(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6490116
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】無線通信装置を備えた携帯型電動工具
(51)【国際特許分類】
B25F 5/00 20060101AFI20190318BHJP
【FI】
B25F5/00 C
B25F5/00 H
【請求項の数】5
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2017-10516(P2017-10516)
(22)【出願日】2017年1月24日
(62)【分割の表示】特願2013-530636(P2013-530636)の分割
【原出願日】2011年6月29日
(65)【公開番号】特開2017-104978(P2017-104978A)
(43)【公開日】2017年6月15日
【審査請求日】2017年2月17日
(31)【優先権主張番号】1051017-0
(32)【優先日】2010年9月30日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】502212604
【氏名又は名称】アトラス・コプコ・インダストリアル・テクニーク・アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100064388
【弁理士】
【氏名又は名称】浜野 孝雄
(74)【代理人】
【識別番号】100194113
【弁理士】
【氏名又は名称】八木田 智
(72)【発明者】
【氏名】ウオルグレン,カール ヨハン エリク
【審査官】
稲葉 大紀
(56)【参考文献】
【文献】
特表2009−515718(JP,A)
【文献】
特開2006−203295(JP,A)
【文献】
特開2007−274595(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧源(22)の接続用の接続端子(20)を備えたハウジング(10)と、
電動機(14)と、
内蔵動作制御ユニット(16)と、
電動工具及び据置式データ処理ユニット(18)の間で動作データ及び動作結果データを通信する無線通信装置(17)と
を有する携帯型電動工具において、
電圧源(22)の遮断の発生時に、電圧源(22)の再接続後の工具の動作状態を再構築するための遅れを減らすように内蔵動作制御ユニット(16)及び無線通信装置(17)へ電圧を供給し続けるよう電動工具にバックアップ電圧蓄積装置(25)が設けられる
ことを特徴とする携帯型電動工具。
【請求項2】
前記バックアップ電圧蓄積装置(25)が、
電圧源(22)が単に遮断された時に電圧を供給し、かつ、
電圧源(22)が再接続された時に電圧源(22)によって再充電される
ように設けられている
ことを特徴とする請求項1記載の携帯型電動工具。
【請求項3】
電圧源(22)が再充電可能なバッテリーユニットであり、また
接続端子(20)が
ハウジング(10)に形成したドッキング部分から成り、かつ、
少なくとも二つの交換可能なバッテリーユニット(22)の一つを受けるようにされている
ことを特徴とする請求項1又は2記載の携帯型電動工具。
【請求項4】
バックアップ電圧蓄積装置(25)が、ハウジング(10)に取外し可能に装着した補助バッテリーユニットから成っている
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の携帯型電動工具。
【請求項5】
電圧源がケーブルを介して電動工具に接続した主給電システムであり、また接続端子がケーブル接続装置である
ことを特徴とする請求項1又は2記載の携帯型電動工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧源を接続する接続端子を備えたハウジングと、電動機と、内蔵動作制御ユニットと、該動作制御ユニット及び据置式データ処理ユニットの間で工具動作データ及び動作結果データを通信する無線通信装置とを備えた携帯型電動工具に関するものである。
【0002】
本発明は、無線通信装置及び動作制御ユニットが一時的に如何なる電圧供給もない状態に置かれるような時々電圧源が遮断されるバッテリー及び主電源接続型電動工具に関する。
【背景技術】
【0003】
