(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、OSI参照モデル(OSI reference model)のレイヤ3における仮想専用ネットワーク(以降「L3仮想閉域網」と呼ぶ)サービスが知られている。このようなサービスを提供する通信事業者において、L3仮想閉域網のサービス基盤を、メインサイトからDRサイトへ切り替える場合を想定する。このような場合、メインサイトで使用されている通信装置の提供ベンダと、DRサイトで使用されている通信装置の提供ベンダとは必ずしも同じであるとは限らないことから、サイト切り替えのための専用機能を予め通信装置に組み込んでおくことが困難であるという課題があった。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、L3仮想閉域網のサービス基盤の切り替えに関し、メインサイトで使用されている通信装置の提供ベンダと、DRサイトで使用されている通信装置の提供ベンダとが異なる場合(以降、「マルチベンダな環境」とも呼ぶ)においても、メインサイトとDRサイトの切り替えを正常に実施可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一形態によれば、DRサイトにおいて、L3仮想閉域網のエッジに配置される通信装置が提供される。この通信装置は、特定の閉域用のルーティングテーブルであって、前記L3仮想閉域網を通過し、メインサイトの通信装置において前記特定の閉域に属する第1のインターフェースに割り当てられた第1のアドレスを経由する静的ルートを含むルーティングテーブルが記憶された記憶部と、前記静的ルートの削除を監視する監視部と、前記静的ルートの削除を契機として、前記通信装置が、前記メインサイトの通信装置に代替して動作するための一連の処理を実行する切替部と、を備える。
【0007】
(2)上記形態の通信装置において、前記切替部は、前記静的ルートの削除後、前記第1のアドレスに対する疎通を確認し、前記疎通が確認できた場合は、前記一連の処理の実行を中止し、前記疎通が確認できなかった場合は、前記一連の処理を実行してもよい。
【0008】
(3)上記形態の通信装置において、前記一連の処理は、前記通信装置において、前記L3仮想閉域網の外側にあるアクセス網に接続されたインターフェースを有効にする処理を含み、前記切替部は、前記有効にする処理の終了後、前記メインサイトの通信装置において前記アクセス網に接続されると共に前記特定の閉域に属する第2のインターフェースに割り当てられた第2のアドレスに対する疎通を確認し、前記疎通が確認できた場合は、前記一連の処理の実行を中止し、前記疎通が確認できなかった場合は、前記一連の処理を継続してもよい。
【0009】
(4)上記形態の通信装置において、前記監視部は、前記ルーティングテーブルの状態を記録したログを監視することにより、前記静的ルートの削除を監視してもよい。
【0010】
(5)本発明の一形態によれば、DRサイト内のL3仮想閉域網のエッジに配置される装置における通信方法が提供される。この方法は、前記L3仮想閉域網を通過し、メインサイトの通信装置において特定の閉域に属する第1のインターフェースに割り当てられた第1のアドレスを経由する静的ルートの削除を監視する工程と、前記静的ルートの削除を契機として、前記装置が、前記メインサイトの通信装置に代替して動作するための一連の処理を実行する工程と、を備える。
【0011】
(6)本発明の一形態によれば、DRサイト内のL3仮想閉域網のエッジに配置される装置において実行されるコンピュータプログラムが提供される。このコンピュータプログラムでは、前記L3仮想閉域網を通過し、メインサイトの通信装置において特定の閉域に属する第1のインターフェースに割り当てられた第1のアドレスを経由する静的ルートの削除を監視する機能と、前記静的ルートの削除を契機として、前記装置が、前記メインサイトの通信装置に代替して動作するための一連の処理を実行する機能と、が実現される。
【0012】
(7)本発明の一形態によれば、通信システムが提供される。この通信システムは、メインサイトにおいて、L3仮想閉域網のエッジに配置されるメイン通信装置と、DRサイトにおいて、前記L3仮想閉域網のエッジに配置されるDR通信装置と、を備える。前記メイン通信装置は、前記L3仮想閉域網に接続されると共に特定の閉域に属し、第1のアドレスが割り当てられた第1のインターフェースと、前記L3仮想閉域網の外側にあるアクセス網に接続されると共に前記特定の閉域に属し、第2のアドレスが割り当てられた第2のインターフェースと、を備え、前記DR通信装置は、前記L3仮想閉域網に接続されると共に前記特定の閉域に属し、第3のアドレスが割り当てられた第3のインターフェースと、前記アクセス網に接続されると共に前記特定の閉域に属し、第4のアドレスが割り当てられた第4のインターフェースと、前記特定の閉域用のルーティングテーブルであって、前記第3のインターフェースから前記L3仮想閉域網を通過し、前記第1のアドレスを経由する静的ルートを含むルーティングテーブルが記憶された記憶部と、前記静的ルートの削除を監視する監視部と、前記静的ルートの削除を契機として、前記DR通信装置が、前記メイン通信装置に代替して動作するための一連の処理を実行する切替部と、を備える。
