特許第6489834号(P6489834)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6489834
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】チュービング装置
(51)【国際特許分類】
   E02D 7/22 20060101AFI20190318BHJP
   E02D 13/00 20060101ALI20190318BHJP
   E21B 7/20 20060101ALI20190318BHJP
【FI】
   E02D7/22
   E02D13/00 Z
   E21B7/20
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-3054(P2015-3054)
(22)【出願日】2015年1月9日
(65)【公開番号】特開2016-128636(P2016-128636A)
(43)【公開日】2016年7月14日
【審査請求日】2017年11月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(72)【発明者】
【氏名】冨田 庸公
【審査官】 田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−119768(JP,A)
【文献】 特開2001−214442(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0062898(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 7/00−7/30
E21B 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースマシンに立設したリーダにケーシング回転駆動装置を昇降可能に設けたチュービング装置において、前記ケーシング回転駆動装置は、リーダに昇降可能に設けられた昇降フレームと、該昇降フレームにチャックシリンダを介して離接可能に設けられたチャックフレームと、該昇降フレーム及び該チャックフレームの中央部にそれぞれ設けられた挿通孔と、各挿通孔の周囲にベアリングを介してそれぞれ回転可能に設けられたケーシングチューブ把持用のチャック部材と、昇降フレームとチャックフレームとを離接させることによって前記チャック部材を開閉するチャックシリンダとを備えるとともに、前記チャック部材の内側に着脱可能に設けられるチャックカラーを保持するチャックカラースタンドを備え、該チャックカラースタンドは、複数のチャックカラーをあらかじめ設定された直径の円周上に立てた状態で、かつ、上方へのチャックカラーの移動を可能とした状態で各チャックカラーの内周側を保持する保持部材と、該保持部材の下端部を支持する支持部材とを備えるとともに、前記チャック部材の上端面には、前記チャックカラーの上端部から外周方向に向かって突設した係合爪部が係合する係合溝部が設けられていることを特徴とするチュービング装置。
【請求項2】
前記支持部材の一側上面に、前記リーダの両側面前部に設けられているガイドパイプに当接して位置決めを行う位置決め部材が設けられていることを特徴とする請求項1記載のチュービング装置。
【請求項3】
前記支持部材は、前記保持部材を設けた支持部材本体部と、前記位置決め部材を設けた位置決め支持部材とに分割形成され、位置決め支持部材の支持部材本体部側の中央部には、前記保持部材の外形に対応した形状の凹部が設けられ、位置決め支持部材の支持部材本体部側の両端部には、互いに係合して支持部材本体部と位置決め支持部材との位置合わせを行う凹凸係合部が設けられていることを特徴とする請求項2記載のチュービング装置。
【請求項4】
前記チャック部材の上端面に設けられた前記係合溝部は、前記係合爪部の幅寸法に対応した幅寸法を有する溝部底辺に対して開口部側が拡開した逆台形状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のチュービング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チュービング装置に関し、詳しくは、ベースマシンに立設したリーダに沿ってケーシング回転駆動装置を昇降させるチュービング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
