーム20の上方(床板251の上方)に形成された空間は,前述した燃料タンク4やドレンタンク50を除いた,圧縮機のその他の構成機器を収容するための空間を成す。
【0034】
この空間は,
図1に示すように仕切壁13によって作業機室10aと排風室10bの2室に区画されており,好ましくは,このうちの作業機室10aを,前述したドレンタンク収容部27を設けた側と同一側に形成し,この作業機室10a内に,エンジン3,油冷式のスクリュ圧縮機である圧縮機本体5,レシーバタンク7,オイルセパレータ9,アフタクーラ40,ドレンセパレータ41等の機器を収容する。
【0035】
前述の作業機室10a内における各構成機器の配置は,特に限定されるものではないが,好ましくは,収容機器のうち,ドレンセパレータ41が前述したドレンタンク収容部27の真上,あるいはこれに近接した位置に配置されるよう作業機室10a内に各機器を配置し,ドレンセパレータ41で捕集されたドレンを,ドレンタンク50に対し,下向きに,短距離で,かつ,直線的に導入できるように構成する。
【0036】
一方,前述した排風室10b内にはエンジンの排気系統8を成すマフラー8aやテールパイプ8b等を収容する。
【0037】
更に,前述の作業機室10aと排風室10bとを仕切る仕切壁13には,作業機室10aと排風室10bとを連通する連通口14を形成し,この連通口14に対向してエンジン3を冷却した冷却水を熱交換するラジエータ6を配置し,エンジン3に設けた冷却ファンを,このラジエータ6に向けて配置し,冷却ファンが回転して冷却風が発生すると,作業機室10a内の空気がラジエータ6を通過して,ラジエータ6内の冷却水と熱交換された後,排風室10bに導入され,排風室10bの上部に設けられた放気口15を介して防音箱10外に放出されるように構成している。
【0038】
フレーム20に設けたドレンタンク収容部27に収容されるドレンタンク50は,作業機室10aに収容されているドレンセパレータ41で捕集されたドレンを回収して貯溜するもので,ドレンタンク50内に回収されたドレンが所定量を超えたときオーバーフローさせて前記防油堰内の空間Sに回収させることができるように構成されている。
【0039】
本実施形態にあっては,このドレンタンク50を,前記ドレンセパレータ41に連通される入口51と,前記防油堰内の空間Sに連通される出口52を備えた構成と成すと共に,圧縮機1に対する搭載時,この入口51と出口52の二カ所を除き密閉された構造に形成している。
【0040】
そして,
図3に示すように,前述の入口51に,ドレンセパレータ41の下端に連通したドレン配管42を連通すると共に,前述の出口52に,上フレーム25の側壁255を貫通して防油堰内の空間S上で一端を開口するオーバーフロー配管44の他端を連通している。
【0041】
なお,図示の実施形態にあっては,前述した入口51及び出口52を,いずれもドレンタンク50の天板において開口させているが,入口51および出口52は,ドレンタンク50の側壁において開口させるものとしても良く,また,ドレンタンク50の外壁を貫通してドレンタンク50内に突設された管の先端開口を前記出口52とする等しても良く,この構成では,出口52をドレンタンク50の高さ方向のいずれの位置で開口させるかによりオーバーフローが開始するドレン回収量が決定される。
【0042】
このように圧縮機1に対する装着時,ドレンタンク50を入口51と出口52を除き密閉した構造としたことで,ドレンタンク50内にドレンが溜まっていない状態では,ドレンセパレータ41よりドレン配管42,及び入口51を介してドレンタンク50内に圧縮気体と共にドレンが導入されると,このうちのドレンはドレンタンク50の底部に溜まる一方,圧縮気体は,出口52,オーバーフロー配管44を介して防油堰内の空間Sに放出される。
【0043】
そして,ドレンタンク50内に回収されるドレンの量が増加してドレンタンク50内の液面が上昇し,ドレンの液面が出口52の形成位置に至ると,前述の出口52を介したドレンのオーバーフローが始まり,ドレンタンク50内に回収しきれなかったオーバーフローしたドレンは,防油堰内の空間S内に回収される。
【0044】
従って,ドレンタンク50内に回収されたドレンの廃棄を怠る等してドレンをオーバーフローさせてしまった場合であっても,オーバーフローしたドレンを防油堰内の空間Sに回収して機外に漏出しないようにすることで,アフタクーラドレンによって圧縮機1周辺が汚染されることを防止できる。
【0045】
