特許第6489983号(P6489983)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東海理化電機製作所の特許一覧

特許6489983センサ構造及びこれを用いたパワーウインドウ制御装置
<>
  • 特許6489983-センサ構造及びこれを用いたパワーウインドウ制御装置 図000002
  • 特許6489983-センサ構造及びこれを用いたパワーウインドウ制御装置 図000003
  • 特許6489983-センサ構造及びこれを用いたパワーウインドウ制御装置 図000004
  • 特許6489983-センサ構造及びこれを用いたパワーウインドウ制御装置 図000005
  • 特許6489983-センサ構造及びこれを用いたパワーウインドウ制御装置 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6489983
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】センサ構造及びこれを用いたパワーウインドウ制御装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/46 20150101AFI20190318BHJP
   E05F 15/689 20150101ALI20190318BHJP
   B60J 1/00 20060101ALI20190318BHJP
   B60J 1/17 20060101ALI20190318BHJP
【FI】
   E05F15/46
   E05F15/689
   B60J1/00 C
   B60J1/17 A
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-182493(P2015-182493)
(22)【出願日】2015年9月16日
(65)【公開番号】特開2017-57612(P2017-57612A)
(43)【公開日】2017年3月23日
【審査請求日】2018年4月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】特許業務法人平田国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100071526
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128211
【弁理士】
【氏名又は名称】野見山 孝
(72)【発明者】
【氏名】兼松 圭史
【審査官】 鳥井 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−137091(JP,A)
【文献】 特開2009−079406(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/113918(WO,A1)
【文献】 特開2011−252881(JP,A)
【文献】 特開2008−291492(JP,A)
【文献】 米国特許第04458445(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00−15/79
B60J 1/00
G06F 3/044
G01R 27/26
G01V 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電容量を検出する第1電極と、
静電容量を検出する第2電極と、を有し、
前記第1電極と前記第2電極は、折り曲げられた板形状の検出電極とされ、
前記第1電極の検出対象の検出方向と、前記第2電極の検出対象の検出方向とが異なる方向であり、
前記第1電極の2箇所の隅部、及び、前記第2電極の2箇所の隅部に電圧が印加され、前記第1電極又は前記第2電極のタッチ位置を表面型静電容量方式により検出することを特徴とするセンサ構造。
【請求項2】
車両の窓ガラスの上部に配置され、静電容量を検出する第1電極と、
前記窓ガラスの車両内部側に配置され、静電容量を検出する第2電極と、を有し、
前記第1電極と前記第2電極は、折り曲げられた板形状の検出電極とされ、
前記第1電極の検出対象の検出方向と、前記第2電極の検出対象の検出方向とが異なる方向であり、
前記第1電極の2箇所の隅部、及び、前記第2電極の2箇所の隅部に電圧が印加され、前記第1電極又は前記第2電極のタッチ位置を表面型静電容量方式により検出することを特徴とするパワーウインドウ制御装置。
【請求項3】