チュービング装置は、ケーシングチューブを地中に圧入したり、地中から引き抜いたりするもので、地上設置型のチュービング装置は、ベースフレーム、ドライブフレーム及びチャックフレームを備えており、各フレームの中央部には、ケーシングチューブを鉛直方向に挿通するための挿通孔がそれぞれ設けられている。また、ドライブフレーム及びチャックフレームの挿通孔の周囲には、ベアリングがそれぞれ設けられており、各ベアリングの内周には、チャックシリンダでドライブフレームとチャックフレームとを接近させることによってケーシングチューブを把持する楔状のチャック部材が設けられている。さらに、ドライブフレームには、チャック部材で把持したケーシングチューブを回転させるための油圧モータが設けられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
一方、ケーシング回転駆動装置をリーダに沿って昇降させるリーダ昇降型のチュービング装置は、リーダに対して昇降可能に設けられた昇降フレームと、該昇降フレームにチャックシリンダを介して離接可能に設けられたチャックフレームとを備えており、昇降フレーム及びチャックフレームの中央部には、ケーシングチューブを鉛直方向に挿通するための挿通孔が設けられ、挿通孔の周囲には、ベアリングがそれぞれ設けられるとともに、各ベアリングの内周には、チャックシリンダで昇降フレームとチャックフレームとを接近させることによってケーシングチューブを把持する楔状のチャック部材が設けられている。さらに、昇降フレームには、チャック部材で把持したケーシングチューブを回転させるための油圧モータが設けられている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
また、このようなチュービング装置では、前記特許文献1に記載されているように、外径が小さなケーシングチューブにも対応可能とするため、ケーシングチューブを把持するチャック部材の内側に、チャックカラー(クランプカラー)を取付可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−313869号公報
【特許文献2】特許第3371252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記チャック部材へのチャックカラーの取り付けは、チャックカラーをクレーンで吊って所定位置に保持した状態で、ボルトでチャックカラーをチャック部材に固定するようにしている。このため、複数のチャックカラーの取り付けに長時間を要するだけでなく、位置合わせに多大な手間を要していた。
【0007】
そこで本発明は、チャック部材に対するチャックカラーの着脱を容易に短時間で行うことができるチャック部材の着脱治具を備えたチュービング装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明のチュービング装置は、ベースマシンに立設したリーダにケーシング回転駆動装置を昇降可能に設けたチュービング装置において、前記ケーシング回転駆動装置は、リーダに昇降可能に設けられた昇降フレームと、該昇降フレームにチャックシリンダを介して離接可能に設けられたチャックフレームと、該昇降フレーム及び該チャックフレームの中央部にそれぞれ設けられた挿通孔と、各挿通孔の周囲にベアリングを介してそれぞれ回転可能に設けられたケーシングチューブ把持用のチャック部材と、昇降フレームとチャックフレームとを離接させることによって前記チャック部材を開閉するチャックシリンダとを備えるとともに、前記チャック部材の内側に着脱可能に設けられるチャックカラーを保持するチャックカラースタンドを備え、該チャックカラースタンドは、複数のチャックカラーをあらかじめ設定された直径の円周上に立てた状態で、かつ、上方へのチャックカラーの移動を可能とした状態で各チャックカラーの内周側を保持する保持部材と、該保持部材の下端部を支持する支持部材とを備えるとともに、前記チャック部材の上端面には、前記チャックカラーの上端部から外周方向に向かって突設した係合爪部が係合する係合溝部が設けられていることを特徴としている。
【0009】
さらに、本発明のチュービング装置は、前記支持部材の一側上面に、前記リーダの両側面前部に設けられているガイドパイプに当接して位置決めを行う位置決め部材が設けられていること、前記支持部材は、前記保持部材を設けた支持部材本体部と、前記位置決め部材を設けた位置決め支持部材とに分割形成され、位置決め支持部材の支持部材本体部側の中央部には、前記保持部材の外形に対応した形状の凹部が設けられ、位置決め支持部材の支持部材本体部側の両端部には、互いに係合して支持部材本体部と位置決め支持部材との位置合わせを行う凹凸係合部が設けられていることを特徴としている。
【0010】
