(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6490113
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】滅菌袋
(51)【国際特許分類】
B65D 81/20 20060101AFI20190318BHJP
B65D 30/02 20060101ALI20190318BHJP
B65D 33/00 20060101ALI20190318BHJP
A61L 2/26 20060101ALI20190318BHJP
A61L 101/44 20060101ALN20190318BHJP
【FI】
B65D81/20 M
B65D30/02
B65D33/00 C
A61L2/26
A61L101:44
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-6180(P2017-6180)
(22)【出願日】2017年1月17日
(65)【公開番号】特開2018-114999(P2018-114999A)
(43)【公開日】2018年7月26日
【審査請求日】2017年10月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】591131866
【氏名又は名称】小川産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165423
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 雅久
(72)【発明者】
【氏名】中野 浩嗣
【審査官】
宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭61−166961(JP,U)
【文献】
特開2007−001584(JP,A)
【文献】
実開平05−016642(JP,U)
【文献】
特開2015−195963(JP,A)
【文献】
特開平11−192293(JP,A)
【文献】
特開2002−172715(JP,A)
【文献】
特開2005−269914(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0268573(US,A1)
【文献】
独国特許出願公開第102011002091(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/20
A61L 2/26
B65D 30/02
B65D 33/00
A61L 101/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非通気性の裏面シートと、
平面視で一方側の領域が非通気性シートから構成され他方側の領域が通気性の滅菌紙から構成されて前記裏面シートに積層された表面シートと、を有し、
前記表面シートの内面と前記裏面シートの内面は、周縁において一部分の開口部を残して互いにヒートシールされており、
前記非通気性シートと前記滅菌紙との接合部は、前記非通気性シートが外側になるように一部分が重ね合わされて前記非通気性シートの内面と前記滅菌紙の外面が剥離自在にヒートシールされており、
前記非通気性シートの前記滅菌紙に重ね合わされた部分の縁部には、前記滅菌紙にヒートシールされていない非シール部が残されており、
前記裏面シート及び前記非通気性シートは、それぞれ支持基材及びその内面に形成されたヒートシール層を有し、
前記裏面シートの前記ヒートシール層は、前記非通気性シートの前記ヒートシール層よりも融点が高く、
前記滅菌紙と前記裏面シートとの接合強度は、前記滅菌紙と前記非通気性シートとの接合強度よりも高いことを特徴とする滅菌袋。
【請求項2】
前記開口部は、前記滅菌紙の縁部に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の滅菌袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用品等を収納して封止した状態で内容物の滅菌処理を行うことができる滅菌袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の滅菌袋として、例えば、特許文献1に開示された滅菌用袋が知られている。同文献に記載された滅菌用袋は、次のように袋状に形成されている。先ず、非通気性シートの2箇所が折り曲げられて断面略C字状にされ、非通気性シートの端部間の開口に内側から滅菌紙を当てがわれる。そして、当該滅菌紙の端部が非通気性シートに挟まれた状態で非通気性シートの周辺部がヒートシールされる。次いで、滅菌紙の側縁部と非通気性シートの側縁部との重なり部分がイージーピールシールされて密封された後、前記2箇所の折り曲げ部のうち、一方の折り曲げ部が切り落とされて開口部が形成される。
【0003】