前記第1電極は、窓ガラスによる指挟みを検出し、前記第2電極は、前記車両の内部側からのタッチ操作を検出することにより、パワーウインドウ装置の開閉制御を行なうことを特徴とする請求項2に記載のパワーウインドウ制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ構造及びこれを用いたパワーウインドウ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、非接触状態で窓ガラスによる挟み込みの可能性を検出することが可能なパワーウインドウ制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このパワーウインドウ制御装置は、モータの回転力を利用して窓ガラスの上昇/下降を行うウインドレギュレータを制御するウインドレギュレータ安全装置であって、少なくとも窓ガラスの上端部に配置された第1の電極と、車体側に配置された第2の電極と、第1の電極及び第2の電極間の静電容量を測定する静電容量測定手段と、静電容量測定手段で測定された静電容量の変化から挟み込み可能性の有無を判別する判別手段と、判別手段での判別結果を参照してモータの回転を制御する駆動手段と、を備えて構成されている。
【0003】
特許文献1のパワーウインドウ制御装置は、指挟みを検出するための検出電極を備えると共に、この検出電極の静電容量値の変化を検出してパワーウインドウの開閉動作を制御する制御部を有する。指等の挟み込みの可能性を検出することが可能であり、また、これに基づいて挟み込みの警告をすることが可能になるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−110574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のパワーウインドウ制御装置は、指挟みを検出するための検出電極が窓ガラスの上端部と車体側に配置されて、挟み込みの検出ができるだけの機能を有する電極構造であった。また、この電極構造を備えたパワーウインドウ制御装置は、指挟みの検出に基づくパワーウインドウ制御は可能であるが、パワーウインドウの動作を操作者が制御することはできないという問題があった。
【0006】
従って、本発明の目的は、指挟みの検出と他の検出機能の2つの機能を有するセンサ構造、及び、このセンサ構造を用いたパワーウインドウ制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]上記目的を達成するため、静電容量を検出する第1電極と、静電容量を検出する第2電極と、を有し、前記第1電極と前記第2電極は、折り曲げられた板形状の検出電極とされ、前記第1電極の検出対象の検出方向と、前記第2電極の検出対象の検出方向とが異なる方向であることを特徴とするセンサ構造を提供する。
【0008】
[2]前記第1電極の2箇所の隅部、及び、前記第2電極の2箇所の隅部に電圧が印加され、前記第1電極又は前記第2電極のタッチ位置を表面型静電容量方式により検出することを特徴とする上記[1]に記載のセンサ構造であってもよい。
【0009】
[3]上記目的を達成するため、車両の窓ガラスの上部に配置され、静電容量を検出する第1電極と、前記窓ガラスの車両内部側に配置され、静電容量を検出する第2電極と、を有し、前記第1電極と前記第2電極は、折り曲げられた板形状の検出電極とされ、前記第1電極の検出対象の検出方向と、前記第2電極の検出対象の検出方向とが異なる方向であることを特徴とするパワーウインドウ制御装置を提供する。
【0010】
[4]前記第1電極の2箇所の隅部、及び、前記第2電極の2箇所の隅部に電圧が印加され、前記第1電極又は前記第2電極のタッチ位置を表面型静電容量方式により検出することを特徴とする上記[3]に記載のパワーウインドウ制御装置であってもよい。
【0011】
[5]また、前記第1電極は、窓ガラスによる指挟みを検出し、前記第2電極は、前記車両の内部側からのタッチ操作を検出することにより、パワーウインドウ装置の開閉制御を行なうことを特徴とする上記[3]又は[4]に記載のパワーウインドウ制御装置であってもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、指挟みの検出と他の検出機能の2つの機能を有するセンサ構造、及び、このセンサ構造を用いたパワーウインドウ制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1(a)は、本発明の実施の形態に係るパワーウインドウ制御装置の概略正面図であり、図1(b)は、図1(a)におけるA−Aで示す窓ガラスの断面図である。
図2図2は、本発明の実施の形態に係るパワーウインドウ制御装置の窓ガラスにおける検出電極の配置を示す外観斜視図である。
図3図3は、第1電極100と第2電極200を展開して平面的に図示し、検出電極の電圧(電流)印加の箇所と、タッチ点P、及び、X、Y座標を示す平面図である。
図4図4は、本発明の実施の形態に係るセンサ構造を用いたパワーウインドウ制御装置の概略構成を示すブロック図である。
