特許第6489877号(P6489877)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6489877開閉制御装置、開閉制御プログラムおよび開閉制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6489877
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】開閉制御装置、開閉制御プログラムおよび開閉制御方法
(51)【国際特許分類】
   E05B 49/00 20060101AFI20190318BHJP
   E05F 15/70 20150101ALI20190318BHJP
   G10L 15/00 20130101ALI20190318BHJP
   G10L 15/28 20130101ALI20190318BHJP
【FI】
   E05B49/00 K
   E05F15/70
   G10L15/00 200J
   G10L15/28 400
   G10L15/28 230K
【請求項の数】5
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2015-45843(P2015-45843)
(22)【出願日】2015年3月9日
(65)【公開番号】特開2016-166457(P2016-166457A)
(43)【公開日】2016年9月15日
【審査請求日】2017年12月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】391008559
【氏名又は名称】株式会社トランストロン
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104190
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】田邉 克哉
(72)【発明者】
【氏名】田村 誠志
(72)【発明者】
【氏名】渡部 純一
(72)【発明者】
【氏名】鴨田 久男
(72)【発明者】
【氏名】賀川 賢一郎
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 正樹
(72)【発明者】
【氏名】金田 俊弘
(72)【発明者】
【氏名】新宮 哲司
(72)【発明者】
【氏名】小野 誠
(72)【発明者】
【氏名】片山 惠史
【審査官】 鳥井 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−087759(JP,A)
【文献】 特開2002−295086(JP,A)
【文献】 特開昭59−170375(JP,A)
【文献】 特開2007−308887(JP,A)
【文献】 特開平02−204587(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0152010(US,A1)
【文献】 特開2011−063961(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00−15/79
E05B 49/00−49/04
B60R 11/02
G10L 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に取り付けられて車外の音声を集音する集音部を有し、前記集音部の取付位置を含む水平面より上方に指向性を有する指向性マイクロホンと、
前記車両に搭載された通信機と無線通信可能な電子キーが有効範囲内に進入したか否かを示す進入検知情報を記憶する記憶部と、
前記指向性マイクロホンによって検出された音声信号を音声認識して得られる認識結果に基づいて、前記車両の鍵又はドアの開閉動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記電子キーの前記有効範囲内への進入が検知された場合、前記進入検知情報を、前記電子キーが前記有効範囲内へ進入したことを示す情報に更新し、
前記電子キーが前記有効範囲外となったことが検知された場合、前記進入検知情報を、前記電子キーが前記有効範囲から退出したことを示す情報に更新し、
前記進入検知情報が、前記電子キーが前記有効範囲内へ進入したことを示す場合に、前記指向性マイクロホンによって検出された音声信号の音声認識を行い、
前記進入検知情報が、前記電子キーが前記有効範囲から退出したことを示す場合には、前記指向性マイクロホンによって検出された音声信号の音声認識を行わない、ことを特徴とする開閉制御装置。
【請求項2】
前記有効範囲内への進入が検知された前記電子キーと前記通信機とが無線通信ができなくなった場合に、前記電子キーが前記有効範囲外となったことが検知される、ことを特徴とする請求項1に記載の開閉制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記車両に取り付けられた人感センサにより車外の人が検出された場合に、前記指向性マイクロホンによって検出された音声信号の音声認識を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の開閉制御装置。
【請求項4】
コンピュータに、
車両に搭載された通信機と無線通信可能な電子キーの有効範囲内への進入が検知された場合、前記電子キーが前記有効範囲内に進入したか否かを示す進入検知情報を、前記電子キーが前記有効範囲内へ進入したことを示す情報に更新し、
前記電子キーが前記有効範囲外となったことが検知された場合、前記進入検知情報を、前記電子キーが前記有効範囲から退出したことを示す情報に更新し、
前記進入検知情報が、前記電子キーが前記有効範囲内へ進入したことを示す場合に、前記車両に取り付けられて車外の音声を集音する集音部の取付位置を含む水平面より上方に指向性を有する指向性マイクロホンによって検出された音声信号の音声認識を行い、
前記進入検知情報が、前記電子キーが前記有効範囲から退出したことを示す場合には、前記指向性マイクロホンによって検出された音声信号の音声認識を行わず、
前記指向性マイクロホンによって検出された音声信号を音声認識して得られる認識結果に基づいて、前記車両の鍵又はドアの開閉動作を制御する、
処理を実行させることを特徴とする開閉制御プログラム。
【請求項5】
コンピュータが、
車両に搭載された通信機と無線通信可能な電子キーの有効範囲内への進入が検知された場合、前記電子キーが前記有効範囲内に進入したか否かを示す進入検知情報を、前記電子キーが前記有効範囲内へ進入したことを示す情報に更新し、
前記電子キーが前記有効範囲外となったことが検知された場合、前記進入検知情報を、前記電子キーが前記有効範囲から退出したことを示す情報に更新し、
