(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6489898
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】果実袋および果実袋原紙
(51)【国際特許分類】
A01G 13/02 20060101AFI20190318BHJP
D21H 21/20 20060101ALI20190318BHJP
【FI】
A01G13/02 101C
D21H21/20
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-68639(P2015-68639)
(22)【出願日】2015年3月30日
(65)【公開番号】特開2016-187323(P2016-187323A)
(43)【公開日】2016年11月4日
【審査請求日】2017年12月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183484
【氏名又は名称】日本製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100126985
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 充利
(74)【代理人】
【識別番号】100141265
【弁理士】
【氏名又は名称】小笠原 有紀
(74)【代理人】
【識別番号】100129311
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 規之
(72)【発明者】
【氏名】藤井 義満
(72)【発明者】
【氏名】吉松 美由紀
(72)【発明者】
【氏名】松中 賢太
(72)【発明者】
【氏名】小澤 教雄
(72)【発明者】
【氏名】神尾 宏光
(72)【発明者】
【氏名】山本 伸彦
(72)【発明者】
【氏名】吉本 勝
【審査官】
田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−063418(JP,A)
【文献】
特公昭52−022982(JP,B1)
【文献】
特開2009−108433(JP,A)
【文献】
特開2003−105698(JP,A)
【文献】
特開平10−098954(JP,A)
【文献】
特開平10−018154(JP,A)
【文献】
特開2003−023880(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第104472286(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 13/02
D21H 17/00−17/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ザラ面の王研式平滑度が5〜20秒、艶面の王研式平滑度が100〜700秒である果実袋原紙であって、
苛性アルカリで活性化処理を行ったポリアミンエピクロルヒドリン樹脂を湿潤紙力増強剤として添加した、硫酸アルミニウムを含有するパルプスラリーから抄造した、上記果実袋原紙。
【請求項2】
透気抵抗度が100秒以下である、請求項1に記載の果実袋原紙。
【請求項3】
洗濯試験における耐久時間が100時間以上である、請求項1または2に記載の果実袋原紙。
【請求項4】
使用する全パルプに対して、針葉樹晒クラフトパルプを50重量%以上含む、請求項1〜3のいずれかに記載の果実袋原紙。
【請求項5】
密度が、0.5〜0.7g/cm3である、請求項1〜4のいずれかに記載の果実袋原紙。
【請求項6】
ワックスが塗工されていない、請求項1〜5のいずれかに記載の果実袋原紙。
【請求項7】
ザラ面の王研式平滑度が5〜20秒、艶面の王研式平滑度が100〜700秒である果実袋原紙の製造方法であって、
苛性アルカリで活性化処理を行ったポリアミンエピクロルヒドリン樹脂、硫酸アルミニウムおよびパルプを含有するパルプスラリーを調成する工程、調成したパルプスラリーから湿紙を抄造し、ヤンキードライヤーを用いて乾燥させる工程、を含む、上記方法。
【請求項8】
請求項1〜6に記載の果実袋原紙を用いて製造した果実袋。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれかに記載の果実袋原紙を袋加工する工程を含む、果実袋の製造方
法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、果実袋原紙およびその製法、さらには果実袋原紙を用いた果実袋およびその製法に関する。特に本発明の果実袋原紙は、苛性アルカリで活性化処理を行ったポリアミンエピクロルヒドリン樹脂を湿潤紙力剤として添加することにより製造される。本発明の果実袋原紙は、湿潤強度を高められているため、果実袋に用いると、耐水性や耐候性に優れた果実袋原紙を製造することができる。