この滅菌用袋は、前記開口部から滅菌用袋の内部に内容物が収納された後、該開口部がヒートシールされて密封される。そして、この滅菌用袋は、内容物が封入された状態で、滅菌処理された後、市場に流通する。内容物を使用する際には、滅菌紙と非通気性シートとのイージーピールシールを引き剥がして開封し、内容物を取り出すことができる。
【0004】
また、他の従来技術の例として、特許文献2に開示された滅菌袋が知られている。同文献に記載された滅菌袋は、矩形の表裏体を重ねて四辺のうち一辺を除いた周縁部をヒートシールして接合することにより形成されている。また、表裏体は、一方の一部領域を除いて非通気性シートから形成される。前記一部領域には、滅菌処理のための通気性を有する通気性シートが配されている。
【0005】
通気性シートが配される前記一部領域は、開口部と底部との中間部領域に形成されている。そして、前記通気性シートの周縁部は、ヒートシールにより前記非通気性シートに剥離可能に接合される。これにより、通気性シートを引き剥がして、非通気性シートが存在しない前記一部領域から内容物を取り出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−1584号公報
【特許文献2】特開2010−268967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記した従来技術の滅菌袋は、周縁のヒートシール部が破損して内容物が脱落してしまうことや菌等が侵入してしまうことを防止すると共に、開封及び内容物の取り出しを容易にするために改善すべき点があった。
【0008】
即ち、内容物を封入する際や輸送時等に滅菌袋周縁のヒートシール部が剥離しないようにするためには、ヒートシール部の接合強度を高める必要がある。他方、開封を容易にするためには、開封部となるヒートシール部は、剥離可能に適度な強度で接合されなければならない。しかしながら、特許文献1に開示された従来技術のように、1枚の非通気性シートを折り曲げて滅菌紙を接合する構成では、滅菌袋の周縁等においては滅菌紙と非通気性シートとの接合強度を高くし、開封部となるヒートシール部のみ接合強度を低くして剥離可能とすることが容易ではなかった。
【0009】
また、上記した従来技術のように、内容物を挿入するための開口部が滅菌袋の端辺部に表裏の非通気性シートに挟まれるように形成される構成では、開口部近傍において非通気性シートの内面同士が密着しており、開口部を開き難いという問題点もある。また、滅菌袋に内容物を挿入する際には、内容物と非通気性シートの内面との滑りが悪く、内容物を入れ難いという問題点もあった。
【0010】
また、特許文献2に開示された滅菌袋のように、表裏体の一部領域に設けられた通気性シートを引き剥がして内容物を取り出す構成では、ヒートシール部の剥離を防止する観点から、内容物を取り出すための開口を広く確保することが難しかった。開口が狭いと内容物を取り出し難い。また、通気性シートは非通気性シートと比べて高価であるので、開口を広く確保するために通気性シートを大きくすると、滅菌袋の生産コストが高くなってしまうという問題点もある。
【0011】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、内容物を挿入し易く、周縁のヒートシール部の接合強度が高く、且つ、開封が容易で内容物を取り出し易い滅菌袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の滅菌袋は、非通気性の裏面シートと、平面視で一方側の領域が非通気性シートから構成され他方側の領域が通気性の滅菌紙から構成されて前記裏面シートに積層された表面シートと、を有し、前記表面シートの内面と前記裏面シートの内面は、周縁において一部分の開口部を残して互いにヒートシールされており、前記非通気性シートと前記滅菌紙との接合部は、前記非通気性シートが外側になるように一部分が重ね合わされて前記非通気性シートの内面と前記滅菌紙の外面が剥離自在にヒートシールされて
おり、前記非通気性シートの前記滅菌紙に重ね合わされた部分の縁部には、前記滅菌紙にヒートシールされていない非シール部が残されており、前記裏面シート及び前記非通気性シートは、それぞれ支持基材及びその内面に形成されたヒートシール層を有し、前記裏面シートの前記ヒートシール層は、前記非通気性シートの前記ヒートシール層よりも融点が高く、前記滅菌紙と前記裏面シートとの接合強度は、前記滅菌紙と前記非通気性シートとの接合強度よりも高いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の滅菌袋によれば、表面シートは、平面視で一方側の領域が非通気性シートから構成され他方側の領域が滅菌紙から構成されている。そして、非通気性シートと滅菌紙との接合部は、非通気性シートが外側になるように一部分が重ね合わされて非通気性シートの内面と滅菌紙の外面が剥離自在にヒートシールされている。これにより、滅菌袋から内容物を取り出す際には、表面シートの非通気性シートと滅菌紙との接合部を引き剥がして滅菌袋を容易に開封することができる。