前記進入検知情報が、前記電子キーが前記有効範囲内へ進入したことを示す場合に、前記車両に取り付けられて車外の音声を集音する集音部の取付位置を含む水平面より上方に指向性を有する指向性マイクロホンによって検出された音声信号の音声認識を行い、
前記進入検知情報が、前記電子キーが前記有効範囲から退出したことを示す場合には、前記指向性マイクロホンによって検出された音声信号の音声認識を行わず、
前記指向性マイクロホンによって検出された音声信号を音声認識して得られる認識結果に基づいて、前記車両の鍵又はドアの開閉動作を制御する、
処理を実行することを特徴とする開閉制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉制御装置、開閉制御プログラムおよび開閉制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザが発した「開けて」や「閉めて」などの音声を認識して、車両のスライドドアの開閉動作を制御する技術がある。また、関連する先行技術としては、例えば、車両ユーザによって話された車両機能を制御するための音声指令の認識における車両周囲に存在するノイズの影響を低減するための技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−037419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、音声により車両のドアの開閉を行えるようにすると、ドアの操作者以外の人が「開けて」などの特定の音声を発した場合にもドアの開閉が行われてしまう恐れがある。
【0005】
一つの側面では、本発明は、音声により車両の鍵又はドアの開閉を行える操作者を限定することができる開閉制御装置、開閉制御プログラムおよび開閉制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面によれば、車両に取り付けられて車外の音声を集音する集音部の取付位置を含む水平面より上方に指向性を有する指向性マイクロホンによって検出された音声信号を音声認識して得られる認識結果に基づいて、前記車両の鍵又はドアの開閉動作を制御する開閉制御装置、開閉制御プログラムおよび開閉制御方法が提案される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、音声により車両の鍵又はドアの開閉を行える操作者を限定することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施の形態1にかかる開閉制御装置101の一実施例を示す説明図である。
図2図2は、実施の形態1にかかる開閉制御装置101の制御例を示す説明図(その1)である。
図3図3は、実施の形態1にかかる開閉制御装置101の制御例を示す説明図(その2)である。
図4図4は、開閉制御装置101のハードウェア構成例を示す説明図である。
図5図5は、コマンドテーブル500の記憶内容の一例を示す説明図である。
図6図6は、実施の形態1にかかる開閉制御装置101の機能的構成例を示すブロック図である。
図7図7は、実施の形態1にかかる開閉制御装置101の開閉制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
図8図8は、実施の形態2にかかる開閉制御装置101の機能的構成例を示すブロック図である。
図9図9は、進入検知情報900の具体例を示す説明図である。
図10図10は、実施の形態2にかかる開閉制御装置101の制御例を示す説明図(その1)である。
図11図11は、実施の形態2にかかる開閉制御装置101の制御例を示す説明図(その2)である。
図12図12は、実施の形態2にかかる開閉制御装置101の更新処理手順の一例を示すフローチャートである。
図13図13は、実施の形態2にかかる開閉制御装置101の開閉制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
図14図14は、実施の形態3にかかる開閉制御装置101の機能的構成例を示すブロック図である。
図15図15は、人検出情報1500の具体例を示す説明図である。
図16図16は、実施の形態3にかかる開閉制御装置101の制御例を示す説明図(その1)である。
図17図17は、実施の形態3にかかる開閉制御装置101の制御例を示す説明図(その2)である。
図18図18は、実施の形態3にかかる開閉制御装置101の更新処理手順の一例を示すフローチャートである。
図19図19は、実施の形態3にかかる開閉制御装置101の開閉制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を参照して、本発明にかかる開閉制御装置、開閉制御プログラムおよび開閉制御方法の実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1にかかる開閉制御装置101の一実施例を示す説明図である。図1において、開閉制御装置101は、車両に搭載されて、車両の鍵又はドアの開閉動作を制御可能なコンピュータである。具体的には、開閉制御装置101は、指向性マイクロホン110を備え、指向性マイクロホン110によって検出された音声信号を音声認識して得られる認識結果に基づいて、車両の鍵又はドアの開閉動作を制御する。
【0011】
車両は、例えば、乗用車、トラック、バスなどの自動車である。車両の鍵は、車両のドアを施錠、開錠するためのドアロックであり、遠隔操作により開閉可能である。車両のドアは、遠隔操作により開閉可能なドアであり、例えば、スライドドア、荷室ドアなどである。スライドドアは、車体に平行に開閉可能なドアである。荷室ドアは、車両の荷室(トランク)のドアである。
【0012】
ここで、電子キーを用いた遠隔操作により車両の鍵やドアを開閉可能な電子キーシステムがある。電子キーシステムによれば、ユーザが電子キーを操作することで、車両の鍵やドアを開閉することができる。しかし、荷物などでユーザの両手がふさがれていると、電子キーを操作しにくくなり利便性が低下してしまう。
【0013】
このため、音声認識を利用して車両の鍵やドアの開閉動作を制御することが考えられる。この場合、ユーザは、荷物などで両手がふさがれていても、「開けて」などの声を発するだけで、車両の鍵やドアを開けることができる。しかし、音声により車両の鍵やドアの開閉を行えるようにすると、車両から離れた位置にいる人の会話や、幼い子供などが「開けて」などの特定の声を発した際に、ドアの操作者が意図しない状態でドアの開閉が行われてしまう恐れがある。
【0014】
そこで、実施の形態1では、開閉制御装置101が備える指向性マイクロホン110の指向性を利用して、音声により車両の鍵又はドアの開閉を行える操作者を限定する開閉制御方法について説明する。
【0015】
具体的には、指向性マイクロホン110は、車両に取り付けられて車外の音声を集音する集音部120を有する。集音部120は、車両の所定の高さHの位置に取り付けられる。図1の例では、集音部120は、2つのマイクロホン120a,120bを含み、車両130のスライドドア131周辺の所定の高さHの位置に取り付けられている。
