(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら、本実施形態について詳細に説明する。以下の説明において、同一の機能及び構成を有する要素については、同一符号を付す。
【0008】
[実施形態]
図1乃至
図13を参照して、実施形態に係る半導体デバイス及び半導体デバイスの製造方法について、説明する。
【0009】
(1) 第1の実施形態
図1乃至
図11を参照して、第1の実施形態の半導体デバイス及び半導体デバイスの製造方法について、説明する。
【0010】
(a)構成例
図1は、第1の実施形態の半導体デバイスを説明するための概略図である。
【0011】
図1に示されるように、ストレージデバイス(メモリシステム)5は、半導体メモリ50及びメモリコントローラ55を含む。
【0012】
ストレージデバイス5は、インターフェイス(ホストインターフェイス)を介して、ストレージデバイス5の外部のホストデバイス(図示せず)に結合されている。
ホストデバイスの要求に応じて、データが、半導体メモリ50とメモリコントローラ55との間において、転送される。半導体メモリ50の動作は、メモリコントローラ55によって、制御される。メモリコントローラ55は、ホストデバイスからの要求に基づいて、半導体メモリ50の動作を制御するためのコマンド及び制御信号を、半導体メモリ50に出力する。半導体メモリ50は、半導体メモリ50の動作状況を、メモリコントローラ55に通知する。
【0013】
ストレージデバイス5において、半導体メモリ50及びメモリコントローラ55は、パッケージ基板500上に設けられている。
【0014】
半導体メモリ(以下では、メモリパッケージ又はパッケージデバイスともよぶ)50は、1つのパッケージ内に、複数の半導体デバイス(半導体チップ)1を含む。
各半導体デバイス1は、回路エリア900と、外部接続端子エリア909とを有する。
図1において、外部接続端子エリア909は、回路エリア900とチップの端部との間に、設けられている。但し、外部接続端子エリア909は、2つの回路エリア900の間に設けられてもよい。
【0015】
回路エリア900内に、半導体集積回路(メモリ回路)が設けられている。
外部接続端子エリア909内に、複数の外部接続端子58が、設けられている。外部接続端子58は、データの入出力のための端子、各種の制御信号の入出力のための端子などである。
【0016】
半導体メモリ50において、複数の半導体デバイス1は、パッケージ基板500の表面に対して垂直方向に積層されている。半導体デバイス1の積層体において、上層の半導体デバイス(半導体チップ)1の外部接続端子エリア909が、下層の半導体デバイス1の外部接続端子エリア909と重なるように、複数の半導体デバイス1は、パッケージ基板500上に設けられている。
【0017】
例えば、外部接続端子58は、半導体チップ1の表面及び裏面に設けられたバンプ18、及び、貫通ビア17を含む。バンプ(又はパッド)18は、半導体チップ1内の配線及びTSV(Through Silicon Via)方式の貫通ビア17を介して、半導体集積回路に接続されている。
【0018】
尚、
図1において、説明の簡略化のために、外部接続端子58が、半導体チップ1の一辺に沿って設けられた例が図示されている。但し、外部接続端子58は、半導体チップ1の複数の辺に沿って設けられてもよい。
【0019】
半導体デバイス1の外部接続端子58は、パッケージ基板500上(又はパッケージ基板500の内部)の配線590を介して、メモリコントローラ55の外部接続端子に接続される。これによって、半導体メモリ50(半導体デバイス1)及びメモリコントローラ55は、データ及び各種の制御信号の送受信を、実行する。
【0020】
図2は、実施形態の半導体デバイスの構造例を模式的に示す断面図である。尚、
図2において、本実施形態における半導体デバイスの主要部を抽出して、示している。
【0021】
半導体基板11は、例えば、シリコン基板である。半導体基板11の厚さは、例えば、30μm〜50μmの範囲内にある。
【0022】
半導体基板11の表面FS側において、回路エリア900内に、半導体集積回路が設けられている。半導体デバイス1は、例えば、NAND型フラッシュメモリである。半導体デバイス1がNAND型フラッシュメモリである場合、メモリセルアレイ100及び複数の回路(以下では、周辺回路とよばれる)101が、半導体集積回路として、半導体基板11上に設けられている。
【0023】
メモリセルアレイ100及び周辺回路101内において、素子は、素子分離絶縁膜19によって区画されたアクティブ領域内に、設けられている。
メモリセルアレイ100は、1以上のメモリセルMCを含む。メモリセルMCは、電荷蓄積層21及び制御ゲート電極23を含む。電荷蓄積層21は、半導体基板11の表面FS上のトンネル絶縁膜20を介して、半導体基板11の上方に、設けられている。電荷蓄積層21と制御ゲート電極23との間には、ブロック絶縁層22が、設けられている。
【0024】
例えば、電荷蓄積層21は、浮遊ゲート電極(例えば、ポリシリコン層)及び電荷トラップ膜(例えば、窒化シリコン膜)の少なくとも一方を含む。制御ゲート電極23は、例えば、金属の単層構造、導電性化合物の単層構造、及び、金属と導電性化合物の積層構造などのうち選択された1つを、有する。例えば、制御ゲート電極23に用いられる材料は、タングステン(W)、ニッケルシリサイド(NSi)などである。制御ゲート電極23は、シリサイド(又は金属)とブロック絶縁層22との間において、ドープトポリシリコン層を含んでいてもよい。