先行技術の電動工具、例えばバッテリー給電型工具においては、電圧源すなわち電力バッテリーユニットを工具から外して、別の充電済みのバッテリーユニットを工具に接続し動力電圧供給を回復するまで、無線通信装置の動作及び工具動作の立ち上げを再構築する際の望ましくない遅れに関する問題があった。これは、無線通信装置及び制御ユニットが据置式データ処理ユニットとの無線通信を立ち上げ、そして新しいバッテリーユニットを接続して電圧を再び供給した後に工具を始動するのに10〜15秒を要するためである。電動工具の動作状態を再構築する際のこの遅れは、組立ラインに応用した場合には工具の生産性に負の影響を及ぼすので、あまりにも長すぎると考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、内蔵制御ユニット及び無線通信装置を備えた携帯型電動工具において、電圧源の遮断時に、工具と据置式データ処理ユニットとの間の無線通信における遅れ及び工具動作状態を再構築する際の遅れを実質的に減少することにより工具の生産性を改善することにある。
【0005】
本発明の別の目的は、内蔵制御ユニット及び無線通信装置を備えた携帯型電動工具において、電圧源の遮断時に、動作制御ユニット及び無線通信装置への電圧供給を連続して維持することによりバッテリーユニットの交換後の立ち上げにおける遅れを実質的に減少する携帯型電動工具を提供することにある。
【0006】
本発明のさらに別の目的及び利点は明細書の以下の説明及び特許請求の範囲の記載から明らかとなる。
【0007】
以下、添付図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】図面は電気アングルレンチの形態の電動工具を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面には電気アングルレンチの形態の電動工具を示し、該電動工具は、アングルヘッド11を備えたハウジング10と、ナットソケット13を備えた出力軸12と、電動機14とを有している。工具はさらに、略示した動作制御ユニット16及び電動工具と離れた位置に据え付けたデータ処理ユニット18との間で動作データ及び動作結果データを通信する無線通信装置17を有している。図示したパワーレンチのハウジング10は、再充電可能なバッテリーユニット22を受けるドッキング部分20を備えている。再充電可能なバッテリーユニット22は、使用期間後にバッテリーユニットを再充電できる一つ以上の同じバッテリーユニットと交換可能である。
【0010】
バッテリーユニット22の取り外し時に、無線通信装置17及び制御ユニット16に電圧を供給(給電)し続けるために、バックアップ電圧蓄積装置25が設けられる。このバックアップ電圧蓄積装置25は補助バッテリーユニット又は任意の他の形式の利用可能な電圧蓄積手段例えばコンデンサ、スーパーCAP或いは任意の他の同様な装置であってもよい。
【0011】
図示した電動工具はバッテリーユニットで給電されるが、本発明は主電源接続型の工具にも関するものであり、工具ハウジング10には、バッテリードッキング部分20の代わりに、主電源接続ケーブル用の図示していない接続装置が設けられる。また、電圧源として据置式の主給電網を備える電動工具では、無線通信装置17及び制御ユニット16に電圧供給(給電)をし続けて電圧供給(給電)ケーブルの一時的な分離の後でも工具を動作状態に戻す際の遅れを避けるようにすることは、電動工具による生産性を維持するために本質的なことである。従って、バックアップ電圧蓄積装置25は、本発明のこの図示していない実施形態においても本質的な部分である。
【0012】
本発明による電動工具はいずれも電圧源としてバッテリーユニットか又は主給電を使用しており、バックアップ電圧蓄積装置25は、給電源が単に切り離されている期間中に無線通信装置17及び制御ユニット16に給電するように設けられるが、しかし給電源の再接続時には再充電されることになる。従って、バックアップ電圧蓄積装置25は、給電源が次の機会に分離される際に、無線通信装置17及び制御ユニット16への給電を維持できるように常に十分に充電される。上記のように、バックアップ電圧蓄積装置25は、補助バッテリーユニットの形態であることができ、そして工具のハウジングに内蔵構成要素として設けることができ、或いは工具を分解する必要なしに容易に交換できる取外し可能なモジュールとして設けることができる。
【符号の説明】
【0013】
10:ハウジング
11:アングルヘッド
12:出力軸
13:ナットソケット
14:電動機
16:動作制御ユニット
17:無線通信装置
18:データ処理ユニット
20:ドッキング部分
22:再充電可能なバッテリーユニット
25:バックアップ電圧蓄積装置