【0014】
また、非通気性シートを滅菌紙から引き剥がして、更に滅菌袋周縁のヒートシール部までも引き剥がして表面シートを大きく開封することが可能な構成を採用することもできる。これにより、内容物の取り出しが容易になる。
【0015】
また、表面シートの非通気性シートを大きく、滅菌紙を小さく形成することより、内容物の取り出し容易性を確保しつつ、高価な滅菌紙の使用量を減らして、滅菌袋のコストを削減することができる。また、滅菌紙を小さくすることにより、滅菌袋の内部が視認し易くなるという効果もある。
【0016】
また、表面シートの非通気性シートと滅菌紙との接合部が開封部となるので、表面シートを上方にして滅菌袋をテーブル等の上に載置して前記開封部を開くことができる。これにより、裏面シートの上に内容物を載せた状態で表面シートを大きく開いて、内容物を容易に取り出すことができる。
【0017】
また、内容物を取り外す際に、滅菌紙を裏面シートから引き剥がす必要がないので、滅菌紙と裏面シートとは強固に接合されていても良い。よって、内容物を挿入する際や輸送の際等に、滅菌袋の周縁の滅菌紙と裏面シートとのヒートシール部が剥離してしまうことを防止することができる。
【0018】
また、本発明によれば、非通気性シートの滅菌紙に重ね合わされた部分の縁部には、滅菌紙にヒートシールされていない非シール部が残されていても良い。これにより、滅菌袋を開封する際には、非通気性シートの縁部に形成された非シール部を摘まんで非通気性シートを容易に引き剥がすことができる。
【0019】
また、本発明によれば、裏面シート及び非通気性シートは、それぞれ支持基材及びその内面に形成されたヒートシール層を有し、裏面シートのヒートシール層は、非通気性シートのヒートシール層よりも融点が高くても良い。これにより、滅菌袋の周縁のヒートシール部においては、表面シートの内面と裏面シートの内面とが強固に接合され、優れた接合強度が得られる。他方、非通気性シートのヒートシール層は、裏面シートのヒートシール層よりも融点が低くなるので、表面シートの非通気性シートと滅菌紙との接合部は、容易に開封できるように好適な接合強度でヒートシールされる。このような構成により、輸送時等に滅菌袋の周縁のヒートシール部が剥がれてしまう等の不具合を回避することができる。また、開封時には、滅菌袋の周縁のヒートシール部が剥がれて内容物が落下してしまう等の不具合を回避しつつ、開封部となる非通気性シートと滅菌紙との接合部を容易に引き剥がして開封することができる。
【0020】
また、本発明によれば、滅菌袋の周縁において表面シートと裏面シートがヒートシールされていない開口部は、滅菌紙の縁部に形成されていても良い。これにより、滅菌袋に内容物を入れる際に、開口部を開き易くなり、また、滅菌紙と内容物との滑りが良好であるので、内容物を入れる作業が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態に係る滅菌袋の概略構成を示す(A)平面図、(B)A−A線断面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る滅菌袋の(A)内容物が挿入される状態、(B)内容物が収納された状態を示す断面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る滅菌袋の開封された状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態に係る滅菌袋を図面に基づき詳細に説明する。
図1(A)は、本発明の実施形態に係る滅菌袋1の概略構成を示す平面図であり、
図1(B)は、滅菌袋1の
図1(A)に示すA−A線断面図である。
【0023】
滅菌袋1は、注射器、注射針、カテーテル、輸液チューブ、医療用メス、ガーゼ等の各種医療用品等を収納するものである。滅菌袋1は、内部に注射器等の内容物が収納されて封止された状態で、内容物の滅菌処理を行うことが可能に構成されている。そして、滅菌袋1は、各種医療用品等を医療現場まで輸送して保管するための包装容器として用いられる。
【0024】
図1(A)及び(B)に示すように、滅菌袋1は、裏面シート2と表面シート3とを有し、平面視で略矩形状に形成されている。裏面シート2は、略矩形状に形成された菌バリア性を有する非通気性のシートである。他方、表面シート3は、菌バリア性を有する非通気性シート4と、通気性を有する菌バリア性の滅菌紙5と、を有する。
【0025】
表面シート3は、平面視において裏面シート2と略同一の周囲形状に形成されている。表面シート3の
図1において右側の領域は、略矩形状に形成された非通気性シート4から構成され、左側の領域は、略矩形状に形成された滅菌紙5から構成されている。
【0026】