また,上記の構成により,オーバーフローが開始される前の状態では,ドレンタンク50は,導入された圧縮気体を膨張させる膨張室として機能するものとなっており,ドレンタンク50内で一旦膨張した圧縮気体が,出口52及びオーバーフロー配管44を介して排出されることとなるから,ドレンタンク50を,圧縮気体の排気音を低減するための消音器(膨張室)としても機能させることができる。
【0046】
更に,圧縮機1自体が傾き,あるいは揺れた場合であっても,密閉されたドレンタンク50からはドレンが漏れ出ることがなく,また,出口52を介してドレンの一部が漏出したとしても,このドレンは防油堰内の空間Sに回収されるため,ドレンタンク50内にドレンが溜まったままの状態で圧縮機1をクレーンで吊り上げ,トラック等に積載して運搬等を行った場合であっても,ドレンが機外に漏出することがない。
【0047】
なお,
図3〜5中の符号53はキャップであり,このキャップ53を外すことで排水口54を開放することができ,この排水口54を介して回収したドレンの排水を行うことができるように構成されている。
【0048】
ドレンの排出は,排水口54を介して回収されたドレンを汲み出す等して行うものとしても良いが,本実施形態にあっては,ドレンタンク50をドレンタンク収容部27より取り出し可能とし,取り出したドレンタンク50を,ドレンの廃棄場所に運んで排水できるようにしている。
【0049】
このようなドレンタンク50の取り出しを容易とするために,本実施形態にあっては,ドレンタンク収容部27内に配置されたドレン配管42及びオーバーフロー配管44の一部を,雄の継手と雌の継手を着脱可能に組合せて成るホースジョイント421,441によって形成し,この位置でドレン配管42及びオーバーフロー配管44を2分割できるようにすることで,ドレンタンク50の取り出し及び取り付け時に,各配管42,44の着脱作業を容易に行うことができるようにしている。
【0050】
なお,ドレンタンク収容部27の形成位置におけるフレームの側面は,
図3に示すように開閉扉28を設け,この開閉扉28によってドレンタンク収容部27の入口を閉じることができるようにすることで,防音箱10内で発生した騒音がこの部分を介して機外に漏出することを防止できると共に,機外よりドレンタンク50の存在を隠すことができ圧縮機1の外観が向上する。
【0051】
この開閉扉28の内面には,開閉扉28を閉じた際にドレンタンク50の側壁に圧接される弾性ゴム29等の弾性材料を取り付けており,また,前記開閉扉28には,ドアハンドル(図示せず)が設けられていて,このドアハンドルの操作により前記開閉扉28がフレーム20に係合又は解除するよう設けられ,これによりドレンタンク50をドレンタンク収容部27に配置した後,開閉扉28を閉じるだけで,ボルト止め等を行うことなく,ドレンタンク50をドレンタンク収容部27内の所定の位置に動かないように固定することができる。
【0052】
また,
図3〜5中の符号55は,例えばナイロン製の板等の,摩擦係数の低い材質で形成された板材からなる摺動材であり,このような摺動材55をドレンタンク50の底面と接触する位置でドレンタンク収容部27の床面(下フレーム21の底板211)に取り付けることで,ドレンの回収によって重たくなったドレンタンク50を,ドレンタンク収容部27より容易に引き出すことができるようにしている。
【0053】
なお,
図1及び
図3に示した構成では,ドレンセパレータ41の下部をドレンタンク50にのみ連通した構成を示したが,例えば
図4及び
図5に示したように,ドレンセパレータ41の下部に設けた出口に切り替え弁であるドレンコック45を取り付けてドレンの流路を2方向に分岐し,一方をドレンタンク50に連通した前述のドレン配管42と成すと共に,他方を直接機外にドレンを排出するドレン放出管42’として形成し,いずれの経路を介してドレンの排出を行うかをドレンコック45の切り替えによって選択できるように構成しても良い。
【0054】
このように構成することで,例えば極寒地での使用によりドレンタンク50内のドレンが凍結してドレンの回収を行えない場合,あるいは,ドレンタンク50の入口や出口の目詰まりによってドレンの回収が行えない場合等に,ドレンを回収せずに直接機外に排出することを選択できるようにしても良い。
【0055】
以上で説明した本発明のアフタクーラドレン回収部を備えたエンジン駆動型圧縮機のエンジン3を始動して圧縮機本体5を駆動すると,圧縮機本体5は被圧縮気体の圧縮を開始する。