【背景技術】
【0002】
従来から、果樹栽培において、果実を覆うための果実袋が使用されている。果実袋は、果実を病害や虫害、風雨、散布薬剤などから保護することはもちろん、果実の外観(肌色など)をよくするため、さらには、果実の生育を促進するために広く使用されており、一重の果実袋または複数の果実袋を重ねた多重果実袋などが用いられている。
【0003】
果実袋は、一般的には2〜4カ月程度果実にかけられ、屋外で使用されるため、雨、風、日光等への耐候性、耐水性、耐久性を求められている。そのため、果実袋に使用する原紙もそれらの性能を求められる。一般に、紙はセルロース繊維が水素結合でシート形態を取っているため、水によって水素結合が崩れてしまう。そのため、紙製の果実袋の場合、原紙に耐水性を付与するため、湿潤紙力剤を用いることが多い。
【0004】
特許文献1には、紙支持体上にワックスエマルジョン、合成樹脂ラテックス、およびアクリル系合成保水剤を含む撥水塗料を塗工した果実袋用紙が開示されている。
【0005】
特許文献2には、特定の湿潤紙力剤と特定の定着剤を原紙に使用し、ホルマリンを発生しない湿潤紙力増強剤を用い、優れた湿潤紙力強度を有し、ワックス加工性や撥水加工性に優れた果実袋原紙が記載されている。
【0006】
特許文献3には、加熱鏡面ドライヤーを使用する果実袋原紙において、有機顔料と無機顔料の配合比を特定の範囲とすることで、光沢度、平滑度、透気度を特定の範囲にした果実袋原紙が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013-170327号公報
【特許文献2】特開2010−63418号公報(特許第4767297号)
【特許文献3】特開2003−105698号公報(特許第4276802号)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の果実袋原紙は、場合によって耐水性などの耐候性が十分でないことがあり、さらに優れた耐候性を有する果実袋原紙を開発する必要があった。
【0009】
このような状況に鑑み、本発明は、耐久性や耐水性などの耐候性に優れた果実袋原紙を製造する技術を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明者らは鋭意研究開発を進め、苛性アルカリで活性化処理を行ったポリアミンエピクロルヒドリン樹脂を湿潤紙力剤として添加したパルプスラリーを抄紙機で抄紙することによって、上記課題を解決する事ができた。
【0011】
すなわち、これに限定されるものではないが、本発明は以下の発明を含む。
(1) 苛性アルカリで活性化処理を行ったポリアミンエピクロルヒドリン樹脂を湿潤紙力増強剤として添加したパルプスラリーから抄紙して得られる果実袋原紙。
(2) 透気抵抗度が100秒以下である、(1)に記載の果実袋原紙。
(3) ヤンキードライヤーを用いて乾燥させて得られる、(1)または(2)に記載の果実袋原紙。
(4) 洗濯試験における耐久時間が100時間以上である、(1)〜(3)のいずれかに記載の果実袋原紙。
(5) 使用する全パルプに対して、針葉樹晒クラフトパルプを50重量%以上含む、(1)〜(4)のいずれかに記載の果実袋原紙。
(6) 密度が、0.5〜0.7g/cm
3である、(1)〜(5)のいずれかに記載の果実袋原紙。
(7) ワックスが塗工されていない、(1)〜(6)のいずれかに記載の果実袋原紙。
(8) 苛性アルカリで活性化処理を行ったポリアミンエピクロルヒドリン樹脂およびパルプを含有するパルプスラリーを調成する工程、調成したパルプスラリーから湿紙を抄造し、ヤンキードライヤーを用いて乾燥させる工程、を含む、果実袋原紙の製造方法。
(9) (1)〜(7)に記載の果実袋原紙を用いて製造した果実袋。
(10) (1)〜(7)のいずれかに記載の果実袋原紙を袋加工する工程を含む、果実袋の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明の果実袋原紙は、優れた湿潤紙力強度を有し、果実袋として好適な耐候性を十分に備えている。本発明の果実袋原紙は、ワックス加工や撥水加工をしてもよいが、そのような加工をしなくても果実袋として好適に使用することができる。
【0013】
また、本発明の果実袋原紙は、透気度などの特性も果実袋として適しており、例えば、透気度を調整することによって果実周辺の微気象を制御し、果実の生育をコントロールすることも本発明によれば容易になる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
果実袋とは、果実を生育期に包み込み、果実を保護する袋である。果実を果実袋で覆うことにより、強い太陽光や雨風などから果実を守ることができるだけでなく、病気を防ぎ、農薬散布時に直接農薬がかからないようにすることができる。また、果実袋を果実に被せることによって、果実の色づきを補助し、見た目、肌色のよい果実を得ることができる。