【0013】
(8)上記形態の通信システムにおいて、前記DR通信装置の前記切替部は、前記静的ルートの削除後、前記第1のアドレスに対する疎通を確認し、前記疎通が確認できた場合は、前記一連の処理の実行を中止し、前記疎通が確認できなかった場合は、前記一連の処理を実行してもよい。
【0014】
(9)上記形態の通信システムにおいて、前記一連の処理は、前記第4のインターフェースを有効にする処理を含み、前記DR通信装置の前記切替部は、前記有効にする処理の終了後、前記第2のアドレスに対する疎通を確認し、前記疎通が確認できた場合は、前記一連の処理の実行を中止し、前記疎通が確認できなかった場合は、前記一連の処理を継続してもよい。
【0015】
(10)上記形態の通信システムにおいて、前記DR通信装置の前記監視部は、前記ルーティングテーブルの状態を記録したログを監視することにより、前記静的ルートの削除を監視してもよい。
【0016】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、通信装置、通信方法、通信装置を含む通信システム、これら装置やシステムの機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを配布するためのサーバ装置、そのコンピュータプログラムを記憶した一時的でない記憶媒体等の形態で実現することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、DRサイトの通信装置は、特定の閉域に属する第1のインターフェースに割り当てられた第1のアドレスを経由する静的ルートの削除をもって、メインサイトの通信装置がダウンしたと判定し、メインサイトからDRサイトへの切り替えを実施する。すなわち、本発明によれば、DRサイトの通信装置は、閉域の設定、ルーティングテーブルにおける静的ルートの設定、ルーティングテーブルの状態監視といった、汎用的な技術を利用することで、メインサイトの通信装置がダウンしたことを知ることができる。この結果、メインサイトの通信装置の提供ベンダと、DRサイトの通信装置の提供ベンダとが異なる場合(マルチベンダな環境である場合)においても、メインサイトとDRサイトの切り替えを正常に実施することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。
【0020】
A.実施形態:
(通信システムの構成)
図1は、本発明の一実施形態に係る通信システムの概略構成を示す図である。通信システム1000は、OSI参照モデル(OSI reference model)のレイヤ3における仮想専用ネットワーク(以降「L3仮想閉域網」と呼ぶ)のサービス基盤として機能するシステムである。本実施形態の通信システム1000は、L3仮想閉域網を、IP−VPN(Internet Protocol Virtual Private Network)、より具体的には、MPLS−VPN(Multi-Protocol Label Switching Virtual Private Network)を利用することにより実現している。通信システム1000は、MPLSネットワーク3と、アクセスネットワーク4とを含む。
【0021】
アクセスネットワーク4は、L3仮想閉域網サービスを利用するユーザ(クライアント)側に構築されているリングネットワークであり「アクセス網」として機能する。アクセスネットワーク4は、アクセスネットワーク4内に配置された複数の伝送装置40、41、42、43を含む。各伝送装置は、OSI参照モデルのレイヤ1,2に相当する物理層、データリンク層における伝送処理を行う周知の装置である。
【0022】
MPLSネットワーク3は、MPLSを利用したラベルスイッチングにより仮想専用ネットワークを実現する「L3仮想閉域網」として機能する。MPLSネットワーク3は、L3仮想閉域網サービスを提供する通信事業者側に構築されているネットワークである。MPLSネットワーク3は、MPLSネットワーク3内に配置された複数の通信装置30、31、32、33と、MPLSネットワーク3のエッジに配置されたメイン通信装置10、11と、MPLSネットワーク3のエッジに配置されたDR通信装置20と、を含む。通信装置30、31、32、33はPルータとも呼ばれ、メイン通信装置10、11およびDR通信装置20はPEルータとも呼ばれる。