【0056】
圧縮機本体5として油冷式のスクリュ圧縮機を採用する本実施形態にあっては,圧縮機本体5は冷却油と共に被圧縮気体の圧縮を行うことから,冷却油との気液混合流体として圧縮気体を吐出し,このようにして冷却油と共に吐出された圧縮気体は,レシーバタンク7内に導入され,レシーバタンク7内で冷却油の一次分離が行われた後,更にオイルセパレータ9に導入されて圧縮気体中に残る油分が二次分離される。
【0057】
オイルセパレータ9によって冷却油の二次分離が終了した圧縮気体は,アフタクーラ40に導入されて冷却され,この冷却の際に圧縮気体中の水蒸気が凝集して生じたドレンをドレンセパレータ41によって除去した後,ドレンが除去された乾燥した圧縮気体が,図示せざる空気作業器等が接続された消費側に供給される。
【0058】
ドレンセパレータ41で捕集されたドレンは,ドレンセパレータ41の下部に連通されたドレン配管42を介して圧縮気体と共にドレンタンク50内に導入され回収される。
【0059】
一方,ドレンと共にドレンタンク50内に導入された圧縮気体は,出口52およびオーバーフロー配管44を介して防油堰内の空間Sに放出される。
【0060】
このように,本発明のアフタクーラドレン回収部では,ドレンセパレータ41を介してドレンと共に放出される圧縮気体は,ドレンタンク50内に導入された際に膨張し,その後前記防油堰内の空間Sに放出されることから,ドレンタンク50が圧縮気体の放気音を低減させる消音器(膨張室)としても機能することで,圧縮気体の放出に伴う騒音が低減される。
【0061】
圧縮機の運転を継続することにより,ドレンタンク50には徐々にドレンが溜まり,このようにして,ドレンタンク50内に溜まったドレンは,オーバーフローが生じる前にドレンタンク50をドレンタンク収容部27より取り出して廃棄することが好ましい。
【0062】
このようなドレンの廃棄は,ドレンタンク収容部27を覆う開閉扉28を開き,ドレンタンク50とドレンセパレータ41間を連通するドレン配管42をホースジョイント421部分で切り離すと共に,ドレンタンク50と防油堰内の空間Sを連通するオーバーフロー配管44をホースジョイント441部分で切り離し,この状態でドレンタンク50をドレンタンク収容部27より機外に引き出す。
【0063】
ドレンタンク50の底面と接触する位置の底板211上に摺動材55を取り付けた本実施形態の構成では,ドレンを回収して重たくなったドレンタンク50であっても,この摺動材55によって比較的容易に引き出すことが可能であり,このようにして引き出したドレンタンク50は,取っ手56を把持する等してドレンの廃棄位置まで運び,キャップ53を外して排水口54より排出する。
【0064】
ドレンを排出した後のドレンタンク50は,キャップ53により排水口54を閉じた後,再度,ドレンタンク収容部27内に収容し,ドレン配管42及びオーバーフロー配管44のホースジョイント421,441を接続した後,開閉扉28を閉じると,開閉扉28に設けた押圧用の弾性ゴム29によってドレンタンク50の側面が押圧されて,ドレンタンク50がドレンタンク収容部27内の所定の位置に固定されて,圧縮機1に対するドレンタンク50の装着が完了する。
【0065】
ドレンタンク50内に溜まったドレンを廃棄する前述の作業を怠る等して,ドレンタンク50内のドレンが所定量以上に溜まると,ドレンタンク50内に溜まったドレンは出口52及びオーバーフロー配管44を介して防油堰内の空間Sに導入されて回収される。
【0066】
出口52をドレンタンク50の天板に開口した図示の実施形態にあっては,ドレンタンク50の天板位置までドレンが一杯に溜まる迄,オーバーフローが生じない構成となっているが,出口52をドレンタンク50の側面における所定の高さ位置に設ける等することで,ドレンタンク50が一杯になる前の所定量迄溜まった段階でオーバーフローを生じさせるようにすることもできる。
【0067】
このように,ドレンタンク50内に回収されたドレンの廃棄を怠る等して,ドレンタンク50がドレンで一杯になった場合であっても,オーバーフローさせたドレンは防油堰内の空間Sに回収され,機外に漏出することがないため,ドレン中に混入する冷却油等によって圧縮機の設置位置周辺が汚染されることがなく,周辺環境に対するより一層の配慮がなされた圧縮機を提供することができた。
【0068】
なお、防油堰内の空間Sに回収されたドレンは,防油堰の底部に設けた排出口57のプラグ58を外して別途用意した受け皿に排出することができる。