【0025】
メモリセルアレイ100は、セレクトトランジスタSTを含む。セレクトトランジスタSTは、メモリセルMCと共通の工程で形成され、メモリセルMCに類似した構造を有する。但し、セレクトトランジスタSTにおいて、ブロック絶縁層22A内に設けられた開口部を介して、導電層(ゲート電極層)23Aが、ゲート絶縁膜20A上の層21Aに接続されている。
【0026】
周辺回路101は、メモリセルアレイ100の動作を制御する。周辺回路101は、複数の電界効果トランジスタTrを含む。電界効果トランジスタTrは、セレクトトランジスタSTと類似の構造を有する。
【0027】
トランジスタTrは、半導体基板11の表面FS上のゲート絶縁膜29と、ゲート絶縁膜29上の第1の層21Tと、第1の層21T上方の第2の層23Tと、ソース/ドレイン領域24Tを含む。例えば、第1の層21Tと第2の層23Tとの間に、開口部を有する絶縁層22Tが、設けられている。
【0028】
トランジスタTrは、例えば、メモリセルMC及びセレクトトランジスタSTと共通の工程で同時に形成される。但し、トランジスタTrは、メモリセルアレイ100内の素子MC,STと異なる工程で形成されてもよい。例えば、ゲート絶縁膜29は、セレクトトランジスタSTのゲート絶縁膜と異なる工程で、形成される。
【0029】
回路エリア900及び外部接続端子エリア909において、半導体基板11の表面FS上に、多層配線構造の層間絶縁膜14及び配線85(85A,85B,85C,85D)が設けられている。層間絶縁膜14上に、第1のパッシベーション層(例えば、窒化シリコン層)91及び第2のパッシベーション層(例えば、ポリイミド層)92が、設けられている。
【0030】
層間絶縁膜14は、複数の絶縁膜(例えば、窒化シリコン膜及び酸化シリコン膜)の積層構造を有する。層間絶縁膜14の各層(配線レベル)内に、配線85がそれぞれ設けられている。互いに異なる配線レベルの配線85が、ビアプラグVPによって互いに接続される。例えば、配線85は、アルミニウム(Al)、タングステン(W)又は銅(Cu)を含む金属層である。半導体基板11上の素子MC,ST,Trは、コンタクトプラグCPを介して、配線85Aに接続される。
【0031】
これによって、半導体基板11上の複数の素子(回路)が互いに接続され、所望の機能を有する半導体集積回路(ここでは、NAND型フラッシュメモリ)が、形成される。このように、回路エリア900内の半導体集積回路は、複数の素子MC,ST,Tr及び各種の配線85,CP,VPを含む。
【0032】
半導体基板11の外部接続端子エリア909内において、半導体基板11の表面FS側及び半導体基板11の裏面BS側に、外部接続端子としてのバンプ18(18A,18B)が設けられている。
本実施形態において、半導体基板11の表面FSは、メモリセルMCなどの素子が設けられた面(素子形成面)である。半導体基板11の裏面BSは、半導体基板11の表面FSとは反対側の面である。半導体基板11の表面FSに対して垂直方向において、半導体基板11の裏面BSは半導体基板11の表面FSに対向している。尚、半導体基板の表面と裏面とを区別しない場合において、半導体基板の表面(又は裏面)を、半導体基板の主面とよぶ。
【0033】
半導体基板11の表面FS側において、表面バンプ(表面電極)18Aが、パッシベーション層92上に設けられている。表面バンプ18Aは、配線85及びプラグVP,CPを介して、回路エリア900内の素子に接続されている。
【0034】
例えば、表面バンプ18Aは、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、金(Au)、錫(Sn)、及び錫合金のうち1つの材料を用いた単層構造である。または、表面バンプは、Ni、Cu、Au、Sn及びSn合金のうち複数の材料を用いた積層構造でもよい。
【0035】
半導体基板11の裏面BS側において、TSV方式の外部接続端子が、設けられている。
半導体基板11内に、貫通ビア(TSV)17が、設けられている。貫通ビア17は、半導体基板11内のビアホールVH1内に埋め込まれている。貫通ビア17は、半導体基板11の裏面BSから半導体基板11の表面FSに向かって延在している。貫通ビア17は、半導体基板11の表面側の部材(導電層13、配線85又はコンタクトプラグCP)に達する。絶縁層15は、半導体基板11と貫通ビア17との間に設けられている。
【0036】
裏面バンプ(裏面電極)18Bは、半導体基板11の裏面BS側に設けられている。裏面バンプ18Bは、半導体基板11の内の貫通ビア17上に設けられている。裏面バンプ18Bは、貫通ビア17を介して、半導体基板11の表面側の部材(導電層13、配線85、コンタクトプラグCP、及び表面ビア18A)に接続されている。
【0037】
また、裏面バンプ18Bは、他の半導体チップの外部接続端子(例えば、表面バンプ18A)に接続される。
【0038】
例えば、裏面バンプ18Bは、表面バンプ18Aと同様に、Ni、Cu、Au、Sn、及び錫合金のうち1つの材料を用いた単層構造、又は、Ni、Cu、Au、Sn及びSn合金のうち複数の材料を用いた積層構造である。
【0039】
半導体基板11の裏面BS上に、第3のパッシベーション層(絶縁層)16が設けられている。パッシベーション層16は、裏面バンプ18Bと半導体基板11とを絶縁する。パッシベーション層16は、例えば、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、又は、酸化シリコンと窒化シリコンとの積層膜である。