また、前記チャック部材の上端面に設けられた前記係合溝部は、前記係合爪部の幅寸法に対応した幅寸法を有する溝部底辺に対して開口部側が拡開した逆台形状に形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明のチュービング装置によれば、保持部材にチャックカラーを保持した状態のチャックカラースタンドの上方から、チャック部材を開いた状態でケーシング回転駆動装置をリーダに沿って下降させ、チャック部材の内周にチャックカラーを配置し、チャック部材を閉じて係合爪部と係合溝部とを係合させた後、ケーシング回転駆動装置を上昇させることにより、各チャック部材の内面に沿って各チャックカラーをそれぞれ配置することができ、ボルトで締結することにより、クレーンを使用せずに,一度で簡単に、チャック部材の内周にチャックカラーを固定することができる。また、チャックカラースタンドは、チャックカラー不使用時には、チャックカラー収納用としても使用でき、コンパクトに保管しておくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明のチュービング装置の一形態例を示す側面図である。
図2図3のII−II断面図である。
図3】本発明のチュービング装置に備えられたチャックカラースタンドの一例を示す平面図である。
図4】チャックカラースタンドの収納時の状態を示す平面図である。
図5】チャックカラーを取り付ける手順の第1段階を示す側面図である。
図6】チャックカラーを取り付ける手順の第2段階を示す断面側面図である。
図7】同じく平面図である。
図8】チャックカラーを取り付ける手順の第3段階を示す断面側面図である。
図9】同じく平面図である。
図10】チャックカラーを取り付ける手順の第4段階を示す断面側面図である。
図11】係合爪部と係合溝部との係合状態を示す正面図である。
図12図11のXII−XII断面図である。
図13】チャックカラーを取り付ける手順の第5段階を示す断面側面図である。
図14】チャックカラーを取付後の状態を示す断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明のチュービング装置の一形態例を示すもので、本形態例に示すチュービング装置は、下部走行体11と上部旋回体12とからなる自走式のベースマシン13の前部に立設したリーダ14にケーシング回転駆動装置15を昇降可能に設けたもので、ケーシング回転駆動装置15でケーシングチューブ16を把持して回転させた状態で、ケーシング回転駆動装置15をリーダ14に沿って下降させることによってケーシングチューブ16を地中に回転圧入する作業を行い、ケーシング回転駆動装置15をリーダ14に沿って上昇させることによってケーシングチューブ16を地中から引き抜く作業を行うように形成されている。
【0014】
ケーシング回転駆動装置15は、図5図6などにも示すように、昇降フレーム17とチャックフレーム18とを有しており、各フレーム17,18は、各フレーム17,18の後方に突設した左右一対のガイドギブ17a,18aをリーダ14の両側面前部にそれぞれ設けられているガイドパイプ19に摺動可能に係合させることによってリーダ14に沿って昇降可能に形成されている。
【0015】
また、昇降フレーム17には、リーダ14の前面中央部に設けられたラック20に歯合するピニオン21を回転駆動する複数の昇降用油圧モータ22が設けられるとともに、把持したケーシングチューブ16を回転駆動するための回転用油圧モータ23が設けられている。さらに、昇降フレーム17とチャックフレーム18とは、各フレームの四隅部に設けた伸縮可能なガイドポスト24によって離接可能に連結されるとともに、両フレーム17,18を離接させるための複数のチャックシリンダ25が設けられている。
【0016】
各フレーム17,18の中央部には、ケーシングチューブ16を挿通するための挿通孔26,27がそれぞれ設けられており、各挿通孔26,27の周囲には、ベアリング28,29がそれぞれ回転可能に設けられている。昇降フレーム17側のベアリング28の下部には、リンク30を介して複数のチャック部材31が内外方向に移動可能に吊持されており、チャックフレーム18側のベアリング29の上部には、前記チャック部材31を内外方向に移動させて開閉するため、上部が拡開した逆円錐面を有するくさび部材32がリング状に設けられている。チャック部材31の内周面は、ケーシングチューブ16の外周面に対応した円弧面となっている。
【0017】
また、チュービング装置では、標準のケーシングチューブ16の直径より小さな直径を有するケーシングチューブや鋼管杭などを施工する際に、前記チャック部材31の内側に、小さな直径に対応した厚さを有し、外周面がチャック部材31の内周面に対応した円弧面で、内周面が小径のケーシングチューブなどの外周面に対応した円弧面を有するチャックカラー51を取り付けることが行われている。
【0018】