図5図5は、本発明の実施の形態に係るパワーウインドウ制御装置の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(本発明の実施の形態)
図1(a)は、本発明の実施の形態に係るパワーウインドウ制御装置の概略正面図であり、図1(b)は、図1(a)におけるA−Aで示す窓ガラスの断面図である。また、図2は、本発明の実施の形態に係るパワーウインドウ制御装置の窓ガラスにおける検出電極の配置を示す外観斜視図である。
【0015】
本実施の形態に係るセンサ構造は、静電容量を検出する第1電極100と、静電容量を検出する第2電極200と、を有し、第1電極100と第2電極200は、折り曲げられた板形状の検出電極10とされ、第1電極100の検出対象の検出方向と、第2電極200の検出対象の検出方向とが異なる方向となるように構成されている。
【0016】
また、本実施の形態に係るパワーウインドウ制御装置1は、車両の窓ガラス30の上部に配置され、静電容量を検出する第1電極100と、窓ガラス30の車両内部側に配置され、静電容量を検出する第2電極200と、を有し、第1電極100と第2電極200は、折り曲げられた板形状の検出電極10とされ、第1電極100の検出対象の検出方向と、第2電極200の検出対象の検出方向とが異なる方向となるように構成されている。
【0017】
(検出電極10)
検出電極10は、導電性材料で形成された電極であり、検出電極10の表面に指等が接触又は近接することにより、静電容量値が変化するものである。検出電極10は、例えば、図1(a)、図2に示すように、車両の窓ガラスの上部、上端部に装着され、指等の接触又は近接を検出する。
【0018】
検出電極10は、車両の窓ガラス30の上部に配置され、静電容量を検出する第1電極100と、窓ガラス30の車両内部側に配置され、静電容量を検出する第2電極200と、を有し、第1電極100と第2電極200は、折り曲げられた板形状とされている。検出電極10は、銅等の導電性材料のほか、ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウム・スズ)等の透明電極を使用することができる。
【0019】
図1に示すように、車両の窓ガラス30は、その上部に検出電極10が装着され、ウインドウレギュレータ300により、窓枠40内を上下に移動可能とされている。窓ガラス30に装着された検出電極10は、図1(b)に示すように、第1電極100と第2電極200とから構成されている。第1電極100は、検出対象である指等の検出方向が上方向(矢印B方向)であり、第2電極200は、検出対象である指等の検出方向が車両内部側(矢印C方向)である。すなわち、第1電極100と第2電極200は、検出対象の検出方向が異なる方向に設定されている。これにより、検出電極10は、例えば、第1電極100により、窓ガラス30と窓枠40とによる指等の挟みを検出すると共に、車両内部側(矢印C方向)からのタッチ検出等が可能となる。
【0020】
検出電極10は、図1(b)、図2に示すように、幅がaである第1電極100と、幅がbである第2電極200から構成されている。第1電極100と第2電極200は、図1(b)に示すように、断面がL字状に折り曲げられた形状とされている。また、第1電極100の幅aよりも第2電極200の幅bのほうが、大きな値に設定されている。これにより、折り曲げ境界付近の判定を明確にでき、また、車両内部側(矢印C方向)からのタッチ操作を容易にすることができる。
【0021】
図3は、第1電極100と第2電極200を展開して平面的に図示し、検出電極の電圧(電流)印加の箇所と、タッチ点P、及び、X、Y座標を示す平面図である。検出電極10は、図1(a)、図2に示したように、幅a、bに対して長尺状であるが、図3においては、その長尺方向を2cの長さとして、縮めて図示している。
【0022】
図3において、第1電極100と第2電極200の境界(折り曲げ部)150の上にX軸をとり、左右の中央にY軸をとり、それらの交点を原点Oとする。第1電極100、第2電極200の右端部のX座標はc、左端部のX座標は−cである。第1電極100の上端部のY座標はa、第2電極200の下端部のY座標は−bである。
【0023】
また、図3において、第1電極100の2箇所の隅部E1、E2、及び、第2電極200の2箇所の隅部E3、E4は、電圧が印加されて電流が供給される給電部である。
【0024】
本実施の形態に係るセンサ構造では、第1電極100又は第2電極200のタッチ位置Pを表面型静電容量方式により検出する。表面型静電容量方式によるタッチ位置検出は、検出電極10(第1電極100と第2電極200)の4箇所の給電部からAC電流を供給して、タッチ位置Pと給電部とのインピーダンス変化により、4箇所の電流値の比に基づいてタッチ位置の座標を算出するものである。このタッチ位置の座標が求まることにより、第1電極100又は第2電極200のどちらにタッチがされたかが判断できる。