【0023】
メイン通信装置10および11は、平常時におけるL3仮想閉域網サービスの提供を行うメインサイト1を構成している。メイン通信装置10は、現用系の通信装置(PEルータ)である。このため、
図1の破線矢印に示すように、アクセスネットワーク4上にあるクライアント装置(図示省略)からのパケットは、メイン通信装置10を経由してMPLSネットワーク3へと転送される。一方、メイン通信装置11は、予備系の通信装置(PEルータ)である。すなわち、メイン通信装置11は、メイン通信装置10と同じ構成、同じIPアドレスを持ち、メイン通信装置10に障害が発生した場合においてメイン通信装置10に代替して動作する。このように、メイン通信装置11によってメインサイト1内でのPEルータの冗長化が図られている。なお、メイン通信装置11は省略してもよい。
【0024】
DR通信装置20は、例えば災害等の発生に伴ってメインサイト1が使用不可能となった場合に、メインサイト1に代替して動作するDRサイト2を構成している。本実施形態のDR通信装置20は、後述の切替処理を実行することによって、メインサイト1の障害(換言すれば、メイン通信装置10および11の両方が使用不可能となったこと)を自動的に検知し、メインサイト1のメイン通信装置10、11に代替した転送処理を自動的に開始することができる。なお、DRサイト2はメインサイト1からの遠隔地に設けられることが多い。
【0025】
メイン通信装置10、11と、DR通信装置20とには、MPLS−VPNを利用して、他の閉域OAと、監視用閉域SAとが設定されている。他の閉域OAは、L3仮想閉域網サービスのために用いられる閉域であり、サービス提供を受けるユーザ毎に設定されている。監視用閉域SAは、本実施形態の切替処理のために用いられる閉域(仮想専用ネットワーク)である。監視用閉域SAは「特定の閉域」として機能する。
【0026】
メイン通信装置10において、監視用閉域SAには、MPLS監視IF101とアクセス監視IF102とが設定されている。MPLS監視IF101は、アクセスネットワーク4に接続された「第1のインターフェース」であり、第1のアドレスが割り当てられている。アクセス監視IF102は、アクセスネットワーク4に接続された「第2のインターフェース」であり、第2のアドレスが割り当てられている。なお、MPLS監視IF101およびアクセス監視IF102を、アクセスネットワーク4に接続されたインターフェースとして設定することにより、アクセスネットワークの使用可否を検知することができる。同様に、メイン通信装置11において、監視用閉域SAには、MPLS監視IF111とアクセス監視IF112とが設定されている。MPLS監視IF111はMPLS監視IF101と同様の構成および機能を有し、アクセス監視IF112はアクセス監視IF102と同様の構成および機能を有する。
【0027】
DR通信装置20において、監視用閉域SAには、MPLS監視IF201とアクセス監視IF202とが設定されている。MPLS監視IF201は、MPLSネットワーク3に接続された「第3のインターフェース」であり、第3のアドレスが割り当てられている。アクセス監視IF202は、アクセスネットワーク4に接続された「第4のインターフェース」であり、第4のアドレスが割り当てられている。これら第1〜第4のアドレスは、それぞれ異なるIPアドレスである。なお、メイン通信装置10とDR通信装置20との間における経路情報のやりとりは、MPLS監視IF101とMPLS監視IF201とから、MPLSネットワーク3を経由して(具体的には、MPLSネットワーク3上の図示しないルートリフレクタを介して)行われる。メイン通信装置11についても同様である。また、
図1の各通信装置において、他の閉域OAに設定されているインターフェースについては、図示を省略する。
【0028】
(DR通信装置の構成)
図2は、DR通信装置20の概略構成を示す図である。本実施形態のDR通信装置20は、後述の切替処理を実行することによって、メインサイト1の障害(換言すれば、メイン通信装置10および11の両方が使用不可能となったこと)を自動的に検知し、メインサイト1のメイン通信装置10、11に代替した転送処理を自動的に開始する。DR通信装置20は、請求項1における「通信装置」として機能する。
【0029】
DR通信装置20は、記憶部210と、CPU220と、通信部200と、ROM/RAM230とを備えており、各部は図示しないバスにより相互に接続されている。
【0030】
記憶部210は、ハードディスク、フラッシュメモリ、メモリカードなどで構成される。記憶部210には、OA用ルーティングテーブル211と、SA用ルーティングテーブル212と、ログ213とが記憶されている。OA用ルーティングテーブル211は、他の閉域OA(