【0016】
また、指向性マイクロホン110は、集音部120の取付位置を含む水平面より上方に指向性を有する。図1の例では、指向性マイクロホン110は、車両130に取り付けられた集音部120の取付位置Pを含む水平面LSより上方の特定の範囲からの音声の感度が高くなるように指向性を制御可能なマイクアレイである。
【0017】
以下の説明では、車両130に取り付けられた集音部120の取付位置Pを含む水平面LSより上方の特定の範囲を「指向性範囲X」と表記する場合がある。指向性範囲Xは、例えば、一般的な成人の口の高さをカバーするように設定される。図1の例では、車両130を上から見た場合の指向性範囲Xと、車両130を正面から見た場合の指向性範囲Xと、車両130を横から見た場合の指向性範囲Xとが表示されている。
【0018】
開閉制御装置101によれば、人が指向性範囲X外で発話したとしても、指向性マイクロホン110によって音声信号が検出されにくくなり、指向性範囲X外からの音声が認識されて車両130の鍵やドアの開閉が行われることを防ぐことができる。
【0019】
(開閉制御装置101の制御例)
ここで、図2および図3を用いて、車両130のスライドドア131の開閉動作を制御する場合を例に挙げて、実施の形態1にかかる開閉制御装置101の制御例について説明する。
【0020】
図2は、実施の形態1にかかる開閉制御装置101の制御例を示す説明図(その1)である。図2において、ユーザが、指向性範囲X内で「開けて」と発話したとする。この場合、開閉制御装置101は、発話を検出して音声認識を行う。そして、開閉制御装置101は、音声認識して得られる認識結果(開けて)に基づいて、スライドドア131を開ける制御を行う。
【0021】
これにより、ユーザは、荷物で両手がふさがれていても、指向性範囲X内で「開けて」と声を発するだけで、車両130のスライドドア131を開けることができる。
【0022】
図3は、実施の形態1にかかる開閉制御装置101の制御例を示す説明図(その2)である。図3において、ユーザが、指向性範囲X外で「開けて」と発話したとする。このユーザは、身長が所定の高さHよりも低い子供である。この場合、子供が発した音声は指向性範囲X外からの音声のため、開閉制御装置101によって発話が検出されない。このため、子供が発した音声が認識されず、スライドドア131を開ける制御が行われない。
【0023】
このように、実施の形態1にかかる開閉制御装置101によれば、指向性マイクロホン110に指向性を持たせ、集音部120を取り付ける位置の高さHを調整することで、音声により車両の鍵やドアの開閉を行える操作者を限定することができる。これにより、身長が高さH未満となるような子供の声により車両130の鍵やドアの開閉を行えないようにすることができる。
【0024】
(開閉制御装置101のハードウェア構成例)
図4は、開閉制御装置101のハードウェア構成例を示す説明図である。図4において、開閉制御装置101は、CPU(Central Processing Unit)401と、メモリ402と、I/F(Interface)403と、ディスクドライブ404と、ディスク405と、指向性マイクロホン110と、を有する。また、各構成部は、バス400によってそれぞれ接続される。
【0025】
ここで、CPU401は、開閉制御装置101の全体の制御を司る。メモリ402は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびフラッシュROMなどを有する。具体的には、例えば、フラッシュROMやROMが各種プログラムを記憶し、RAMがCPU401のワークエリアとして使用される。メモリ402に記憶されるプログラムは、CPU401にロードされることで、コーディングされている処理をCPU401に実行させる。
【0026】
I/F403は、通信回線を通じてネットワーク410に接続され、ネットワーク410を介して他のコンピュータに接続される。そして、I/F403は、ネットワーク410と内部のインターフェースを司り、他のコンピュータからのデータの入出力を制御する。I/F403には、例えば、モデム、NIC(Network Interface Card)などを採用することができる。
【0027】
ディスクドライブ404は、CPU401の制御に従ってディスク405に対するデータのリード/ライトを制御する。ディスク405は、ディスクドライブ404の制御で書き込まれたデータを記憶する。ディスク405としては、例えば、磁気ディスク、光ディスクなどが挙げられる。
【0028】
指向性マイクロホン110は、マイクロホン120a,120bを含む集音部120と、オーディオコーデック406と、DSP(Digital Signal Processor)407とを有する。オーディオコーデック406は、例えば、A/D(Analogue/Digital)変換器、アンプ、D/A変換器などを含む。DSP407は、デジタル信号を処理するプロセッサである。
【0029】
なお、開閉制御装置101は、上述した構成部のうち、例えば、ディスクドライブ404やディスク405を有さないことにしてもよい。
【0030】
(コマンドテーブル500の記憶内容)
つぎに、開閉制御装置101が用いるコマンドテーブル500の記憶内容について説明する。コマンドテーブル500は、例えば、図4に示したメモリ402やディスク405などの記憶装置に記憶される。
【0031】
図5は、コマンドテーブル500の記憶内容の一例を示す説明図である。図5において、コマンドテーブル500は、コマンドおよび動作内容のフィールドを有し、各フィールドに情報を記憶することで、コマンド情報(例えば、コマンド情報500−1〜500−4)をレコードとして記憶する。
【0032】
ここで、コマンドは、車両130(図1参照)の鍵又はドアの開閉動作を指示するための命令を示す。動作内容は、コマンドに対応する車両130の動作内容を示す。例えば、コマンド情報500−1は、コマンド「開けて」に対応する車両130の動作内容「スライドドアを開ける」を示す。
【0033】
(開閉制御装置101の機能的構成例)
図6は、実施の形態1にかかる開閉制御装置101の機能的構成例を示すブロック図である。図6において、開閉制御装置101は、アレイマイク処理部601と、音声認識処理部602と、制御信号生成部603と、通信制御部604と、を含む構成である。アレイマイク処理部601は、例えば、図4に示した指向性マイクロホン110のオーディオコーデック406、DSP407等により実現される。また、音声認識処理部602〜通信制御部604は制御部となる機能であり、具体的には、例えば、図4に示したメモリ402やディスク405などの記憶装置に記憶されたプログラムをCPU401に実行させることにより、または、I/F403により、その機能を実現する。各機能部の処理結果は、例えば、メモリ402やディスク405などの記憶装置に記憶される。