【0040】
例えば、リング状の絶縁層12が、半導体基板11の表面側の外部接続端子エリア909内に、設けられている。絶縁層12は、BSV(Back side via)プロセスにおいて半導体基板11内にビアホールVH1を形成する際のエッチングストッパとして機能する。
【0041】
図3及び
図4を参照して、
図1の半導体デバイスの貫通ビア(貫通電極)の構造例について、より具体的に説明する。
図3及び
図4は、本実施形態の半導体デバイスの貫通ビアの構造の一例を示している。
図4は、
図3のIV−IV線に沿う断面図である。
【0042】
半導体基板11の表面FS側において、開口部Z1を有する絶縁層12、及び、絶縁層12の開口部Z1上の導電層13が、設けられている。
【0043】
絶縁層12は、第1の開口部Z1を有する。
図3に示されるように、例えば、絶縁層12及びその開口部Z1は、半導体基板11の主面(表面/裏面)に対して垂直方向から見て、円形の平面形状を有する。絶縁層12は、円形のリング状の構造を有している。但し、絶縁層12及び開口部Z1の平面形状は、多角形状(例えば、四角形状、八角形状)又は楕円形状でもよい。
【0044】
絶縁層12は、例えば、酸化シリコン層である。絶縁層12の厚さは、0.3μm程度である。絶縁層12は、素子分離絶縁膜19と同じ材料を含む。絶縁層12は、例えば、素子分離絶縁膜19と同時に形成される。
【0045】
導電層13は、例えば、絶縁層12の開口部Z1上方に配置されている。導電層13は、貫通ビア17(及び裏面バンプ18B)の接続対象となる。導電層13は、半導体基板11の表面FS側の配線85及びビアプラグVPなどを介して、表面バンプ18A又は半導体集積回路に接続されている。導電層13は、層間絶縁膜14に覆われる。
【0046】
導電層13は、金属層及び導電性化合物層の少なくとも一方を含む単層構造を有する。例えば、導電層13は、タングステン(W)又はニッケルシリサイド(NiSi)を含む。導電層13は、金属層及び導電性化合物層(例えば、シリサイド層)を含む積層構造でもよい。また、導電層13は、例えば、ドープトポリシリコン層を含む積層構造でよい。
【0047】
導電層13は、例えば、トランジスタTrのゲート電極23T(メモリセルMCの制御ゲート電極23)と同時に形成される。それゆえ、導電層13のある部分は、トランジスタTrのゲート電極23Tと同じ材料を含む。
【0048】
貫通ビア17は、絶縁層12の開口部Z1内を通過して、半導体基板11の裏面BS側から表面FS側に達する。貫通ビア17は、導電層13に接続される。
【0049】
例えば、貫通ビア17は、積層構造を有してもよい。
積層構造の貫通ビア17は、第1の金属層170を含む。積層構造の貫通ビア17は、第1の金属層170と絶縁層15との間に、第2の金属層179を含む。第2の金属層179は、絶縁層15を介して、ビアホールVH1(半導体基板11)の側壁上に設けられている。以下では、第2の金属層179のことを、側壁金属層179とよぶ。例えば、第2の金属層179は、バリアメタルとして機能する。
【0050】
絶縁層12の開口部Z1内において、側壁金属層179が、絶縁層12の側壁上に設けられている。貫通ビア17の側部は、絶縁層12の側壁に接触してもよい。また、貫通ビア17と絶縁層12の側壁との間に、絶縁層15が設けられていてもよい。
【0051】
金属層170は、例えば、Ni又はCuのうち少なくとも1つの材料を用いた金属膜である。側壁金属層179は、例えば、Ti、Cu及びWのうち少なくとも1つの材料の単層膜である。但し、側壁金属層179は、Ti、Cu、Wのうち複数の材料の積層膜でもよい。
【0052】
尚、貫通ビア17(例えば、金属層179)と導電層13との間に、ドープトポリシリコン層が設けられていてもよい。
【0053】
半導体基板11と貫通ビア17との間の絶縁層15は、貫通ビア17を半導体基板11貫通ビア17から分離する。絶縁層15によって、半導体基板11と貫通ビア17とが絶縁される。絶縁層15は、例えば、酸化シリコン層である。以下では、説明の明確化のために、絶縁層15のことを、スペーサー層(又はスペーサー絶縁層)とよぶ。
【0054】
本例では、貫通ビア17は、半導体基板11の主面に対して垂直方向から見て、円形の平面形状を有する。
【0055】
また、貫通ビア17は、例えば、テーパー状の断面形状を有する。半導体基板11主面に対して平行方向における貫通ビア17の寸法(例えば、直径)に関して、例えば、半導体基板11の裏面側におけるビア17の寸法は、半導体基板11の表面側におけるビア17の寸法より大きい。
【0056】
貫通ビア17は、半導体基板の主面に対して垂直方向における半導体基板11の裏面BSから絶縁層12の底部(絶縁層12の半導体基板の裏面側の面)までの範囲内において、寸法W2を有する。寸法W2は、開口部Z1の寸法W1以上である。例えば、開口部Z1内における貫通ビア17の寸法は、例えば、開口部Z1の寸法W1に等しい。
【0057】
本実施形態の半導体デバイス1において、後述の半導体デバイスの製造方法のように、BSVプロセスによる貫通ビア(TSV)17の形成時に、ビアホールVH1内における半導体基板11の加工面(シリコン基板の側壁)に対する水素雰囲気中のアニール処理、及び、スペーサー層(絶縁層)15に対する水素雰囲気中のアニール処理が、実行される。
【0058】