裏面シート2及び非通気性シート4は、空気や菌、異物等を通さない合成樹脂製のシート若しくはフィルムまたはそれらの積層体である。裏面シート2及び非通気性シート4としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ナイロン等の各種合成樹脂製の複合シート材等を採用し得る。
【0027】
また、裏面シート2及び非通気性シート4の内面の少なくとも後述するヒートシールされる箇所は、ヒートシール可能に構成される必要がある。具体的には、裏面シート2及び非通気性シート4のヒートシールされる箇所には、低融点のヒートシールコート剤が塗布される。または、裏面シート2及び非通気性シート4の内面全体に、加熱されることによって接合するヒートシール層が設けられる。
【0028】
例えば、裏面シート2及び非通気性シート4の支持基材として外面側にポリエチレンテレフタラートシートが用いられ、その内面側にヒートシール層としてポリエチレンフィルムが設けられても良い。また、ヒートシール層としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリスチレンから成るポリマーアロイ等が利用されても良い。なお、裏面シート2のヒートシール層は、非通気性シート4のヒートシール層よりも融点が高い方が望ましい。
【0029】
滅菌紙5は、滅菌処理が可能となるようにエチレンオキサイド等の滅菌用のガスが流通自在な通気性を有し、更に滅菌処理後には菌等の侵入を防止できる菌バリア性を有する。滅菌紙5としては、略帯状の形態を成す不織布や紙等を用いることができる。例えば、本実施形態では、滅菌紙5として高密度ポリエチレン繊維からなる略帯状の多孔性不織布が用いられている。
【0030】
表面シート3及び裏面シート2は、重なり合うように配設され、その周縁は、一部分の開口として開口部15を残して塞がれている。具体的には、積層された表面シート3及び裏面シートの3辺に対応する縁部は、周縁シール部11によって塞がれており、残りの1辺である辺1aに開口部15が形成されている。
【0031】
周縁シール部11は、表面シート3と裏面シート2とを互いにヒートシールすることにより形成されている。即ち、周縁シール部11では、表面シート3の内面と裏面シート2の内面を当接させて加熱圧縮することにより表面シート3と裏面シート2が熱接合されている。
【0032】
開口部15は、内容物を滅菌袋1の内部に入れるための開口である。開口部15は、表面シート3と裏面シート2をヒートシールしないことにより形成される。また、開口部15は、滅菌紙5が設けられている側の縁部、即ち辺1a側に形成されている。なお、開口部15から滅菌袋1の内部に内容物が入れられた後、開口部15は、ヒートシールされて封止される。
【0033】
表面シート3を構成する非通気性シート4と前記滅菌紙5との接合部近傍は、滅菌袋1の中から内容物を取り出す際に開封される開封部16となる。具体的には、非通気性シート4と滅菌紙5は、非通気性シート4が外側になるように一部分が重ね合わされて、配設さている。そして、非通気性シート4と滅菌紙5の重なり部分には、非通気性シート4の内面と滅菌紙5の外面が剥離自在にヒートシールされて、開封自在な開封シール部12が形成されている。
【0034】
開封シール部12は、開口部15が形成される辺1aと略平行に、辺1aにつながる両側辺の周縁シール部11に達するよう滅菌袋1の略全幅に亘って延在している。これにより、開封シール部12及び周縁シール部11を連続して容易に引き剥がすことができるようになる。
【0035】
非通気性シート4の滅菌紙5に重ね合わされた部分の縁部、即ち開封シール部12よりも外側になる端辺4aの近傍には、滅菌紙5にヒートシールされていない非シール部14が残されている。非シール部14は、開封シール部12を剥がして滅菌袋1を開封する際に、非通気性シート4を摘まむための部分である。
【0036】
図2(A)は、内容物Xが挿入される状態を示す滅菌袋1の断面図であり、
図2(B)は、内容物Xが収納された状態を示す滅菌袋1の断面図である。
図2(A)に示すように、滅菌袋1に医療用品等の内容物Xを入れる際には、開口部15が開かれる。前述のとおり、開口部15は、滅菌紙5が設けられている側の縁部に形成されているので、裏面シート2と滅菌紙5が密着して貼り付くことが抑制され、開口部15は開き易くなっている。
【0037】
そして、開かれた開口部15から滅菌袋1の内部に内容物Xが挿入される。開口部15が滅菌紙5の縁部に形成されており、滅菌紙5の内面と内容物Xとの滑りが良好であるので、内容物Xを入れる作業は容易である。
【0038】
内容物Xが挿入された後、
図2(B)に示すように、滅菌袋1の開口部15はヒートシールされる。即ち、開口部15において、裏面シート2の縁部内面と滅菌紙5の縁部内面とが熱接合して開口シール部13が形成される。これにより、滅菌袋1は、封止される。
【0039】