【0025】
図4は、本発明の実施の形態に係るセンサ構造を用いたパワーウインドウ制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【0026】
制御部400は、第1電極100の2箇所の隅部E1、E2、及び、第2電極200の2箇所の隅部E3、E4へ電圧印加し、それぞれに電流i1、i2、i3、i4を供給する給電部、この電流i1、i2、i3、i4に基づいて検出電極10上のタッチ位置の座標を算出する座標算出部、ウインドウレギュレータ300のレギュレータモータ310の回転制御を行なう制御信号S1、S2を生成する制御信号生成部、これらの制御を所定のプログラムに従って制御する演算処理部等から構成されている。
【0027】
制御部400は、例えば、プログラムに従って、演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)、半導体メモリであるRAM及びROM(Read Only Memory)等から構成されるマイクロコンピュータである。また、検出電極10、レギュレータモータ310へ電流を供給するためのドライバ部、信号の入出力を行なうインターフェース部等を備えている。
【0028】
(タッチ位置Pの算出)
表面型静電容量方式によるタッチ位置Pの検出は、第1電極100の2箇所の隅部E1、E2、及び、第2電極200の2箇所の隅部E3、E4に流れる4箇所の電流値(i1、i2、i3、i4)の比に基づいてタッチ位置Pの座標を算出する。
【0029】
図3において、タッチ位置Pの座標X、Yは、次のような式で算出される。
X=K1+K2・(i2+i3)/(i1+i2+i3+i4)
Y=K3+K4・(i1+i2)/(i1+i2+i3+i4)
ただし、K1、K3は、オフセット値、また、K2、K4は係数である。
【0030】
ここで、K1=0、K2=c、K3=a、K4=−a−b、とすると、図3に示すように、検出電極10の第1電極100の領域において、上端部の座標は、(0、a)、下端部の座標は、(0、−b)、右端部の座標は、(c、0)、左端部の座標は、(−c、0)となる。
【0031】
すなわち、
X=c・(i2+i3)/(i1+i2+i3+i4)
Y=a−(a+b)・(i1+i2)/(i1+i2+i3+i4)
となる。
したがって、第1電極100の2箇所の隅部E1、E2、及び、第2電極200の2箇所の隅部E3、E4から供給される電流値(i1、i2、i3、i4)に基づいて、制御部400の内部において、上記示した式により、タッチ位置Pの座標X、Yを算出することができる。
【0032】
本発明の実施の形態に係るセンサ構造は、上記示した式により、タッチ位置Pの座標X、Yを算出することができ、これにより、第1電極100にタッチしたのか、又は、第2電極200にタッチ操作がされたのかの判断が可能となる。さらに、第1電極100、第2電極200のどの位置がタッチされたかまで判断できるので、タッチ検出のみならず、タッチ位置に基づいたスイッチ入力装置として機能することが可能である。
【0033】
(パワーウインドウ制御装置の動作)
図5は、本発明の実施の形態に係るパワーウインドウ制御装置の動作例を示すフローチャートである。
【0034】
制御部400は、検出電極10(第1電極100と第2電極200)へのタッチがあったかどうかの判断を行なう(Step1)。タッチ位置Pにおける静電容量値が変化することから、制御部400は、静電容量値が所定の閾値を超えたかどうかにより、タッチの有り無しを判断することができる。タッチありの場合はStep2へ進み、タッチなしの場合はStep1を繰り返して実行する。
【0035】
制御部400は、タッチ位置PのY座標がY>0かどうかを判断する(Step2)。制御部400は、タッチ位置Pの算出式、
X=c・(i2+i3)/(i1+i2+i3+i4)
Y=a−(a+b)・(i1+i2)/(i1+i2+i3+i4)
から、Y座標を算出し、これに基づいて、判断を行なう。Y>0の場合はStep3へ進み、Y>0でない場合はStep5へ進む。
【0036】
制御部400は、タッチ位置Pの座標YがY>0の場合は、挟み込み信号S1を生成し、ウインドウレギュレータ300へ出力する(Step3)。
【0037】
ウインドウレギュレータ300は、図示省略するレギュレータ制御部により、挟み込み信号S1に基づいて、レギュレータモータ310の回転制御を行なうことができる(Step4)。すなわち、挟み込み信号S1により、第1電極100が窓ガラスによる指挟みを検出したと判断し、レギュレータモータ310の回転を反転制御する。これにより、窓ガラス30がウインドウレギュレータ300により上方向に移動していても反転して下方向へ移動するため、指挟み等を回避することが可能になる。あるいは、レギュレータモータ310の反転制御ではなく、回転を停止させる制御を行なうようにしてもよい。