図2乃至図4は、チャック部材31の内側にチャックカラー51を着脱する際に使用する着脱治具としてのチャックカラースタンド52を示している。このチャックカラースタンド52は、チャック部材31の数に対応した複数のチャックカラー51を、閉じてチャック状態にしたチャック部材31の内面を通る円の直径よりも、チャックカラー51の外周面を通る円の直径が大きくならないように設定した直径の円周上に立てた状態で保持する保持部材53と、該保持部材53を鉛直方向に支持する板状の支持部材54と、該支持部材54の一側方に配置される位置決め部材55とを備えている。
【0019】
保持部材53は、チャックカラー51の内周面を通る円の直径に対応した外径を有する上部内筒部材56と、チャックカラー51の下部外周面を通る円の直径に対応した内径を有する下部外筒部材57と、該下部外筒部材57の上下方向中間部内周に設けられたリング状の上部内筒支持部材58とを有しており、上部内筒部材56の下端部外周と、下部外筒部材57の上端部内周と、上部内筒支持部材58の上面とによってチャックカラー51の下端部を挿入して立てた状態で保持するための円形の保持溝59が形成され、該保持溝59内に、チャックカラー51の保持数に対応した複数の仕切り部材59aが周方向に等間隔で設けられている。
【0020】
保持部材53に保持されたチャックカラー51の高さは、ケーシング回転駆動装置15を下限まで下降させたときのチャック部材31の高さと同一乃至高い位置になるように設定され、下部外筒部材57の高さは、チャックカラー51が外方に倒れないように支えることができる高さで、チャックカラー着脱時にチャック部材31の下端が接触しないように設定されている。
【0021】
また、前記支持部材54は、前記保持部材53を中央に設けた正方形状の支持部材本体部60と、前記位置決め部材55を一側部両端に設けた位置決め支持部材61とに分割形成されている。位置決め支持部材61の支持部材本体部60側の中央部には、前記下部外筒部材57の外形に対応した形状の半円形凹部62が設けられ、位置決め支持部材61の支持部材本体部60側の両端部には、支持部材本体部60の隣接する一対の角部63に係合して支持部材本体部60と位置決め支持部材61との位置合わせを行うための一対の係合凹部64が設けられている。
【0022】
位置決め部材55は、位置決め支持部材61の所定位置に、前記各ガイドパイプ19の前面と外面とが当接可能な状態にアングルを立設したものであって、この位置決め部材55の位置は、前記支持部材本体部60の角部63と位置決め支持部材61の係合凹部64とを凹凸係合させるとともに、ガイドパイプ19の前面及び外面を位置決め部材55の内側面に当接させたときに、チャック部材31の内面を通る円の中心(杭芯)と、保持部材53に保持されたチャックカラー51の外面を通る円の中心とが一致するように設定されている。
【0023】
また、図11及び図12にも示すように、チャックカラー51の上端部中央外面には、外周方向に向かって突設した下向き鉤状の係合爪部65が設けられるとともに、チャック部材31の上端面中央には、前記係合爪部65が係合する係合溝部66が設けられている。係合溝部66は、溝底辺66aが係合爪部65の幅寸法に対応した寸法で形成され、溝両側縁66bは、上方の溝開口部に向けて拡開するように傾斜した逆台形状に形成されている。
【0024】
さらに、チャック部材31及びチャックカラー51の中央部2箇所には、従来と同様にチャック部材31にチャックカラー51を固定するためのボルト孔31a及び雌ねじ孔51aがそれぞれ設けられている。また、チャックカラー51の上端部中央上面には、チャックカラー51をクレーンで吊り上げる際に用いる吊り輪51bが設けられ、上部内筒部材56の上端部周壁には、チャックカラースタンド52を吊り上げる際に用いる通孔52aが設けられている。
【0025】
一方、保管時や運搬時には、図4に示すように、支持部材本体部60の上に位置決め支持部材61を重ねて半円形凹部62内に下部外筒部材57を挿入することにより、チャックカラースタンド52を小さく一体化することができ、収納性や取り扱い性の向上を図ることができる。
【0026】
次に、図5乃至図14を参照しながら、前記チャックカラースタンド52を用いてチャック部材31にチャックカラー51を取り付ける手順を説明する。なお、図5乃至図14では、一部の構成要素を省略して図示している。
【0027】
まず、チャックカラー51を所定の状態で保持し、位置決め部材55を所定の位置に配置したチャックカラースタンド52を地上の適宜な位置に設置するとともに、ケーシング回転駆動装置15を適当な高さに配置した状態で、下部走行体11による走行及び上部旋回体12の旋回により、リーダ14の各ガイドパイプ19を各位置決め部材55にそれぞれ当接させる。これにより、チャック部材31の中心とチャックカラー51の中心とが一致した状態になる。