図1)用のルーティングテーブルである。SA用ルーティングテーブル212は、監視用閉域SA(
図1)用のルーティングテーブルである。詳細は後述する。ログ213は、DR通信装置20の動作や状態が記録されるログである。
【0031】
CPU220は、ROMに格納されているコンピュータプログラムをRAMに展開して実行することにより、DR通信装置20の各部を制御する。そのほか、CPU220は、転送処理部221、監視部222、切替部223としても機能する。
【0032】
転送処理部221は、OA用ルーティングテーブル211に基づくデータ転送処理を実行することで他の閉域OA(
図1)を形成する。また、転送処理部221は、SA用ルーティングテーブル212に基づくデータ転送処理を実行することで監視用閉域SA(
図1)を形成する。なお、転送処理部221の機能の一部または全部は、CPU220とは別に設けられたASIC(Application Specific Integrated Circuit)等により実現されてもよい。例えば、転送処理部221のうち、OA用ルーティングテーブル211に基づくデータ転送処理はASICにより実現され、転送処理部221のうち、SA用ルーティングテーブル212に基づくデータ転送処理はCPU220により実現されてもよい。AISCを利用すれば、CPU220を利用した場合と比較して高速なデータ転送処理を実現できる。
【0033】
監視部222は、後述の切替処理においてログ213を監視することで、メインサイト1の障害を検知する。切替部223は、後述の切替処理において、メインサイト1からDRサイト2への切り替えを実施する。
【0034】
通信部200は、他の通信装置との間における通信を制御する。他の通信装置には、上述したメイン通信装置10、11、通信装置30〜33、伝送装置40〜43のほか、
図1に記載しない他の装置が含まれていてもよい。通信部200には、監視用閉域SAに設定されている上述のMPLS監視IF201およびアクセス監視IF202と、他の閉域OAに設定されている複数のインターフェースとが含まれている。
【0035】
図3は、SA用ルーティングテーブル212の一部を示す図である。SA用ルーティングテーブル212には、エントリE1、E2の各経路情報が含まれている。なお、
図3では、本発明に関連のない経路情報の図示を省略している。
図3の「X」、「A」、「B」、「C」は任意の数字を意味する。
【0036】
エントリE1は、DR通信装置20が、メイン通信装置10のMPLS監視IF101の経路情報を学習することによって得られた経路情報である。エントリE1は、アクセスネットワーク4上にあるIPアドレス「XX.XXX.XXX.AA/XX」が宛先である場合、転送処理のプロトコルとして「BGP」を使用し、次の転送先(ネクストホップ)として「XX.XXX.XXX.BB/XX」をアドレスに持つMPLS監視IF101を使用することが規定されている。
【0037】
一方、エントリE2は、切替処理においてメインサイト1の障害監視のために使用される静的ルート(スタティックルート)である。エントリE2は、任意のIPアドレス「XX.XXX.XXX.CC/XX」が宛先である場合、転送処理のプロトコルとして「Static」を使用し、次の転送先として「XX.XXX.XXX.BB/XX」をアドレスに持つMPLS監視IF101を使用することが規定されている。なお、エントリE2は上述の通り、メインサイト1の障害監視のために使用される経路情報である。このため、エントリE2の宛先は、通信システム1000上に存在しないダミーのIPアドレスであることが好ましい。
【0038】
図4は、SA用ルーティングテーブル212のエントリE2について説明する図である。
図4において破線の矢印で示すように、エントリE2には、DR通信装置20のMPLS監視IF201(第3のインターフェース)から、MPLSネットワーク3(L3仮想閉域網)を通過して、メイン通信装置10のMPLS監視IF101(第1のインターフェース)に割り当てられたIPアドレス(第1のアドレス)を経由する静的ルートが規定されていると言える。なお、
図4では、メイン通信装置10と同様の構成を有する予備系のメイン通信装置11に対しても破線の矢印を付している。
【0039】
(切替処理)
図5は、切替処理の手順を示すフローチャートである。切替処理は、DR通信装置20の監視部222と切替部223とが協働して実行される処理であり、DR通信装置20が動作している間は常に実行されている。
【0040】
図6および
図7は、切替処理のステップS10について説明する図である。