【0015】
本発明の果実袋原紙は、種々の果実に用いる果実袋に使用することができる。例えば、梨袋、りんご袋、ブドウ袋、桃袋、マンゴー袋、キウイ袋、みかん袋、びわ袋などの果実袋に、本発明の果実袋原紙を使用することができる。
【0016】
また果実袋は、透気度(通気性)や耐水性、光透過性を適宜調整することによって、果実周辺の微気象をコントロールし、それによって、果実の生育を調整するためにも使用される。例えば、防寒性が必要な場合には、断熱性に優れた果実袋原紙を使用して、袋内の温度を高めて幼果の生育を促進することが可能である。また、好ましい態様において、本発明の果実袋原紙には適度に通気性を持たせることが好ましく、例えば、透気抵抗度を100秒以下にしてもよく、80秒以下、さらには50秒以下としてもよい。特に通気性が高い方がよい場合は、果実袋原紙の透気抵抗度を35秒以下、25秒以下、15秒以下としてもよい。
【0017】
本発明において、果実袋原紙とは、紙製果実袋に用いる原紙を言う。果実袋原紙は、そのまま袋状に加工し果実袋とする場合もあるし、ワックスやロウなどを塗布し撥水加工を付し、果実袋とする場合もある。また、紙以外の素材(樹脂製フィルムなど)と組み合わせて果実袋としてもよい。
【0018】
本発明の果実袋原紙は、パルプをシート状にした紙を制限なく使用する事ができるが、価格や入手が容易である事、果実から外すときに破りやすいなど農家での作業性がよいという点から、木材パルプを主成分とする紙を用いる事が好ましい。木材パルプとしては、化学パルプ(針葉樹の晒または未晒クラフトパルプ、広葉樹の晒または未晒クラフトパルプ等)、機械パルプ(グラウンドパルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミカルサーモメカニカルパルプ等)、脱墨パルプ等のパルプを単独または任意の割合で混合して使用することができる。
【0019】
一つの態様において、晒パルプを用いて原紙を抄造することができる。本発明によれば湿潤強度の高い紙が得られるため、紙力の弱い晒パルプを使用した場合に本発明の効果を大きく享受することができる。
【0020】
本発明の果実袋原紙の原料パルプは、針葉樹パルプ(NP)を50重量%以上含むことが好ましい。より好ましくは、60重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上である。針葉樹パルプを50重量%以上とすることにより、原紙の強度を高くし、耐久性を向上させることができる。針葉樹パルプは、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)や針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)などを好適に使用することができる。
【0021】
本発明の原料パルプの濾水度(カナダ標準フリーネス:CSF)は、特に限定されないが、200ml〜600ml程度が好ましい。本発明において、叩解は広葉樹パルプと針葉樹パルプを別々に叩解してもよいし、混合して叩解してもよい。
【0022】
一般的に、漂白処理をした晒パルプよりも、漂白処理をしない未晒パルプを用いる方が、紙力の強い紙を製造できるが、本発明においては、未晒パルプを使用しなくても湿潤紙力の高い果実袋原紙を製造することができる。
【0023】
基材を抄紙する際のpHは、酸性、中性、アルカリ性のいずれでも良く、基材の坪量は特に制限されない。また、基材には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて硫酸バンド、サイズ剤、各種紙力増強剤、歩留まり向上剤、着色剤、染料、消泡剤、pH調整剤等の助剤を含有しても良い。
【0024】
本発明における基材となる原紙の抄紙方法は特に限定されず、トップワイヤー等を含む長網抄紙機、オントップフォーマー、ギャップフォーマ、丸網抄紙機、ヤンキーマシン等を用いて行うことができる。抄紙時のpHは、酸性、中性、アルカリ性のいずれでもよいが、酸性が好ましい。抄紙速度は、特に限定されない。
【0025】
本発明の果実袋原紙は、ヤンキードライヤーで乾燥させて製造することが好ましい。ヤンキードライヤー面に接触しない紙の面(以下ザラ面という)の平滑度がヤンキードライヤーへの接触面(以下艶面という)より低くなるので、例えば農家の作業者が、高所において果実を果実袋で包みこむときに、果実袋の裏面がザラザラしているので、片手(例えば親指と人差し指)だけで容易に果実袋を開くことが可能となり、作業性が向上する。
【0026】
本発明において果実袋原紙の坪量は特に限定されないが、20g/m
2〜100g/m
2が一般的に使用される。ある態様において果実袋原紙の坪量は、25〜80g/m
2であり、好ましくは、25g/m
2〜60g/m
2であり、より好ましくは25〜40g/m
2である。本発明の果実袋原紙の密度は、例えば、0.5〜0.7g/cm
3であることが好ましく、0.55〜0.70g/cm