本実施形態の半導体デバイス1において、水素雰囲気中のアニール処理によって、ビアホールVH1内における半導体基板11とスペーサー層15との界面において、半導体基板11におけるシリコンのダングリングボンド(未結合手、表面準位)は、水素と結合している。
【0059】
これによって、ビアホールVH1内においてスペーサー層15と半導体基板11との界面(ビアホールの形成によって生じた半導体基板11の加工面)は、不活性化する。本実施形態の半導体デバイスは、半導体基板11とスペーサー層15との界面におけるシリコンのダングリングボンドが、正孔又は電子をトラップするのを、抑制できる。
【0060】
この結果として、本実施形態の半導体デバイス1は、正孔又は電子のトラップ(固定電荷)に起因した貫通ビア17の容量成分(容量特性)の変動を、抑制できる。
【0061】
また、スペーサー層15に対するアニール処理によって、スペーサー層15が含んでいる水分が、除去される。さらに、アニール処理が、水素雰囲気中で実行されることによって、スペーサー層(例えば、酸化シリコン層)15内のシリコンのダングリングボンドが、水素と結合する。
【0062】
これによって、本実施形態の半導体デバイスは、スペーサー層15に含まれる水分及びダングリングボンド(及びダングリングボンドによって生じる固定電荷)に起因した貫通ビアの容量成分の変動を、抑制できる。
【0063】
尚、本実施形態の半導体デバイスにおいて、例えば、水素雰囲気中のアニール処理が実行されることによって、絶縁層15を介して貫通ビア17の側面に対向する半導体基板11内の領域119は、水素を含む場合がある。この場合、半導体基板11は、水素を含まない領域(以下では、シリコン単結晶領域とよぶ)111と、水素を含む領域(以下では、水素含有領域とよぶ)119とを含む。
【0064】
以上のように、本実施形態の半導体デバイス1は、貫通ビアの容量成分の変動を抑制できる結果として、半導体デバイスの動作の安定化を図ることができる。
【0065】
したがって、本実施形態の半導体デバイスは、高い信頼性を有する半導体デバイスを、提供できる。
【0066】
(2) 製造方法
図5乃至
図11を参照して、本実施形態の半導体デバイスの製造方法について説明する。尚、ここでは、
図5乃至
図11に加えて、
図1乃至
図4も適宜用いて、本実施形態の半導体デバイスの製造方法を、説明する。
【0067】
本実施形態の半導体デバイスの製造方法において、半導体基板11の表面側において、一般的なフロントエンドプロセスにより、半導体基板11の回路エリア900及び外部接続端子エリア909において、半導体集積回路の素子及び素子分離絶縁膜が、順次形成される。
回路エリア900内において、半導体集積回路がNAND型フラッシュメモリである場合、半導体集積回路の素子としてのメモリセルMC及び各種のトランジスタST,Tr、素子分離絶縁膜などが、形成される。
【0068】
例えば、半導体基板11の表面側における外部接続端子エリア909内の構成部材は、回路エリアに対する製造工程と実質的に共通のプロセスで、形成されることが好ましい。半導体基板11の表面側における外部接続端子の構成部材は、以下のように形成される。
【0069】
図5乃至
図11は、本実施形態の半導体デバイス(例えば、NAND型フラッシュメモリ)の製造方法における貫通ビア(TSV)の形成工程の断面工程図を示している。
【0070】
図5に示されるように、外部接続端子エリア909内において、半導体基板11の表面上に、絶縁層(マスク層)70が形成される。フォトレジスト層71が、絶縁層70上に、形成される。
【0071】
フォトレジスト層71は、リソグラフィ及びエッチングにより、円形状の開口パターンを有するように、パターニングされる。
【0072】
フォトレジスト層71をマスクに用いて、異方性エッチング(例えば、RIE)により、絶縁層70及び半導体基板11がエッチングされる。これによって、半導体基板11の表面FS側において、円形状の平面形状を有するトレンチX1が、半導体基板11内に形成される。
尚、トレンチX1(フォトレジスト層71の開口パターン)の平面形状は、多角形状(例えば、八角形状及び四角形状)、又は、楕円形状などでもよい。
【0073】
トレンチX1が形成された後、フォトレジスト層71は除去される。
【0074】
図6に示されるように、絶縁層(例えば、酸化シリコン層)12が、トレンチX1内を満たすように、半導体基板11内に形成される。絶縁層12は、例えば、SOG(Spin On Glasses)法によって、半導体基板11上に、堆積される。
【0075】
トレンチ外の絶縁層12Xは、例えば、絶縁層70をストッパとして、CMP(Chemical Mechanical Polishing)により、除去される。これによって、絶縁層12Xが研削され、絶縁層12の上部が平坦化される。
【0076】
さらに、絶縁層12の上部がウェットエッチングによりエッチングされる。このエッチングによって、絶縁層70間の絶縁層12Xは、除去され、絶縁層12の上部の位置が、半導体基板11の表面FSの位置程度に調整される。但し、絶縁層12の上部の位置を調整するためのエッチングは、省略されてもよい。
【0077】
このように、円形状の平面形状を有する絶縁層(BSVプロセスにおけるエッチングストッパ)12が、半導体基板11のトレンチ内に、形成される。
尚、外部接続端子エリア909内における円形状(又は多角形状)の平面形状を有する絶縁層12は、例えば、回路エリア900内の素子分離絶縁膜と、実質的に同時に形成されることが望ましい。
【0078】
絶縁層12の形成後、絶縁層70は、除去される。
【0079】