図6に示すように、メインサイト1の両系(現用系および予備系)の通信装置、すなわち、メイン通信装置10とメイン通信装置11とが共に使用不可能となった場合を想定する。なお、メインサイト1のうち、現用系のメイン通信装置10のみが使用不可能となった場合は、予備系のメイン通信装置11が代わって動作するため、以下説明するDRサイト2への切り替えは行われない。
【0041】
メインサイト1の両系の通信装置が共に使用不可能となった場合、メインサイト1の両系の通信装置に対して共にデータが到達しなくなるため、学習により得られるエントリE1の経路情報がSA用ルーティングテーブル212から削除される(
図7:上段エントリE1)。そして、エントリE1の削除に伴い、エントリE2に規定された静的ルートの到達性も無くなる。このため、エントリE2の経路情報もSA用ルーティングテーブル212から削除される(
図7:上段エントリE2)。この結果、DR通信装置20のログ213には、エントリE2に規定された静的ルートが削除された旨のメッセージErが記録される(
図7:下段)。
【0042】
切替処理(
図5)のステップS10において、監視部222はログ213を監視する。ステップS12において監視部222は、ログ213に静的ルートが削除された旨のメッセージEr(
図7:下段)が記録されたか否かを判定する。メッセージErが無い場合、監視部222は、静的ルートが削除されていないと判定し(ステップS12:NO)、ログ213の監視を継続する。メッセージErがある場合、監視部222は、静的ルートが削除されたと判定し(ステップS12:YES)、処理をステップS20へ遷移させる。
【0043】
ステップS10、S12によれば、監視部222は、ログ213の監視によって簡便に、静的ルートの削除を検出することができる。なお、監視部222は、ログ213を参照する以外の方法(例えば、SA用ルーティングテーブル212を検索する方法)によって、静的ルートの削除を検出してもよい。
【0044】
図8は、切替処理のステップS20について説明する図である。切替処理(
図5)のステップS20において、切替部223は、メインサイト1のMPLS監視IF101、111に対する疎通確認を実施する。疎通確認は、例えば、MPLS監視IF101、111に割り当てられている第1のアドレス(XX.XXX.XXX.BB/XX)に対するpingコマンドを利用して実施できる。
図8において一点鎖線の矢印で示すように、このpingコマンドは、DR通信装置20のMPLS監視IF201から、MPLSネットワーク3を経由して、メイン通信装置10、11へと送出される。
【0045】
ステップS22において切替部223は、疎通したか否かを判定する。疎通した場合(ステップS22:YES)、切替部223は、静的ルートの削除はMPLS監視IF101、111のばたつきに起因するものであり、メインサイト1に障害が発生したわけではないと判定し、処理をステップS10へ遷移させてログ213の監視を継続させる。一方、疎通しない場合(ステップS22:NO)、切替部223は、メインサイト1に障害が発生したと判定し、処理をステップS24へ遷移させる。
【0046】
ステップS20、S22によれば、切替部223は、静的ルートの削除(メッセージEr)が、メインサイト1の障害に起因するものか否かを確認することができる。そして、切替部223は、疎通が確認できた場合は代替処理の実行を中止し、疎通が確認できなかった場合は代替処理を実行する。これにより、DR通信装置20は、メインサイト1の障害の検知を確実に行うと共に、代替処理が誤って実行されることを抑制することができる。なお、ステップS20、S22は省略してもよい。
【0047】
ステップS24において、切替部223は代替処理を開始する。代替処理とは、DR通信装置20が、メイン通信装置10、11に代わって動作するための「一連の処理」である。まず、切替部223は、アクセス監視IF202が所属しているインターフェース(親であるインターフェース)を停止状態から起動させる。その後、切替部223は、アクセス監視IF202や、他の閉域OAに設定されている各インターフェースを有効化する。有効化後、切替部223は、処理をステップS30へ遷移させる。なお、ステップS24では、上述した以外の種々の処理が実行されてよい。
【0048】
図9は、切替処理のステップS30について説明する図である。切替処理(
図5)のステップS30において、切替部223は、メインサイト1のアクセス監視IF102、112に対する疎通確認を実施する。疎通確認は、例えば、アクセス監視IF102、112に割り当てられている第2のアドレスに対するpingコマンドを利用して実施できる。
図9において一点鎖線の矢印で示すように、このpingコマンドは、DR通信装置20のアクセス監視IF202から、アクセスネットワーク4を経由して、メイン通信装置10、11へと送出される。