【0034】
アレイマイク処理部601は、集音部120の取付位置を含む水平面より上方に指向性を有する音声信号を検出する。以下の説明では、図1に示したように、車両130のスライドドア131周辺の所定の高さHの取付位置Pに集音部120が取り付けられた場合を例に挙げて説明する。
【0035】
具体的には、例えば、アレイマイク処理部601は、オーディオコーデック406により、各マイクロホン120a,120bによって集音された音声のアナログ信号を増幅し、デジタル化された音声信号を生成する。そして、アレイマイク処理部601は、例えば、DSP407により、指向性範囲X(図1参照)からの音声の感度が高くなるように、生成した音声信号を補正する。
【0036】
ここで、話者と各マイクロホン120a,120bとの距離の関係は、話者の位置(口の高さ)により変化する。このため、各マイクロホン120a,120bで集音される音声には、話者と各マイクロホン120a,120bとの距離および音速によって決まる時間差Tが生じる。
【0037】
アレイマイク処理部601は、例えば、DSP407により、この時間差Tを検出して、時間差Tが所定の範囲外となる音声を抑圧することにより、生成した音声信号を補正する。すなわち、アレイマイク処理部601は、時間差Tと比較する所定の範囲を調整することで指向性の範囲を制御することができる。
【0038】
これにより、集音部120の取付位置Pを含む水平面LSより上方に指向性を有する音声信号を検出することができる。なお、マイクロホンの指向性を制御する技術については、例えば、特開2007−318528号公報を参照することができる。
【0039】
音声認識処理部602は、アレイマイク処理部601によって検出された音声信号を音声認識する。具体的には、例えば、音声認識処理部602は、一定時間ごとに、検出された音声信号を分析して、発話があった発話区間を検出する。そして、音声認識処理部602は、発話区間を検出した場合、発話区間の音声信号に対して音声認識処理を行う。
【0040】
制御信号生成部603は、音声認識処理部602によって音声認識された認識結果に基づいて、車両130の鍵又はドアの開閉動作を制御する制御信号を生成する。具体的には、例えば、制御信号生成部603は、図5に示したコマンドテーブル500を参照して、音声認識された認識結果に対応するコマンドを特定する。つぎに、制御信号生成部603は、特定したコマンドに対応する車両の動作内容を特定する。そして、制御信号生成部603は、特定した車両の動作内容に応じた制御信号を生成する。
【0041】
例えば、音声認識により「開けて」と認識されたとする。この場合、制御信号生成部603は、コマンドテーブル500を参照して、コマンド「開けて」を特定する。つぎに、制御信号生成部603は、特定したコマンド「開けて」に対応する動作内容「スライドドアを開ける」を特定する。そして、制御信号生成部603は、特定した動作内容「スライドドアを開ける」の動作を指示する制御信号を生成する。
【0042】
また、例えば、音声認識により「鍵を開けて」と認識されたとする。この場合、制御信号生成部603は、コマンドテーブル500を参照して、コマンド「鍵を開けて」を特定する。つぎに、制御信号生成部603は、特定したコマンド「鍵を開けて」に対応する動作内容「ドアを開錠」を特定する。そして、制御信号生成部603は、特定した動作内容「ドアを開錠」の動作を指示する制御信号を生成する。
【0043】
通信制御部604は、生成された制御信号を、車両130の動作を制御する動作制御部610に送信する。動作制御部610は、例えば、車両130の電子制御を行うECU(Electronic Control Unit)である。動作制御部610は、通信制御部604からの制御信号に応じた車両130の動作を制御する。
【0044】
例えば、動作制御部610は、動作内容「スライドドアを開ける」の動作を指示する制御信号を受信した場合、車両130のスライドドア131を開ける。また、例えば、動作制御部610は、動作内容「ドアを開錠」の動作を指示する制御信号を受信した場合、車両130のドアロックを開錠する。
【0045】
なお、図6の例では、動作制御部610が、開閉制御装置101と別体に設けられる場合を例に挙げて説明したが、開閉制御装置101に含まれる構成としてもよい。この場合、動作制御部610は、例えば、メモリ402やディスク405などの記憶装置に記憶されたプログラムをCPU401に実行させることにより、または、I/F403により、その機能を実現する。
【0046】
また、上述した説明では、各マイクロホン120a,120bによって集音された音声を補正することにより指向性を制御する場合を例に挙げて説明したが、これに限らない。例えば、指向性マイクロホン110は、ホーンやパラボラ式のように、マイクロホンへの音の進入経路を物理的に制限することで、指向性範囲Xからの音声の感度が高くなるような構造としてもよい。
【0047】
(開閉制御装置101の開閉制御処理手順)
つぎに、実施の形態1にかかる開閉制御装置101の開閉制御処理手順について説明する。
【0048】
図7は、実施の形態1にかかる開閉制御装置101の開閉制御処理手順の一例を示すフローチャートである。図7のフローチャートにおいて、まず、音声認識処理部602は、一定時間ごとに、アレイマイク処理部601によって検出された音声信号を分析して、発話があった発話区間を検出する(ステップS701)。
【0049】
そして、音声認識処理部602は、発話区間を検出したか否かを判断する(ステップS702)。ここで、発話区間が検出されなかった場合(ステップS702:No)、音声認識処理部602は、ステップS701に戻る。一方、発話区間が検出された場合(ステップS702:Yes)、音声認識処理部602は、検出した発話区間の音声信号に対して音声認識処理を行う(ステップS703)。
【0050】
つぎに、制御信号生成部603は、コマンドテーブル500を参照して、音声認識処理部602によって音声認識された認識結果に対応するコマンドを特定する(ステップS704)。ここで、制御信号生成部603は、認識結果に対応するコマンドを特定しなかった場合(ステップS704:No)、ステップS701に戻る。
【0051】
一方、制御信号生成部603は、認識結果に対応するコマンドを特定した場合(ステップS704:Yes)、コマンドテーブル500を参照して、特定したコマンドに対応する車両の動作内容を特定する(ステップS705)。つぎに、制御信号生成部603は、特定した車両の動作内容に応じた制御信号を生成する(ステップS706)。
【0052】
そして、通信制御部604は、制御信号生成部603によって生成された制御信号を、車両130の動作を制御する動作制御部610に送信して(ステップS707)、本フローチャートによる一連の処理を終了する。