図7に示されるように、半導体基板11の表面FS側において、絶縁層12上方に、導電層13が、形成される。例えば、導電層13は、絶縁層12の上部上に、形成される。
【0080】
尚、外部接続端子エリア901内の導電層13は、回路エリア900内のメモリセルMCの制御ゲート電極23又はトランジスタTrのゲート電極23Tと、共通の工程で、同時に形成されることが好ましい。この場合、導電層13は、ゲート電極23,23Tと同じ材料からなる。例えば、導電層13は、例えば、タングステン層の単層構造、NiSi層の単層構造を有する。
【0081】
但し、回路エリア900内の素子の形成プロセス及び材料に応じて、導電層13は、シリサイド層と金属層との積層構造、又は、ポリシリコン層を含む積層構造を有してもよい。また、回路エリア900及び外部接続端子エリア901におけるプロセスの共通化に伴って、導電層13と半導体基板11との間に、電荷蓄積層21の材料と同じ材料を含む層(例えば、ポリシリコン層)が、形成されていてもよい。
【0082】
この後、一般的なバックエンドプロセスにより、半導体基板11の表面FS側に、層間絶縁膜14、配線85、プラグ(ビア及びコンタクト部)VP(CP)、及びパッシベーション層(図示せず)が、順次形成される(
図1参照)。
これによって、導電層13は層間絶縁膜14に覆われ、導電層13は、プラグ及び配線に接続される。さらに、表面バンプ(図示せず)が、配線85に接続されるように、パッシベーション層上に形成される。
【0083】
層間絶縁膜14(より具体的には、パッシベーション層及び表面バンプ)上に、接着剤が塗布され、支持基板80が貼り付けられる。
この後、半導体基板11の裏面BS側の部分11Xが、BSG(Back Side Grinding)などにより、研削される。これによって、半導体基板11の厚さが、30μm〜50μm程度に、設定される。
【0084】
図8に示されるように、半導体基板11の裏面BS上に、パッシベーション層16が、形成される。
リソグラフィ及びエッチングにより、外部接続端子エリア909内において、円形の開口部を有するフォトレジスト層89が、パッシベーション層16上に形成される。フォトレジスト層89の開口部は、ビアホール(貫通ビア)の形成領域に位置する。
【0085】
フォトレジスト層89をマスクに用いて、パッシベーション層16及び半導体基板(シリコン基板)11が、異方性エッチング(例えば、RIE)300によって選択的にエッチングされる。
【0086】
このようなBSVプロセスによって、半導体基板11内に、ビアホール(第2の開口部)VH1が、形成される。ビアホールVH1は、絶縁層12に達する。これによって、ビアホールVH1内において、絶縁層12の底部が露出する。
【0087】
ビアホールVH1を形成するためのエッチングは、半導体基板11と絶縁層12との間のエッチング選択比が、十分に大きくなる条件により実行される。例えば、HBr、SF
6、SiF
4、O
2などを含むエッチングガスが用いられる。これによって、ビアホールVH1の形成時において、半導体基板11としてのシリコンのみがエッチングされ、絶縁層12としての酸化シリコンはほとんどエッチングされない。
【0088】
例えば、ビアホールVH1のサイズ(半導体基板11の主面に対して平行方向の寸法)W2は、半導体基板11の裏面BSから絶縁層12までの範囲内において、後の工程で絶縁層12に形成される開口部のサイズ(半導体基板11の主面に対して平行方向の寸法)W1以上の値を有する。
【0089】
ビアホールVH1の形成のためのエッチング条件は、エッチング中に一定であってもよいし、エッチングの途中で変化させてもよい。
図9に示されるように、半導体基板11内にビアホールVH1が形成された後、水素雰囲気中のアニール処理400が実行される。
アニール処理400の温度は、例えば、100℃以上250℃以下の範囲に、設定される。水素を含むガス450が、アニール処理400中に、ガス供給口を介してアニール装置のチャンバ内に導入される。例えば、水素雰囲気を形成するためのガス450は、水素ガスと不活性ガス(例えば、アルゴンガス)とを含む混合ガスである。
【0090】
水素雰囲気中のアニール処理400によって、ビアホールVH1内における半導体基板(シリコン基板)11の露出した側壁において、シリコンのダングリングボンドDBは、水素と結合する。それゆえ、ビアホールVH1の形成工程において、半導体基板11の加工により露出した側壁(以下では、加工面ともよばれる)は、シリコンと結合した水素によって、終端される。これによって、ビアホールVH1内における半導体基板11の加工面は、非活性化される。
【0091】
例えば、水素雰囲気中のアニール処理によって、ビアホールVH1内の半導体基板11の側壁(加工面)の表層において、水素を含むシリコン領域119が、形成される場合がある。
【0092】
尚、アニール処理における水素雰囲気を形成するために水素ラジカルが、用いられてもよい。水素ラジカルが用いられることによって、シリコンのダングリングボンドと水素との結合が促進される。
水素雰囲気中のアニール処理において、水素雰囲気を形成するための水素ガスに、重水素ガスが用いられてもよい。重水素(
2H)の質量は、軽水素(
1H)の質量に比較して重く、重水素は、軽水素に比較して拡散しにくい。それゆえ、重水素とシリコンとの結合が切断されたとしても、重水素は、シリコンの終端(例えば、シリコンと絶縁層との界面)上に残留する傾向が強い。この結果として、重水素はシリコンのダングリングボンドDBと再結合し、シリコンの表面準位(界面準位)は低減される。