3としてもよく、0.60〜0.70g/cm
3であってもよい。
【0027】
果実袋は、果実が色づくのを補助し、見た目もおいしい果実に仕上げるために果実に被せられるものであり、果実の仕上げの肌色に応じて様々な色に着色する場合がある。また、果実を収穫するまでの数か月間、果実に被せられ屋外で使用されるため、風雨にさらされても、果実袋の色が落ちて果実に色がつくことを防止し、また、破れないように耐水強度などの耐候性が高いことが望まれる。
【0028】
そのため、果実袋原紙には、顔料・染料の定着と耐湿強度を向上させるため、一般に湿潤紙力増強剤を添加する。湿潤紙力増強剤は、果実袋原紙の原料パルプスラリーに添加し、そのパルプスラリーを用いて抄紙することによって果実袋原紙が製造される。
【0029】
本発明の湿潤紙力増強剤としては、カチオン性の湿潤紙力増強剤が好ましく、弱酸性からアルカリ性のpH領域で効果を発揮するポリアミンエピクロルヒドリン樹脂を含む。
【0030】
本発明のポリアミンエピクロロヒドリン樹脂は、アミノクロロヒドリンが水酸化ナトリウムなどの苛性アルカリと反応してエポキシ基に変換され、このエポキシ基がパルプと反応して、湿潤紙力を発現する。そのため、パルプスラリーに添加する前に苛性アルカリ水溶液などによる活性化処理が必要である。前記反応に際してポリアミンエピクロルヒドリン樹脂と苛性アルカリの割合は固形分比で6:1〜8:1が望ましい。苛性アルカリは、苛性ソーダが好ましい。
【0031】
本発明において、原紙にキュアをすることにより、パルプ繊維と前記ポリアミンエピクロルヒドリン樹脂の架橋反応等を進ませ、湿潤強度を十分に高くすることができる。キュアの条件は特に制限されないが、例えば、100℃〜120℃で10分程度キュアリングしてもよい。
【0032】
本発明においては、ポリアミンエピクロルヒドリン樹脂以外の湿潤紙力剤を併用することもできる。また、本発明では、湿潤紙力剤の他に、カチオン化澱粉などの澱粉、ポリアクリルアミドやポリビニルアルコールなどのポリマーなどの乾燥紙力増強剤を併用してもよい。
【0033】
本発明において、苛性アルカリで活性化処理を行ったポリアミンエピクロルヒドリン樹脂は、原料パルプの固形分重量に対して、0.5重量%以上添加することが好ましく、0.8重量%以上添加することがより好ましい。効果が頭打ちになることを勘案して、添加量の上限は7.0重量%以下とすることが好ましく、4.0重量%以下がより好ましく、2.0重量%以下がさらに好ましい。0.5重量%未満であると十分な湿潤紙力が発揮できない場合があり、7.0重量%を超えると地合が悪くなったり、抄紙機に汚れが発生する場合がある。
【0034】
本発明の果実袋原紙は、必要に応じて、有色または着色した有機・無機顔料、有機・無機染料を使用して、その色調や光透過性を調整することができる。但し、染料、顔料の種類により湿潤紙力増強剤の耐湿性付与効果が阻害されることがあるため注意が必要である。
【0035】
前記有機顔料、無機顔料、有機染料、無機染料については、果実袋を所望の色調に調整するため、有機顔料を主体とすることが望ましい。前記有機顔料の種類は単独もしくは複数の種類を組み合わせて添加する。必要に応じて無機顔料、有機染料および無機染料を前記有機顔料と同様に追加して添加してもよい。以上のようにすることで、果実袋の耐光性が向上し、退色を抑えることが可能となる。
【0036】
本発明の果実袋原紙の白色度は、果実袋原紙の色に応じて適宜調整できる。本発明においては、白色度を上げるために、晒パルプを使用した場合においても、紙力を落とさずに湿潤紙力強度を維持することができる。白色度の範囲はその色調により、例えば、4〜98%に設定することができ、30〜90%に設定してもよい。
【0037】
本発明において、ヤンキードライヤーで乾燥した果実袋原紙の平滑度(JIS P8155王研式平滑度)はザラ面が5〜20秒であることが前記作業性向上の面から望ましい。艶面の(王研式平滑度計)の平滑度の範囲は100〜700秒が望ましい。
【0038】
本発明の果実袋原紙を用いて製造した果実袋は、果実の保護等に好適に使用できる。ある態様においては、果実袋は、果実袋原紙を袋加工することによって製造することができる。すなわち、必要に応じて、果実袋原紙にワックス加工や撥水加工を施したり、色を塗って色調を調整した後、果実袋原紙を公知の方法によって袋加工すればよい。
【実施例】
【0039】
以下に具体的な実験例を示して、本発明をさらに詳述するが、これにより限定されるものではない。また、特に断らない限り、以下に記載する「部」及び「%」は、それぞれ「重量部」及び「重量%」を示す。また、本発明において特に記載しない限り、数値範囲はその端点を含むものとして記載される。
【0040】
測定方法
・坪量:JIS P8124に準じて測定した(単位:g/m
2)。
・カナダ標準フリーネス(CSF):JIS P8121に準じ測定した(単位:ml)。