そして、滅菌袋1は、内容物Xが収納され、封止された状態で、滅菌処理される。即ち、通気性を有する滅菌紙5を介して、滅菌用のガスが滅菌袋1の内部に流入、流出されて、内容物Xの滅菌処理が行われる。そして、内容物Xが収納された滅菌袋1は、医療現場まで輸送され、保管される。
【0040】
なお、内容物Xの滅菌方法は、上記に限定されず、例えば、滅菌袋1に収納された内容物Xに、ガンマ線や電子線等の放射線や紫外線を照射する方法でも良い。放射線等を利用する滅菌方法が採用される場合には、放射線等の照射によって表面シート3や裏面シート2から臭いが発生する恐れがある。しかし、収納袋1に滅菌紙5が設けられることにより、滅菌紙5を介して臭い成分を外部に逃がすことができるので、開封時の臭いを低減することができるという効果がある。
【0041】
図3は、滅菌袋1の開封された状態を示す断面図である。
滅菌袋1から内容物Xを取り出して利用する際には、
図3に示すように、開封部16の非シール部14を指で摘まんで非通気性シート4を滅菌紙5から引き離す方向に引っ張ることにより、滅菌袋1を容易に開封することができる。
【0042】
即ち、利用者は、一方の手で滅菌袋1の滅菌紙5側の縁部近傍を押さえ、他方の手で非シール部14を摘まんで、開封部16を広げるように非シール部14を引っ張る。これにより、開封シール部12が引き剥がされ、表面シート3の開封部16が開かれる。なお、非通気性シート4の開封部16側の縁部には、滅菌紙5にヒートシールされていない非シール部14が形成されているので、開封シール部12に力を加え易い。これにより、滅菌袋1の開封が容易になる。
【0043】
なお、前述のとおり、
図1(A)を参照して、裏面シート2のヒートシール層は、非通気性シート4のヒートシール層よりも融点が高い。これにより、滅菌袋1の周縁シール部11においては、表面シート3の内面と裏面シート2の内面とが強固に接合され、優れた接合強度が得られる。
【0044】
特に、滅菌紙5は、内容物Xを取り外す際に、裏面シート2から引き剥がされる必要がないので、滅菌紙5と裏面シート2の接合部となる周縁シール部11及び開口シール部13(
図2(B)参照)は強固に接合されていても良い。滅菌紙5と裏面シート2を接合する周縁シール部11及び開口シール部13の接合強度が高められることにより、内容物Xを挿入する際や輸送の際等に、滅菌紙5と裏面シート2が剥離してしまうことを防止することができる。また、滅菌袋1が開封された後も、滅菌紙5は分離されず裏面シート2に接合されているので、剥離屑等の発生も少なく、使用後の滅菌袋1の廃棄も容易である。
【0045】
他方、非通気性シート4のヒートシール層は、裏面シート2のヒートシール層よりも融点が低くなるので、表面シート3の非通気性シート4と滅菌紙5との接合部である開封シール部12は、容易に開封できるように好適な接合強度でヒートシールされる。
【0046】
このような構成により、輸送時や開封時等に滅菌袋1の周縁シール部11及び開口シール部13が剥がれて内容物Xが落下してしまう等の不具合を回避しつつ、開封シール部12を容易に引き剥がして開封することができる。
【0047】
また、非通気性シート4と裏面シート2を接合する周縁シール部11における接合強度を適宜設定することにより、当該周縁シール部11を剥離可能に形成することも可能である。これにより、開封シール部12において非通気性シート4を滅菌紙5から引き剥がして、更に滅菌袋1の周縁シール部11までも引き剥がして、
図3に示す如く、表面シート3を大きく開封することが可能となる。その結果、内容物Xの取り出しが容易になる。
【0048】
また、
図1(A)に示すように、表面シート3の非通気性シート4は、滅菌紙5よりも大きく形成されている。これにより、内容物Xの取り出し容易性を確保しつつ、高価な滅菌紙5の使用量を減らして、滅菌袋1のコストを削減することができる。また、滅菌紙5を小さくすることにより、滅菌袋1の内部が視認し易くなるという効果もある。
【0049】
また、前述のとおり、開封部16となる開封シール部12は、表面シート3に形成されているので、表面シート3を上方にして滅菌袋をテーブル等の上に載置して開封部16を開くことができる。これにより、裏面シート2の上に内容物Xを載せた状態で表面シート3を大きく開いて、内容物Xを容易に取り出すことができる。
【0050】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記の例では、開口部15が滅菌紙5の縁部に形成される例を示したが、開口部15は、滅菌紙5が配置される辺1a側の反対となる辺1b側に形成されても良い。
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更実施が可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 滅菌袋
2 裏面シート
3 表面シート
4 非通気性シート
5 滅菌紙
11 周縁シール部
12 開封シール部
13 開口シール部
14 非シール部
15 開口部
16 開封部