【0053】
これにより、指向性マイクロホン110によって検出された音声信号を音声認識して得られる認識結果に対応する動作を、動作制御部610(例えば、車両130のECU)に指示することができる。
【0054】
以上説明したように、実施の形態1にかかる開閉制御装置101によれば、指向性マイクロホン110によって検出された音声信号を音声認識して得られる認識結果に基づいて、車両130の鍵又はドアの開閉動作を制御することができる。これにより、車外の音声を集音する集音部120を取り付ける位置の高さHを調整することで、音声により車両130の鍵やドアの開閉を行える操作者を限定することができる。
【0055】
例えば、集音部120を取り付ける位置の高さHを1m程度にすることで、身長が1m未満となるような子供の声が音声認識されにくくなり、子供の声により車両130の鍵やドアの開閉を行えないようにすることができる。
【0056】
(実施の形態2)
つぎに、実施の形態2にかかる開閉制御装置101について説明する。なお、実施の形態1で説明した箇所と同様の箇所については、同一符号を付して図示および説明を省略する。
【0057】
ここで、音声により車両130の鍵やドアの開閉を行えるようにすると、車両130の所有者ではない者であっても車両130の鍵やドアの開閉が行えるようになりセキュリティの低下を招いてしまう。そこで、実施の形態2では、音声により車両130の鍵やドアの開閉を行える操作者を、さらに、車両130の電子キーK(いわゆる、スマートキー)を携帯したユーザに限定する場合について説明する。
【0058】
(開閉制御装置101の機能的構成例)
まず、実施の形態2にかかる開閉制御装置101の機能的構成例について説明する。
【0059】
図8は、実施の形態2にかかる開閉制御装置101の機能的構成例を示すブロック図である。図8において、開閉制御装置101は、アレイマイク処理部601と、音声認識処理部602と、制御信号生成部603と、通信制御部604と、車両情報記録部801と、を含む構成である。アレイマイク処理部601は、例えば、図4に示した指向性マイクロホン110のオーディオコーデック406、DSP407等により実現される。また、音声認識処理部602〜通信制御部604および車両情報記録部801は制御部となる機能であり、具体的には、例えば、図4に示したメモリ402やディスク405などの記憶装置に記憶されたプログラムをCPU401に実行させることにより、または、I/F403により、その機能を実現する。各機能部の処理結果は、例えば、メモリ402やディスク405などの記憶装置に記憶される。
【0060】
通信制御部604は、電子キーKの有効範囲(以下、「有効範囲Y」と表記する)内への進入を示す進入検知信号を進入検知部810から受信する。また、通信制御部604は、電子キーKが有効範囲Y外となったことを示す退出検知信号を進入検知部810から受信する。
【0061】
ここで、電子キーKは、車両130に搭載される通信機との無線通信により車両130の鍵を開閉可能な状態にする鍵である。例えば、電子キーKは、車両130の通信機から間欠的に発信される電波を受信すると、車両側にID(identification)コードを送信する。
【0062】
車両130の通信機が電子キーKからIDコードを受信すると、ECUなどにより、IDコードを照合する。正しいIDコードであると照合されると、例えば、車両130のドアハンドルに設けられたスイッチやタッチセンサなどにより車両130の鍵が開閉可能な状態となる。
【0063】
この状態で、例えば、車両130のドアハンドルに設けられたスイッチやタッチセンサがユーザにより操作されると、ECUなどにより、車両130のドアを開錠する。電子キーKの有効範囲Yは、車両130の通信機から間欠的に発信される電波を電子キーKが受信可能なエリアであり、例えば、ドアハンドルから1〜2m程度の範囲に設定される。
【0064】
また、進入検知部810は、電子キーKの有効範囲Y内への進入を検知する機能部であり、例えば、車両130のECUなどにより実現される。具体的には、例えば、進入検知部810は、電子キーKから受信されたIDコードが正しいと照合された場合に、電子キーKの有効範囲Y内への進入を示す進入検知信号を通信制御部604に送信する。また、進入検知部810は、IDコードが正しいと照合された電子キーKとの無線通信ができなくなった場合には、電子キーKが有効範囲Y外となったことを示す退出検知信号を通信制御部604に送信する。
【0065】
車両情報記録部801は、通信制御部604によって受信された進入検知信号または退出検知信号を記録する。具体的には、例えば、車両情報記録部801は、通信制御部604によって進入検知信号または退出検知信号が受信された場合、図9に示すような進入検知情報900を更新する。ここで、進入検知情報900の具体例について説明する。
【0066】
図9は、進入検知情報900の具体例を示す説明図である。図9において、進入検知情報900は、進入フラグを有する。進入フラグは、電子キーKが有効範囲Y内に進入したか否かを示す情報であり、初期状態では「0」である。進入検知情報900は、例えば、メモリ402やディスク405などの記憶装置に記憶される。
【0067】
例えば、車両情報記録部801は、通信制御部604によって進入検知信号が受信された場合に、進入フラグに「1」を設定する。また、車両情報記録部801は、通信制御部604によって退出検知信号が受信された場合に、進入フラグに「0」を設定する。進入フラグによれば、電子キーKが有効範囲Y内に進入したか否かを判別することが可能となる。
【0068】
図8の説明に戻り、音声認識処理部602は、通信制御部604によって進入検知信号が受信された場合に、アレイマイク処理部601によって検出された音声信号の音声認識を行う。具体的には、例えば、音声認識処理部602は、図9に示した進入検知情報900を参照して、進入フラグが「1」の場合に、アレイマイク処理部601によって検出された音声信号の音声認識を行う。
【0069】
一方、進入フラグが「0」の場合は、音声認識処理部602は、アレイマイク処理部601によって検出された音声信号の音声認識を行わない。これにより、電子キーKを携帯していない人の音声が認識されなくなり、音声により車両130の鍵又はドアの開閉を行える操作者を、電子キーKを携帯したユーザに限定してセキュリティの低下を防ぐことができる。
【0070】
なお、図8の例では、動作制御部610および進入検知部810が、開閉制御装置101と別体に設けられる場合を例に挙げて説明したが、開閉制御装置101に含まれる構成としてもよい。この場合、動作制御部610および進入検知部810は、例えば、メモリ402やディスク405などの記憶装置に記憶されたプログラムをCPU401に実行させることにより、または、I/F403により、その機能を実現する。
【0071】
(開閉制御装置101の制御例)