【0049】
ステップS32において切替部223は、疎通したか否かを判定する。疎通した場合(ステップS32:YES)、切替部223は、メインサイト1が復旧した(メイン通信装置10、11が使用可能となった)と判定し、代替処理を中止する。切替部223は、代替処理の中止と共に切戻し処理(DR通信装置20を待機状態へと戻す処理)を実行してもよい。その後、切替部223は、処理をステップS10へ遷移させ、ログ213の監視を継続させる。一方、疎通しない場合(ステップS32:NO)、切替部223は、メインサイト1の障害が継続していると判定し、処理をステップS34へ遷移させる。
【0050】
図10は、切替処理のステップS34について説明する図である。ステップS34において切替部223は、引き続き、代替処理(DR通信装置20がメイン通信装置10、11に代わって動作するための一連の処理)の実行を継続する。これにより、
図10の破線矢印に示すように、アクセスネットワーク4上にあるクライアント装置(図示省略)からのパケットは、DRサイト2のDR通信装置20を経由して、MPLSネットワーク3へと転送される。
【0051】
ステップS30、S32によれば、切替部223は、アクセスネットワーク4の側から、メインサイト1の状態を再度確認することができる。そして、切替部223は、疎通が確認できた場合は代替処理の実行を中止し、疎通が確認できなかった場合は代替処理を継続する(ステップS34)。これにより、DR通信装置20は、メインサイト1の障害の継続を確認すると共に、代替処理が誤って継続されることを抑制することができる。なお、ステップS30、S32は省略してもよい。また、ステップS34以降にも定期的に、ステップS30、S32と同じ処理が繰り返されてもよい。
【0052】
以上説明した通り、本発明によれば、DRサイトの通信装置(DR通信装置20)は、特定の閉域(監視用閉域SA)に属する第1のインターフェース(MPLS監視IF101、111)に割り当てられた第1のアドレス(XX.XXX.XXX.BB/XX)を経由する静的ルート(SA用ルーティングテーブル212のエントリE2)の削除をもって、メインサイト1の通信装置(メイン通信装置10、11)がダウンしたと判定し、メインサイト1からDRサイト2への切り替えを実施する(
図5:ステップS24)。すなわち、本発明によれば、DRサイトの通信装置(DR通信装置20)は、閉域の設定、ルーティングテーブルにおける静的ルートの設定、ルーティングテーブルの状態監視といった、汎用的な技術を利用することで、メインサイト1の通信装置がダウンしたことを知ることができる。この結果、メインサイト1の通信装置(メイン通信装置10、11)の提供ベンダと、DRサイト2の通信装置(DR通信装置20)の提供ベンダとが異なる場合(マルチベンダな環境である場合)においても、メインサイト1とDRサイト2の切り替えを正常に実施することができる。
【0053】
B.変形例:
上述した各実施態様において、ハードウェアによって実現されるとした構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されるとした構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。その他、以下のような変形も可能である。
【0054】
上記実施形態では、メイン通信装置10、11、DR通信装置20は、いずれも、装置として実在する、いわゆる「物理ルータ」として説明した。しかし、メイン通信装置10、11、DR通信装置20のうちの少なくとも一部は、仮想的にルーティング機能を提供する、いわゆる「仮想ルータ」として構成されてもよい。仮想ルータの構成は、ハードウェア型、ソフトウェア型、分散エッジ型、種々採用できる。
【0055】
上記実施形態では、L3仮想閉域網を、MPLS−VPNを利用することにより実現するとしたが、MPLS−VPNにおいてEVPN L3を利用することにより実現してもよい。
【0056】
上記実施形態では、メインサイト1における装置構成は、現用系と予備系の2台構成としたが、種々の変更が可能である。また、DRサイト2における装置構成についても、現用系の1台構成としたが、種々の変更が可能である。
【0057】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各手段、各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段やステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。また、上記実施の形態に示す構成を適宜組み合わせることとしてもよい。