【0093】
このような、水素ラジカル及び重水素ガスの利用によって、ビアホールVH1内における半導体基板11の加工面及び絶縁層15のダングリングボンド(表面準位)を、低減できる。
【0094】
図10に示されるように、ビアホールVH1内における半導体基板11の側壁(加工面)上に、スペーサー層(例えば、酸化シリコン層)15が、形成される。例えば、スペーサー層15は、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法によって、比較的低い温度条件で形成される。
【0095】
形成されたスペーサー層15に対するアニール処理401が実行される。アニール処理401は、例えば、水素雰囲気中で実行される。
【0096】
アニール処理401によって、スペーサー層15としての酸化シリコン層内の水分(H
2O)が、除去される。また、アニール処理401に導入された水素ガス450により、酸化シリコン層内におけるシリコンのダングリングボンドDBが、水素と結合する。
【0097】
スペーサー層15に対するアニール処理401の温度は、例えば、100℃〜250℃程度の範囲のいずれかに設定される。また、スペーサー層15に対するアニール処理401において、水素ラジカル又は重水素ガスが、水素雰囲気を形成するために用いられてもよい。
【0098】
図11に示されるように、スペーサー層15に対するアニール処理の後、ビアホールVH1の底部側(開口部とは反対側の部分)において、絶縁層12上のスペーサー層15及び絶縁層12が、例えば、RIEによって除去される。これによって、ビアホールVH1内において、開口部Z1が絶縁層12内に形成され、導電層13が露出する。このように、半導体基板11の裏面BSから半導体基板11の表面FSに達する貫通孔VH1,Z1が、半導体基板11内に形成される。
【0099】
尚、例えば、スペーサー層15及び絶縁層12は、酸化シリコン層からなる。それゆえ、実質的に同じエッチング条件によって、スペーサー層15及び絶縁層12を、エッチングできる。また、スペーサー層15のエッチングと絶縁層12のエッチングとが、別の工程でエッチングされてもよい。スペーサー層15のエッチングと絶縁層12のエッチングが、別の工程でエッチングされる場合、ビアホールVH1の形成後において、絶縁層12のエッチングがアニール処理400の前に行われてもよい。
【0100】
また、導電層13がポリシリコン層を含む場合、又は、導電層13と半導体基板11の表面との間にポリシリコン層が形成されている場合、導電層13と貫通ビア17との接触抵抗を低減するために、スペーサー層15及び絶縁層12の除去後に、ポリシリコン層が除去されることが好ましい。
【0101】
この後、ビアホールVH1内及び絶縁層12の開口部Z1内に、導電体(例えば、金属)が埋め込まれ、BSV形式の貫通ビア(TSV)17が、導電層13上及びスペーサー層15上に形成される。貫通ビア17は、導電層13に接触する。
【0102】
例えば、貫通ビア17が、複数の導電体の積層構造(例えば、バリアメタル層と金属層)を有する場合、PVDにより、導電層13上及びスペーサー層15上に、例えば、Tiなどの側壁金属層(バリアメタル)179が、導電層13に接触するように、形成される。例えば、Ni(又はCu)の金属層170が、めっき法によって、側壁金属層179上に形成される。このように、積層構造の金属層170,179が、貫通ビア17として、ビアホールVH1内に充填される。
【0103】
例えば、貫通ビア17のサイズ(半導体基板の主面に対して平行方向の寸法)は、半導体基板11の裏面側から表面側に向かって、段階的に小さくなる(
図2参照)。それゆえ、本実施形態によれば、金属をカバレージ良く埋め込むことができる。この結果として、本実施形態において、貫通ビア17の信頼性を向上できる。
【0104】
貫通ビア17が形成された後、半導体基板11の裏面上に、裏面バンプが、例えば、めっき法によって形成される(
図4参照)。その後、リフロー処理が、半導体基板11に対して実行される。
【0105】
図5乃至
図11の製造方法によって形成された半導体デバイスを含む半導体基板(ウェハ)は、チップ状にダイシングされた後、ダイシングシート上において支持基板80が半導体デバイス1から除去される。これによって、
図2に示される小片化された半導体デバイス(半導体チップ)1が、形成される。
【0106】
以上の製造工程によって、本実施形態の半導体デバイス(例えば、NAND型フラッシュメモリ)が、形成される。
【0107】
例えば、複数の半導体デバイス1は積層され、パッケージ材によって、パッケージングされる。これによって、
図1のパッケージデバイス(メモリパッケージ)50が、形成される。パッケージデバイス50は、パッケージ基板500上に搭載される。
【0108】
(c) 効果
本実施形態の半導体デバイスの製造方法において、
図10に示される工程のようなビアホール後の水素雰囲気中のアニール処理によって、ビアホールVH1の形成によって生じる半導体基板11の側壁の表面準位(シリコンのダングリングボンド)は、水素と結合し、半導体基板11の側壁の表層は水素によって終端される。これによって、半導体基板11の側壁の加工面(表面準位)は、非活性化される。
【0109】
このように、本実施形態は、ビアホール内における半導体基板11とスペーサー層15との界面におけるシリコンのダングリングボンドを、低減でき、ダングリングボンドにおける正孔又は電子のトラップ(固定電荷の発生)を、抑制できる。
【0110】