つぎに、図10および図11を用いて、車両130のスライドドア131の開閉動作を制御する場合を例に挙げて、実施の形態2にかかる開閉制御装置101の制御例について説明する。
【0072】
図10は、実施の形態2にかかる開閉制御装置101の制御例を示す説明図(その1)である。図10において、電子キーKを携帯したユーザが、電子キーKの有効範囲Y内に進入して、指向性範囲X内で「開けて」と発話したとする。この場合、電子キーKが有効範囲Y内に存在するため、進入検知情報900の進入フラグは「1」である。
【0073】
このため、開閉制御装置101は、発話区間を検出して音声認識を行う。そして、開閉制御装置101は、音声認識して得られる認識結果(開けて)に基づいて、スライドドア131を開ける制御を行う。これにより、電子キーKを携帯しているユーザは、荷物で両手がふさがれていても、指向性範囲X内で「開けて」と声を発するだけで、車両130のスライドドア131を開けることができる。
【0074】
図11は、実施の形態2にかかる開閉制御装置101の制御例を示す説明図(その2)である。図11において、電子キーKを携帯していないユーザが、電子キーKの有効範囲Y内に進入して、指向性範囲X内で「開けて」と発話したとする。この場合、電子キーKが有効範囲Y内に存在しないため、進入検知情報900の進入フラグは「0」である。このため、開閉制御装置101は、音声認識を行わない。
【0075】
これにより、ユーザが電子キーKを携帯していなければ、指向性範囲X内で「開けて」と声を発しても、スライドドア131を開ける制御が行われずセキュリティの低下を防ぐことができる。
【0076】
(開閉制御装置101の各種処理手順)
つぎに、実施の形態2にかかる開閉制御装置101の各種処理手順について説明する。まず、図9に示した進入検知情報900の更新処理手順について説明する。
【0077】
図12は、実施の形態2にかかる開閉制御装置101の更新処理手順の一例を示すフローチャートである。図12のフローチャートにおいて、まず、車両情報記録部801は、通信制御部604によって進入検知信号が受信されたか否かを判断する(ステップS1201)。
【0078】
ここで、車両情報記録部801は、進入検知信号が受信されるのを待つ(ステップS1201:No)。そして、車両情報記録部801は、進入検知信号が受信された場合(ステップS1201:Yes)、進入検知情報900の進入フラグに「1」を設定する(ステップS1202)。
【0079】
つぎに、車両情報記録部801は、通信制御部604によって退出検知信号が受信されたか否かを判断する(ステップS1203)。ここで、車両情報記録部801は、退出検知信号が受信されるのを待つ(ステップS1203:No)。
【0080】
そして、車両情報記録部801は、退出検知信号が受信された場合(ステップS1203:Yes)、進入検知情報900の進入フラグに「0」を設定して(ステップS1204)、本フローチャートによる一連の処理を終了する。これにより、電子キーKが有効範囲Y内に進入したか否かを示す進入フラグを更新することができる。
【0081】
図13は、実施の形態2にかかる開閉制御装置101の開閉制御処理手順の一例を示すフローチャートである。図13のフローチャートにおいて、まず、音声認識処理部602は、進入検知情報900を読み出す(ステップS1301)。そして、音声認識処理部602は、進入検知情報900の進入フラグが「1」であるか否かを判断する(ステップS1302)。
【0082】
ここで、進入フラグが「0」の場合(ステップS1302:No)、音声認識処理部602は、ステップS1301に戻る。一方、進入フラグが「1」の場合には(ステップS1302:Yes)、音声認識処理部602は、一定時間ごとに、アレイマイク処理部601によって検出された音声信号を分析して、発話があった発話区間を検出する(ステップS1303)。
【0083】
そして、音声認識処理部602は、発話区間を検出したか否かを判断する(ステップS1304)。ここで、発話区間が検出されなかった場合(ステップS1304:No)、音声認識処理部602は、ステップS1301に戻る。一方、発話区間が検出された場合(ステップS1304:Yes)、音声認識処理部602は、検出した発話区間の音声信号に対して音声認識処理を行う(ステップS1305)。
【0084】
つぎに、制御信号生成部603は、コマンドテーブル500を参照して、音声認識処理部602によって音声認識された認識結果に対応するコマンドを特定する(ステップS1306)。ここで、制御信号生成部603は、認識結果に対応するコマンドを特定しなかった場合(ステップS1306:No)、ステップS1301に戻る。
【0085】
一方、制御信号生成部603は、認識結果に対応するコマンドを特定した場合(ステップS1306:Yes)、コマンドテーブル500を参照して、特定したコマンドに対応する車両の動作内容を特定する(ステップS1307)。つぎに、制御信号生成部603は、特定した車両の動作内容に応じた制御信号を生成する(ステップS1308)。
【0086】
そして、通信制御部604は、制御信号生成部603によって生成された制御信号を、車両130の動作を制御する動作制御部610に送信して(ステップS1309)、本フローチャートによる一連の処理を終了する。
【0087】
これにより、電子キーKを携帯したユーザが有効範囲Y内に存在する場合に、指向性マイクロホン110によって検出された音声信号の音声認識を開始することができる。
【0088】
以上説明したように、実施の形態2にかかる開閉制御装置101によれば、電子キーKの有効範囲Y内への進入が検知された場合に、指向性マイクロホン110によって検出された音声信号の音声認識を行うことができる。これにより、音声により車両130の鍵やドアの開閉を行える操作者を、車両130の電子キーKを携帯したユーザに限定してセキュリティの低下を防ぐことができる。
【0089】
(実施の形態3)
つぎに、実施の形態3にかかる開閉制御装置101について説明する。なお、実施の形態1,2で説明した箇所と同様の箇所については、同一符号を付して図示および説明を省略する。
【0090】
ここで、車両130の近くにいる人が大きな声で会話していると、指向性範囲X外であっても、音声認識処理部602によって発話区間が検出されて音声認識が行われる場合がある。この際、車両130の近くにいる人が大きな声で「開けて」などの言葉を発した場合、車両130のスライドドア131を開ける制御が行われてしまう場合がある。
【0091】
そこで、実施の形態3では、音声により車両130の鍵又はドアの開閉を行える操作者を、さらに、車両130に取り付けられた人感センサSにより検出されたユーザに限定する場合について説明する。
【0092】
(開閉制御装置101の機能的構成例)
まず、実施の形態3にかかる開閉制御装置101の機能的構成例について説明する。
【0093】
