(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6490177
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】洗濯ネット
(51)【国際特許分類】
D06F 35/00 20060101AFI20190318BHJP
【FI】
D06F35/00 A
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-215270(P2017-215270)
(22)【出願日】2017年11月8日
【基礎とした実用新案登録】実用新案登録第3206795号
【原出願日】2016年7月22日
(65)【公開番号】特開2018-20215(P2018-20215A)
(43)【公開日】2018年2月8日
【審査請求日】2017年11月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】500331714
【氏名又は名称】株式会社創和
(74)【代理人】
【識別番号】100178951
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 和家
(72)【発明者】
【氏名】宗 正雄
【審査官】
大光 太朗
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−141585(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第01398408(EP,A2)
【文献】
特開2006−026112(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3175938(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3066636(JP,U)
【文献】
特開2006−304843(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
網体からなる袋状体に開口部を備えさせ、該開口部をスライドファスナーにより開閉自在とし、該袋状体の内側に複数の突出部を備えさせ、該袋状体の内側の一部又は全部に突起物を設けた洗濯ネットにおいて、
前記複数の突出部それぞれは、角柱状のものからなるとともに、該複数の突出部は、横方向に間隔を空けて立設したものであり、
前記袋状体は、底部に形状保持手段を備え、前記複数の突出部が支えとなって自立するとともに、内面網体と外面網体とを相互に密着させてなる二重構造のものであり、
前記内面網体は、前記袋状体の内面及び前記複数の突出部の表面を覆うものであり、
前記突起物が、前記内面網体の全面に配設され、前記複数の突出部によって、前記袋状体に収納された履物を挟持することができるものであることを特徴とする洗濯ネット。
【請求項2】
前記複数の突出部それぞれは、発泡材よりなることを特徴とする請求項1記載の洗濯ネット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上履や運動靴等の履物を洗濯機により洗濯する際に該履物を収納する洗濯ネットに関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、実用新案登録番号第3175938号公報により、衣類を洗濯機により洗濯する際に該衣類を収納する洗濯ネットであって、洗濯中における衣類に対する糸くず等の付着、衣類の損傷等を防止するために該衣類を内部に収納した状態で洗濯槽内に投入される洗濯ネット(以下「従来の洗濯ネット」という。)を提供している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3175938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかるに、上記従来の洗濯ネットにおいては、次のような問題が生ずる。
【0005】
(イ)洗濯ネットに収納された履物は、洗濯機にて洗濯中に洗濯槽の内面に衝突し、異音を発生させる。また、洗濯ネットに収納された履物が洗濯層内面に衝突することや洗濯ネット内で履物同士が無造作に動いて衝突することにより、履物の型崩れや損傷の恐れがある。
【0006】
(ロ)履物を洗濯ネット内に収納して洗濯機で洗濯した場合、ブラシを使って履物の汚れをかき落とすなどして手洗いをした場合より汚れを落とす効果が低い。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、下記洗濯ネットを提供する。
【0008】
(1)網体からなる袋状体に開口部を備えさせ、該開口部をスライドファスナーにより開閉自在とし、該袋状体の内側に複数の突出部を備えさせ、該袋状体の内側の一部又は全部に突起物を設けた
洗濯ネットにおいて、
前記複数の突出部それぞれは、角柱状のものからなるとともに、該複数の突出部は、横方向に間隔を空けて立設したものであり、
前記袋状体は、底部に形状保持手段を備え、前記複数の突出部が支えとなって自立するとともに、内面網体と外面網体とを相互に密着させてなる二重構造のものであり、
前記内面網体は、前記袋状体の内面及び前記複数の突出部の表面を覆うものであり、
前記突起物が、前記内面網体の全面に配設され、前記複数の突出部によって、前記袋状体に収納された履物を挟持することができるものであることを特徴とする洗濯ネット(請求項1)。
【0009】
(2)前記複数の突出部それぞれは、
発泡材よりなる(請求項2)。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、洗濯ネットの内側に備えさせた突出部は、洗濯ネットに収納された履物が洗濯槽に衝突した際の緩衝材の役目を果たす。また、該突出部は洗濯ネット内での履物を挟持することにより履物同士が無造作に動いて衝突することを防止することができる。その結果、洗濯中の異音発生防止効果及び履物の損傷防止効果を備えた洗濯ネットを提供することができる。
【0013】
更に、洗濯ネットの内面に配設した突起物が洗濯ネット内の履物の表面を擦ることにより履物の表面の汚れをかき落とし、履物の洗浄効果に優れた洗濯ネットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明による洗濯ネットの一例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明による洗濯ネットの一例を示す正面図である。
【
図3】