また、本実施形態の半導体デバイスの製造方法において、
図11に示される工程のように、半導体基板11の側壁上のスペーサー層15に対するアニール処理によって、スペーサー層15内の水分が、除去される。
【0111】
これによって、本実施形態の半導体デバイスは、スペーサー層15内の水分の除去によって、スペーサー層(絶縁層)15の誘電率の上昇及び貫通ビア17の容量成分の変動などのような、スペーサー層15内の水分に起因した貫通ビア17の容量成分に対する悪影響が、抑制される。
【0112】
さらに、スペーサー層15に対するアニール処理が、水素雰囲気中で実行されることによって、本実施形態は、スペーサー層(例えば、酸化シリコン層)15に含まれるシリコンのダングリングボンドを、低減できる。この結果として、本実施形態の半導体デバイスは、スペーサー層15に起因する固定電荷の発生を、低減できる。
【0113】
それゆえ、本実施形態の半導体デバイス及びその製造方法は、貫通ビア17の容量成分が、半導体基板11及びスペーサー層15の固定電荷、スペーサー層15の水分に起因して、所望の設計値から変動するのを抑制できる。また、本実施形態の半導体デバイスは、半導体デバイスの動作中に、外部接続端子(貫通ビア17)に対する電位の印加による固定電荷の発生/消失に起因して、貫通ビアの容量成分が変動するのを、抑制できる。
【0114】
本実施形態によれば、半導体デバイス内の複数の外部接続端子における、半導体基板11とスペーサー層15との界面におけるダングリングボンド(界面準位)及びスペーサー層15中の水分に起因して、外部接続端子の容量成分が、複数の外部接続端子間でばらつくのを抑制できる。
【0115】
本実施形態によれば、半導体デバイス(例えば、NAND型フラッシュメモリ)が高速で信号(例えば、データ)を伝送する場合、信号の伝送速度が、外部接続端子の容量成分の変動に起因して異なる電位(信号レベル)間で異なるのを、抑制できる。
【0116】
図12は、本実施形態の半導体デバイスの製造方法の効果を説明するための図である。
【0117】
図12の(a)及び(b)は、基板電圧と貫通ビア(TSV)の容量との関係を示すグラフである。
図12の(a)のグラフは、参考例として、ビアホール形成後に半導体基板の側壁に対する水素雰囲気中のアニール処理が実行されない場合における、基板電圧と貫通ビアの容量との関係を示している。
図12の(b)のグラフは、本実施形態のように、半導体基板の側壁に対する水素雰囲気中のアニール処理が実行された場合における、基板電圧と貫通ビアの容量成分との関係を示している。尚、
図12の(b)において、水素雰囲気中のアニール処理の温度は、225℃に設定されている。
【0118】
図12の(a)及び(b)のそれぞれにおいて、グラフの横軸は、基板電圧(単位:V)に対応し、グラフの縦軸は、貫通ビアの容量成分(単位:pF)に対応する。
【0119】
また、
図12の(a)及び(b)において、ケース1〜ケース5のように、基板電圧の大きさの変化の向きが異なる場合における貫通ビアの容量成分が、それぞれ示されている。
【0120】
ケース1及び2は、基板電圧が−30Vから+30Vへ向かって変化された場合における、基板電圧と貫通ビアの容量成分との関係を示している。
ケース3は、基板電圧が+30Vから−30Vへ向かって変化された場合における、基板電圧と貫通ビアの容量成分との関係を示している。
ケース4は、基板電圧が+30Vから+10Vへ向かって変化された場合における、基板電圧と貫通ビアの容量成分との関係を示している。
ケース5は、基板電圧が−10Vから+30Vへ向かって変化された場合における、基板電圧と貫通ビアの容量成分との関係を示している。
【0121】
図12の(a)に示される参考例のように、ビアホール内における半導体基板の側壁に対して水素雰囲気中のアニール処理が実行されない場合、ケース1〜5(基板電圧の印加形式)毎に、基板電圧に対する貫通ビアの容量成分の変化特性は、半導体基板と絶縁層(スペーサー層)との界面の固定電荷の影響によって、異なる。
このように、
図12の(a)のように、水素雰囲気中のアニール処理が実行されない場合、貫通ビアの容量成分の特性は、不安定である。
【0122】
図12の(b)に示されるように、本実施形態のように、ビアホール内における半導体基板の側壁に対して水素雰囲気中のアニール処理が実行された場合、ケース1〜5のような条件で基板電圧が印加される場合であっても、貫通ビアの容量成分は、実質的に同じ特性(変化の傾向)を示す。
このように、本実施形態の半導体デバイスの製造方法によれば、ビアホールの形成後の水素雰囲気中のアニール処理によって、電圧の印加状態(電圧の変化)に対する貫通ビアの容量特性のばらつきを小さくでき、貫通ビアの容量成分を安定化できる。
【0123】
以上のように、本実施形態の半導体デバイスの製造方法は、動作特性が安定な半導体デバイスを、形成できる。
【0124】
したがって、本実施形態の半導体デバイス及びその製造方法によれば、高い信頼性の半導体デバイスを提供できる。
【0125】
(2) 第2の実施形態
図13を参照して、第2の実施形態の半導体デバイスの製造方法を、説明する。
【0126】
貫通ビア(TSV)の形成工程における水素雰囲気中のアニール処理は、RIEによるビアホールVH1の形成の直後に実行せずに、スペーサー層(絶縁層)15の形成後のみに実行されてもよい。
【0127】
即ち、第2の実施形態の半導体デバイスの製造方法において、ビアホールVH1の形成後における半導体基板11の側壁に対する水素雰囲気中のアニール処理とスペーサー層15に対する水素雰囲気中のアニール処理が、共通化される。