図14は、実施の形態3にかかる開閉制御装置101の機能的構成例を示すブロック図である。図14において、開閉制御装置101は、アレイマイク処理部601と、音声認識処理部602と、制御信号生成部603と、通信制御部604と、車両情報記録部801と、を含む構成である。
【0094】
通信制御部604は、車両130に取り付けられた人感センサSにより車外の人が検出されたことを示す人検出信号をセンサ制御部1410から受信する。また、通信制御部604は、人感センサSにより車外の人が検出されなかったことを示す人非検出信号をセンサ制御部1410から受信する。
【0095】
ここで、人感センサSは、人を検出するセンサである。人感センサSとしては、例えば、赤外線、超音波、画像認識などを利用したものがある。人感センサSは、指向性範囲X内で声を発する人を検出するために車両130に取り付けられる。このため、人感センサSは、例えば、車両130のスライドドア131周辺に取り付けられる(例えば、図16参照)。人感センサSの検出範囲(以下、「検出範囲Z」と表記する)は、例えば、人感センサSから50cm〜1m程度の範囲に設定される。
【0096】
また、センサ制御部1410は、一定期間ごとに、人感センサSの検出結果を取得する機能部であり、例えば、車両130のECUなどにより実現される。具体的には、例えば、センサ制御部1410は、人感センサSから人を検出したことを示す検出結果を取得した場合に、車外の人が検出されたことを示す人検出信号を通信制御部604に送信する。また、センサ制御部1410は、人感センサSから人を検出しなかったことを示す検出結果を取得した場合に、車外の人が検出されなかったことを示す人非検出信号を通信制御部604に送信する。
【0097】
車両情報記録部801は、通信制御部604によって受信された人検出信号または人非検出信号を記録する。具体的には、例えば、車両情報記録部801は、通信制御部604によって人検出信号または人非検出信号が受信された場合、図15に示すような人検出情報1500を更新する。ここで、人検出情報1500の具体例について説明する。
【0098】
図15は、人検出情報1500の具体例を示す説明図である。図15において、人検出情報1500は、人検出フラグを有する。人検出フラグは、人感センサSにより車外の人が検出されたか否かを示す情報であり、初期状態では「0」である。人検出情報1500は、例えば、メモリ402やディスク405などの記憶装置に記憶される。
【0099】
例えば、車両情報記録部801は、通信制御部604によって人検出信号が受信された場合に、人検出フラグに「1」を設定する。また、車両情報記録部801は、通信制御部604によって人非検出信号が受信された場合に、人検出フラグに「0」を設定する。人検出フラグによれば、車両130に取り付けられた人感センサSにより車外の人が検出されたか否かを判別することが可能となる。
【0100】
図14の説明に戻り、音声認識処理部602は、通信制御部604によって人検出信号が受信された場合に、アレイマイク処理部601によって検出された音声信号の音声認識を行う。具体的には、例えば、音声認識処理部602は、図15に示した人検出情報1500を参照して、人検出フラグが「1」の場合に、アレイマイク処理部601によって検出された音声信号の音声認識を行う。
【0101】
一方、人検出フラグが「0」の場合は、音声認識処理部602は、アレイマイク処理部601によって検出された音声信号の音声認識を行わない。これにより、車両130の近くにいる人が大きな声で会話しても、人感センサSにより検出されなければ音声が認識されないため、話者の意図に反して車両130の鍵又はドアの開閉動作が行われることを防ぐことができる。
【0102】
また、音声認識処理部602は、通信制御部604によって人検出信号が受信され、かつ、通信制御部604によって進入検知信号が受信された場合に、アレイマイク処理部601によって検出された音声信号の音声認識を行うことにしてもよい。具体的には、例えば、音声認識処理部602は、人検出情報1500の人検出フラグが「1」、かつ、進入検知情報900の進入フラグが「1」の場合に、アレイマイク処理部601によって検出された音声信号の音声認識を行う。
【0103】
これにより、話者の意図に反して車両130の鍵又はドアの開閉動作が行われることを防ぐとともに、電子キーKを携帯したユーザに操作者を限定してセキュリティの低下を防ぐことができる。
【0104】
(開閉制御装置101の制御例)
つぎに、図16および図17を用いて、車両130のスライドドア131の開閉動作を制御する場合を例に挙げて、実施の形態3にかかる開閉制御装置101の制御例について説明する。
【0105】
図16は、実施の形態3にかかる開閉制御装置101の制御例を示す説明図(その1)である。図16において、人感センサSの検出範囲Z内に存在するユーザが、指向性範囲X内で「開けて」と発話したとする。この場合、ユーザが検出範囲Z内に存在するため、人検出情報1500の人検出フラグは「1」である。
【0106】
このため、開閉制御装置101は、発話区間を検出して音声認識を行う。そして、開閉制御装置101は、音声認識して得られる認識結果(開けて)に基づいて、スライドドア131を開ける制御を行う。これにより、ユーザは、荷物で両手がふさがれていても、人感センサSの検出範囲Zに進入して指向性範囲X内で「開けて」と声を発するだけで、車両130のスライドドア131を開けることができる。
【0107】
図17は、実施の形態3にかかる開閉制御装置101の制御例を示す説明図(その2)である。図17において、車両130の近くにいるユーザが、携帯電話で会話中に、たまたま「開けて」という言葉を発したとする。この場合、ユーザが検出範囲Z内に存在しないため、人検出情報1500の人検出フラグは「0」である。このため、開閉制御装置101は、音声認識を行わない。
【0108】
これにより、車両130の近くで会話中のユーザの意図に反して車両130のスライドドア131を開ける制御が行われることを防ぐことができる。
【0109】
(開閉制御装置101の各種処理手順)
つぎに、実施の形態3にかかる開閉制御装置101の各種処理手順について説明する。まず、図15に示した人検出情報1500の更新処理手順について説明する。
【0110】
図18は、実施の形態3にかかる開閉制御装置101の更新処理手順の一例を示すフローチャートである。図18のフローチャートにおいて、まず、車両情報記録部801は、通信制御部604によって人検出信号が受信されたか否かを判断する(ステップS1801)。
【0111】
ここで、車両情報記録部801は、人検出信号が受信されるのを待つ(ステップS1801:No)。そして、車両情報記録部801は、人検出信号が受信された場合(ステップS1801:Yes)、人検出情報1500の人検出フラグに「1」を設定する(ステップS1802)。
【0112】