図3は、本発明による洗濯ネットの一例を示す縦断面図である。
【
図4】
図4は、本発明による洗濯ネットの一例を示す横断面図である。
【
図5】
図5は、本発明による洗濯ネットの内面の突起物の一例を示す拡大図である。
【
図6】
図6は、本発明による洗濯ネットの内面の突起物の別の一例を示す拡大図である。
【
図7】
図7は、本発明による洗濯ネットの内面の突起物の別の一例を示す拡大図である。
【
図8】
図8は、本発明による洗濯ネットの内面の全部に突起物がある一例を示す断面図である。
【
図9】
図9は、本発明による洗濯ネットの内面の一部に突起物がある一例を示す断面図である。
【
図10】
図10は、本発明による洗濯ネットの使用状態の一例を示す断面図である。
【
図11】
図11は、本発明による洗濯ネットの使用状態の別の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0016】
本発明の洗濯ネットは、網製の袋状体1に開口部3を備えさせ、該開口部にスライドファスナー5を略直線状に配設して開閉自在とし、袋状体1に取っ手11とリボン15を取り付け、スライドファスナー5のプルタブ7に紐体9を取り付けた。スライドファスナー5におけるプルタブ7が袋状体1から外方に突出しないようになす点、袋状体1は、底部19に形状保持手段を備えている点、袋状体1の側面にカラーベルト13を備えている点において、上記従来の洗濯ネットと共通する。
【0017】
次に、本発明の洗濯ネットが上記従来の洗濯ネットと異なる点について説明する。
【0018】
図1は本発明の一例としての洗濯ネット1の斜視図、
図2は同正面図である。
図3は
図1のA−A’断面図、
図4は
図2のB−B’断面図である。一例として袋状体1の相対向する各内面に4本の柱状の突出部17を配設する。突出部17は緩衝性を有する必要があり、
図1ないし4に示す突出部17は発泡材よりなる。袋状体1の内面に配設された突出部17は、袋状体1の収納された履物が洗濯槽内面の衝突した際の衝撃に対する緩衝効果をなし、履物の型崩れや損傷、洗濯槽稼働時の異音の発生等を防止する。袋状体1内面の突出部17と突出部17との間に履物を挟持させることにより、履物同士が無造作に動いて衝突することがなくなり履物の型崩れや損傷等を防止する。
図11に示すように、突出部は球状でもよい。
【0019】
袋状体1は、底部に形状保持手段25を備えており、突出部17が支えとなって袋状体1は自立する。そのため、袋状体1に履物を容易に収納できる。
【0020】
袋状体1は内面網体19と外面網体21とを相互に密着させてなる二重構造とした。内面網体19は袋状体1の内面及び突出部17の表面を覆うものとし、内面網体19上には袋状体1の内側に向けて突起物23を配設した。内面網体19及び突起物23は、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン等からなるのが好ましい。突起物23の形状は
図5ないし
図7に示すとおりパイル状、繊維の編み込み状、起毛状などが好ましい。
【0021】
突起物23は、内面網体19の全面又は一部に配設する。
図8は洗濯ネット内面網体19の全面に突起物23を配設した一例である。
図9は内面網体19の一部に突起物23を配設した一例である。内面網体19の一部に突起物23を配設する場合、突起物23は各突出部17の表面を覆う内面網体19及び各突出部17の近傍の内面網体19に配設するのが好ましい。
【0022】
履物を袋状体1に収納して洗濯槽に投入すると、洗濯機稼働中の水流により、袋状体1の内面の突起物23は袋状体1に収納された履物の表面を擦ることにより履物の表面の汚れがかき落とされ、優れた洗浄効果が得られる。なお、該袋状体は一重の網体からなるものでもよい。
【0023】
図10は、本発明の使用状態の一例として袋状体1に上履き27を収納した状態を表した。突出部18aと隣の突出部18bとの間に上履き27の一方を挟み、突出部18cと突出部18dとの間に上履き25のもう一方を挟む。突出部18aないし18dは袋状体1が洗濯槽内面に衝突した際の衝撃に対する緩衝効果をなし、袋状体1に収納された上履き27の型崩れや損傷及び洗濯時の異音の発生等を防止する。上履き27は、突出部18aないし18dに挟持されているため、上履き27同士が無造作に動いて衝突することによる上履き27の型崩れや損傷等を防止する。
図8の一例においては、突起物23は突出部18aないし18dの表面を覆う内面網体19及び該突出部の近傍の内面網体19に配設した。
【0024】
図11は、球状突出部31を備えた洗濯ネットの使用状態の一例として運動靴29を挿入した状態を表した。球状突出部33は袋状体1の内側にランダムに配設することにより、種々の形状や大きさの履物を挟持することが可能になる。
図11の一例においては、突起物23は球状突起物31の表面を覆う内面網体19を含む内面網体19の全面に配設した。
【0025】
以上、添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はかかる実施形態、実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載から把握される技術的範囲において種々に変更可能である。
以下、これまで説明したことを含めて付記する。
(付記1)他の洗濯ネットは、網体からなる袋状体に開口部を備えさせ、該開口部をスライドファスナーにより開閉自在とし、該袋状体の内側に複数の突出部を備えさせ、該袋状体の内側の一部又は全部に突起物を設けたことを特徴とする。
(付記2)付記1の洗濯ネットにおいて、前記複数の突出部それぞれは、柱状のものからなるものであってもよい。
(付記3)付記2洗濯ネットにおいて、前記複数の突出部は、横方向に間隔を空けて立設したものであり、
前記袋状体は、底部に形状保持手段を備え、前記複数の突出部が支えとなって自立するものであってもよい。
(付記4)付記1〜3のうちいずれか1つに記載の洗濯ネットにおいて、前記袋状体は、内面網体と外面網体とを相互に密着させてなる二重構造のものであり、
前記内面網体は、前記袋状体の内面及び前記複数の突出部の表面を覆うものであり、
前記突起物は、前記内面網体の全面に配設されたものであってもよい。
【符号の説明】
【0026】
1 袋状体
3 開口部
5 スライドファスナー
7 スライドファスナーのプルタブ
9 紐体
11 取っ手
13 カラーベルト
15 リボン
17 突出部
18a〜18d 突出部
19 内面網体
21 外面網体
23 突起物
25 底部の形状保持手段
27 上履き
29 運動靴
31 球状突出部