・透気抵抗度:JIS P8117(王研式)に準じ測定した(単位:秒)。一定量の空気が紙の表面(裏面)から裏面(表面)へ抜ける時間を意味し、数値が大きい程、高緊密で空気が通りにくいことを示す。
・白色度:JIS P8123に準じ測定した(%)。値が大きい方が白いことを示す。
・洗濯試験:6cm×6cmの大きさに裁断した果実袋原紙サンプル20枚を、40リットルの水を張った洗濯槽に投入し、通常の回転速度で洗濯槽を回す。24時間おきにサンプルを取出し、破れているかどうか確認する。
【0041】
果実袋原紙の製造と評価
[実施例1]
パルプ原料として、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP、CSF:460ml)70部と広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP、CSF:300ml)30部を使用した。この混合パルプ100部に対して、苛性ソーダで活性化処理を行ったポリアミンエピクロルヒドリン樹脂(WS4010、星光PMC製湿潤紙力増強剤)を0.9重量%(対パルプ乾燥重量)、ポリアクリルアミド(乾燥紙力増強剤)を0.3部、硫酸アルミニウム、サイズ剤を配合した紙料を調成した。抄紙機を用いてこの紙料から湿紙を抄造して、ヤンキードライヤーによって湿紙を乾燥して、坪量約33g/m
2の果実袋原紙を得た。
【0042】
また、この果実袋原紙を袋状に加工し、果実袋を製造した。
【0043】
[実施例2]
DDR叩解機を用いて、パルプ原料として針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP、CSF:410ml)50部と広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP、CSF:280ml)50部を使用し、このパルプ100部に対して、苛性ソーダで活性化処理を行ったポリアミンエピクロルヒドリン樹脂(WS4010、星光PMC製湿潤紙力増強剤)を0.9重量%(対パルプ乾燥重量)、ポリアクリルアミド(乾燥紙力増強剤)を0.3部、硫酸アルミニウム、サイズ剤を配合した紙料を調成した。この紙料を用いてヤンキードライヤー式抄造機で抄造して、坪量28g/m
2の果実袋原紙を得た。
【0044】
[実施例3]
DDR叩解機を用いて、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)を30部、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)70部を混合叩解した(CSF:510ml)。この混合パルプ100部に対して、苛性ソーダで活性化処理を行ったポリアミンエピクロルヒドリン樹脂(WS4010、星光PMC製湿潤紙力増強剤)を4.0重量%(対パルプ乾燥重量)、硫酸アルミニウム、サイズ剤を配合した紙料を調成し、長網抄紙機で抄造して、坪量45g/m
2の果実袋原紙を得た。
【0045】
[比較例1]
DDR叩解機を用いて、パルプ原料として針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP、CSF:340ml)30部と広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP、CSF:270ml)80部を使用し、このパルプ100部に対して、ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂(WS4020、星光PMC製湿潤紙力増強剤)を1.25重量%(対パルプ乾燥重量)、硫酸アルミニウム、サイズ剤を配合した紙料を調成した。この紙料を用いてヤンキードライヤー式抄造機で抄造して、坪量30g/m
2の果実袋原紙を得た。
【0046】
[比較例2]
DDR叩解機を用いて、パルプ原料として針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP、CSF:360ml)50部と広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP、CSF:280ml)50部を使用し、このパルプ100部に対して、ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂(WS4020、星光PMC製湿潤紙力増強剤)を1.5重量%(対パルプ乾燥重量)、カチオン化澱粉(乾燥紙力増強剤)0.3部、硫酸アルミニウム、サイズ剤を配合した紙料を調成した。この紙料を用いてヤンキードライヤー式抄造機で抄造して、坪量27g/m
2の果実袋原紙を得た。
【0047】
【表1】
【0048】
表に示すように、本発明の実施品(実施例1〜3)は、洗濯試験を10日間以上行ってもサンプルが破れておらず、極めて湿潤強度が高いことが確認できた。一方、比較例1や比較例2の果実袋原紙は、洗濯試験を2日間実施した段階でサンプルが破れてしまった。