つぎに、車両情報記録部801は、通信制御部604によって人非検出信号が受信されたか否かを判断する(ステップS1803)。ここで、車両情報記録部801は、人非検出信号が受信されるのを待つ(ステップS1803:No)。
【0113】
そして、車両情報記録部801は、人非検出信号が受信された場合(ステップS1803:Yes)、人検出情報1500の人検出フラグに「0」を設定して(ステップS1804)、本フローチャートによる一連の処理を終了する。これにより、車両130に取り付けられた人感センサSにより車外の人が検出されたか否かを示す人検出フラグを更新することができる。
【0114】
図19は、実施の形態3にかかる開閉制御装置101の開閉制御処理手順の一例を示すフローチャートである。図19のフローチャートにおいて、まず、音声認識処理部602は、人検出情報1500を読み出す(ステップS1901)。そして、音声認識処理部602は、人検出情報1500の人検出フラグが「1」であるか否かを判断する(ステップS1902)。
【0115】
ここで、人検出フラグが「0」の場合(ステップS1902:No)、音声認識処理部602は、ステップS1901に戻る。一方、人検出フラグが「1」の場合には(ステップS1902:Yes)、音声認識処理部602は、一定時間ごとに、アレイマイク処理部601によって検出された音声信号を分析して、発話があった発話区間を検出する(ステップS1903)。
【0116】
そして、音声認識処理部602は、発話区間を検出したか否かを判断する(ステップS1904)。ここで、発話区間が検出されなかった場合(ステップS1904:No)、音声認識処理部602は、ステップS1901に戻る。一方、発話区間が検出された場合(ステップS1904:Yes)、音声認識処理部602は、検出した発話区間の音声信号に対して音声認識処理を行う(ステップS1905)。
【0117】
つぎに、制御信号生成部603は、コマンドテーブル500を参照して、音声認識処理部602によって音声認識された認識結果に対応するコマンドを特定する(ステップS1906)。ここで、制御信号生成部603は、認識結果に対応するコマンドを特定しなかった場合(ステップS1906:No)、ステップS1901に戻る。
【0118】
一方、制御信号生成部603は、認識結果に対応するコマンドを特定した場合(ステップS1906:Yes)、コマンドテーブル500を参照して、特定したコマンドに対応する車両の動作内容を特定する(ステップS1907)。つぎに、制御信号生成部603は、特定した車両の動作内容に応じた制御信号を生成する(ステップS1908)。
【0119】
そして、通信制御部604は、制御信号生成部603によって生成された制御信号を、車両130の動作を制御する動作制御部610に送信して(ステップS1909)、本フローチャートによる一連の処理を終了する。
【0120】
これにより、人感センサSの検出範囲Z内にユーザが存在する場合に、指向性マイクロホン110によって検出された音声信号の音声認識を開始することができる。
【0121】
以上説明したように、実施の形態3にかかる開閉制御装置101によれば、車両130に取り付けられた人感センサSにより車外の人が検出された場合に、指向性マイクロホン110によって検出された音声信号の音声認識を行うことができる。これにより、音声により車両130の鍵やドアの開閉を行える操作者を、車両130に取り付けられた人感センサSにより検出されたユーザに限定することができる。この結果、車両130の近くで会話しても、人感センサSにより検出されなければ音声が認識されないため、話者の意図に反して車両130の鍵又はドアの開閉動作が行われることを防ぐことができる。
【0122】
なお、本実施の形態で説明した開閉制御方法は、予め用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することにより実現することができる。本開閉制御プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。また、本開閉制御プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布してもよい。
【0123】
上述した実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0124】
(付記1)車両に取り付けられて車外の音声を集音する集音部を有し、前記集音部の取付位置を含む水平面より上方に指向性を有する指向性マイクロホンと、
前記指向性マイクロホンによって検出された音声信号を音声認識して得られる認識結果に基づいて、前記車両の鍵又はドアの開閉動作を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする開閉制御装置。
【0125】
(付記2)前記制御部は、前記車両に搭載された通信機と無線通信可能な電子キーの有効範囲内への進入が検知された場合に、前記指向性マイクロホンによって検出された音声信号の音声認識を行うことを特徴とする付記1に記載の開閉制御装置。
【0126】
(付記3)前記制御部は、前記車両に取り付けられた人感センサにより車外の人が検出された場合に、前記指向性マイクロホンによって検出された音声信号の音声認識を行うことを特徴とする付記1または2に記載の開閉制御装置。
【0127】
(付記4)前記ドアは、車体に平行に開閉可能なスライドドアであり、
前記集音部は、前記スライドドア周辺の所定の高さの位置に取り付けられることを特徴とする付記1〜3のいずれか一つに記載の開閉制御装置。
【0128】
(付記5)コンピュータに、
車両に取り付けられて車外の音声を集音する集音部の取付位置を含む水平面より上方に指向性を有する指向性マイクロホンによって検出された音声信号を音声認識して得られる認識結果に基づいて、前記車両の鍵又はドアの開閉動作を制御する、
処理を実行させることを特徴とする開閉制御プログラム。
【0129】
(付記6)コンピュータが、
車両に取り付けられて車外の音声を集音する集音部の取付位置を含む水平面より上方に指向性を有する指向性マイクロホンによって検出された音声信号を音声認識して得られる認識結果に基づいて、前記車両の鍵又はドアの開閉動作を制御する、
処理を実行することを特徴とする開閉制御方法。
【符号の説明】
【0130】
101 開閉制御装置
110 指向性マイクロホン
120 集音部
120a,120b マイクロホン
130 車両
131 スライドドア
500 コマンドテーブル
601 アレイマイク処理部
602 音声認識処理部
603 制御信号生成部
604 通信制御部
610 動作制御部
801 車両情報記録部
810 進入検知部
900 進入検知情報
1410 センサ制御部
1500 人検出情報
K 電子キー
S 人感センサ
X 指向性範囲
Y 有効範囲
Z 検出範囲
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