【0038】
制御部400は、タッチ位置Pの座標YがY>0でない場合は、オンオフ信号S2を生成し、ウインドウレギュレータ300へ出力する(Step5)。
【0039】
ウインドウレギュレータ300は、図示省略するレギュレータ制御部により、オンオフ信号S2に基づいて、レギュレータモータ310の作動開始、停止制御を行なうことができる(Step6)。すなわち、オンオフ信号S2により、レギュレータモータ310が停止しているときは作動開始をすることができ、レギュレータモータ310が作動しているときは停止制御をすることができる。これにより、操作者が車両内部から、第2電極200にタッチ操作を行なうことにより、パワーウインドウの作動開始、停止を行なうことが可能になる。
【0040】
上記説明した一連の動作フローにより、ウインドウレギュレータ300の制御が終了する。なお、この一連の動作フローは、必要により、繰り返して実行させる設定とすることができる。
【0041】
(第2電極200のスイッチ入力機能)
上記説明したように、第1電極100は、窓ガラスによる指挟みを検出する。一方、第2電極200は、上記説明したパワーウインドウの作動開始、停止のスイッチ入力以外に、種々の入力機能が考えられる。検出電極10(第1電極100と第2電極200)は、タッチの有無を検出すると共に、タッチ位置Pの座標を算出することができる。したがって、特に、第2電極200は、操作者が車両内部からタッチした位置座標を判断することにより、種々に機能を割り当てることも可能である。
【0042】
例えば、第2電極200のタッチ位置が、窓ガラス30の前方、中央、後方かにより機能を割り当てることが可能である。例えば、窓ガラス30の第2電極200の前方寄りをタッチした場合はパワーウインドウの作動開始、中央寄りをタッチした場合はパワーウインドウの停止、後方寄りをタッチした場合はパワーウインドウの反転、等である。
【0043】
(本発明の実施の形態の効果)
本実施の形態に係るセンサ構造、パワーウインドウ制御装置は以下のような効果を有する。
(1)本実施の形態に係るセンサ構造は、第1電極100又は第2電極200のタッチ位置Pを表面型静電容量方式により検出する。表面型静電容量方式によるタッチ位置検出は、検出電極10(第1電極100と第2電極200)の4箇所の給電部からAC電流を供給して、タッチ位置Pと給電部とのインピーダンス変化により、4箇所の電流値の比に基づいてタッチ位置の座標を算出するものである。したがって、タッチの有無を検出できると共に、タッチ位置の座標が求まることにより、第1電極100又は第2電極200のどちらにタッチがされたかが判断できる。
(2)上記のセンサ構造を用いたパワーウインドウ制御装置は、第1電極100のタッチ検出により、ウインドウレギュレータ300の反転制御、停止制御を行なうことができると共に、操作者の車両内部からの第2電極200へのタッチ操作を検出することにより、パワーウインドウの作動開始、停止を行なうことができる。
(3)これにより、指挟みの検出と他の検出機能の2つの機能を有するセンサ構造、及び、このセンサ構造を用いたパワーウインドウ制御装置を提供することができる。
(4)本発明の実施の形態に係るセンサ構造は、上記示した式により、タッチ位置Pの座標X、Yを算出することができ、これにより、第1電極100、第2電極200のどの位置がタッチされたかまで判断できるので、タッチ検出のみならず、タッチ位置に基づいたスイッチ入力装置として機能することが可能である。
【0044】
以上、本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、一例に過ぎず、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。これら新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更等を行うことができる。また、これら実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない。さらに、これら実施の形態は、発明の範囲及び要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0045】
1…パワーウインドウ制御装置
10…検出電極
30…窓ガラス
40…窓枠
100…電極
200…電極
300…ウインドウレギュレータ
310…レギュレータモータ
400…制御部
E1、E2、E3、E4…隅部
i1、i2、i3、i4…電流
P…タッチ位置
S1…制御信号
S2…オンオフ信号
X、Y…座標
図1
図2
図3
図4
図5