【0128】
図13は、第2の実施形態の半導体デバイスの製造方法の一工程を示す断面工程図である。
図13に示されるように、第1の実施形態の半導体デバイスの製造方法と同じ工程で、半導体基板11内に、ビアホールVH1が形成される。
【0129】
本実施形態において、ビアホールVH1の形成直後に、水素雰囲気中のアニール処理を実行せずに、スペーサー層15が、ビアホールVH1内における半導体基板11上に形成される。例えば、スペーサー層15は、プラズマCVD又は熱酸化処理によって、形成される。
【0130】
スペーサー層15の形成後において、100℃〜250℃の温度のアニール処理402が、水素雰囲気中で実行される。このアニール処理402において、スペーサー層15内のシリコンのダングリングボンドは水素と結合する。また、スペーサー層15内の水分は、熱によって除去される。
【0131】
スペーサー層15の膜厚は比較的薄く、且つ、水素の原子サイズは、小さい。そのため、スペーサー層15の形成後のアニール処理において、水素は、スペーサー層15内を通過して、ビアホールVH1における半導体基板11の側壁の表層(半導体基板11と絶縁層15との界面)に到達する。
これによって、水素は、半導体基板(シリコン基板)11の側壁に存在するシリコンのダングリングボンドDBに、結合する。
【0132】
このように、スペーサー層15の形成後において、半導体基板11及びスペーサー層15に対する共通の水素雰囲気中のアニール処理402によって、半導体基板11とスペーサー層15との界面におけるシリコンのダングリングボンドは、低減される。
【0133】
それゆえ、第2の実施形態の半導体デバイスの製造方法は、第1の実施形態と実質的に同様に、貫通ビア(外部接続端子)の容量成分の変動を抑制した半導体デバイスを、形成できる。
【0134】
したがって、第2の実施形態の半導体デバイスの製造方法によれば、動作特性が安定で信頼性の高い半導体デバイスを、提供できる。
【0135】
さらに、第2の実施形態の半導体デバイスの製造方法は、アニール処理の共通化によって、水素ガス雰囲気中のアニール処理の回数を削減できる。この結果として、第2の実施形態の半導体デバイスの製造方法によれば、半導体デバイスの製造コストを、低減できる。
【0136】
(3) 第3の実施形態
図14を参照して、第3の実施形態の半導体デバイスの製造方法について、説明する。
スペーサー層(絶縁層)15に対するアニール処理は、水素ガスを含まないガス雰囲気中で実行されてもよい。
【0137】
図14は、第3の実施形態の半導体デバイスの製造方法の一工程を示す断面工程図である。
図14に示されるように、水素を含まないガス490を用いて、例えば、100℃〜250℃の温度範囲のアニール処理403が、実行される。これによって、スペーサー層15中の水分が、除去される。
【0138】
スペーサー層15の主成分は、シリコン化合物である。それゆえ、スペーサー層15内のシリコンのダングリングボンドの数は、半導体基板11とスペーサー層15との界面におけるシリコンのダングリングボンドの数に比較して、少ない。それゆえ、スペーサー層15内のシリコンのダングリングボンドが残っていたとしても、そのスペーサー層15内のシリコンのダングリングボンドに起因した固定電荷の影響は、比較的小さい。
また、スペーサー層15に起因する貫通ビア17の容量成分の変動の大部分は、スペーサー層15内に含まれる水分に起因する。
【0139】
したがって、スペーサー層15の水分を除去できる条件のアニール処理403がスペーサー層15に対して実行されることによって、スペーサー層15に起因する貫通ビア17の容量成分の変動は、改善される。
【0140】
このように、スペーサー層15に対するアニール処理403が、水素を含まないガス雰囲気中で実行されたとしても、第3の実施形態の半導体デバイスの製造方法は、第1の実施形態と実質的に同様に、外部接続端子の容量成分の変動を抑制した半導体デバイスを、形成できる。
したがって、第3の実施形態の半導体デバイスの製造方法によれば、動作特性が安定で信頼性の高い半導体デバイスを、提供できる。
【0141】
さらに、第3の実施形態の半導体デバイスの製造方法によれば、アニール処理に用いられる水素ガスの削減によって、半導体デバイスの製造コストを、削減できる。
【0142】
尚、本実施形態の半導体デバイスの製造方法の変形例において、形成される半導体デバイスに要求される特性に応じて、例えば、半導体基板の側壁(加工面)に対する水素雰囲気中のアニール処理を実行せずに、水素を含まないガスを用いたアニール処理403のみがスペーサー層15に実行されてもよい場合もある。
【0143】
(5) その他
本実施形態の半導体デバイス及びその製造方法は、BSVプロセスによる貫通電極(TSV)が適用されるデバイスであれば、半導体デバイスの種類は、限定されない。例えば、本実施形態の半導体デバイスは、NAND型フラッシュメモリ、3次元構造フラッシュメモリ、MRAM、イメージセンサ、FPGA、及び、ロジック回路を含むグループから選択される。これらの半導体デバイスの製造方法に、第1乃至第3の実施形態で述べられた半導体デバイスの製造方法のうちいずれか1つが、適用される。
【0144】
半導体基板の表面側における素子の形成工程は、プロセスの整合性が確保される順序であれば、限定されない。
【0145】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。