【0028】
次に、図6及び図7に示すように、チャックシリンダ25を伸長させてチャック部材31を開いた状態で、ケーシング回転駆動装置15を下降させてチャックフレーム18の下端を接地させるとともに、ベアリング28の回転位置を調整してチャックカラー51の外側にチャック部材31をそれぞれ配置する。このとき、チャック部材31は、チャックカラー51の係合爪部65の外方を通過し、チャックフレーム18は、下部外筒部材57の外周を通過する。
【0029】
この状態で、図8及び図9に示すように、チャックシリンダ25を短縮させることにより、チャックフレーム18を上昇させて昇降フレーム17に接近させ、くさび部材32の円錐面でチャック部材31を内周側に押動して閉じ状態(チャック状態)とし、チャック部材31の内面をチャックカラー51の外面に接近させて係合溝部66を係合爪部65の下方に位置させる。このとき、チャック部材31の内面とチャックカラー51の外面とは、非接触状態であることが好ましい。
【0030】
次に、図10に示すように、ケーシング回転駆動装置15を僅かに上昇させる。これにより、係合溝部66に係合爪部65が係合した状態になる。このとき、係合溝部66の両側縁66bを、上方が拡開した傾斜面で形成することにより、係合溝部66に対する係合爪部65の位置が周方向に多少ずれていても、溝両側縁66bの傾斜によって係合爪部65を係合溝部66の中央の溝底辺66aの部分にガイドすることができる。これにより、チャック部材31とチャックカラー51とが内外で位置合わせされ、ボルト孔31aの軸線と雌ねじ孔51aの軸線とを合致させた状態にすることができる。
【0031】
そして、チャック部材31のボルト孔31aがくさび部材32によって覆われている場合は、図13に示すように、チャックシリンダ25を伸長させてチャックフレーム18を下降させ、くさび部材32を下降させてチャック部材31の外面を露出させた後、ボルト孔31aを通して雌ねじ孔51aに固定ボルト67を螺着してチャック部材31とチャックカラー51とを一体化する。
【0032】
このようにしてチャック部材31の内側にチャックカラー51を取り付けた後、図14に示すように、ケーシング回転駆動装置15をチャックカラースタンド52よりも上方に上昇させ、下部走行体11を操作して所定距離後退してから施工場所などに移動すればよい。また、チャック部材31からチャックカラー51を取り外す際には、前記手順を逆に行えばよい。
【0033】
このように、チャックカラースタンド52を使用することにより、クレーンなどの他の機器を使用する必要がなくなり、また、全てのチャックカラー51を一度に着脱でき、位置決めも簡単に行えるので、チャック部材31に対するチャックカラー51の着脱を容易に短時間で行うことができ、作業性の向上、安全性の向上を図ることができる。さらに、このチャックカラースタンド52は、チャックカラー51を使用しないときに、チャックカラー51の収納用としても使用でき、支持部材本体部60と位置決め支持部材61とを重ねることで、コンパクトに保管することができる。
【0034】
なお、チュービング装置の細部の構成は任意であり、従来から用いられている各種チュービング装置に適用可能であり、チャック部材やチャックカラーの数も任意である。また、位置決め部材は、他の位置決め手段を採用することもでき、支持部材を長方形状にしたりするなどして支持部材に位置決め部材を立設させることもでき、支持部材本体部と位置決め支持部材とを重ねるようにしなくてもよい。さらに、係合溝部と係合爪部との形状も任意である。
【符号の説明】
【0035】
11…下部走行体、12…上部旋回体、13…ベースマシン、14…リーダ、15…ケーシング回転駆動装置、16…ケーシングチューブ、17…昇降フレーム、17a…ガイドギブ、18…チャックフレーム、18a…ガイドギブ、19…ガイドパイプ、20…ラック、21…ピニオン、22…昇降用油圧モータ、23…回転用油圧モータ、24…ガイドポスト、25…チャックシリンダ、26,27…挿通孔、28,29…ベアリング、30…リンク、31…チャック部材、31a…ボルト孔、32…くさび部材、51…チャックカラー、51a…雌ねじ孔、51b…吊り輪、52…チャックカラースタンド、52a…通孔、53…保持部材、54…支持部材、55…位置決め部材、56…上部内筒部材、57…下部外筒部材、58…上部内筒支持部材、59…保持溝、59a…仕切り部材、60…支持部材本体部、61…位置決め支持部材、62…半円形凹部、63…角部、64…係合凹部、65…係合爪部、66…係合溝部、66a…溝底辺、66b…溝両側縁、67…固定ボルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14